ラッピーパイ

ラッピーパイ
Rappie pie
ラッピーパイ; Rappie pie
	一人前のラッピーパイ。トマトの輪切りとドレッシングが添えられている。
別名	ラピュアパイ、ラピュア
発祥地	カナダ
地域	ノバスコシア州、プリンス・エドワード島、ニューブランズウィック州
主な材料	ジャガイモ、ブロス（鶏肉、豚肉、海産物）、肉、タマネギ
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ラッピーパイ（英: rappie pie）とは、カナダのノバスコシア州南西部^[1]、ニューブランズウィック州、一部のプリンスエドワードアイランド州においてフランス系移民（アカディア人）に食べられている伝統料理。ラピュアパイ（英: rapure pie）、ラペ（仏: râpée）、ラピュア（仏: râpure）とも呼ばれる^[2]^[3]。フランス語で「すりおろす」を意味する râpée が語源^[4]。パイというよりキャセロール料理の一種で^[5]、すりおろしたジャガイモを濾し布（チーズクロス（英語版））で絞って水分を減らし、その代わりにチキンブロスを吸わせたものをオーブン皿に敷きつめ、具材を乗せた上からさらにおろしジャガイモを被せて焼く。具材には鶏肉のほか豚肉、ラード、鹿肉、塩漬け肉、貝、タマネギなどが用いられる^[6]^[7]^[8]。カリッとした皮の下は糊か濃いポリッジのようにねっちりした食感になる^[9]。焼いた上から糖蜜、バター、ラード、アップルソースなどをかける場合もある^[4]。誕生日など特別な機会に食べる料理で^[6]^[8]、作成に労力を要するため、近年では市販のすりおろしジャガイモのミックスを用いるのが一般的である^[4]^[6]^[8]。

歴史

ラッピーパイを生み出したのは、18世紀半ばに起きたアカディア人の追放（英語版）によって米国マサチューセッツ州に居住することを強いられた集団だと考えられている。強制移住は異なる移民集団どうしが接触・交流する機会でもあり、それぞれの文化が互いにレシピを伝え合うことになった。ジャガイモをすりおろして用いる調理法をアカディア人に伝えたのはドイツ系もしくはスイス系（英語版）の移民だったと思われるが、いずれにせよ、追放令解除後にノバスコシアや沿海州に帰還したアカディア人にとっては貴重な学びとなった。かれらの肥沃な故地は、農地の供与を約束されてニューイングランドから北上してきた国王派に奪われていたのである。手付かずのまま残されていた石の多い痩せた土地は、ほかの作物はさておきジャガイモには最適だった。そこでアカディア人はなんであれその土地で獲れる狩猟肉から料理を作り、ジャガイモで増量したのだった^[4]^[10]。

脚注

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^ “Traditional Acadian foods make warmly satisfying meals”. saltscapes.com. Saltscapes. 2023年9月28日閲覧。
^ Kittler, Pamela Goyan; Sucher, Kathryn (2007-06-27). Food and Culture. Cengage Learning. p. 519. ISBN 978-0-495-11541-0 9 March 2011閲覧。
^ Karr, Paul (2010-05-03). Frommer's Nova Scotia, New Brunswick & Prince Edward Island. Frommer's. p. 82. ISBN 978-0-470-58250-3 9 March 2011閲覧。
^ ^a ^b ^c ^d Dornbusch (April 21, 2015). “Humble Nova Scotia rappie pie used to include scraped knuckles”. bostonglobe.com. Boston Globe. 2023年9月28日閲覧。
^ “Best Acadian Rappie Pie Recipe”. Food Network Canada (2022年2月10日). 2023年9月29日閲覧。
^ ^a ^b ^c Laugher (2014年12月3日). “Rappie Pie Is a Gooey, Fatty Touchstone of Acadian Culture”. munchies.vice.com. VICE. 2023年9月28日閲覧。
^ Meyer, Bernard (1988-01-01). Bernard Meyer's East Coast Cuisine: Regional Cooking With French Flair. Formac Publishing Company. p. 100. ISBN 978-0-88780-063-4 9 March 2011閲覧。
^ ^a ^b ^c “Rappie Pie Recipe”. Yarmouth & Acadian Shores. 2023年9月28日閲覧。
^ “Cook this: Râpure, a.k.a. rappie pie, is quintessential Acadian comfort food”. National Post (2017年10月10日). 2023年9月29日閲覧。
^ Roy, Suman and Brooke Ali (2010). From Pemmican to Poutine: A Journey Through Canada's Culinary History. Toronto: The Key Publishing House, Inc.. pp. 14. ISBN 978-1-926780-00-9

表話編歴ジャガイモ料理
焼き料理	クイニーパターテクーゲルクゲリスクニッシュグラタン・ドフィノワタルティフレットトルティージャパテ・オ・ポメ・ドゥ・テールハッセルバックポテトパナケルティフォンダンポテトフューネラルポテト（英語版）ベイクドポテトベックオフポテトスキンポテトスコーン（英語版）ポテトバブカポテトパンケーキポテトワッフルポメ・アンナ（フランス語版、英語版）ヤンソンの誘惑ラッピーパイランカシャー・ホットポットランブルディサンプスレシュティ
煮込み料理	アイントプフアルゴシュトアルティッキオコパカラプルクラクロップカーカコードルジャガイモの塩煮（英語版）シルヴァスゴンボーツ（英語版）ストーヴィース（英語版）ツェペリナイ肉じゃがパパ・アラワンカイナパパス・アルガダスパパス・チョレアーダ（英語版、スペイン語版）パルトピーテパルトプーティンプーティンラペブリンゾベーハルシュキラスペボール（英語版、ノルウェー語版）ラプスカウス
揚げ料理	あげいもアルティキアルチャットアルパイバタタハッラバタタヴァーダ（英語版、ベンガル語版）ボンダボクスティカルネアサダフライ（英語版）チーズフライ（英語版）チョレジャーナ（英語版）カーリーフライ（英語版）フライドポテト^※ フリッターロール（英語版）カムジャジョン（朝鮮語版、英語版）ハラルスナックパック（英語版）ハッシュドポテトホームフライいもフライカプサロンクリピック（英語版、インドネシア語版）ラトケスジャピンガチョ（スペイン語版、英語版）リヨン風ポテトパパ・レジェーナパタタス・ブラバスペラプルグデル（英語版、インドネシア語版）ポメ・ドフィーヌポメ・スフレポテトチップス^※ ポテトドーナツポテトウェッジポテトオブライエン（英語版）ライべクーヘン（英語版、ドイツ語版）サルチパパサモサセラットソロ（英語版、インドネシア語版）スパイスバッグテイタートッツトゥンベットトルネードポテトトリンチャットトリプルクックドチップス（英語版）トリュファードワダ（英語版、ベンガル語版）ワダ・パーヴワッフルフライ（英語版）じゃがべーみそポテト
マッシュ料理	アリゴアッシパルマンティエエッグスラットカレリアンピーラッカクラップショットクリークコルカノンコロッケ^※ シェパーズパイスターゲイジー・パイスタンポットストゥンプチャンプバンガーズ・アンド・マッシュヒュッツポットヒンメル・ウント・エアデフィッシュパイフォルシュマークブランデ・キャルリフポメ・デュセスマッシュポテトミンス・アンド・トティー（英語版）ラグダパティス（英語版）スコマカラーダ（英語版）
炒め料理	アルゴビいもなますじゃがいも入りやきそばジャーマンポテト農夫の朝食地三鮮バブル・アンド・スクイークピッティパンナポテト入りやきそば味噌かんぷら
サラダ	オリヴィエ・サラダシャウォートポテトサラダ
スープ	アヒアコヴィシソワーズカムジャオンシミ（朝鮮語版、英語版）カムジャタンカムジャ麺^※ ケワダツィサユール・ソプせんだご汁^※ いものおづけばっと
保存食	チューニョポッチェイモ
その他	カトッフェルケーゼクリスプサンドイッチ粉吹芋じゃがいもパンじゃがバターチップバティニョッキポテトケーキ（英語版）ポテトニック（英語版）ホミティーパイ（英語版）ラップロティ（英語版）レウェナパン（英語版）レフセ（ノルウェー語版、英語版）せいだのたまじ
^※サツマイモを用いる場合もある。一覧カテゴリ

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脚注

関連項目