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2016年11月10日 (木) 18:42時点における版

松尾 和子(まつお かずこ、1935年5月17日 - 1992年9月25日)は、日本の歌手

略歴

東京都大田区蒲田生まれ、箱根育ち。

戦後ジャズに惹かれたことと自身及び家族の生活のために歌手となり、レイモンド・コンデのバンド、ゲイ・セプテットの専属歌手のひとりとなる。進駐軍のキャンプやナイトクラブ等で歌ううち、徐々に人気が上がっていき、やがて、赤坂のクラブ・リキ(力道山が経営していた)の専属歌手となり歌っていたときに、フランク永井に認められスカウト。吉田正に紹介されて、ビクターに入社。

1959年には「グッド・ナイト/東京ナイト・クラブ」でレコードデビュー。「グッド~」は和田弘とマヒナスターズ、「東京~」はフランク永井との共唱。当時はベテラン/人気歌手でも片面は他の歌手である場合が多く、ビクター及び吉田正の期待の程が窺える。第2弾として発売した「誰よりも君を愛す」(マヒナとの共唱)が大ヒットし、それと共に「グッド~」もつられる形でヒット、「誰よりも~」は第2回レコード大賞を受賞、「東京ナイト~」はその後長らくデュエットソングの定番として根強い人気を博し、松尾の名は一躍スターダムへとのし上がり、後にムード歌謡の女王と称されるようになった。

1960年にはソロで吹き込んだ「再会」がヒット。その後も「夜がわるい」「お座敷小唄」「再会の朝」「銀座ブルース」とコンスタントにヒットを出している。

私生活では歌手デビュー前の1958年に結婚、1963年には長男を授かるが、1966年に夫と離婚した辺りから、人気が下降していく。

1971年ごろ、大学生を中心に熟女ブームのようなものが巻き起こり、五月みどりらと共に人気が再燃。この時期以降タレントしての活動が活発化し、1980年代には、「ライオンのいただきます」(フジテレビ)、「午後は○○おもいッきりテレビ」(日本テレビ)のバラエティー/情報番組のコメンテーターとして大活躍し、人気を博していた。また女優としても「池中玄太80キロ」(日本テレビ)などに出演している。

1991年には息子が覚せい剤取締法違反で逮捕され、懲役2年の実刑判決を受ける。このことから、松尾はマスメディアから厳しく批判され、芸能活動の大幅自粛を余儀なくされる。折からブティック経営にも失敗し、負債は8億円ともいわれた。この事に思い悩み、松尾は睡眠薬を多量服用し、自殺未遂を起こすまでに追い込まれていた。

松尾の息子がまだ服役中だった1992年9月25日、自宅の階段から転落して頭部を強打する。それでも転落直後には松尾本人は家族に「なんでもない、大丈夫」と無事であることを主張していたが数時間後に容態が急変、まもなくして死去。57歳没。

死因は脳圧迫死であった。あまりにも突然の事故であり、前述の自殺未遂騒動などから、その急死は大きな波紋を呼んだ。この時階段に滑り止めが付いておらず、滑り止めが有れば転落事故は防げたとも話されていた。

松尾没後、「(松尾に)歌って欲しい曲がいっぱいあったし、書けと言われれば今も書ける。でも肝心の歌う人がいない。せめてフランク(永井)が健在なら…」というのが、晩年の吉田正の口癖だった。

没後20年以上経った現在も、過去の作品が多数CD化されている。

刑務所から出所した長男は2011年に48歳で病死している。

ディスコグラフィー

主な作品

シングル

  1. グッド・ナイト(1959年7月)※共演:和田弘とマヒナスターズ
    (c/w 東京ナイト・クラブ)※共演:フランク永井
  2. 口笛のブルース(1959年10月、VS-251)※歌唱:フランク永井
    (c/w 情熱)
  3. 誰よりも君を愛す(1959年12月)※共演:和田弘とマヒナスターズ
    (c/w そんな女になりました)
  4. 夜がわるい(1960年2月、VS-289)
    • 作詞:川内康範 / 作曲:吉田正 / 編曲:寺岡真三
    (c/w 街の噂も65日)※歌唱:和田弘とマヒナスターズ
  5. 別離(1960年2月、VS-307)
    • 作詞:川内康範 / 作曲:吉田正 / 編曲:佐野雅美
    (c/w 夜はあなたのもの)
  6. 嫌い 嫌い 嫌い(1960年2月、VS-321)
    • 作詞:佐伯孝夫 / 作曲:吉田正 / 編曲:寺岡真三
    (c/w 待たせないで)※歌唱:ブラック・キャッツ
  7. ピンクの灯りを消さないで(1960年4月、VS-319)
    • 作詞:宮川哲夫 / 作曲:吉田正
    (c/w 霧に濡れた恋)※歌唱:フランク永井
  8. 夜の招待(1960年5月、VS-332)※共演:フランク永井、和田弘とマヒナスターズ
    • 作詞:佐伯孝夫 / 作曲:吉田正
    (c/w 霧の夜空に消えた恋)※歌唱:藤田功多摩幸子
  9. 小さな酒場(1960年7月、VS-357)
    • 作詞:宮川哲夫 / 作曲:吉田正 / 編曲:寺岡真三
    (c/w どうして流れ星を拾うの)※歌唱:朝倉ユリ
  10. 再会(1960年8月、VS-373)
    (c/w 恋)
  11. 恋の旅路の果てなのか(1960年10月、VS-379)
    • 作詞:宮川哲夫 / 作曲:渡久地政信 / 編曲:渡久地政信
    (c/w 情愛)※歌唱:朝倉ユリ
  12. 炎(1960年、VS-393)
    (c/w ごめんなさいネ)
  13. ドンドン節(1960年、VS-406)
    (c/w 五ツ木の子守唄)
  14. とってもたのしくしてあげましょう(1960年、VS-427)※共演:和田弘とマヒナスターズ
    • 作詞:佐伯孝夫 / 作曲:吉田正 / 編曲:佐野雅美
    (c/w 花の大理石通り)※歌唱:藤本二三代
  15. 女ひとり(1960年、VS-436)
    (c/w 泣きぬれて)
  16. あの星だけは知っている(1961年、VS-460)
    • 作詞:水嶋哲 / 作曲:渡久地政信
    (c/w 恋占い)
  17. こいさん流し(1961年、VS-476)
    (c/w ねんねこ峠)※歌唱:和田弘とマヒナスターズ
  18. AF機が呼んでいる(1961年、VS-501)※共演:藤田功との共唱
    (c/w アカシヤ通り)
  19. 東京ドドンパ音頭(1961年6月、VS-508)※共演:フランク永井、藤本二三代、多摩幸子
    (c/w 三味線ドドンパ)※歌唱:神楽坂浮子
  20. 幸福は明日來る(1961年6月、VS-513)
    • 作詞:吉川静夫 / 作曲:渡久地政信
    (c/w あの娘はねんね)※歌唱:フランク永井
  21. 愛の渦潮(1961年、VS-541)
    (c/w 女の勲章)
  22. 涙の渡り鳥(1961年、VS-593)※歌唱:佐川ミツオ
    (c/w 君待てども)
  23. 哀愁の一夜(1961年、VS-608)
    (c/w その人の名は言えない)
  24. 愛すればこそ(1962年、VS-619)
    (c/w 女の園)
  25. 白い夜霧のブルース(1962年、VS-639)
    (c/w 悲しき女学生)※歌唱:竹越ひろ子
  26. 島の娘(1962年、VS-644)
    (c/w あなたなしでは)
  27. 昔の人(1962年、VS-647)
    (c/w 女は夜明けに消えていく)※歌唱:藤本二三代
  28. 明治一代女(1962年、VS-661)※歌唱:神楽坂浮子
    (c/w お傳地獄の唄)
  29. 七人の刑事(1962年、VS-662)※ビクター・オーケストラによるインストゥルメンタル
    (c/w 恋のムード)
  30. この地果つるまで(1962年、VS-684)
    (c/w 涯なき旅路)※歌唱:三浦洸一
  31. 初恋の詩(1962年6月、VS-703)※歌唱:フランク永井
    (c/w 恋に泣く)
  32. 幸福を胸に(1962年、VS-746)
    (c/w 幸福すぎて)
  33. たそがれのワルツ(1962年、VS-792)
    • 作詞:吉川静夫 / 作曲:進藤猛 / 編曲:進藤猛
    (c/w たった一つの言葉)※歌唱:雪村いづみ
  34. 東京姉妹(1962年、VS-870)※共演:藤本二三代
    (c/w 山の男で暮すのさ)※歌唱:和田弘とマヒナスターズ
  35. 銀座はマロン(1963年、VS-986)
    (c/w さよならのあとに)
  36. 紫のタンゴ(1963年、VS-1008)
    • 作詞:佐伯孝夫 / 作曲:飯田信夫 / 編曲:寺岡真三
    (c/w ママの星)
  37. 涙にしてみれば(1963年、VS-1087)
    (c/w 夜あけのふたり)※歌唱:藤田攻
  38. 熱海ブルース(1963年、VS-1098)
    (c/w どうせやくざで)※歌唱:和田弘とマヒナスターズ
  39. 巷の雨(1963年、VS-1107)
    • 作詞:川内康範 / 作曲:吉田正 / 編曲:吉田正
    (c/w 街角のノスタルジー)※歌唱:三浦洸一
  40. 国道18号線(1964年3月、SV-3)※共演:フランク永井
    • 作詞:宮川哲夫 / 作曲:吉田正 / 編曲:寺岡真三
    (c/w いつもあなたと一緒に)
  41. 香水と煙草(1964年5月、SV-54)※歌唱:フランク永井
    (c/w 港にジョーはいつ帰る)
  42. 悲しみの雨(1964年7月、SV-65)※歌唱:フランク永井
    (c/w さいはての香り)
  43. お座敷小唄(1964年8月、SV-77)※共演:和田弘とマヒナスターズ
    • 作詞:不詳 / 作曲:不詳 / 編曲:和田弘、寺岡真三
    (c/w マヒナのさのさ)※歌唱:和田弘とマヒナスターズ
  44. 朝きて 昼きて 晩もきて(1965年、SV-188)※共演:藤本二三代、神楽坂浮子
    (c/w 三人で待ってるワ)※共演:藤本二三代、神楽坂浮子
  45. 風のワルツ(1965年、SV-271)
    (c/w 街の灯が赤い)
  46. 泪のこぼれ花(1965年、SV-282)
    (c/w 泣くだけ泣いて)※歌唱:フランク永井
  47. 白い夜霧の街角(1965年、SV-327)
    (c/w 愛を知るとき)
  48. 銀座ブルース(1966年、SV-386)※共演:和田弘とマヒナスターズ、松平直樹
    • 作詞:鈴木道明・Selden G / 作曲:鈴木道明 / 編曲:寺岡真三
    (c/w 東京の夜は楽し)※歌唱:和田弘とマヒナスターズ、三原さと志
  49. 星影の小経(1967年、SV-519)※歌唱:フランク永井
    (c/w 雨の東京)
  50. 東西南北音頭(1967年6月、SV-571)※歌唱:橋幸夫三沢あけみ
    (c/w 思い出のレコード)※共演:フランク永井、吉永小百合三田明
  51. 雨がいつしか降っていた(1967年、SV-613)
    (c/w 花のゆくえ)
  52. 恋慕小唄(1968年8月、SV-613)
    • 作詞:不詳 / 補作詞:井田誠一 / 作曲:松本浩 / 編曲:松本浩
    (c/w この恋を返して)
  53. 銀座しぐれ(1968年、SV-663)
    (c/w 涙にあまえて)
  54. おじゃましたいの(1969年10月、SV-894)
    (c/w 銀座 銀座でお別れね)
  55. 再会(SV-2153)※セルフ・カバー
    • 作詞:佐伯孝夫 / 作曲:吉田正 / 編曲:寺岡真三
    (c/w 羽田の空も泣いている)
  56. 再会の朝(1971年、SV-2206)
    • 作詞:佐伯孝夫 / 作曲:吉田正 / 編曲:吉田正
    (c/w リスボンの酒場)
  57. 待ちくたびれて(1972年、SV-2269)
    (c/w 悪魔が出て来て笛を吹く)
  58. 午前零時に逢いましょう(1973年3月25日、SV-2327)
    (c/w 女の祈り)
  59. なみだの子守唄(1973年、SV-2391)
    (c/w 愛して別れて)
  60. 煙草のくせ(1974年、SV-2415)
    (c/w 恋と云うもの)
  61. ひとりぼっちのあなた(1975年、SV-2458)
    • 作詞:松本隆 / 作曲:川口真 / 編曲:川口真
    (c/w つよがり)
  62. 人情夜曲(1975年、SV-2506)
    • 作詞:泉谷しげる / 作曲:泉谷しげる / 編曲:泉谷しげる
    (c/w 夜明けのラプソディー)
  63. 夜がわるい(1976年、SV-6117)※セルフ・カバー
    • 作詞:川内康範 / 作曲:吉田正 / 編曲:吉田正
    (c/w いのちの恋)
  64. 11時(イレブン)過ぎから(1977年10月、SV-6309)※共演:フランク永井
    • 作詞:阿久悠 / 作曲:吉田正 / 編曲:寺岡真三
    (c/w お涼さん)※歌唱:フランク永井
  65. 枯葉のような女(1978年、SV-6503)
    (c/w ジョーカー)
  66. いつまでも待つの(1980年、SV-7032)※共演:フランク永井
    • 作詞:岩谷時子 / 作曲:ニック・ペリート / 編曲:ニック・ペリート
    (c/w KISS ME) ※歌唱:フランク永井
  67. 私どうしたらいいの─ナヌン オト カラグ─(1984年11月、7A0448)
    (c/w 恋模様)
  68. 酒よお前は(1986年3月、7A0568)
    (c/w 私どうしたらいいの─ナヌン オト カラグ─)
  69. 再会の朝(1987年、SV-9302)※セルフ・カバー
    • 作詞:佐伯孝夫 / 作曲:吉田正 / 編曲:吉田正
    (c/w 愛乱感謝)
  70. 春来川慕情(1990年4月21日、VIDL-10023)
    (c/w 船が港をはなれるように)

オリジナル・アルバム

  1. 松尾和子の俗曲ムード(1961年、LV-189)
  2. 夜のためいき(1966年12月、SJV-237)
  3. 知りたくないの(1967年8月、SJV-293)
  4. 愛と別離(1970年12月、SJX-59)
  5. 赤坂の夜は更けて(1970年、SJX-104)
  6. 松尾和子とため息と夜(1972年、SJX-95)
  7. 酒場の唄(1973年8月、SJX-143)
  8. ひとりぼっちのあなた(1975年、SJX-203)
  9. ラプソディー(1975年、SJX-216)
  10. 或る窓(1976年、SJX-10125)
  11. スター・ダスト(1979年、SJX-20109)
  12. お大事に/松尾和子イン・アメリカ(1980年、SJX-30020)
  13. SATIN VOICE(1984年6月21日、C28A0340)
  14. 私的・昭和歌謡掌史(1988年9月21日、VDR-1547)

テレビ番組

ドラマ

バラエティ

ほか多数

映画

紅白歌合戦出場歴

  • 1960年 第11回「誰よりも君を愛す」
  • 1961年 第12回「再会」
  • 1962年 第13回「昔の人」
  • 1989年 第40回「誰よりも君を愛す」

関連項目

脚注