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朝乃若樹

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
朝乃若 樹
基礎情報
四股名 寺沢 → 朝乃若
本名 寺沢 樹
愛称 テラ、いっちゃん、ノワカ
生年月日 (1995-06-22) 1995年6月22日(29歳)
出身 日本の旗 日本新潟県佐渡市
身長 183.2cm
体重 133.4kg
BMI 39.7
所属部屋 高砂部屋
得意技 突き、押し、突き落とし
成績
現在の番付 東幕下30枚目
最高位 東十両4枚目
生涯戦歴 151勝124敗25休(40場所)
優勝 幕下優勝1回
三段目優勝1回
序ノ口優勝1回
データ
初土俵 2018年3月場所
備考
弓取り担当力士
2024年11月26日現在

朝乃若 樹(あさのわか いつき、1995年6月22日 - )は、新潟県佐渡市出身で、高砂部屋所属の現役大相撲力士。本名は寺沢 樹(てらさわ -)。身長183.2cm、体重133.4kg、血液型はA型[1]。最高位は東十両4枚目(2022年3月場所、7月場所)。

来歴

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相撲は祖父に連れられて行った佐渡相撲教室で、佐渡市立金井小学校2年次から始めた[2]。中学校からは石川県へ相撲留学。金沢市立鳴和中学校に進学して、3年次に全国中学校相撲選手権大会で個人準優勝[1]金沢市立工業高校では2年次に宇佐大会で団体優勝、金沢大会高校総体で団体準優勝を経験[1]。3年次には金沢大会と高校総体で団体3位、国体で個人4位の実績を残した[1]。高校卒業後は一時大相撲入りを検討するも、今の実力では通用しないと考えて東洋大学に進学した[2]。大学では4年次に宇佐大会と金沢大会で優勝、全国学生相撲選手権大会全日本相撲選手権大会ではベスト16の成績を残した[1]

大学3年次に高砂部屋付きの15代若松(元幕内・朝乃若)から勧誘を受けており、大学卒業後は同部屋に入門した[1]付出の資格は無かったため前相撲からのデビューとなり、2018年3月場所で初土俵を踏んだ。初土俵同期生には木﨑海らがいる。翌5月場所で序ノ口の番付に名前が載ったが、椎間板ヘルニアを患って途中休場[3]。6月に手術を受けて休場が続いたため[4]、同年9月場所で番付外に転落した[5]。休場中、師匠の7代高砂(元大関・朝潮)からは「ケガが治れば幕下ぐらいまでは、すぐに上がれる」と激励された[4]

2019年1月場所で前相撲に出場して再出世[5]。番付に再び名前が載った翌3月場所は7戦全勝で序ノ口優勝を果たす[4]。翌5月場所は初めて序二段に上がり、7番目で栃神山に敗れたが6勝1敗と大きく勝ち越した。三段目に昇進した7月場所は7戦全勝とし、部屋の兄弟子の朝天舞との優勝決定戦を制して三段目優勝を果たした[6]。翌9月場所で幕下に昇進して以降は幕下の地位に定着、2020年9月場所では幕下優勝した[7]。自己最高位となる西幕下4枚目で迎えた翌11月場所では、3勝3敗で迎えた千秋楽に初の十両での相撲となる貴源治戦に敗れ負け越し、続く2021年1月場所も2連勝からの5連敗で2場所連続の負け越しとなり番付を西幕下18枚目まで下げたものの、翌3月場所から3場所連続で勝ち越し、自己最高位の東幕下筆頭で迎えた9月場所も、5番相撲となる9日目に勝ち越しを決め、新十両昇進確実となった[8]。場所後に行われた11月場所の番付編成会議で新十両昇進が正式に決定し、十両昇進に合わせて四股名を15代若松の現役名と同じ「朝乃若」へ改名することが発表された[9]。「思い切り相撲を取る姿にも憧れていたし、ケガも少ない親方だった。それでしこ名を頂くことにしました」と若松親方に直談判して了承を得たという[10]

11月場所は2日目の北青鵬からの不戦勝で初日を出し、関取の地位での初白星を挙げた格好となった。「今朝(稽古後に)聞いて『まさか』と。少しホッとした感じはあったけど、明日からまた気持ちを入れ直して頑張りたい」と北青鵬の休場には意外の感を表した[11]。11日目に勝ち越しを確定させ、この日に「思い切って気負わずに。いってらっしゃい」と朝乃若を送り出した部屋の朝乃山へ「おかげさまでと(報告したい)。恩返しできたかなと思います」と感謝を示した[12]

2022年7月場所14日目の照強戦は初めての幕内の土俵。突き出しで勝って初めての懸賞金を受け取った。取組後「相撲に導いてくれた師匠なので」と祖父に懸賞金をプレゼントする意向を示した[13]

2022年8月29日に新型コロナウイルス感染が判明[14]。9月8日に隔離措置が解除されたため、9月11日が初日の同年9月場所には初日から出場する予定で割に名前も入っていたが、体調不良のため初日に休場を届け出た[15][16]。同場所2日目(9月12日)に「新型コロナウイルス感染症、同後遺症で約2週間の安静加療を要する見込み」という内容の診断書を提出した[14]。新型コロナウイルス感染症の後遺症による本場所休場は、十両以上では初めての事例となった[14]。場所後の秋巡業期間中、朝乃若は「結局、場所中も39度近い発熱があったり、ふらつきなどがずっとありました。途中出場も考えたけどダメでした」「階段の上り下りですぐに息が上がったりと私生活もきつい時期がありました」と明かした[17]。発症期間中ではなく後遺症での休場であったため番付上の救済措置はなく、6場所連続で務めた十両の地位を失い、西幕下4枚目に降下[18]伊勢ヶ濱審判部長は「(朝乃若は)コロナでの休場ではないので、(番付が)据え置きにはならないです」との認識を示した上で「あの位置で全敗だったら、あそこらへんまで落ちるのは全然不思議じゃないです」と述べた。また、親方衆からもこの措置に異論はないと説明していた[19]。西幕下4枚目となった11月場所では7戦全敗に終わり、2004年11月場所の琴乃峰以来となる、十両から幕下降格直後の場所で出場して7戦全敗した力士となった[20]。2023年5月場所11日目の6番相撲では、土俵際での仕切り、猫騙し、裾払いと、奇策に次ぐ奇策で現役最重量252kgの出羽ノ城に勝利して話題となった。このような奇策の数々を講じたのは、9日目の大日堂-出羽ノ城戦で重い出羽ノ城相手に約3分の長い相撲で疲労困憊になって中々起き上がれなかった大日堂を出番待ちの土俵下で見ていたためであった。[21]

2024年5月場所2日目から弓取り担当を務めている。同日から横綱照ノ富士が途中休場したことに伴い、聡ノ富士に代わって務めることになったもので、弓取りの担当に選ばれたとの連絡は、同日の昼に15代若松を通じて受けた[22]。関取経験者が幕下以下に番付を下げた後に、弓取り式を務めたのは1991年7月場所の秀ノ花以来[23]

取り口

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突き押しが武器で突き落としもよく決まるが、相撲の流れで安易に左右に動く癖がある。また、軽量のため正攻法の押しや寄りに弱い傾向にある。

エピソード

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  • 2020年7月場所2日目の7月20日に、高砂部屋の敷地内に干していた稽古廻しを盗まれる被害に遭った[24]。同年8月14日時点で、被害届は提出しているが犯人は見つかっていないという[24]。この廻しにはペットのウサギの遺骨が入ったお守りを忍ばせてあり、盗難被害によりお守りも失ってしまった[25]1983年に入門した部屋マネジャー(当時)の松田哲博も「記憶にない」と語る珍しい事件であり、相撲協会も2番目の取組を3日目から4日目に延期する配慮を見せたが、この場所は3勝4敗と負け越した[24]。翌9月場所は「番付発表で切り替えた」[25]「心の中で今も一緒に戦っています」[26]と語り、7戦全勝で幕下優勝を果たした。
  • 協会公式プロフィールによると、好きなお笑いタレントはジミー大西、好物はミカン[27]

主な成績

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2024年11月場所終了現在

  • 通算成績:151勝124敗25休(40場所)

各段優勝

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  • 幕下優勝:1回(2020年9月場所)
  • 三段目優勝:1回(2019年7月場所)
  • 序ノ口優勝:1回(2019年3月場所)

場所別成績

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朝乃若 樹
一月場所
初場所(東京
三月場所
春場所(大阪
五月場所
夏場所(東京)
七月場所
名古屋場所(愛知
九月場所
秋場所(東京)
十一月場所
九州場所(福岡
2018年
(平成30年)
x (前相撲) 東序ノ口16枚目
1–2–4 
東序ノ口25枚目
休場
0–0–7
(番付外) (番付外)
2019年
(平成31年
/令和元年)
(前相撲) 西序ノ口19枚目
優勝
7–0
西序二段14枚目
6–1 
西三段目51枚目
優勝
7–0
東幕下30枚目
3–4 
西幕下38枚目
6–1 
2020年
(令和2年)
東幕下15枚目
2–5 
東幕下32枚目
3–4[注 1] 
感染症拡大
により中止
東幕下38枚目
3–4[注 2] 
東幕下42枚目
優勝
7–0
西幕下4枚目
3–4[注 2] 
2021年
(令和3年)
東幕下7枚目
2–5 
西幕下18枚目
4–3[注 2] 
西幕下13枚目
5–2[注 3] 
西幕下6枚目
6–1 
東幕下筆頭
5–2 
東十両13枚目
10–5 
2022年
(令和4年)
東十両6枚目
9–6 
東十両4枚目
5–10 
西十両8枚目
10–5 
東十両4枚目
7–8 
西十両5枚目
0–1–14[注 4] 
西幕下4枚目
0–7 
2023年
(令和5年)
西幕下34枚目
3–4 
東幕下45枚目
4–3 
東幕下38枚目
3–4 
西幕下48枚目
1–6 
西三段目16枚目
6–1 
西幕下38枚目
4–3 
2024年
(令和6年)
東幕下32枚目
4–3 
西幕下26枚目
4–3 
西幕下20枚目
4–3 
東幕下15枚目
0–7 
西幕下50枚目
5–2 
東幕下30枚目
2–5 
各欄の数字は、「勝ち-負け-休場」を示す。    優勝 引退 休場 十両 幕下
三賞=敢闘賞、=殊勲賞、=技能賞     その他:=金星
番付階級幕内 - 十両 - 幕下 - 三段目 - 序二段 - 序ノ口
幕内序列横綱 - 大関 - 関脇 - 小結 - 前頭(「#数字」は各位内の序列)

改名歴

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  • 寺沢 樹(てらさわ いつき)2018年3月場所 - 2021年9月場所
  • 朝乃若 樹(あさのわか -)2021年11月場所 -

脚注

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注釈

[編集]
  1. ^ 無観客開催
  2. ^ a b c 東京開催
  3. ^ 3日目まで無観客開催
  4. ^ 新型コロナウイルス感染症後遺症のため初日から休場(初日は不戦敗)

出典

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  1. ^ a b c d e f 「春場所全新弟子名鑑」『相撲』2018年4月号、ベースボール・マガジン社、103頁。 
  2. ^ a b 「大銀杏が待っている」『相撲』2021年9月号、ベースボール・マガジン社、78頁。 
  3. ^ 「十両以下各段優勝力士喜び詳報」『相撲』2019年4月号、ベースボール・マガジン社、69頁。 
  4. ^ a b c 寺沢、腰痛乗り越え序ノ口7戦全勝V「長く疲れた」」『日刊スポーツ』2019年3月22日。2021年5月5日閲覧。
  5. ^ a b 「初場所全新弟子名鑑」『相撲』2019年2月号、ベースボール・マガジン社、109頁。 
  6. ^ 「十両以下各段優勝力士喜び詳報」『相撲』2019年8月号、ベースボール・マガジン社、69頁。 
  7. ^ 朝乃山付け人の寺沢が幕下V「大関と一緒に優勝を」」『日刊スポーツ』2020年9月25日。2021年5月5日閲覧。
  8. ^ “東幕下筆頭・寺沢、勝ち越しで新十両昇進確実 地元・佐渡の期待背負う26歳「僕が頑張って少しでも盛り上げられたら」”. スポーツ報知. (2021年9月20日). https://hochi.news/articles/20210920-OHT1T51101.html?page=1 2021年9月23日閲覧。 
  9. ^ 寺沢改め朝乃若と平戸海が新十両昇進 荒篤山は2場所ぶり再十両」『日刊スポーツ』2021年9月29日。2021年9月29日閲覧。
  10. ^ 寺沢改め朝乃若が新十両会見「頑張る」若松親方の現役時代しこ名を直談判 日刊スポーツ 2021年9月29日14時14分 (2021年10月9日閲覧)
  11. ^ 新十両の朝乃若「今朝聞いて『まさか』と」不戦勝で関取1勝「少しホッと」 日刊スポーツ 2021年11月15日15時29分 (2021年11月15日閲覧)
  12. ^ 新十両の寺沢改め朝乃若、11日目に勝ち越し「すごくうれしい」…兄弟子の朝乃山に感謝「恩返しできたかな」 2021年11月24日 15時48分スポーツ報知 (2021年11月24日閲覧)
  13. ^ 十両・朝乃若、初めての幕内土俵で7勝目 記念すべき懸賞は祖父へ「相撲に導いてくれた師匠なので」 2022年7月23日 18時14分スポーツ報知 (2022年7月24日閲覧)
  14. ^ a b c 十両以上で初 朝乃若が新型コロナウイルス感染症に関する診断書を提出」『スポーツニッポン』2022年9月12日。2022年9月12日閲覧。
  15. ^ 初日休場の朝乃若「コロナ後遺症のため約2週間の加療を要する見込み」との診断書発表」『日刊スポーツ』2022年9月12日。2022年9月12日閲覧。
  16. ^ 十両・朝乃若が体調不良のため休場…対戦相手の天空海は不戦勝」『スポーツ報知』2022年9月11日。2022年9月12日閲覧。
  17. ^ 朝乃若が九州場所に向け復調の兆し コロナ後遺症で休場に歯がゆい思い「途中出場も考えたけど」 - 日刊スポーツ 2022年10月12日
  18. ^ 【九州場所新番付】コロナ“後遺症”で全休の朝乃若は幕下に陥落 コロナ休場の据え置きと差 - 日刊スポーツ 2022年10月31日
  19. ^ 朝乃若が十両→幕下に「コロナでの休場ではないので、据え置きにはならない」伊勢ケ浜審判部長 - 日刊スポーツ 2022年10月31日
  20. ^ odateuzaemonの2022年11月25日のツイート- X(旧Twitter)
  21. ^ 朝乃若が奇策連発で現役最重量252キロの出羽ノ城に勝利 土俵際から仕切り→猫だまし→裾払い 日刊スポーツ 2023年5月24日14時39分 (2023年5月24日閲覧)
  22. ^ 朝乃若 弓取りに急きょ登場 照ノ富士の休場で指名 高砂部屋OB皇牙に続く「弓取り関取」目指す」『スポニチネックス』2024年5月13日。2024年5月13日閲覧。
  23. ^ 弓取り式で33年ぶりの出来事 関取経験者の幕下朝乃若が大役、当日急きょ打診で本場所デビュー 日刊スポーツ 2024年5月14日10時0分 (2024年5月14日閲覧)
  24. ^ a b c 幕下寺沢ショック 愛するペット遺骨入りまわし盗難」『日刊スポーツ』2020年8月14日。2021年5月5日閲覧。
  25. ^ a b 「十両以下各段優勝力士喜び詳報」『相撲』2020年10月号、ベースボール・マガジン社、68頁。 
  26. ^ 朝乃山の付け人・寺沢が6連勝…先場所中には愛兎の遺骨入りまわしを盗難被害も「心の中で今も一緒に戦ってます」」『スポーツ報知』2020年9月23日。2021年5月5日閲覧。
  27. ^ 朝乃若 樹 - 力士プロフィール 日本相撲協会 (2022年1月14日閲覧)

関連項目

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外部リンク

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