扇島
地理 | |
---|---|
場所 | 東京湾 |
座標 | 北緯35度28分47.8秒 東経139度43分5.5秒 / 北緯35.479944度 東経139.718194度座標: 北緯35度28分47.8秒 東経139度43分5.5秒 / 北緯35.479944度 東経139.718194度 |
面積 | 6.717 km2 (2.593 sq mi)2005年時点、両市分の単純合計 |
国 | |
都道府県 | 神奈川県 |
市町村 | 横浜市、川崎市 |
区 | 鶴見区、川崎区 |
人口統計 | |
人口 | 0 |
人口密度 | 0 /km2 (0 /sq mi) |
扇島 | |
---|---|
町丁 | |
北緯35度28分56.1587秒 東経139度43分22.7946秒 / 北緯35.482266306度 東経139.722998500度 | |
国 | 日本 |
都道府県 | 神奈川 |
市町村 | 川崎市 |
行政区 | 川崎区 |
地区 | 田島支所 |
人口情報(2024年(令和6年)9月30日現在[1]) | |
人口 | 0 人 |
世帯数 | 0 世帯 |
面積([2]) | |
3.958698426 km² | |
人口密度 | 0 人/km² |
設置日 | 1964年(昭和39年) |
郵便番号 | 210-0868[3] |
市外局番 | 044(川崎MA)[4] |
ナンバープレート | 川崎 |
ウィキポータル 日本の町・字 ウィキポータル 神奈川県 ウィキプロジェクト 日本の町・字 |
扇島 | |
---|---|
町丁 | |
北緯35度28分33.05秒 東経139度42分45.09秒 / 北緯35.4758472度 東経139.7125250度 | |
国 | 日本 |
都道府県 | 神奈川 |
市町村 | 横浜市 |
行政区 | 鶴見区 |
人口情報(2024年(令和6年)10月31日現在[5]) | |
人口 | 0 人 |
世帯数 | 0 世帯 |
面積([6]) | |
2.759 km² | |
人口密度 | 0 人/km² |
設置日 | 1964年(昭和39年)1月21日 |
郵便番号 | 230-0055[7] |
市外局番 | 045(横浜MA)[8] |
ナンバープレート | 横浜 |
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扇島(おおぎしま[9]、おうぎしま[10])は、東京湾にある、神奈川県川崎市川崎区扇島並びに横浜市鶴見区扇島(読み仮名についての詳細は後節)に属する、埋立地である人工島。面積は川崎市側が3.96 km²[11]、横浜市側が2.76 km²[12]である。
重要な港湾施設があり、他国船舶も停泊するためSOLAS条約(海上人命安全条約)が適用され、東京湾岸道路による通過を除いて関係者以外の立ち入りは禁止されている。
地理
[編集]北を京浜運河に、南を東京湾に面した人工島である。中央部を東西に首都高速湾岸線が通過しており[13]、また東扇島から扇島大橋(JFEの保有する私橋)が架かっている。一帯はJFEスチール東日本製鉄所京浜地区や石油の備蓄基地などがある[13]。島全体が川崎港・横浜港の一部で、他国と物資のやり取りを行う重要な港湾施設が設けられており、上述の国際条約の規定に基づいて国際テロ発生のリスクを排除する必要があるため、上陸可能な人物については厳格に管理されている。
島内中央部を南北に市境が貫いているが、市境南端は同一地点(北緯35度28分11秒 東経139度43分31秒 / 北緯35.46972度 東経139.72528度)に川崎市最南端と横浜市最東端が位置する[14]珍しい場所となっている。
歴史
[編集]京浜工業地帯の開発の一環として京浜運河などが開削されたが、その際に浚渫された土砂を埋立地に面していた防波堤の堤外部に投棄。そして積み上がった土砂が砂州を形成し[13]、一帯を開発した浅野財閥の商標である扇に因んで扇島と命名された。昭和初期には鶴見臨港鉄道によって海水浴場としての営業が始まり、鉄道と渡船による連絡で京浜地区からの観光客で賑わった[15]。戦時中の中断を経て海水浴場の営業は続くものの、一帯の水質汚染から営業継続が困難となり1958年(昭和33年)には日本鋼管の原料置き場として整備が行われた[16]。
扇島計画
[編集]日本鋼管京浜製鉄所は工場群が10か所に散在する状態で、そしてそれぞれが市街地に存在し、配置も合理的ではないことから、公害対策や生産性の向上を図ることも困難となっていた[17]。こういった状況を一気に解決するための手段として、扇島を埋め立て拡張して生産拠点をそちらに統合するという「扇島計画」が1969年(昭和44年)3月に策定された[17]。公害防止協定が1970年(昭和45年)12月に締結され[18]、また埋め立て許可に関わる漁業権交渉は東扇島や大黒埠頭と一括で進められ、1971年(昭和46年)12月に埋立が免許された[18]。
埋立予定の海域は水深が平均10 m、最深部では16 mあり、またシルトが堆積する軟弱地盤と、条件はあまりよくない地であった[19]。その中でも、千葉県富津市の浅間山から[19]一日あたり10万m3という土砂を運び[20]、また堆積したシルトを取り除かず、上に土砂を均等散布することでシルトを固めるという、工期や土砂の縮減・環境汚染の防止を図ったサンドマット工法を採用した[20]こともあり、当初は5年かかると見積もられていた埋立工事が3年9か月で終了した[19]。これらの土木工事に対し、1975年(昭和50年)には土木学会技術賞が授与されている[21]。また、首都高速湾岸線に用地を提供したほか、山土で埋め立てたという環境の中で、130万m²が緑化されている[22]。
埋立と並行して製鉄所の整備が行われ、1976年(昭和51年)11月には第一高炉の火入れが[21]、1979年(昭和54年)7月には第二高炉にも火入れが行われた[23]。それと前後して、従来の地区にあった7つの高炉は、1978年(昭和53年)12月までにすべての火が消えた[23]。また、隣の東扇島と連絡する、長さ620 m・4車線の扇島大橋も架けられたが、この橋の中央部184 mは、日本鋼管自身の清水造船所で組み立てられ、完成した1210トンの橋桁を直接架設するという工法が採られた[24]。
地名の由来
[編集]「扇島」の名は扇町の沖合いに位置することに由来する[13][25]、あるいはできた砂州が扇形であったことから[13]の自然発生的な呼称とされる。
扇島の読み仮名
[編集]川崎市川崎区内の町名の読み仮名は「おおぎしま」[9]だが、横浜市鶴見区内の町名の読み仮名は「おうぎしま」[10]である。また川崎区内でも、扇島の北に位置する扇町の読み仮名は「おうぎまち」である[9]。扇町の名は浅野総一郎の家紋である扇に由来しており[26]、「扇」の現代仮名遣いでの読み仮名は「おうぎ」である。
今後の計画
[編集]2023年(令和5年)のJFEスチール東日本製鉄所扇島地区の高炉休止に伴い、川崎市側では次世代産業の研究開発・高度物流施設・商業施設などへの大規模な土地利用転換が計画されており、2030年(令和12年)までに一部供用を目指している[27]。
交通
[編集]- 首都高速湾岸線 - 大部分を高架で、川崎市側の一部区間では地平を通過するが、出入口などは設置されておらず島に下りることはできない。西側の大黒埠頭との間は鶴見つばさ橋で結ばれている。一般部にあたる国道357号が通過する計画もあるが、事業化されていない。なお、大規模土地利用転換に合わせて首都高速湾岸線の出入口および東扇島までの一般部を整備する計画がある[27]。
- 陸路では川崎市川崎区水江町からJFEスチール海底トンネル(私道・関係者以外通行禁止)で東扇島に達し、そこから扇島大橋で達する。
上述のSOLAS条約で定められた重要な港湾施設があるため、厳重な保安体制が敷かれており、JFEスチール主催の見学会や小学校の校外学習などの非常に限られた場合を除き、関係者以外が島に立ち入ることはできない。制限区域内に許可なく立ち入ると、国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律および同法施行規則に基づく処罰の対象となる。首都高速湾岸線および付帯する首都高速道路の管理地については制限区域とはなっていない。
事業所
[編集]横浜市
[編集]2021年(令和3年)現在の経済センサス調査による事業所数と従業員数は以下の通りである[28]。
町丁 | 事業所数 | 従業員数 |
---|---|---|
扇島 | 7事業所 | 116人 |
事業者数の変遷
[編集]経済センサスによる事業所数の推移。
年 | 事業者数 |
---|---|
2016年(平成28年)[29] | 8
|
2021年(令和3年)[28] | 7
|
従業員数の変遷
[編集]経済センサスによる従業員数の推移。
年 | 従業員数 |
---|---|
2016年(平成28年)[29] | 151
|
2021年(令和3年)[28] | 116
|
川崎市
[編集]2021年(令和3年)現在の経済センサス調査による事業所数と従業員数は以下の通りである[28]。
町丁 | 事業所数 | 従業員数 |
---|---|---|
扇島 | 66事業所 | 3,662人 |
事業者数の変遷
[編集]経済センサスによる事業所数の推移。
年 | 事業者数 |
---|---|
2016年(平成28年)[29] | 59
|
2021年(令和3年)[28] | 66
|
従業員数の変遷
[編集]経済センサスによる従業員数の推移。
年 | 従業員数 |
---|---|
2016年(平成28年)[29] | 3,338
|
2021年(令和3年)[28] | 3,662
|
主な施設
[編集]- JFEスチール東日本製鉄所扇島地区 - 川崎市川崎区、横浜市鶴見区
- 水江地区とは海底トンネルで結ばれている。
- ENEOS扇島風力発電所(川崎製油所跡地) - 川崎市川崎区
- 東京ガス扇島LNG基地(LNG地下貯蔵タンク) - 横浜市鶴見区
- 扇島パワー(LNG火力発電所)(東亜石油貯油地跡地) - 横浜市鶴見区
- 東京電力リニューアブルパワー扇島太陽光発電所 - 川崎市川崎区
その他
[編集]警察
[編集]町内の警察の管轄区域は以下の通りである[30]。
町名 | 街区 | 警察署 | 交番 |
---|---|---|---|
川崎市川崎区扇島 | 全域 | 川崎臨港警察署 | 浜町交番 |
横浜市鶴見区扇島 | 全域 |
関連項目
[編集]- ガメラ 大怪獣空中決戦 - ラストでガメラとギャオスの一騎討ちの舞台になった。
- 神奈川県の島一覧
脚注
[編集]- ^ “令和6年町丁別世帯数・人口 9月末日現在” (xls). 川崎市 (2024年10月25日). 2024年10月28日閲覧。 “(ファイル元のページ)”(CC-BY-4.0)
- ^ “町丁別面積(総務省統計局「地図で見る統計(統計GIS)の数値」令和2年国勢調査)” (XLS). 川崎市 (2024年1月25日). 2024年3月20日閲覧。 “町丁別面積(総務省統計局「地図で見る統計(統計GIS)」の数値)”
- ^ “扇島の郵便番号”. 日本郵便. 2022年7月22日閲覧。
- ^ “市外局番の一覧”. 総務省. 2022年7月22日閲覧。
- ^ “令和6(2024)年 町丁別人口(住民基本台帳による)町丁別人口_令和6年10月” (xlsx). 横浜市 (2024年11月8日). 2024年11月28日閲覧。 “(ファイル元のページ)”(CC-BY-4.0)
- ^ “横浜市町区域要覧 (平成28年6月現在)” (PDF). 横浜市市民局 (2016年6月). 2022年7月22日閲覧。
- ^ “扇町の郵便番号”. 日本郵便. 2021年8月11日閲覧。
- ^ “市外局番の一覧”. 総務省. 2022年7月22日閲覧。
- ^ a b c “所管区域一覧”. 川崎市川崎区 (2010年6月10日). 2022年8月21日閲覧。
- ^ a b “鶴見区” (PDF). 横浜市「横浜市の町名一覧」 (2018年7月9日). 2022年8月21日閲覧。
- ^ “町丁別面積(総務省統計局 統計GIS)” (XLS). 川崎市 (2005年). 2012年6月26日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “鶴見区国勢調査データ” (XLS). 横浜市 (2005年10月1日). 2012年6月26日閲覧。
- ^ a b c d e 『川崎地名辞典(上)』日本地名研究所 編、川崎市、2004年、99-100頁。
- ^ “神奈川県 市区町村の役所・役場及び東西南北端点の経度緯度(世界測地系)”. 国土地理院 (2014年4月5日). 2014年8月22日閲覧。
- ^ インタラクティブかわさきネットワーク. “鶴見線” (PDF). ディスカバリーかわさき かわさき区の宝物. 川崎区役所 区民協働推進部 地域振興課まちづくり推進係. 2010年7月23日閲覧。 “京浜運河の開削によって浚渫した土砂を投棄していた場所が次第に砂州となり海水浴場へと発展した。昭和初期のことである。現在の扇島(日清製粉の沖合あたり)は“遠浅・近い・きれい”という三拍子そろった「扇島海水浴場」として、ひと夏に20万人もの多くの人出でにぎわい、春には潮干狩も行われた。現在の田辺新田、竹の下踏切あたりには1931年(昭和6年)8月に夏季限定の鶴見臨港鉄道「海水浴前」駅が開業し、ここから扇島まで動力船に曳航される渡し船が海水浴客を運んでいた。”(引用文中の誤表記は修正)
- ^ 『日本鋼管株式會社七十年史』、pp.74-75。
- ^ a b 『日本鋼管株式會社七十年史』、p. 93。
- ^ a b 『日本鋼管株式會社七十年史』、p. 119。
- ^ a b c 『日本鋼管株式會社七十年史』、p. 120。
- ^ a b 『日本鋼管株式會社七十年史』、p. 121。
- ^ a b 『日本鋼管株式會社七十年史』、p. 124。
- ^ 『日本鋼管株式會社七十年史』、pp. 130‐131。
- ^ a b 『日本鋼管株式會社七十年史』、p. 125。
- ^ 『日本鋼管株式會社七十年史』、p. 123。
- ^ 「角川日本地名大辞典」編纂委員会編 編『角川日本地名大辞典』 14 神奈川県、角川書店、1984年6月、167頁頁。ISBN 978-4-04-001140-0。「対岸の川崎市川崎区扇町の沖合にある島という意味で、自然発生的に呼ばれるようになったという(横浜の町名)。」 典拠となっている『横浜の地名』 横浜市市民局総務部住居表示課編、横浜市(時期的に1982年発行の初版と考えられる)の記述は未確認。
- ^ “浅野総一郎” (PDF). 多摩川先人館. 国土交通省関東地方整備局京浜河川事務所. 2017年8月28日閲覧。
- ^ a b “「JFEスチール株式会社東日本製鉄所京浜地区の高炉等休止に伴う土地利用方針(案)」の概要” (PDF). 川崎市 (2023年7月16日). 2023年8月9日閲覧。
- ^ a b c d e f “経済センサス‐活動調査 / 令和3年経済センサス‐活動調査 / 事業所に関する集計 産業横断的集計 事業所数、従業者数(町丁・大字別結果)”. 総務省統計局 (2023年6月27日). 2023年9月15日閲覧。
- ^ a b c d “経済センサス‐活動調査 / 平成28年経済センサス‐活動調査 / 事業所に関する集計 産業横断的集計 都道府県別結果”. 総務省統計局 (2018年6月28日). 2019年10月23日閲覧。
- ^ “交番案内/川崎臨港警察署/神奈川県警察”. 神奈川県警察. 2024年9月21日閲覧。
参考文献
[編集]- 『日本鋼管株式會社七十年史』日本鋼管、1972年。