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めくらやなぎと眠る女 (短編小説集)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
めくらやなぎと眠る女
Blind Willow, Sleeping Woman
著者 村上春樹
イラスト 藤掛正邦(Wire Art)
発行日 2009年11月27日[1]
発行元 新潮社
ジャンル 小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 並製本
ページ数 508
コード ISBN 978-4-10-353424-2
ウィキポータル 文学
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めくらやなぎと眠る女』(めくらやなぎとねむるおんな)は、村上春樹短編小説集。

概要

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2009年11月27日、新潮社より刊行された[1]。本書は米国のクノップフ社から2006年7月に発行された村上の短編小説集『Blind Willow, Sleeping Woman』の日本語版である。

作品の収録順序は英語版をそのまま踏襲している。日本語版の副題は「TWENTY-FOUR STORIES」。収録された24作品は、クノップフ社のゲイリー・L・フィスケットジョンのアドバイスを受けて村上自らが選んだ[2]

日本語版は原則として、『村上春樹全作品 1979~1989』(講談社)および『村上春樹全作品 1990~2000』(同社)、『バースデイ・ストーリーズ』(村上春樹 翻訳ライブラリー版)、『東京奇譚集』(新潮文庫版)を底本としている。

冒頭に、「日本語版の読者に」と「Blind Willow, Sleeping Womanのためのイントロダクション」の2つの文章が掲載されている。

収録作品

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タイトル 初出 英訳
1 めくらやなぎと、眠る女 下記を参照のこと Blind Willow, Sleeping Woman
(Harper's. June, 2002)
2 バースデイ・ガール 『バースデイ・ストーリーズ』
中央公論新社、2002年12月7日)
Birthday Girl
(Harper's. July, 2003)
3 ニューヨーク炭鉱の悲劇 BRUTUS』1981年3月号 New York Mining Disaster
(The New Yorker. January 11, 1999)
4 飛行機―あるいは彼はいかにして詩を
読むようにひとりごとを言ったか
『NADIR』1987年秋号
ユリイカ臨時増刊 村上春樹の世界』1989年6月号
Aeroplane: Or, How He Talked to Himself as If Reciting Poetry
(The New Yorker. July 1, 2002)
5 『トレフル』1983年2月号 The Mirror
(The Yale Review. July, 2006)
6 我らの時代のフォークロア
―高度資本主義前史
SWITCH』1989年10月号 A Folklore for My Generation: A Pre-History of Late-Stage Capitalism
7 ハンティング・ナイフ IN★POCKET』1984年12月号 Hunting Knife
(The New Yorker. November 17, 2003)
8 カンガルー日和 『トレフル』1981年10月号 A Perfect Day for Kangaroos
9 かいつぶり 『トレフル』1981年9月号 Dabchick
(McSweeney's. Late winter, 2000)
10 人喰い猫 『村上春樹全作品 1979~1989』第8巻
(講談社、1991年7月)
Man-Eating Cats
(The New Yorker. December 4, 2000)
11 貧乏な叔母さんの話 新潮』1980年12月号 A "Poor Aunt" Story
(The New Yorker. December 3, 2001)
12 嘔吐1979 『IN★POCKET』1984年10月号 Nausea 1979
13 七番目の男 文藝春秋』1996年2月号 The Seventh Man
(Granta. March, 1998)
14 スパゲティーの年に 『トレフル』1981年5月号 The Year of Spaghetti
(The New Yorker. November 21, 2005)
15 トニー滝谷 『文藝春秋』1990年6月号 Tony Takitani
(The New Yorker. April 15, 2002)
16 とんがり焼の盛衰 『トレフル』1983年3月号 The Rise and Fall of Sharpie Cakes
17 氷男 『文學界』1991年4月臨時増刊号『村上春樹ブック』 The Ice Man
(The New Yorker. February 10, 2003)
18 日本語初出 Crabs
(Stories Magazine. April, 2003)
19 中央公論』1983年1月号 Firefly
20 偶然の旅人 『新潮』2005年3月号 Chance Traveler
(Harper's. July, 2005)
21 ハナレイ・ベイ 『新潮』2005年4月号 Hanalei Bay
(The Guardian. April 15, 2006)
22 どこであれそれが見つかりそうな場所で 『新潮』2005年5月号 Where I'm Likely to Find It
(The New Yorker. May 2, 2005)
23 日々移動する腎臓のかたちをした石 『新潮』2005年6月号 The Kidney-Shaped Stone That Moves Every Day
(The New Yorker. September 26, 2005)
24 品川猿 東京奇譚集』(新潮社、2005年9月16日) A Shinagawa Monkey
(The New Yorker. February 13, 2006)
1. 「めくらやなぎと、眠る女」は 『文學界』1983年12月号にまず掲載される。1984年7月刊行の短編集『螢・納屋を焼く・その他の短編』(新潮社)に収められ。その後90年代半ばに大幅に短縮されたバージョンが発表された。本書に収められたのはそのショート・バージョンである。
4. 「飛行機―あるいは彼はいかにして詩を読むようにひとりごとを言ったか」は『NADIR』1987年秋号にまず掲載され、その後加筆がなされ、『ユリイカ臨時増刊』に掲載された。
6. 「我らの時代のフォークロア―高度資本主義前史」の英訳版は2種類存在する。短編小説集『Blind Willow, Sleeping Woman』に収められた「A Folklore for My Generation: A Pre-History of Late-Stage Capitalism」はフィリップ・ガブリエルが翻訳したものだが、アルフレッド・バーンバウムも翻訳している。バーンバウム版のタイトルは「The Folklore of Our Times」と言い、『The New Yorker』2003年6月9日号に掲載された。
7. 「ハンティング・ナイフ」は、英訳に際して村上は大幅な書き直しをおこなった。よって、本書に収録されたものはオリジナル版とは大きく異なっている。
17. 「氷男」の英訳版は2種類存在する。『ザ・ニューヨーカー』に掲載されたものはリチャード・L・ピーターソンが翻訳した。本短編集に収録されたものはフィリップ・ガブリエルが翻訳した。
18. 「蟹」は、『回転木馬のデッド・ヒート』(講談社)に収められた「野球場」の中で登場人物の一人が書いていた小説を作品化したものである[2]

翻訳

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上記24編のうち、短編集『東京奇譚集』に収められている5編のみ訳出したロシア語版、韓国語版、中国語版、タイ語版については、「東京奇譚集#翻訳」を参照のこと。

翻訳言語 翻訳者 発行日 発行元
英語 フィリップ・ガブリエル (14編)
ジェイ・ルービン (10編)
2006年7月 Harvill Press(英国)
Knopf(米国)
フランス語 Hélène Morita 2008年9月4日 Belfond
ドイツ語 Ursula Gräfe 2006年 DuMont
イタリア語 Antonietta Pastore 2010年12月2日 Einaudi
スペイン語 Lourdes Porta 2008年2月 Tusquets Editores
カタルーニャ語 Albert Nolla Cabellos 2008年 Editorial Empúries
ポルトガル語 Maria João Lourenço 2008年3月 Casa das Letras
オランダ語 Elbrich Fennema 2009年7月 Atlas
ノルウェー語 Ika Kaminka, Magne Tørring 2009年 Pax forlag
ポーランド語 Anna Zielińska-Elliott 2008年 Wydawnictwo MUZA SA
ルーマニア語 Silvia Cercheaza 2007年 Polirom
ヘブライ語 Einat Cooper 2009年

映像化

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2022年に村上の「かえるくん、東京を救う」、「バースデイ・ガール」、「かいつぶり」、「ねじまき鳥と火曜日の女たち」、「UFOが釧路に降りる」、「めくらやなぎと、眠る女」を翻案したアニメ映画『Saules Aveugles, Femme Endormie(邦題・めくらやなぎと眠る女)』(監督・ピエール・フォルデス、2022/109分/フランス、ルクセンブルク、カナダ、オランダ合作)が制作された[3]

脚注

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関連項目

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