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マクラーレン・MP4/6

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マクラーレン・MP4/6
マクラーレン・MP4/6B
アイルトン・セナがドライブしたMP4/6
アイルトン・セナがドライブしたMP4/6
カテゴリー F1
コンストラクター マクラーレン
デザイナー ニール・オートレイ
先代 マクラーレン・MP4/5B
後継 マクラーレン・MP4/7A
主要諸元[1]
シャシー カーボンファイバー モノコック
サスペンション(前) ダブルウイッシュボーン、プッシュロッド(縦置きコイルスプリング)/ダンパー
サスペンション(後) ダブルウイッシュボーン、プッシュロッド(垂直置きコイルスプリング)/ダンパー
全長 4,496mm
全幅 2,120mm
全高 965mm
トレッド 前:1,824 mm / 後:1,669 mm
ホイールベース 2,972mm
エンジン ホンダ RA121E, 3,493 cc (213.2 cu in), 60度 V12 NA, ミッドエンジン, 縦置き
トランスミッション マクラーレン製 横置き 6速 MT
重量 505kg
燃料 シェル
タイヤ グッドイヤー
主要成績
チーム ホンダ マールボロ マクラーレン
ドライバー 1. ブラジルの旗 アイルトン・セナ
2. オーストリアの旗 ゲルハルト・ベルガー
コンストラクターズタイトル 1 1991年
ドライバーズタイトル 1 (アイルトン・セナ)
初戦 1991年アメリカグランプリ
出走優勝ポールFラップ
188105
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マクラーレン MP4/6 (McLaren MP4/6) は、マクラーレン1991年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カー。チーフデザイナーのニール・オートレイとエアロダイナミストのアンリ・デュランが設計した。ホンダV12エンジンを使用した最初のマクラーレン車であり、F1史上唯一のV12エンジンを搭載したチャンピオンマシンである[2]

1991年の開幕戦から最終戦まで実戦投入され、1992年は第2戦までMP4/6Bが使用された。

MP4/6

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ホンダはF1第1期活動以来となるV12エンジンを開発。ゲルハルト・ベルガーによりオフシーズンからテストされたが、前年のV10エンジンに比べてアンダーパワーであった。アイルトン・セナはプレシーズンテストにて、エンジンの問題解決に取り組んだ。

MP4/6はHパターンのマニュアルトランスミッション(MT)を採用していた。1991年シーズンにセミオートマチックトランスミッション(セミAT)を採用していたのはフェラーリウィリアムズだけであったが、マクラーレンもこの年のハンガリーGPのフリー走行でセミATをテストした。このトランスミッションは翌1992年MP4/7Aで実戦投入された。V10エンジンからV12エンジンへのスイッチ、および燃料タンクの大型化により、ホイールベースは1990年型シャシーのMP4/5Bより40mm長くなった。

課題の空力面はライバルのフェラーリから加入したアンリ・デュランが担当したためフェラーリに似通ったものとなった。フロントサスペンションはMP4/4以来のプルロッド式からフェラーリとよく似たプッシュロッド式に変更され、スプリング/ダンパーユニットをモノコック上に水平に設置することで、ノーズを細くすることができた(ハイノーズは採用していない)。サイドポンツーンもフェラーリと似た、高く丸みを帯びたデザインに変更された。

アンリ・デュランによって空力面はある程度改善されたが、シーズン前のシャシーの研究開発は順調とは言えなかった。また、空力も彼が関わっていたフェラーリ・642のデザインが色濃く反映しており、チームによる研究が進んでいるとは言えなかったが、シーズン中の開発で何とかウイリアムズに対抗した。それに対して、ウイリアムズは前年途中にマーチからエイドリアン・ニューウェイが移籍し、チームで空力やシャシーに関する研究を進めており、その結果が表れつつあった。

1991年シーズン

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1991年モナコGPにてMP4/6を駆るアイルトン・セナ
ゲルハルト・ベルガーがドライブしたMP4/6

アイルトン・セナアメリカGPブラジルGPサンマリノGPモナコGPの4レースで開幕4連勝を記録した。しかし、シーズン序盤のマクラーレンの連勝はライバルだったウィリアムズ・FW14の信頼性不足によるもので、モナコGPを境にFW14とルノーV10エンジンのパッケージが優れた性能を発揮した。シーズンを通してマクラーレンは表彰台の常連であったが、セナはホンダにエンジンの改良を要求するとともにチームに対してもシャシーの大幅な改良を要求した。

この要求に対して、ホンダはV12エンジンの継続的なアップデートで応えた。低回転時のトルク発生を最適化するため、第11戦ベルギーGPから可変吸気管長システムを採用した。シェルの特殊ブレンドガソリンも出力向上に貢献した。オートレイも様々な改良を加え、特にサイドポッドとウイングを中心とした変更が加えられた。また、ハンガリーGPではシーズン中にもかかわらず、16kgもの軽量化を実現したシャシーをセナのレースカーとして投入した。日本GPではフロントノーズを延長、フロントウィングを前方に移動して空力安定性を改善した。

マクラーレンはウィリアムズに猛追され、一時はコンストラクターズのトップの座を奪われたが、ウィリアムズはハンガリーGPとベルギーGPでのマシントラブル、ポルトガルGPのピットストップのミスでマクラーレンにリードを許し、マクラーレンは4年連続のコンストラクターズチャンピオンとなった。セナは3度目のドライバーズタイトルを獲得した。

No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 ポイント ランキング
USA
アメリカ合衆国の旗
BRA
ブラジルの旗
SMR
サンマリノの旗
MON
モナコの旗
CAN
カナダの旗
MEX
メキシコの旗
FRA
フランスの旗
GBR
イギリスの旗
GER
ドイツの旗
HUN
ハンガリーの旗
BEL
ベルギーの旗
ITA
イタリアの旗
POR
ポルトガルの旗
ESP
スペインの旗
JPN
日本の旗
AUS
オーストラリアの旗
1991 1 ブラジルの旗 アイルトン・セナ 1 1 1 1 Ret 3 3 4 7 1 1 2 2 5 2 1 139 1位
2 オーストリアの旗 ゲルハルト・ベルガー Ret 3 2 Ret Ret Ret Ret 2 4 4 2 4 Ret Ret 1 3

スペック

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ノーズ先端にはスポンサーの『週刊少年ジャンプ』のロゴがある
ホンダ RA121E V12エンジン

シャーシ

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エンジン

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  • エンジン名 ホンダRA121E
  • 角度・気筒数 V型12気筒・60度
  • 全長 670mm
  • 全幅 520mm
  • 全高 530mm
  • バルブ数 4バルブ/1気筒
  • 重量 150kg
  • スパークプラグ NGK
  • 燃料・潤滑油 シェル

MP4/6B

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マクラーレンMP4/6Bは前年のMP4/6に小改良を加えたモデルであり、1992年シーズンの開幕戦南アフリカGPから投入された。マクラーレンは序盤3戦をこのMP4/6Bで戦い、ヨーロッパラウンドが始まる第4戦スペインGPからニューシャシーのMP4/7Aを投入する予定だった。

しかし、ライバルであるウィリアムズ・FW14Bの2連勝の前に歯が立たず、予定を早めて第3戦ブラジルGPよりMP4/7Aにスイッチした。

No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 ポイント ランキング
RSA
南アフリカの旗
MEX
メキシコの旗
BRA
ブラジルの旗
ESP
スペインの旗
SMR
サンマリノの旗
MON
モナコの旗
CAN
カナダの旗
FRA
フランスの旗
GBR
イギリスの旗
GER
ドイツの旗
HUN
ハンガリーの旗
BEL
ベルギーの旗
ITA
イタリアの旗
POR
ポルトガルの旗
JPN
日本の旗
AUS
オーストラリアの旗
1992 1 ブラジルの旗 アイルトン・セナ 3 Ret 99 2位
2 オーストリアの旗 ゲルハルト・ベルガー 5 4

ミニカー

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タミヤから1/12ビッグスケールのプラスチックモデルが発売され、1/10RCカー、1/14タムテック、1/20コレクターズクラブ(完成品モデル)と多様なスケールで発売された。フジミ模型からも1/20プラスチックモデルが発売されている。

オニキスの1/43スケールミニカーがタミヤパッケージでセナ・ベルガーの両タイプをリリースした(※当時タミヤがマクラーレンの版権を取得していたため)。それぞれ「McLaren」ロゴとタバコ広告禁止時の「ストロボ」マークの2タイプがあった。

ミニチャンプスはセナの没後に展開した「アイルトン・セナコレクション」の中の1台としてリリースし、以降ベルガー仕様やドイツGP仕様などのバリエーション違いを展開。セナ没後10年に開催された「アイルトン・セナ展」にて販売された。1991年ブラジルGP仕様は一部ショップと会場限定販売だったため流通量が少ない。ミニチャンプスからは1/43のほか1/18スケールも展開された。このほか京商からもアイルトン・セナコレクション1/64スケールのミニカーがリリースされた。

出典

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  1. ^ STATS F1 - McLaren MP4/6”. Statsf1.com. 2010年8月23日閲覧。
  2. ^ 【F1】歴史に残る傑作エンジン 6選 |パワーユニット|歴史”. Red Bull (2022年10月18日). 2023年12月31日閲覧。

外部リンク

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