マクラーレン・MP4-24
ルイス・ハミルトンがドライブするMP4-24 | |||||||||||
カテゴリー | F1 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
コンストラクター | マクラーレン | ||||||||||
先代 | マクラーレン・MP4-23 | ||||||||||
後継 | マクラーレン・MP4-25 | ||||||||||
主要諸元 | |||||||||||
エンジン | メルセデスFO108S | ||||||||||
主要成績 | |||||||||||
チーム | ボーダフォン マクラーレン メルセデス | ||||||||||
ドライバー |
1. ルイス・ハミルトン 2. ヘイキ・コバライネン | ||||||||||
出走時期 | 2009年 | ||||||||||
通算獲得ポイント | 71 | ||||||||||
初戦 | 2009年オーストラリアGP | ||||||||||
初勝利 | 2009年ハンガリーGP | ||||||||||
最終戦 | 2009年アブダビGP | ||||||||||
|
マクラーレンMP4-24 (McLaren MP4-24) は、マクラーレンが2009年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カー。2009年シーズンの開幕戦から最終戦まで実戦投入された。マクラーレン・レーシング・デザインチームによって設計された。
MP4-24
[編集]MP4-24は新レギュレーションに適合するエアロダイナミクスデザインへの変更と、運動エネルギー回生システム (KERS) の搭載を前提として開発された。
MP4-23と比較してノーズは太く長くなり、ノーズ上面はフロントタイヤの上面よりも高い位置に来ている。そのため、フロントサスペンションの配置がモノコックからホイールに向かって急激に下がる形となった。2000年シーズンのマシンであるMP4-15以来アッパーアームカバー内にステアリングタイロッドが収められていたが、MP4-24では、アッパーアームとロアアームの中間に配置された。
フロントウイングは3枚エレメントを採用しているが、複雑な形状を描いている。第3戦中国GP以降、アッパーエレメントを備えた2段式のフロントウイングを使用した[1]。
リヤウイングはさほど変化が見られないが、翼端板に入ったスリットが3本から4本に増やされている。テストではしばしばMP4-23のリヤウイングを装着している場面もあったが、マシンの速さに関してはテストの時期はそれほど良くなかった。
エギゾーストパイプの排気口は車体後方のリヤサスペンション近くにある。他のチームが車体表面にあまりエギゾーストパイプを出さないようにしているが、発表会当初は、排気の抜けを良くし、リヤウイングへの悪影響を最小限にするためにボディワークが若干上方に持ち上がっていた。開幕までに何種類もの排気口がテストされた。
サイドポンツーンのアンダーカットはMP4-23よりも穏やかとなっている。ラジエーターインテークは2008年シーズン中も大きさが調整されていたが、MP4-24は最初から小型な物となっている。
インダクションポッドは形状が変更され、三角形型に近くなった。その下方の処理はMP4-23と同じくフィンを使ってエンジンカバーの規定面積を確保しているほか、ヘッドレストによる乱流の発生を最小限に抑える。
搭載するKERSについて、ノルベルト・ハウグはコンポーネントの重量は25kg以下とコメントした[2]。チームが2009年シーズン初優勝をあげた第10戦ハンガリーGP終了後にザイテック製であることが公表された[3]。
ダブルディフューザーはFIAが合法との裁定を下した後、第3戦中国GPから暫定版を投入し、以後も細かなアップデートを続けた。
2009年シーズン
[編集]1月19日に、テストドライバーのペドロ・デ・ラ・ロサが、アルガルヴェでシェイクダウンを行った。
テストでは2008年用のリヤウイングを用いたり、タイムがあまり良くなかったため、MP4-24は失敗作ではないか?とささやかれた。チーム首脳も開幕戦を上位で戦える状態ではないことを認めた[4]。
開幕戦オーストラリアGPではルイス・ハミルトンが失格しノーポイント。以後も4戦連続ノーポイントなど低迷が続き、シーズン前半の時点でタイトル戦線から脱落した。第8戦イギリスGPではKERSを取り外して出走した。
第9戦ドイツGPでダブルディフューザーの改良が成功し、第10戦ハンガリーGPではルイス・ハミルトンが優勝をもぎ取った。これはKERS搭載車が記録した初勝利にもなった。
第11戦ヨーロッパGPでは、フロントサスペンションを改良して、75mmショートホイールベース化されたマシンがハミルトン用に投入された[5]。しかし、ホイールベースを変更することは、フロントサスペンション、フロア、ノーズ、フロントウイングを変更しなければならなくなる[6]。ヨーロッパGPのフリー走行2では、交換用のフロントウイングがなく、ハミルトンが走行できなくなる事態が発生してしまった[6]。
ハミルトンは第14戦シンガポールGPでもポール・トゥ・ウィンを達成し、シーズン後半戦は2勝4ポールポジションを獲得した。チームの精力的な改修により、MP4-24は2009年シーズン中最も進化を遂げたマシンとなった[7]。
スペック
[編集]シャーシ
[編集]- シャーシ名 MP4-24
- シャーシ構造 カーボンファイバー/アルミニウムハニカムコンポジットモノコック(フロント&サイドインパクト構造)
- ブレーキキャリパー 曙ブレーキ工業
- サスペンション 前後プッシュロッド式ダブルウィッシュボーン/トーションバー・スプリング
- ダンパー コニ
- ホイール エンケイ
- タイヤ ブリヂストン
- ギアボックス 7速+リバース1速セミオートマチック/カーボンファイバー製ケーシング
- KERS マクラーレン/メルセデス・ベンツ・ハイパフォーマンス・エンジンズ共同開発
- エレクトロニクス MES-マイクロソフト スタンダードECU
- バッテリー GSユアサ
- ステアリング マクラーレン・パワーアシスト
- 機器 マクラーレン・エレクトロニック・システムズ
- 重量 605kg
エンジン
[編集]- エンジン名 メルセデス・ベンツFO108W
- 気筒数・角度 V型8気筒・90度
- 排気量 2,400cc
- 最高回転数 18,000rpm(レギュレーションで規定)
- バルブ数 32
- ピストンボア 98mm
- 重量 95kg
- スパークプラグ NGK
- 燃料・潤滑油 モービル
シャーシナンバー一覧
[編集]No. | ドライバー | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
AUS |
MAL |
CHN |
BHR |
ESP |
MON |
TUR |
GBR |
GER |
HUN |
EUR |
BEL |
ITA |
SIN |
JPN |
BRA |
ABU | ||
1 | ルイス・ハミルトン | 4 | 4 | 4 | 4 | 5 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 5 | 5 | 4 | 4,2* | 4 | ||
2 | ヘイキ・コバライネン | 3 | 3 | 3 | 3 | 2 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 | 3 |
- ハミルトンは、シンガポールGPではフリー走行3以降でシャーシナンバー2を使用。
結果
[編集]年 | No. | ドライバー | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | ポイント | ランキング |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
AUS |
MAL |
CHN |
BHR |
ESP |
MON |
TUR |
GBR |
GER |
HUN |
EUR |
BEL |
ITA |
SIN |
JPN |
BRA |
ABU | |||||
2009 | 1 | ルイス・ハミルトン | DSQ | 7 | 6 | 4 | 9 | 12 | 13 | 16 | 18 | 1 | 2 | Ret | 12 | 1 | 3 | 3 | Ret | 71 | 3位 |
2 | ヘイキ・コバライネン | Ret | Ret | 5 | 12 | Ret | Ret | 14 | Ret | 8 | 5 | 4 | 6 | 6 | 7 | 11 | 12 | 11 |
脚注
[編集]- ^ “McLaren introduce stacked front wing”. f1technical.net. (2009年4月18日) 2009年8月8日閲覧。
- ^ “Analysis: McLaren's 25kg KERS device” (英語). F1 Technical.net 2011年11月9日閲覧。
- ^ “Zytek revealed as McLaren's KERS supplier”. f1technical.net. (2009年8月7日) 2009年8月8日閲覧。
- ^ “マクラーレン 「開幕戦を上位で戦える状態ではない」”. F1-Gate.com. (2009年3月21日) 2009年3月22日閲覧。
- ^ “McLaren MP4-24 - shortened wheelbase”. Formula1.com. (2009年8月23日) 2009年8月24日閲覧。
- ^ a b “McLaren experiments with new wheelbase”. Autosport.com. (2009年8月21日) 2009年8月27日閲覧。
- ^ “マクラーレンが縮めた“2.5秒”と2010年F1勢力図”. F1-Gate.com. (2009年11月9日) 2011年11月9日閲覧。
- ^ “season stats”. f1technical.net. (2009年7月2日). オリジナルの2009年7月7日時点におけるアーカイブ。 2009年7月3日閲覧。
- ^ “F1日本GP シャシーナンバー”. F1速報. (2009年10月2日) 2009年10月2日閲覧。