「ホタル」の版間の差分
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{{Otheruses||「'''ホタル'''」「'''蛍'''」「'''螢'''」のその他の用法}} |
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{{Theotheruses|昆虫}} |
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{{生物分類表 |
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<table border="1" cellspacing="0" align="right" cellpading="0"> |
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| 名称 = ホタル科 {{sname|Lampyridae}} |
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| 画像 = [[ファイル:Hotaru1.jpg|250px]] |
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<tr><td align="center">[[画像:Hotaru1.jpg|thumb|none|200px|ゲンジボタル ''Luciola cruciata'']] |
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| 画像キャプション = [[ゲンジボタル]] {{snamei|Nipponoluciola cruciata}} |
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<tr><th align="center" bgcolor=pink>[[生物の分類|分類]] |
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|省略 = 昆虫綱 |
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<tr><td><table align="center"> |
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| 目 = [[コウチュウ目]](鞘翅目) {{sname||Coleoptera}} |
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<tr><td>界: </td><td>[[動物|動物界]] Animalia |
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| 亜目 = [[カブトムシ亜目]](多食亜目) {{sname||Polyphaga}} |
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<tr><td>門: </td><td>[[節足動物|節足動物門]] Arthropoda |
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| 下目 = [[コメツキムシ下目]] {{sname||Elateriformia}} |
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<tr><td>綱: </td><td>[[昆虫類|昆虫綱]] Insecta |
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| 上科 = [[ホタル上科]] {{sname||Elateroidea}} |
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<tr><td>目: </td><td>[[甲虫類|コウチュウ目]](鞘翅目) Coleoptera |
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| 科 = '''ホタル科''' {{sname||Lampyridae}}<br />{{AUY|Latreille|1817}} |
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<tr><td>亜目: </td><td>カブトムシ亜目(多食亜目) Polyphaga |
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| 英名 = {{interlang|en|Firefly}} |
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<tr><td>上科: </td><td>ホタル上科 Cantharoidea |
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| 下位分類名 = [[亜科]] |
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<tr><td>科: </td><td>'''ホタル科''' Lampyridae</table> |
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| 下位分類 = |
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<tr><th align="center" bgcolor=pink>種類 |
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* クシヒゲボタル亜科(エダヒゲボタル亜科) {{sname||Cyphonocerinae}} |
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<tr><td align="center">(本文参照) |
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* マドボタル亜科 {{sname||Lampyrinae}} |
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<tr><th align="center" bgcolor=pink>英名 |
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* ホタル亜科 {{sname||Luciolinae}} |
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<tr><td align="center">[[w:Firefly|Firefly]]</table> |
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* ミナミボタル亜科 {{sname||Ototetrinae}} |
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'''ホタル'''(蛍、螢)は、コウチュウ目(鞘翅目)・ホタル上科・'''ホタル科'''(Lampyridae)に分類される昆虫の総称。 [[発光]]することで知られる昆虫である。 |
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* {{sname||Photurinae}} |
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}} |
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[[File:Photinus pyralis Firefly 3.jpg|thumb|200px|right|{{snamei|Photinus pyralis}} が飛ぶ]][[File:Luciola lusitanica.jpg|thumb|200px|right| {{snamei|Luciola lusitanica}} のオスの正面]][[File:Firefly ホタル 蛍 Hotaru.jpg|thumb|right|200px|発光するホタル(日本)]][[File:Numerous fireflies glowed above the stream 川浦川の蛍(ホタル).jpg|thumb|200px|right|日本の河川でのホタルの群舞]][[File:Firefly composite.jpg|thumb|right|200px|ホタルの発光部位は腹部の後方である]][[File:Lampyris noctiluca.jpg|thumb|right|200px|メスや幼虫も光る(画像は {{snamei|Lampyris noctiluca}} のメス)]] |
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'''ホタル'''(蛍、螢)は、[[コウチュウ目]](鞘翅目)・'''ホタル科''' {{sname|Lampyridae}} に分類される[[昆虫]]の総称<ref name="ニッポニカ">{{Cite Kotobank|word=ホタル|encyclopedia=『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館|accessdate=2022年3月27日}}</ref>。[[発光]]することで知られる[[昆虫]]であり、ホタルという名もその様から「火(ホ)を垂(ル)」として呼ばれるようになったが、ほとんど光らない種が多い<ref name="ニッポニカ" />。 |
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== 概要 == |
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日本で「ホタル」といえば、本州以南の日本各地に分布し、5月から6月にかけて発生する'''[[ゲンジボタル]]''' ''Luciola cruciata''のことを指すことが多い。 |
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[[極地]]や[[砂漠]]などの乾燥地を除いた全世界に分布していており、2000種以上が生息しているとされる{{Sfn|古河|2011|p=89}}。[[幼虫]]時代を水中で過ごす水生ホタルと、陸上の湿地で過ごす陸生ホタルがいる<ref name="大場2004">『だれでもできるホタル復活大作戦』</ref><ref name="矢島2003">『謎とき昆虫ノート』</ref>。ただし水生ホタルは世界で10種類ほどしか知られておらず、そのうち日本には[[ゲンジボタル]]、[[ヘイケボタル]]、[[クメジマボタル]]の3種類が生息している{{Sfn|古河|2011|p=89}}。 |
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==概要== |
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おもに[[熱帯]]から[[温帯]]の多雨地域に分布し、世界にはおよそ2000種が生息しているとされる。[[発光]]することで有名な昆虫だが、ほぼ一生を通じて発光する種類もいれば、逆に全く発光しない種類もいる。 |
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[[日本]]で「ホタル」といえば一般的には'''[[ゲンジボタル]]''' {{snamei|Nipponoluciola cruciata}} を指すことが多い{{Sfn|古河|2011|p=2-3}}。[[本州]]、[[四国]]、[[九州]]と周囲の島に分布し、[[北海道]]に移入分布する。九州地方では[[5月]]上旬から、東北では[[7月]]頃から羽化する{{Sfn|東京ゲンジボタル研究所|2004|p=17}}。 |
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成虫の体長は1-3cmほどのものが多く、小型の昆虫である。体型は細長く、左右に平たい。オスとメスを比べるとメスのほうが大きい。メスは翅が[[退化]]して飛べない種類もあり、さらには[[幼虫]]のままのような外見をした種類もいる。 |
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本州、四国、九州では、[[ゲンジボタル]]、[[ヘイケボタル]]、[[ヒメボタル]]、[[クロマドボタル]]、[[オバボタル]]、[[オオオバボタル]]、[[スジグロボタル]]、[[ムネクリイロボタル]]、[[カタモンミナミボタル]]のおおむね9種類が観察される{{Sfn|古河|2011|p=1-2}}。日本では50種ほどのホタルが確認されているがほとんどは[[南西諸島]]に分布しており、沖縄などでゲンジボタルより扁平な[[マドボタル]]を見ることができる。 |
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また、成虫が発生する時期にもちがいがある。ゲンジボタルの成虫は初夏に発生するが、[[朝鮮半島]]、[[中国]]、[[対馬]]に分布するアキマドボタル ''Pyrocoelia rufa''は和名のとおり秋に成虫が発生する。 |
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[[台湾]]では60種以上が生息しており、[[初夏]]にホタルを鑑賞する観光行事も行われている<ref>[https://jp.taiwan.net.tw/att/files/%E5%A4%9C%E8%9E%A2%E8%A6%AA%E8%A6%AA_%E5%85%A8%E5%8F%B0%E8%B3%9E%E8%9E%A2%E5%9C%B0%E5%9C%96(%E6%97%A5%E6%96%87%E7%89%88).pdf 夜空を輝かせるホタル(夜螢親親)]. 台湾観光局. 2022年4月8日閲覧</ref>。 |
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多くの種類の幼虫は多雨林の林床にすみ、そこにすむ[[カタツムリ]]や[[キセルガイ]]などの陸生巻き貝を捕食して成長する。日本にすむゲンジボタルや[[ヘイケボタル]]の幼虫は淡水中にすんで[[モノアラガイ]]や[[カワニナ]]などを捕食するが、これはホタル全体で見るとむしろ少数派である。 |
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ゲンジボタルの成虫が初夏に発生するため、日本ではホタルは[[夏]]の[[風物詩]]と捉えられており、夜の蛍の発光を鑑賞する「蛍狩り」が行われる{{Efn|一例として、[https://www.kochinews.co.jp/article/191519/ 「蛍火が星空と競演 高知県四万十町の津賀ダム湖」]{{リンク切れ|date=2022年4月}}『[[高知新聞]]』2018年6月15日(2018年11月27日閲覧)。}}。日本を含む[[東アジア]]において、蛍の成虫は必ずしも夏だけに出現するものではない。例えば[[朝鮮半島]]、[[中華人民共和国|中国]]、[[対馬]]に分布する[[アキマドボタル]] {{snamei|Pyrocoelia rufa}} は[[和名]]通りに[[秋]]に成虫が発生する。[[西表島]]で発見された[[イリオモテボタル]] {{snamei|Rhagophthalmus ohbai}} は真[[冬]]に発光する。南西諸島に数種が分布するヒゲボタル類も秋から冬に成虫が現れる<ref name="松村2022">松村雅史編著 2022 沖縄甲虫図鑑.沖縄時事出版</ref>。 |
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成虫になると水分を取るだけだが、中には成虫となっても他の昆虫などを捕食する種類もいる。 |
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==発光のメカニズム== |
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そもそもホタルが発光する能力を獲得したのは「敵をおどかすため」という説や「食べるとまずいことを警告する[[警戒色]]である」という説がある。事実ホタル科の昆虫は[[毒]]をもっており、よく似た姿や配色(ベイツ[[擬態]]、ミューラー擬態)をした昆虫も存在する。 |
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== 形態 == |
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発光は同種の異性個体との信号として使われるが、その発光パターンは種類によってちがう。中にはオスがひとつの木に集まり、一斉に同調して光る種類もいる。 |
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成虫の体長は数mmから30mmほどで、[[甲虫]]としては小型から中型である。体型は前後に細長く、腹背に平たい。特に前胸は平らで、頭部を被うことが多い。よくある色合いは全体に黒っぽく、前胸だけが赤いというものである。その体は[[甲虫類|甲虫]]としては柔らかい。オスとメスを比べるとメスのほうが大きい。メスは[[昆虫の翅|翅]]が[[退化]]して飛べない種類があり、さらには[[幼虫]]のままのような外見をした種類もいる。光でコミュニケーションする種では触角は糸状で細いが、フェロモンを使う種では鋸歯状だったり、クシ状だったりするものもいる。成虫期間は約1-2週間。 |
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幼虫はやや扁平で細長い。頭部は胸部に引っ込めることができる。胸部に短い三対の歩脚があり、腹部の後端に吸盤があって、[[シャクトリムシ]]のように移動する。 |
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ホタルの発光物質はルシフェリンと呼ばれ、ルシフェラーゼという酵素と[[アデノシン三リン酸|ATP]]がはたらくことで発光する。発光は腹部の先の表皮近くの発光層でおこなわれ、発光層の下には光を反射する反射層もある。ホタルに限らず、生物の発光は電気による光源と比較すると効率が非常に高く、熱をほとんど出さない。このため「冷光」とよばれる。 |
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==おもな種類== |
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日本には40種類以上のホタルがいるといわれている。代表的なものは次のとおり。 |
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== 食性 == |
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'''[[ゲンジボタル]]''' ''Luciola cruciata'' |
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多くの種類の幼虫は湿潤な[[森林]]の林床で生活し、種類によって[[カタツムリ|マイマイ]]や[[キセルガイ]]などの陸生[[巻貝]]類や[[ミミズ]]、[[ヤスデ]]などといった[[土壌動物]]の捕食者として分化している。日本に棲む[[ゲンジボタル]]、[[ヘイケボタル]]、[[クメジマボタル]]の3種の幼虫は淡水中に生息し、[[モノアラガイ]]や[[カワニナ]]、[[タニシ]]や[[ミヤイリガイ]]などの淡水生巻貝類を捕食するが、これはホタル全体で見るとむしろ少数派である(実際、『[[ファーブル昆虫記]]』に登場するホタルは陸棲で、[[カタツムリ]]を捕食する)。また、[[スジグロボタル]]の幼虫は普段は陸上で生活するが、摂食時のみ林内の小さな[[湧水]]や細流の水中に潜り、カワニナを捕食していることが知られている。ゲンジボタルやヘイケボタルなど水生の種では、幼虫・成虫ともに[[水草]]や[[スイカ]]のような香りがある。 |
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:体長15mm前後で、日本では大型の種類。成虫は複眼が丸くて大きく、前胸部中央の黒い模様は[[十字架]]形をしている。幼虫は川の中にすみ、[[カワニナ]]を捕食する。初夏の[[風物詩]]として人気が高く、定着への試みが日本各地で行われている。 |
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'''ヘイケボタル''' ''Luciola lateralis'' |
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:体長8mm前後で、ゲンジボタルより小さい。おもに水田などの止水域で発生する。幼虫は[[モノアラガイ]]や[[タニシ]]などを捕食し、やや富栄養化した環境にも適応する。成虫の出現期間は長く、5月から9月頃まで発光が見られる。 |
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'''ヒメボタル''' ''Hotaria paruvula'' |
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:体長は7mm前後で、ヘイケボタルより更に小型の陸棲のホタルである。西日本の林地や草地に分布する。幼虫は林床にすみ、マイマイやキセルガイなどを捕食する。5-6月に羽化しかなり強く発光するが、川辺などの開けた場所ではなく森林内などの人目につきにくい場所で光るのであまり知られていない。メスは飛行できないため分布地の移動性は小さく、地域により体長の差などがある。 |
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'''マドボタル''' |
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:マドボタル属(''Pyrocoelia''属)のホタルの総称で、多くの種類がある。和名はオスの胸部に窓のような2つの透明部があることに由来する。メスは羽が退化していて、幼虫そのままのような外見をしている。幼虫は陸生。成虫は光るものも光らないものもある。 |
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'''オバボタル''' ''Lucidina biplagiata'' |
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:体長10mm前後。体は黒色で平たく、前胸に2つの赤い斑点があり、尾部も赤い。他のホタルと同じような体色だが、発光はしない。 |
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多くの種類の成虫は、口器が退化しているため、口器はかろうじて水分を摂取するぐらいしか機能を有していない。このため、ほぼ1-2週間の間に、幼虫時代に蓄えた栄養素のみで繁殖活動を行うことになる。海外には、成虫となっても他の昆虫などを捕食する種がいる。 |
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なお、[[ベニボタル]]は和名に「ホタル」とあるが、ホタル科ではなくベニボタル科(Lycidae)である。 |
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== 発光 == |
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ホタルのうち尾部などに[[発光器|発光器官]]を持つ種は、[[酵素]]の[[ルシフェラーゼ]]と、[[ルシフェリン]]の[[化学反応]]で光を発する(後述「発光のメカニズム」参照)。日本の[[基礎生物学研究所]]と[[中部大学]]はヘイケボタルの、両者に[[アメリカ合衆国|米国]][[マサチューセッツ工科大学]]を加えた研究チームは米国産ホタル「フォティヌス・ピラリス」の[[ゲノム]]を2018年に解読。発光しない生物にもある[[脂肪酸]][[代謝]][[酵素]]([[アシルCoA]]合成酵素)が、ホタルの祖先が[[進化]]する過程で重複を起こして、1億年以上前に発光能力を得たと推測されるとの研究結果を発表した(ホタルとは近縁の[[コメツキムシ|ヒカリコメツキ]]の発光原理も同様であるが、進化の過程は別)<ref>[http://www.nibb.ac.jp/press/2018/10/16.html ホタルのゲノム解読に成功 〜ホタルの光の遺伝子の進化が明らかに〜]基礎生物学研究所/中部大学プレスリリース(2018年10月16日)2018年11月27日閲覧。</ref>。 |
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夜に発光しながら乱舞するホタル類は、古来から日本で人気のある昆虫の一つで、ホタルを題材とした文化も数多い。自然保護の機運も高まった近年では自治体などでホタルを放流するなどの試みも盛んである。 |
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ホタルが発光する能力を獲得したのは「敵をおどかすため」という説や「食べるとまずいことを警告する[[警告色|警戒色]]である」という説がある。事実ホタル科の昆虫は[[毒]]を有しており、よく似た姿や配色([[ベーツ擬態]]、[[ミューラー擬態]])をした昆虫も存在する。ただし、それらは体色が蛍に似るものであり、発光するわけではない。 |
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放流の際にはその地域に住むホタルの生態系を破壊しないため、その地域と同種の蛍が放たれることが多い。ゲンジボタルの多い地域にはヘイケボタルを、またヘイケボタルが多い地域にはゲンジボタルを放つなどの行為が禁止されている地域もある。そもそもゲンジボタルとヘイケボタルでは生息する水環境がちがうので、ちがう種類を放流してもうまくいかないことが多い。 |
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===慣用句=== |
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*蛍二十日に蝉三日 : 旬の時期が短いことの喩え。 |
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*蛍雪、蛍の光 窓の雪 : |
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*蛍火 : |
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===[[俳句]]・[[短歌]]=== |
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*ゆく蛍 雲の上までいぬべくは 秋風吹くと雁に告げこせ([[伊勢物語]]45段、後撰集252、[[在原業平]]) |
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*夕されば 蛍よりけに燃ゆれども 光見ねばや人のつれなき(古今集562、[[紀友則]]) |
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*こゑはせで身をのみこがす蛍こそ いふよりまさる思なるらめ([[源氏物語]]第二十五帖 蛍の巻) |
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*音もせで思ひに燃ゆる蛍こそ 鳴く虫よりもあはれなりけれ(後拾遺集216、源重之) |
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*物思へば 沢の蛍もわが身より あくがれいづる魂かとぞ見る(後拾遺集1164、[[和泉式部]]) |
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*奥山にたぎりて落つる瀧の瀬の 玉ちるばかりものな思ひそ(後拾遺集1165、貴船の明神) |
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*我が恋は 水に燃えたつ蛍々 物言はで笑止の蛍 (閑吟集) |
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*己が火を木々に蛍や花の宿([[松尾芭蕉]]) |
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===ホタルの名所=== |
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*[[北海道]]: [[沼田町]] |
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*[[青森県]]: [[十和田市]] |
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*[[岩手県]]: |
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*[[宮城県]]: [[登米市]](旧東和町) |
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*[[秋田県]]: |
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*[[山形県]]: [[米沢市]] |
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*[[福島県]]: |
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*[[茨城県]]: [[つくば市]]上境 - [[潮来市]]島須 |
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*[[栃木県]]: |
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*[[群馬県]]: [[吾妻郡]][[東村 (群馬県吾妻郡)|東村]]箱島 - [[月夜野町]] |
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*[[埼玉県]]: |
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*[[千葉県]]: |
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*[[東京都]]: [[世田谷区#名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事|世田谷区]]岡本民家園 |
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*[[神奈川県]]: [[横浜市]] |
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*[[富山県]]: [[富山市]] |
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*[[石川県]]: [[かほく市]] |
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*[[福井県]]: |
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*[[新潟県]]: [[長岡市]] - [[巻町]] - [[弥彦村]] |
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*[[山梨県]]: |
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*[[長野県]]: [[須坂市]]鮎川 - [[辰野町]] |
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*[[岐阜県]]: [[本巣町]]席田用水 |
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*[[静岡県]]: [[柿田川]] - [[清水町 (静岡県)|清水町]] |
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*[[愛知県]]: [[名古屋市]]名古屋城 - [[岡崎市]] - [[瀬戸市]]馬ケ城浄水場 - [[西尾市]] - [[阿久比町]] |
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*[[三重県]]: [[志摩市]]-[[磯部町]]・神路川(平家蛍)・その他市内随所で見られる |
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*[[滋賀県]]: [[米原市]]-[[守山市]] |
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*[[京都府]]: [[京都市]][[左京区]] |
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*[[大阪府]]: |
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*[[兵庫県]]: [[南あわじ市]] - [[朝来市]] - [[加美町 (兵庫県)|加美町]]杉原川 |
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*[[奈良県]]: |
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*[[和歌山県]]: [[貴志川町]] - [[美里町 (和歌山県)|美里町]] - [[日高川町]] |
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*[[鳥取県]]: |
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*[[島根県]]: [[安来市]] |
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*[[岡山県]]: [[真庭市]] - [[矢掛町]] |
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*[[広島県]]: [[庄原市]] |
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*[[山口県]]: [[宇部市]] - [[長門市]] |
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*[[徳島県]]: |
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*[[香川県]]: [[満濃町]] |
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*[[愛媛県]]: |
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*[[高知県]]: |
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*[[福岡県]]: [[福岡市]] - [[星野村]] - [[立花町]] |
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*[[佐賀県]]: [[小城市]] |
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*[[長崎県]]: 市街地を除く県内各地に点在 |
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*[[熊本県]]: [[菊池市]] - [[岱明町]] - [[甲佐町]] |
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*[[大分県]]: [[耶馬溪]] |
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*[[宮崎県]]: [[小林市]]出の山公園 |
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*[[鹿児島県]]: [[鹿児島市]]けんこうの森 - [[指宿市]]池田湖 - [[吉田町 (鹿児島県)|吉田町]] - [[鹿屋市]] |
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*[[沖縄県]]: [[下地町]][[来間島]] |
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|} |
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[[卵]]や幼虫の時代にはほとんどの種類が発光する。成虫が発光する種は夜行性の種が大半を占め、昼行性の種の成虫では強く発光する種も存在するが、多くの種はまず発光しない。[[夜行性]]の種類では主に[[繁殖行動|配偶行動]]の交信に発光を用いており、光を放つリズムやその際の飛び方などに種ごとの特徴がある。このため、「[[交尾]]のために発光能力を獲得した」と言う説も有力である。一般的には雄の方が運動性に優れ、飛び回りながら雌を探し、雌はあまり動かない。成虫が発光する場合は[[蛹]]も発光するので、このような種は[[生活史 (生物)|生活史]]の全段階で発光することになる。[[昼行性]]の種では、光に代わって、あるいは光と併用して、性[[フェロモン]]をコミュニケーションの媒体としていると考えられる<ref name="矢島2003"/>。 |
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===「蛍」の付く地名=== |
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*[[青森県]][[青森市]]大字浅虫字蛍谷 |
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変わった例では以下のような種類もいる。 |
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*[[青森県]][[青森市]]大字駒込字蛍沢 |
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* 一方の性のみ発光する。 |
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*[[富山県]][[富山市]]婦中町蛍川 |
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* 北米に生息する [[:en:Photuris]] の雌は他種の雌をまねて発光し、その雄をおびき寄せて捕食してしまう。 |
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*[[大阪府]][[豊中市]]蛍池 |
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* 雄が一か所に集まり一斉に同調して光る。[[東南アジア]]の[[マングローブ]]地帯で、一本の木に集まって発光するものが有名。ゲンジボタルも限定的ではあるが集団がシンクロ発光するのが見られる<ref name="大場2003">『ホタルの木』</ref>。 |
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*[[高知県]][[南国市]]蛍が丘 |
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==関連項目== |
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=== 発光のメカニズム === |
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*[http://members.jcom.home.ne.jp/hotaru-net/hotaru/hajime.html ホタル百科事典] - 東京に住むゲンジホタルの生態 |
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発光するホタルの成虫は、腹部の後方の一定の体節に発光器を持つ。幼虫は、腹部末端付近の体節に発光器を持つものが多いが、より多くの体節に持っている場合もある。 |
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*[http://web.kyoto-inet.or.jp/people/mituru/hotaru.html 京都ホタルマップ] |
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*[[蛍光灯]] |
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ホタルの発光物質は[[ルシフェリン]]と呼ばれ、[[ルシフェラーゼ]]という酵素と[[アデノシン三リン酸|ATP]]がはたらくことで発光する。発光は表皮近くの発光層で行われ、発光層の下には光を反射する反射層もある。ホタルに限らず、生物の発光は電気による光源と比較すると効率が非常に高く、熱をほとんど出さない。このため「[[冷光]]」とよばれる。 |
|||
*[[蛍石]] - ほたるいし・fluorite(フローライト). |
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*[[第二次世界大戦]]のアメリカの戦車M-4に英国軍が17ポンド砲を換装・搭載した戦車をファイアフライ(ホタル)と名付けた。 |
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== 主な種類 == |
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*「[[仮面ライダー555]]」に登場するライダーの一人、仮面ライダーファイズは、闇夜に浮かぶ大きな黄色い目と赤いラインというその個性的なシルエットから、ホタルをモチーフとする説があった(後に否定された)。 |
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日本には50種類以上のホタルが生息しているが、代表的な種類には以下のようなものがいる{{Sfn|古河|2011|p=1-2}}。なお、上述のイリオモテボタルは、ホタル科でなくオオメボタル科Rhagophthalmidaeであり、日本からは1種しか知られていない。また[[ベニボタル]]も和名に「ホタル」とあるがホタル科ではなく、同じホタル上科のベニボタル科 ({{sname|Lycidae}}) の昆虫である。 |
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[[de:Leuchtkäfer]] |
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[[en:Firefly]] |
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; [[ゲンジボタル]] {{snamei|Nipponoluciola cruciata}} ({{small|{{AUY|Motschulsky|1854}}) }} |
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[[he:גחלילית]] |
|||
: 体長15mm前後で、日本産ホタル類では大型種。成虫の前胸部中央には[[十字架]]形の黒い模様がある。幼虫は[[川]]の中流域にすみ、[[カワニナ]]を捕食する。初夏の[[風物詩]]として人気が高く、保全への試みが日本各地で行われているが、遺伝的に異なる特性を持った他地域のホタルの増殖・放流による[[遺伝子汚染]]が問題になってもいる。 |
|||
[[minnan:Hóe-kim-ko·]] |
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; [[ヘイケボタル]] {{snamei|Aquatica lateralis}} ({{small|{{AUY|Motschulsky|1860}}) }} |
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[[nl:Glimwormen]] |
|||
: 体長8mm前後で、ゲンジボタルより小さい。主に細流や水[[田]]などの止水域で発生する。幼虫はカワニナだけでなく[[モノアラガイ]]や[[タニシ]]など様々な淡水生巻貝類を幅広く捕食し、やや富栄養化した環境にも適応する。また時には干上がる水田のような環境でも、鰓呼吸だけではなく空気呼吸を併用し、泥に潜って生き延びる。成虫の出現期間は長く、5月から9月頃まで発光が見られる。 |
|||
[[sv:Lysmask]] |
|||
; [[ヒメボタル]] {{snamei|Luciola parvula}} {{small|{{AUY|Kiesenwetter|1874}} }} |
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[[Category:昆虫|ほたる]] |
|||
: 体長は7mm前後で、ヘイケボタルより更に小型の陸棲のホタルである。西日本の林地や草地に分布する。幼虫は林床にすみ、[[マイマイ]]や[[キセルガイ]]などを捕食する。5-6月に羽化し、かなり強く発光するが、川辺などの開けた場所ではなく森林内などの人目につきにくい場所で光るのであまり知られていない。[[名古屋城]]の堀の中に広がる草地には、都市部では珍しい大規模な生息地があることが知られている。メスは飛行できないため分布地の移動性は小さく、個々の個体群は隔離されがちで、地域により体長など遺伝的特性の差が著しい。 |
|||
; [[オバボタル]] {{snamei|Lucidina biplagiata}} {{small|{{AUY|Motschulsky|1866}} }} |
|||
: 体長10mm前後。体は黒色で平たく、前胸に2つの赤い斑点があり、尾部も赤い。他のホタルと同じような[[体色]]だが、昼行性でほとんど発光しない。幼虫は森林の土壌中で、小型の[[ミミズ]]を捕食している。 |
|||
; [[クシヒゲボタル]] {{snamei|Cyphonocerus}} spp. |
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: クシヒゲボタル属 ''Cyphonocerus''の総称で、本土からムネクリイロボタルやヘリアカクシヒゲボタル、南西諸島からオキナワクシヒゲボタル、ヤエヤマクシヒゲボタルが知られる。ムネクリイロボタルやオキナワクシヒゲボタルでは雌の翅が幾分退化し飛べないことが知られている<ref>川島逸郎 2009 オキナワクシヒゲボタル♀成虫の記載.豊田ホタルの里ミュージアム研究報告書(2): 1-7.</ref>。 |
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; [[マドボタル]] {{snamei|Pyrocoelia}} spp. |
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: マドボタル属 {{snamei|Pyrocoelia}} の総称で、多くの種類がある。和名はオスの胸部に[[窓]]のような2つの透明部があることに由来する。メスは翅が退化していて、蛹がそのまま歩き出したような外見をしている。幼虫は陸生で、主に小型のカタツムリ類を捕食し、他の陸生のホタル幼虫に比べて夜には活発に光りながら草や低木にもよじ登るので、よく目立つ。成虫はよく光るものも痕跡的な発光しかしないものもある。本州東部には中型種のクロマドボタル、本州西部と四国、九州には中型種のオオマドボタル、対馬には大型種のアキマドボタルが生息し、南西諸島(奄美以南)からは6種が知られ、そのうちミヤコマドボタルとヤエヤママドボタルのメスは、アキマドボタル並みに大型で体長は3 cmを超える<ref name="松村2022"/>。 |
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; [[ヒゲボタル]] {{snamei|Stenocladius}} spp. |
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: ヒゲボタル属 ''Stenocladius''の総称で以前はクシヒゲボタルと呼ばれていた(現在はクシヒゲボタルの名は''Cyphonocerus''属の種にあてられている)。オスの触角が櫛の歯状に発達している。メスは翅が退化しているばかりでなく、ほぼ幼虫のような形態をしていて、より淡色。幼虫は湿潤な森の林床でミミズを捕食する。体は乳白色で各体節に赤褐色の背板を持つ。南西諸島に数種が分布し、成虫は秋から冬に出現する。昼行性だが雌雄ともまたはメスのみ弱く発光する<ref>大場信義・後藤好正・川島逸郎 1997 日本産クシヒゲボタル属の行動および雌成虫形態. 横須賀市博研報(自然) (45):23-37.</ref>。 |
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オキナワクシヒゲボタル奄美亜種 Cyphonocerus okinawanus amamianus ♂ 奄美大島奄美市 2020年3月25日.jpg|オキナワクシヒゲボタル奄美亜種 ♂ |
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アマミヒゲボタル Stenocladius yoshimasai ♂ 奄美大島大和村 2019年11月29日.jpg|秋に現れる蛍アマミヒゲボタル♂ |
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</gallery> |
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== ホタルの減少 == |
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ホタルの生息数は年々減少しており、その原因としては生息環境の破壊や汚染、自然環境の放置、ホタル観賞のマナーの問題などが挙げられる{{Sfn|古河|2011|p=69-71}}。 |
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環境省の「第2回自然環境保全基礎調査報告書」(1982年)によればホタル減少の原因として、[[農薬]]の使用、[[イワナ]]漁のための[[毒もみ|毒流し]]、[[ミヤイリガイ]]の駆除{{Efn|かつて[[日本住血吸虫]]の中間宿主であったミヤイリガイをホタルの幼虫が捕食していたが、ミヤイリガイを駆除することによってホタルの生息環境も奪われることになった。}}、汚水や排水の流入、工事等による土砂の流入、川[[砂利]]の採取、河川や用水路の改修などが挙げられているという{{Sfn|古河|2011|p=69-71}}。 |
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自然環境については、特に里山の放置による生態系の変化が大きいとされる{{Sfn|古河|2011|p=69-71}}。ホタル鑑賞者のマナーの問題とは、ホタルを採集してしまったり、光でコミュニケーションをとっているホタルに対して人工的な照明を向けることにより交配ができずに子孫を残せなかったり、ゴミを捨てることによる環境の悪化などが挙げられる{{Sfn|古河|2011|p=71-75}}。 |
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== ホタルの保護と復活 == |
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[[多摩動物公園]]昆虫館でホタル飼育技術を確立した[[矢島稔]](日本ホタルの会名誉会長)は、昭和40年代以来、[[皇居]]ほか各地のホタル復活に手を貸してきた<ref name="矢島1981">[[矢島稔]]『昆虫誌』</ref>。現在では自然保護の気運も高まり、自然回復や河川の浄化を含めて、自治体などの取り組みとしてゲンジボタルの保護や[[放流]]が行われるようになっている{{Sfn|東京ゲンジボタル研究所|2004|p=75-76}}。 |
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しかし、ホタル復活を謳いながら実は[[ビオトープ]]が「[[造園業]]者が手掛ける[[箱庭]]」「人寄せパンダ」に過ぎなかったり、ホタルの養殖販売業者からホタルの幼虫や成虫を購入して放すだけだったりする場合も少なくない{{Sfn|古河|2011|p=77-79}}。ホタルをめぐってのトラブルも各地で発生しており、解決すべき課題も多い。 |
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* ホタルを放流したはいいが、川辺の護岸や植生により定着できない。 |
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* ホタル狩りの観光客がライトを点灯させ、ホタルの活動が妨げられた{{Sfn|古河|2011|p=79-80}}。 |
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* ホタル狩りの観光客が道を塞ぎ、地域住民の交通に支障を来たした<ref name="大場2004" />。 |
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* 川を汚さないようにと、子供たちの川遊びまでも禁止された。 |
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* ホタルと[[コイ]]([[水生昆虫]]などを貪欲に捕食する)を同じ水域に放流した。 |
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なお、他地域のゲンジボタル、または幼虫の餌となるカワニナを放流することは[[遺伝子汚染]]を引き起こすため、行うべきではない。 |
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ホタルの研究会として、日本ホタルの会、陸生ホタル生態研究会、全国ホタル研究会、東京ゲンジボタル研究所、NPOホタルの会などがある。 |
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===ホタル保全護岸=== |
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ホタル保全護岸は護岸本来の機能に加え、ホタルやそのエサとなるカワニナの生育に適した環境をつくることを目的とした[[護岸]]である。 |
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山口県はホタルで有名で<ref>[http://www.a-rr.net/jp/waterside/domestic/docs/2011J16_ichinosaka.pdf 一の坂川 『よみがえる川 - 河川再生事例集』(2011年刊)より]. 日本河川・流域再生ネットワーク. 2022年3月28日閲覧</ref>、特にホタルの生息が多いのが、山口市の[[一の坂川]]、[[椹野川]]、[[吉敷川]]および下関市豊田町の[[木屋川]]で、[[天然記念物]]指定河川となっている<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cms/a18600/kawadukuri/hotaru.html|title=ホタル護岸の整備|website=山口県|date=2018-05-02|accessdate=2022-03-28}}</ref>。 |
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小規模河川改修事業が実施された一の坂川の護岸は、ホタル保全護岸の代表的なものである。一の坂川は市街地を貫流し、両岸には住宅や道路がせまっているため、拡幅せずに河床の掘り下げによる河積の拡大を図る改修が行なわれた。こうしたことから護岸も急勾配の法面となる等の制約のもとにホタル保全護岸が考えられた。 |
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河川底の掘り下げによりそれまで河に棲息していたホタルの幼虫やエサのニナも取り除かれてしまうため、改修にあたっては再びホタルの棲息条件を整え、改修後あらたに幼虫やカワニナを放流しホタルの復活を図る工法として考えられた。 |
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ホタルの棲息条件を満たすために次のような点が配慮されている。 |
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* ホタルの幼虫の水虫生活に支障のない流速(約30cm/sec以下)を確保する。 |
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* 護岸は生物の棲息を有利にするため出来る限り土壌面や樹木を確保する。 |
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また、椹野川でのホタル護岸は連結ブロックを利用してホタルの棲息条件を整えた事例がある。 |
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その連結ブロックの利用に当たって連結ブロックの突起の下側を一部削り取り、日陰となる下側に粘土詰めし表面にヨモギ類を植え付ける、連結ブロック間の間隙にも粘土を詰め幼虫の土中潜入および植栽を可能にする、といった改良が行なわれている。 |
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=== 岡山県真庭市の北房地域の試み === |
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[[ファイル:真庭市_ホタル(井弥の穴前).jpg|代替文=真庭市_ホタル(井弥の穴前)|サムネイル|ゲンジボタル(備中川、井弥の穴付近)]] |
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[[ファイル:真庭市 ホタル(諏訪洞前).jpg|thumb|ヒメボタル(諏訪の穴前、北房ほたる公園付近)]] |
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[[カルスト地形]]が広がり[[石灰岩]]が多く分布する真庭市の北房地域は、川の浸食による[[渓谷]]や[[鍾乳洞]]などが形成される。地域を流れる備中川の水には[[カルシウム]]が豊富に含まれることから、[[ゲンジボタル]]のエサになる[[カワニナ]]も多く生息し、ゲンジボタルの生育に適した環境が整っており、昔から多くのホタルが飛び交っていた。しかし1955年(昭和30年)頃には[[農薬]]の使用や乱獲などにより激減。1959年(昭和34年)には旧[[北房町]]が備中川とその支流を[[天然記念物]]に指定し保護を開始させた<ref name=":07">{{Cite web |title=北房ホタル保護50周年・活動振り返るパネル9枚制作し展示 真庭タイムス |url=http://maniwatimes.sblo.jp/article/188258475.html |date=2020-12-18 |access-date=2023-12-28|language=ja}}</ref>。1970年(昭和45年) [[北房町]]が主体となる「ホタルを育てる会」が結成され、2007年(平成19年)「[[北房ホタル保存会]]」に改称された<ref>{{Cite journal |和書|title=北房のホタル|journal=パンフレット|pages=6-7|publisher=真庭市|access-date=2024-10-23 }}</ref>。 |
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2020年(令和2年)、[[ゲンジボタル]]や[[ヒメボタル]]に比べ圧倒的に少ない[[ヘイケボタル]]の個体数を増やすため、同会会員は北房ほたる公園内の水路に[[ハナショウブ]]の株を植える<ref>{{Cite news|和書|title=ヘイケボタル増やそう 水路にハナショウブ植栽|newspaper=山陽新聞|date=2020-11-11}}</ref>。2022年(令和4年)、備中川やその支川の約6割、計29.6キロメートルもの区間で生息を確認できた。会員20名による[[ゲンジボタル]]の生息マップが調査により作成された<ref name=:06>{{Cite web |title=「ホタルの里」の魅力 パンフに 真庭・北房の保存会が製作 山陽新聞digital|url=https://www.sanyonews.jp/article/1404001|date=2023-05-28|access-date=2024-10-23|language=ja}}</ref>。 |
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== 文化 == |
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[[File:Hotarugari.jpg|thumb|[[摂津名所図会]]「蛍狩り」1796-1798]] |
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[[File:Hotarugari Mizuno Toshikata.jpg|thumb|[[水野年方]]「三十六佳撰 螢狩 [[天明]]頃婦人」1891年]] |
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[[File:Hotaru kuniyoshi.jpg|thumb|[[歌川国芳]]「四季遊観 納涼(すずみ)のほたる」1843年]] |
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夜に発光しながら活動するホタル類、特にゲンジボタルは古来から日本で人気のある昆虫の一つで、ホタルを題材とした文化も数多い。ホタル発光研究の草分けとして知られる[[神田左京]]は「ホタル」の名が『[[日本書紀]]』(彼地多有蛍火之光神)や『[[万葉集]]』(螢成)に既に見られると指摘する<ref name="神田1935">神田左京『ホタル』</ref>。 |
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ゲンジボタルを中心とする日本に於けるホタル鑑賞のことを特に「ホタル狩り」という。ホテルなどでの催しとしてホタルを放つ例もある。 |
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また、ゲンジボタル以外が完全に無視されていたわけではなく、陸生のマドボタルなどの幼虫は'''土蛍'''(つちぼたる)と呼ばれ、これに言及したものも見掛けられる。なお、[[ヒカリキノコバエ]]の幼虫がこの名で呼ばれることがある。 |
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江戸時代には参勤交代の大名が地元のホタルを将軍に献上する「献上蛍」の行事があった<ref>{{Cite web |url=https://www.kahaku.go.jp/research/publication/meguro/download/56/ns-r-56_02_p09-14.pdf |title=自然教育園におけるゲンジボタルのルーツの検証 |access-date=2024-10-14 |publisher=国立科学博物館}}</ref>。 |
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蛍狩りの唄として「ホーホー蛍来いこっちの水は甘いぞ」云々が知られる。[[横須賀市自然・人文博物館]]によると、「甘い水」とは[[農薬]]や[[洗剤]]に汚染されていない水で、ことさら砂糖水のような甘味のついた水分に好んで集まるわけではない。 |
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=== 慣用句 === |
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* 蛍二十日に蝉三日:旬の時期が短いことの喩え。 |
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* 蛍雪、[[故事#蛍雪の功|蛍雪の功]]、蛍の光 窓の雪、車胤聚蛍(しゃいんしゅうけい):[[東晋]]の[[車胤]]並びに[[孫康]]の故事から「夏はホタルの光で、冬は雪明りで勉強する」という意味で、苦学することの喩え。受験雑誌『[[螢雪時代]]』の由来。 |
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* 蛍火:蛍の光、淡い光から転じて、小さく消え残った火の喩え。 |
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* 「腐草」(くちくさ)。ホタルの異名。かつてホタルは朽ちた草からできたものという俗説に基づく言葉である。 |
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=== 短歌・俳句など === |
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{{定義リスト2 |
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| [[短歌]] | |
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* ゆく蛍 雲の上までいぬべくは 秋風吹くと雁に告げこせ(『[[伊勢物語]]』45段、『[[後撰和歌集]]』252、[[在原業平]]) |
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* 夕されば 蛍よりけに燃ゆれども 光見ねばや人のつれなき(『[[古今和歌集]]』562、[[紀友則]]) |
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* こゑはせで身をのみこがす蛍こそ いふよりまさる思なるらめ(『[[源氏物語]]』第二十五帖 [[蛍 (源氏物語)|蛍の巻]]) |
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* 音もせで思ひに燃ゆる蛍こそ 鳴く虫よりもあはれなりけれ(『[[後拾遺和歌集]]』216、[[源重之]]) |
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* 物思へば 沢の蛍もわが身より あくがれいづる魂かとぞ見る(『後拾遺和歌集』1164、[[和泉式部]]) |
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* 奥山にたぎりて落つる瀧の瀬の 玉ちるばかりものな思ひそ(『後拾遺和歌集』1165、[[貴船神社|貴船の明神]]) |
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* 我が恋は 水に燃えたつ蛍々 物言はで笑止の蛍 (『[[閑吟集]]』) |
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| [[俳句]] | |
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* 己が火を木々に蛍や花の宿([[松尾芭蕉|芭蕉]]) |
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* 手習ひの顔にくれ行くほたるかな([[与謝蕪村|蕪村]]) |
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* 大蛍 ゆらりゆらりと 通りけり([[小林一茶|一茶]]) |
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* 人寝ねて蛍飛ぶなり蚊帳の中([[正岡子規|子規]]) |
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| [[都々逸]] | |
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* 恋に焦がれて鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす([[山家鳥虫歌]]) |
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}} |
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=== 小説・映画 === |
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* [[螢川]] - [[宮本輝]]のベストセラー小説、[[芥川龍之介賞|芥川賞]]受賞作。 |
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* [[火垂るの墓]] - [[野坂昭如]]の小説。および同名のアニメ映画。 |
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* [[ほたるの星]] - 2004年の日本映画。[[宗田理]]原作。ホタルの放流をテーマにした、実話を元にした作品。 |
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=== 楽曲 === |
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{{div col||25em}} |
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* [[蛍の光]]([[唱歌]]の定番の一つ) |
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* 蛍こい([[童歌]] 曲名は「あっちの水」とされることもある<ref>神田虔十(編著)『日本童謡・唱歌わらべうた集 2』メトロポリタンプレス、2013年、6-7頁。ISBN 978-4-904759-80-6。</ref>) |
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* じんじん([[沖縄民謡]]の[[童謡]]) |
|||
* 蛍(作詞:[[井上赳]] 作曲:[[下総皖一]] [[文部省唱歌]]) |
|||
* 北の蛍([[森進一]] 作詞:[[阿久悠]] 作曲:[[三木たかし]] 編曲:川口真) |
|||
* 蛍([[松原のぶえ]] 作詞:[[たかたかし]] 作曲:[[弦哲也]] 編曲:[[前田俊明]]) |
|||
* 蛍([[陰陽座]] 作詞:[[黒猫 (ボーカリスト)|黒猫]] 作曲:瞬火) |
|||
* 蛍虫([[誠直也]] 『[[特捜最前線]]』の挿入歌として使われた形跡あり) |
|||
* [[螢火/Show Time|螢火]]([[day after tomorrow]] 作詞:[[五十嵐充]] 作曲:[[鈴木大輔 (ミュージシャン)|鈴木大輔]] 編曲:五十嵐充、[[day after tomorrow]]) |
|||
* [[蛍 (TUBEの曲)|蛍]]([[TUBE]]) |
|||
* [[蛍 (鬼束ちひろの曲)|蛍]]([[鬼束ちひろ]]) |
|||
* [[蛍/少年|蛍]]([[福山雅治]]) |
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* 螢火蟲([[伊能静]]) |
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* [[蛍/RUN|蛍]]([[レミオロメン]]) |
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* 蛍([[藤田麻衣子]]) |
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* [[ピースとハイライト#収録曲|蛍]]([[サザンオールスターズ]]) |
|||
* [[firefly (曲)|firefly]]([[BUMP OF CHICKEN]] 作詞:[[藤原基央]] 作曲:[[藤原基央]]) |
|||
* [[ホタル (スピッツの曲)|ホタル]]([[スピッツ (バンド)|スピッツ]]) |
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{{div col end}} |
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=== 「蛍」の付く言葉 === |
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* [[ホタルイカ|蛍烏賊]]:体の各部に発光器を備え、光を発することから。 |
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* [[蛍族]]:夜間の[[ベランダ]]で[[喫煙]]する姿が、まるで蛍の火のように見えることから。 |
|||
* 蛍火:蛍が発する光のことを指す[[季語]]。 |
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* [[ホタルブクロ|蛍袋]]:鐘形花(しょうけいか)の見た目が、[[提灯]](火垂る=蛍)に似ていることから。 |
|||
* [[蛍石]]:[[蛍光]]を持つことが発見された最初の鉱物。 |
|||
* [[蛍光]]・[[蛍光灯]]:蛍の光が熱を出さないということから。 |
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** [[ホタルック]]:[[ホタルクス]]が[[日本電気|NEC]]ブランドで販売する、残光性[[蛍光体]]を使用した[[蛍光灯]]のブランド名 |
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* 蛍大名:[[戦国大名]][[京極高次]]の[[あだ名]]。妻や妹のおかげ(=尻の光)で出世したという揶揄。 |
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===「ホタル」の名の付く生物=== |
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ホタルは発光する生物の典型と見なされ、生物発光を行なう生物には[[ホタルイカ]]、[[ウミホタル]]など往々にしてホタルの名がつけられる。また、蛍狩り等との関連で名がついたものに[[ホタルブクロ]]などがある。また、ホタルは[[ベイツ型擬態]]のモデルともなっており、そのために似た体色の別群の昆虫がある。[[ホタルガ]]、[[ホタルカミキリ]]などはこれに近い。 |
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=== 「蛍」の付く地名 === |
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* [[青森県]][[青森市]]大字浅虫字蛍谷 |
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* 青森県青森市大字駒込字蛍沢 |
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* 青森県[[つがる市]]木造柴田蛍沢 |
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* 青森県[[平川市]]切明蛍沢 |
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* 青森県[[北津軽郡]][[中泊町]]宮野沢蛍澤 |
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* [[福島県]][[相馬郡]][[新地町]]福田螢田 |
|||
* [[新潟県]][[上越市]]吉川区尾神螢場 |
|||
* [[富山県]][[富山市]]婦中町蛍川 |
|||
* [[愛知県]][[大府市]]長草町螢ケ脇 |
|||
* [[滋賀県]][[大津市]]蛍谷 |
|||
* [[京都府]][[亀岡市]]千歳町毘沙門蛍川 |
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* [[大阪府]][[豊中市]]蛍池北町 |
|||
* 大阪府豊中市蛍池中町 |
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* 大阪府豊中市蛍池西町 |
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* 大阪府豊中市蛍池東町 |
|||
* 大阪府豊中市蛍池南町 |
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* [[高知県]][[南国市]]蛍が丘 |
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* [[福岡県]][[久留米市]]蛍川町 |
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* 福岡県[[田川市]]夏吉蛍ケ丘 |
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* [[熊本県]][[天草市]]新和町碇石螢目 |
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* [[台湾]][[台北市]]蛍橋 |
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{{div col end}} |
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=== 地方公共団体の虫 === |
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下記自治体では蛍を自治体の虫として指定している。 |
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* 青森県青森市 |
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* [[秋田県]][[東成瀬村]] |
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* [[福島県]][[喜多方市]] |
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=== ホタルの名所 === |
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'''日本''' |
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{{div col||18em}} |
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* [[北海道]] |
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** [[沼田町]] |
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** [[別海町]] |
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* [[青森県]]: [[十和田市]] |
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* [[宮城県]]: [[登米市]]東和地区 |
|||
* [[秋田県]]: [[由利本荘市]]大内地区 |
|||
* [[山形県]]: [[米沢市]] |
|||
* [[茨城県]] |
|||
** [[つくば市]]上境 |
|||
** [[潮来市]]島須 |
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** [[下妻市]][[ビアスパークしもつま]] |
|||
* [[栃木県]] |
|||
** [[塩原温泉郷|塩原温泉]] |
|||
** [[那須温泉郷|板室温泉]] |
|||
** [[足利市|名草]] |
|||
* [[群馬県]] |
|||
** [[吾妻郡]][[東吾妻町]]箱島 |
|||
** [[利根郡]][[みなかみ町]] |
|||
* [[埼玉県]]: 飯能市 |
|||
* [[千葉県]]: 市川市 |
|||
* [[東京都]] |
|||
** [[板橋区]]ホタル飼育施設 |
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** [[世田谷区#観光|世田谷区]]岡本民家園 |
|||
** Nature Factory 東京町田 |
|||
** [[青梅市]][[岩蔵温泉]] |
|||
* [[神奈川県]] |
|||
** [[横浜市]] |
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** [[湯河原町]]万葉公園〜藤木川・新崎川 |
|||
* [[富山県]]: [[富山市]] |
|||
* [[石川県]]: [[かほく市]] |
|||
* [[福井県]]: [[一乗谷]] |
|||
* [[新潟県]] |
|||
** [[長岡市]] |
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** [[新潟市]]([[西蒲区]]) |
|||
** [[弥彦村]] |
|||
* [[長野県]] |
|||
** [[須坂市]]鮎川 |
|||
** [[辰野町]] |
|||
** [[大町市]][[青木湖]] |
|||
** [[佐久市]]春日 |
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** [[軽井沢町]][[発地 (軽井沢町)|発地]] |
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* [[岐阜県]] |
|||
** [[本巣市]][[席田用水]] |
|||
** [[各務原市]][[大安寺川]] |
|||
* [[静岡県]] |
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** [[東伊豆町]] |
|||
** [[柿田川]] |
|||
** [[清水町 (静岡県)|清水町]] |
|||
* [[愛知県]] |
|||
** [[名古屋市]][[名古屋城]] 相生山緑地 |
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** [[岡崎市]] |
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** [[瀬戸市]]馬ケ城[[浄水場]] |
|||
** [[西尾市]] |
|||
** [[阿久比町]] |
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* [[三重県]] |
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** [[名張市]] |
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** [[伊勢市]]矢持町 |
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* [[滋賀県]] |
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** [[米原市]] |
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** [[守山市]] |
|||
** [[高島市]](旧[[朽木村]]地区) |
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* [[京都府]] |
|||
** [[京都市]]([[左京区]]・[[右京区]]清滝川) |
|||
** [[宇治市]] |
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* [[大阪府]] |
|||
** [[能勢町]] |
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** [[堺市]] |
|||
** [[交野市]](南星台地区) |
|||
** [[太子町 (大阪府)|太子町]] |
|||
** 唐川 |
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** [[菅原神社 (堺市)|菅原神社]] |
|||
** [[池田市]] |
|||
** [[高槻市]] |
|||
* [[兵庫県]] |
|||
** [[南あわじ市]] |
|||
** [[朝来市]] |
|||
** [[多可町]]杉原川 |
|||
** [[川西市]] |
|||
** [[猪名川町]] |
|||
** [[伊丹市]] |
|||
** [[尼崎市]] |
|||
** [[養父市]] |
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* [[和歌山県]] |
|||
** [[紀の川市]] |
|||
** [[紀美野町]] |
|||
** [[日高川町]] |
|||
* [[鳥取県]]: [[南部町 (鳥取県)|南部町]] |
|||
* [[島根県]]: [[安来市]] |
|||
* [[岡山県]] |
|||
** [[真庭市]] |
|||
** [[矢掛町]] |
|||
* [[広島県]]: [[庄原市]] |
|||
* [[山口県]] |
|||
** [[宇部市]] |
|||
** [[長門市]] |
|||
* [[徳島県]]: [[吉野川市]][[美郷 (吉野川市)|美郷]] |
|||
* [[香川県]] |
|||
** [[高松市]]塩江地区 |
|||
** [[まんのう町]] |
|||
* [[愛媛県]]: [[伊予郡]][[砥部町]]川登 |
|||
* [[福岡県]] |
|||
** [[福岡市]] |
|||
** [[八女市]](星野村、立花町) |
|||
* [[佐賀県]]: [[小城市]] |
|||
* [[長崎県]]: 市街地を除く県内各地に点在 |
|||
* [[熊本県]] |
|||
** [[熊本市]]池上町 |
|||
** [[菊池市]]旭志 |
|||
** [[玉名市]]岱明町 |
|||
** [[甲佐町]] |
|||
* [[大分県]] |
|||
** [[中津市]][[耶馬渓]] |
|||
** [[豊後大野市]]三重町白山 |
|||
* [[宮崎県]]: [[小林市]]出の山公園 |
|||
* [[鹿児島県]] |
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** [[鹿児島市]]([[かごしま健康の森公園]]、吉田町) |
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** [[指宿市]]池田湖 |
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** [[鹿屋市]] |
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* [[沖縄県]] |
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** [[久米島町]][[久米島ホタル館]] |
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** [[宮古島市]][[来間島]] |
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'''韓国''' |
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* [[全北特別自治道]][[茂朱郡]]:茂朱ホタル祭り<ref>[http://japan.firefly.or.kr/ 茂朱ホタルお祭り]</ref><ref>[http://english.firefly.or.kr/ Muju Firefly Festival]</ref> |
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'''台湾''' |
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* [[台北市]]: [[陽明山]] |
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* [[新北市]]: [[烏来区]] |
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* [[桃園県]]: [[亀山郷]](小精靈螢火蟲館) |
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* [[新竹県]]: [[横山郷]]([[内湾駅|内湾]])、[[北埔郷]]など |
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* [[苗栗県]]: [[南庄郷]]、[[三義郷]]など |
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* [[台中市]]: [[東勢区]] |
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* [[南投県]]: [[魚池郷]]([[日月潭]])、[[鹿谷郷]](渓頭森林遊楽区) |
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* [[嘉義県]]: [[阿里山郷]] |
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* [[台南市]]: [[楠西区]](梅嶺) |
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* [[屏東県]]: [[恒春鎮]]([[墾丁国家公園]]) |
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* [[花蓮県]]: [[寿豊郷]]([[鯉魚潭]]) |
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* [[宜蘭県]]: [[頭城鎮]] |
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'''マレーシア''' |
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* [[スランゴール州]]: [[クアラ・スランゴール]] |
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== 関連図書・メディア == |
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* {{Cite book|和書|author1=阿部宣男|authorlink1=阿部宣男|author2=稲垣照美出演|authorlink2=稲垣照美|others=[[銀座の学校]]事務局企画|year=2005|title=ほっほっほたるのないしょ話|series=コミュニケーションを楽しく考える銀座の学校|publisher=[[大日本印刷]]|id=DNPICC2046|ref=阿部&稲垣2005}} - DVD |
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* {{Cite book|和書|author=阿部宣男|authorlink=阿部宣男|editor=二葉幾久|editor-link=二葉幾久|year=2006|month=11|title=ホタル、こい! ホタルの光を科学する|series=アサヒ・エコブックス 15|publisher=[[アサヒビール]](出版) [[清水弘文堂書房]](発売)|isbn=4-87950-576-5|ref=阿部2006}} |
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* {{Cite book|和書|author=大場信義|authorlink=大場信義|editor= |year=2012|month=05|title=こころも育つ〈図解〉ホタルの買い方と観察|series= |publisher=[[ハート出版]]|isbn=978-4-89295-905-9|ref=}} |
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== 脚注 == |
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=== 注釈 === |
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=== 出典 === |
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== 参考文献 == |
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* {{Cite book|和書|author=神田左京|authorlink=神田左京|editor= |year=1981|month=04|title=(復刻)ホタル||origdate=1935-12-25|publisher=[[サイエンティスト社]]|isbn=|ref=神田1935}} |
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* {{Cite book|和書|author=矢島稔|authorlink=矢島稔|editor= |year=1981|month=05|title=昆虫誌 光とはばたきの信号|series= 東書選書62|publisher=[[東京書籍]]|isbn=|ref=矢島1981}} |
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* {{Cite book|和書|author=矢島稔|editor= |year=2003|month=06|title=謎とき昆虫ノート|series= NHKライブラリー|publisher=[[日本放送出版協会]]|isbn=4-14-084163-X|ref=矢島2003}} |
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* {{Cite book|和書|author=大場信義|authorlink=大場信義|editor= |year=2003|month=05|title=ホタルの木|series= |publisher=[[どうぶつ社]]|isbn=4-88622-321-4|ref=大場2003}} |
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* {{Cite book|和書|author=大場信義|editor= |year=2004|month=08|title=だれでもできるホタル復活大作戦ーぼくらの町にホタルがもどってきた|series= |publisher=[[合同出版]]|isbn=4-7726-0316-6|ref=大場2004}} |
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* {{Citation|和書|author=東京ゲンジボタル研究所|date=2004-05-31|title=ホタル百科|publisher=[[丸善出版]]|isbn=4-621-07435-0|ref={{SfnRef|東京ゲンジボタル研究所|2004}} }} |
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* {{Citation|和書|author=東京ゲンジボタル研究所・古河義仁|date=2011-04-30|title=ホタル学 里山が育むいのち|publisher=丸善出版|isbn=978-4-621-08389-5|ref={{SfnRef|古河|2011}} }} |
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== 関連項目 == |
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* [[生物発光]] |
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* [[ホタルの里]] - ホタルの生息地や関連施設など |
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* [[日本ホタルの会]] |
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== 外部リンク == |
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{{Wikispecies|Lampyridae|ホタル科}} |
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{{Commonscat|Lampyridae|ホタル科}} |
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{{Wikiquote|蛍|蛍}} |
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* [http://rikuseihotaru.jp/ 陸生ホタル生態研究会] |
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* [http://zenhoken-std.sakura.ne.jp/ 全国ホタル研究会] |
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* [http://www.tokyo-hotaru.com/index.html 東京にそだつホタル] - 東京ゲンジボタル研究所 |
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* {{Kotobank}} |
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[[Category:ホタル|*]] |
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[[Category:光]] |
2025年1月5日 (日) 08:38時点における最新版
ホタル科 Lampyridae | ||||||||||||||||||||||||
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ゲンジボタル Nipponoluciola cruciata
| ||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Firefly | ||||||||||||||||||||||||
亜科 | ||||||||||||||||||||||||
|
ホタル(蛍、螢)は、コウチュウ目(鞘翅目)・ホタル科 Lampyridae に分類される昆虫の総称[1]。発光することで知られる昆虫であり、ホタルという名もその様から「火(ホ)を垂(ル)」として呼ばれるようになったが、ほとんど光らない種が多い[1]。
概要
[編集]極地や砂漠などの乾燥地を除いた全世界に分布していており、2000種以上が生息しているとされる[2]。幼虫時代を水中で過ごす水生ホタルと、陸上の湿地で過ごす陸生ホタルがいる[3][4]。ただし水生ホタルは世界で10種類ほどしか知られておらず、そのうち日本にはゲンジボタル、ヘイケボタル、クメジマボタルの3種類が生息している[2]。
日本で「ホタル」といえば一般的にはゲンジボタル Nipponoluciola cruciata を指すことが多い[5]。本州、四国、九州と周囲の島に分布し、北海道に移入分布する。九州地方では5月上旬から、東北では7月頃から羽化する[6]。
本州、四国、九州では、ゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタル、クロマドボタル、オバボタル、オオオバボタル、スジグロボタル、ムネクリイロボタル、カタモンミナミボタルのおおむね9種類が観察される[7]。日本では50種ほどのホタルが確認されているがほとんどは南西諸島に分布しており、沖縄などでゲンジボタルより扁平なマドボタルを見ることができる。
台湾では60種以上が生息しており、初夏にホタルを鑑賞する観光行事も行われている[8]。
ゲンジボタルの成虫が初夏に発生するため、日本ではホタルは夏の風物詩と捉えられており、夜の蛍の発光を鑑賞する「蛍狩り」が行われる[注釈 1]。日本を含む東アジアにおいて、蛍の成虫は必ずしも夏だけに出現するものではない。例えば朝鮮半島、中国、対馬に分布するアキマドボタル Pyrocoelia rufa は和名通りに秋に成虫が発生する。西表島で発見されたイリオモテボタル Rhagophthalmus ohbai は真冬に発光する。南西諸島に数種が分布するヒゲボタル類も秋から冬に成虫が現れる[9]。
形態
[編集]成虫の体長は数mmから30mmほどで、甲虫としては小型から中型である。体型は前後に細長く、腹背に平たい。特に前胸は平らで、頭部を被うことが多い。よくある色合いは全体に黒っぽく、前胸だけが赤いというものである。その体は甲虫としては柔らかい。オスとメスを比べるとメスのほうが大きい。メスは翅が退化して飛べない種類があり、さらには幼虫のままのような外見をした種類もいる。光でコミュニケーションする種では触角は糸状で細いが、フェロモンを使う種では鋸歯状だったり、クシ状だったりするものもいる。成虫期間は約1-2週間。
幼虫はやや扁平で細長い。頭部は胸部に引っ込めることができる。胸部に短い三対の歩脚があり、腹部の後端に吸盤があって、シャクトリムシのように移動する。
食性
[編集]多くの種類の幼虫は湿潤な森林の林床で生活し、種類によってマイマイやキセルガイなどの陸生巻貝類やミミズ、ヤスデなどといった土壌動物の捕食者として分化している。日本に棲むゲンジボタル、ヘイケボタル、クメジマボタルの3種の幼虫は淡水中に生息し、モノアラガイやカワニナ、タニシやミヤイリガイなどの淡水生巻貝類を捕食するが、これはホタル全体で見るとむしろ少数派である(実際、『ファーブル昆虫記』に登場するホタルは陸棲で、カタツムリを捕食する)。また、スジグロボタルの幼虫は普段は陸上で生活するが、摂食時のみ林内の小さな湧水や細流の水中に潜り、カワニナを捕食していることが知られている。ゲンジボタルやヘイケボタルなど水生の種では、幼虫・成虫ともに水草やスイカのような香りがある。
多くの種類の成虫は、口器が退化しているため、口器はかろうじて水分を摂取するぐらいしか機能を有していない。このため、ほぼ1-2週間の間に、幼虫時代に蓄えた栄養素のみで繁殖活動を行うことになる。海外には、成虫となっても他の昆虫などを捕食する種がいる。
発光
[編集]ホタルのうち尾部などに発光器官を持つ種は、酵素のルシフェラーゼと、ルシフェリンの化学反応で光を発する(後述「発光のメカニズム」参照)。日本の基礎生物学研究所と中部大学はヘイケボタルの、両者に米国マサチューセッツ工科大学を加えた研究チームは米国産ホタル「フォティヌス・ピラリス」のゲノムを2018年に解読。発光しない生物にもある脂肪酸代謝酵素(アシルCoA合成酵素)が、ホタルの祖先が進化する過程で重複を起こして、1億年以上前に発光能力を得たと推測されるとの研究結果を発表した(ホタルとは近縁のヒカリコメツキの発光原理も同様であるが、進化の過程は別)[10]。
ホタルが発光する能力を獲得したのは「敵をおどかすため」という説や「食べるとまずいことを警告する警戒色である」という説がある。事実ホタル科の昆虫は毒を有しており、よく似た姿や配色(ベーツ擬態、ミューラー擬態)をした昆虫も存在する。ただし、それらは体色が蛍に似るものであり、発光するわけではない。
卵や幼虫の時代にはほとんどの種類が発光する。成虫が発光する種は夜行性の種が大半を占め、昼行性の種の成虫では強く発光する種も存在するが、多くの種はまず発光しない。夜行性の種類では主に配偶行動の交信に発光を用いており、光を放つリズムやその際の飛び方などに種ごとの特徴がある。このため、「交尾のために発光能力を獲得した」と言う説も有力である。一般的には雄の方が運動性に優れ、飛び回りながら雌を探し、雌はあまり動かない。成虫が発光する場合は蛹も発光するので、このような種は生活史の全段階で発光することになる。昼行性の種では、光に代わって、あるいは光と併用して、性フェロモンをコミュニケーションの媒体としていると考えられる[4]。
変わった例では以下のような種類もいる。
- 一方の性のみ発光する。
- 北米に生息する en:Photuris の雌は他種の雌をまねて発光し、その雄をおびき寄せて捕食してしまう。
- 雄が一か所に集まり一斉に同調して光る。東南アジアのマングローブ地帯で、一本の木に集まって発光するものが有名。ゲンジボタルも限定的ではあるが集団がシンクロ発光するのが見られる[11]。
発光のメカニズム
[編集]発光するホタルの成虫は、腹部の後方の一定の体節に発光器を持つ。幼虫は、腹部末端付近の体節に発光器を持つものが多いが、より多くの体節に持っている場合もある。
ホタルの発光物質はルシフェリンと呼ばれ、ルシフェラーゼという酵素とATPがはたらくことで発光する。発光は表皮近くの発光層で行われ、発光層の下には光を反射する反射層もある。ホタルに限らず、生物の発光は電気による光源と比較すると効率が非常に高く、熱をほとんど出さない。このため「冷光」とよばれる。
主な種類
[編集]日本には50種類以上のホタルが生息しているが、代表的な種類には以下のようなものがいる[7]。なお、上述のイリオモテボタルは、ホタル科でなくオオメボタル科Rhagophthalmidaeであり、日本からは1種しか知られていない。またベニボタルも和名に「ホタル」とあるがホタル科ではなく、同じホタル上科のベニボタル科 (Lycidae) の昆虫である。
- ゲンジボタル Nipponoluciola cruciata (Motschulsky, 1854)
- 体長15mm前後で、日本産ホタル類では大型種。成虫の前胸部中央には十字架形の黒い模様がある。幼虫は川の中流域にすみ、カワニナを捕食する。初夏の風物詩として人気が高く、保全への試みが日本各地で行われているが、遺伝的に異なる特性を持った他地域のホタルの増殖・放流による遺伝子汚染が問題になってもいる。
- ヘイケボタル Aquatica lateralis (Motschulsky, 1860)
- 体長8mm前後で、ゲンジボタルより小さい。主に細流や水田などの止水域で発生する。幼虫はカワニナだけでなくモノアラガイやタニシなど様々な淡水生巻貝類を幅広く捕食し、やや富栄養化した環境にも適応する。また時には干上がる水田のような環境でも、鰓呼吸だけではなく空気呼吸を併用し、泥に潜って生き延びる。成虫の出現期間は長く、5月から9月頃まで発光が見られる。
- ヒメボタル Luciola parvula Kiesenwetter, 1874
- 体長は7mm前後で、ヘイケボタルより更に小型の陸棲のホタルである。西日本の林地や草地に分布する。幼虫は林床にすみ、マイマイやキセルガイなどを捕食する。5-6月に羽化し、かなり強く発光するが、川辺などの開けた場所ではなく森林内などの人目につきにくい場所で光るのであまり知られていない。名古屋城の堀の中に広がる草地には、都市部では珍しい大規模な生息地があることが知られている。メスは飛行できないため分布地の移動性は小さく、個々の個体群は隔離されがちで、地域により体長など遺伝的特性の差が著しい。
- オバボタル Lucidina biplagiata Motschulsky, 1866
- 体長10mm前後。体は黒色で平たく、前胸に2つの赤い斑点があり、尾部も赤い。他のホタルと同じような体色だが、昼行性でほとんど発光しない。幼虫は森林の土壌中で、小型のミミズを捕食している。
- クシヒゲボタル Cyphonocerus spp.
- クシヒゲボタル属 Cyphonocerusの総称で、本土からムネクリイロボタルやヘリアカクシヒゲボタル、南西諸島からオキナワクシヒゲボタル、ヤエヤマクシヒゲボタルが知られる。ムネクリイロボタルやオキナワクシヒゲボタルでは雌の翅が幾分退化し飛べないことが知られている[12]。
- マドボタル Pyrocoelia spp.
- マドボタル属 Pyrocoelia の総称で、多くの種類がある。和名はオスの胸部に窓のような2つの透明部があることに由来する。メスは翅が退化していて、蛹がそのまま歩き出したような外見をしている。幼虫は陸生で、主に小型のカタツムリ類を捕食し、他の陸生のホタル幼虫に比べて夜には活発に光りながら草や低木にもよじ登るので、よく目立つ。成虫はよく光るものも痕跡的な発光しかしないものもある。本州東部には中型種のクロマドボタル、本州西部と四国、九州には中型種のオオマドボタル、対馬には大型種のアキマドボタルが生息し、南西諸島(奄美以南)からは6種が知られ、そのうちミヤコマドボタルとヤエヤママドボタルのメスは、アキマドボタル並みに大型で体長は3 cmを超える[9]。
- ヒゲボタル Stenocladius spp.
- ヒゲボタル属 Stenocladiusの総称で以前はクシヒゲボタルと呼ばれていた(現在はクシヒゲボタルの名はCyphonocerus属の種にあてられている)。オスの触角が櫛の歯状に発達している。メスは翅が退化しているばかりでなく、ほぼ幼虫のような形態をしていて、より淡色。幼虫は湿潤な森の林床でミミズを捕食する。体は乳白色で各体節に赤褐色の背板を持つ。南西諸島に数種が分布し、成虫は秋から冬に出現する。昼行性だが雌雄ともまたはメスのみ弱く発光する[13]。
-
オキナワクシヒゲボタル奄美亜種 ♂
-
秋に現れる蛍アマミヒゲボタル♂
ホタルの減少
[編集]ホタルの生息数は年々減少しており、その原因としては生息環境の破壊や汚染、自然環境の放置、ホタル観賞のマナーの問題などが挙げられる[14]。
環境省の「第2回自然環境保全基礎調査報告書」(1982年)によればホタル減少の原因として、農薬の使用、イワナ漁のための毒流し、ミヤイリガイの駆除[注釈 2]、汚水や排水の流入、工事等による土砂の流入、川砂利の採取、河川や用水路の改修などが挙げられているという[14]。
自然環境については、特に里山の放置による生態系の変化が大きいとされる[14]。ホタル鑑賞者のマナーの問題とは、ホタルを採集してしまったり、光でコミュニケーションをとっているホタルに対して人工的な照明を向けることにより交配ができずに子孫を残せなかったり、ゴミを捨てることによる環境の悪化などが挙げられる[15]。
ホタルの保護と復活
[編集]多摩動物公園昆虫館でホタル飼育技術を確立した矢島稔(日本ホタルの会名誉会長)は、昭和40年代以来、皇居ほか各地のホタル復活に手を貸してきた[16]。現在では自然保護の気運も高まり、自然回復や河川の浄化を含めて、自治体などの取り組みとしてゲンジボタルの保護や放流が行われるようになっている[17]。
しかし、ホタル復活を謳いながら実はビオトープが「造園業者が手掛ける箱庭」「人寄せパンダ」に過ぎなかったり、ホタルの養殖販売業者からホタルの幼虫や成虫を購入して放すだけだったりする場合も少なくない[18]。ホタルをめぐってのトラブルも各地で発生しており、解決すべき課題も多い。
- ホタルを放流したはいいが、川辺の護岸や植生により定着できない。
- ホタル狩りの観光客がライトを点灯させ、ホタルの活動が妨げられた[19]。
- ホタル狩りの観光客が道を塞ぎ、地域住民の交通に支障を来たした[3]。
- 川を汚さないようにと、子供たちの川遊びまでも禁止された。
- ホタルとコイ(水生昆虫などを貪欲に捕食する)を同じ水域に放流した。
なお、他地域のゲンジボタル、または幼虫の餌となるカワニナを放流することは遺伝子汚染を引き起こすため、行うべきではない。
ホタルの研究会として、日本ホタルの会、陸生ホタル生態研究会、全国ホタル研究会、東京ゲンジボタル研究所、NPOホタルの会などがある。
ホタル保全護岸
[編集]ホタル保全護岸は護岸本来の機能に加え、ホタルやそのエサとなるカワニナの生育に適した環境をつくることを目的とした護岸である。
山口県はホタルで有名で[20]、特にホタルの生息が多いのが、山口市の一の坂川、椹野川、吉敷川および下関市豊田町の木屋川で、天然記念物指定河川となっている[21]。
小規模河川改修事業が実施された一の坂川の護岸は、ホタル保全護岸の代表的なものである。一の坂川は市街地を貫流し、両岸には住宅や道路がせまっているため、拡幅せずに河床の掘り下げによる河積の拡大を図る改修が行なわれた。こうしたことから護岸も急勾配の法面となる等の制約のもとにホタル保全護岸が考えられた。
河川底の掘り下げによりそれまで河に棲息していたホタルの幼虫やエサのニナも取り除かれてしまうため、改修にあたっては再びホタルの棲息条件を整え、改修後あらたに幼虫やカワニナを放流しホタルの復活を図る工法として考えられた。
ホタルの棲息条件を満たすために次のような点が配慮されている。
- ホタルの幼虫の水虫生活に支障のない流速(約30cm/sec以下)を確保する。
- 護岸は生物の棲息を有利にするため出来る限り土壌面や樹木を確保する。
また、椹野川でのホタル護岸は連結ブロックを利用してホタルの棲息条件を整えた事例がある。
その連結ブロックの利用に当たって連結ブロックの突起の下側を一部削り取り、日陰となる下側に粘土詰めし表面にヨモギ類を植え付ける、連結ブロック間の間隙にも粘土を詰め幼虫の土中潜入および植栽を可能にする、といった改良が行なわれている。
岡山県真庭市の北房地域の試み
[編集]カルスト地形が広がり石灰岩が多く分布する真庭市の北房地域は、川の浸食による渓谷や鍾乳洞などが形成される。地域を流れる備中川の水にはカルシウムが豊富に含まれることから、ゲンジボタルのエサになるカワニナも多く生息し、ゲンジボタルの生育に適した環境が整っており、昔から多くのホタルが飛び交っていた。しかし1955年(昭和30年)頃には農薬の使用や乱獲などにより激減。1959年(昭和34年)には旧北房町が備中川とその支流を天然記念物に指定し保護を開始させた[22]。1970年(昭和45年) 北房町が主体となる「ホタルを育てる会」が結成され、2007年(平成19年)「北房ホタル保存会」に改称された[23]。
2020年(令和2年)、ゲンジボタルやヒメボタルに比べ圧倒的に少ないヘイケボタルの個体数を増やすため、同会会員は北房ほたる公園内の水路にハナショウブの株を植える[24]。2022年(令和4年)、備中川やその支川の約6割、計29.6キロメートルもの区間で生息を確認できた。会員20名によるゲンジボタルの生息マップが調査により作成された[25]。
文化
[編集]夜に発光しながら活動するホタル類、特にゲンジボタルは古来から日本で人気のある昆虫の一つで、ホタルを題材とした文化も数多い。ホタル発光研究の草分けとして知られる神田左京は「ホタル」の名が『日本書紀』(彼地多有蛍火之光神)や『万葉集』(螢成)に既に見られると指摘する[26]。
ゲンジボタルを中心とする日本に於けるホタル鑑賞のことを特に「ホタル狩り」という。ホテルなどでの催しとしてホタルを放つ例もある。 また、ゲンジボタル以外が完全に無視されていたわけではなく、陸生のマドボタルなどの幼虫は土蛍(つちぼたる)と呼ばれ、これに言及したものも見掛けられる。なお、ヒカリキノコバエの幼虫がこの名で呼ばれることがある。
江戸時代には参勤交代の大名が地元のホタルを将軍に献上する「献上蛍」の行事があった[27]。
蛍狩りの唄として「ホーホー蛍来いこっちの水は甘いぞ」云々が知られる。横須賀市自然・人文博物館によると、「甘い水」とは農薬や洗剤に汚染されていない水で、ことさら砂糖水のような甘味のついた水分に好んで集まるわけではない。
慣用句
[編集]- 蛍二十日に蝉三日:旬の時期が短いことの喩え。
- 蛍雪、蛍雪の功、蛍の光 窓の雪、車胤聚蛍(しゃいんしゅうけい):東晋の車胤並びに孫康の故事から「夏はホタルの光で、冬は雪明りで勉強する」という意味で、苦学することの喩え。受験雑誌『螢雪時代』の由来。
- 蛍火:蛍の光、淡い光から転じて、小さく消え残った火の喩え。
- 「腐草」(くちくさ)。ホタルの異名。かつてホタルは朽ちた草からできたものという俗説に基づく言葉である。
短歌・俳句など
[編集]- 短歌
-
- ゆく蛍 雲の上までいぬべくは 秋風吹くと雁に告げこせ(『伊勢物語』45段、『後撰和歌集』252、在原業平)
- 夕されば 蛍よりけに燃ゆれども 光見ねばや人のつれなき(『古今和歌集』562、紀友則)
- こゑはせで身をのみこがす蛍こそ いふよりまさる思なるらめ(『源氏物語』第二十五帖 蛍の巻)
- 音もせで思ひに燃ゆる蛍こそ 鳴く虫よりもあはれなりけれ(『後拾遺和歌集』216、源重之)
- 物思へば 沢の蛍もわが身より あくがれいづる魂かとぞ見る(『後拾遺和歌集』1164、和泉式部)
- 奥山にたぎりて落つる瀧の瀬の 玉ちるばかりものな思ひそ(『後拾遺和歌集』1165、貴船の明神)
- 我が恋は 水に燃えたつ蛍々 物言はで笑止の蛍 (『閑吟集』)
- 俳句
- 都々逸
-
- 恋に焦がれて鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす(山家鳥虫歌)
小説・映画
[編集]- 螢川 - 宮本輝のベストセラー小説、芥川賞受賞作。
- 火垂るの墓 - 野坂昭如の小説。および同名のアニメ映画。
- ほたるの星 - 2004年の日本映画。宗田理原作。ホタルの放流をテーマにした、実話を元にした作品。
楽曲
[編集]- 蛍の光(唱歌の定番の一つ)
- 蛍こい(童歌 曲名は「あっちの水」とされることもある[28])
- じんじん(沖縄民謡の童謡)
- 蛍(作詞:井上赳 作曲:下総皖一 文部省唱歌)
- 北の蛍(森進一 作詞:阿久悠 作曲:三木たかし 編曲:川口真)
- 蛍(松原のぶえ 作詞:たかたかし 作曲:弦哲也 編曲:前田俊明)
- 蛍(陰陽座 作詞:黒猫 作曲:瞬火)
- 蛍虫(誠直也 『特捜最前線』の挿入歌として使われた形跡あり)
- 螢火(day after tomorrow 作詞:五十嵐充 作曲:鈴木大輔 編曲:五十嵐充、day after tomorrow)
- 蛍(TUBE)
- 蛍(鬼束ちひろ)
- 蛍(福山雅治)
- 螢火蟲(伊能静)
- 蛍(レミオロメン)
- 蛍(藤田麻衣子)
- 蛍(サザンオールスターズ)
- firefly(BUMP OF CHICKEN 作詞:藤原基央 作曲:藤原基央)
- ホタル(スピッツ)
「蛍」の付く言葉
[編集]- 蛍烏賊:体の各部に発光器を備え、光を発することから。
- 蛍族:夜間のベランダで喫煙する姿が、まるで蛍の火のように見えることから。
- 蛍火:蛍が発する光のことを指す季語。
- 蛍袋:鐘形花(しょうけいか)の見た目が、提灯(火垂る=蛍)に似ていることから。
- 蛍石:蛍光を持つことが発見された最初の鉱物。
- 蛍光・蛍光灯:蛍の光が熱を出さないということから。
- 蛍大名:戦国大名京極高次のあだ名。妻や妹のおかげ(=尻の光)で出世したという揶揄。
「ホタル」の名の付く生物
[編集]ホタルは発光する生物の典型と見なされ、生物発光を行なう生物にはホタルイカ、ウミホタルなど往々にしてホタルの名がつけられる。また、蛍狩り等との関連で名がついたものにホタルブクロなどがある。また、ホタルはベイツ型擬態のモデルともなっており、そのために似た体色の別群の昆虫がある。ホタルガ、ホタルカミキリなどはこれに近い。
「蛍」の付く地名
[編集]地方公共団体の虫
[編集]下記自治体では蛍を自治体の虫として指定している。
ホタルの名所
[編集]日本
- 北海道
- 青森県: 十和田市
- 宮城県: 登米市東和地区
- 秋田県: 由利本荘市大内地区
- 山形県: 米沢市
- 茨城県
- つくば市上境
- 潮来市島須
- 下妻市ビアスパークしもつま
- 栃木県
- 群馬県
- 埼玉県: 飯能市
- 千葉県: 市川市
- 東京都
- 神奈川県
- 富山県: 富山市
- 石川県: かほく市
- 福井県: 一乗谷
- 新潟県
- 長野県
- 岐阜県
- 静岡県
- 愛知県
- 三重県
- 滋賀県
- 京都府
- 大阪府
- 兵庫県
- 和歌山県
- 鳥取県: 南部町
- 島根県: 安来市
- 岡山県
- 広島県: 庄原市
- 山口県
- 徳島県: 吉野川市美郷
- 香川県
- 愛媛県: 伊予郡砥部町川登
- 福岡県
- 佐賀県: 小城市
- 長崎県: 市街地を除く県内各地に点在
- 熊本県
- 大分県
- 宮崎県: 小林市出の山公園
- 鹿児島県
- 鹿児島市(かごしま健康の森公園、吉田町)
- 指宿市池田湖
- 鹿屋市
- 沖縄県
韓国
台湾
マレーシア
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b 「ホタル」『『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館』 。コトバンクより2022年3月27日閲覧。
- ^ a b 古河 2011, p. 89.
- ^ a b 『だれでもできるホタル復活大作戦』
- ^ a b 『謎とき昆虫ノート』
- ^ 古河 2011, p. 2-3.
- ^ 東京ゲンジボタル研究所 2004, p. 17.
- ^ a b 古河 2011, p. 1-2.
- ^ 夜空を輝かせるホタル(夜螢親親). 台湾観光局. 2022年4月8日閲覧
- ^ a b 松村雅史編著 2022 沖縄甲虫図鑑.沖縄時事出版
- ^ ホタルのゲノム解読に成功 〜ホタルの光の遺伝子の進化が明らかに〜基礎生物学研究所/中部大学プレスリリース(2018年10月16日)2018年11月27日閲覧。
- ^ 『ホタルの木』
- ^ 川島逸郎 2009 オキナワクシヒゲボタル♀成虫の記載.豊田ホタルの里ミュージアム研究報告書(2): 1-7.
- ^ 大場信義・後藤好正・川島逸郎 1997 日本産クシヒゲボタル属の行動および雌成虫形態. 横須賀市博研報(自然) (45):23-37.
- ^ a b c 古河 2011, p. 69-71.
- ^ 古河 2011, p. 71-75.
- ^ 矢島稔『昆虫誌』
- ^ 東京ゲンジボタル研究所 2004, p. 75-76.
- ^ 古河 2011, p. 77-79.
- ^ 古河 2011, p. 79-80.
- ^ 一の坂川 『よみがえる川 - 河川再生事例集』(2011年刊)より. 日本河川・流域再生ネットワーク. 2022年3月28日閲覧
- ^ “ホタル護岸の整備”. 山口県 (2018年5月2日). 2022年3月28日閲覧。
- ^ “北房ホタル保護50周年・活動振り返るパネル9枚制作し展示 真庭タイムス” (2020年12月18日). 2023年12月28日閲覧。
- ^ 「北房のホタル」『パンフレット』、真庭市、6-7頁、2024年10月23日閲覧。
- ^ 「ヘイケボタル増やそう 水路にハナショウブ植栽」『山陽新聞』2020年11月11日。
- ^ “「ホタルの里」の魅力 パンフに 真庭・北房の保存会が製作 山陽新聞digital” (2023年5月28日). 2024年10月23日閲覧。
- ^ 神田左京『ホタル』
- ^ “自然教育園におけるゲンジボタルのルーツの検証”. 国立科学博物館. 2024年10月14日閲覧。
- ^ 神田虔十(編著)『日本童謡・唱歌わらべうた集 2』メトロポリタンプレス、2013年、6-7頁。ISBN 978-4-904759-80-6。
- ^ 茂朱ホタルお祭り
- ^ Muju Firefly Festival
参考文献
[編集]- 神田左京『(復刻)ホタル』サイエンティスト社、1981年4月(原著1935年12月25日)。
- 矢島稔『昆虫誌 光とはばたきの信号』東京書籍〈東書選書62〉、1981年5月。
- 矢島稔『謎とき昆虫ノート』日本放送出版協会〈NHKライブラリー〉、2003年6月。ISBN 4-14-084163-X。
- 大場信義『ホタルの木』どうぶつ社、2003年5月。ISBN 4-88622-321-4。
- 大場信義『だれでもできるホタル復活大作戦ーぼくらの町にホタルがもどってきた』合同出版、2004年8月。ISBN 4-7726-0316-6。
- 東京ゲンジボタル研究所『ホタル百科』丸善出版、2004年5月31日。ISBN 4-621-07435-0。
- 東京ゲンジボタル研究所・古河義仁『ホタル学 里山が育むいのち』丸善出版、2011年4月30日。ISBN 978-4-621-08389-5。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 陸生ホタル生態研究会
- 全国ホタル研究会
- 東京にそだつホタル - 東京ゲンジボタル研究所
- 『ホタル』 - コトバンク