Face ID
Face ID(フェイス・アイディー)は、Appleが開発している顔認証システムである。AppleのiPhoneシリーズやiPad Proシリーズに搭載されている。
概要
[編集]2017年9月12日にSteve Jobs Theaterで開催されたAppleのスペシャルイベントでフィリップ・シラーとクレイグ・フェデリギにより発表され[1]、iPhone Xに初搭載された。
Face IDは、従来のTouch IDを置き換えるセキュリティ機能であり[2] 、Apple製の端末のロック解除やAppleのオンラインストア(iTunes Store、App Store、iBooks Store)での購入、Apple Payの認証に使用できる。
Face IDは 30,000以上の目に見えない赤外線ドットを顔に投射し、それを赤外線カメラが撮影、顔の凸凹などの深度情報を取得して顔の3Dモデルを構築、照合する3次元顔認識認証システムである。 Appleによると他人がロック解除出来る可能性は100万分の1程度であるという[3][4][5]。再起動してから一度もロックを解除していない場合や48時間以上ロックを解除していない場合、ロック解除は顔認証ではなくパスコードを使用する必要がある[6]。また、iPhoneの右側面のボタンを5回続けて押すことによっても無効化出来る[5]。なお、iOS 12以降のFace IDでは2つの容姿まで設定できるようになった。
Appleによれば、作成された顔データはA11以降のSecure Enclaveに安全に保管されており、クラウドに送信されることはない[5]。また、目を閉じていても機能せず、他人によるアクセスを防ぐことが出来る(設定で無効化することも可能)[7]。
2020年に行われたある調査では、利用者からの評判が悪くユーザアンケートでは74%がロック解除に不便を感じており、Touch IDの搭載を望む声は79%、苛つきや不満を感じたことのないユーザは16%であった。また、新しいiPhoneを検討した際にTouch IDがないため買い替えなかったユーザの割合は35%であった[8]。しかし、2021年第1四半期(2020年10月~12月26日)に、Face IDを搭載したiPhone 12シリーズは過去最高の買替え需要を引き起こし、過去最高の売り上げを記録した[9]。
認証時の制限
[編集]双子
[編集]Face IDは双子であればごくわずかの可能性で誤認証する可能性がある[5][10][11][12] 。しかし、13歳以上の双子において誤判定が起こることはほとんどないという[13]。
マスク
[編集]2021年4月にリリースされたiOS 14.5では、watchOS 7.4以降を搭載し、かつ手首に装着されロックが解除された状態のApple Watchを認証機器として代用することで、マスクを着けた状態でFace IDを搭載したiPhoneのロックを解除する機能が追加された[14]。
2022年3月にリリースされたiOS 15.4では、iPhone 12以降の機種において、マスク着用時でも目の周りのみの情報を用いて、Apple Pay利用時の認証も含めたFace IDの全認証が行える機能が追加された[15]。
搭載ハードウェア
[編集]- スマートフォン
- iPhone X
- iPhone XR
- iPhone XS/XS Max
- iPhone 11
- iPhone 11 Pro/11 Pro Max
- iPhone 12/12 mini
- iPhone 12 Pro/12 Pro Max
- iPhone 13/13 mini
- iPhone 13 Pro/13 Pro Max
- iPhone 14/14 Plus
- iPhone 14 Pro/14 Pro Max
- iPhone 15/15 Plus
- iPhone 15 Pro/15 Pro Max
- タブレット
- iPad Pro 11インチ (第1世代)
- iPad Pro 11インチ (第2世代)
- iPad Pro 11インチ (第3世代)
- iPad Pro 11インチ (第4世代)
- iPad Pro 12.9インチ (第3世代)
- iPad Pro 12.9インチ (第4世代)
- iPad Pro 12.9インチ (第5世代)
- iPad Pro 12.9インチ (第6世代)
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ Feldman, Brian. “Replacing Touch ID With Face ID Is a Worse Idea Than You Think”. 13 September 2017閲覧。
- ^ “Face ID is replacing Touch ID on the new iPhone X” (英語) 2017年9月21日閲覧。
- ^ “Apple's Facial Recognition Technology 'Face ID': Unlocks IPhone And Some Scary Questions” (英語). 14 September 2017閲覧。
- ^ “iPhone X basically has a Kinect on the front to enable FaceID” (英語). 13 September 2017閲覧。
- ^ a b c d 「iPhone X の全貌」『Mac Fan』第417号、マイナビ出版、2017年11月、34-37頁、ASIN B074319WZH。
- ^ “先進の Face ID テクノロジーについて”. Apple Support. 2021年5月3日閲覧。
- ^ “What We Know About iPhone X Accessibility Features and Face ID - The Mac Observer” (英語). (2017年9月14日) 2017年9月23日閲覧。
- ^ Mahipal, Abhin (2020年12月8日). “Report: 79% of iPhone users want Touch ID to make a comeback in the future iPhones” (英語). SellCell.com Blog. 2021年4月24日閲覧。
- ^ “クックCEO、iPhone 12シリーズが「過去最大の買い替え需要」と発言 - Engadget 日本版”. Engadget JP. 2022年2月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月24日閲覧。
- ^ “You'll Love Unlocking Your iPhone X With Your Face. So Will Police Trying to Access It.” (12 September 2017). 13 September 2017閲覧。
- ^ https://www.newscientist.com/article/2147204-why-the-iphone-xs-face-id-is-a-terrible-way-to-secure-your-data/
- ^ “The Internet Had Jokes About Apple's New Face ID for iPhone”. 13 September 2017閲覧。
- ^ “Apple explains how iPhone X facial recognition with Face ID works (and fails) in security paper” (英語). (2017年9月27日) 2017年10月2日閲覧。
- ^ “iOS 14.5とwatchOS 7.4配信開始 マスクのままロック解除やトラッキング許可など盛りだくさん”. ITmedia Mobile. (2021年4月27日) 2022年1月28日閲覧。
- ^ “Apple、iPhoneのiOS 15.4を配布開始 マスク着けたままFace IDアンロック可能に”. ITmedia NEWS. (2022年3月15日) 2022年3月15日閲覧。