「重症急性呼吸器症候群」の版間の差分
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{{redirect3|SARS|2002年から2003年頃に初確認された呼吸器系感染症|原因ウイルス|SARSコロナウイルス}} |
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{{複数の問題 |
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{{otheruseslist|2002年から2003年頃に初確認された呼吸器系感染症|2012年から2013年頃に初確認された感染症|中東呼吸器症候群{{!}}中東呼吸器症候群 (MERS)|2019年から2020年にかけて初確認された感染症|新型コロナウイルス感染症 (2019年){{!}}新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)}} |
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|出典の明記=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC) |
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{{Infobox medical condition |
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|独自研究=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC) |
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|Name = 重症急性呼吸器症候群<br />Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS) |
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|Image = [[file:SARS virion.gif|250px]]<br />[[File:SARS map.svg|250px]] |
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|Caption = [[SARSコロナウイルス]] (SARS coronavirus 1; SARS-CoV-1) はこの感染症の原因病原体である |
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|Field = [[感染症|感染症科]]{{enlink|Infectious disease (medical specialty)}} |
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|DiseasesDB = 32835 |
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|ICD10 = {{ICD10|U|04||u|00}} |
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|ICD9 = {{ICD9|079.82}} |
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|ICDO = |
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|OMIM = |
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|MedlinePlus = 007192 |
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|eMedicineSubj = med |
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|eMedicineTopic = 3662 |
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|MeshID = D045169 |
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}} |
}} |
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'''重症急性呼吸器症候群'''(じゅうしょうきゅうせいこきゅうきしょうこうぐん、{{lang-en|Severe |
'''重症急性呼吸器症候群'''(じゅうしょう きゅうせい こきゅうき しょうこうぐん、{{lang-en-short|Severe acute respiratory syndrome}}; '''SARS'''〈サーズ〉<ref>{{IPAc-en|s|ɑː|z}}{{Cite encyclopedia|author=|date=|year=|title=SARS|encyclopedia=オックスフォード現代英英辞典 (Oxford Advanced Learner's Dictionary)|place=|publisher=[[オックスフォード大学出版局]]|publication-date=2010|series=|id=|isbn=|oclc=|edition=第8版|accessdate=2017-09-24}}</ref>)は、[[SARSコロナウイルス]] (SARS-CoV-1) によって引き起こされる[[ウイルス]]性の[[呼吸器疾患]]である。動物起源の[[人獣共通感染症]]と考えられている。ウイルス特定までは、その症状などから、'''新型肺炎'''(しんがたはいえん)、'''[[非定型肺炎]]'''(ひていけいはいえん、{{lang-en-short|Atypical Pneumonia|links=no}})などの呼称が用いられた{{r|WHO_alert030312}}<ref name="日本医師会_SARS030710">{{Cite web|和書|url=https://www.med.or.jp/kansen/travel_sars.pdf|title=H. 新型肺炎 <重症急性呼吸器症候群:SARS>|accessdate=2017-09-24|format=PDF|date=2003-07-10|publisher=[[日本医師会]]}}</ref>。 |
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2002年11月から2003年7月にかけて、[[中華人民共和国]]南部を中心に起きた[[アウトブレイク]]では、[[広東省]]や[[香港]]を中心に8,096人が感染し、37ヶ国で774人が死亡した([[致命率]]9.6%/[[世界保健機構|WHO]]発表)<ref name="who:table2004_04_21">{{cite web|url=http://www.who.int/csr/sars/country/table2004_04_21/en/index.html|title=Summary of probable SARS cases with onset of illness from 1 November 2002 to 31 July 2003|publisher=[[世界保健機構|World Health Organization]] (WHO) |accessdate=2017-09-21}}</ref><ref>{{cite journal|year=2006|title=Responding to global infectious disease outbreaks, Lessons from SARS on the role of risk perception, communication and management|journal={{仮リンク|Social Science & Medicine|en|Social Science & Medicine}}|volume=63|issue=12|pages=3113-3123|doi=10.1016/j.socscimed.2006.08.004|pmid=16978751|author=Smith, R. D.}}</ref>(なお、世界30ヶ国8,422人が感染、916人が死亡〈致命率11%〉とする報告もある<ref name="標準微生物_p498">{{harvtxt|中込治・神谷茂(編集)|2015|p=498}}(文責:白木公康)</ref>)。<!-- old unsourced figures: "with 9856 known cases of the disease, and 813 deaths (a mortality rate of 9.636%)." -->このアウトブレイク終息後は、封じ込め宣言後いくつかの散発例があったが、現在に至るまで、新規感染報告例は無い<ref name="nhssars">{{cite web |title=SARS (severe acute respiratory syndrome) |url=http://www.nhs.uk/conditions/SARS/Pages/Introduction.aspx|work=NHS Choices|publisher=[[国民保健サービス|National Health Service]] |accessdate=2016-03-08 |location=United Kingdom |date=2014-10-03 |quote=Since 2004, there haven't been any known cases of SARS reported anywhere in the world.}}</ref><ref name="cdc_fs_ja">{{Cite web|和書|url=https://www.cdc.gov/sars/about/downloads/fs-sars-ja.pdf|title=Basic Information about SARS(資料:SARSに関する基本情報)|format=PDF|accessdate=2017-09-24|publisher=[[アメリカ疾病予防管理センター]] (CDC)}}{{ja icon}}</ref>。 |
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[[2002年]]11月([[広州市]]呼吸病研究所は7月と発表)に[[中華人民共和国]][[広東省]]で発生し、[[2003年]]7月に新型肺炎制圧宣言が出されるまでの間に8,069人が感染し、775人が死亡した<ref>[http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou05/03.html 重症急性呼吸器症候群(SARS)関連情報] - 厚生労働省</ref><ref>[http://www.who.int/csr/don/2004_01_05/en/ Laboratory confirmation of a SARS case in southern China - update 2] - WHO</ref>。 |
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現在の症例定義は、「38度以上の[[発熱|高熱]]及び[[咳]]、[[呼吸困難]]、息切れのいずれかの症状」「[[レントゲン]]検査において[[肺炎]]の症状」を呈し、この原因が不明で、ウイルス検査で陽性となった者とされている{{r|外務省海外安全_SARS}}。また[[水様性下痢]]を呈する例も存在する{{r|標準微生物_p499}}。感染経路としては飛沫感染や接触感染が考えられている{{r|標準微生物_p498|cdc_fs_ja}}。 |
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おもな症状は、38{{℃}}以上の発熱、せき、呼吸困難など。病原体は新型の[[コロナウイルス]]であることが判明、'''[[SARSコロナウイルス]]'''と命名された。SARSの感染方法はまだはっきりとはわかっていないが、感染者のせき、または、くしゃみの飛沫を吸引することにより感染するか、あるいは付着した分泌物への接触により感染すると考えられている。各国の保健機関はまた空気感染の可能性も調査している{{要出典|date=2016年7月9日 (土) 02:12 (UTC)}}。 |
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== |
== 兆候と症状 == |
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最初の症状は[[インフルエンザ様疾患|インフルエンザ様]]で、[[発熱]]、[[筋肉痛]]、無気力状態{{enlink|Lethargy}}、[[咳嗽]]、[[咽頭痛]]、その他非特異的症状が見られる。全患者に見られるのは{{convert|38|°C|°F}}以上の発熱だが、始まるまでには2〜7日の潜伏期間が存在する{{r|標準微生物_p498}}。この病気では粘膜病変を伴わず、咳嗽は乾性咳である{{r|標準微生物_p498}}。SARSでは[[呼吸困難]]や[[肺炎]]、またはその両方が見られることがあるが、これは一次的な{{仮リンク|ウイルス性肺炎|en|Viral pneumonia}}、また[[細菌性肺炎]]双方の可能性が考えられる。発熱に伴う肺病変は[[間質性肺炎]]であるが、これにはウイルスが誘導する免疫・[[サイトカイン]]の関与が考えられている{{r|標準微生物_p498}}<ref>{{cite journal|url=http://en.cnki.com.cn/Article_en/CJFDTOTAL-SMKX200303001.htm|title=Role of anti-adhesion immunotherapy in severe acute respiratory syndrome associated acute lung injury|authors=SUN Gui-Zhi, LI Xiao, ZHOU Tong, ZHANG Dong-Qing, DENG Wei-Wu, CHEN Nan |accessdate=2017-09-24|journal=Chinese Bulletin of Life Sciences|date=2003-03}}</ref><ref>{{cite journal|url=http://en.cnki.com.cn/Article_en/CJFDTOTAL-DEJD200308004.htm|title=Production of SARS-related anti-lung autoantibodies|journal=Academic Journal of Second Military Medical University|date=2003-08|authors=CHEN Hao, LI Bo An, ZHAO Jun, HE Wei Ping, ZHENG Yu, LI Jing, GAO Rong, CHENG Yun}}</ref>。[[痰|喀痰]]には10億コピー/mLのウイルスが排出されるとされ、この状態では感染性が非常に高い{{r|標準微生物_p499}}。また[[ウイルス血症]]も起こしうる{{r|標準微生物_p499}}。 |
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{{出典の明記|section=1|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}} |
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{| class="wikitable" style="float:right; margin-left:0.5em; width:20em;" |
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|+[[世界保健機関|WHO]]が2003年7月11日に発表した推定値** |
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!国名!!発症数!!死者!!回復 |
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|align="left"|[[中華人民共和国|中国本土]] *||5327||348||4941 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[香港]] *||1755||299||1433 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[中華民国|台湾]] *||307||47||260 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[カナダ]]||250||38||194 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[シンガポール]]||206||32||172 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[アメリカ合衆国|アメリカ]]||71||0||67 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[ベトナム]]||63||5||58 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[フィリピン]]||14||2||12 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[ドイツ]]||10||0||9 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[モンゴル国|モンゴル]]||9||0||9 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[タイ王国|タイ]]||9||2||7 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[フランス]]||7||1||6 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[マレーシア]]||6||3||3 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[イタリア]]||4||0||4 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[イギリス]]||4||0||4 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[インド]]||3||0||3 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[大韓民国|韓国]]||3||0||3 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[スウェーデン]]||3||0||3 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[インドネシア]]||2||0||2 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[マカオ]] *||1||0||1 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[コロンビア]]||1||0||1 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[フィンランド]]||1||0||1 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[クウェート]]||1||0||1 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[ニュージーランド]]||1||0||1 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[アイルランド]]||1||0||1 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[ルーマニア]]||1||0||1 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[ロシア]]||1||0||0 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[南アフリカ共和国|南アフリカ]]||1||1||0 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[スペイン]]||1||0||1 |
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|- align="right" |
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|align="left"|[[スイス]]||1||0||1 |
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|- align="right" |
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|'''''合計'''''||'''''8069'''''||'''''775'''''||'''''7452''''' |
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|- |
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|colspan="4" style="margin:0;"| |
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<small>(*) 中国本土、マカオ、香港、台湾はWHOにより別々に発表された。<br />(**) [[2003年]][[7月11日]]がWHOの最終報告。{{要検証範囲|合計は台湾、香港、アメリカにより低く修正されている。|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}}<br />(***) 最終的な合計数は発表されていない。</small> |
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|} |
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最重症例では、免疫反応によって、[[サイトカイン放出症候群#サイトカインストーム|サイトカイン・ストーム]]を引き起こすことがある<ref>{{cite journal |last=Dandekar |first=A |last2=Perlman |first2=S |title= Immunopathogenesis of coronavirus infections: implications for SARS |journal=Nat Rev Immunol |year=2005 |volume=5 |pages=917-927 |doi=10.1038/nri1732 |pmid=16322745 |issue=12}}</ref>。 |
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[[2002年]]11月16日に広東省で40代の農協職員が発症した例が最初とみられているが、[[2003年]]5月6日までに報道されたところによると、[[広州市]]呼吸病研究所は最初の患者が7月にさかのぼると発表しているとのこと{{要出典|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}}。 |
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消化管感染も示唆されており、糞便中にウイルスが数多く排出されるほか、10%の症例では水様性[[下痢]]が確認される<ref name="標準微生物_p499">{{harvtxt|中込治・神谷茂(編集)|2015|p=499}}(文責:白木公康)</ref>。 |
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SARSが知られるようになったのは、2003年2月のことである{{要出典|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}}。 |
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== 診断 == |
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中国からの旅行者である[[アメリカ合衆国|アメリカ]]のビジネスマンが[[シンガポール]]へ向かう[[航空機]]の中で[[肺炎]]に似た症状を引き起こした。飛行機は[[ベトナム]]の[[ハノイ]]に着陸したが、ハノイの病院でこの旅行者は死亡した。病院の基本的な処置にもかかわらず、彼の処置に当たった[[医師]]や[[看護師]]が同じ症状を示し、何人かが死亡した。この症候群の病原性と[[医療従事者]]への[[感染]]は世界中の保健当局を恐れさせた。ハノイ在住の[[カルロ・ウルバニ]]はWHOへ報告をおこない、[[2003年]]3月12日、WHOは世界規模の警報を出した{{要出典|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}}。 |
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[[File:SARS xray.jpg|thumb|SARS患者の胸部X線写真(CDC提供)。両肺野に不透明な領域が増え、肺炎を示唆する]] |
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2003年のアウトブレイク時、SARS感染は次のような患者で疑われた<ref name="外務省海外安全_SARS">{{Cite web|和書|url=http://www.anzen.mofa.go.jp/sars/basick.html|title=感染症(SARS・鳥インフルエンザ等)関連情報 - SARS基礎知識|work=[[外務省]] 海外安全ホームページ|accessdate=2017-09-24}}</ref>。 |
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* {{convert|38|°C|°F}}以上の発熱、その他の症状(咳や呼吸困難)を呈している。そして、 |
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* 以下の2条件のどちらかを満たす。 |
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# 10日以内に、SARS診断を受けた人物と濃厚接触している{{efn|介護や同居、キスなどが挙げられており、近くを通り過ぎたり、同じ部屋で短時間過ごすなどでは感染しないとされている{{r|cdc_fs_ja}}。}}。 |
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# [[世界保健機関]] (WHO) の発表で現在流行が起きているとされている地域に、渡航歴がある(2003年5月10日現在では、[[中華人民共和国|中国]]の一部、[[香港]]、[[シンガポール]]、[[カナダ]]・[[オンタリオ州]]{{仮リンク|グリーンストーン (オンタリオ州)|label=ジェラルドトン|en|Greenstone, Ontario}})。 |
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現在の症例定義では、渡航歴は問わず、「38度以上の高熱及び咳、呼吸困難、息切れのいずれかの症状」「レントゲン検査において肺炎の症状」を呈し、この原因が不明で、ウイルス検査で陽性となった者とされている{{r|外務省海外安全_SARS}}。 |
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感染の疑いが濃厚な患者では、胸部X線写真で[[非定型肺炎]]や[[急性呼吸窮迫症候群]]などの症状、またはコロナウイルス検査での陽性所見が見られる{{r|外務省海外安全_SARS|niid_SARS}}。WHOでは、感染の疑いが「濃厚」({{lang-en-short|probable|links=no}})だが胸部X線写真で特徴的な症状が見られず、また[[ELISA (分析法)|ELISA]]や[[免疫蛍光抗体法]]、[[PCR法]]などのテストで陽性となった患者について、"laboratory confirmed SARS" とのカテゴリを設けた<ref>{{cite journal|url=http://wwwnc.cdc.gov/eid/article/10/5/03-0682_article.htm |title=Laboratory Diagnosis of SARS | volume=10 |issue=5 |date=May 2004 |journal=Emerging Infectious Disease Journal |publisher=Centers for Disease Control and Prevention |accessdate=2013-07-14}}</ref>。胸部X線写真については、SARS患者でも像がまちまちであるが、一般的にまだらに浸潤するような不自然な像が見られることが多い<ref>{{cite journal |authors=Lu P, Zhou B, Chen X, Yuan M, Gong X, Yang G, Liu J, Yuan B, Zheng G, Yang G, Wang H |title=Chest X-ray imaging of patients with SARS |journal=Chinese Medical Journal |date=July 2003 |volume=116 |issue=7 |pages=972-5 |pmid=12890364}}</ref>。初期ではX線写真で気道炎症所見を認めない{{r|標準微生物_p498}}。臨床症状は[[インフルエンザ]]や[[マイコプラズマ肺炎]]に類似しており、症状のみでの鑑別は難しい{{r|標準微生物_p499}}。 |
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SARSは、[[トロント]]、[[シンガポール]]、[[ハノイ]]、[[香港]]、[[中華民国|台湾]]、及び中国本土の[[広東省]]、[[山西省]]に広まった。香港での感染源は2月にメトロポールホテルの9階に宿泊した広東省の医師で、[[ホテル]]を訪れた16人に感染させた。それらの旅行者はSARSをシンガポールやトロントに広めた。これがもとで3月頃から世界的な罹患者の広がりをみせたと考えられている{{要出典|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}}。 |
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確定診断にはウイルス分離、核酸検出、[[中和抗体]]の上昇などが決め手となるほか、迅速診断には咽頭ぬぐい液からの[[逆転写ポリメラーゼ連鎖反応|RT-PCR法]]・[[LAMP法]]などが用いられる{{r|標準微生物_p499}}。 |
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[[2003年]]4月3日、日本政府は、SARSを新感染症として取り扱うことを発表。さらに、4月17日、原因が判明したため、SARSを[[指定感染症]]へ切り換える方針を発表した。その後、5月になって、台湾でSARS治療にたずさわっていた26歳の台湾人医師が観光目的で訪日、[[近畿地方]](大阪府内、[[大阪市営地下鉄]]、近鉄都ホテル大阪上本町、[[リーガロイヤルホテル]]大阪、[[大阪城]]など)を観光後、帰国してからSARSを発症していたことが明らかとなり、[[厚生労働省]]がその全旅程と立ち寄り先を発表、それらの施設で消毒をおこなう事態へ発展した{{要出典|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}}。 |
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== 予防 == |
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WHOは2003年7月5日、最後まで[[中華民国|台湾]]に出されていた感染地域指定を解除した。しかし、完全な制圧までにはまだ期間を要するとみられた。また、冬に再流行する可能性が指摘された{{要出典|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}}。 |
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SARSの[[ワクチン]]は研究段階である(→[[#治療]])。治療法は確立していないが、2002年の中華人民共和国でのアウトブレイク時の教訓から、一般的な感染防止策の徹底が[[二次感染]]防止に有用であることが示されている{{r|標準微生物_p499}}。また感染経路としては、飛沫感染と直接・間接的な接触感染が想定されている{{r|標準微生物_p498}}。 |
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SARSコロナウイルスは環境中で安定であり、中国政府対策本部からの発表によれば、紙・木などの環境中で3日間、痰や糞便中で約5日間、血液中で15日間生存するという(従来知られていたコロナウイルスでは、環境中で3時間){{r|標準微生物_p498|page1=表38-18}}。また[[消毒用アルコール]]や[[漂白剤]]、[[界面活性剤]]での消毒で失活する<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou05/06-07-12-01.html|accessdate=2017-09-24|title=SARS患者が利用した旅館・ホテル等について|work=重症急性呼吸器症候群(SARS)関連情報|publisher=[[厚生労働省]]|author=|date=2003-04-07}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://idsc.nih.go.jp/disease/sars/sars03w/index.html|title=SARSに関する消毒(三訂版)|date=2003-12-18|accessdate=2017-09-24|publisher=[[国立感染症研究所]] 感染症情報センター}}</ref>。隔離と[[検疫]]がSARS予防に重要である<ref>{{cite web|url=https://www.cdc.gov/sars/quarantine/fs-isolation.html|title=Fact Sheet on Isolation and Quarantine|accessdate=2017-09-24|publisher=[[アメリカ疾病予防管理センター]]}}</ref>。他にも次のような予防法が存在する。 |
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2003年6月13日現在、WHOがとりまとめたところによると、患者の約9.4%が死亡しており、WHOの推計では致死率は14-15%に達するとみられる{{要出典|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}}。 |
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* 手洗い、うがい |
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* [[接触感染]]を媒介しうる物{{enlink|Fomite}}表面の[[消毒]] |
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* サージカルマスクの着用 |
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* 体液の接触を避ける |
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* SARS感染者の私物を、熱した石鹸水で洗浄する([[フォーク (食器)|フォーク]]・[[スプーン]]類や皿などの食器類、[[寝具]]など)<ref>{{cite web|url=http://www.mayoclinic.com/health/sars/DS00501/DSECTION=prevention|title=SARS: Prevention|date=2011-01-06|publisher=[[メイヨー・クリニック|MayoClinic.com]]|accessdate=2013-07-14}}</ref> |
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* 症状を呈した子供の[[出席停止]]措置 |
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院内感染対策として、[[サージカルマスク]]や使い捨て[[ガウン]]が有効である<ref>{{cite journal|author=Seto WH, et al.|title=Effectiveness of precautions against droplets and contact in prevention of nosocomial transmission of severe acute respiratory syndrome (SARS).|journal=[[ランセット|Lancet]]|year=2003|volume=361|issue=9368|pages=1519-20|doi=10.1016/S0140-6736(03)13168-6|url=http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0140673603131686|accessdate=2017-09-24}}</ref>。 |
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== 治療 == |
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[[ファイル:SARS stat.png|thumb|300px|right|SARSグラフ 2003年3-7月]] |
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[[File:Lung tissue pathology due to SARS - PHIL 3659 lores.jpg|thumb|SARSコロナウイルスに感染した肺組織の写真。[[肺胞]]組織が破壊され、中央に多核巨細胞が出現している]] |
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2003年の世界保健機関の発表: |
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SARSは、[[SARSコロナウイルス]]によるウイルス性疾患であるため、[[抗生物質]]は無効である。先のSARSアウトブレイク時には、この性質を逆手に用い、[[抗菌薬]]が無効であることから[[マイコプラズマ肺炎]]を否定し、その上で[[間質性肺炎]]・[[肺線維症]]を防ぐための[[ステロイド系抗炎症薬|ステロイド]]投与・[[リバビリン]]治療が行われた{{r|標準微生物_p499}}。但し、リバビリンは細胞培養レベルでは有効でなく、[[グリチルリチン]]([[甘草]]の成分)が有効であるとの報告がある{{r|標準微生物_p500}}。 |
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* 3月31日 - 1,622人の症例と58人の死亡者 |
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* 4月30日 - 5,663人以上の疑わしい患者と372人の死亡者 |
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* 5月31日 - 8,360人以上の疑わしい患者と764人の死亡者 |
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* 6月13日 - 8,454人以上の疑わしい患者と792人の死亡者 |
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* [http://www.who.int/csr/sars/country/2003_06_13/en/ 伝播地域と累積患者報告数]{{en icon}}(WHO:6月13日)(テキスト) |
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* [http://www.charlesplatt.com/sars/ 感染者数のグラフ]{{en icon}} |
|||
また治療法は確立しておらず{{r|標準微生物_p499}}、[[対症療法]]として[[解熱薬]]、必要に応じた[[酸素吸入]]・[[人工呼吸器|人工呼吸]]などが用いられる。SARS患者は[[陰圧室]]に入院させる必要があるが、この際看護する側も完璧な防護をした上で、患者との不必要な接触を避けることが肝要である。 |
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WHOによれば、トロント、シンガポール、台湾、ハノイ、中国広東省、香港、そして上海などの地域で局地的なSARSの感染拡大が起こっている。香港では、最初の感染者の一団は3月29日には退院している。6月13日現在までの報告によると、香港での回復例は1,380人になっている{{要出典|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}}。 |
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<!--[[2003年]]7月30日には、[[深圳市]]で免疫物質の合成に成功したとの報道があった<ref>{{Cite web|url=http://j.people.ne.jp/2003/07/30/jp20030730_31090.html |title=SARS治療用の免疫物質の開発に成功 深圳 |work=人民網日文版 |publisher=人民日報社 |date=2003-07-30|accessdate=2003-07-30 --><!-- |language=日本語 |deadlinkdate=2008-01-20 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20031005194256/http://j.people.ne.jp/2003/07/30/jp20030730_31090.html |archivedate=2003-10-05 }}</ref>{{要高次出典|date=2017-09-24}}。--> |
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人に対し安全性・有効性の両方が確認されている[[ワクチン]]は、治療用・予防用どちらでも存在しない(但し、実験動物レベルでは存在する)<ref name="標準微生物_p500">{{harvtxt|中込治・神谷茂(編集)|2015|p=500}}(文責:白木公康)</ref><ref>{{cite journal |author1=Shibo Jiang |author2=Lu Lu |author3=Lanying Du |title=Development of SARS vaccines and therapeutics is still needed |journal=Future Virology |volume=8 |issue=1 |pages=1-2 |year=2013 |doi=10.2217/fvl.12.126 |url=http://www.futuremedicine.com/doi/pdf/10.2217/fvl.12.126}}</ref>。生物学的治療法の発見・開発・生産を行う[[NPO]]のMassBiologicsは、[[アメリカ国立衛生研究所]] (NIH) や[[アメリカ疾病予防管理センター]] (CDC) の研究者と協力し、[[動物実験|動物モデル]]で効果があった[[モノクローナル抗体]]を用いた療法の開発を行っている<ref>{{cite journal |author1=Greenough TC, Babcock GJ, Roberts A, Hernandez HJ, Thomas WD Jr, Coccia JA, Graziano RF, Srinivasan M, Lowy I, Finberg RW, Subbarao K, Vogel L, Somasundaran M, Luzuriaga K, Sullivan JL, Ambrosino DM |title=Development and characterization of a severe acute respiratory syndrome-associated coronavirus-neutralizing human monoclonal antibody that provides effective immunoprophylaxis in mice |journal=The Journal of Infectious Diseases | date=15 February 2005 |volume=191 |issue=4 |pages=507-14 |pmid= 15655773 |doi=10.1086/427242}}</ref><ref>{{cite journal |authors=Tripp RA, Haynes LM, Moore D, Anderson B, Tamin A, Harcourt BH, Jones LP, Yilla M, Babcock GJ, Greenough T, Ambrosino DM, Alvarez R, Callaway J, Cavitt S, Kamrud K, Alterson H, Smith J, Harcourt JL, Miao C, Razdan R, Comer JA, Rollin PE, Ksiazek TG, Sanchez A, Rota PA, Bellini WJ, Anderson LJ |title=Monoclonal antibodies to SARS-associated coronavirus (SARS-CoV): identification of neutralizing and antibodies reactive to S, N, M and E viral proteins |journal= J Virol Methods |date=September 2005 |volume=128 |issue=1-2 |pages=21-8 |pmid=15885812 |doi=10.1016/j.jviromet.2005.03.021}}</ref><ref>{{cite journal |authors=Roberts A, Thomas WD, Guarner J, Lamirande EW, Babcock GJ, Greenough TC, Vogel L, Hayes N, Sullivan JL, Zaki S, Subbarao K, Ambrosino DM |title=Therapy with a severe acute respiratory syndrome-associated coronavirus-neutralizing human monoclonal antibody reduces disease severity and viral burden in golden Syrian hamsters |journal=J Infect Dis |date=1 March 2006 |volume=193 |issue=5 |pages=685-92 |pmid=16453264 |doi=10.1086/500143}}</ref>。またウイルス表面のスパイクタンパク質をターゲットにしたワクチン<ref>{{cite journal|url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24355931|title=Yeast-expressed recombinant protein of the receptor-binding domain in SARS-CoV spike protein with deglycosylated forms as a SARS vaccine candidate.|journal=Hum Vaccin Immunother|year=2014|volume=10|issue=3|pages=648-58|date=|authors=Chen WH, Du L, Chag SM, Ma C, Tricoche N, Tao X, Seid CA, Hudspeth EM, Lustigman S, Tseng CT, Bottazzi ME, Hotez PJ, Zhan B, Jiang S.|pmc=4130269|pmid=24355931|accessdate=2017-09-22}}(電子出版:2013年12月30日)</ref>、レセプタータンパクの[[受容体拮抗薬|拮抗薬]]{{r|標準微生物_p500}}、[[遺伝子]]の一部を欠いた弱毒化ウイルスの利用<ref>{{cite journal|url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26513244|title=Identification of the Mechanisms Causing Reversion to Virulence in an Attenuated SARS-CoV for the Design of a Genetically Stable Vaccine.|authors=Jimenez-Guardeño JM, Regla-Nava JA, Nieto-Torres JL, DeDiego ML, Castaño-Rodriguez C, Fernandez-Delgado R, Perlman S, Enjuanes L.|pmid=26513244|pmc=4626112|doi=10.1371/journal.ppat.1005215|journal=PLoS Pathog.|date=2015-10-29|volume=11|issue=10|page=e1005215}}</ref>も検討されている。 |
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2003年後半以降は2004年前半までに計14名の感染患者が報告されている。この内訳は11名が実験施設等における感染事故によるもので、残り3名はそれぞれ感染経路不明の単発的なものである。実験施設等での事故による感染者11名のうち9名は、2004年3月から4月にかけ、[[北京市|北京]]の国立ウイルス学研究所で発生したものである。これは4月22日に公表され、同研究所は翌日閉鎖、WHOと中国政府の共同調査チームにより調査が開始された。しかし、これも接触者の健康監視等により感染は終息し、5月18日にWHOが終息宣言を出すに至った。なお、日本では2006年(平成18年)12月8日公布の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律」により一類感染症から二類感染症に変更となっている<ref>[http://www.pref.aomori.lg.jp/welfare/health/ao_kansen.html 感染症のページ(青森県)]</ref>。 |
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== 予後 == |
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2010年現在、その後の感染発生の報告はされていない。 |
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SARSからの回復者について中国で出された報告書では、重症の[[後遺症]]が長時間続くことが示されている。最も典型的な症状は、[[肺線維症]]、[[骨粗鬆症]]、[[阻血性骨壊死]]で、どれも就業や自己介護の妨げとなり得る症状である。SARSでは[[間質性肺炎]]に引き続く[[肺線維症]]が報告されているが、これを防ぐため、[[ステロイド系抗炎症薬]]の投与が行われた{{r|標準微生物_p499}}。骨粗鬆症や骨壊死は、このステロイド剤の副作用として知られるものでもある<ref>{{Cite book|和書|pages=718,720|title=標準病理学|edition=第3版|editor=秦順一(監修)、坂本穆彦(編集)、北川昌伸(編集協力)|date=2006-03-01|author=野島孝之|chapter=第26章:骨・関節|accessdate=2017-09-23|publisher=[[医学書院]]|isbn=978-4-260-00075-8|ncid=BA76321129|id={{全国書誌番号|21044468}}|oclc=676541910}}</ref><ref>{{Cite book|和書|page=703|translator=前山一隆|chapter=VII 内分泌薬理学 39. 副腎皮質ステロイドと拮抗薬|title=カッツング薬理学|edition=原書第10版|date=2009-03-25|editor=Bertram G. Katzung / 柳澤輝行・飯野正光・丸山敬・三澤美和(監訳)|isbn=978-4-621-08073-3|publisher=[[丸善]]株式会社|author=George P. Chrousos, MD|accessdate=2017-09-23|ncid=BA89429988|id={{全国書誌番号|21646231}}|oclc=317453222}}</ref>。隔離収容の結果、SARSからの回復後に[[心的外傷後ストレス障害]] (PTSD) や[[うつ病|大うつ病性障害]]を発症した例も報告されている<ref>{{Cite journal|last=Hawryluck|first=Laura|date=2004|title=SARS control and psychological effects of quarantine, Toronto, Canada.|url=http://wwwnc.cdc.gov/eid/content/10/7/pdfs/v10-n7.pdf#page=24|journal=Emerging Infectious Diseases|doi=10.3201/eid1007.030703}}</ref><ref>{{cite news |url=http://www.infzm.com/content/31372 |title=(Silence of the Post-SARS Patients) |publisher=Southern People Weekly |author=Ma Jinyu |date=2009-07-15 |accessdate=2013-08-03|deadlink=2017-09-23|archiveurl=https://archive.is/2013.01.26-090839/http://www.infzm.com/content/31372|archivedate=2013-01-26}}{{zh icon}}</ref>。 |
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== 病原体 == |
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[[File:SARS virion.gif|thumb|コロナウイルスの電子顕微鏡写真]] |
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{{出典の明記|section=1|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}} |
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{{see also|SARSコロナウイルス}} |
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[[2003年]]3月12日、[[アメリカ疾病予防管理センター|CDC]]の警告につづき、WHOが世界的に警告を発した。WHOによれば感染の疑いがある患者は隔離するのが望ましく、以下のようなケースを「感染の疑いあり」と定義している。 |
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SARSの原因病原体・[[SARSコロナウイルス]]は、[[コロナウイルス科]][[オルトコロナウイルス亜科]]ベータコロナウイルス属に分類され、同じ属には[[中東呼吸器症候群]]を引き起こす[[MERSコロナウイルス]]が含まれる{{sfn|中込治・神谷茂(編集)|2015|p=369}}。コロナウイルスは[[エンベロープ (ウイルス)|エンベロープ]]を持つ1本鎖[[RNAウイルス]]で、ゲノムRNAは[[mRNA]]と同じ配列のプラス鎖である{{sfn|中込治・神谷茂(編集)|2015|p=495}}。また、コロナウイルスは[[呼吸器]]・[[消化器]]の[[上皮細胞]]に親和性を持つが、SARSコロナウイルスでは呼吸器や消化管などに発現している[[アンジオテンシン変換酵素]]のACE2が感染のレセプタータンパクとなる{{sfn|中込治・神谷茂(編集)|2015|p=497}}。SARSコロナウイルスは[[ベロ細胞]](Vero E6細胞)などで細胞培養できる{{sfn|中込治・神谷茂(編集)|2015|p=497}}{{r|標準微生物_p498}}。RNAウイルスではあるが、ゲノム変異は[[ヒト免疫不全ウイルス]] (HIV) ほど大きなものではなく、比較的安定だと報告されている{{sfn|中込治・神谷茂(編集)|2015|p=497}}。また、環境中でも比較的安定であるが(→[[#予防]]){{r|標準微生物_p498}}、エンベロープを持つため、[[エーテル (化学)|エーテル]]や[[クロロホルム]]に感受性がある{{sfn|中込治・神谷茂(編集)|2015|p=495}}。このウイルスは[[コウモリ]]・ヒトに感染するが、MERSコロナウイルスも同じくコウモリに感染するほか、コロナウイルスの分類では、コウモリコロナウイルスもこの2種と同じグループ2bに含まれる{{sfn|中込治・神谷茂(編集)|2015|p=496}}<ref name="PMC2830095_coronavirus">{{cite journal|url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2830095/|title=Coronaviruses post-SARS: Update on replication and pathogenesis|doi=10.1038/nrmicro2147|journal=Nat Rev Microbiol|date=2009 Jun|volume=7|issue=6|pages=439-450|first=Stanley|last=Perlman|first2=Jason|last2=Netland|accessdate=2017-11-13|pmcid=2830095|nihmsid=NIHMS168440}}</ref>。 |
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;ウイルスの特定 |
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ある人物が、2003年2月1日以降: |
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当初、中国衛生局は[[クラミジア]]、[[香港大学]]は[[麻疹ウイルス]]や[[RSウイルス]]と同じ[[パラミクソウイルス科|パラミクソウイルス]]を原因病原体として発表していた{{r|日本医師会_SARS030710}}。 |
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* 38{{℃}}を超える高熱、および |
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* 以下のひとつ以上にあてはまる呼吸上の問題: [[咳嗽]]、息ぎれ、[[呼吸困難]]、低酸素血症あるいは[[肺炎]]、および |
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* 以下のひとつ以上にあてはまる場合: |
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** SARS感染の疑いがある人物との緊密な接触 |
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** SARS感染記録がある地域への旅行 |
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CDCと{{仮リンク|カナダ国立微生物研究所|en|National Microbiology Laboratory}}は、2003年4月にSARSウイルスの[[ゲノム]]を特定した<ref>{{cite web |url=https://www.cdc.gov/about/history/sars/feature.htm |title=Remembering SARS: A Deadly Puzzle and the Efforts to Solve It |date=11 April 2013 |accessdate=3 August 2013 |publisher=Centers for Disease Control and Prevention}}</ref><ref>{{cite web |url=http://www.who.int/mediacentre/releases/2003/pr31/en/ |title=Coronavirus never before seen in humans is the cause of SARS |publisher=United Nations World Health Organization |date=16 April 2006 |accessdate=5 July 2006}}</ref>。[[エラスムス・ロッテルダム大学]]の研究者たちは、[[SARSコロナウイルス]]で[[コッホの原則]]が成り立つことを突き止めた<ref>{{cite journal|url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15306393|accessdate=2017-09-24|journal=Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci.|date=2004-07-29|volume=359|issue=1447|pages=1081-2|authors=Osterhaus AD, Fouchier RA, Kuiken T.|pmid=15306393|pmc=1693394|doi=10.1098/rstb.2004.1489}}</ref><ref>{{Cite web|和書|date=2003-04-15|url=http://www.jata-net.or.jp/sars/today/0404.htm|title=SARSコロナウイルス配列決定|work=SARSアップデート情報|publisher=[[日本旅行業協会]]|accessdate=2009-05-01|url-status=dead|url-status-date=2017-09-24|archiveurl=https://web.archive.org/web/20050414005056/http://www.jata-net.or.jp/sars/today/0404.htm|archivedate=2005-04-14}}</ref><ref>{{Cite web|和書|date=2003-04-17|url=http://www.jata-net.or.jp/sars/today/0406.htm|title=SARSコロナウイルス配列決定 Part.2|work=SARSアップデート情報|publisher=[[日本旅行業協会]]|accessdate=2009-05-01|url-status=dead|url-status-date=2017-09-24|archiveurl=https://web.archive.org/web/20090505164241/http://www.jata-net.or.jp:80/sars/today/0406.htm|archivedate=2009-05-05}}</ref>。[[マカク属]]([[カニクイザル]])へのウイルス感染で、SARS患者と同様の症状(具体的には[[鼻腔]]・[[咽頭]]・糞便からのウイルス分離と[[間質性肺炎]])が発生することが実験的に証明されている{{r|標準微生物_p498}}<ref>{{cite journal |authors=Fouchier RA, Kuiken T, Schutten M, etal |title=Aetiology: Koch's postulates fulfilled for SARS virus |journal=Nature |volume=423 |issue=6937 |page=240 |year=2003 |pmid=12748632 |doi=10.1038/423240a }}</ref>。 |
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SARSに関する一般的な照会については、感染症の専門家が組織しているNPOである[http://www.npo-bmsa.org/ バイオメディカルサイエンス研究会](バムサ)でも、病気自体や診断検査法について応答(原則的として9時 - 17時)できる。 |
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2003年5月下旬、最初の症例が出た中国[[広東省]]の地元市場で、食用野生動物を用いた研究調査が行われた{{efn|経歴調査で、最初期の感染者に食用動物を扱う販売業者やレストランの従業員がいたことも判明していた{{r|PMC3323155}}<ref>{{cite web|url=https://www.theguardian.com/world/2003/may/24/china.sars|title=In China the civet cat is a delicacy - and may have caused Sars |date=2003-03-24|accessdate=2017-09-24|publisher=[[ガーディアン]]|first= Ian|last=Sample|first2=John|last2=Gittings}}</ref><ref>{{cite journal|url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3367621/|title=SARS-CoV Infection in a Restaurant from Palm Civet|author=Ming Wang, et al.|accessdate=2017-09-24|journal=Emerg Infect Dis.|date=2005 Dec|volume=11|issue=12|pages=1860-1865|pmc=3367621|doi=10.3201/eid1112.041293}}</ref>}}。この結果、[[ハクビシン]]からSARSコロナウイルスが単離されたが、ハクビシンは[[固有宿主]]ではなく、ヒトへの感染のキーとなる[[中間宿主]]だと推定された<ref>{{cite journal|url=http://science.sciencemag.org/content/302/5643/276|title=Isolation and Characterization of Viruses Related to the SARS Coronavirus from Animals in Southern China|journal=[[サイエンス|Science]]|accessdate=2017-09-24|authors=Y. Guan, B. J. Zheng, Y. Q. He, X. L. Liu, Z. X. Zhuang, C. L. Cheung, S. W. Luo, P. H. Li, et.al|date=2003-10-10|volume=302|issue=5643|pages=276-278|doi=10.1126/science.1087139}}</ref><ref name="厚労省_SARS対策第19報">{{Cite web|和書|url=https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou05/06-07-21.html|work=重症急性呼吸器症候群(SARS)関連情報|title=SARS対策について(SARS対策第19報)(SARS類似コロナウイルスが分離された中国産の野生動物への対応について)|publisher=[[厚生労働省]]|accessdate=2017-09-24|issue=健感発第0526003号|date=2003-05-26|author=厚生労働省健康局結核感染症課長}}</ref><ref name="sponichi030525">{{Cite web|和書|url=http://www.sponichi.co.jp/society/kiji/2003/05/25/01.html|url-status=dead|url-status-date=2017-09-24|archiveurl=https://web.archive.org/web/20041029194715/http://www.sponichi.co.jp:80/society/kiji/2003/05/25/01.html|archivedate=2004-10-29|title=SARS タヌキやアナグマからも|date=2003-05-25|publisher=[[スポーツニッポン]]|accessdate=2017-09-24}}</ref>。 |
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== 原因と感染方法 == |
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[[ファイル:Sars-corona.png|thumb|right|250px|SARSを引き起こす新コロナウイルス]] |
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[http://www.who.int/csr/sars/coronavirus/en/ 新コロナウイルス]により感染/発病する。 |
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* [[2003年]]4月14日 CDCはSARSの世界的流行の原因とされている[[コロナウイルス]]のゲノム配列を決定<ref>{{Cite web |
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|date=2003-04-17 |
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|url=http://www.jata-net.or.jp/sars/today/0406.htm |
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|title=SARSコロナウイルス配列決定 Part.2 |
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|work=SARSアップデート情報 |
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|publisher=[[日本旅行業協会]] |
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|accessdate=2009-05-01 |
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}}</ref><ref>{{Cite web |
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|date=2003-04-15 |
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|url=http://www.jata-net.or.jp/sars/today/0404.htm |
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|title=SARSコロナウイルス配列決定 |
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|work=SARSアップデート情報 |
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|publisher=日本旅行業協会 |
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|accessdate=2009-05-01 |
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}}</ref>。 |
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中間結果では、SARSコロナウイルスは[[パームシベット]]からヒトへ、種の壁を越えた[[異種移植|異種伝播]]をするとされ、広東省だけで1万頭以上が駆除された。この対応に関しては、パームシベット・ハクビシンを[[スケープゴート]]にしたとの批判もある<ref>{{cite web|url=http://www.nbcnews.com/id/3908790/ns/health-infectious_diseases/t/civet-cat-becomes-sars-scapegoat/|title=Civet cat becomes SARS scapegoat|accessdate=2017-09-24|publisher=[[NBC]]|date=2004-08-01|author=[[AP通信]]}}</ref>。またシンガポールでは野良猫の駆除が行われた{{r|sponichi030525}}。ウイルスは、[[タヌキ]]{{r|厚労省_SARS対策第19報}}、[[イタチアナグマ属|イタチアナグマ]](流行地には[[シナイタチアナグマ]]が棲息){{r|厚労省_SARS対策第19報}}、[[イエネコ]]などからも単離された。 |
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[http://www.mhlw.go.jp/topics/2003/03/tp0318-1d.html WHOのFAQ]によると、{{要検証範囲|おもに[[飛沫感染]]によって広がる。飛沫感染とは[[空気感染]]ではなく、咳やくしゃみで飛んだSARS患者の唾液を吸い込むことによる感染である。飛沫は大きいため、飛ぶ距離は通常1メートル以内。しかし、SARSは空気や汚染された物を介してもっと広範囲に広がる可能性もある。|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}} |
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2005年には、中国の[[コウモリ]]から多数のSARS様コロナウイルスが発見されたと報告された<ref name=Li>{{cite journal |authors=Li W, Shi Z, Yu M, etal |title=Bats are natural reservoirs of SARS-like coronaviruses |journal=Science |volume=310 |issue=5748 |pages=676-9 |year=2005 |pmid=16195424 |doi=10.1126/science.1118391|url=http://science.sciencemag.org/content/310/5748/676 }}</ref><ref name=Lau>{{cite journal |authors=Lau SK, Woo PC, Li KS, etal |title=Severe acute respiratory syndrome coronavirus-like virus in Chinese horseshoe bats |journal=Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. |volume=102 |issue=39 |pages=14040-5 |year=2005 |pmid=16169905 |pmc=1236580 |doi=10.1073/pnas.0506735102 }}</ref>。これらのウイルスの系統学的解析から、SARSコロナウイルスはコウモリ由来の可能性が高いとされ、コウモリから直接人間に感染したか、中国の市場で販売されていた[[食用コウモリ]]をはじめとした食用動物を介して人間に広まったと推測された。コウモリは感染しても[[不顕性感染]]となるが、SARS様コロナウイルスのリザーバーになっていると推測されている。 |
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{{要検証範囲|通常のコロナウイルスは体外で3時間以上生き延びるが、SARSコロナウイルスは乾燥したプラスチック上で24時間以上生存することが確認された|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}}<ref>「SARSウイルス、24時間後も感染力保持 WHOの専門家」『朝日新聞』2003年5月4日{{要検証|date=2016-07-09}}</ref>。 |
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2006年遅く、[[香港大学]]CDC (Chinese Centre for Disease Control and Prevention of Hong Kong University)、[[広州市]]疾病予防コントロールセンター(広州市CDC)は、パームシベット(ハクビシン)とヒトから単離されたSARSコロナウイルスの遺伝的系譜を作成し、このウイルス感染症が[[宿主ジャンプ]]したことを証明した<ref>{{cite news|url=http://www.chinadaily.com.cn/china/2006-11/23/content_740511.htm |title=Scientists prove SARS-civet cat link |work=China Daily |date=23 November 2006}}</ref>。 |
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このウイルスの発生源は[[ハクビシン]]が疑われていたが<ref>[[タヌキ|狸]]・[[ヘビ|蛇]]・アナグマ等も保菌者として疑われたことがある({{Wayback |url=http://www.sponichi.co.jp/society/kiji/2003/05/25/01.html|title=SARS タヌキやアナグマからも|date=20030815000733}} - スポーツニッポン(2003年5月25日))。</ref>、{{要検証範囲|[[キクガシラコウモリ]]がキャリアであった。|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}}{{要出典|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}} |
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== 罹患数 == |
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SARSは[[新興感染症]]のひとつであり、大流行した2003年の患者数は8,273人と比較的まれな疾患である<ref name="emedicine">{{cite web | last = Oehler | first = Richard L | title = Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS) | url=http://www.emedicine.com/med/topic3662.htm | accessdate = 2008-05-11 }}</ref>。このアウトブレイク時の罹患数は、[[世界保健機関]] (WHO) の報告によると、[[香港]]を中心に8,096人が感染し、37ヶ国で774人が死亡したとされている([[致命率]]9.6%、内訳は下記){{r|who:table2004_04_21}}。また最終的な罹患数は、世界30ヶ国の8,422人が感染、916人が死亡(致命率11%)とされている{{r|標準微生物_p498}}。 |
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{{出典の明記|section=1|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}} |
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SARSの症状を示している患者がSARSコロナウイルスに感染しているかどうかを調べるため、以下の検査法が実施されている。これらの検査法により、SARSコロナウイルスに感染していることが確認されれば'''確定例'''となる。 |
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<div class="NavFrame"> |
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; 逆転写[[ポリメラーゼ連鎖反応]]法 |
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<div class="NavHead">国・地域別のSARS感染が強く疑われる症例数(2002年11月1日 - 2003年7月31日)</div> |
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: 患者の血液・鼻水・尿にSARSコロナウイルスの遺伝物質 ([[リボ核酸|RNA]]) が含まれていないか検査する。現在不可欠となっている検査法である。(cf. [[逆転写酵素]]) |
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<div class="NavContent" style="text-align:left"> |
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; 血清学検査 |
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{| class="wikitable" style="<!--width: 25em;--> font-size:90%" |
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: 患者の血液中にSARSコロナウイルスに感染したときに体内でつくられる[[抗体]]がないか検査する。 |
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! colspan="10" style="text-align:center; padding:0.3em; font-size:1em; background:Violet;"|国・地域別のSARS感染が強く疑われる症例数(2002年11月1日 - 2003年7月31日)<br />WHO発表<ref name=WHO>{{cite web|url=http://www.who.int/csr/sars/country/en/index.html |title=Epidemic and Pandemic Alert and Response (EPR) |publisher=World Health Organization |accessdate=2017-09-23}}</ref>{{r|who:table2004_04_21}} |
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; ウイルス培養検査 |
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|- align=center |
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: 上の2つの検査法が実施された後に、念のためウイルスを培養して検査する。 |
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! {{nowrap|国または地域}} || 症例数 || 死亡数 || SARS以外の原因による死亡<br /><!-- -->*** || [[致命率]] (%) |
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! {{nowrap|国または地域}} || 症例数 || 死亡数 || SARS以外の原因による死亡<br /><!-- -->*** || 致命率 (%) |
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|- align=right |
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! 総数||8,096<!--8273-->||774||60||9.6 |
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|align=left|{{AUS}}||6||0||0||0 |
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|- align=right |
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|align=left|{{CAN}}||251||43||0||17 |
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|align=left|{{CHN}} *||5,327||349||19||7 |
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|- align=right |
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|align=left|{{HKG}}||1,755||299||5||17 |
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|align=left|{{MAC}}||1||0||0||0 |
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|- align=right |
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|align=left|{{ROC}} ** ||346||37||36||11 |
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|align=left|{{FRA}}||7||1||{{center|{{ndash}}}}||14 |
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|- align=right |
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|align=left|{{GER}}||9||0||{{center|{{ndash}}}}||0 |
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|align=left|{{IND}}||3||0||{{center|{{ndash}}}}||0 |
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|- align=right |
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|align=left|{{INA}}||2||0||{{center|{{ndash}}}}||0 |
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|align=left|{{ITA}}||4||0||{{center|{{ndash}}}}||0 |
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|- align=right |
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|align=left|{{KUW}}||1||0||0||0 |
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|align=left|{{MAS}}||5||2||{{center|{{ndash}}}}||40 |
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|- align=right |
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|align=left|{{MGL}}||9||0||0||0 |
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|align=left|{{NZL}}||1||0||0||0 |
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|- align=right |
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|align=left|{{PHI}}||14||2||0||14 |
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|align=left|{{IRE}}||1||0||0||0 |
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|- align=right |
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|align=left|{{KOR}}||3||0||0||0 |
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|align=left|{{ROU}}||1||0||0||0 |
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|- align=right |
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|align=left|{{RUS}}||1||0||0||0 |
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|align=left|{{SIN}}||238||33||0||14 |
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|- align=right |
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|align=left|{{RSA}}||1||1||0||100 |
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|align=left|{{ESP}}||1||0||0||0 |
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|- align=right |
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|align=left|{{SWE}}||5||0||0||0 |
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|align=left|{{SUI}}||1||0||0||0 |
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|- align=right |
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|align=left|{{THA}}||9||2||{{center|{{ndash}}}}||22 |
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|align=left|{{GBR}}||4||0||{{center|{{ndash}}}}||0 |
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|- align=right |
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|align=left|{{USA}}||27||0||0||0 |
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|align=left|{{VIE}}||63||5||0||8 |
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|- |
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| colspan=10<!--style="font-size: smaller;"--> | (*) 中華人民共和国の数字には、WHOへ別々に報告された香港・マカオでのデータは含まれない。 |
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|- |
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| colspan=10<!--style="font-size: smaller;"--> | (**) 2003年7月11日以来、台湾の症例数は(報告が)「放棄された」({{lang-en-short|'discarded'|links=no}})。そうした135件の症例に関しては、臨床情報が不十分ないし不完全である。うち101名が死亡した。 |
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|- |
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| colspan=10<!--style="font-size: smaller;"--> | (***) ({{ndash}}) は詳細数不明を示す。 |
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|} |
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</div> |
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</div> |
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== 感染拡大から終息まで == |
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== 予防・対策 == |
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汚染された物を触ることによる感染のリスクを減らすために、CDCは石鹸と水で十分に手を洗うことを勧めている(WHOのFAQ{{full|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}}より)。院内感染対策として、[[サージカルマスク]]や使い捨て[[ガウン]]が有効であった<ref>Seto WH, et al. Effectiveness of precautions against droplets and contact in prevention of nosocomial transmission of severe acute respiratory syndrome (SARS). Lancet. 2003; 361(9368):1519-20.</ref>。日本では感染の疑いがある人がいたものの感染者が出なかった。手洗いやうがいが慣行されているためという習慣もいわれたが、{{要追加記述範囲|以下の理由|date=2013年11月}}も指摘された。 |
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=== 中国南部でのアウトブレイク === |
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* 一般の人にとって感染予防のために[[N95マスク]]を着用することは必要ではない{{要出典|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}}。(2003年4月9日) |
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<!--中国の病院に英語表記は不必要かと思いますが、WHOの報告書・論文などには英語で登場しているものと思われますので、英語表記も併記します。--FMmice--> |
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{{main article|{{仮リンク|SARSアウトブレイクの進行|en|Progress of the SARS outbreak}}}} |
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[[2002年]]11月に、[[中華人民共和国]][[広東省]]で最初のSARS症例が報告され、同月に同省で流行が発生した。最初の患者は広東省[[仏山市]][[順徳区]]出身で、地元の村の管理責任者も務めていた農家の男性で<ref>{{cite journal|url=http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0140673603146302|journal=[[ランセット]]|volume=Volume 362|issue=9393|date=2003-10-25|pages=1353-1358|title=Epidemiology and cause of severe acute respiratory syndrome (SARS) in Guangdong, People's Republic of China, in February, 2003|authors=NS Zhong, MD; BJ Zheng, PhD; YM Li, MD; LLM Poon DPhil; ZH Xie MD; KH Chan PhD; PH Li BS; SY Tan MD; Q Chang MD; JP Xie MD; XQ Liu MD; J Xu MD; DX Li MD; KY Yuen MD; JSM Peiris DPhil; Dr Y Guan PhD|doi=10.1016/S0140-6736(03)14630-2|accessdate=2017-09-23}}</ref><ref name="PMC3323155">{{cite journal|url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3323155/|title=Epidemiologic Clues to SARS Origin in China|journal=Emerg Infect Dis.|date=2004 Jun|volume=10|issue=6|pages=1030-1037|doi=10.3201/eid1006.030852|pmc=3323155|authors=Rui-Heng Xu, Jian-Feng He, Meirion R. Evans, Guo-Wen Peng, Hume E Field, De-Wen Yu, Chin-Kei Lee, Hui-Min Luo, Wei-Sheng Lin, Peng Lin, Ling-Hui Li, Wen-Jia Liang, Jin-Yan Lin, and Alan Schnur|pmid=15207054|accessdate=2017-09-23}}</ref><ref>{{cite book|url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK92479/|accessdate=2017-09-24|title=Learning from SARS: Preparing for the Next Disease Outbreak: Workshop Summary.|chapter=THE SARS EPIDEMIC AND ITS AFTERMATH IN CHINA: A POLITICAL PERSPECTIVE|author=Yanzhong Huang|year=2004}}</ref><ref>{{cite web|url=http://www.who.int/csr/don/2003_07_04/en/|title=Update 95 - SARS: Chronology of a serial killer|accessdate=2017-09-24|publisher=[[WHO]]}}</ref><ref name="cnn130902">{{cite web|url=https://edition.cnn.com/2013/09/02/health/sars-fast-facts/index.html|title=SARS Fast Facts|accessdate=2017-09-23|date=2017-05-28|origdate=2013-09-02|publisher=[[CNN (アメリカの放送局)|CNN]]}}</ref>、仏山市の第一人民医院({{lang-en-short|The First People's Hospital|links=no}})で治療を受けた。この男性の疾患原因特定は行われなかった{{efn|この患者は後に回復した<ref>{{cite web|url=http://www.abc.net.au/science/features/sars/outbreak.htm|title=THE OUTBREAK - The virus factories of southern China|work=The Fact about SARS|accessdate=2017-09-24|publisher=[[オーストラリア放送協会]]|first=Mark|last=Horstman|date=2003-04-10}}</ref>。最初の死者は、香港での流行の[[インデックス・ケース]]となった中国人医師と考えられている{{r|cnn130902}}。}}。感染制御に多少動いたものの、中国政府は、2003年2月までこの[[感染症]]の発生をWHOに公式報告しなかった。この[[情報公開]]の遅れが感染症対策の遅れに繋がり、結果として中国政府は国際的に多くの批判を受けることとなった<ref>{{cite news |url=http://www.cnn.com/2003/HEALTH/04/05/sars.vaccine/index.html |title=WHO targets SARS 'super spreaders' |publisher=[[CNN (アメリカの放送局)|CNN]] |date=6 April 2003 |accessdate=5 July 2006}}</ref>。 |
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アウトブレイクが最初に起きたのは2002年11月27日で、WHOの{{仮リンク|グローバル・アウトブレイク・アラート・アンド・レスポンス・ネットワーク|label=GOARN|en|Global Outbreak Alert and Response Network}}の一角を成す、[[カナダ]]の{{仮リンク|グローバル・パブリック・ヘルス・インテリジェンス・ネットワーク|en|Global Public Health Intelligence Network}} (GPHIN) が、インターネット・メディアの監視を通じ、中国で「[[インフルエンザ]]の流行」({{lang-en-short|"flu outbreak"|links=no}})が発生していることを突き止め、そのままWHOに報告した。現在GPHINでは、[[アラビア語]]・[[中国語]]・[[英語]]・[[フランス語]]・[[ロシア語]]・[[スペイン語]]への翻訳に対応しているが、当時は英語・フランス語のみの対応だった。アウトブレイクに関する最初の報告は中国語文献だったため、英語でのレポートは[[2003年]][[1月21日]]になってようやく作成された<ref name="Mawadeku and Blench">{{cite web|url=http://www.mt-archive.info/MTS-2005-Mawudeku.pdf |last=Mawudeku |first=Abla |last2=Blench |first2=Michael |title=Global Public Health Intelligence Network |year=2005 |format=PDF |publisher=Public Health Agency of Canada|accessdate=2017-09-23}}</ref><ref name="Medscape">{{cite journal|url=http://www.medscape.com/viewarticle/467371 |last=Rodier |first=G |title=Global Surveillance, National Surveillance, and SARS |journal=Emerging Infectious Diseases |date=10 February 2004|pmid=15040346 |doi=10.3201/eid1002.031038 |volume=10 |pages=173-5 |pmc=3322938}}</ref>。 |
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日本国内では重症急性呼吸器症候群に感染した患者を搬送する[[救急車]]や治療・入院を行う病院が整備されている。2003年7月には[[日産自動車]]の関連会社である[[日産車体]]が[[京都府]]へ重症急性呼吸器症候群患者対応救急車の第1号車を寄贈したのを皮切りに、同様の車両が多くの自治体に導入されている<ref>{{Cite press release |
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| title = SARS(重症急性呼吸器症候群)患者対応救急車を京都府に寄贈 |
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| publisher = 日産自動車 |
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| date = 2003-07-11 |
|||
| url = http://www.nissan-global.com/JP/NEWS/2003/_STORY/030711-01.html |
|||
| accessdate = 2009-05-01 |
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}}</ref>。 |
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この報告を受け、WHOは中国当局に対し、2002年12月5日・11日に照会を行った。それまでの感染症アウトブレイクでは対応ネットワークが上手く機能していたものの、中国からのメディア報告がアウトブレイク発生から数ヶ月後にずれ込んだため、情報共有が遅れる元となった。第2回目のアラート発令後、WHOは病名、症例定義と共に、慎重な注意と封じ込め方法を共有するため、協調した世界的なアウトブレイク対応ネットワークの構築を発表した (Heymann, 2003)。WHOが対策を開始した時までに、世界中で死者は500人以上、加えて2,000人程度の感染者が発生していた{{r|Medscape}}。 |
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== 治療 == |
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ウイルス性疾患であるので[[抗生物質]]の適応はない{{要出典|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}}。 |
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* 死亡率は約9.4%(2003年6月13日){{要出典|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}} |
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* 症状が出る前、あるいは症状が消えた後、SARS患者がどのくらいの間他の人に病気を移す可能性があるかは分かっていない。(WHOのFAQ{{full|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}}より) |
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4月上旬、{{仮リンク|蒋彦永|en|Jiang Yanyong}}が中国での脅威を報告した後<ref name="China Status 2007">{{cite news |first=Joseph|last=Kahn |url=https://www.nytimes.com/2007/07/13/world/asia/13iht-13doctor.6640426.html | title=China bars U.S. trip for doctor who exposed SARS cover-up | newspaper=[[ニューヨーク・タイムズ|The New York Times]] | date=12 July 2007 | accessdate=2013-08-03}}</ref><ref name="award 2004">{{cite web | url=http://www.rmaf.org.ph/Awardees/Citation/CitationJiangYan.htm | title=The 2004 Ramon Magsaysay Awardee for Public Service | publisher=Ramon Magsaysay Foundation | date=31 August 2004 | accessdate=2013-05-03}}</ref>、公式方針の転換があり、SARSはメディアでより大きく取り上げられるようになった。これには[[アメリカ人]]のジェームズ・アール・ソールズベリー({{lang-en-short|James Earl Salisbury|links=no}})の死が直接関わっていたとされる<ref>{{cite news |url=http://www.cnn.com/2003/HEALTH/04/10/sars/index.html |title=SARS death leads to China dispute |publisher=[[CNN (アメリカの放送局)|CNN]] |date=10 April 2003 |accessdate=3 April 2007|deadlink=2017-09-23|archiveurl=https://web.archive.org/web/20050406103141/http://edition.cnn.com/2003/HEALTH/04/10/sars/index.html|archivedate=2017-09-23}}</ref>。これとほぼ同じ頃、蒋彦永は[[北京]]の軍事病院で症例数が過少報告されていたことを告発した{{r|China Status 2007|award 2004}}。猛烈な追及の後、中国当局はWHOなど国際当局の現地調査を認めることになった。この調査により、[[地方分権|地方分権化]]の拡大、[[繁文縟礼]]、不十分なコミュニケーションなど、成長過程にあった中国の保健政策を悩ます諸問題が明らかになった。 |
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[[2003年]]7月30日、中国 [[深セン市|深{{Lang|zh|圳}}市]]でSARSの免疫物質の合成に成功<ref>{{Cite web |url=http://j.people.ne.jp/2003/07/30/jp20030730_31090.html |title=SARS治療用の免疫物質の開発に成功 深セン |work=人民網日文版 |publisher=人民日報社 |date=2003-07-30 |accessdate=2003-07-30 |language=日本語 |deadlinkdate=2008-01-20 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20031005194256/http://j.people.ne.jp/2003/07/30/jp20030730_31090.html |archivedate=2003-10-05 }}</ref>。 |
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また、SARS予防策が広く知られておらず、流行地では看護や汚染物運搬の過程で、多くの医療スタッフが感染の危機に晒されたり、最悪の場合死に至ったりした<ref>{{cite web|url=http://www.bbc.co.uk/news/magazine-23710697|title=Sars: The people who risked their lives to stop the virus|accessdate=2017-09-23|publisher=[[英国放送協会]]|work=[[BBCニュース]]|date=2013-08-16|first=Kevin|last=Fong}}</ref>。 |
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== 影響 == |
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世界的に旅行を控える傾向になり、航空業界や旅行業界に大きなダメージを与えた<ref>[http://wired.jp/wv/archives/2003/04/16/sars%E9%A8%92%E5%8B%95%E3%81%A7%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%81%AE%E8%88%AA%E7%A9%BA%E3%83%BB%E8%A6%B3%E5%85%89%E6%A5%AD%E3%81%AB%E8%8E%AB%E5%A4%A7%E3%81%AA%E8%A2%AB%E5%AE%B3/ SARS騒動でアジアの航空・観光業に莫大な被害](WIRED.jp、2003年4月16日付)</ref>。 |
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=== 世界への感染拡大 === |
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最初の感染者がみつかった[[香港]]や[[東南アジア]]地区への旅行者は激減した。また、その他の地域も含め、海外旅行者が減少した。[[香港国際空港]]ではロビーに医療テントが設置されていた。世界各国の国際空港などで、[[検疫]]が実施されるようになった{{要出典|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}}(2006年12月現在)。 |
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[[File:Sars Cases and Deaths.pdf|thumb|300px|2002年から2003年にかけて、SARSが発生した地域]] |
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流行に一般の関心が向いたのは、2003年2月に、中国に渡航したアメリカ人ビジネスマンが、[[シンガポール]]への飛行中に肺炎様の症状を呈した一件からだった。飛行機は[[ベトナム]]・[[ハノイ]]に立ち寄り、このビジネスマンは{{仮リンク|ハノイ・フレンチ・ホスピタル|en|Hôpital Français de Hanoi}}に搬送され、転院先の[[香港]]で死亡した<ref>{{cite web|url=http://www.who.int/csr/don/2003_03_16/en/|title=Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS) - multi-country outbreak - Update|date=2003-03-16|accessdate=2017-09-24|publisher=[[WHO]]}}</ref>。一般的なプロトコルで看護を行ったにもかかわらず、この男性から複数の医療スタッフへ二次感染が起きた。[[イタリア人]]医師の[[カルロ・ウルバニ]]は感染危機に気づき、WHOとベトナム政府の連携を要請して感染拡大阻止に尽力したが、その後自身もSARSに罹患して死亡した<ref>{{cite web|url=http://www.who.int/csr/sars/urbani/en/|title=Dr. Carlo Urbani of the World Health Organization dies of SARS|date=2003-03-29|accessdate=2017-09-24|publisher=[[世界保健機関|WHO]]}}</ref>。 |
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症状の重症度と、病院スタッフへの院内感染は国際保健当局に危機感を持って捉えられ、当局は肺炎感染症の拡大を危惧した。2003年3月12日、WHOは{{仮リンク|グローバル・アラート|en|Global alert}}を発令し<ref name="WHO_alert030312">{{cite web|url=http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2003/pr22/en/|title=WHO issues a global alert about cases of atypical pneumonia|date=2003-03-12|accessdate=2017-09-24|publisher=[[世界保健機関|WHO]]}}</ref><ref name="niid_SARS">{{Cite web|和書|url=http://www.niid.go.jp/niid/ja/encycropedia/392-encyclopedia/414-sars-intro.html|title=SARS(重症急性呼吸器症候群)とは|accessdate=2017-09-24|publisher=[[国立感染症研究所]]|author=重松美加、岡部信彦}}</ref>、[[アメリカ疾病予防管理センター]] (CDC) もこれに続いてアラートを発表した<ref>{{cite web|url=https://www.cdc.gov/about/history/sars/timeline.htm|title=CDC SARS Response Timeline|accessdate=2017-09-24|publisher=[[アメリカ疾病予防管理センター]]}}</ref><ref>{{cite web|url=https://edition.cnn.com/2003/HEALTH/03/15/WHO.alert/index.html|title=CDC raises alarm over new form of pneumonia|accessdate=2017-09-24|publisher=[[CNN (アメリカの放送局)|CNN]]|date=2003-03-16|first=Patty|last=Davis}}</ref>。WHOは続く[[3月15日]]に、[[広東省]]・[[香港]]への渡航自粛勧告を出す異例の措置を取った{{r|日本医師会_SARS030710}}。SARS感染拡大は、[[トロント]]、[[オタワ]]、[[サンフランシスコ]]、[[ウランバートル]]、[[マニラ]]、シンガポール、[[台湾]]、ハノイ、香港で見られ、中国国内では広東省、[[吉林省]]、[[河北省]]、[[湖北省]]、[[陝西省]]、[[江蘇省]]、[[山西省]]、[[天津市]]、[[内モンゴル自治区]]などに拡大した<ref>{{cite journal|url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC343293/|title=Descriptive review of geographic mapping of severe acute respiratory syndrome (SARS) on the Internet|doi=10.1186/1476-072X-3-2|date=2004-01-28|year=2004|journal=Int J Health Geogr.|volume=3|issue=2|pmc=343293|author=Maged N Kamel Boulos|accessdate=2017-09-24}}</ref>。この際、WHO西太平洋事務局の責任者として、[[押谷仁]]が陣頭指揮に当たった(その後、2005年に[[東北大学]]教授就任)<ref>{{cite journal|journal=[[ランセット|Lancet]]|title=Hitoshi Oshitani: watching out for an influenza pandemic|first=Ned|last=Stafford|date=2005-11-05|url=https://doi.org/10.1016/S0140-6736(05)67650-7|accessdate=2017-09-24|volume=366|issue=9497|page=p1601|doi=10.1016/S0140-6736(05)67650-7}}</ref><ref>{{cite web|url=http://ac.nikkeibp.co.jp/4thnac/okinawa2017/pdf/Prof.HitoshiOshitaniMDPhDMPH.pdf|title=Hitoshi Oshitani MD, MPH, PhD|accessdate=2017-09-24|format=PDF|work=第4回 日経アジア感染症会議|publisher=[[日本経済新聞]]}}<!--http://ac.nikkeibp.co.jp/4thnac/okinawa2017/lecturer.html#nav--></ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://www.newsweekjapan.jp/stories/2009/04/who.php|title=押谷仁(WHO感染症地域アドバイザー) - SARSを食い止めた前線指揮官|work=世界が尊敬する日本人 国境と文化の壁を越えて輝く天才・鬼才・異才|date=2009-04-08|author=アレグザンドラ・セノ|publisher=[[ニューズウィーク]]日本版|archiveurl=https://web.archive.org/web/20170924111044/http://www.newsweekjapan.jp/stories/2009/04/who.php|archivedate=2017-09-24|accessdate=2017-09-24}}</ref>。 |
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{{For2|台湾での感染状況|2003年台湾におけるSARSの流行}} |
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==== 香港 ==== |
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[[File:Hotel Metropole 9th floor layout SARS 2003.svg|thumbnail|left|香港、メトロポール・ホテル9階の見取り図。この階に宿泊し、後に死亡した男性が[[スーパー・スプレッダー]]と考えられている]] |
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香港では、2003年3月29日に病院から患者集団の発生が報告され、これが当地初の[[コホート]]となった<ref>{{Cite web|url=http://www.news-medical.net/news/2004/04/24/821.aspx|title=Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS) overview|date=April 24, 2004|work=News Medical Life Sciences|publisher=AZO network|accessdate=2017-09-24}}</ref>。2月に香港へ到着した中国の医師が[[インデックス・ケース]]になったと考えられ、[[九龍]]にあったメトロポール・ホテル({{lang-en-short|The Metropole Hotel|links=no}})の9階に宿泊し、16人の宿泊客に感染を広げた(医師はその後死亡し、SARSによる初の死者だと推定されている){{r|日本医師会_SARS030710|cnn130902}}<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/449/701/sars,1.pdf|title=SARS |
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(重症急性呼吸器症候群)の現状について |date=2003-08-03|author=西川眞|accessdate=2017-09-24|format=PDF|publisher=新潟県保健環境科学研究所}}</ref><ref name="scielosp.org2003">{{cite web|url=http://www.scielosp.org/pdf/bwho/v81n8/v81n8a14.pdf |accessdate=February 4, 2016 |deadurl=yes |archiveurl=https://web.archive.org/web/20120405125444/http://www.scielosp.org/pdf/bwho/v81n8/v81n8a14.pdf |archivedate=April 5, 2012|journal=Bulletin of the World Health Organization|year=2003|volume=81|issue=8|title=How SARS changed the world in less than six months|format=PDF }}</ref>。ここで感染した宿泊客は、[[香港国際空港]]から[[旅客機]]で、[[カナダ]]・[[シンガポール]]・[[台湾]]・[[ベトナム]]などに向かい、到着先で感染をさらに拡大させた<ref>{{cite journal|title=Sr. Irene Martineau |publisher=Oxford Medical School Gazette |url=http://www.medsci.ox.ac.uk/gazette/previousissues/54vol1/Part21/ |accessdate=2008-11-10 |deadurl=yes |archiveurl=https://web.archive.org/web/20081010223237/http://www.medsci.ox.ac.uk/gazette/previousissues/54vol1/Part21/ |archivedate=10 October 2008 }}</ref><ref name="統一見解文書031226">{{Cite web|和書|url=http://idsc.nih.go.jp/disease/sars/update101who.pdf|title=WHO/CDS/CSR/GAR/2003.11 - 重症急性呼吸器症候群(SARS)の疫学に関する統一見解文書|accessdate=2017-09-26|author=[[国立感染症研究所]] 感染症情報センター(訳)|date=2003-12-26|format=PDF}}</ref>。香港での流行は世界的流行の一助となったが、背景にはこの医師のような[[スーパー・スプレッダー]]の存在があった<ref>{{cite journal|last=Shen|first=Zhuang|author2=Fang Ning |title=Superspreading SARS Events, Beijing 2003|journal=Emerging Infectious Diseases|date=February 2004|volume=10|issue=2|pages=256-260|doi=10.3201/eid1002.030732|accessdate=16 April 2014|pmid=15030693|pmc=3322930}}</ref><ref name="wsj141216">{{Cite web|和書|url=http://jp.wsj.com/articles/SB11133530172994754599304580340460426236490|title=なぜ特定の人が病気を他人にうつしやすいのか―「スーパースプレッダー」の秘密|accessdate=2017-09-24|publisher=[[ウォール・ストリート・ジャーナル]]|date=2014-12-16|first=SUMATHI|last=REDDY}}{{ja icon}}</ref><ref name="allabout150616">{{Cite web|和書|url=https://allabout.co.jp/gm/gc/455815/|title=MERS・SARS流行の裏にあるスーパースプレッダーの存在|publisher=[[AllAbout]]|work=AllAbout 医療・健康|date=2015-06-16|author=清益 功浩|accessdate=2017-09-24}}</ref><ref name="wired030522_1">{{Cite web|和書|url=https://wired.jp/2003/05/22/sars%e3%81%ae%e8%ac%8e%e3%82%92%e8%a7%a3%e3%81%8f%e9%8d%b5%e3%81%a8%e3%81%aa%e3%82%8b%e3%81%8b%ef%bc%9f-%e3%80%8c%e3%82%b9%e3%83%bc%e3%83%91%e3%83%bc%e3%82%b9%e3%83%97%e3%83%ac%e3%83%83%e3%83%80/|title=SARSの謎を解く鍵となるか? 「スーパースプレッダー」(上)|date=2003-05-22|accessdate=2017-09-24|publisher=WIRED.jp|author=米井香織/高森郁哉(訳)}}</ref>。 |
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[[File:Amoy Gardens 2011.jpg|thumb|香港第2の流行が起きたアモイ・ガーデンズの外観]] |
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香港では、{{仮リンク|クイーン・メアリー病院 (香港)|label=クイーン・メアリー病院|en|Queen Mary Hospital (Hong Kong)}}({{lang-en-short|Queen Mary Hospital|link=no}})、{{仮リンク|プリンス・オブ・ウェールズ病院|en|Prince of Wales Hospital}}({{lang-en-short|Prince of Wales Hospital|links=no}})という2つの病院が流行発生の中心地となった{{r|標準微生物_p499|統一見解文書031226}}。この病院での流行後、[[アモイ・ガーデンズ]]と呼ばれる高層マンション群でも集団感染が発生した。この流行のインデックス・ケースは、プリンス・オブ・ウェールズ病院で[[慢性腎臓病]]の治療を受けており、アモイ・ガーデンズに弟を訪ねて行った男性と推定されている{{r|統一見解文書031226}}。トイレ排水システムを通じてウイルスを含んだ[[エアロゾル]]が浮遊し、これが感染拡大の一助になったと考えられているほか<ref>{{cite journal|url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16696450|accessdate=2017-09-24|journal=J Environ Health|date=2006 May|volume=68|issue=9|pages=26-30; quiz 51-2|title=Environmental transmission of SARS at Amoy Gardens.|authors=McKinney KR1, Gong YY, Lewis TG.|pmid=16696450}}</ref><ref>{{cite journal|url=http://jech.bmj.com/content/57/9/652|title=Evidence based public health policy and practice - The SARS epidemic in Hong Kong|author=S H Lee|doi=10.1136/jech.57.9.652|journal=Journal of Epidemiology & Community Health|publisher=[[ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル]]}}</ref>、[[齧歯類]]や[[ゴキブリ]]の関与も示唆されている{{r|統一見解文書031226}}。香港市民は、市民への情報提供が遅すぎるのではないかと心配し、sosick.org と呼ばれるウェブサイトを立ち上げて、SARSに関する情報を随時発表するよう香港政府への働きかけを強めていった<ref>{{Cite web|url=http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=1264207|title=Hong Kong Residents Share SARS Information Online|work=NPR.org|accessdate=2016-05-11}}</ref>。 |
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==== トロント ==== |
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[[カナダ]]・[[トロント]]でのSARS初報告は、2003年[[2月23日]]のことである<ref>{{Cite web|url=https://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5223a4.htm|title=Update: Severe Acute Respiratory Syndrome --- Toronto, Canada, 2003|website=www.cdc.gov|accessdate=2016-05-11}}</ref>。メトロポール・ホテルに宿泊し、香港旅行から帰国した女性に始まり{{r|統一見解文書031226}}、[[オンタリオ州]]の257人がウイルスに感染した。トロントでのアウトブレイクには2つの流れがあり、第2波では、トロントの大病院内で、偶発的なウイルス暴露を受けた患者・見舞客・スタッフ間にSARSが拡大した。WHOは2003年6月末に、トロントをSARS流行地から外した<ref>{{cite web|url=http://www.who.int/csr/don/2003_07_01/en/|title=Update 92 - Chronology of travel recommendations, areas with local transmission|date=2003-07-01|accessdate=2017-09-24|publisher=[[世界保健機関|WHO]]}}</ref>。 |
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カナダ政府公式の反応は、アウトブレイク発生後数年に渡って広く批判され続けた。オンタリオ州の SARS Scientific Advisory Committee(SARSに対する科学的助言委員会)の副委員長だったブライアン・シュワルツ({{lang-en-short|Brian Schwartz|links=no}})は、公衆衛生当局の準備と、アウトブレイク時の緊急対応に対し、「ごくごく基本的で、よくても最小限と言ったところ」({{lang-en-short|“very, very basic and minimal at best”|links=no}})と回想している<ref>{{Cite web|url=http://www.cbc.ca/news/health/mers-outbreak-3-lessons-canada-learned-from-sars-1.3109550|title=Is Canada ready for MERS? 3 lessons learned from SARS|website=www.cbc.ca|accessdate=2016-05-11}}</ref>。当時の対応を批判する人々は、お粗末な概要のまま施行された医療関係者保護用のプロトコルと、ウイルス感染が拡大している時に必要な、感染者洗い出しシステムの欠陥について指摘する。SARSアウトブレイクに対する恐れと不確かな情報のせいで、暴露リスクを取るくらいならと医療スタッフが辞職していき、結果として当該地区ではスタッフ不足に悩まされることになった。 |
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==== 社会の反応 ==== |
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感染した野生動物を食べてウイルス感染することへの恐れから、中国南部や香港では、公的な取引禁止や、食肉市場での取引減少などの動きが見られた<ref>{{Cite journal|last=Zhan|first=Mei|date=2005-01-01|title=Civet Cats, Fried Grasshoppers, and David Beckham's Pajamas: Unruly Bodies after SARS|jstor=3567670|journal=American Anthropologist|volume=107|issue=1|pages=31-42|doi=10.1525/aa.2005.107.1.031}}</ref>{{r|sponichi030525}}。中国では、美食の街として知られ、多くの動物種を食肉として扱う広東の伝統が、SARSアウトブレイクを起こした重要な原因のひとつと指摘されることが多い。 |
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[[トロント]]に住むアジア人たちは、トロントでSARSアウトブレイクが発生した際、少数民族として差別を受けた。地元の擁護団体は、アジア人たちが、地元住民や[[タクシー]]ドライバーに無視されたり、公共交通機関の利用を避けたりしたと報告している<ref>{{Cite journal|last=Schram|first=Justin|date=2003-01-01|title=How Popular Perceptions Of Risk From Sars Are Fermenting Discrimination|jstor=25454328|journal=BMJ: British Medical Journal|volume=326|issue=7395|pages=939-939|doi=10.1136/bmj.326.7395.939}}</ref>。[[ボストン]]や[[ニューヨーク市]]では、[[エイプリルフール]]の悪ふざけとして噂が回り、[[中華街]]に経済的損失をもたらした<ref>{{cite web|url=http://www.smh.com.au/articles/2003/04/13/1050172475978.html|title=World gets sick, Chinatown sneezes|date=2003-04-14|accessdate=2017-09-24|publisher=[[シドニー・モーニング・ヘラルド]]|first=David|last=Dale}}</ref>。 |
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WHOの渡航自粛勧告もあり{{r|日本医師会_SARS030710}}、世界的に流行地への渡航を控える傾向が見られ、これらの地域の観光業や航空業は大きなダメージを受けた<ref>{{Cite web|和書|url=https://wired.jp/2003/04/16/sars%e9%a8%92%e5%8b%95%e3%81%a7%e3%82%a2%e3%82%b8%e3%82%a2%e3%81%ae%e8%88%aa%e7%a9%ba%e3%83%bb%e8%a6%b3%e5%85%89%e6%a5%ad%e3%81%ab%e8%8e%ab%e5%a4%a7%e3%81%aa%e8%a2%ab%e5%ae%b3/|title=SARS騒動でアジアの航空・観光業に莫大な被害|date=2003-04-16|accessdate=2017-09-24|publisher=Wired.jp|author=森口けい子/高森郁哉(日本語訳)}}</ref>。 |
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;SARS陰謀論 |
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{{see also|{{仮リンク|SARS陰謀説|en|SARS conspiracy theory}}|陰謀論の一覧#新型肺炎SARS、鳥インフルエンザ陰謀説}} |
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また、この病気はアジア人、特に中国人を標的として意図的に流行させられたものだとする[[陰謀論の一覧#新型肺炎SARS、鳥インフルエンザ陰謀説|SARS陰謀論]]も出た<ref>{{Cite book|和書|url=https://books.google.co.jp/books?id=khExDwAAQBAJ&pg=PA176&lpg=PA176&dq=SARS+%E9%99%B0%E8%AC%80|accessdate=2017-11-13|title=本当にあった世界の陰謀論案内|author=笠倉出版社|date=2014-09-25}}</ref><ref>{{Cite book|和書|url=https://books.google.co.jp/books?id=ZiSmAwAAQBAJ&pg=RA2-PA40&lpg=RA2-PA40&dq=SARS+%E9%99%B0%E8%AC%80|title=中国の歴史認識はどう作られたのか|author=汪錚|accessdate=2017-11-13|date=2014-05-29|publisher=[[東洋経済新報社]]|translator=伊藤真|isbn=4492212167}}</ref>。 |
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==== 日本での対応 ==== |
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中国での流行を受けて、厚生労働省は2003年4月3日に、SARSを[[感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律]](感染症法)の「新感染症」に指定した<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou05/06-07-49.html|accessdate=2017-09-24|title=ハノイ・香港等における原因不明の「重症急性呼吸器症候群」の集団発生に伴う対応について(第5報)|work=重症急性呼吸器症候群(SARS)関連情報|publisher=[[厚生労働省]]|author=厚生労働省健康局結核感染症課長|date=2003-04-03}}</ref>。その後4月7日に、WHO指針(厚生労働省から3月18日発表)に専門家の意見を加えた独自の管理指針を通達した<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou05/06-07-46.html|accessdate=2017-09-24|title=ハノイ・香港等における原因不明の「重症急性呼吸器症候群」の集団発生に伴う対応について(第7報)|work=重症急性呼吸器症候群(SARS)関連情報|publisher=[[厚生労働省]]|author=厚生労働省健康局結核感染症課長|date=2003-04-07}}</ref>。ウイルス特定後の同年7月14日に[[指定感染症]]となった後<ref>重症急性呼吸器症候群を感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第六条第六項の指定感染症として定める等の政令(平成15年政令第304号。同年7月4日公布、同月14日施行)。</ref>、感染症法の改正<ref>感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律(平成15年法律第145号。同年10月16日公布、公布の日から起算して20日を経過した日(同年11月5日)施行)。</ref>を受け、同年11月5日に[[一類感染症|第一類感染症]]となった。その後2007年4月1日の感染症法改正施行<ref>感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律(平成18年法律第106号。同年12月8日公布、平成19年4月1日一部施行)。</ref>で、分類が見直されて第二類感染症へ変更された。 |
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2003年5月には、観光旅行で来日して[[近畿地方]]を訪れた台湾人医師が、帰国後SARSコロナウイルス陽性と分かる一件があり、[[国立感染症研究所]]や大阪市保健所などが調査を行ったが、二次感染は確認されなかった<ref>{{cite journal|url=http://idsc.nih.go.jp/iasr/24/284/dj2840.html|title=重症急性呼吸器症候群(SARS)症例の接触者調査-大阪市|volume=24|pages=256|accessdate=2017-09-24|authors=吉田英樹、増田和貴、砂川富正、大山卓昭、谷口清州、岡部信彦、下内 昭|journal=IASR|publisher=[[国立感染症研究所]] 感染症情報センター}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://www.iph.pref.osaka.jp/news/vol22/22-1.html|title=これからSARSはどこへ行くのか? |author=加瀬哲男|publisher=大阪府感染症情報センター|accessdate=2017-09-24}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://h-crisis.niph.go.jp/?p=83849|title=No.1091 SARSに感染した台湾人医師に係る姫路市の対応(姫路市)|accessdate=2017-09-24|publisher=国立保健医療科学院}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/247806.html|title=【SARS速報】 厚労省、日本に滞在した台湾医師が帰台後にSARS患者と確認された問題でQ&A|date=2003-05-20|work=[[日経メディカル]]|publisher=[[日本経済新聞]]|accessdate=2017-09-24}}</ref>。 |
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日本では管理指針に示された「疑い例(Suspected case)」・「可能性例(Probable case)」が複数発生したが、他疾患の診断が付くなどしていずれも後に否定された{{r|niid_SARS}}<ref name="厚労省_SARS発生状況まとめ">{{Cite web|和書|url=https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou05/03.html|accessdate=2017-09-24|title=SARSの発生状況について|work=重症急性呼吸器症候群(SARS)関連情報|publisher=[[厚生労働省]]}}</ref>。 |
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またSARS感染患者搬送用の[[救急車]]や治療・入院を行う病院が整備された。2003年7月には[[日産自動車]]の関連会社である[[日産車体]]が[[京都府]]へ重症急性呼吸器症候群患者対応救急車の第1号車を寄贈したのを皮切りに、同様の車両が多くの自治体に導入されている<ref>{{Cite press release|和書| title = SARS(重症急性呼吸器症候群)患者対応救急車を京都府に寄贈| publisher = 日産自動車| date = 2003-07-11| url = http://www.nissan-global.com/JP/NEWS/2003/_STORY/030711-01.html| accessdate = 2009-05-01}}</ref>。 |
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=== 封じ込めの成功 === |
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[[File:SARS stat.png|thumb|国・地域別に見た感染者数の推移(2003年3月から7月)。香港を中心とした流行の後、中国本土・カナダ・台湾での流行がこれに引き続いた]] |
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世界保健機関は、2003年[[7月5日]]にSARS封じ込め成功を発表した{{efn|ここでいう「封じ込め」とは新たなヒト=ヒト感染や感染拡大の可能性が無くなったことを示すもので、感染者がいなくなったことを示すわけではない。実際にWHOの声明でも、「サーベイランスの網をくぐり抜ける患者がいるかもしれない」として、感染状況に引き続き注視するよう呼びかけている{{r|WHO030705}}。}}<ref name="WHO030705">{{cite web|url=http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2003/pr56/en/|title=SARS outbreak contained worldwide|date=2003-07-05|accessdate=2017-09-24|publisher=[[WHO]]}}</ref><ref>{{cite web|url=https://edition.cnn.com/2003/HEALTH/conditions/07/05/sars/|title=WHO: SARS outbreaks contained|accessdate=2017-09-24|publisher=[[CNN (アメリカの放送局)|CNN]]|date=2003-07-05}}</ref>。 |
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封じ込め成功後も、2003年12月と2004年1月、さらに同年4月から5月に、中国で3例のSARS散発例と、実験室での偶発的暴露で感染した3例が報告され、総勢14名が感染したことが分かっている{{r|厚労省_SARS発生状況まとめ|:0}}。うち1件では、感染した看護師の女が、複数人に感染を広げたことが分かっている{{r|厚労省_SARS発生状況まとめ}}<ref name=":0">{{cite web|url=http://www.huffingtonpost.ca/2013/03/11/sars-2013_n_2854568.html|title=SARS 2013: 10 Years Ago SARS Went Around The World, Where Is It Now?|date=2013-03-11|accessdate=2017-09-24|publisher=[[ハフィントンポスト]]カナダ版|first=Helen|last=Branswell}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://idsc.nih.go.jp/disease/sars/update113-WHO3.html|title=中国からさらにSARS症例が報告-更新3|author=WHO|accessdate=2017-09-24|orig-date=2004年4月28日|date=2004-04-30|work=IDSC|publisher=[[国立感染症研究所]] 感染症情報センター}}</ref>。 |
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封じ込め成功の声明でWHOが示したように{{r|WHO030705}}、研究者の安全確保が必要であり、SARSコロナウイルスの研究をする際には、活性ウイルスでは[[バイオセーフティーレベル|BSL-3]]相当の施設が必要であり、不活化ウイルスではBSL-2の施設が望ましい<ref>{{Cite web|url=https://www.cdc.gov/sars/guidance/f-lab/app5.html|title=SARS {{!}} Guidance {{!}} Lab Biosafety for Handling and Processing Specimens {{!}} CDC|work=[[アメリカ疾病予防管理センター|www.cdc.gov]]|language=en-us|accessdate=2017-09-11}}</ref>。 |
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== 研究事例 == |
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*'''リセプターの発見''' |
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**SARS-CoV-1リセプターが発見されたことから、リセプター発現マウスなどの感受性動物が作成されれば、有効なワクチン、抗ウイルス剤の開発も期待できる可能性がある<ref>田口文広, [https://doi.org/10.2222/jsv.53.201 SARSコロナウイルス]」『ウイルス』 53巻 2号 2003年 p.201-209, {{doi|10.2222/jsv.53.201}}。</ref>。 |
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== 脚注 == |
== 脚注 == |
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{{脚注ヘルプ}} |
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=== 注釈 === |
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=== 出典 === |
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{{Reflist|2}} |
{{Reflist|2}} |
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== 参考文献 == |
== 参考文献 == |
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* {{Cite book|和書|title=標準微生物学|edition=第12版|publisher=[[医学書院]]|editor=中込治・神谷茂|date=2015-02-15|isbn=978-4-260-02046-6|ncid=BB18056640|id={{全国書誌番号|22540957}}|oclc=904535631|ref=harv|year=2015}} |
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<!--この節には、記事本文の編集時に実際に参考にした書籍等のみを記載して下さい。 |
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* {{cite journal |author1=Alan DL Sihoe |author2=Randolph HL Wong |author3=Alex TH Lee |author4=Lee Sung Lau |title=Severe acute respiratory syndrome complicated by spontaneous pneumothorax |journal=Chest |date=June 2004 |volume=125 |issue=6 |pages=2345-51 |doi=10.1378/chest.125.6.2345 |pmid=15189961 |author5=Natalie Y. Y. Leung |author6=Kin Ip Law |author7=Anthony P. C. Yim}} |
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書籍の宣伝目的の掲載はおやめ下さい。--> |
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* [https://science.sciencemag.org/content/339/6125/1264.full War Stories], Martin Enserink, Science 15 March 2013: 1264-1268. In 2003, the world successfully fought off a new disease that could have become a global catastrophe. A decade after the SARS outbreak, how much safer are we? |
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{{節スタブ|date=2016年7月9日 (土) 02:06 (UTC)}} |
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* [https://science.sciencemag.org/content/339/6125/1266.full SARS: Chronology of the Epidemic] Martin Enserink, Science 15 March 2013: 1266-1271. In 2003, the world successfully fought off a new disease that could have become a global catastrophe. Here's what happened from the first case to the end of the epidemic. |
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* [https://science.sciencemag.org/content/339/6125/1269.full Understanding the Enemy], Dennis Normile, Science 15 March 2013: 1269-1273. Research sparked by the SARS outbreak increased the understanding of emerging diseases, though much remains to be learned. |
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== 関連書籍 == |
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* {{Cite journal|和書|title=重症急性呼吸器症候群SARS |author=木浦勝行, 谷本安, 田端雅弘, 金廣有彦, 上岡博, 谷本光音, 渡邊都貴子, 草野展周, 小出典男 |url=https://doi.org/10.4044/joma1947.115.1_63 |journal=岡山医学会雑誌 |volume=115 |issue=1 |pages=63-68 |year=2003 |naid=130006858260 |doi=10.4044/joma1947.115.1_63}} |
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<!--この節には、記事の編集時に参考にしていないがさらなる理解に役立つ書籍などを記載して下さい。 |
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* {{Cite book|和書|author=NHK報道局「カルロ・ウルバニ」取材班|title=世界を救った医師 SARSと闘い死んだカルロ・ウルバニの27日|publisher=[[NHK出版|日本放送協会出版]]|series=NHKスペシャルセレクション|date=2004年7月|isbn=978-4-14-080887-0|ncid=BA68248748|id={{全国書誌番号|20654656}}|oclc=674648042}}<!--2008年1月4日 (金) 14:13 (UTC)--> |
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書籍の宣伝はおやめ下さい。--> |
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* {{Cite book|和書|author=麻生幾|authorlink=麻生幾|title=38{{℃}} 北京SARS医療チーム「生と死」の100日|publisher=[[新潮社]]|year=2004|isbn=4-10-432603-8|ncid=BA65567568|id={{全国書誌番号|20543578}}|oclc=169717338}}<!--2008年1月4日 (金) 14:13 (UTC)--> |
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* [[木浦勝行]]ほか 「{{PDFLink|[http://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/files/public/1/13545/20160527200623850161/115_63.pdf 重度急性呼吸器症候群SARS]}}」、『岡山医学会雑誌』 岡山医学会、2005年5月30日、第115巻第1号、pp. 63-68。{{NAID|AN00032489}}。[[岡山大学]]学術成果リポジトリ |
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* {{Cite book|和書|author=カール・タロウ・グリーンフェルド|authorlink=カール・タロウ・グリーンフェルド|title=史上最悪のウイルス そいつは、中国奥地から世界に広がる|translator=[[山田耕介]]|publisher=[[文藝春秋]]|year=2007|volume=上下巻}} - {{ISBN2|978-4-16-368790-2|978-4-16-368800-8}}。<!--2007年11月24日 (土) 02:10 (UTC)--> |
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* NHK報道局「カルロ・ウルバニ」取材班 『世界を救った医師 {{Small|SARSと闘い死んだカルロ・ウルバニの27日}}』 [[NHK出版|日本放送協会出版]]〈NHKスペシャルセレクション〉、2004年7月。ISBN 978-4-14-080887-0。<!--2008年1月4日 (金) 14:13 (UTC)--> |
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* [[麻生幾]] 『38{{℃}} {{Small|北京SARS医療チーム「生と死」の100日}}』 [[新潮社]]、2004年。ISBN 4-10-432603-8。<!--2008年1月4日 (金) 14:13 (UTC)--> |
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* [[カール・タロウ・グリーンフェルド|グリーンフェルド, カール・タロウ]] 『史上最悪のウイルス {{Small|そいつは、中国奥地から世界に広がる}}』 上・下、山田耕介訳、[[文藝春秋]]、2007年。ISBN 上:{{ISBN|978-4-16-368790-2}}、下:{{ISBN|978-4-16-368800-8}}。<!--2007年11月24日 (土) 02:10 (UTC)--> |
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== 関連項目 == |
== 関連項目 == |
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{{Commons category|SARS}} |
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{{Portal|医学と医療}} |
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* [[ハクビシン]] |
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* [[SARSコロナウイルス]] |
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* [[キクガシラコウモリ]]、[[食用コウモリ]] |
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* {{仮リンク|SARSアウトブレイクの進行|en|Progress of the SARS outbreak}} |
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* [[豚インフルエンザ]] |
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* [[新興感染症]] |
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* [[輸入感染症]] |
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* [[コウモリ由来のウイルス]] - SARSコロナウイルス以外にも[[エボラウイルス]]などが知られている。 |
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* [[中東呼吸器症候群]] (MERS) - [[コロナウイルス]]科の[[MERSコロナウイルス]]によって引 |
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** [[SARSコロナウイルス2]] (SARS-CoV-2) |
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** [[新型コロナウイルス感染症の世界的流行 (2019年-)|新型コロナウイルス感染症の世界的流行]] |
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* [[新型インフルエンザ]] |
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** [[鳥インフルエンザ]] |
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** [[2009年新型インフルエンザの世界的流行]] |
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* [[パンデミック]](世界流行) |
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* {{仮リンク|蒋彦永|en|Jiang Yanyong}} - 中国人医師で、当局のアウトブレイク隠蔽を告発した。 |
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* [[鍾南山]] - 中国人呼吸器専門医で、広東でのアウトブレイクの陣頭指揮を執り、SARSコロナウイルスの発見にも寄与した。 |
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* [[陳馮富珍]](マーガレット・チャン)- 当時香港当局の責任者として指揮に当たった。のち[[世界保健機関]] (WHO) 事務総長。 |
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* [[王岐山]] - 当時北京当局の責任者として指揮に当たった。のち[[中華人民共和国副主席|国家副主席]]。 |
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* [[カルロ・ウルバニ]] |
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* {{仮リンク|医療危機|en|Health crisis}} |
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* {{仮リンク|中華人民共和国の医療|en|Health in China}} |
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== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
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* [http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou05/index.html 重症急性呼吸器症候群(SARS)関連情報] - 厚生労働省 |
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* [http://idsc.nih.go.jp/disease/sars/index.html 重症急性呼吸器症候群 (SARS) に関する情報] - 国立感染症研究所 |
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** [http://idsc.nih.go.jp/disease/sars/sars03w/index.html SARSに関する消毒(三訂版)](感染症情報センター) |
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** [http://idsc.nih.go.jp/disease/sars/mgmt-06.html 重症急性呼吸器症候群(SARS)管理例(6訂)](感染症情報センター) |
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* [http://www.who.int/csr/sars/en/ SARS (Emergencies preparedness, response)] {{en icon}} - WHO |
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* {{Cite web|和書|url=http://www.niid.go.jp/niid/ja/encycropedia/392-encyclopedia/414-sars-intro.html|title=SARS(重症急性呼吸器症候群)とは|accessdate=2017-09-24|publisher=[[国立感染症研究所]]|author=重松美加、岡部信彦}} |
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** {{Cite web|和書|url=http://idsc.nih.go.jp/disease/sars/index.html|title=SARS(重症急性呼吸器症候群)|publisher=国立感染症研究所 感染症情報センター|accessdate=2017-09-24}} |
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** {{Cite web|和書|url=http://idsc.nih.go.jp/disease/sars/mgmt-06.html|title=重症急性呼吸器症候群(SARS)管理例(6訂)|date=2003-06-10|accessdate=2017-09-24|publisher=[[国立感染症研究所]] 感染症情報センター|author=感染症情報センター案}} |
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** {{Cite web|和書|url=http://idsc.nih.go.jp/disease/sars/update101who.pdf|title=WHO/CDS/CSR/GAR/2003.11 - 重症急性呼吸器症候群(SARS)の疫学に関する統一見解文書|accessdate=2017-09-26|author=国立感染症研究所 感染症情報センター(訳)|date=2003-12-26|format=PDF}} |
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* {{Cite web|和書|url=https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou05/index.html|publisher=[[厚生労働省]]|work=健康:結核・感染症に関する情報|title=重症急性呼吸器症候群(SARS)関連情報|accessdate=2017-09-24}} |
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* {{Cite web|和書|url=http://www.anzen.mofa.go.jp/sars/basick.html|title=感染症(SARS・鳥インフルエンザ等)関連情報 - SARS基礎知識|work=[[外務省]] 海外安全ホームページ|accessdate=2017-09-24}} |
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* {{Cite web|和書|url=https://www.cdc.gov/sars/about/downloads/fs-sars-ja.pdf|title=Basic Information about SARS(資料:SARSに関する基本情報)|format=PDF|accessdate=2017-09-24|publisher=[[アメリカ疾病予防管理センター]] (CDC)}}{{ja icon}} |
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; 日本語以外のサイト |
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* {{cite web|url=http://www.who.int/csr/sars/en/|title=Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS) |accessdate=2017-09-24|publisher=[[世界保健機構]] (WHO)}}{{en icon}} - 症状や治療のガイドライン、渡航に関するアドバイス、アウトブレイクの発生などが随時更新される。 |
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* {{cite web|url=https://www.niaid.nih.gov/diseases-conditions/mers-and-sars|title=MERS and SARS|accessdate=2017-09-24|publisher=[[アメリカ国立衛生研究所]] (NIH)}}{{en icon}} |
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* {{cite web|url=https://www.cdc.gov/sars/index.html|title=Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS)|accessdate=2017-09-24|publisher=[[アメリカ疾病予防管理センター]] (CDC)}}{{en icon}} |
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** {{cite web|url=https://www.cdc.gov/niosh/topics/SARS/|title=Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS)|publisher={{仮リンク|アメリカ国立労働安全衛生研究所|en|National Institute for Occupational Safety and Health}} (NIOSH)|accessdate=2017-09-24}}{{en icon}} |
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*** {{cite web|url=https://www.cdc.gov/niosh/npptl/topics/respirators/factsheets/respsars.html|title=Understanding Respiratory Protection Against SARS|accessdate=2017-09-24|work=The National Personal Protective Technology Laboratory (NPPTL)|publisher=アメリカ国立労働安全衛生研究所 (NIOSH)}}{{en icon}} |
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* {{cite web|url=https://www.canada.ca/en/public-health/services/reports-publications/learning-sars-renewal-public-health-canada.html|title=ARCHIVED: Learning from SARS: Renewal of public health in Canada - Report of the National Advisory Committee on SARS and Public Health|accessdate=2017-09-24|publisher=[[カナダ]]政府}}{{en icon}} |
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** アウトブレイク当時のホームページ:{{Cite web|url=http://www.phac-aspc.gc.ca/sars-sras/index.html|url-status=dead|url-status-date=2017-09-24|accessdate=2017-09-24|archiveurl=https://web.archive.org/web/20080420065250/http://www.phac-aspc.gc.ca/sars-sras/index.html|archivedate=2008-04-20|title=Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS)|publisher={{仮リンク|カナダ公衆衛生庁|en|Public Health Agency of Canada}}}} |
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* {{cite journal|url=http://virtualmentor.ama-assn.org/2010/09/cprl1-1009.html|title=Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS)—Lessons for Future Pandemics|deadlink=2017-09-24|accessdate=2017-09-24|archiveurl=https://web.archive.org/web/20110113064616/http://virtualmentor.ama-assn.org/2010/09/cprl1-1009.html|archivedate=2011年1月13日|authors=Adriel Malave, MD, and Elamin M. Elamin, MD|journal=Virtual Mentor|date=September 2010|volume=12|issue=9|pages=719-725}}<!--{{deadlink|date=2017-09-24}}--> |
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* 香港でのインデックス・ケースの症例報告:{{cite journal|url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3322929/|journal=Emerg Infect Dis.|date=2004 Feb|volume=10|issue=2|pages=339-341|doi=10.3201/eid1002.030645|pmc=3322929|title=Index Patient and SARS Outbreak in Hong Kong|authors=Raymond S.M. Wong; David S. Hui|accessdate=2017-09-24}}{{en icon}} |
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; ウイルスについて |
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* {{cite web|url=https://medlineplus.gov/coronavirusinfections.html|title=Coronavirus Infections |work=[[MedlinePlus]]|accessdate=2017-09-24}}{{en icon}} |
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* {{Cite web|和書|url=http://www.viprbrc.org/brc/home.do?decorator=corona|work=Virus Pathogen Database and Analysis Resource (ViPR)|title=Coronaviridae(訳註:コロナウイルス科)|accessdate=2017-09-24}} |
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2024年12月10日 (火) 16:14時点における最新版
重症急性呼吸器症候群 | |
---|---|
| |
SARSコロナウイルス (SARS coronavirus 1; SARS-CoV-1) はこの感染症の原因病原体である | |
概要 | |
診療科 | 感染症科 (Infectious disease (medical specialty)) |
分類および外部参照情報 | |
ICD-10 | U04 |
ICD-9-CM | 079.82 |
DiseasesDB | 32835 |
MedlinePlus | 007192 |
eMedicine | med/3662 |
Patient UK | 重症急性呼吸器症候群 |
MeSH | D045169 |
重症急性呼吸器症候群(じゅうしょう きゅうせい こきゅうき しょうこうぐん、英: Severe acute respiratory syndrome; SARS〈サーズ〉[1])は、SARSコロナウイルス (SARS-CoV-1) によって引き起こされるウイルス性の呼吸器疾患である。動物起源の人獣共通感染症と考えられている。ウイルス特定までは、その症状などから、新型肺炎(しんがたはいえん)、非定型肺炎(ひていけいはいえん、英: Atypical Pneumonia)などの呼称が用いられた[2][3]。
2002年11月から2003年7月にかけて、中華人民共和国南部を中心に起きたアウトブレイクでは、広東省や香港を中心に8,096人が感染し、37ヶ国で774人が死亡した(致命率9.6%/WHO発表)[4][5](なお、世界30ヶ国8,422人が感染、916人が死亡〈致命率11%〉とする報告もある[6])。このアウトブレイク終息後は、封じ込め宣言後いくつかの散発例があったが、現在に至るまで、新規感染報告例は無い[7][8]。
現在の症例定義は、「38度以上の高熱及び咳、呼吸困難、息切れのいずれかの症状」「レントゲン検査において肺炎の症状」を呈し、この原因が不明で、ウイルス検査で陽性となった者とされている[9]。また水様性下痢を呈する例も存在する[10]。感染経路としては飛沫感染や接触感染が考えられている[6][8]。
兆候と症状
[編集]最初の症状はインフルエンザ様で、発熱、筋肉痛、無気力状態 (Lethargy) 、咳嗽、咽頭痛、その他非特異的症状が見られる。全患者に見られるのは38 °C (100 °F)以上の発熱だが、始まるまでには2〜7日の潜伏期間が存在する[6]。この病気では粘膜病変を伴わず、咳嗽は乾性咳である[6]。SARSでは呼吸困難や肺炎、またはその両方が見られることがあるが、これは一次的なウイルス性肺炎、また細菌性肺炎双方の可能性が考えられる。発熱に伴う肺病変は間質性肺炎であるが、これにはウイルスが誘導する免疫・サイトカインの関与が考えられている[6][11][12]。喀痰には10億コピー/mLのウイルスが排出されるとされ、この状態では感染性が非常に高い[10]。またウイルス血症も起こしうる[10]。
最重症例では、免疫反応によって、サイトカイン・ストームを引き起こすことがある[13]。
消化管感染も示唆されており、糞便中にウイルスが数多く排出されるほか、10%の症例では水様性下痢が確認される[10]。
診断
[編集]2003年のアウトブレイク時、SARS感染は次のような患者で疑われた[9]。
- 38 °C (100 °F)以上の発熱、その他の症状(咳や呼吸困難)を呈している。そして、
- 以下の2条件のどちらかを満たす。
- 10日以内に、SARS診断を受けた人物と濃厚接触している[注釈 1]。
- 世界保健機関 (WHO) の発表で現在流行が起きているとされている地域に、渡航歴がある(2003年5月10日現在では、中国の一部、香港、シンガポール、カナダ・オンタリオ州ジェラルドトン)。
現在の症例定義では、渡航歴は問わず、「38度以上の高熱及び咳、呼吸困難、息切れのいずれかの症状」「レントゲン検査において肺炎の症状」を呈し、この原因が不明で、ウイルス検査で陽性となった者とされている[9]。
感染の疑いが濃厚な患者では、胸部X線写真で非定型肺炎や急性呼吸窮迫症候群などの症状、またはコロナウイルス検査での陽性所見が見られる[9][14]。WHOでは、感染の疑いが「濃厚」(英: probable)だが胸部X線写真で特徴的な症状が見られず、またELISAや免疫蛍光抗体法、PCR法などのテストで陽性となった患者について、"laboratory confirmed SARS" とのカテゴリを設けた[15]。胸部X線写真については、SARS患者でも像がまちまちであるが、一般的にまだらに浸潤するような不自然な像が見られることが多い[16]。初期ではX線写真で気道炎症所見を認めない[6]。臨床症状はインフルエンザやマイコプラズマ肺炎に類似しており、症状のみでの鑑別は難しい[10]。
確定診断にはウイルス分離、核酸検出、中和抗体の上昇などが決め手となるほか、迅速診断には咽頭ぬぐい液からのRT-PCR法・LAMP法などが用いられる[10]。
予防
[編集]SARSのワクチンは研究段階である(→#治療)。治療法は確立していないが、2002年の中華人民共和国でのアウトブレイク時の教訓から、一般的な感染防止策の徹底が二次感染防止に有用であることが示されている[10]。また感染経路としては、飛沫感染と直接・間接的な接触感染が想定されている[6]。
SARSコロナウイルスは環境中で安定であり、中国政府対策本部からの発表によれば、紙・木などの環境中で3日間、痰や糞便中で約5日間、血液中で15日間生存するという(従来知られていたコロナウイルスでは、環境中で3時間)[6]:表38-18。また消毒用アルコールや漂白剤、界面活性剤での消毒で失活する[17][18]。隔離と検疫がSARS予防に重要である[19]。他にも次のような予防法が存在する。
- 手洗い、うがい
- 接触感染を媒介しうる物 (Fomite) 表面の消毒
- サージカルマスクの着用
- 体液の接触を避ける
- SARS感染者の私物を、熱した石鹸水で洗浄する(フォーク・スプーン類や皿などの食器類、寝具など)[20]
- 症状を呈した子供の出席停止措置
院内感染対策として、サージカルマスクや使い捨てガウンが有効である[21]。
治療
[編集]SARSは、SARSコロナウイルスによるウイルス性疾患であるため、抗生物質は無効である。先のSARSアウトブレイク時には、この性質を逆手に用い、抗菌薬が無効であることからマイコプラズマ肺炎を否定し、その上で間質性肺炎・肺線維症を防ぐためのステロイド投与・リバビリン治療が行われた[10]。但し、リバビリンは細胞培養レベルでは有効でなく、グリチルリチン(甘草の成分)が有効であるとの報告がある[22]。
また治療法は確立しておらず[10]、対症療法として解熱薬、必要に応じた酸素吸入・人工呼吸などが用いられる。SARS患者は陰圧室に入院させる必要があるが、この際看護する側も完璧な防護をした上で、患者との不必要な接触を避けることが肝要である。
人に対し安全性・有効性の両方が確認されているワクチンは、治療用・予防用どちらでも存在しない(但し、実験動物レベルでは存在する)[22][23]。生物学的治療法の発見・開発・生産を行うNPOのMassBiologicsは、アメリカ国立衛生研究所 (NIH) やアメリカ疾病予防管理センター (CDC) の研究者と協力し、動物モデルで効果があったモノクローナル抗体を用いた療法の開発を行っている[24][25][26]。またウイルス表面のスパイクタンパク質をターゲットにしたワクチン[27]、レセプタータンパクの拮抗薬[22]、遺伝子の一部を欠いた弱毒化ウイルスの利用[28]も検討されている。
予後
[編集]SARSからの回復者について中国で出された報告書では、重症の後遺症が長時間続くことが示されている。最も典型的な症状は、肺線維症、骨粗鬆症、阻血性骨壊死で、どれも就業や自己介護の妨げとなり得る症状である。SARSでは間質性肺炎に引き続く肺線維症が報告されているが、これを防ぐため、ステロイド系抗炎症薬の投与が行われた[10]。骨粗鬆症や骨壊死は、このステロイド剤の副作用として知られるものでもある[29][30]。隔離収容の結果、SARSからの回復後に心的外傷後ストレス障害 (PTSD) や大うつ病性障害を発症した例も報告されている[31][32]。
病原体
[編集]SARSの原因病原体・SARSコロナウイルスは、コロナウイルス科オルトコロナウイルス亜科ベータコロナウイルス属に分類され、同じ属には中東呼吸器症候群を引き起こすMERSコロナウイルスが含まれる[33]。コロナウイルスはエンベロープを持つ1本鎖RNAウイルスで、ゲノムRNAはmRNAと同じ配列のプラス鎖である[34]。また、コロナウイルスは呼吸器・消化器の上皮細胞に親和性を持つが、SARSコロナウイルスでは呼吸器や消化管などに発現しているアンジオテンシン変換酵素のACE2が感染のレセプタータンパクとなる[35]。SARSコロナウイルスはベロ細胞(Vero E6細胞)などで細胞培養できる[35][6]。RNAウイルスではあるが、ゲノム変異はヒト免疫不全ウイルス (HIV) ほど大きなものではなく、比較的安定だと報告されている[35]。また、環境中でも比較的安定であるが(→#予防)[6]、エンベロープを持つため、エーテルやクロロホルムに感受性がある[34]。このウイルスはコウモリ・ヒトに感染するが、MERSコロナウイルスも同じくコウモリに感染するほか、コロナウイルスの分類では、コウモリコロナウイルスもこの2種と同じグループ2bに含まれる[36][37]。
- ウイルスの特定
当初、中国衛生局はクラミジア、香港大学は麻疹ウイルスやRSウイルスと同じパラミクソウイルスを原因病原体として発表していた[3]。
CDCとカナダ国立微生物研究所は、2003年4月にSARSウイルスのゲノムを特定した[38][39]。エラスムス・ロッテルダム大学の研究者たちは、SARSコロナウイルスでコッホの原則が成り立つことを突き止めた[40][41][42]。マカク属(カニクイザル)へのウイルス感染で、SARS患者と同様の症状(具体的には鼻腔・咽頭・糞便からのウイルス分離と間質性肺炎)が発生することが実験的に証明されている[6][43]。
2003年5月下旬、最初の症例が出た中国広東省の地元市場で、食用野生動物を用いた研究調査が行われた[注釈 2]。この結果、ハクビシンからSARSコロナウイルスが単離されたが、ハクビシンは固有宿主ではなく、ヒトへの感染のキーとなる中間宿主だと推定された[47][48][49]。
中間結果では、SARSコロナウイルスはパームシベットからヒトへ、種の壁を越えた異種伝播をするとされ、広東省だけで1万頭以上が駆除された。この対応に関しては、パームシベット・ハクビシンをスケープゴートにしたとの批判もある[50]。またシンガポールでは野良猫の駆除が行われた[49]。ウイルスは、タヌキ[48]、イタチアナグマ(流行地にはシナイタチアナグマが棲息)[48]、イエネコなどからも単離された。
2005年には、中国のコウモリから多数のSARS様コロナウイルスが発見されたと報告された[51][52]。これらのウイルスの系統学的解析から、SARSコロナウイルスはコウモリ由来の可能性が高いとされ、コウモリから直接人間に感染したか、中国の市場で販売されていた食用コウモリをはじめとした食用動物を介して人間に広まったと推測された。コウモリは感染しても不顕性感染となるが、SARS様コロナウイルスのリザーバーになっていると推測されている。
2006年遅く、香港大学CDC (Chinese Centre for Disease Control and Prevention of Hong Kong University)、広州市疾病予防コントロールセンター(広州市CDC)は、パームシベット(ハクビシン)とヒトから単離されたSARSコロナウイルスの遺伝的系譜を作成し、このウイルス感染症が宿主ジャンプしたことを証明した[53]。
罹患数
[編集]SARSは新興感染症のひとつであり、大流行した2003年の患者数は8,273人と比較的まれな疾患である[54]。このアウトブレイク時の罹患数は、世界保健機関 (WHO) の報告によると、香港を中心に8,096人が感染し、37ヶ国で774人が死亡したとされている(致命率9.6%、内訳は下記)[4]。また最終的な罹患数は、世界30ヶ国の8,422人が感染、916人が死亡(致命率11%)とされている[6]。
国・地域別のSARS感染が強く疑われる症例数(2002年11月1日 - 2003年7月31日) WHO発表[55][4] | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
国または地域 | 症例数 | 死亡数 | SARS以外の原因による死亡 *** |
致命率 (%) | 国または地域 | 症例数 | 死亡数 | SARS以外の原因による死亡 *** |
致命率 (%) |
総数 | 8,096 | 774 | 60 | 9.6 | オーストラリア | 6 | 0 | 0 | 0 |
カナダ | 251 | 43 | 0 | 17 | 中国 * | 5,327 | 349 | 19 | 7 |
香港 | 1,755 | 299 | 5 | 17 | マカオ | 1 | 0 | 0 | 0 |
中華民国 ** | 346 | 37 | 36 | 11 | フランス | 7 | 1 | – |
14 |
ドイツ | 9 | 0 | – |
0 | インド | 3 | 0 | – |
0 |
インドネシア | 2 | 0 | – |
0 | イタリア | 4 | 0 | – |
0 |
クウェート | 1 | 0 | 0 | 0 | マレーシア | 5 | 2 | – |
40 |
モンゴル | 9 | 0 | 0 | 0 | ニュージーランド | 1 | 0 | 0 | 0 |
フィリピン | 14 | 2 | 0 | 14 | アイルランド | 1 | 0 | 0 | 0 |
韓国 | 3 | 0 | 0 | 0 | ルーマニア | 1 | 0 | 0 | 0 |
ロシア | 1 | 0 | 0 | 0 | シンガポール | 238 | 33 | 0 | 14 |
南アフリカ共和国 | 1 | 1 | 0 | 100 | スペイン | 1 | 0 | 0 | 0 |
スウェーデン | 5 | 0 | 0 | 0 | スイス | 1 | 0 | 0 | 0 |
タイ | 9 | 2 | – |
22 | イギリス | 4 | 0 | – |
0 |
アメリカ合衆国 | 27 | 0 | 0 | 0 | ベトナム | 63 | 5 | 0 | 8 |
(*) 中華人民共和国の数字には、WHOへ別々に報告された香港・マカオでのデータは含まれない。 | |||||||||
(**) 2003年7月11日以来、台湾の症例数は(報告が)「放棄された」(英: 'discarded')。そうした135件の症例に関しては、臨床情報が不十分ないし不完全である。うち101名が死亡した。 | |||||||||
(***) ( – ) は詳細数不明を示す。 |
感染拡大から終息まで
[編集]中国南部でのアウトブレイク
[編集]2002年11月に、中華人民共和国広東省で最初のSARS症例が報告され、同月に同省で流行が発生した。最初の患者は広東省仏山市順徳区出身で、地元の村の管理責任者も務めていた農家の男性で[56][44][57][58][59]、仏山市の第一人民医院(英: The First People's Hospital)で治療を受けた。この男性の疾患原因特定は行われなかった[注釈 3]。感染制御に多少動いたものの、中国政府は、2003年2月までこの感染症の発生をWHOに公式報告しなかった。この情報公開の遅れが感染症対策の遅れに繋がり、結果として中国政府は国際的に多くの批判を受けることとなった[61]。
アウトブレイクが最初に起きたのは2002年11月27日で、WHOのGOARNの一角を成す、カナダのグローバル・パブリック・ヘルス・インテリジェンス・ネットワーク (GPHIN) が、インターネット・メディアの監視を通じ、中国で「インフルエンザの流行」(英: "flu outbreak")が発生していることを突き止め、そのままWHOに報告した。現在GPHINでは、アラビア語・中国語・英語・フランス語・ロシア語・スペイン語への翻訳に対応しているが、当時は英語・フランス語のみの対応だった。アウトブレイクに関する最初の報告は中国語文献だったため、英語でのレポートは2003年1月21日になってようやく作成された[62][63]。
この報告を受け、WHOは中国当局に対し、2002年12月5日・11日に照会を行った。それまでの感染症アウトブレイクでは対応ネットワークが上手く機能していたものの、中国からのメディア報告がアウトブレイク発生から数ヶ月後にずれ込んだため、情報共有が遅れる元となった。第2回目のアラート発令後、WHOは病名、症例定義と共に、慎重な注意と封じ込め方法を共有するため、協調した世界的なアウトブレイク対応ネットワークの構築を発表した (Heymann, 2003)。WHOが対策を開始した時までに、世界中で死者は500人以上、加えて2,000人程度の感染者が発生していた[63]。
4月上旬、蒋彦永が中国での脅威を報告した後[64][65]、公式方針の転換があり、SARSはメディアでより大きく取り上げられるようになった。これにはアメリカ人のジェームズ・アール・ソールズベリー(英: James Earl Salisbury)の死が直接関わっていたとされる[66]。これとほぼ同じ頃、蒋彦永は北京の軍事病院で症例数が過少報告されていたことを告発した[64][65]。猛烈な追及の後、中国当局はWHOなど国際当局の現地調査を認めることになった。この調査により、地方分権化の拡大、繁文縟礼、不十分なコミュニケーションなど、成長過程にあった中国の保健政策を悩ます諸問題が明らかになった。
また、SARS予防策が広く知られておらず、流行地では看護や汚染物運搬の過程で、多くの医療スタッフが感染の危機に晒されたり、最悪の場合死に至ったりした[67]。
世界への感染拡大
[編集]流行に一般の関心が向いたのは、2003年2月に、中国に渡航したアメリカ人ビジネスマンが、シンガポールへの飛行中に肺炎様の症状を呈した一件からだった。飛行機はベトナム・ハノイに立ち寄り、このビジネスマンはハノイ・フレンチ・ホスピタルに搬送され、転院先の香港で死亡した[68]。一般的なプロトコルで看護を行ったにもかかわらず、この男性から複数の医療スタッフへ二次感染が起きた。イタリア人医師のカルロ・ウルバニは感染危機に気づき、WHOとベトナム政府の連携を要請して感染拡大阻止に尽力したが、その後自身もSARSに罹患して死亡した[69]。
症状の重症度と、病院スタッフへの院内感染は国際保健当局に危機感を持って捉えられ、当局は肺炎感染症の拡大を危惧した。2003年3月12日、WHOはグローバル・アラートを発令し[2][14]、アメリカ疾病予防管理センター (CDC) もこれに続いてアラートを発表した[70][71]。WHOは続く3月15日に、広東省・香港への渡航自粛勧告を出す異例の措置を取った[3]。SARS感染拡大は、トロント、オタワ、サンフランシスコ、ウランバートル、マニラ、シンガポール、台湾、ハノイ、香港で見られ、中国国内では広東省、吉林省、河北省、湖北省、陝西省、江蘇省、山西省、天津市、内モンゴル自治区などに拡大した[72]。この際、WHO西太平洋事務局の責任者として、押谷仁が陣頭指揮に当たった(その後、2005年に東北大学教授就任)[73][74][75]。
香港
[編集]香港では、2003年3月29日に病院から患者集団の発生が報告され、これが当地初のコホートとなった[76]。2月に香港へ到着した中国の医師がインデックス・ケースになったと考えられ、九龍にあったメトロポール・ホテル(英: The Metropole Hotel)の9階に宿泊し、16人の宿泊客に感染を広げた(医師はその後死亡し、SARSによる初の死者だと推定されている)[3][59][77][78]。ここで感染した宿泊客は、香港国際空港から旅客機で、カナダ・シンガポール・台湾・ベトナムなどに向かい、到着先で感染をさらに拡大させた[79][80]。香港での流行は世界的流行の一助となったが、背景にはこの医師のようなスーパー・スプレッダーの存在があった[81][82][83][84]。
香港では、クイーン・メアリー病院(英: Queen Mary Hospital)、プリンス・オブ・ウェールズ病院(英: Prince of Wales Hospital)という2つの病院が流行発生の中心地となった[10][80]。この病院での流行後、アモイ・ガーデンズと呼ばれる高層マンション群でも集団感染が発生した。この流行のインデックス・ケースは、プリンス・オブ・ウェールズ病院で慢性腎臓病の治療を受けており、アモイ・ガーデンズに弟を訪ねて行った男性と推定されている[80]。トイレ排水システムを通じてウイルスを含んだエアロゾルが浮遊し、これが感染拡大の一助になったと考えられているほか[85][86]、齧歯類やゴキブリの関与も示唆されている[80]。香港市民は、市民への情報提供が遅すぎるのではないかと心配し、sosick.org と呼ばれるウェブサイトを立ち上げて、SARSに関する情報を随時発表するよう香港政府への働きかけを強めていった[87]。
トロント
[編集]カナダ・トロントでのSARS初報告は、2003年2月23日のことである[88]。メトロポール・ホテルに宿泊し、香港旅行から帰国した女性に始まり[80]、オンタリオ州の257人がウイルスに感染した。トロントでのアウトブレイクには2つの流れがあり、第2波では、トロントの大病院内で、偶発的なウイルス暴露を受けた患者・見舞客・スタッフ間にSARSが拡大した。WHOは2003年6月末に、トロントをSARS流行地から外した[89]。
カナダ政府公式の反応は、アウトブレイク発生後数年に渡って広く批判され続けた。オンタリオ州の SARS Scientific Advisory Committee(SARSに対する科学的助言委員会)の副委員長だったブライアン・シュワルツ(英: Brian Schwartz)は、公衆衛生当局の準備と、アウトブレイク時の緊急対応に対し、「ごくごく基本的で、よくても最小限と言ったところ」(英: “very, very basic and minimal at best”)と回想している[90]。当時の対応を批判する人々は、お粗末な概要のまま施行された医療関係者保護用のプロトコルと、ウイルス感染が拡大している時に必要な、感染者洗い出しシステムの欠陥について指摘する。SARSアウトブレイクに対する恐れと不確かな情報のせいで、暴露リスクを取るくらいならと医療スタッフが辞職していき、結果として当該地区ではスタッフ不足に悩まされることになった。
社会の反応
[編集]感染した野生動物を食べてウイルス感染することへの恐れから、中国南部や香港では、公的な取引禁止や、食肉市場での取引減少などの動きが見られた[91][49]。中国では、美食の街として知られ、多くの動物種を食肉として扱う広東の伝統が、SARSアウトブレイクを起こした重要な原因のひとつと指摘されることが多い。
トロントに住むアジア人たちは、トロントでSARSアウトブレイクが発生した際、少数民族として差別を受けた。地元の擁護団体は、アジア人たちが、地元住民やタクシードライバーに無視されたり、公共交通機関の利用を避けたりしたと報告している[92]。ボストンやニューヨーク市では、エイプリルフールの悪ふざけとして噂が回り、中華街に経済的損失をもたらした[93]。
WHOの渡航自粛勧告もあり[3]、世界的に流行地への渡航を控える傾向が見られ、これらの地域の観光業や航空業は大きなダメージを受けた[94]。
- SARS陰謀論
また、この病気はアジア人、特に中国人を標的として意図的に流行させられたものだとするSARS陰謀論も出た[95][96]。
日本での対応
[編集]中国での流行を受けて、厚生労働省は2003年4月3日に、SARSを感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)の「新感染症」に指定した[97]。その後4月7日に、WHO指針(厚生労働省から3月18日発表)に専門家の意見を加えた独自の管理指針を通達した[98]。ウイルス特定後の同年7月14日に指定感染症となった後[99]、感染症法の改正[100]を受け、同年11月5日に第一類感染症となった。その後2007年4月1日の感染症法改正施行[101]で、分類が見直されて第二類感染症へ変更された。
2003年5月には、観光旅行で来日して近畿地方を訪れた台湾人医師が、帰国後SARSコロナウイルス陽性と分かる一件があり、国立感染症研究所や大阪市保健所などが調査を行ったが、二次感染は確認されなかった[102][103][104][105]。
日本では管理指針に示された「疑い例(Suspected case)」・「可能性例(Probable case)」が複数発生したが、他疾患の診断が付くなどしていずれも後に否定された[14][106]。
またSARS感染患者搬送用の救急車や治療・入院を行う病院が整備された。2003年7月には日産自動車の関連会社である日産車体が京都府へ重症急性呼吸器症候群患者対応救急車の第1号車を寄贈したのを皮切りに、同様の車両が多くの自治体に導入されている[107]。
封じ込めの成功
[編集]世界保健機関は、2003年7月5日にSARS封じ込め成功を発表した[注釈 4][108][109]。
封じ込め成功後も、2003年12月と2004年1月、さらに同年4月から5月に、中国で3例のSARS散発例と、実験室での偶発的暴露で感染した3例が報告され、総勢14名が感染したことが分かっている[106][110]。うち1件では、感染した看護師の女が、複数人に感染を広げたことが分かっている[106][110][111]。
封じ込め成功の声明でWHOが示したように[108]、研究者の安全確保が必要であり、SARSコロナウイルスの研究をする際には、活性ウイルスではBSL-3相当の施設が必要であり、不活化ウイルスではBSL-2の施設が望ましい[112]。
研究事例
[編集]- リセプターの発見
- SARS-CoV-1リセプターが発見されたことから、リセプター発現マウスなどの感受性動物が作成されれば、有効なワクチン、抗ウイルス剤の開発も期待できる可能性がある[113]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 介護や同居、キスなどが挙げられており、近くを通り過ぎたり、同じ部屋で短時間過ごすなどでは感染しないとされている[8]。
- ^ 経歴調査で、最初期の感染者に食用動物を扱う販売業者やレストランの従業員がいたことも判明していた[44][45][46]
- ^ この患者は後に回復した[60]。最初の死者は、香港での流行のインデックス・ケースとなった中国人医師と考えられている[59]。
- ^ ここでいう「封じ込め」とは新たなヒト=ヒト感染や感染拡大の可能性が無くなったことを示すもので、感染者がいなくなったことを示すわけではない。実際にWHOの声明でも、「サーベイランスの網をくぐり抜ける患者がいるかもしれない」として、感染状況に引き続き注視するよう呼びかけている[108]。
出典
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参考文献
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- NHK報道局「カルロ・ウルバニ」取材班『世界を救った医師 SARSと闘い死んだカルロ・ウルバニの27日』日本放送協会出版〈NHKスペシャルセレクション〉、2004年7月。ISBN 978-4-14-080887-0。 NCID BA68248748。OCLC 674648042。全国書誌番号:20654656。
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- カール・タロウ・グリーンフェルド 著、山田耕介 訳『史上最悪のウイルス そいつは、中国奥地から世界に広がる』 上下巻、文藝春秋、2007年。 - ISBN 978-4-16-368790-2, 978-4-16-368800-8。
関連項目
[編集]- SARSコロナウイルス
- SARSアウトブレイクの進行
- 新興感染症
- 輸入感染症
- コウモリ由来のウイルス - SARSコロナウイルス以外にもエボラウイルスなどが知られている。
- 中東呼吸器症候群 (MERS) - コロナウイルス科のMERSコロナウイルスによって引
- SARSコロナウイルス2 (SARS-CoV-2)
- 新型コロナウイルス感染症の世界的流行
- 新型インフルエンザ
- パンデミック(世界流行)
- 蒋彦永 - 中国人医師で、当局のアウトブレイク隠蔽を告発した。
- 鍾南山 - 中国人呼吸器専門医で、広東でのアウトブレイクの陣頭指揮を執り、SARSコロナウイルスの発見にも寄与した。
- 陳馮富珍(マーガレット・チャン)- 当時香港当局の責任者として指揮に当たった。のち世界保健機関 (WHO) 事務総長。
- 王岐山 - 当時北京当局の責任者として指揮に当たった。のち国家副主席。
- カルロ・ウルバニ
- 医療危機
- 中華人民共和国の医療
外部リンク
[編集]重症急性呼吸器症候群に関する 図書館収蔵著作物 |
- 日本語のサイト
- 重松美加、岡部信彦. “SARS(重症急性呼吸器症候群)とは”. 国立感染症研究所. 2017年9月24日閲覧。
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