井上由美子 (脚本家)
井上 由美子(いのうえ ゆみこ、1961年[1] - )は、日本の脚本家。兵庫県神戸市出身。
いのうえ ゆみこ 井上 由美子 | |
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プロフィール | |
誕生日 | 1961年 |
出身地 | 日本・兵庫県神戸市 |
主な作品 | |
テレビドラマ |
『ひまわり』 『きらきらひかる』 『北条時宗』 『GOOD LUCK!!』 『白い巨塔』 『14才の母』 『同窓会〜ラブ・アゲイン症候群』 『緊急取調室』 『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』 『BG〜身辺警護人〜』 |
映画 | 『昼顔』 |
受賞 | |
受賞歴参照 |
略歴
[編集]立命館大学文学部中国文学専攻卒業[2][3]。卒論では阮籍を扱った[4]。テレビ東京に入社するが、希望していたドラマ制作に携われなかったため3年で退職し[4]、シナリオライターを目指してシナリオ作家協会シナリオ講座研修科を修了[5]。1991年に『過ぎし日の殺人』で脚本家としてデビュー。
『ギフト』『GOOD LUCK!!』『エンジン』などをヒットさせ、『白い巨塔』や『14才の母』などの社会問題を題材にした作品も話題となった。
2006年にはNHK制作のドラマ『マチベン』で第25回向田邦子賞を受賞。
テレビ朝日新人シナリオ大賞の最終選考の審査員や[6]、フジテレビ番組審議会の委員も務める[7]。
2018年には『ハラスメントゲーム』で小説家としてもデビュー[8]。
評価
[編集]脚本家の坂元裕二は1996年以降脚本業を一時的に休んでいたが、再び脚本を書こうと思ったきっかけの一つとして、井上が脚本を執筆した『きらきらひかる』(1998年)を見たことを挙げ、「『こんなに面白いテレビドラマもあるのか』と思ったらまた書いてみたくなって、自分から戻りました」と答えている[9]。また、坂元が特集された批評雑誌『ユリイカ』に井上がコメントを寄せるなどの交流もある[10]。
『週刊SPA!』(扶桑社)に掲載された脚本家である三谷幸喜のインタビュー記事の中で三谷は井上について、「今、一番、僕が憧れるのは井上由美子さんですね。本当はああいう人になりたかった。(特定のジャンルだけでなく)あらゆるジャンルにおいてちゃんと成果を残していらっしゃる」と話している[11]。
2024年4月より放送開始予定のテレビ朝日系ドラマ『Believe-君にかける橋-』の主人公狩山陸(演木村拓哉)の職業を橋梁設計建築士としていたが、誤り(正しくは技術士または一級土木施工管理技士)であるとの世論の指摘を受け、放送開始までに特に断り無く設計者に改めている[12]。本件について脚本を担当した井上由美子の取材不足を指摘する声がある[13]。
主な作品
[編集]テレビドラマ
[編集]- むしの居どころ(1992年、NHK)[14]
- 復讐の配当(1992年、YTV)
- 天上の青(1994年、NHK)[15]
- この指とまれ!!(1995年、NHK)
- この指とまれ2(1997年、NHK)
- 照柿(1995年、NHK)[16]
- 連続テレビ小説 ひまわり(1996年、NHK)[17]
- ギフト(1997年、フジテレビ)
- 熱の島で ヒートアイランド東京(1997年、NHK)
- きらきらひかる(1998年、フジテレビ)
- きらきらひかる2 スペシャル(1999年)
- きらきらひかる3 スペシャル(2000年)
- 織田信長 天下を取ったバカ(1998年、TBS)
- 再婚トランプ(1998年、TBS)
- タブロイド(1998年、フジテレビ)
- 危険な関係(1999年、フジテレビ)
- 天の瞳(2000年、テレビ朝日)
- 天の瞳2(2001年)
- 天の瞳3(2002年)
- 大河ドラマ 北条時宗(2001年、NHK)[15]
- 忠臣蔵1/47(2001年、フジテレビ)
- GOOD LUCK!!(2003年、TBS)[15]
- 白い巨塔(2003年、フジテレビ)
- 溺れる人(2005年、日本テレビ)
- エンジン(2005年、フジテレビ)
- 生き残れ(2005年、NHK)
- 火垂るの墓(2005年、日本テレビ)
- マチベン(2006年、NHK)
- 14才の母(2006年、日本テレビ)[15]
- 王様の心臓〜リア王より〜(2007年、日本テレビ)
- ロミオとジュリエット〜すれちがい〜(2007年、日本テレビ)
- 新マチベン 〜オトナの出番〜(2007年、NHK)
- ファースト・キス(2007年、フジテレビ)
- パンドラ(2008年、WOWOW)
- パンドラII 〜飢餓列島〜(2010年)
- パンドラIII 革命前夜(2011年)
- パンドラ〜永遠の命〜(2014年)
- パンドラⅣ AI戦争(2018年)
- SCANDAL(2008年、TBS)
- 春さらば(2009年3月25日、テレビ東京)
- サムライ・ハイスクール(2009年、日本テレビ)
- 同窓会〜ラブ・アゲイン症候群(2010年、テレビ朝日)
- いじわるばあさん3 第2話「こんにちはモンスター」(2011年、フジテレビ)
- 幸せになろうよ(2011年、フジテレビ)※第1話脚本、第2話原案
- 最後の晩餐 〜刑事・遠野一行と七人の容疑者〜(2011年、テレビ朝日)
- 陽はまた昇る(2011年、テレビ朝日)
- ブラックボード〜時代と戦った教師たち〜(2012年、TBS)
- ラッキーセブンスペシャル(2013年、フジテレビ)
- おトメさん(2013年、テレビ朝日)
- メイドインジャパン(2013年、NHK)
- 緊急取調室(2014年、テレビ朝日)
- 緊急取調室 ドラマスペシャル(2015年)
- 緊急取調室 シーズン2(2017年)
- 緊急取調室 シーズン3(2019年)
- 緊急取調室 シーズン4(2021年)
- 緊急取調室 新春ドラマスペシャル(2022年)
- 地の塩(2014年、WOWOW)
- 昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜(2014年、フジテレビ)
- おやじの背中 第9話「父さん、母になる!?」(2014年、TBS)
- まっしろ(2015年、TBS)
- 2030かなたの家族(2015年、NHK)
- 遺産争族(2015年、テレビ朝日)[18]
- 営業部長 吉良奈津子(2016年、フジテレビ)[17]
- お母さん、娘をやめていいですか?(2017年、NHK)[19]
- BG〜身辺警護人〜 第1シーズン(2018年、テレビ朝日)
- BG〜身辺警護人〜 第2シーズン(2020年)
- ハラスメントゲーム(2018年、テレビ東京)
- ハラスメントゲーム スペシャル(2020年)
- 炎上弁護人(2018年、NHK)
- シャーロック アントールドストーリーズ(2019年、フジテレビ)
- フィクサー Season1(2023年、WOWOW)
- フィクサー Season2(2023年)
- フィクサー Season3(2023年)
- Believe-君にかける橋-(2024年、テレビ朝日)
映画
[編集]- ジャンプ(2003年)
- 昼顔(2017年)
- マチネの終わりに(2019年)
- バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版(2022年)- 脚本協力
- 劇場版 緊急取調室 THE FINAL(2023年)
著書
[編集]小説
[編集]- ハラスメントゲーム(2018年、河出書房新社)
受賞歴
[編集]- 芸術選奨新人賞(1995年)
- 橋田賞(1999年)
- 向田邦子賞(2007年) - 『マチベン』
- 芸術選奨文部科学大臣賞(2006年) - 『マチベン』『14才の母』
- 文化庁芸術祭放送個人賞(2007年) - 『火垂るの墓』
- 第82回ザテレビジョンドラマアカデミー賞・脚本賞 - 『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』[20]
- 紫綬褒章(2020年)[21][22][23]
参考文献
[編集]- “番組エピソード 井上由美子とNHKドラマ -NHKアーカイブス”. 2015年9月18日閲覧。
脚注
[編集]- ^ 第25回(2006年度) 向田邦子賞
- ^ “会員プロフィール 井上由美子”. 日本シナリオ作家協会. 2016年7月12日閲覧。
- ^ “専攻卒業生の井上由美子氏が紫綬褒章を受章されます | ニュース | 中国文学専攻 | 東洋研究学域 | 文学部 | 立命館大学”. www.ritsumei.ac.jp. 2021年3月11日閲覧。
- ^ a b “「生きる」を肯定したい 初の小説『ハラスメントゲーム』刊行 井上由美子さん(脚本家):東京新聞 TOKYO Web”. 東京新聞 TOKYO Web. 2021年3月11日閲覧。
- ^ “シナリオ作家リレー日記 井上由美子”. 日本シナリオ作家協会. 2016年7月12日閲覧。
- ^ “井上由美子、アイデアを絶賛「ジブリの映画にもなるような…」第15回テレ朝新人シナリオ大賞が決定”. テレビドガッチ (2015年6月15日). 2015年6月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年6月25日閲覧。
- ^ “第487回 番組審議会議事録概要”. 番組審議会. フジテレビ (2019年3月10日). 2019年6月3日閲覧。
- ^ 『脚本家、井上由美子 小説家デビュー!『ハラスメントゲーム』2018年10月 刊行決定!』(プレスリリース)河出書房新社、2018年8月9日 。2019年12月12日閲覧。
- ^ 坂元裕二(インタビュアー:内田正樹)「「テレビからこぼれているものを書きたい」――人気脚本家・坂元裕二が語る連ドラの役割」『Yahoo!』 。2018年11月7日閲覧。
- ^ 『ユリイカ 紙と批評』2021年2月号・第53巻第2号(通巻770号)「特集・坂元裕二」、青土社。
- ^ 『週刊SPA!』2006年1月号「トーキングエクスプロージョン~エッジな人々」第417回・三谷幸喜さんのインタビュー、取材・文は橋本達典 扶桑社。
- ^ https://jisin.jp/entertainment/entertainment-news/2302753/
- ^ https://news.yahoo.co.jp/articles/f6dc0b28b5aace91e2becc568d5be2eab24bb505/comments
- ^ ドラマ むしの居どころ - NHK名作選(動画・静止画) NHKアーカイブス
- ^ a b c d “会員プロフィール 井上由美子”. 協同組合日本シナリオ作家協会. 日本シナリオ作家協会. 2018年8月4日閲覧。
- ^ BS日曜ドラマ 照柿(てりがき) - NHK名作選(動画・静止画) NHKアーカイブス
- ^ a b 井上由美子(インタビュー)「松嶋菜々子 新ドラマ脚本家が宣言「誰よりもいじめたい」」『女性自身』、2016年7月8日 。2016年7月12日閲覧。
- ^ “向井理、“ムコ入り”榮倉奈々と夫婦役 遺産相続題材にテレ朝連ドラ初主演”. ORICON (2015年8月21日). 2015年8月21日閲覧。
- ^ “波瑠、『あさが来た』後初のNHKドラマ主演 斉藤由貴と母娘愛憎バトル”. ORICON STYLE. (2016年9月15日) 2016年9月15日閲覧。
- ^ 「発表! 第82回ドラマアカデミー賞」『ザテレビジョン関西版』第20巻46号(2014年11月21日号)、KADOKAWA、6-10頁。
- ^ 「秋の褒章 775人27団体」『読売新聞』2020年11月2日朝刊
- ^ 『官報』号外第230号、令和2年11月4日
- ^ “秋の褒章775人・27団体 俳優の中井貴一さんら”. 日本経済新聞 (2020年11月2日). 2023年5月6日閲覧。