プーティン
プーティン(フランス語: poutine, 英語発音: [puːˈtiːn], ケベック・フランス語発音: [pʊʦɪn])は、フライドポテトにグレイビーソースと粒状のチーズカード(英: cheese curds、仏: fromage en grains)をかけたファーストフード形式の食べ物。
代表的なカナダ料理であり、アカディア人のダンプリング状の伝統料理の総称でもある。日本語ではプティン、プティーン、プーティーンとも呼ばれる。
プーティンウィークは2013年にモントリオールで生まれ、毎年2月に開催される大会である。今日ではプーティンフェスティバルといった盛大な催し物としてカナダ中で親しまれており、カナダ各地で多くのレストランが創作プーティン料理を発表している。(モントリオール、ケベックシティ、バンクーバー、トロント、オタワ、ウィニペグ)など。
語源
英語の「プディング (Pudding)」から転訛したとする説が最も有力である。
英語版ウィキペディアでは「プディング」が語源だと言う可能性はあるが、フランス語の「プティンゴ」(良くないシチュー)や「プティーテ」(ごちゃまぜ・つぶれた食べ物)、「プトゥリンゴ」(色々な物を混ぜる)が有力とされる。
また、辞書のMerriam-Websterによるとケベックのスラングで汚れと言う意味を持つらしい。
プーティン(ファストフード)
プーティンは1950年代後半、ケベック州で生まれた。厳密な発祥地には、諸説がある。ビクトリアビルとヴァルヴィックの二つの町が互いに自らが発祥の地だと述べているが、どちらもチーズの産地であり、15km程しか離れていないため、はっきりしていない。レストランに来た客がフライドポテトにチーズカードを加えてくれと言って、それが美味しかったため広まったと言われている[1]。カナダ内のほとんどのショッピングセンターのフードコートで食べることが出来る。スキー場やスケート場にもよく売られている。あるいはステーキなどと一緒に付いてくることもある。グレイビーソースがかかっているためフォークを使って食べる。
カナダ国内では、マクドナルド[2]、A&W[3]、ケンタッキーフライドチキンやバーガーキング[4]等のアメリカ合衆国資本のファストフード店でも販売されている。また、多くのカナダ国内の学生食堂でも販売されている。
料理名を原因とする問題
2022年ロシアのウクライナ侵攻の勃発に伴い、それを指揮するウラジーミル・プーチンロシア大統領の名字に発音が似ており、フランス語での綴りがまったく同一であることが原因で引き起こされた問題も存在する[5][6][7]。 この問題に対し、プーティンを提供する店舗では料理名を変更したり[5][6][7]、ウクライナ側を支援する旨のメッセージをFacebookや[5]ツイッターに投稿する[7]などの対応をとった。
アカディア人のプーティン
プーティンには、塩味のものと甘いものがある。ジャガイモをすりおろして作ったダンプリング状のプーティンや、小麦粉で作った団子状のプーティンはスープに入れて煮る。ニューブランズウィック州南東部、モンクトン付近の伝統料理プーティーヌ・ラペ (Poutine Râpée) は、すりおろしたジャガイモとマッシュポテトを混ぜて作ったソフトボール大の団子の中に塩漬けの豚のばら肉が入り、メープルシロップ、モラセス、ケチャップ等をかけて食べる。ダンプリングはフランスの伝統料理ではないが、ドイツにはクネーデル等よく似た料理が存在するため、フランス系移民がアカディアでドイツからの移民と接触した結果、アカディア人の料理に取り入れられたと考えられている。スウェーデンのクロップカーカとも類似する。
甘いプーティンはデザートになる。プーティーヌ・ア・トゥルー (Poutine à Trou)、プーティーヌ・アン・サック (Poutine en Sac) は小麦粉を水で捏ねて作った生地で果物を包んで蒸した菓子である。プーティーヌ・オ・パン (Poutine au Pain) はブレッドプディングのことで、四角いフルーツパイもプーティンと呼ばれる。
アカディア人のプーティンは、アカディア人が多い地域以外ではほとんど知られていない。現在アカディアと呼ばれる地域では、ニューブランズウィック州北東部カラケット の近くのアカディア歴史村をはじめとする、アカディア人の昔の生活を再現したテーマパーク等でプーティンを食べることができる他、缶詰のプーティーヌ・ラペもスーパーマーケットなどで市販されている。
出典
- ^ “カロリーなんて気にしない!カナダの名物料理とは”. National Geographic. 2020年8月11日閲覧。
- ^ Day, Adam. “Oh Canada, we stand on guard for ... poutine?”. The Digital Times. Kamloops, BC: Journalism Students at Thompson Rivers University. 2006年9月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年5月19日閲覧。
- ^ “Nutritional Facts — Small Poutine”. A&W Trade Marks. 2008年5月19日閲覧。
- ^ “Our menu — Poutine”. Burger King. 2007年4月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年5月19日閲覧。
- ^ a b c ウクライナ侵攻でフライドポテトに誹謗中傷。改名する店も - HUFFPOST . 令和5年7月11日閲覧
- ^ a b カナダ料理「プーティン」受難 無関係なのにヘイト対象に - NewSphere . 令和 5 年 7 月 11 日閲覧
- ^ a b c 「プーチン」に似てるから…カナダ料理「プーティン」がフランスで不買の対象に―英メディア - Record China . 令和5年7月11日閲覧