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「和暦」の版間の差分

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2020年9月23日 (水) 21:57時点における版

和暦(われき)は、元号とそれに続く年数によってを表現する、日本独自の紀年法である。邦暦(ほうれき)や日本暦(にっぽんれき、にほんれき)とも。

この手法自体は東アジアで広く行われてきたが、日本独自の元号を用いているため日本固有の紀年法となる。飛鳥時代孝徳天皇によって西暦645年に制定された「大化」がその始まりであり、以来15世紀に亘って使われ続けてきている。

たとえば、西暦2020年令和2年に当たる。

また暦法について、明治改暦明治6年/西暦1873年)で天保暦に代えてグレゴリオ暦を採用して以降は、についてはグレゴリオ暦と一致している。

概要

最初の元号「大化」が制定された西暦645年(大化の改新)以降に、250の元号が日本で制定されている。ただしこれは、私年号南北朝時代における両朝の元号双方を全て含めた数である。重複のない元号の数は、南朝で141、北朝で149である。

古代には元号が制定されていない期間もあった。現在まで連続するのは、西暦701年大宝からである。また、前述したように南北朝時代には2つの元号が並行して存在していた。

明治以降は、一世一元の詔旧皇室典範元号法により、天皇の皇位を継承する際にのみ改めることが定められているが(一世一元の制)、明治以前は、不吉なことがあったり、病が流行するなどの理由で度々改元された。そのほとんどは1年から長くて十数年の非常に短い期間しか持続しなかった。逆に、新天皇が即位しても、改元しなかったり、日を置いて改元した場合も少なくなかった。

日本の役所等の官公庁が発行する文書、官公庁に提出する書類(公文書)は、慣例により和暦を記載したものが多いが、和暦を記載しなければならないという法的な根拠は存在しない[1][2]。外務省は、国外とやりとりする書類については、原則として西暦を利用する方針を示した[3]。日本国外で主に使うパスポートや、気象観測機器の製造年には西暦が使用されている。新聞などには西暦と和暦が併記されている。

現在の和暦

元号名(読み) 初日年月日 現年数 現在位年月日数 天皇名
令和(れいわ) 令和元年(2019年5月1日 6年 5年6か月と22日 徳仁今上天皇
皇室典範特例法および元号法に基づく、明仁上皇)の退位および徳仁(今上天皇)の即位(譲位による皇位継承)による改元。(キャッシュを破棄

改元による事務作業の難点

  • 改元は年初とは限らず、特に、皇位継承に伴う改元となった大正以降は全て、年の途中で改元される。たとえば1926年の場合、12月24日まで大正15年で、翌25日から昭和元年となった。また1989年1月7日まで昭和64年、1月8日から平成元年となっており、1つの西暦年に2つの元号が混在しているため、事務作業が繁雑になることがある。
  • 未来の年代を正確に表せない。たとえば、昭和50年代には「昭和70年」などとする資料がある[4]。過去に発行された文書に現れる未来の和暦は、改元しても改定されないのが普通なので、現実には同じ日付に対し複数の元号表現がありうる。
  • 立年改元(当年1月1日に遡って改元。例: 明治)や即日改元(当日0時に遡って改元。例: 大正・昭和)の場合、過去に遡って元号が変更される。そのため、遡った期間の日付に対しては、2種類の正しい(あるいは正しかった)和暦表現がありうる。ただし現在の史学では、立年改元は考慮しないのが普通である(明治は1月1日からではなく10月23日からとされる)。
  • 改元ごとに多大な事務作業(公文書における、元号の改訂作業など)が発生する。

その他

  • 時系列に連続した西暦に比べて、過去を正確に表すには元号を全て覚えるか、照合作業が必要である。
  • 1年を「元年」と表記する場合、一貫した処理が難しい。たとえば、数字2桁と漢字1文字が等幅でない環境ではレイアウト設計に問題が出る。
  • 未来の年代を仮に表現する場合、年数が3桁にもなりうるが(#日付・年数表現も参照)[5]、これに気づかず設計されたコンピュータシステムは問題を起こす可能性がある(例:昭和100年問題)。

日付・年数表現

  • 元号の後に年数を続ける。ただし1年は「○○元年」とするのが普通(特に縦書きの場合)。また、横書き固定長の場合、1桁の年数は月数や日数と同様、0または空白を詰めて、(「02年」「 2年」のように)2桁とする。
  • 大化以前および大宝以前の元号の空白期間は、天皇の名を元号の代わりに使うのが慣例である。たとえば、十七条憲法が公布された西暦604年は「推古(天皇)12年」のように表す。
  • 明治以降の元号を表す表現としては、漢字1字の略記(明・大・昭・平・令)や英字1字の略記(M・T・S・H・R)も使われる。これらの略記は JIS X 0301 で規定されている。なお、明治の前の元号は慶応、その前は元治であるが、それらの略記はJISには含まれておらず、期間がごく短いこともあいまって実際に使われることはほぼない。
  • 数十年先の未来の年数表現に元号を用いた場合、(今後の改元などは想定できないことから)3桁以上にもなりうる[5]。たとえば、平成の元号を用いて西暦2100年を表現した場合、平成112年とせざるを得なかった。

西暦から和暦、西暦から和暦への計算

明治以前の元号は対応していない。また、「元年」は1と考える。

元号 和暦→西暦 西暦→和暦
明治 年 - 33 + 1900 西暦下2桁 + 33
大正 年 + 11 + 1900 西暦下2桁 - 11
昭和 年 + 25 + 1900 西暦下2桁 - 25
平成 年 - 12 + 2000 西暦下2桁 + 12
令和 年 + 18 + 2000 西暦下2桁 - 18

コンピュータでの扱い

Microsoft Windowsでは、ロケールに「日本」を選択することで、日付形式に「和暦」を選択できる。

Microsoft Officeなどの書式文字列では、元号は「ggg」、元号での年数は「e」(0詰めなし)か「ee」(2桁に0詰め、ただし3桁以上になりうる)で表される。たとえば、1990年を「平成2年」と表現する書式文字列は「ggge年」である。漢字1文字の略記は「gg」、英字1文字の略記は「g」である。「元年」表現はサポートされていない。

またレジストリーエディターでキー名HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Nls\Calendars\Japanese\Erasに 「値の名前」を「西暦 月 日」(月と日は0埋め)とし、「値のデータ」を「元号_元号の省略_ローマ字表記された元号_ローマ字表記された元号の1文字」を追加すればよい。

和暦・元号を主に採用しているマスコミ

日本で使用された暦・紀元一覧

脚注

  1. ^ 国立国会図書館. “公文書における西暦と元号の使用区分は規定があるのか”. レファレンス協同データベース. 2019年10月5日閲覧。
  2. ^ 契約書の年表記は和暦・西暦どちらにすべきか”. サインのリ・デザイン. 2019年10月5日閲覧。
  3. ^ 【記者会見】河野外務大臣会見記録”. 外務省. 2019年10月5日閲覧。
  4. ^ 横浜市例規より「横浜市一般職職員の定年等に関する条例
  5. ^ a b 日本の将来推計人口(平成24年1月推計)(国立社会保障・人口問題研究所)、参考推計に“平成73(2061)年~平成122(2110)年”とある。

関連項目