水戸龍聖之
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基礎情報 | ||||
四股名 | 水戸龍 聖之 | |||
本名 |
バーサンスレン・トゥルボルド Баасансүрэнгийн Төрболд | |||
愛称 | トゥル[1] | |||
生年月日 | 1994年4月25日(30歳) | |||
出身 | モンゴル・ウランバートル市 | |||
身長 | 190.0cm | |||
体重 | 201.0kg | |||
BMI | 54.3 | |||
所属部屋 | 錦戸部屋 | |||
得意技 | 右四つ・寄り | |||
成績 | ||||
現在の番付 | 東十両8枚目 | |||
最高位 | 東前頭13枚目 | |||
生涯戦歴 | 305勝294敗29休(44場所) | |||
幕内戦歴 | 27勝44敗4休(5場所) | |||
優勝 | 十両優勝2回 | |||
データ | ||||
初土俵 | 2017年5月場所 | |||
入幕 | 2022年9月場所 | |||
趣味 | ダーツ、映画 | |||
備考 | ||||
2024年10月28日現在 |
水戸龍 聖之(みとりゅう たかゆき、1994年4月25日 - )は、モンゴル国ウランバートル市出身で、錦戸部屋所属の現役大相撲力士。本名はバーサンスレン・トゥルボルド(モンゴル語キリル文字表記:Баасансүрэнгийн Төрболд)。身長189.0cm、体重194.0kg、血液型はA型[2]。最高位は東前頭13枚目(2024年5月場所)。
来歴
[編集]大相撲入門前
[編集]モンゴル時代は柔道、バスケットボール、ダーツ、スピードスケートなど、様々なスポーツに取り組んだ。特にスピードスケートは地区大会で優勝するほどの実力を持っていた[3]。高校は日本の鳥取城北高校へ留学し、相撲部に入部して相撲を始めた。この時、照ノ富士、逸ノ城と一緒に来日し、来日のために乗った飛行機も同じ便であった[4]。高校卒業後は、プロへ入るためには実力が足りないと考えて日本大学文理学部体育学科へ進学し、大学相撲の名門のひとつの日本大学相撲部に入部した[5]。3年次には腰痛の影響で右四つから寄る本来の形の相撲は少なかったが、全日本相撲選手権大会で優勝し、アマチュア横綱のタイトルを獲得した。外国出身者としては初めてのアマチュア横綱である[6]。4年次には外国出身者として初めて日大相撲部の主将を務め[7]、全国学生相撲選手権大会で初優勝をして学生横綱のタイトルも獲得した。学生最後の大会となった全日本選手権は2回戦敗退で2連覇はできなかった[8]。大学時代の獲得タイトル数は8個で、4年次に学生横綱となっていることから大相撲の幕下15枚目格付出資格も獲得した。
幕下時代
[編集]大学卒業後は錦戸部屋へ入門した。2017年3月場所前の新弟子検査で合格したが、興行ビザの取得の必要があるため、この場所では初土俵を踏まなかった[9]。場所後の3月30日に開かれた日本相撲協会の理事会で正式に幕下15枚目格付出でのデビューが承認され[10]、興行ビザも取得できたため5月場所で初土俵を踏んだ。四股名については、泉富士などの候補もある中で、姓名判断の結果も参考に水戸龍となった[11]。師匠が元水戸泉の錦戸とはいえ、当初は「モンゴル出身なのに四股名に『水戸』と付くのは如何なものか」と違和感を覚える者もいたという。初土俵同期には、自身と同じ幕下15枚目格付出の矢後、友風らがいる。この場所は、初日のプロデビューの取組を負けて黒星発進となり[12]、14日目の7番相撲に負けて負け越しが決定した。幕下付出の新弟子が10枚目格か15枚目格で処遇されることになった2001年1月場所以降で、皆勤出場した19人の幕下付出力士の中では4人目となる、初土俵場所での負け越しだった[13]。続く7月場所は5勝2敗で初めての勝ち越しとなり、入門3場所目となった9月場所では初日から6連勝発進となった。東幕下14枚目という番付から、7番目も勝って7戦全勝なら新十両昇進が確実になるところだったが[14]、13日目の7番相撲で幕内経験者の鏡桜に敗れ、7戦全勝での幕下優勝と新十両昇進を逃した[15]。11月場所では東幕下4枚目の番付で6勝1敗と大勝ちし、場所後の番付編成会議で、2018年1月場所での新十両昇進が決定した。錦戸部屋からは2002年の部屋創設以来、初めての関取となった[16]。2月11日には水戸龍の新十両祝賀会が開催されたが、丁度錦戸部屋が2017年12月1日で創立15周年となったため、自身の祝賀会が部屋創立15周年記念式典を兼ねた格好となった[17]。
新十両昇進後
[編集]新十両となった2018年1月場所は中日の時点で6勝2敗と好調だったが、中日以降は調子を落とした。それでも13日目に日大の2年先輩である翔猿に勝って給金相撲を制し、8勝7敗の勝ち越し。しかし13日目の取組終了後「全然、自分の相撲が取れなかったです。自分の力で勝ったという相撲が少なかった。たまたま勝ったという感じ」と反省を述べた[18]。翌3月場所場所も序盤から好調で、10日目の時点で8勝2敗と既に勝ち越しが決定しているだけでなく、優勝争いの一角に位置していたが、11日目の翔猿戦で土俵から落ちた際に右足の踵を骨折し、翌12日目より自身初めての休場となった[19]。翌5月場所は怪我の影響が残って動きに精彩を欠き、6勝9敗と1年ぶりの負け越しに終わる[20]。7月場所も十分な稽古を積めないまま出場したが、千秋楽に勝ち越しを決めた[21]。9月場所は左膝を痛めて千秋楽を休場。14日目終了時点で7勝7敗だったため、不戦敗で負け越しが決定した[22]。翌11月場所以降も怪我や、日大時代に発症して持病になっている[23]腰痛の影響もあって一進一退の時期が長く続いたが、2021年7月場所では12勝3敗で自身初の各段優勝となる十両優勝を果たした[24]。6枚目で12勝の優勝なので幕内に上がってもおかしくない成績だったが幕内からの陥落者がわずか1人だったため不運にも昇進できず筆頭止まりとなった。その9月場所では途中休場で昇進最大のチャンスを活かせなかった。
2022年9月場所では新入幕。錦戸部屋からは初の幕内力士となった[25]。
2023年11月場所11日目の志摩ノ海戦では合計5分57秒の水入りとなった大相撲を押し出しで制した。水入りは幕内も含めれば場所2度目で、十両で水入りとなるのは、1999年11月場所9日目、琴光喜と北桜の一番以来、24年ぶりのことだった[26]。2024年9月場所は6勝7敗2休だが、11月場所は若干番付に恵まれてわずか半分枚下降で済んだ。
素質・取り口
[編集]新入幕時点で190cm、198kgの体格を活かした右四つの相撲が武器。師匠も入門時は「どんな記録を作るかと思っていた」とスピード出世を期待したが、大学時代に発症した持病の腰痛、十両時代の右踵の骨折、ライバルの逸ノ城や照ノ富士の躍進を意識しない、自他ともに認める貪欲さや闘争心に欠けたマイペースな性格[27]から、十両昇進から27場所に渡って十両で停滞していた[25]。
十両で停滞して新入幕が遅れた要因としては本人のマイペースさもさることながら、2022年9月場所直前には部屋に実質彼1人しか所属力士がいないと示唆する報道がされており、稽古環境には非常に恵まれない。出稽古以外で行う相撲の稽古は基礎運動だけである[28]。一部報道によると、部屋にもう1人いる番付外の力士はこの時点で2021年11月場所から長期休場を続けているという[29]。高砂一門の関係者は9月場所中の記事で「今の水戸龍は素質だけで相撲を取っていると言っても過言ではない。それでも高校から相撲を始めながら、大学で素晴らしい実績を残していますからね。才能だけでいえば、天才も天才ですよ。だからこそ、別の部屋に入門していれば……と思わざるを得ません」と評していた[30]。
エピソード
[編集]- 日本相撲協会の公式マスコット「ハッキヨイ!せきトリくんのキャラクター、「あんこ山」に似ているとされ、日本相撲協会の公式Twitterにおいて取り上げられた[31]。
主な成績
[編集]2024年9月場所終了現在
通算成績
[編集]- 通算成績:305勝294敗29休(44場所)
- 幕内成績:27勝44敗4休(5場所)
各段優勝
[編集]- 十両優勝:2回(2021年7月場所・2024年3月場所)
場所別成績
[編集]一月場所 初場所(東京) |
三月場所 春場所(大阪) |
五月場所 夏場所(東京) |
七月場所 名古屋場所(愛知) |
九月場所 秋場所(東京) |
十一月場所 九州場所(福岡) |
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2017年 (平成29年) |
x | x | 幕下付出15枚目 3–4 |
西幕下23枚目 5–2 |
東幕下14枚目 6–1 |
東幕下4枚目 6–1 |
2018年 (平成30年) |
東十両13枚目 8–7 |
西十両10枚目 8–4–3[32] |
西十両9枚目 6–9 |
西十両11枚目 8–7 |
西十両10枚目 7–8[33] |
東十両12枚目 9–6 |
2019年 (平成31年 /令和元年) |
西十両9枚目 6–9 |
東十両12枚目 9–6 |
東十両9枚目 7–8 |
東十両9枚目 9–6 |
東十両6枚目 6–9 |
西十両9枚目 9–6 |
2020年 (令和2年) |
西十両4枚目 6–9 |
東十両7枚目 4–11 |
感染症拡大 により中止 |
西十両14枚目 10–5 |
東十両8枚目 6–9 |
東十両11枚目 8–7 |
2021年 (令和3年) |
西十両10枚目 8–7 |
東十両9枚目 5–10 |
西十両10枚目 9–6 |
西十両6枚目 優勝 12–3 |
東十両筆頭 2–7–6[34] |
東十両9枚目 8–7 |
2022年 (令和4年) |
東十両7枚目 0–1–14[35] |
東十両7枚目 10–5 |
東十両3枚目 7–8 |
西十両4枚目 9–6 |
東前頭16枚目 5–10 |
西十両3枚目 9–6 |
2023年 (令和5年) |
西前頭15枚目 7–8 |
東前頭17枚目 8–7 |
東前頭16枚目 5–10 |
西十両2枚目 6–9 |
西十両3枚目 7–8 |
西十両4枚目 9–6 |
2024年 (令和6年) |
西十両筆頭 7–8 |
西十両2枚目 優勝 12–3 |
東前頭13枚目 2–9–4[36] |
西十両3枚目 6–9 |
西十両7枚目 6–7–2[37] |
東十両8枚目 – |
各欄の数字は、「勝ち-負け-休場」を示す。 優勝 引退 休場 十両 幕下 三賞:敢=敢闘賞、殊=殊勲賞、技=技能賞 その他:★=金星 番付階級:幕内 - 十両 - 幕下 - 三段目 - 序二段 - 序ノ口 幕内序列:横綱 - 大関 - 関脇 - 小結 - 前頭(「#数字」は各位内の序列) |
合い口
[編集]2024年9月場所終了現在
(以下は最高位が横綱・大関の現役力士)
- 元大関・朝乃山には1敗。
幕内対戦成績
[編集]力士名 | 勝数 | 負数 | 力士名 | 勝数 | 負数 | 力士名 | 勝数 | 負数 | 力士名 | 勝数 | 負数 |
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碧山 | 1 | 2 | 朝乃山 | 0 | 1 | 東龍 | 1 | 1 | 一山本 | 1 | 3(1) |
欧勝馬 | 0 | 1 | 阿武咲 | 1 | 0 | 王鵬 | 4 | 0 | 隠岐の海 | 1(1) | 0 |
輝 | 1 | 0 | 金峰山 | 0 | 1 | 琴恵光 | 2 | 2 | 琴勝峰 | 0 | 2 |
佐田の海 | 0 | 1 | 大翔鵬 | 0 | 2 | 隆の勝 | 2 | 1 | 宝富士 | 2 | 2 |
美ノ海 | 0 | 1 | 千代翔馬 | 0 | 4 | 千代大龍 | 0 | 1 | 千代丸 | 0 | 1 |
剣翔 | 2 | 3 | 照強 | 0 | 1 | 時疾風 | 1 | 0 | 錦富士 | 0 | 1 |
平戸海 | 2 | 0 | 武将山 | 1 | 0 | 北青鵬 | 0 | 1 | 北勝富士 | 0 | 2 |
翠富士 | 1 | 0 | 妙義龍 | 0 | 1 | 豊山 | 0 | 1 | 竜電 | 0 | 2 |
狼雅 | 0 | 1 |
改名歴
[編集]- 水戸龍 聖之(みとりゅう たかゆき)2017年5月場所 -
脚注
[編集]- ^ 「平成30年1月場所東西十両特製新番付」『相撲』2018年1月号、ベースボール・マガジン社、74頁。
- ^ ベースボール・マガジン社刊 『相撲』 2017年5月号(夏場所展望号)別冊付録 平成29年度 最新部屋別 全相撲人写真名鑑 40頁
- ^ ベースボール・マガジン社刊 『相撲』 2017年4月号(春場所総決算号) 104頁
- ^ 大空出版『相撲ファン』vol.06 p73
- ^ アスリートインタビュー Vol.018 バーサンスレン・トゥルボルド × パトリック・マゼンゲ・ワンブィ × ニウカプ・タウファ 日大スポーツ
- ^ “外国勢初のアマ横綱誕生 トゥルボルドは逸ノ城、照ノ富士に続けるか”. 産経新聞. (2015年12月13日) 2017年9月29日閲覧。
- ^ “日大トゥルボルド、錦戸部屋入門!学生横綱祝勝会で発表”. スポーツ報知. (2017年1月26日) 2017年9月29日閲覧。
- ^ “学生横綱トゥルボルド、連覇逃す 全日本相撲選手権”. サンスポ. (2016年12月4日) 2017年9月29日閲覧。
- ^ “学生横綱トゥルボルドら56人合格 春場所新弟子検査”. 日本経済新聞. (2017年3月30日) 2017年9月29日閲覧。
- ^ “相撲協会、トゥルボルドと矢後の幕下付け出し承認”. 日刊スポーツ. (2017年3月31日) 2017年9月29日閲覧。
- ^ “夏場所デビューのトゥルボルド、しこ名「水戸龍」に”. 日刊スポーツ. (2017年5月3日) 2017年9月29日閲覧。
- ^ “水戸龍が黒星デビュー「頭真っ白、人生で一番緊張」”. 日刊スポーツ. (2017年5月14日) 2017年9月29日閲覧。
- ^ “水戸龍、デビュー場所勝ち越せず「引いてしまった」”. 日刊スポーツ. (2017年5月27日) 2017年9月29日閲覧。
- ^ “水戸龍「頑張ってきたことを出す」新十両昇進に王手”. 日刊スポーツ. (2017年9月20日) 2017年9月29日閲覧。
- ^ “水戸龍 鏡桜に敗れ幕下優勝逃す「経験で負けた」”. 日刊スポーツ. (2017年9月22日) 2017年9月29日閲覧。
- ^ “新十両に水戸龍、天空海=大相撲”. 時事ドットコム. (2017年11月29日) 2017年11月29日閲覧。
- ^ 『相撲』2018年3月号 p123
- ^ “新十両・水戸龍が勝ち越し 日大2学年先輩・翔猿を寄り切る”. 報知新聞社. (2018年1月26日) 2018年2月1日閲覧。
- ^ 「水戸龍 12日目から休場 右踵骨裂離骨折などで」『スポーツニッポン』2018年3月22日。2021年7月20日閲覧。
- ^ 「平成30年7月場所東西十両特製新番付」『相撲』2018年7月号、ベースボール・マガジン社、59頁。
- ^ 「平成30年名古屋場所 十両の土俵から」『相撲』2018年8月号、ベースボール・マガジン社、65頁。
- ^ 「千代丸と水戸龍が休場 大相撲秋場所千秋楽」『日本経済新聞』2018年9月23日。2021年7月20日閲覧。
- ^ 「幕下水戸龍3敗「急ぎすぎて前に」精神面&腰痛影響」『日刊スポーツ』2017年5月23日。2021年7月20日閲覧。
- ^ 「水戸龍が十両V「この調子で頑張っていけたら」一気に新入幕も視界」『日刊スポーツ』2021年7月18日。2021年7月20日閲覧。
- ^ a b “【秋場所新番付】水戸龍が6年目で新入幕「はっきりとした実感はないですがうれしいです」”. 日刊スポーツ. (2022年8月29日) 2022年8月29日閲覧。
- ^ 渡辺佳彦. “十両24年ぶりの水入り 水戸龍「待っていたら待ち合いになった」志摩ノ海を5分57秒押し出し - 大相撲 : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2024年8月26日閲覧。
- ^ ““未完の大器”水戸龍が6年目で新入幕 元アマ横綱はマイペース返上なるか”. スポーツ報知: p. 1. (2022年8月29日)
- ^ “【秋場所】新入幕水戸龍「化け物と思っていた人たちのところ」1人部屋の逆境バネに勝ち越し目指す”. 日刊スポーツ. (2022年9月10日)
- ^ “20年目で新入幕誕生の珍事 水戸龍、力士1人の錦戸部屋 親方の元関脇水戸泉「うれしい反面、やっと…本当に長かった」”. zakzak. (2022年8月30日). p. 1
- ^ “水戸龍聖之は入門した部屋が悪かった? 天賦の才生かせず稽古嫌いに”. 日刊ゲンダイDIGITAL. (2022年9月15日). p. 2
- ^ “相撲協会公式マスコット 元アマ横綱力士に“そっくり”で反響「思わず吹き出した」「クリソツ(笑)」”. スポニチアネックス. (2023年1月18日). p. 1
- ^ 右踵骨裂離骨折、右踵骨骨挫傷のため12日目から途中休場
- ^ 左膝内側側副靱帯損傷のため千秋楽を休場
- ^ 腰椎椎間板ヘルニアのため9日目から休場
- ^ 2019新型コロナウイルス感染者と濃厚接触した可能性があるため初日から休場
- ^ 両変形性膝関節症に伴う関節炎のため11日目から休場
- ^ 右膝膝蓋腱損傷および右大腿ハムストリング筋挫傷のため11日目から休場
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 水戸龍 聖之 - 日本相撲協会