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スーパーボウルはアメリカで最も人気のあるプロスポーツリーグの優勝決定戦であり、同国のテレビ番組で年間視聴率No.1を記録し続けている。アメリカのテレビ史においても、歴代視聴者数トップ10の番組の中でスーパーボウルが9つを占めている<ref>[http://www.buddytv.com/articles/new-girl/super-bowl-xlviii-is-the-most--52499.aspx Super Bowl XLVIII Is the Most-Watched U.S. Broadcast Ever] ''buddytv.com'' 2014年2月5日閲覧。</ref>。[[エーシーニールセン]]調べによるテレビ中継の視聴率は1991年以降25年連続で40%を超えている。第49回大会(2015年)ではアメリカのテレビ史上の最多視聴者数を更新した。第50回大会(2016年)では、視聴率が46.6%、視聴者数が1億1190万人であった<ref>[http://www.nielsen.com/us/en/insights/news/2016/super-bowl-50-draws-111-9-million-tv-viewers-and-16-9-million-tweets.html Super Bowl 50 Draws 111.9 Million TV Viewers, 16.9 Million Tweets]Nielsen com 2016年2月14日閲覧。</ref>。また、部分的に観戦した人を含めた視聴者数は約1億6700万人と推定されている<ref>[http://money.cnn.com/2016/02/08/media/super-bowl-50-ratings/ Super Bowl 50 audience is third largest in TV history]CNN.com 2016年2月14日閲覧。</ref>。 |
スーパーボウルはアメリカで最も人気のあるプロスポーツリーグの優勝決定戦であり、同国のテレビ番組で年間視聴率No.1を記録し続けている。アメリカのテレビ史においても、歴代視聴者数トップ10の番組の中でスーパーボウルが9つを占めている<ref>[http://www.buddytv.com/articles/new-girl/super-bowl-xlviii-is-the-most--52499.aspx Super Bowl XLVIII Is the Most-Watched U.S. Broadcast Ever] ''buddytv.com'' 2014年2月5日閲覧。</ref>。[[エーシーニールセン]]調べによるテレビ中継の視聴率は1991年以降25年連続で40%を超えている。第49回大会(2015年)ではアメリカのテレビ史上の最多視聴者数を更新した。第50回大会(2016年)では、視聴率が46.6%、視聴者数が1億1190万人であった<ref>[http://www.nielsen.com/us/en/insights/news/2016/super-bowl-50-draws-111-9-million-tv-viewers-and-16-9-million-tweets.html Super Bowl 50 Draws 111.9 Million TV Viewers, 16.9 Million Tweets]Nielsen com 2016年2月14日閲覧。</ref>。また、部分的に観戦した人を含めた視聴者数は約1億6700万人と推定されている<ref>[http://money.cnn.com/2016/02/08/media/super-bowl-50-ratings/ Super Bowl 50 audience is third largest in TV history]CNN.com 2016年2月14日閲覧。</ref>。 |
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このため、テレビ中継に流される[[コマーシャルメッセージ|CM]]枠の価格は世界で最も高価で、大手企業の大金を惜しみなくつぎ込んだコマーシャルが見られることでも知られている。2013年の時点で、CM枠の価格は30秒枠で平均380万ドルといわれる<ref>[http://www.asahi.com/culture/reuters/RTR201302010109.html スーパーボウルCM枠は平均3.5億円、「視聴者参加型」も] ''朝日新聞'' 2013年2月6日閲覧。</ref>。このCM枠は初期の時代には一般のTVCMとほぼ変わらない内容のものが流されてきたが、スーパーボウル専用のCMで全米に大きな影響を及ぼした例としては、1974年の[[第8回スーパーボウル]]における{{仮リンク|マスター・ロック|en|Master Lock}}の「''Tough Under Fire''」<ref>{{YouTube|HvOhO8f0wc|Great Super Bowl Ad - Shot Lock from Master Lock}}</ref><ref>自社の[[南京錠]]を{{仮リンク|7.62mm口径|en|7.62 mm caliber}}の[[ボルトアクション方式|ボルトアクション]][[狙撃銃]]で撃ち抜かせるという内容であるが、このCMが[[銃社会]]の米国で得られた反響は極めて大きく、同社がその後も「銃撃に耐える自社製品」という構図のCMを年間広告費の全てを投じてスーパーボウル枠のみに提供し続けた一方で、銃器メーカーの{{仮リンク|ウェザビー|en|Weatherby}}は、[[マグナム弾]]仕様の{{仮リンク|ウェザビー・マークV|en|Weatherby Mark V}}の射撃でマスター・ロック社製南京錠を粉々に破壊する内容の対抗CM「{{YouTube|7EGufcEje6U|Sorry Masterlock, but it's a Weatherby}}」を製作する波及効果すら生み出した。</ref>、[[1980年]]の[[第14回スーパーボウル]]にて[[コカ・コーラ]]が放映した{{仮リンク|ジョー・グリーン (アメリカン・フットボール)|en|Joe Greene (American football)|label=ジョー・グリーン}}主演の「''{{仮リンク|Hey Kid, Catch!|en|Hey Kid, Catch!}}''」<ref>{{YouTube|FmbHkR-9PZs|Coca-Cola 1979 Commercial "Hey, kid, catch!" long version}}</ref>等が挙げられる。その後、[[ |
このため、テレビ中継に流される[[コマーシャルメッセージ|CM]]枠の価格は世界で最も高価で、大手企業の大金を惜しみなくつぎ込んだコマーシャルが見られることでも知られている。2013年の時点で、CM枠の価格は30秒枠で平均380万ドルといわれる<ref>[http://www.asahi.com/culture/reuters/RTR201302010109.html スーパーボウルCM枠は平均3.5億円、「視聴者参加型」も] ''朝日新聞'' 2013年2月6日閲覧。</ref>。このCM枠は初期の時代には一般のTVCMとほぼ変わらない内容のものが流されてきたが、スーパーボウル専用のCMで全米に大きな影響を及ぼした例としては、1974年の[[第8回スーパーボウル]]における{{仮リンク|マスター・ロック|en|Master Lock}}の「''Tough Under Fire''」<ref>{{YouTube|HvOhO8f0wc|Great Super Bowl Ad - Shot Lock from Master Lock}}</ref><ref>自社の[[南京錠]]を{{仮リンク|7.62mm口径|en|7.62 mm caliber}}の[[ボルトアクション方式|ボルトアクション]][[狙撃銃]]で撃ち抜かせるという内容であるが、このCMが[[銃社会]]の米国で得られた反響は極めて大きく、同社がその後も「銃撃に耐える自社製品」という構図のCMを年間広告費の全てを投じてスーパーボウル枠のみに提供し続けた一方で、銃器メーカーの{{仮リンク|ウェザビー|en|Weatherby}}は、[[マグナム弾]]仕様の{{仮リンク|ウェザビー・マークV|en|Weatherby Mark V}}の射撃でマスター・ロック社製南京錠を粉々に破壊する内容の対抗CM「{{YouTube|7EGufcEje6U|Sorry Masterlock, but it's a Weatherby}}」を製作する波及効果すら生み出した。</ref>、[[1980年]]の[[第14回スーパーボウル]]にて[[コカ・コーラ]]が放映した{{仮リンク|ジョー・グリーン (アメリカン・フットボール)|en|Joe Greene (American football)|label=ジョー・グリーン}}主演の「''{{仮リンク|Hey Kid, Catch!|en|Hey Kid, Catch!}}''」<ref>{{YouTube|FmbHkR-9PZs|Coca-Cola 1979 Commercial "Hey, kid, catch!" long version}}</ref>等が挙げられる。その後、[[Apple|Apple Computer]]が[[1984年]]の[[第18回スーパーボウル]]で[[Macintosh|マッキントッシュ]]の発売告知のコマーシャル「''[[1984 (広告)|1984]]''」<ref>{{YouTube|VtvjbmoDx-I|1984 Apple's Macintosh Commercial (HD)}}</ref>を放映し一躍名を知られるようになったことで、その流れが決定的な物となった。また、中継終了後には[[ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート]]([[フロリダ州]])のCMが1987年の[[第21回スーパーボウル]]から毎年放映されており、CMに勝利チームの主力選手が登場するのが恒例となっている<ref>{{Cite web|title=恒例のスーパーボウル勝者パレード、新型コロナで中止に 米ディズニー・ワールド|url=https://www.cnn.co.jp/showbiz/35166175.html|website=CNN.co.jp|accessdate=2021-02-08|publisher=|date=2021-02-07}}</ref>。しかし、このCM枠は消費者に与える影響が良くも悪くも余りに巨大<ref>「Hey Kid, Catch!」や「1984」は、提供元企業の好感度や知名度を大きく向上させた一方で、その企業の将来に渡る行動理念や、消費者がその企業に求める理想像をも固定化させてしまう程の影響をもたらした。</ref>な事から、一般のCM以上に演出の起伏が極端な映像が流される要因ともなっている。 |
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2000年代以降における米国内のTVCMでは、映像に占める[[ユーモア]]の割合が平均で2割程度なのに対して、スーパーボウル枠専用のCMではその割合が5割以上にも達し、年間CMのトップ10に挙げられる物が多い一方でワースト10に同時に入るものも数多く見られる。広告解析の専門企業である{{仮リンク|エース・メトリクス|en|Ace Metrix}}の[[CEO]]、ピーター・ダボールによると、「広告において最悪の事態は、それが視聴者の怒りを買う結果を招く事ではなく、誰の関心も誘わない事である。好意でも嫌悪でもない中立は、広告にとって死に等しい。」としており、結果として人によっては不快に感じるかも知れないが、[[ボイコット|不買行動]]を含む極度の[[憎悪]]を招くまでは至らない技法として、[[ユーモア]]の要素が過度に注ぎ込まれる事になっているという。それでも、近年では企業は[[炎上 (ネット用語)|炎上]]などのマイナスの波及効果が発生する事を恐れて、映像表現は次第に控えめになってきているとされている<ref>[http://fortune.com/2016/02/07/super-bowl-ads-spend-millions/ Here’s Why Companies Spend Millions On Super Bowl Ads] - [[フォーチュン (雑誌)|fortune.com]]、2016年2月7日。</ref>。 |
2000年代以降における米国内のTVCMでは、映像に占める[[ユーモア]]の割合が平均で2割程度なのに対して、スーパーボウル枠専用のCMではその割合が5割以上にも達し、年間CMのトップ10に挙げられる物が多い一方でワースト10に同時に入るものも数多く見られる。広告解析の専門企業である{{仮リンク|エース・メトリクス|en|Ace Metrix}}の[[CEO]]、ピーター・ダボールによると、「広告において最悪の事態は、それが視聴者の怒りを買う結果を招く事ではなく、誰の関心も誘わない事である。好意でも嫌悪でもない中立は、広告にとって死に等しい。」としており、結果として人によっては不快に感じるかも知れないが、[[ボイコット|不買行動]]を含む極度の[[憎悪]]を招くまでは至らない技法として、[[ユーモア]]の要素が過度に注ぎ込まれる事になっているという。それでも、近年では企業は[[炎上 (ネット用語)|炎上]]などのマイナスの波及効果が発生する事を恐れて、映像表現は次第に控えめになってきているとされている<ref>[http://fortune.com/2016/02/07/super-bowl-ads-spend-millions/ Here’s Why Companies Spend Millions On Super Bowl Ads] - [[フォーチュン (雑誌)|fortune.com]]、2016年2月7日。</ref>。 |
2021年5月20日 (木) 10:20時点における版
今シーズンの大会: 第55回スーパーボウル | |
優勝チームに与えられる 「ヴィンス・ロンバルディ・トロフィー」 | |
競技 | アメリカンフットボール |
---|---|
開始年 | 1967年 |
主催 | ナショナル・フットボール・リーグ(NFL) |
開催期間 | 2月上旬の日曜日 |
加盟国 | アメリカ合衆国 |
参加チーム | 2 |
初代優勝 | グリーンベイ・パッカーズ |
前回優勝 | タンパベイ・バッカニアーズ |
最多優勝 | ピッツバーグ・スティーラーズ、ニューイングランド・ペイトリオッツ(6回) |
公式サイト | |
www |
スーパーボウル (英語: Super Bowl) は、NFLの優勝決定戦。アメリカンフットボールの最高の大会であり、アメリカ最大のスポーツイベントである。NFLの2つのカンファレンス、アメリカン・フットボール・カンファレンス (AFC) とナショナル・フットボール・カンファレンス (NFC) の優勝チームの間で争われる。
毎年2月上旬の日曜日に開催されており、スーパーボウル当日はスーパーボウルサンデー (Super Bowl Sunday)またはスーパーサンデーと呼ばれ、事実上アメリカの祝日となっており[1][2]、年間で感謝祭に次いで2番目に食糧が多く消費されることでも知られる[3]。200以上の国と地域でテレビ中継されており[4]、特にアメリカでは毎年テレビ番組で年間最高視聴率を記録するなど、極めて注目度の高いコンテンツになっている。
概説
1960年に誕生したアメリカン・フットボール・リーグ (AFL)が数年でNFLを脅かすライバルリーグに成長したことを受けて、1966年6月にNFLコミッショナーのピート・ロゼールとAFL創設者でカンザスシティ・チーフスオーナーのラマー・ハントとの間で会談がおこなわれ、両リーグの合併が合意に達した。それに伴い、リーグが統合されるまでの間、MLBのワールドシリーズに範をとり、AFLとNFLの優勝チームがシーズン終了後に対戦することも決定。1967年1月15日に第1回が行われた。そして1970年に両リーグが統合。第5回からは旧NFLチームが主に所属するNFCの代表と、旧AFLチームが主に所属するAFCの代表が対戦する形となって今に至っている。
スーパーボウルの名付け親はラマー・ハントとされる。第1回当時の正式名称は「AFL-NFLワールドチャンピオンシップゲーム」であった。ハントは彼の子供たちが当時流行していた玩具のスーパーボールで遊んでいるのを見て、これとカレッジフットボールでポストシーズンに行われている「ボウル・ゲーム」の語を組み合わせた「スーパーボウル」という名称を考案し、大会名称を決定する会議で提案した。これに対しロゼールは「スーパー」という単語がくだけすぎていると難色を示したといわれている[5]。しかし、「スーパーボウル」の方が世間に定着したことから、第3回からは正式名称となり、第2回までも遡ってスーパーボウルと呼ばれるようになった。
スーパーボウルに優勝したチームには、ティファニー社製のヴィンス・ロンバルディ・トロフィーと呼ばれるトロフィーが与えられる。名を冠されているヴィンス・ロンバルディはグリーンベイ・パッカーズの名コーチとして知られ、第1回と第2回のスーパーボウルを連覇している。また、優勝チームのメンバーにはスーパーボウル・リングと呼ばれるチャンピオンリングが与えられる。この指輪をもつことはNFL選手にとって最高の名誉である。スーパーボウルの優勝回数が最も多いのはピッツバーグ・スティーラーズとニューイングランド・ペイトリオッツの6回、出場回数が最も多いのはニューイングランド・ペイトリオッツの11回である。
1980年代までは、一方的な試合内容になることも多かったが、サラリーキャップ制度やウェーバー方式のドラフト制度も功を奏し、1990年代以降は、試合終了間際まで勝利の行方が分からない試合が増えた。
スーパーボウル優勝チームはホワイトハウスに招待されることが慣例となっている。ただし第20回に優勝したシカゴ・ベアーズはその2日後にチャレンジャー号爆発事故が起きたため、ホワイトハウス訪問が実現しなかった[6]。また第45回に優勝したグリーンベイ・パッカーズのデズモンド・ビショップはIDを忘れたため中に入ることができなかった[7]。
世界一の経済大国であるアメリカ最大の祭典であることから、経済規模が非常に大きい。例えば、第47回の再販の観戦チケット代は平均3278ドルであり、特別室での観戦では31万5000ドルとマンションの購入金額に匹敵する価格水準である[8]。CM枠が世界一高額なことで知られており、テレビ局の広告収入は2億2000万ドルを超えたと試算されている[9]。経済誌『フォーブス』の2015年の発表によると、スーパーボウルのブランド価値は5億8000万ドルであり、1日あたりのそれであれば夏季オリンピックやFIFAワールドカップなどを凌ぐ[10]。
開催地
その名にふさわしく、収容人員6万人以上のスタジアムしか使用しないという規定が存在する。しかし、レギュラーシーズンでもチームによってはチケットの入手が難しいNFLだけに、スーパーボウルのチケットは、さらに入手困難である。チケットは一般販売されず、出場チームそれぞれに20%程度、開催するスタジアムのある州を本拠とするチームにあわせて10%程度、全チームに1%程度分配する。残りをリーグが取引先、代理店、スポンサーに販売する形を取っている。分配を受けたチームもまず一般販売をせず、スポンサーやシーズン・チケット購入者に優先して販売する。このような入手困難性もあり、クルーザーや別荘使用権と交換を依頼する人がいたり、抽選当選の通知が指名手配犯をおびき出す為の囮に使われた事などもある。
また、スーパーボウルは中継する各国のテレビクルーや報道機関、観客にとどまらず、その雰囲気を味わおうとする観光客やアメリカンフットボール・ファンも訪れ、開催都市には莫大な経済効果をもたらすと言われ、多くの都市が開催を希望する。開催地はオーナー会議によって、数年前に決定する。
開催立候補する都市には、前述のスタジアムの収容人数のほか、それだけの観光客を受け入れられる宿泊施設、交通網などの施設が整っていることが求められ、そのため観光地や大都市圏が選ばれることが多い(これまでの最小規模はジャクソンビル都市圏の人口約135万人)。そして、毎年2月の第1日曜日に開催するため、2月の平均気温が10度以上の温暖な気候地帯であるか、風雪に耐えられるドーム球場があるという条件も満たす必要がある[11]。そのため、フロリダ州、カリフォルニア州、アリゾナ州といったある程度温暖な地域やニューオーリンズ、アトランタ、ミネアポリス、デトロイトといったドーム球場を持つ都市などに開催地が偏ってしまうという事が難点として挙げられる。特に寒冷地で開催される場合、ドーム球場がすでにあるか、開催までに建設されることが絶対条件とされてきた。実際、第44回はニューヨーク、第49回はカンザスシティでそれぞれ開催予定だったが、前者はニューヨーク・ジェッツのドーム球場新設、後者はカンザスシティ・チーフスの本拠地アローヘッド・スタジアムの改修が白紙になったためにいずれも撤回され別の開催地に変更されている。しかし第48回の開催地はニューヨーク近郊のニュージャージー州イーストラザフォードに建設されたメットライフ・スタジアムとなった。同スタジアム周辺の2月の平均気温は-4℃近くという寒冷地であり、過去の例から考えると極めて異例の決定となった[12]。実際多くのNFL関係者が「寒冷地での開催は一度きりの例外」と語っている[13]。
スーパーボウルの呪い
長年スーパーボウル開催のスタジアムを本拠とするチームはそのシーズンのスーパーボウルに出場したことがなく、このことは、スーパーボウルの有名なジンクスとなっていた。2019年シーズンまでにマイアミ・ドルフィンズは11回、ニューオーリンズ・セインツは10回ホームスタジアムが開催地となったものの[14]、1度も本拠地開催のスーパーボウルに進出できていない[15]。なお、カリフォルニア州パサデナにあるローズボウルで開催された第11回、第14回のスーパーボウルにオークランド・レイダース、ロサンゼルス・ラムズがそれぞれ出場したが、いずれもオークランド、ロサンゼルスをフランチャイズとするチームではあるが、ローズボウルは本拠地ではない。第19回にはサンフランシスコ・フォーティナイナーズが、隣接市にあるスタンフォード・スタジアムでのスーパーボウルに出場したが、これも同様である。第48回は、当時NFLで唯一、2つのチームが本拠地とするメットライフ・スタジアムで開催されることになったことでジンクスが破られる可能性が例年より高まったが、ニューヨーク・ジャイアンツ、ニューヨーク・ジェッツともにプレーオフにすら進出できなかった。2017年シーズン、ミネソタ・バイキングスがスーパーボウル開催地をホームとするチームとしては過去最高のレギュラーシーズンの戦績13勝3敗を記録し、NFC第2シードを手にした。しかし、そのバイキングスもNFCチャンピオンシップでフィラデルフィア・イーグルスに敗れてしまい、スーパーボウルに進出することはできなかった。しかし、2020年シーズンにNFC第5シードから勝ち上がったタンパベイ・バッカニアーズがNFCチャンピオンシップでグリーンベイ・パッカーズを破り、本拠地であるレイモンド・ジェームス・スタジアムでの第55回への進出を決めたことでこのジンクスが破られることになり、タンパベイはこの大会を優勝で飾っている。
ハーフタイムショー
大会 | 主な演者 |
---|---|
第25回(1991年) | ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック |
第26回(1992年) | グロリア・エステファン |
第27回(1993年) | マイケル・ジャクソン |
第28回(1994年) | クリント・ブラック |
第29回(1995年) | パティ・ラベル |
第30回(1996年) | ダイアナ・ロス |
第31回(1997年) | ブルース・ブラザーズ |
第32回(1998年) | ボーイズIIメン |
第33回(1999年) | グロリア・エステファン スティーヴィー・ワンダー |
第34回(2000年) | フィル・コリンズ |
第35回(2001年) | エアロスミス |
第36回(2002年) | U2 |
第37回(2003年) | シャナイア・トゥエイン |
第38回(2004年) | ジャネット・ジャクソン |
第39回(2005年) | ポール・マッカートニー |
第40回(2006年) | ローリング・ストーンズ |
第41回(2007年) | プリンス |
第42回(2008年) | トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ |
第43回(2009年) | ブルース・スプリングスティーン |
第44回(2010年) | ザ・フー |
第45回(2011年) | ブラック・アイド・ピーズ |
第46回(2012年) | マドンナ |
第47回(2013年) | ビヨンセ |
第48回(2014年) | ブルーノ・マーズ |
第49回(2015年) | ケイティ・ペリー |
第50回(2016年) | コールドプレイ |
第51回(2017年) | レディー・ガガ |
第52回(2018年) | ジャスティン・ティンバーレイク |
第53回(2019年) | マルーン5 |
第54回(2020年) | ジェニファー・ロペス、シャキーラ |
第55回(2021年) | ザ・ウィークエンド |
前半と後半の間に行われるハーフタイムショーに代表されるエンターテインメントも有名であり、特に1993年のマイケル・ジャクソン以降は、毎回有名歌手等によるミニコンサートが開催されるほか、試合前の国歌独唱にも多くの有名歌手が起用されている。2005年のハーフタイムショーを任されたポール・マッカートニーが「スーパーボウルでライブを頼まれるほど名誉なことはない。」と声明を発表するなど[16]、世界的アーティストにとっても非常に権威のある舞台となっている。
ハーフタイムショー自体はスーパーボウル創設当初から行われていたが、1980年代まではカントリーミュージシャン等の出演者が多く「ハーフタイムショーに入ると視聴率が10%近く落ちる」という問題を抱えていた。これを改善したいNFLサイドがマイケル・ジャクソンに出演を依頼、マイケル側も当初は難色を示したものの、スーパーボウルが世界中で中継される上に世界各地に駐留しているアメリカ軍関係者にライブで見てもらえることが決め手となり最終的に出演を承諾したという。結果的に前半戦の視聴率よりもマイケルのハーフタイムショーの方が高く、大成功を収めた。出演後、マイケルにギャラを提示したところマイケルは「夢を見るにはお金はかからないよ」とギャランティーを断った。以降、ハーフタイムショーに出演するアーティストはノーギャラ(交通費・宿泊費等の経費は支払われる。また当該歌手がチャリティー活動等への支援を行っている場合、チャリティーを実施する財団・基金等へ寄付を行う場合はある)であり、また出演することは「成功の証」となっている[17]。
最近では何らかの放送事故が起き、それにより賠償騒ぎが起こる例がある(2004年のジャネット・ジャクソンの胸露出、2012年のM.I.A.の不適切なジェスチャーなど)。そのため、生放送での放送事故を防ぐため、遅延送出システムにより数秒間遅れで放送されることとなっている。
ハーフタイムショーに関しては、「ハーフタイムに視聴者が一斉にトイレを使うことで上下水道に一気に負荷がかかり、水道管破裂等の問題が起きるのを防ぐために行われている」という都市伝説まで存在する[18]。「1984年にソルトレイクシティで実際に水道管が破裂した」と具体的に都市名まで挙げられることもあるが、水道管が破裂したのは事実なものの、スーパーボウルと水道管破裂の間に因果関係はないという[19]。ただ2007年にはマイアミ市で、市当局が住民にハーフタイム中のトイレの使用を控えるよう呼びかけた事例も起きており[20]、一部の都市では実際にリスクを抱えている。
対テロ対策
大規模なイベントのためテロリストによるテロリズムの標的となる確率が高い。 2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件以降、特に厳重な対策がとられており、約60の機関が協力し、地上にある対策本部に集まっている。監視は地上・上空および海上で行われている。[21]
中継放送
テレビ
NFL | スーパーボウル | 47.5 % | [22] |
大学アメリカンフットボール | カレッジフットボール・プレーオフ決勝戦 | 18.6 % | [22] |
大学バスケットボール | NCAA男子バスケットボールトーナメント決勝戦 | 16.0 % | [22] |
NBA | NBAファイナル第6戦 | 13.4 % | [22] |
女子サッカー | FIFA女子ワールドカップ決勝戦 | 12.9 % | [23] |
MLB | ワールドシリーズ第5戦 | 10.0 % | [22] |
NHL | スタンレーカップファイナル第6戦 | 4.4 % | [22] |
スーパーボウルの放映はアメリカ4大ネットワークのうちNFLの放映権を持つネットワークが持ち回りで放映権を獲得して生中継する。
スーパーボウルはアメリカで最も人気のあるプロスポーツリーグの優勝決定戦であり、同国のテレビ番組で年間視聴率No.1を記録し続けている。アメリカのテレビ史においても、歴代視聴者数トップ10の番組の中でスーパーボウルが9つを占めている[24]。エーシーニールセン調べによるテレビ中継の視聴率は1991年以降25年連続で40%を超えている。第49回大会(2015年)ではアメリカのテレビ史上の最多視聴者数を更新した。第50回大会(2016年)では、視聴率が46.6%、視聴者数が1億1190万人であった[25]。また、部分的に観戦した人を含めた視聴者数は約1億6700万人と推定されている[26]。
このため、テレビ中継に流されるCM枠の価格は世界で最も高価で、大手企業の大金を惜しみなくつぎ込んだコマーシャルが見られることでも知られている。2013年の時点で、CM枠の価格は30秒枠で平均380万ドルといわれる[27]。このCM枠は初期の時代には一般のTVCMとほぼ変わらない内容のものが流されてきたが、スーパーボウル専用のCMで全米に大きな影響を及ぼした例としては、1974年の第8回スーパーボウルにおけるマスター・ロックの「Tough Under Fire」[28][29]、1980年の第14回スーパーボウルにてコカ・コーラが放映したジョー・グリーン主演の「Hey Kid, Catch!」[30]等が挙げられる。その後、Apple Computerが1984年の第18回スーパーボウルでマッキントッシュの発売告知のコマーシャル「1984」[31]を放映し一躍名を知られるようになったことで、その流れが決定的な物となった。また、中継終了後にはウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート(フロリダ州)のCMが1987年の第21回スーパーボウルから毎年放映されており、CMに勝利チームの主力選手が登場するのが恒例となっている[32]。しかし、このCM枠は消費者に与える影響が良くも悪くも余りに巨大[33]な事から、一般のCM以上に演出の起伏が極端な映像が流される要因ともなっている。
2000年代以降における米国内のTVCMでは、映像に占めるユーモアの割合が平均で2割程度なのに対して、スーパーボウル枠専用のCMではその割合が5割以上にも達し、年間CMのトップ10に挙げられる物が多い一方でワースト10に同時に入るものも数多く見られる。広告解析の専門企業であるエース・メトリクスのCEO、ピーター・ダボールによると、「広告において最悪の事態は、それが視聴者の怒りを買う結果を招く事ではなく、誰の関心も誘わない事である。好意でも嫌悪でもない中立は、広告にとって死に等しい。」としており、結果として人によっては不快に感じるかも知れないが、不買行動を含む極度の憎悪を招くまでは至らない技法として、ユーモアの要素が過度に注ぎ込まれる事になっているという。それでも、近年では企業は炎上などのマイナスの波及効果が発生する事を恐れて、映像表現は次第に控えめになってきているとされている[34]。
米国外では、世界200以上の国と地域で生中継される。テレビ視聴者数としては世界で二番目多く視聴されている。なお、1位はUEFAチャンピオンズリーグ決勝[35]。カナダ国内ではCTVがアメリカのテレビ局との同時放映。ただしCMは差し替えられる。日本では、当初はTBS系列で、さらに日本テレビ系列で独占生中継していた。衛星放送の普及や視聴率の低下から、2012年以降はNHK BS1と日テレジータスが生中継を行っている(第50回までは、GAORAも録画中継を行っていた)。地上波では日本テレビ系列で日本時間火曜未明・早朝帯(月曜深夜)に2時間に編集した録画中継で放送されていたが、地上波の全国ネット放送は2012年をもって終了し、2013年以降の地上波放送は関東ローカルでの放送となった。2014年の地上波放送は番販ネットにより、関東以外でもごく一部の地域のみでネットされた。
ラジオ
アメリカ国内外の主要ラジオ局で放送する。日本では、2015年にJ-WAVEにより初めてのラジオ中継が行われた。
歴代試合結果
※ 太字 側が優勝チーム
チーム別記録
AFC所属チーム(27勝) | NFC所属チーム(28勝) |
- シーズンの数字が太字のものはスーパーボウル優勝シーズン
- 数字のうしろのアルファベット・記号の意味
- n = 旧NFL所属、N = NFC所属、a = AFL所属、A = AFC所属、† = ワイルドカードからスーパーボウル出場
脚注・出典
- ^ Belkin, Douglas (January 29, 2004). “Super Bowl underscores cultural divide”. The Boston Globe
- ^ “Let's make Super Bowl an official holiday”. 2007年2月4日閲覧。
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- ^ ドルフィンズは旧本拠地のマイアミ・オレンジボウルと現本拠地のハードロック・スタジアム、セインツは旧本拠地のテューレーン・スタジアムと現本拠地のメルセデス・ベンツ・スーパードームでの開催実績を合算。次回開催予定はニューオーリンズは第58回。
- ^ 2019年シーズンまでに、ドルフィンズは5回、セインツは1回スーパーボウルに進出している。
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- ^ Great Super Bowl Ad - Shot Lock from Master Lock - YouTube
- ^ 自社の南京錠を7.62mm口径のボルトアクション狙撃銃で撃ち抜かせるという内容であるが、このCMが銃社会の米国で得られた反響は極めて大きく、同社がその後も「銃撃に耐える自社製品」という構図のCMを年間広告費の全てを投じてスーパーボウル枠のみに提供し続けた一方で、銃器メーカーのウェザビーは、マグナム弾仕様のウェザビー・マークVの射撃でマスター・ロック社製南京錠を粉々に破壊する内容の対抗CM「Sorry Masterlock, but it's a Weatherby - YouTube」を製作する波及効果すら生み出した。
- ^ Coca-Cola 1979 Commercial "Hey, kid, catch!" long version - YouTube
- ^ 1984 Apple's Macintosh Commercial (HD) - YouTube
- ^ “恒例のスーパーボウル勝者パレード、新型コロナで中止に 米ディズニー・ワールド”. CNN.co.jp (2021年2月7日). 2021年2月8日閲覧。
- ^ 「Hey Kid, Catch!」や「1984」は、提供元企業の好感度や知名度を大きく向上させた一方で、その企業の将来に渡る行動理念や、消費者がその企業に求める理想像をも固定化させてしまう程の影響をもたらした。
- ^ Here’s Why Companies Spend Millions On Super Bowl Ads - fortune.com、2016年2月7日。
- ^ Harris, Nick (January 31, 2010). “Elite clubs on Uefa gravy train as Super Bowl knocked off perch”. The Independent (London)
- ^ 1970年にAFLとNFLが合併したとき、旧AFLのチームで構成するAFCに移動編入したため、以降のスーパーボウルではAFC代表として出場。2013年現在、アメリカン/ナショナル両方の代表として出場した唯一のチーム。
- ^ 唯一の敗戦チームからのMVP選出選手。
- ^ 大会史上初のオーバータイム。
関連項目
外部リンク
- Official Site of Super Bowl(英語)
- スーパーボウル - NFL日本語公式サイト『NFL JAPAN.COM』内「観戦ガイド~シーズンカレンダー」より