ズートピア
ズートピア | |
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Zootopia | |
英語版ロゴ | |
監督 |
リッチ・ムーア バイロン・ハワード ジャレド・ブッシュ(共同監督) |
脚本 |
ジャレド・ブッシュ フィル・ジョンストン |
原案 |
バイロン・ハワード リッチ・ムーア ジャレド・ブッシュ ジョシー・トリニダード ジム・リアドン フィル・ジョンストン ジェニファー・リー |
製作 | クラーク・スペンサー |
製作総指揮 | ジョン・ラセター |
出演者 |
ジニファー・グッドウィン ジェイソン・ベイトマン イドリス・エルバ |
音楽 | マイケル・ジアッチーノ |
主題歌 |
英語版 シャキーラ「Try Everything」 日本語版 Dream Ami「トライ・エヴリシング」[1] |
編集 |
ファビアンヌ・ローリー ジェレミー・ミルトン |
製作会社 |
ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ |
配給 | ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ |
公開 |
2016年3月4日 2016年4月23日[2] |
上映時間 | 108分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $150,000,000 [3] |
興行収入 |
$1,024,121,104[4] $341,268,248[4] 76億3000万円[5] |
前作 | ベイマックス |
次作 |
ズートピアシリーズ ズートピア2 ディズニー長編アニメーション モアナと伝説の海 |
『ズートピア』(原題:Zootopia)は、2016年のアメリカ合衆国のコメディ・アドベンチャー映画である[6]。ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオにより3Dコンピュータアニメーション方式で製作され、2016年2月7日に初公開された。
2017年アニー賞、アカデミー賞(いずれもアニメ作品賞)受賞作品[7][8]。
概要
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオとしては『ベイマックス』に次ぎ、1937年公開の『白雪姫』から数えて第55作目となる作品で、動物の手で築かれ、肉食動物と草食動物が共に暮らす大都会「ズートピア」を舞台に、夢を信じる新米ウサギ警察官ジュディ・ホップスと、夢を忘れたキツネ詐欺師ニック・ワイルドの2人を主人公に据え、連続行方不明事件を解決する中で変わってゆく2人の関係を軸に、その中であぶり出される人種差別や欺瞞などといった大都市の社会問題を描いている[9]。
制作陣は、エグゼクティブ・プロデューサーにジョン・ラセター、プロデューサーにクラーク・スペンサー、監督に『塔の上のラプンツェル』のバイロン・ハワード、『シュガー・ラッシュ』のリッチ・ムーア、助監督にはジャレド・ブッシュと、ディズニーのみならずアメリカのアニメ製作において数々の業績を残してきた人物が起用された他、劇中の音楽は『カールじいさんの空飛ぶ家』でアカデミー賞を獲ったマイケル・ジアッチーノが担当する。構想はバイロン・ハワードが『ロビンフッド』(ディズニーが1973年に製作した映画)のような作品を作りたいと考えたことに始まり[10]、2013年の製作発表後より、1億5000万ドルの費用が投じられ、技術改良と長期のフィールドワーク、度重なる脚本の変更を経て、2016年2月7日にハリウッドのエル・キャピタン劇場でプレミアが行われた。その後ベルギーでの同年2月10日上映を皮切りに、同年3月4日には北米を始めとする世界各地で上映が開始された。日本ではゴールデンウィークに合わせて同年4月23日より公開された[11][12]。日本上映時のキャッチコピーは、「そこは、動物たちの〈楽園〉のはずだった…」[13]。
同時期に公開された『カンフー・パンダ3』『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』が全世界において数々の記録を更新する中、本作もそれに肩を並べた。最終的には10億2378万ドルの興収を上げ、2016年の映画としては全世界興行収入2位を記録した[14]。日本においても、公開3週目で初めて興行ランキング1位を取り、それ以降も動員数の増加が続く異例の傾向を見せた[15][16]。最終興行成績は76億8000万円となり、同年に日本で公開された映画としては4位となった[17][18]。
世界観
本作は「人間が存在したことのない、動物[補 1]たちだけが暮らす別世界」[19]、即ち進化を遂げた動物が自ら高度な文明を築いてきた世界が舞台となっており[20]、タイトルにもなっているズートピアは肉食動物と草食動物(捕食者と被捕食者)が共存する巨大都市で、この世界の中心であり、本作の主要な舞台となっている。製作に当たっては、都市設計は動物の文明に基づくという点を重視する一方、細かな点やそこで起こる出来事は観客が身近に感じられるものとなるよう計算された[21]。
また、登場する動物は哺乳類に限られているが、これは制作チームが各分野の動物学者から情報を収集する中で決められたもので、脚本のジャレド・ブッシュは「作品の舞台となる惑星には爬虫類や鳥類などもいるが、今回はそれらが暮らす大陸の話ではなかっただけ」と語っている[22]。
物語後半で、実はズートピアの人口の90%は草食動物が占めており、肉食動物は10%に過ぎず、作中世界上でアフリカ系アメリカ人のメタファーととれる描写も相まって、「か弱い」とされていた存在の草食動物が圧倒的なマジョリティであり、「凶暴」とされていた肉食動物がマイノリティであることがわかる[23]。捕食者/被食者の観点では抑圧される側だった草食動物が、今度はマジョリティとして、マイノリティである肉食動物を圧倒していることは、なにが「弱者」でなにが「強者」なのか、という定義はとても危ういバランスの上に引かれていることが示されている[24]。
ストーリー
田舎町バニーバロウに暮らすウサギの少女ジュディは、「よりよい世界を作るため」と警察官になることを夢見ていたが、両親を含めた周囲は「ウサギの本職ではない」と彼女が警察官になることに否定的であった。しかし15年後、彼女は持ち前の勤勉さを活かし、様々な不利や扱きに耐え抜き、警察学校を首席で卒業し、ウサギで初めての警察官が誕生したことを祝うライオンハート市長によって市中心部へ配属される。
初日、ジュディの所属課では肉食動物ばかり14人が行方不明となる事件の捜査を行うことになる。ズートピア警察署(ZPD)の署長ボゴは、サイやゾウといった屈強な署員を捜査に充てるが、ジュディには駐車違反の取締を命じた。不満を感じるも、ジュディが取締をしていると、ゾウの店で巨大アイスの販売を拒否されるキツネの親子ニックとフィニックを見かける。彼女はアイスを売るよう店に説得し2人に感謝されるが、実は親子ではなくアイスを転売して金儲けする詐欺師コンビであった。ジュディはニックを問い詰めるが、自身の生い立ちを否定する言葉を返される。
翌日、ジュディが駐車違反の取締をしていると、花屋で強盗事件が起こる。命の危険が迫るネズミの女性を助けつつ、犯人のデュークを逮捕するが、職務放棄に加え、ただの球根のために危険な追跡をしたとしてボゴに咎められる。彼女は警察らしい仕事をしたいと食い下がるが、ボゴは自分が配属を決定した訳ではないと更に責め立てる。そこへ、オッタートン夫人が夫エミットの捜索をボゴに直訴すべく、ベルウェザー副市長と共に来署する。これを見たジュディは自分がその捜査をすると言うが、これがボゴの逆鱗に触れ、「48時間以内に解決できなければクビ」と告げられる。
ようやく警察らしい仕事を得たジュディは、僅かな証拠からニックが事情を知っているとにらむ。彼を脱税の証拠で脅して捜査に協力させ、聞き込みの末、あるリムジンの車内でエミットの免許証を見つけるが、そこでホッキョクグマ達に誘拐され、車の所有者ミスター・ビッグの邸宅へ連れて行かれる。彼は不法侵入の制裁として2人を氷漬けにしようとするが、娘がジュディに助けられていたことが分かると、エミットがリムジンでミスター・ビッグの家に行く途中に失踪したことを明かし、当時の運転手マンチャスを紹介する。マンチャスの自宅へ赴いた2人は、エミットが「夜の遠吠え」と言い残して凶暴化し、彼を襲ってどこかへ行ったという話を聞く。ところが、マンチャスは彼らの目の前で凶暴化し、2人に襲いかかる。
ジュディの連絡でボゴ達が現場へ来るが、なぜかマンチャスは消えていた。「動物が野性に戻るはずがない」と言い張るボゴはジュディに改めてクビを言い渡すも、ニックの仲裁により難を逃れる。帰路、ボゴとのやりとりからジュディの境遇を知ったニックは、キツネとして差別を受けた幼少の記憶を語る。
2人は交通カメラでマンチャスの行方を追うことにし、ベルウェザーにその映像を見せてもらうと、マンチャスを捕らえて謎の施設へ向かうシンリンオオカミが写っていた。2人は「夜の遠吠え」とは彼らのことだと考え、施設へ赴く。そこには捜索対象の14人とマンチャスが凶暴化した状態で収容されており、その主犯が肉食動物である自身の信用低下を恐れたライオンハートであることも判明する。ジュディによりこの真相が暴かれると、ライオンハートは収監され、市長の座を退く。
ようやく周囲に実力を認められたジュディは、ニックの働きを見て警察官になるよう勧めるが、記者会見で無意識の内に肉食動物に対する差別的な発言をしてしまい、怒ったニックに絶縁を言い渡される。更に街の肉食動物が次々と凶暴化するようになり、人々は肉食動物の排斥を訴えるようになる。自分の中にも差別や偏見があったことに気づいたジュディは深く後悔し、引き留めようとするボゴや市長の懇願を振り切って故郷へ帰る。
しばらくたったある日、実家で両親の手伝いをしていたジュディは、幼少期に自分をいじめていたギデオンと再会し、和解の言葉を交わす。そこでジュディは昔から知る虫よけの花が「夜の遠吠え」と呼び慣わされていることや、それを口にしたウサギが凶暴化して母を襲ったという話を聞く。凶暴化事件の原因が「夜の遠吠え」であることに気付いたジュディは、ズートピアへ戻ってニックに過ちを詫び、事件解決へ向けて再び手を組む。
2人が花屋強盗で「夜の遠吠え」の球根を盗んでいたデュークをミスター・ビッグと共に問い詰めると、球根の買主ダグの存在が明かされる。彼は「夜の遠吠え」から抽出した毒薬を弾丸にして肉食動物へ撃ち込み、凶暴化させていた。2人はダグと彼の仲間との格闘の末、ピストルと弾丸を証拠として持ち出すが、ZPD目前となったとき、ベルウェザーに行く手を阻まれる。不審に思ったジュディは、彼女がライオンハートを陥れた一連の事件の黒幕であることに気付く。ベルウェザーは草食動物を虐げる肉食動物に憎悪を抱き、ダグと彼の仲間を使って世間が肉食動物に対して恐怖を抱くよう仕向け、ズートピアを支配しようと企んでいたのだった。逃げ場を失った2人を見たベルウェザーはニックに毒薬を撃ち込み、ジュディの抹殺を目論んで自身は発見者を装って警察に通報する。しかし、毒に侵されたニックはジュディの首に噛み付くも、ジュディはおどけた様子で死んだふりをし、ニックも何事もなかったように笑う。実はニックが弾丸をジュディが実家から持ってきたブルーベリーと入れ替えていた。2人の演技に騙されたベルウェザーは自らの悪事を録音されてその場で逮捕され、オッタートン夫妻も毒の治療法が確立されたことで"再会"を果たす。こうして、肉食動物の凶暴化事件は無事解決された。
その後、ニックはジュディの勧め通りに警察学校を卒業し、キツネで初めての警察官となる。そしてニックの勤務初日、ジュディとニックはボゴにより暴走車の取締に向かうよう言い渡されるのだった。
エンドロールでは、ジュディやニックなどズートピアの住民たちがポップスターのガゼルのコンサートで彼女の歌を聴いて盛り上がる。
登場キャラクター
主人公
- ジュディ・ホップス(Judith Laverne "Judy" Hopps[補 2][25])
- アナウサギの女性。立派な警察官を目指し田舎町のバニーバロウから上京してきた、ズートピア初のウサギの新米警察官。冒頭では9歳だったが、就職時は24歳。劇中の役職はZPDのシティ・センター第1分署[注 1]に所属する巡査。故郷では両親と275匹の兄弟と共に暮らしていた。両親からはジュージューと呼ばれる[注 2]。日本語吹替版の一人称は「私」。
- 柔軟な思考力を持っており、草食系動物ながらに幼い頃からズートピアで警察官として働くことを夢見ており、当時からいじめっ子のギデオン・グレイにも立ち向かう勇敢さを見せるが、両親には「ウサギはニンジン作りをするのが幸せ」と言われ続けていた。類いまれなる才覚を持ち、警察ではぞんざいな扱い[補 3]を受けるも、最初に言い渡された駐車違反の取締ではボゴに言われた「1日100台」に対して「昼までに200台」を達成させるなど、どんな仕事でも努力を欠かさない。勤務中は常に録音機能があるニンジン型のペンを持ち歩き、ニックの脱税やベルウェザーの悪事を暴くなど、捜査に役立てる。また、上京時に両親からもらったキツネよけスプレーも持ち歩いていたが、後にニックとの葛藤を引き起こす。
- ニックと初めて会った時に詐欺師とは知らずアイス代を肩代わりしてしまったり、ナチュリストクラブの客を直視できなかったりとウブではあったが、ニックと関わる内にオオカミの気をそらすために遠吠えの真似するのを思いついたり、ニックと共にベルウェザーを欺き証拠をつかむための芝居をするなど、機転が利くようになる。
- ベルウェザーの悪事を暴いたのち、警察学校の卒業式で演説を行いニックにバッジを授けた。その後は一人前の警察官として認められ、ニックと組んでスピード違反の取り締まりを命じられる。
- ジュディは2018年に公開された『シュガー・ラッシュ:オンライン』にも一瞬のみ登場している。
- ニック・ワイルド(Nicholas Piberius "Nick" Wilde[補 4][26])
- アカギツネの男性。32歳[補 5]。身長4フィート、体重80ポンド、自宅の住所はCypress Grove Lane 1955番地[補 6]。詐欺師仲間のフィニックと手を組み、15ドルの巨大アイスキャンディーを溶かして2ドルの大量の小さなアイスとして転売することを生業とする詐欺師で、ズートピアのあらゆる情報に精通する。アイスの転売で12歳の頃から毎日200ドルを稼いでいたと言い張るが、納税申告書には何も書いていなかった。この発言はジュディのニンジン型のペンによって脱税の証拠として録音され、これを取り返すべくジュディの捜査に協力することとなる。日本語吹替版の一人称は「俺」。
- 過去には肉食動物初のジュニアレンジャースカウトの団員になろうとしたが、「キツネは信用に値しない」として誓いの儀式で口輪をはめられるいじめを受け、心に傷を負う。それ以来、偏見や差別に抗わず周囲の見る目の通りの生き方に甘んじる人生を送ってきた。その生い立ちから夢や希望は既に捨て去っており、ズートピアに夢を持って上京してくる者達を冷ややかな目で見る。
- 会った当初からジュディをバカにして「ニンジン」や「ウサギ」などと呼ぶが、途中から嘲笑の意図はなくなった。行方不明事件を追う中で、彼が詐欺師として得てきた知識や経験をジュディに見初められ、警察官になることを勧められる。最終的にキツネ初の警察官となり、本編終盤ではジュディと共に取締へ出動する。
- ニックは2018年に公開された『シュガー・ラッシュ:オンライン』にも登場している。
ズートピア警察署(ZPD)
- ボゴ署長(Chief Bogo)
- アフリカスイギュウの男性。ZPD署長[27]。常に威圧的な態度を取り、新入りのジュディやニックに辛辣な挨拶をお見舞いする一方ブリーフィングで部下の誕生日を祝ったりする一面もある。動物種ごとのステレオタイプにとらわれた言動をしがちでありニックとの初対面時もキツネへの偏見をあらわにしているが、市長と副市長には頭が上がらない様子を見せる。ガゼルのファンだが、クロウハウザーに見つかった時は、恥じらいから隠し通そうとしていた。ポスト・クレジット・シーンでのガゼルのライブでは、クロウハウザーと共に踊りながら楽しんでいた。
- 最初は望まず配属されてきたジュディに駐車違反の取締ばかりをやらせるなどぞんざいな扱いをするが、本来は警察の仕事に対して非常に真面目な人物であり、応援要請を受けた際は部下と共に現場に急行している。更に、当初はクビを言い渡していたジュディへの考え方が少しずつ変わっていき、肉食動物に対し記者会見で差別的な発言をし、自分の中にも差別や偏見があると自信を無くし、辞職を考えていたジュディに気付き、「こんな時だからこそお前のような警官が必要だ」と辞職を考えていたジュディを説得した。連続行方不明事件が解決された後はジュディ達の実力を認め態度や考え方を改め、本編ラストではジュディと新たに警察官になったニックにコンビを組ませ、スピード違反者の逮捕に出動させている。
- ベンジャミン・クロウハウザー(Benjamin Clawhauser)
- チーターの男性。ZPDの受付担当。人当たりが良く、同僚とも仲が良いが、食欲旺盛で大変な肥満体。ドーナツが大好物。歌手のガゼルの大ファン。肉食動物への偏見が強くなった頃には、記録保管係として地下室に左遷されたが、事件解決後は再び受付に復帰することができた。ポスト・クレジット・シーンでのガゼルのライブでは、ボゴ署長と共に踊りながら楽しんでいた。
- マクホーン(Officer McHorn)
- クロサイの男性。ZPDの警察官。朝礼の場ではジュディの隣に座っている。他の署員と同様にジュディのことをぞんざいに扱う向きがあり、デューク追跡の時も「お前には無理だ!」と叫んでいた。
- ズートピア警察学校の教官(Drill Instructor)
- ホッキョクグマの女性。言葉遣いは辛辣で、警察学校ではジュディの失敗に「命はない!」と叱責していたが、後に彼女の猛特訓の積み重ねに感銘を受ける。
市役所
- レオドア・ライオンハート市長(Mayor Leodore Lionheart)
- ライオンの男性。ズートピア市長。「誰でも何にでもなれる」というズートピアのスローガンを作った張本人で、ズートピアが楽園であることの維持を第一に考え、種に関係なく警察官になれるプログラムを立てたのも彼である。その初の卒業生としてジュディを市中心部にある第1分署へ配属するが、署長のボゴはそれを快く思っていなかった。部下であるベルウェザーには横柄に接する。
- 肉食動物の住民が次々と凶暴化した時は、住民に不安を与えないように、また肉食動物である自身の信用低下を避けるために、彼らを廃病院に作った施設に監禁して極秘裏に原因究明と治療法の研究をしていたが、結果的にそれが連続行方不明事件とみなされ、事件の元凶として収監される。しかし、街を守ろうしたと言う意思は本物で、これを台無しにしたおかげでジュディは大惨事を犯してしまう。後にこれがベルウェザーの謀略に踊らされていただけであったことが判明した後は、テレビのインタビューで自分の行いに対して「目的は正しいが、やり方が間違ってるってやつだ」と語った。
- ドーン・ベルウェザー副市長(Assistant Mayor Dawn Bellwether)
- ヒツジの女性。ズートピア副市長の役職を与えられているが、実態はライオンハートの秘書で、まともな部屋は与えられず、いつも忙しくこき使われている。本人曰く、自分が副市長になれたのは市長の「ヒツジ票集め」のため。度々ライオンハートに「クサイウェザー」と呼ばれているが、一度「ライオナラ市長」と言い返したところ、その日は一日大変なことになったという[補 7]。ライオンハートの収監後は彼女が後任の市長となる。
- ジュディを「小さな動物の誇り」と讃え、彼女が行方不明事件の捜査に当たるきっかけを作るなどするが、実際はライオンハートを始め、少数派ながら自らを下に見て虐げる肉食動物に対して恨みを募らせていた本作のディズニー・ヴィランズである。それが高じてダグ達を利用し、「夜の遠吠え」の毒で肉食動物を凶暴化させ、ズートピアで多数派を占める草食動物の住民に数の力で肉食動物を排斥するよう仕向けて、恐怖でもってズートピアを支配しようと目論む。最終的にジュディとニックにより連続行方不明事件の黒幕であることが暴かれ、収監される。
バニーバロウ
- スチュー・ホップス(Stu Hopps)
- ジュディの父親。バニーバロウで農業をしている。バニーバロウで野菜農家として暮らすことがウサギにとって一番の幸せと考えており、ジュディが上京して警察官になることを不安に思っていた。娘がギデオンにいじめられていたことからキツネやイタチなどの肉食動物には疑念を抱いていたが、ジュディの影響で考え方を変え、ギデオンと共同で商売をするようになる。
- 畑に虫除けとして植える青い花「ミドニカンパムホリシシアス」に動物を凶暴化させる毒が入っていること、そして過去にそれを食べた親戚が凶暴化してボニーを襲ったことをジュディに伝える。
- ボニー・ホップス(Bonnie Hopps)
- ジュディの母親。夫と同様、ジュディが上京することを不安に感じ、途中でZPDを退職して帰郷した時も気を遣う。
- ギデオン・グレイ(Gideon Grey)
- アカギツネの男性。本作のディズニー・ヴィランズでもあったが、ジュディからはフルネームで呼ばれている。ジュディが幼い頃はバニーバロウのガキ大将で、カツアゲの邪魔をしたジュディの頬に爪を立てて傷を負わせる程であったが、成人後は改心し、ジュディと再会したときに深く謝罪する。バニーバロウでパイ職人として働いており、ジュディの両親が営む店にもお菓子を卸している。パティシエとしての腕は、ジュディの両親が「町一番」と称している。
- ミドニカンパムホリシシアスという花の俗称が「夜の遠吠え」であることをジュディに伝え、彼女が再びズートピアに戻るきっかけを作る。
ニックの知人
- フィニック(Finnick)
- フェネックの男性。劇中で名前は明かされない。ニックの共犯者で相棒だが、口が悪い。普段からバンの中で暮らし、「仕事」の時もニックを助手席に乗せ自分が運転している。
- 非常に背が低く、ベビーカーにも問題なく乗れる。ニックの息子だと偽り、ゾウの着ぐるみを着て赤ん坊の真似をしていたが、実際の声はかなり低い[28]。40代とされている[補 8]。
- フラッシュ(Flash Slothmore)
- ミユビナマケモノの男性。免許センター[補 9]の職員で、ニックの親友[補 10]。ジュディとニックがヤックスから得たナンバープレート番号を元に自動車の所有者を割り出し、情報提供をする。言動から動作まで何もかもスロースペースで行い、昼に免許センターを訪れたジュディ達が帰る頃には夜になっていたほどである。エンディングでは、普段からは想像できない猛スピード(ジュディによると時速180km以上)で市街地を飛ばしていたところをスピード違反で捕まってしまう。
- ニックはフラッシュに会った際に必ず「フラッシュ、フラッシュ、ダッシュで行こうぜ!」[注 3]という挨拶をしている。
- エミット・オッタートン(Emmitt Otterton)
- カナダカワウソの男性。花屋を経営しており、妻と2人の子供がいる。ズートピアの連続行方不明事件の被害者のひとりであったが、ニックから買ったアイスを手にしているところを監視カメラに捉えられたのが捜査開始のきっかけとなる。
- 日頃よりミスター・ビッグの家へ花を届けていたことから親交が深く、家族同然の待遇を受けていたが、彼に会いにいくべくマンチャスの運転するリムジンに乗っていたところをダグに「夜の遠吠え」の毒入り弾を撃たれて凶暴化し、マンチャスを襲った。その後ジュディとニックにより秘密施設に監禁されているところを発見される。
- 病院で面会した妻からはこんなのは夫ではないと言われてしまうほど変貌してしまっていたが、治療を受け正気に戻って家族と再会した。
- デューク・ウィーゼルトン(Duke Weaselton)
- イイズナの男性。口が悪く、海賊版DVDで生計を立てている。物語の序盤で花屋から球根を盗んだところをジュディに逮捕されるが、後にこれが連続行方不明事件の一翼を担っていたことが判明する。
- Weaseltonという名字はウェーゼルトン公爵(アナと雪の女王の悪役)の名前を「イタチ」を意味する「Weasel」(ウィーゼル)でもじったパロディで、公爵が「ウィーゼルタウン」[補 11]と呼び間違えられていた一方、こちらは「ウェーゼルトン」と呼び間違えられる。また、ウェーゼルトン公爵のファーストネームもデュークである。声優ネタでもあり、英語版・日本語吹替版共にウェーゼルトン公爵と同じ声優が担当する。
- ミスター・ビッグ(Mr. Big)
- トガリネズミの男性。マフィアのボス風の格好をしている。リムジン会社を保有しており、ニックも「ツンドラタウンの闇のボス[注 4]」として恐れていた。手下に複数のホッキョクグマを付けており、邸宅でのシーンやエンディングでは、彼らのうち最も背が高い手下の手に載せられた椅子に座って登場する。過去に祖母の葬式に使うウールの絨毯をニックから購入したが、実際はスカンクの尻の毛でできたもので、これを祖母への侮辱として彼に怨恨を抱いていた。
- エミットやニックのようなビジネスパートナーは家族同然としてホームパーティーに招くなど手厚くもてなすが、自らを侮辱したものや裏切ったものとは絶縁したり、氷漬けにするなど残酷な対応をする。娘の結婚式の日にリムジンに忍び込んだニックとジュディも氷漬けにしようとするが、ジュディが娘の命の恩人と知り、捜査に協力する。その後も、孫の名前を「ジュディ」にしたり、デュークの自白に協力する。
- 『ゴッドファーザー』のヴィト・コルレオーネ(マーロン・ブランド)[29]を元にしたキャラクターである[補 12]。
- ケビンとレイモンド(Kevin / Raymond)
- いずれもホッキョクグマの男性で、ミスター・ビッグの手下。劇中の台詞はない。ケビンは黒地に黄色のラインが入ったスウェットを着ており、鼻に絆創膏を付けている。レイモンドは黒地に青色のラインが入ったスウェットを着ており、ドル記号を模したネックレスを付けている。
- エミットの免許証を探しにリムジンの車内へ入ったニックとジュディを捕らえ、2人でミスター・ビッグの元へ連れて行く。その後、ミスター・ビッグの指示に従い彼らを氷漬けにしようとする。
ズートピアの住民
- ヤックス(Yax)
- ヤクの男性。劇中で名前は明かされない。ナチュリストクラブのオーナーで、エミットもそこへヨガを習いにきており、ジュディの聞き込みに協力するきっかけとなる。「動物は自然が一番」と常に裸でおり、体も洗わず、いつも周囲にハエをたからせている。
- ヨガのインストラクターであるナンギを「ゾウは記憶力がいい」と持て囃すが、ニックとジュディにエミットの服装や乗っていったリムジンの色、ナンバーを詳しく伝えたのはヤックス自身である。
- オッタートン夫人(Mrs. Otterton)
- カナダカワウソ。行方不明となったエミット・オッタートンの妻で、度々ZPDを訪れてはボゴへの面会を要求していた。事件解決後は、「夜の遠吠え」の治療が成功し元に戻ったエミットとの再会を喜んだ。
- フルー・フルー(Fru Fru)
- ミスター・ビッグの娘。リトル・ローデンシアでデュークが蹴り飛ばしたドーナツのモニュメントの下敷きになりかけたところをジュディに助けられ、後にニックとジュディがミスター・ビッグの制裁から逃れるきっかけとなる。
- ニックとジュディがミスター・ビッグに誘拐された日に結婚式を挙げており、前述の件から、身ごもった子供にジュディと名付けた。
- ガゼル(Gazelle)
- 美しき実力派ポップスターのガゼル。カリスマ性も高く、多くのファンがいる。ジュディが上京する際に聴いているのは彼女の楽曲である。ズートピアで肉食動物の排斥運動が起きたときは、中立の立場でテレビのインタビューに答えていた。
- マッジ・ハニー・バジャー(Dr. Madge Honey Badger)
- ラーテルの女性医師。日本語吹替版では単に「ドクター」と呼ばれ、スタッフロールでは「秘密施設の医師」と表記される。ライオンハートから住民が凶暴化する原因を究明するよう迫られ、生物学的要素が原因にあることを示唆する。その後、ジュディの通報で駆け付けたZPDによってライオンハートと同じように逮捕された。
- マンチャス(Mr. Manchas)
- ブラックジャガーの男性。レインフォレスト地区在住。ミスター・ビッグが経営するリムジン会社の運転手。客として乗せていたエミットが突如凶暴化して彼に襲いかかり、右目に怪我を負う。その後捜査で訪ねてきたジュディとニックに詳しい事情を話そうとしたが、自身も同じように凶暴化してしまう。その後、ライオンハート市長が仕向けたシンリンオオカミ達に拘束され、他の行方不明者と同様、施設に収容された。
- ジェリー・ジャンボウ・ジュニア(Jerry Jumbeaux Jr.)
- アフリカゾウの男性。アイスクリーム店経営者。ニックにアイスキャンディーの販売を拒否するが、ジュディからアイスの調理の際に鼻にカバーを付けていない[注 5]など、店の衛生状態を指摘されたため、見逃してもらう代わりにニックにアイスキャンディーを売る。
- ダグ(Doug)
- ヒツジの男性。ベルウェザーの協力者で、デューク曰く「愛想が悪い」。手下にウールターとジェシーという2匹のヒツジがいる。
- 地下鉄の廃車体を利用した研究室で「夜の遠吠え」を球根から育て、その花から動物を凶暴化させる毒薬を精製し、更にそれを弾丸に込めて肉食動物に撃ち込み、凶暴化させていた。狙撃に関してはリムジンで移動中のエミットに命中させられるほどの腕前を持つ。
- ピーター・ムースブリッジ(Peter Moosebridge)
- ニュースキャスターのヘラジカの男性。一部の国ではオリジナルキャラクターに変更されており、日本ではタヌキ(後述)、ブラジルではジャガー、オーストラリア・ニュージーランドではコアラ、中国ではジャイアントパンダとなっている。
- 声優のピーター・マンスブリッジはカナダのテレビ局CBCで長年ニュースキャスターを務めるベテランで、キャラクター名も彼の名前とmoose(ヘラジカ)をかけている。
- マイケル・狸山(たぬやま) (Michael Tanuyama)
- タヌキの男性。ズートピアのニュースキャスターで、日本語吹替版のみ登場。声優の芋洗坂に合わせて同じフレームの眼鏡に頭には葉っぱ、背中に編み笠を背負っている。
- アパートの大家(Landlady)
- ココノオビアルマジロの老婆で、ジュディが住むアパート「グランド・センザンコウ」の大家。赤縁の眼鏡をかけている。
- バッキー・オリックス=アントラーソン/プロンク・オリックス=アントラーソン(Bucky/Pronk Orix-Antlerson)
- バッキーはクーズーで角が曲がっており、プロンクはオリックスで角がまっすぐ。アパートでジュディの部屋の隣室に同居している二人の男性。部屋では2人で頻繁に喧嘩をしたり、ジュディの独り言に反応して壁の向こうからちょっかいを出してくる。ジュディ曰く「うるさいお隣[注 6]」。ジュディの部屋には2枚の絵がかかっているが、2人が大声で会話すると会話に合わせて絵が揺れる。
- ジャレド・ブッシュはTwitterにてこの二人の関係を同性婚と明かしている[30]。
- プリシラ(Priscilla)
- 免許センターの職員のナマケモノで、フラッシュの女性同僚。フラッシュや他のナマケモノ同様ゆっくりと動く。
- アングリー・ムース(Angry Mouse)
- パーキングメーターがわずか30秒オーバーしただけで駐禁を取られ、ジュディに怒りながら文句を言う男性。
キャスト
役名 | 原語版 | 日本語吹き替え版 |
---|---|---|
ジュディ・ホップス | ジニファー・グッドウィン | 上戸彩 |
幼いジュディ | デラ・サバ | 稲葉菜月 |
ニック・ワイルド | ジェイソン・ベイトマン | 森川智之 |
幼いニック | キャス・スーシー | 長谷川斗輝 |
ボゴ署長 | イドリス・エルバ | 三宅健太 |
ベルウェザー | ジェニー・スレイト | 竹内順子 |
クロウハウザー | ネイト・トレンス | 高橋茂雄 (サバンナ) |
ボニー・ホップス | ボニー・ハント | 佐々木優子 |
スチュー・ホップス | ドン・レイク | 大川透 |
ヤックス | トミー・チョン | 丸山壮史 |
ライオンハート市長 | J. K. シモンズ | 玄田哲章 |
オッタートン夫人 | オクタヴィア・スペンサー | 根本圭子 |
デューク・ウィーゼルトン | アラン・テュディック | 多田野曜平 |
ガゼル | シャキーラ | Dream Ami |
フラッシュ | レイモンド・パーシ | 村治学 |
フィニック | タイニー・リスター・Jr. | 白熊寛嗣 |
ナンギ | ギータ・レディ | 込山順子 |
ジェリー・ジャンボーJr. | ジョン・ディマジオ | 遠藤純一 |
Mr.ビッグ | モーリス・ラマーシュ | 山路和弘 |
フルー・フルー | リー・レイサム | 近藤唯 |
マンチャス | ジェシー・コーティ | 河本邦弘 |
マッジ・ハニー・バジャー | ケイティ・ロウズ | 槇原千夏 |
ギデオン・グレイ | フィル・ジョンストン | 武田幸史 |
ダグ | リッチ・ムーア | 岩城泰司 |
ピーター・ムースブリッジ | ピーター・マンスブリッジ | |
マイケル・狸山 | 芋洗坂係長 | |
警察学校の教官 | トリシア・カンニングハム | 田村聖子 |
アパートの大家 | ジョシー・トリニダッド | 込山順子 |
バッキー・オリックス=アントラーソン | バイロン・ハワード | 白熊寛嗣 |
プロンク・オリックス=アントラーソン | ジャレド・ブッシュ | 河合みのる |
アングリームース | メリッサ・グッドウィン・シェパード | 厚切りジェイソン |
マクホーン | マーク・ライノ・スミス | 遠藤純一 |
プリシラ | クリステン・ベル | 近藤唯 |
ヒツジの記者 | 不明 | 安村直樹 |
その他 | 藤井隼 森田了介 種市桃子 入江純 大津愛理 祐仙勇 増元拓也 徳本英一郎 |
日本語吹き替え版スタッフ
- 字幕版
- 日本語字幕 - 石田泰子
- 吹替版
- 翻訳 - 竹本浩子
- 翻訳監修 - ジェームズ・ハバート
- 演出 - 岩見純一
- 日本語吹き替え版制作 - HALF H・P STUDIO
- 録音制作 - Disney Character Voices International,Inc.
製作
発案
通常、WDAS(ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ)では監督が発案部長のジョン・ラセターと社長のエドウィン・キャットマルに提案したアイデアの中から製作する映画を決定している[32]。この頃ラセターは、当時並行して製作が進んでいた『シュガー・ラッシュ』や『ベイマックス』のような新しい世界観のものに対し、『ピノキオ』などのような"クラシカルな"ディズニー映画を現代の観客向けに作ることを考えていた[33]。特に『ロビン・フッド』のような、擬人化され、服を着た動物が活躍する映画を好んでいた彼は、『塔の上のラプンツェル』で共同監督を務めたバイロン・ハワードの擬人化された動物の表現方法に共感し、ハワードを監督に起用してこれに沿った案を作ってもらうことにした[33]。ハワードもまた『ロビン・フッド』のような映画を作りたいと考えており、これに着想を得て[34][10]「擬人化され、服を着た動物が活躍する」物語の案を6つ提示した[32]。
ハワードの案を見たラセターは複数の案の中から世界観と登場人物を抜き出し、それを組み合わせるという形で、後に『Savage Seas(野生の海)』へと進化する案を提示した。『Savage Seas』はジェームズ・ポンドをイメージしたジャック・サベージというウサギのスパイを主役に建てた1960年代風のスパイ映画であったが、このストーリーについてラセターとキャットマルが実際に支持したのは序盤の「動物の都市」で展開される部分であった[32]。そこでハワードは「ウサギの主人公」「動物の都市」という要素だけを残し、都市に暮らす他の動物にもスポットを当てて更にイメージを膨らませてゆく。最終的には、ディズニー・ストーリー・トラスト(プロジェクト構想の際に必ず面会するWDASの上層部社員)の助言により、ニックが主役でジュディが脇役を演じる警察ものへと方向性が定まり[35][36]、WDAS第55作目の長編映画として『ズートピア』が誕生した[32]。
『ズートピア』の製作が初めて公表されたのは、2013年夏にディズニー公式ファンクラブ「D23」が開催したD23エキスポでのことであった[37]。ハワードの推薦によりジャレド・ブッシュを脚本家に立てた本作は、当初より2016年3月の公開と定められた[37][38](実際は公式発表に先駆けて2013年5月にジェイソン・ベイトマン出演の情報がマスコミに明かされていたが、その時は作品自体に関してはあまり語られなかった[39])。ここでは、登場人物達が暮らす街も、人間ではなく動物が設計したと想定して作り[37]、『ズートピア』は他の「擬人化された動物が人間界や大自然の中で活躍する映画」とは違うものになるとされた。ジョン・ラセターはこの「動物が動物によって築かれた現代社会に暮らす」という考え方を大いに評価し、D23エキスポ発表の場で"赤ん坊のシンバを持ち上げるように"ハワードの名声を高めた[40]。
更に、2015年3月にはリッチ・ムーアが監督となり、その補佐には脚本のジャレド・ブッシュが就くことが発表された[41]。
動画技術
アニメーターらによる動物の調査はサンディエゴ動物園サファリパークやウォルト・ディズニー・ワールドの「ディズニー・アニマル・キングダム」で行われ、さらにはハワードの提案で[42]ケニアへも赴いた。調査期間は合計8ヶ月におよび、様々な動物の歩き方から毛の色までも研究され[43][44]、映画に登場する動物たちは80万通りもの動きを見せることになる[44]。登場人物の毛並みをよりリアルに見せるため、取材はロサンゼルス自然史博物館でも行われ、アニメーターらは様々な光の当たり方を確認しながらマイクロスコープを用いて間近で毛並みを確認した[44]。2010年代前半のディズニーが製作するアニメーション作品に出てくる動物の毛並みは2008年に公開された『ボルト』に使われた技術が基本となっていた。しかし、当時使用されていたコンピューターソフトウェアでは本作に必要とされる、よりリアルな毛並みに対応できなかった[44]ため、WDASの技術者がそれに向けて新ソフトウェア「iGroom」を開発した[44][45]。元々このような技術的に高度な表現はシーン別に特別な処理を行うことで対応していたが、今回は全編にわたってそういった表現が必要とされていた[45]。
これにより、毛並みの向き、成形、光の当て方などを正確に表現するだけでなく、各種の動物ごとにあらゆるポーズを表現できるようになった。iGroomでは更に、「仮想レイヤ」を用いた見えない部分の毛まで考慮した毛皮の表現をも可能にした[44]。この機能は大きな頭に境界のはっきりしない斑点模様を持つチーターのキャラクター(クロウハウザー)などに使われた[44]。各キャラクターには膨大な本数の毛が用いられ、2人の主人公、ジュディとニックにはおよそ250万本前後に及ぶ。他のキャラクターではキリンが900万本、アレチネズミは48万本で、その他の小さな齧歯類でも40万本が使われ、これは『アナと雪の女王』のエルサの髪の毛と同じ本数である[44]。このことについてジャレド・ブッシュは後に、「毛との戦いだった」と語っている[45]。
本作ではベイマックスに次いで2度目に3D描画システム「Hyperion(ハイペリオン)」が使用された。今回はHyperionに新たな描毛パラダイムが付加され、密集した毛でも比較的容易にリアルな描写ができるようになった[44]。シュガー・ラッシュ製作に向けて開発されたリアルタイム3Dモデラーの「Nitro(ニトロ)」も使用され、より思い通りに、自然で緻密な毛並みをスピーディーに出力出来るようになった。Nitroでは更に、ある状態から次の動作における毛並みの変化とポーズ、シルエットを同時に予測することができる[44]。『アナと雪の女王』で初めて使用された草木ジェネレーター「Bonsai(盆栽)」も使用され、熱帯からツンドラまで様々な気候の、多種に渡る樹木の葉一枚一枚に至るまでの詳細な描画を実現した[44]。
登場人物について
当初はニックを中心にズートピアの街を描くストーリーで、肉食動物と草食動物は街の中でほとんど関わりを持たないという設定であった[46]。その核となる設定に、草食動物を肉食動物から守るための「制御首輪(tame collar)」があった[47]。ズートピアに暮らす全ての肉食動物にはこの制御首輪が取り付けられ、本人の興奮度によって緑→黄→赤と首輪のランプの色が変わり、最高潮(赤)に達すると電気が流れるというものである。この設定で製作されたストーリーの下で4ヶ月おきに映画業界向けの内部上映会が行われたが、寄せられた意見は総じてズートピアを「抑圧的な警察国家で、希望がない」「誰が見ても惨めで、新たな発見などない」などと評するもので、首輪には非常にネガティブなイメージがあることが判明した[47]。「製作スタッフがよく貢献してくれた」と評された[35]ストーリーではあったが、5~6回ほどの上映会を繰り返した後、フィル・ジョンストンを新たに脚本家として呼び、従来の制作陣との合意の下で2014年11月に制御首輪の設定を廃することとなった[47]。
公開予定までおよそ1年半を切った2014年11月[36]、ジュディとニックの立ち位置を逆転させ、「平等主義の是非が住民自らの先入観により脅かされる大都会」ズートピアへやってきた「純真でヒロイン気質のあるお上りの女の子」ジュディに主眼を置き、それに反駁するキャラクターとして「街の平等を冷笑し不安定を助長する地元民」ニックを置くという現在のストーリーへと変更された[36]。ジュディを主役に置くという発想について、制作陣は「観客はズートピアという都市をジュディの視点、即ち『都会への憧れ』という目で見られる作品になった」と評した。通常の子供向け映画では、登場人物が自らの不遇を歌で表現するが、ジョンストンは現実味を持たせるためにあえてこのようなミュージカルシーンを採用せず、ジュディが遭遇する様々な試練や彼女の両親でその代わりとした[47]。
2015年5月6日、ジェイソン・ベイトマンとジニファー・グッドウィンがそれぞれニック・ワイルドとジュディ・ホップスの役を務めることが明かされた[48]。制作陣はこの選定理由について、ベイトマンが「狡猾ながらもドライな知的さを感じられる声で、可笑しくも心のこもった演技を出来るから」と発表した。ベイトマン本人は自らを「狡猾で皮肉な陰謀家」とし、このニック・ワイルドも彼が12歳の頃から演じてきた数々の役と似ていることについて触れた。また彼は「監督に『キミ達は、僕にどんな声を求めてるんだ?』と言ったところ、あっけにとられた顔で『やりたいように、ただ喋るんだ』と返された」とも話した[49]。
一方のグッドウィンについて、ムーアは「ブレのない優しさと大きな心、そしてユーモアたっぷりの演技ができる」と語り、また人間性についても「少女ポリアンナにフュリオサ大隊長を混ぜたような女性」「人はよく優しさを単純さやマヌケさと紙一重というが、彼女は『良い女性』を地で行っている。マヌケなウサギじゃないけどね」などと評している[49]。同年7月には、アラン・テュディックも声優に加わることが発表され[50]、同時に彼が演じるキャラクターが"デューク・ウィーゼルトン"であることも明かされた[51]。
舞台の構築
擬人化された動物が登場するアニメ作品が多くある中、制作陣や本作の企画を受けたWDASは、本作がそれらとは違う、他に類を見ない作品となること――即ち、単に人間を動物に置き換えただけのものではなく、動物特有の要素を色濃く出し、それでいて観客に共感を得られるような作品となることを期待していた[33]。この実現にあたっては、登場人物や動画技術のみならず、作品舞台やその他細かな設定についても綿密に考察する必要があり、制作陣は「誰がこの世界を作ったのか?」という命題を設定し、その下に様々な案を出していった[34]。最終的に本編で使用されなかった設定も数多く存在するが、これについてハワードとムーアは、「心の中にあるズートピアという都市は、1つの映画には収まりきらないほど大きな場所です。映画では語られていないストーリー、場所、動物はまだまだ存在します。」と語り、本作はあくまで作中世界の一部分を切り取ったものに過ぎないことを示唆している[34]。
美術監督のマティアス・レクナーと制作設計のデヴィッド・ゲッツは、大まかな美術方針としてネズミからゾウまで様々な動物の大きさをデザインに反映させることが重要と考えた。これにより家具や洋服などあらゆる物について様々な設定案が出されたが、最終的にextra small, small, regular, jumboの4段階が基準として定められた。このうち主人公であるニックはregular、ジュディはsmallに相当し、彼らを標準サイズ(=人間と同じ大きさ)として、それより大きいか小さいかで各所のデザインが決められていった[19]。例えば洋服であれば素材や仕立ての過程まで想像しながらデザインを決め、ネズミ用の自動車はネズミでが作ったものと想定して細部の形状を変更する、あるいはネズミが暮らすリトル・ローデンシアの街灯はクリスマスツリーの装飾電球にするなど[52]、単に縮尺が違うだけのものと構造自体が違うものを適宜使い分け、質感やデザインから大小を感じ取れるよう工夫を凝らした[19]。
都市としてのズートピア
当初、制作陣はズートピアを理想的な未来都市にしようと考えていたが [53]、ハワードとムーアは都市がその歴史や人々の暮らしの積み重ねであることに着目し、「ズートピアも都市である以上は人間の都市と同じような発展をしてきただろう」という仮定の下で都市景観を築くこととなった[53]。このように架空世界でありながら真実味を深めようとする動きの狙いは、観客自身の経験を呼び起こすことでスクリーン上のあらゆる出来事に共感させ、ストーリーに没入してもらうことにあった[53]。実際に、脱税[54]や免許センター[55]、渋滞[56]などといった人間社会でも身近な出来事が物語のキーポイントとして登場する[57]。
ズートピアという街を特徴付ける設定が、「市内は気候や暮らす動物のために12のエリアに分けられている」というもので、その中でもサハラ・スクエア、ツンドラ・タウン、レインフォレスト地区、リトル・ローデンシア、サバンナ・セントラルの5つの主なエリアが作中に登場する。
- サハラ・スクエア(Sahara Square)
- 砂漠の動物たちが暮らすエリアで、地域の中心部はモンテカルロとドバイを元にデザインされている。砂漠の暑い昼間を避けて夜行性となる動物たちのためにカジノ付きホテルなどのナイトアクティビティを充実させているという設定で、街の見た目やネオンには赤や橙色などといった暖色系の色合いが用いられている。オープニングには巨大なヤシの木を模したホテルが登場するほか、その他の地形や建物は砂丘と砂城をモチーフにした構造物で構成されている[58]。後述のツンドラ・タウンと隣接しているが、境界の壁には大きな空調設備を有し、ツンドラ・タウンを冷やした廃熱でサハラ・スクエアを熱するという設定になっている[59]。
- ツンドラ・タウン(Tundratown)
- 寒冷地域の動物たちが暮らすエリア。ロシア建築を模したタマネギ状のドームを持つ建物や、ホッキョクグマの住処である氷の洞窟をモデルにした氷雪マンション、動く歩道の代わりとなる流氷ブロックがあり、そのほとんどが雪と氷によって構築されている。降雪量を降雪機により周期的に調節することで気候を調整し、決して雪が溶けないように設計されている他、街の彩りはCGデザイナーにより巧みに配置されたネオンサインで賄われる。プロダクション・デザイナーのデヴィッド・ゲッツによると、作中の登場人物でマフィアのボスであるミスター・ビッグに触発されてイメージを作り上げたという。サハラ・スクエアとの境界には巨大な空調の壁が配置される(前述)[59][60]。
- レインフォレスト地区(Rainforest District)
- その名の通り、熱帯雨林をモデルとしたエリア。川から吸水して湿気を生み出す巨大な人工樹木を中心に構成され、周辺には根のようなパイプが張り巡らされる。地区内は常にスプリンクラーのような装置で濡らされ、湿気の多く汚い環境は、ストーリー・ヘッドのジョシー・トリニダードによると、ここに住む登場人物の一人、マンチャスの内面をも反映しているという。この地域は直上方向に形成されているため、高低差は300mにもおよび[59]、作中で出てくるレインフォレスト地区の道路もループ橋が多用されている他、跳ね上げ橋も登場する。前述の通りズートピアの他地域に比べて複雑な環境を有し、ミステリアスな雰囲気も有する。コンピュータグラフィックの製作に当たっては、複数のレイヤに分けて作業したり、枝をグループ分けするなどの工夫が取られた[61]。
- リトル・ローデンシア(Little Rodentia)
- 齧歯類など小動物が暮らす地域で、街はミニチュアの様相を呈し、大きな動物が誤って入り込まないよう、高い柵と小さなトンネルで囲まれている。街並みはブルックリンを参考にして考案され、前述の地域とは違い、気候ではなく居住する動物のサイズを考慮して構築されている[59]。ズートピアの中心部にほど近い位置に所在。製作に当たっては、他の地域とのサイズ差を演出するために、街並みの原寸大の模型を配置した上でロサンゼルスの街並みを背景として写真に撮り、それを更にコンピューターグラフィックで再現するという手法をとっている[62]。
- サバンナ・セントラル(Savanna Central)
- ズートピアの中心都市エリアで、ダウンタウンを含む。様々な種類の動物が暮らすサバンナがモデルとなっており、劇中の鉄道駅「セントラル・ステーション」はその中でも肉食動物と草食動物が隔てなく集まる水飲み場をイメージして作られ、ズートピア内外から様々な動物が集うエリアという設定になっている[59]。駅とその周辺は監督のバイロン・ハワードが最も好きだと語る場所で、ヨーロッパと北米を組み合わせた先進的なデザインとされている。ダウンタウン地域は動物が種類関係なく混在する場所で、オープニングには出て来ず、主人公ジュディの「初仕事」の場としてようやく登場する。デヴィッド・ゲッツは、ダウンタウンのスケール感が統一されず、ざわついた大都会の雰囲気は、様々な時代の歴史を含ませることで表現出来るとした[63]。
この他、主人公ジュディの故郷でズートピアから340キロ離れた農業が盛んな田舎町「バニーバロウ(Bunnyburrow)」や、ゾウが経営するジャンボサイズパーラーの「ジャンボウ・カフェ」、謎の施設クリフサイドの建つひと気の無い地域「MeadowLands」など、劇中に登場するあらゆる舞台においてズートピアという街の特徴を際立たせるための詳細な設定と共に構築されている。製作段階で脚本が変わる中で設定が使用されなかった地域や建物もあり、ジュディの実家で275匹の兄弟姉妹が暮らす様子[64]や、「捕食者と被捕食者が区別される」という当初の案の下で考案された、束縛される肉食動物たちが本来の自分に戻れる彼ら専用の脱法アミューズメントパーク「ワイルド・タイムズ」[65]などが設定図画に残されている。
続編の製作
本作でフィニックの声優を務めたタイニー・リスター・Jr.が出席した、カリフォルニア州オンタリオのレストラン「デイブ&バスターズ」で行われたイベントにて、「確かなこととして言えるのは、俺は今ディズニーと『ズートピア』の続編に取り組んでいるということ。3作になるんだ。『マダガスカル』は3作あるし、俺たちはそれに取って代わる」とコメントした。さらに、本作の監督リッチ・ムーアとバイロン・ハワードは、Blu-ray発売時のインタビューなどで続編に前向きな思いを語っている[66]。このことから、本作の続編が製作されているのではないかと様々な会社が報道した[67][68]。
なお、2020年12月に短編アニメーションシリーズとなるスピンオフ作品『ズートピア+』の製作が発表され、2022年11月にディズニー傘下の定額制動画配信サービスであるDisney+にて配信公開された。同作では映画版での裏側で起きていたジュディとニック以外の動物たちの出来事を描いたものとなっている[69][70]。
音楽
『ズートピア オリジナル・サウンドトラック』 | |
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マイケル・ジアッチーノ の サウンドトラック | |
リリース | |
録音 | 2015年11月16日〜20日 |
ジャンル | サウンドトラック、映画音楽 |
レーベル | ウォルト・ディズニー |
スコアの作曲は、アカデミー作曲賞受賞作家のマイケル・ジアッチーノが担当した。主題歌である「Try Everything」はシーアとスターゲイトが作曲し、劇中でガゼル役のシャキーラが歌った。
# | タイトル | パフォーマー | 時間 |
---|---|---|---|
1. | 「トライ・エヴリシング Try Everything」 | シャキーラ | |
2. | 「ステージ・フライト Stage Fright」 | マイケル・ジアッチーノ | |
3. | 「グレイズ・アーマッド・アット・ミー Grey's Uh-Mad at Me」 | ジアッチーノ | |
4. | 「チケット・トゥ・ライト Ticket to Write」 | ジアッチーノ | |
5. | 「フォクシー・フェイクアウト Foxy Fakeout」 | ジアッチーノ | |
6. | 「ジャンボ・ポップ・ハッスル Jumbo Pop Hustle」 | ジアッチーノ | |
7. | 「ウォーク・アンド・スターク Walk and Stalk」 | ジアッチーノ | |
8. | 「ノット・ア・リアル・コップ Not a Real Cop」 | ジアッチーノ | |
9. | 「ホップス・ゴーズ(アフター)ザ・ウィーズル Hopps Goes (After) the Weasel」 | ジアッチーノ | |
10. | 「ザ・ナチュラリスト The Naturalist」 | ジアッチーノ | |
11. | 「ワーク・スローリー・アンド・キャリー・ア・ビッグ・シュティック Work Slowly and Carry a Big Shtick」 | ジアッチーノ | |
12. | 「ミスター・ビッグ Mr. Big」 | ジアッチーノ | |
13. | 「ケース・オブ・ザ・マンチャス Case of the Manchas」 | ジアッチーノ | |
14. | 「ザ・ニック・オブ・タイム The Nick of Time」 | ジアッチーノ | |
15. | 「ワールズ・ワースト・アニマル・シェルター World's Worst Animal Shelter」 | ジアッチーノ | |
16. | 「サム・オブ・マイ・ベスト・フレンズ・アー・プレデターズ Some of My Best Friends Are Predators」 | ジアッチーノ | |
17. | 「ア・バニー・キャン・ゴー・サベージ A Bunny Can Go Savage」 | ジアッチーノ | |
18. | 「ウィーゼル・シェイクダウン Weasel Shakedown」 | ジアッチーノ | |
19. | 「ラミフィケーションズ Ramifications」 | ジアッチーノ | |
20. | 「ユウ・フェール・フォー・イット Ewe Fell for It」 | ジアッチーノ | |
21. | 「スリー・トゥ・バンディット Three-Toe Bandito」 | ジアッチーノ | |
22. | 「スイート・フロム・ズートピア Suite from Zootopia」 | ジアッチーノ |
日本盤には、冒頭と末尾に以下のボーナストラックが収録されている。
# | タイトル | パフォーマー | 時間 |
---|---|---|---|
1. | 「トライ・エヴリシング」 | Dream Ami | |
24. | 「トライ・エヴリシング(ズーラシアン・フィルハーモニー・バージョン)」 | Dream Ami | |
25. | 「トライ・エヴリシング」 | ズーラシアンブラス |
日本語吹替版ではオープニングが『トライ・エヴリシング』日本語版、エンディングクレジットは同曲の英語版となっている。その後のスタッフロールの冒頭には『トライ・エヴリシング(ズーラシアン・フィルハーモニー・バージョン)』が流された後、サウンドトラックのメドレー(『ラミフィケーションズ』のアレンジ版、『スイート・フロム・ズートピア』の途中から)となる。
英語版のスタッフロールは冒頭からサウンドトラックのメドレー(『チケット・トゥ・ライト』、『スイート・フロム・ズートピア』の冒頭、『ラミフィケーションズ』のアレンジ版、『スイート・フロム・ズートピア』の途中から)が流される。
公開
本作はディズニーデジタル3-D(RealD)作品として公開された。北米ではIMAX3D方式での上映も行われ、ディズニーのIMAX作品はトレジャー・プラネット以来14年ぶり、2作目となる[71][72]。
一部の国ではタイトルが変更され、イギリス等欧州各国では、metropolisを由来とする"Zootropolis(ズートロポリス)"に変更され、欧州公開分は音声が英語(字幕版含む)でも劇中のZootopiaが全てZootropolisに直されている[73][74]。また、ドイツでは"Zoomania(ズーマニア)"というタイトルで公開された[75][76]。ディズニーは変更理由について、スポークスマンが「イギリスの観客にも関心を持ってもらえるように」と述べるに留めたが[77]、アイリッシュ・タイムズ紙(アイルランド)はデンマークの動物園がEU域内で"Zootopia"を商標申請しているのが直接の理由ではないかとしている[78]。中国では国家新聞出版広電総局により海外映画の劇場公開は30日間のみとされているが、本作については2週間延ばされるという異例の対応が取られ、合計44日間公開された[79]。日本での劇場上映は他地域より大幅に遅れて2016年4月23日に始まり、『ファインディング・ドリー』公開前日の7月15日[80]に一斉終了した。
マーケティング
ティーザー動画が最初に公開されたのはウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオが2015年6月11日にYouTubeで公開した予告編で[81]、ピクサーの『インサイド・ヘッド』公開時からこの映像が劇場予告として流されるようになった。2つ目は同年11月23日にYouTubeで(劇場予告は『アーロと少年』から)[82]、本編中で主人公2人が免許センターへ赴きナマケモノの職員とやりとりをするシーンが公開された。本格的な予告映像は同年12月31日にYouTubeで公開された。更に、2016年3月1日にはディズニー・インフィニティ3.0用のフィギュアが発売された[83]。
また、変わった形のバイラル・マーケティングも行われた。デジタルマーケティング会社のAllied Integrated Mediaは、ディズニーからの契約を受け、SNSサイトMeetup上のファーリー・ファンダム会員に、映画のハッシュタグを付けて自分のファースーツを着た写真をTwitterやInstagramで公開するキャンペーンを推進した[84][85]。
日本では、上映開始前後の2016年3月25日から5月8日にかけて神奈川県横浜市とのタイアップが実施され、よこはま動物園ズーラシアと横浜市交通局により「横浜市営地下鉄スタンプラリー」と「横浜市営バス×ズーラシア クイズラリー」が実施された他、本作の広告ラッピングを施した路線バス車両も1台運行された[86][87]。
家庭用ソフト
『ズートピア』の家庭向けソフトはBlu-ray、Blu-ray 3D、DVDなどのデジタルHD形式で発売され、北米版は2016年6月7日、ボーナストラックとして「Scoretopia」やTry EverythingのMVなどの映像を収録したものが発売された[88]。日本版に関しては、吹替/字幕版のデジタル先行配信が同年8月10日に開始され、その後MovieNEX版(Blu-ray、DVD、デジタルダウンロード権限同梱)は8月24日に『ズートピア MovieNEX』として発売開始された。内容は北米版と同じで、本編は劇場字幕/吹替版の両方、特典映像は字幕版として収録されている[89]。
本タイトルは発売初週にして販売枚数18万枚を記録し、9月5日付(8月22日~28日)の売上ランキングにて『ARASHI LIVE TOUR 2015 Japonism』(27.8万枚[90])に続きBD総合2位、BDアニメ部門では1位を獲得した[91]。また、BDアニメ部門で洋画が1位を取ったのは2015年12月14日付ランキングの『ミニオンズ ブルーレイ+DVDセット』以来8ヶ月ぶりで、この時点で2016年の洋画アニメBDの暫定1位となった[91]。翌9月12日付(8月29日~9月4日)のランキングでは、販売枚数3.8万枚で『ARASHI LIVE TOUR 2015 Japonism』(1.5万枚[92])を抜きBD総合1位を獲得した[93]。洋画がBD総合1位を獲得するのは2016年度(2015年12月14日~)のランキングでは6作品目で、アニメでは同年度初となった。
レンタルはBD/DVDともにMovieNEX発売と同日の8月24日に開始され、1週目(8月22日~28日)、2週目(8月29日~9月4日)の2週にわたりレンタル回数1位を獲得した[94][95]。
興行成績
北米での上映が終了した2016年8月4日時点で、『ズートピア』の興行収入は、制作費の1億5000万ドルを大きく上回り、北米で約3億4126万ドル(米ドル、以下同じ)、その他の国と地域では約6億8251万ドルの興行収入を記録し、合計で10億2378万ドルとなった[3][4]。ディズニーのアニメーション映画で10億ドルを突破したのは、『トイ・ストーリー3』、『アナと雪の女王』に次いで史上3番目である[96]。
公開二週目の3月18日には、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ作品としては『アナと雪の女王』『ベイマックス』に続き3作連続で興行収入5億ドルを突破し[97][98]、同年4月5日には、2016年に北米で公開された映画の中としては初めて国際興行収入が8億ドルを越え[99]、4月24日には更に9億ドル突破を果たした[100]。6月5日には10億ドルを突破した。国際興収10億ドルという記録は、アニメーション映画としては史上4番目、ディズニー映画としては11番目(ディズニーアニメーション映画では3番目)、そして映画史上では26番目となる[101]。
全世界では『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』に次ぎ2016年中2番目の興行収入を上げており、アニメーション映画としては1位[102]である。また、歴代でも同スタジオ作品としては『アナ雪』に次ぎ2番目の全世界収入[99][103]、全アニメ映画としては4位[104][105]、原作映画(小説などの原作や前作を持たない映画)としては『アバター』に続き2位[103]、更に全映画の中でも26位の成績となっている[101]。
北米
アメリカ合衆国とカナダでは、公開前予想は3827スクリーンで初週末興行収入6000万~7000万ドルとされていた[106][107](予想スクリーン数の内訳は3D版が約3100スクリーン、IMAX版が365スクリーン、プレミアム・ラージ・フォーマット版が325スクリーン[107])。2016年3月31日に行われた公開前週の事前上映で既に170万ドルの収入があり、同様の公開方式ではピクサー作品を除く夏休み期間[補 13]以外のディズニー映画としては最高記録[71][108]、またアニメ作品としては歴代7位を記録した[109]。
事前公開の評判は口コミで広まり、公開初日となる4月3日だけで1950万ドルの興行収入を記録し、『アナ雪』の記録を破った[71]。また、3月公開のアニメーション映画としては『アイス・エイジ2』についで歴代2位となる[110]。更に、初週末興行収入は当初の予想を上回る7510万ドルで、全ディズニーアニメーション映画では『アナ雪』を破り1位[補 14]、3月公開のアニメーション映画では『ロラックスおじさんの秘密の種』を破り1位、アニメーション映画としては4位、3月公開の映画全体としても8位の記録となった[111][112][113]。更に、原作映画の初週末興行収入としては『インサイド・ヘッド』『アバター』に続き歴代3位となった[114]。IMAX方式では初週末366スクリーン520万ドルで、トイ・ストーリー3の840万ドルに続き2位となった[112]。
2週目の週間興行収入は5130万ドルで全体の31.6%まで下がったが、アニメーション映画としては初週終了後の占有率下降が最も少なくなった(『シュガー・ラッシュ』は2週目で占有率32.7%を記録しているが、同週に27%を記録した『LEGO ムービー』より下降率が大きい)[115]。3週目の週間興行収入も占有率28%で3720万ドルと3週連続で週間1位を記録し、同時にそれまでの総興行収入が2億ドルを突破することになった[116]。公開後3週間目の記録としては、『アバター』の6800万ドルに次ぎ2位となり、『007 スカイフォール』の3500万ドルを越える結果となった。4週目も本作の占有率は微減に留まったが、本作より3週間遅れで公開された『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』に抜かれ、最終的に北米ではV3となった[117]。
2016年6月時点では、域内にて『キャプテン・アメリカ』『デッドプール』『ジャングル・ブック』に次ぎ4位の累計興行成績を記録しているほか[118]、13週連続でトップ10入りを果たし、『アナ雪(16週)』と『アバター(14週)』に迫る結果となった[119]。
北米での劇場上映は8月4日に終了し、計154日間に渡って上映された[4]。最終的な興収記録は、WDAS作品として『アナ雪』に次ぎ史上2番目[120]、2016年北米公開映画として7位[121]、またアニメーション映画としては史上10番目となった[122]。
日本
日本では2016年4月23日から7月15日までの83日間に渡り公開され、最終興行成績は動員数約580万人、収入約76億8000万円となり[123][124]、2016年に日本で公開された映画としては4位となった[124]。本作は累計興収70億円突破まで62日要したが(『アナ雪』は23日、『ベイマックス』は37日)[80]、次々と新作が上映開始される中でも安定した興行収入を上げ、上映期間中全ての週末興行ランキングにおいて4位以内に残った。
字幕版(2D)と吹替版(2D・3D・4DX・MX4D)にて全国471スクリーンで公開された[125]が、他地域からはかなり遅れての公開となった[126]。初週末(4月23日・24日)の合計動員数は32万9513人、興行収入は4億4580万4900円となり、1週間前の4月16日より公開されていた『名探偵コナン 純黒の悪夢』に次いで初登場2位を記録した[125]。更に、ディズニーアニメーション映画としては『アナ雪』『ベイマックス』に次ぎ第3位のオープニング興収を記録した[100]。
その後、公開2週目までは『名探偵コナン』に続き2位となっていたが、公開3週目となる5月8日までの興収が29億8776万4600円、動員は235万6413人となり、7日・8日の成績(週末興行ランキング)では『名探偵コナン』を抜き初の1位となった[127][128]。公開2週の後に週末興行ランキングが2位から1位に上がったというケースは世界的にもまれである[15]。4週目(5月14日・15日)の週末興行ランキングでは前週に続き1位を獲得、更に動員数前週比121.8%を記録したが、この週の動員数は公開初週を越えており、『アナ雪』国内公開当初と同様の動きを見せた[15][16]。5週目の週末(5月21日・22日)でも2日間で動員37万5137人、興収5億0407万3100円を記録し、1位を維持した(両日2位の『殿、利息でござる!』は動員10万9248人、興収1億3522万8600円)。また、この週は前週より25スクリーン減少となったが、前週興収比は118%[129]となり、スクリーンアベレージ(1スクリーンあたりの平均着席率)も16.7%上昇した[130]。6週目(5月28日・29日)では、前週に比べ興行成績は下がったが、同週初登場の『オオカミ少女と黒王子』を抑えて4週連続1位となり、国内の累計興収が50億円を突破した[131]。またウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの長編映画が日本で4月に公開されたのは1996年公開の「ビアンカの大冒険 ゴールデン・イーグルを救え!」以来20年ぶりとなる。
7週目(6月4日・5日)は動員26万3766人、興収3億5060万9200円となり、国内累計興収は60億を越えた。同週初登場の『植物図鑑 運命の恋、拾いました』(動員26万4270人、興収3億4204万0700円)に僅差で及ばず2位となり、国内では最終的にV4となった[96]。ただし、興収1位は6月1日開始の『デッドプール』(24万8473人、3億8333万2900円)で、『植物図鑑』は興収3位となっている[96]。また、公開当初から成績争いを続けていた『名探偵コナン』も同日に累計興収60億円を突破したが(6月5日時点で60億2048万7600円、471万7855人)、興収では本作が上回る一方、動員数では若干後を追う形となる[132][補 15]。その後8週目(6月11日・12日)の動員数は同週初登場の『64―ロクヨン―後編』に続き2位[133]、9週目(6月18日・19日)は『植物図鑑』『ロクヨン後編』に続き3位となったが、興収では再び1位を獲得した[134][135]。
6月23日には累計興収が70億円を突破[17][135]する。公開10週目(6月25日・26日)の動員数は、同週初登場の『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』に続く2位となり、再び動員数の順位を上げたが[136]、公開11週目(7月2日・3日)にはそこへ同週初登場の『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』が1位に入り、本作は3位[137]となった。週末興行ランキングの集計対象としては最終週となる公開12週目(7月9日・10日)は、再び同週初登場の『インデペンデンス・デイ: リサージェンス』に1位に付かれ、更に順位を落として4位となったが、同週末の上位10作品で公開5週を越えているものは本作の他に『植物図鑑』(6週目)のみであった[138]。その後、予定通り7月15日に劇場上映は一斉終了となった。
中華人民共和国
中華人民共和国では、『疯狂动物城(Crazy Animal City)』のタイトルで公開され[76]、ハリウッド映画で中国において最も人気となった『ジュラシック・ワールド』(中国での総興収は2億2900万ドル)に並ぶという国内各メディアの予想を更に越える結果となった[139][140]。中国では劇場公開終了までの総興収が公開初日の62倍以上を記録し、直前に公開された『夏洛特烦恼』での最高記録61.9倍を上回った。アニメーション映画では『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』の53.1倍が最高記録だった[141]。公開初日の興収は『葉問3』に続き2位の340万ドルだったが、3日目までの累計は2380万ドルに達し、前後作を持たないアニメーション映画の開始3日間の興収としては史上最高記録となったほか、アニメーション映画全体およびIMAX方式のアニメーション映画としては、いずれにおいても『カンフー・パンダ3』に続き開始3日間の興収が国内史上2位を記録することとなった(本作のIMAX版は278スクリーン、300万ドルの興収を記録)[76][142]。
公開9日目となる土曜日には、アニメーション映画として国内史上最高単日興収となる2500万ドル(前の土曜日は1060万ドルだった)となり、早々に『ベイマックス』の最終興収を抜き、中国におけるディズニーアニメーション映画全体の興収トップに躍り出た[143][144]。2週目の週末興収は5650万ドルと前週に比べ139%増加し、10日目の時点で『カンフー・パンダ3』『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』に続き中国で公開されたアニメーション映画として史上3番目に1億ドルを突破した。これはアニメーション映画の週末興収としては単独1位となる数値である[145]。しかし、一部のメディアでは6000万ドル以上と報じている[146]。
3月中旬には『カンフー・パンダ3』とともに国内で公開された米国アニメーション映画の記録(2014年、2億8600万ドル)を突破した[147]。公開17日目となる3月27日には、国内で公開されたアニメーション映画全体として初めて総興収が2億ドルを突破し、全ディズニー映画としては『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』に続き2番目、ハリウッド作品としては6番目である[148][149]。
最終的には15億3000万元で『アベンジャーズ』の14億6400万元を抜き、全ディズニー映画で1位、また国内映画史上7位となった[150][151]。
その他海外
本作は、ウォルト・ディズニー・モーション・ピクチャーズが長期休み商戦を狙う目的から、各国で日にちをずらしながら公開された。2016年2月第2週には3カ国で封切りされ、最初の週末(公開1週目)である2月14日までに450万ドルの興行収入を上げた[152]。翌週には全体の36%にあたる22カ国を加え、2月21日(公開2週目)までに更に3120万ドルの興収を上げた[153]。更に翌週の2月第4週(公開3週目)では新たに公開された国はなかったが、2月28日までに3300万ドルの追加興収を上げた[154]。公開4週目となる3月第1週にはアメリカと中国を含む45カ国で新たに公開が始まり、週末までに6470万ドルの追加興収を上げ、当時の週間国際興収ランキングで香港映画の『葉問3』に続き2位に躍り出た[142]。なお、このうち330万ドルがIMAX方式公開分にあたる[142]。3月第3週には、前々週新規公開の45カ国だけで8930万ドルの追加興収を上げ、3月第2週比25%の増収となり、『葉問3』を抜いて1位となった[145]。翌週も同ランキングで1位を獲得したが[155]、その次の週には『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』に抜かれ、最終的に公開5週目と6週目の結果で全世界V2となった[148]。その後4月第1週(公開第8週)には北米外総興収が5億ドルを突破した[156]。
国ごとに公開1週目の結果はばらつきがあり、スペインでは310万ドル、ベルギーとデンマークでは合計170万ドルとなった。ベルギーでは、オープニング興収は全ディズニーアニメーション映画の中で最高額を記録した[152]。また、中国では2360万ドル、フランスでは870万ドル、ロシアでは790万ドル、ドイツでは680万ドル、香港では190万ドル、ポーランドでは160万ドルを記録し、以上の各国ではピクサーを除くディズニーアニメ映画としてオープニング収入最高記録を出した[153][142][148][157]。このほか、イギリスとアイルランドでは730万ドル、メキシコでは460万ドル、オーストラリアでは360万ドル、ブラジルでは260万ドル、イタリアでは長期休みに含まれない週末での封切りながら330万ドルとなり[153][155][148]、その内オーストラリア、スイス、ポルトガル、南アフリカ共和国では開始週の興収で国内1位を記録した[142]。
イギリスとアイルランドでは公開週から『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』『カンフー・パンダ3』との接戦を強いられる中で本作は579スクリーンで760万ドル(うち事前公開250万ドル)の興収を上げるも、『ジャスティスの誕生』と僅差でオープニング興収2位に付き、国内のウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオのオープニング興収の記録にも一歩及ばなかった[158][159]。2週目は『ジャスティスの誕生』のほか『イーグル・ジャンプ』に後塵を拝して3位となったが、それでも占有率24%を維持した[160]。
国別の興行収入では北米が最大(3億3720万ドル)となっており、その後に中国(2億3610万ドル)、更に日本(4840万ドル)、フランス(3600万ドル)、ロシア・CIS地域(3440万ドル)、イギリス(3360万ドル)、ドイツ(3220万ドル)、韓国(3110万ドル)が続く[161][162][163]。ロシアでは『アバター』の36億ルーブルに次ぎ23億ルーブルで全映画中史上2位となった[164]。日本ではV4で最長、ロシアとドイツではV3[161][165]、中国と韓国ではV2を記録した[161][166]。
批評
本作は多方面から評価を受けた[167][168][169][170]。ロッテントマトではコメントのうち肯定的評価が98%を占め、8.1/10点(加重平均)を獲得し、2016年の映画としては最高評価を受けた[171]。ロッテントマトの総評コメントでは「『ズートピア』は、技術面・ストーリー面ともに素晴らしくまとめられている。その華やかで技術の粋を集めたとも言える映像により描かれる内容は、重厚で現代情勢をよく捉え、観客に様々な思考を巡らせる。それでいてテンポの良さと高いコメディ性を有し、若い観客にもずっと楽しんでもらえる作品」[注 7]とされている[172]。これは原作映画としては史上2番目に高い評価(100%評価の『ピノキオ』に次ぎ『白雪姫』『101匹わんちゃん』と同率)で、全ディズニーアニメ映画の中でも8番目に位置する(『トイ・ストーリー』『トイ・ストーリー2』が100%、『トイ・ストーリー3』『ファインディング・ニモ』が99%、『インサイド・ヘッド』『カールじいさんの空飛ぶ家』が98%)。メタクリティックでは、78/100点(39レビューに基づく偏差値)を獲得し、総評では「概ねよい評価」[注 8]とされた[173][174]。「シネマスコア」では、A+からFの8段階評価のうち、2段目のA評価を与えられた[175]。
アメリカの有名批評家ネイル・ゲンツリンガーは、米ニューヨーク・タイムズ紙面上で「面白可笑しく、抜け目なく、いろいろなことを考えさせてくれる」[注 9]と評した[176]。大衆文化誌『ローリング・ストーン』では、本作のコメディ性と共に、公開時点で世を席巻する先入観の一つ、"外人嫌いを暗に肯定する政治的レトリック"の有害性を顕わにするそのメッセージ性を評した上で、「2016年で最も破壊的な映画かもしれない」[注 10]としている[174]。米エンタメ産業専門誌『バラエティ』のピーター・ディブルージは「スタジオの"強さ"を体現している」と述べた[177]。IGNの映画評論家エリック・ゴールドマンは本作を10点中9.0点(Amazing)と評価し、「『ズートピア』は、ディズニーが本気を出せば、現代と過去を如何にクールで自然に融合させられるかを象徴している。動物が立って歩いて、喋って、人間のように振る舞うのは使い古された技法だが、そこにユーモアと作品スタイル…あとは見入るように、含蓄たっぷりに時事情勢を描くそのテーマで、現代的な風を送り込んでいる」[注 11]と述べた[178]。
映画評論家のマーク・ケルモードは英オブザーバー紙面上にて、本作を「とても面白くて、とても素敵な"休暇のお楽しみ"」[注 12]としている。更に、「一見すると、脅かされる存在としての草食動物が隣人にさえも恐れを感じる傍らで、肉食動物はその本能を抑えているという話だが、実際は『信頼と寛容』と『混乱と先入観』の対立を描いた"寓話"で、さも完璧な交響曲のように上手くまとめられている。憎悪に溢れ先行きも見えない世界の中で、指揮棒を振りかざすが如く愛と多様性の存在を鼓舞激励し、歓迎している。美辞麗句を並べ立てているだけのように見えるかもしれないが、決してそんなことはない。劇中でキャラクターが見せるジョークの数々は面白いし、映像技術という観点からしても素晴らしい」[注 13]とし、最後は「正真正銘、どんな年齢でも楽しめる、ファミリーにぴったりな作品。最高!」[注 14]と締めている[179]。
英デイリーテレグラフ紙ではロビー・コリンが「ライオンはただヒツジにひれ伏し続けず、共に市政を司る座に就き、共生への歩みを進めた。これこそが夢にまで見た真の多様性であり、彼らの世界におけるその夢は叶った――はたしてそうだろうか。(中略)チャイナタウンのように人で溢れる街を考えて欲しい。本作は動物の世界を描いたアニメ映画としては精査に基づき『極めて現実に則った』世界を描いているのだ」[注 15]と記し、更に「『48時間』の中のニック・ノルティとエディ・マーフィのように、たとえジュディとニックが見た目に愛らしさを振りまき、陽気に動き回り、観客を引き込むダブル主人公の様相を呈していたとしても、声優のグッドウィンとベイトマンの並外れた演技力に勝るものはない。2人の演技は、まるでビバップの名曲のスナップとスイングを聞きながら映像を見ているような気分になれる」[注 16]とした。そして「この映画を見れば、我々も内にある中途半端な人種観念に気付けるはずだ――それを特に強く感じる場面がある。豚がチーターに向かって『森へ帰れ!』と言い放ったのに対し、チーターが『私はサバンナ出身よ!』とうんざりしながら返すシーンだ。こうは書いたが、物語そのものは決して堅苦しいものではなく、この映画の強みの一つは、多様性の価値という複雑で微妙なテーマを若い観衆にもわかるよう噛み砕いて示しているところだ――『実際は、素敵な言葉のように簡単に行くとは限らない』――これはジュディがラストシーンで語る台詞で、更に『現実は厳しい』と断言していた。そう、その通りなのだ。だからこそ、あらゆることがもっと面白く、ハチャメチャで、美しいと感じられるのだ。この感覚を味わいたければ、『ズートピア』が一番だ」[注 17]と締めている[180]。
このほか、同紙ではローザ・プリンスが登場人物のひとりであるジュディ・ホップスに着目し、ディズニープリンセスに代表されるようなディズニーアニメ作品に登場する女主人公のイメージに喜ばしい変化を与えたとし、ジュディは、ロマンスや家柄に注目されるようなキャラではなく、彼女が夢に見た職業「街に尽くす警察官」を見るべきという旨を述べた。また彼女は「本作は通常のディズニー映画に比べて女性の登場人物は少なく、せいぜい全人物の1/3程度。しかしジュディはそうした型を破った。白馬の王子様に助けてもらおうなんて思ってはおらず、むしろ自分が他人を助けることで忙しいのである。二児の母であり、ジュディの声を担当したジニファー・グッドウィンは『もし娘がいたら、ジュディを見本にさせたいくらい。あと、二人の息子にも彼女を見本にしてほしいわね』と語っている。(中略)もしかすると、今こそ女の子たちにはジュディの制服を買い与えて、お姫様ドレスなんて着せないようにした方がいいのかもしれない。もし反対されたらボゴ署長の言葉を思い出そう――『人生はミュージカル映画とは違うんだ!歌えば夢が叶う、そんな甘いもんじゃない。いい加減受け入れろ、ありのままに』――」[注 18]とも記した[181]。
米エンターテインメント誌『ハリウッド・リポーター』は、日本での大ヒットについて、強力な口コミ、字幕版と吹替版あるいは3D版と4DX版のいずれも観た観客が多いこと、そしてDream Amiによる主題歌を大きな要因として挙げている[182]。また、スタジオジブリのプロデューサー鈴木敏夫は、本作の高い映像技術やわかりやすいストーリー、奥深いメッセージ性等の総合的な観点から、「ディズニー映画の中でもずば抜けた傑作」と評している他、インタビューでは鑑賞直後すぐに宮崎駿の元へ「すごいの見ちゃった!」と報告しに行ったことも語られた[183]。
南京政治学院の教授である王伝宝は、中国人民軍機関誌『解放軍報』にて[184]、劇中の肉食動物と草食動物の役割の逆転を「子供でさえも理解できる常識がハリウッドによって真逆にされている」とし、本作はエンターテインメント(見えざる手)を用いた西洋的道徳とアメリカのプロパガンダの押しつけであると批難した[185][186]。
受賞歴
賞と結果の一覧 | |||||
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賞 | 式典日 | 部門 | 受賞者 | 結果 | 出典 |
ゴールデン・トレイラー・アワード | 2016年5月4日 | 楽曲TVスポット部門 [注 19] | "Try Everything Voice 3 Days ? IMAX" | ノミネート | [187] |
オリジナルTVスポット部門 [注 20] | "Oscar Review" | 受賞 | |||
劇場チェーン別上映前広告部門 [注 21] | "Popcorn Club" | ノミネート | |||
ティーン・チョイス・アワード | 2016年7月31日 | チョイス・ミュージック(TV/映画)[注 22] | 『トライ・エヴリシング』(シャキーラ) | ノミネート | [188] |
ハリウッド映画賞 | 2016年11月6日 | ハリウッド・アニメーション賞 [注 23] | 『ズートピア』 | 受賞 | [189] |
ハリウッドメディア音楽賞 | 2016年11月17日 | オリジナル音楽賞(アニメ映画) [注 24] | マイケル・ジアッチーノ | ノミネート | [190][191] |
歌曲賞(アニメ映画) [注 25] | 『トライ・エヴリシング』(シーア、スターゲイト) | ||||
英国アカデミー児童賞 | 2016年11月20日 | 長編作品部門 [192] | バイロン・ハワード、リッチ・ムーア、クラーク・スペンサー | 受賞 | [193][194] |
キッズ・ボート [注 26] | 『ズートピア』 | 受賞 | |||
ニューヨーク映画批評家協会賞 | 2016年12月1日 | アニメ映画賞 | 受賞 | [195] | |
ワシントンD.C.映画批評家協会賞 | 2016年12月5日 | 声優演技賞 [注 27] | ジェイソン・ベイトマン | ノミネート | [196] |
ジニファー・グッドウィン | ノミネート | ||||
長編アニメ賞 [注 28] | 『ズートピア』 | ノミネート | |||
アメリカン・フィルム・インスティチュート | 2016年12月8日 | 今年の映画トップ10 [注 29] | 受賞 | [197] | |
サンフランシスコ映画批評家協会賞 | 2016年12月11日 | 長編アニメ賞 [注 28] | ノミネート | [198][199] | |
トロント映画批評家協会賞 | 2016年12月11日 | アニメ映画賞 [注 30] | 受賞 | [200] | |
クリティクス・チョイス・アワード | 2016年12月11日 | アニメ映画賞 | 受賞 | [201] | |
サンディエゴ映画批評家協会賞 | 2016年12月12日 | アニメ映画賞 [注 30] | ノミネート | [202][203] | |
ダラス・フォートワース映画批評家協会賞 | 2016年12月13日 | 受賞 | [204] | ||
シカゴ映画批評家協会賞 | 2016年12月15日 | ノミネート | [205] | ||
セントルイス・ゲートウェイ映画批評家協会賞 | 2016年12月18日 | 受賞 | [206] | ||
EDA賞 | 2016年12月21日 | ジャレド・ブッシュ、バイロン・ハワード、リッチ・ムーア | 受賞 | [207][208] | |
女性キャラクター賞 [注 31] | ジニファー・グッドウィン | 受賞[補 16] | |||
フロリダ映画批評家協会賞 | 2016年12月23日 | アニメーション映画賞 [注 30] | 『ズートピア』 | 次点 | [209] |
オースティン映画批評家協会賞 | 2016年12月28日 | アニメ映画賞 [注 30] | ノミネート | [210][211] | |
オンライン映画批評家協会 | 2017年1月3日 | アニメ映画賞 | ノミネート | [212] | |
ヒューストン映画批評家協会賞 | 2017年1月6日 | 長編アニメ映画賞 [注 32] | ノミネート | [213][214] | |
ビレッジボイス映画投票 | 2017年1月6日 | アニメ映画賞[注 30] | 3位 | [215] | |
ゴールデングローブ賞 | 2017年1月8日 | 長編アニメ映画賞 [注 33] | 受賞 | [216] | |
ゴールデントマト賞 | 2017年1月12日 | ベスト・ワイド・リリース[注 34] | 受賞 | [217] | |
アニメ映画賞[注 35] | 受賞 | ||||
デンバー映画批評家協会賞 | 2017年1月16日 | アニメ映画賞 [注 30] | 受賞 | [218] | |
ピープルズ・チョイス・アワード | 2017年1月18日 | フェイバリット・ムービー [注 36] | ノミネート | [219] | |
フェイバリット・ファミリー・ムービー [注 37] | ノミネート | ||||
フェイバリット・ムービー・ボイス [注 38] | ジェイソン・ベイトマン | ノミネート | |||
ジニファー・グッドウィン | ノミネート | ||||
アメリカ映画編集者協会エディー賞 | 2017年1月27日 | 長編アニメ映画編集賞 [注 39] | ジェレミー・ミルトン、ファビエンヌ・ロウリー | 受賞 | [220] |
アメリカ映像製作者組合賞 | 2017年1月28日 | アニメ映画賞 [注 40] | クラーク・スペンサー | 受賞 | [221] |
アニー賞 | 2017年2月4日 | 長編アニメ作品賞 [注 28] | 『ズートピア』 | 受賞 | [222][223] |
特別賞:長編アニメにおけるアニメーション効果 [注 41] | トム・ウィックス、ヘンリック・フェルト、ピョン・ドンジュ、ラッタニン・シリナルエマーン、サム・クロック | ノミネート | |||
特別賞:長編アニメにおけるキャラクターアニメーション [注 42] | デイヴ・ハーディン | ノミネート | |||
チャド・セラーズ | ノミネート | ||||
特別賞:長編アニメにおけるキャラクターデザイン [注 43] | コリー・ロフティス | 受賞 | |||
特別賞:長編アニメ監督 [注 44] | バイロン・ハワード、リッチ・ムーア | 受賞 | |||
特別賞:長編アニメにおける製作設計 [注 45] | デイヴィッド・ゲッツ、マティアス・レクナー | ノミネート | |||
特別賞:長編アニメにおける脚本構成 [注 46] | ディーン・ウェリンズ | 受賞 | |||
特別賞:長編アニメ声優 [注 47] | ジェイソン・ベイトマン | 受賞[補 17] | |||
特別賞:長編アニメにおける構想 [注 48] | ジャレド・ブッシュ、フィル・ジョンストン | 受賞 | |||
特別賞:長編アニメにおける編集 [注 49] | ファビエンヌ・ロウリー、ジェレミー・ミルトン | ノミネート | |||
AARP大人のための映画賞 | 2017年2月6日 | 大人になりきれない人のための作品賞 [注 50] | 『ズートピア』 | ノミネート | [224] |
視覚効果協会賞 | 2017年2月7日 | 長編アニメ視覚効果賞 [注 51] | デイヴィッド・ゲッツ、スコット・カーサベッジ、エメスト・J・ペティ、ブラッドフォード・S・サイモンセン | ノミネート | [225] |
長編アニメ効果シミュレーション賞 [注 52] | ニコラス・バーカード、モー・エル=アリ、クラウディア・チュン・サニー、トム・ウィックス | ノミネート | |||
アフリカ系アメリカ人映画批評家協会賞 | 2017年2月8日 | アニメ映画賞[注 30] | 『ズートピア』 | 受賞 | [226] |
英国アカデミー賞 | 2017年2月12日 | バイロン・ハワード、リッチ・ムーア | ノミネート | [227] | |
ブラックリール賞 | 2017年2月16日 | 声優演技賞 [注 53] | イドリス・エルバ | ノミネート | [228] |
グラミー賞 | 2017年2月17日 | 映像メディア楽曲賞 [注 54] | 『トライ・エヴリシング』(シーア、スターゲイト) | ノミネート | [229] |
映画音声協会賞 | 2017年2月18日 | 映画音声ミキシング賞(アニメーション)[注 55] | スコット・カーティス、デイヴィッド・E・フラー、ガブリエル・ガイ、ジョエル・イワタキ、ポール・マクグラス | ノミネート | [230] |
サテライト賞 | 2017年2月19日 | アニメ/メディアミックス映画賞 [注 56] | 『ズートピア』 | ノミネート | [231] |
国際映画音楽批評家協会 | 2017年2月23日 | アニメ映画音楽賞 [注 57] | マイケル・ジアッチーノ | ノミネート | [232] |
アカデミー賞 | 2017年2月26日 | 長編アニメ映画賞 | バイロン・ハワード、リッチ・ムーア、クラークスペンサー | 受賞 | [233][234] |
日本アカデミー賞 | 2017年3月3日 | 優秀外国作品賞 | 『ズートピア』 | ノミネート | [235][236] |
キッズ・チョイス・アワード | 2017年3月11日 | フェイバリット・アニメーテッド・ムービー[注 58] | 『ズートピア』 | ノミネート | [237] |
フェイバリット・フレネミーズ[注 59] | ジェイソン・ベイトマン、ジニファー・グッドウィン | 受賞 | |||
アメリカSFファンタジー作家協会 | 2017年5月20日 | レイ・ブラッドベリ賞 | ジャレド・ブッシュ、フィル・ジョンストン、バイロン・ハワード | ノミネート | [238] |
サターン賞 | 2017年6月28日 | アニメ映画賞 [注 30] | 『ズートピア』 | ノミネート | [239] |
訴訟問題
2017年3月、「マイノリティ・リポート」や「トータル・リコール」などの作品で知られる脚本家ゲイリー・ゴールドマン(英語版)と彼の会社であるエスペランデ・プロダクションズがウォルト・ディズニー・カンパニーを「ズートピア」が著作権侵害であり映画の上映の停止や損害賠償を訴訟した。2000年と2009年に二度企画されていた「ルーニー」という作品は、擬人化された動物の社会「ズートピア」を舞台にしていたとされ、企画をゴールドマンがディズニー側に持ち込んでいた[240]。
2017年11月、判事マイケル・W・フィッツジェラルドはゴールドマン側の主張を、著作権侵害として立件するには類似性や証拠が不十分だとして棄却し[241]、エスペランデ・プロダクションズはアメリカ合衆国第9巡回区控訴裁判所に訴訟を持ち込んだが2019年4月に棄却された[242]。
関連書籍
日本語の主要書籍のみ掲載。特記が無い限り全て2016年刊行。
- ディズニーアニメ小説版 108 ズートピア
- 本編の内容を小説化したもの。スーザン・フランシス著、橘高弓枝訳、偕成社刊、4月19日発売。B6判、ペーパーバック、全222頁。ISBN 978-4-03-792080-7。
- DISNEY ズートピア ビジュアルガイド
- キャラクター、ストーリーを詳細に解説したもの。KADOKAWA刊、4月21日発売。AB判、全96頁。ISBN 978-4-04-104369-1。
- 角川アニメ絵本 ズートピア
- 幼児向けに翻案し、本編のカットを用いて絵本にしたもの。KADOKAWA刊、4月26日発売。AB判、全89頁。ISBN 978-4-04-104139-0。
- ジ・アート・オブ・ズートピア
- 設定画集。英語書籍'The Art of Zootopia'の全編を日本語に翻訳したもの。ジェシカ・ジュリアス著、徳間書店刊、6月21日発売。A3変判、ハードカバー、全157頁。ISBN 978-4-19-864164-1。
- CD付ディズニーの英語 コレクション14 ズートピア
- 本編の内容を平易な英語で解説した英語学習本。石原真弓監修、KADOKAWA刊、7月14日発売。A5判、全192頁。ISBN 978-4-04-601436-8。
- 角川アニメまんが ズートピア(上/下)
- 本編のカットを利用して漫画にし、MovieNEX版Blu-rayのチャプターに沿って節分けしたもの。角川書店刊、7月30日発売。全191頁。ISBN 978-4-04-104690-6 / ISBN 978-4-04-104691-3。
- ジュディとニックのズートピア警察署事件簿 盗まれたくさ~いチーズの謎
- 児童向けスピンオフ小説。英語書籍'Zootopia: The Stinky Cheese Caper (And Other Cases from the ZPD Files)'を日本語に翻訳したもの。本編直後の時間軸でジュディとニックが捜査した事件に関する短編を4話収録。グレッグ・トライン著、おおつかのりこ訳、講談社刊、9月29日発売。B6判、全191頁。ISBN 978-4-06-199585-7。
- 英語シナリオで楽しむ[ズートピア]
- 英語版本編の全セリフとその日本語対訳、語彙などを紹介したもの。高橋基治監修、学研プラス刊、12月27日発売。A5判、全251頁。ISBN 978-4-05-304597-3。
パロディ・オマージュなど
- ガゼルのデザインは構想段階ではヒップラインが細かったが、声優を務めたシャキーラ本人の希望でヒップを大きくした[243]。
- ZPD署長室にある壁掛けカレンダーの写真は『ベイマックス』の舞台サンフランソウキョウのシルエットである[244]。
- ニックが街中ですれ違ったカバが押しているベビーカーにミッキーマウスのぬいぐるみが置かれている[244]。
- ウィーゼルトンが道端で売っている海賊版DVDは全てディズニー映画のパロディで、その中には当時未公開の『モアナと伝説の海』『Gigantic』[注 60]も含まれている[246]。
テーマパーク
- 東京ディズニーランドでは、スペシャルイベント「うさたま大脱走!」を始めいくつものショーやパレードにジュディとニックが出演しており、台詞を発する場合の声優は映画版に引き続き上戸と森川が担当している。
テレビ放送
回数 | 放送局 | 放送枠 | 放送形態 | 放送日 | 放送時間 | 放送分数 | 吹替版 | 視聴率 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 日本テレビ | 金曜ロードSHOW! | ノーカット | 2018年6月15日 | 21:00 - 23:04 | 124分 | 劇場公開版 | 10.3% | |
2 | 2023年12月8日 | 6.3% |
- 視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区・世帯・リアルタイム。
脚注
出典
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補足
- ^ 日本語吹替では「動物」とされているが、英語音声ではほぼ一貫して「哺乳類(Manmmal)」とされる。
- ^ 音声としては、英語版の冒頭でスチューが警察官になりたいというジュディを諫めるシーンでこの名前がでてくる。
- ^ 英語版ではreal cop(本物の警官)に対してmeter maid(直訳:パーキングメーターの世話係)と呼ばれており、ジュディは本物の警察官として扱われていない。日本に交通巡視員制度があったのと同様、アメリカの警察でも古くから通常の警察官とは別に駐車違反取締のみを行う女性職員を採用しており、その業務に当たる女性がmeter maidと呼ばれている。ジュディが劇中で使用する三輪車も駐車監視員の象徴の一つ。
- ^ 本人が書いた納税申告書や、警察学校の卒業式で受け取るバッジなどにはNicholas P. Wildeと記されている。音声では英語版でジュニアスカウトの誓いを述べる時などに本名を言う。劇中でミドルネームは"P"とのみ表記されていたが、バイロン・ハワードはファンからの質問に対して、スター・トレックのジェームズ・タイベリアス・カークに由来する"Piberius(パイベリアス)"と答えている。
- ^ ジュディがニックの脱税を伝えるシーンで、日本語吹替版では「12歳から20年として…」と言っていたが、英語版では"...since you were twelve, that's two decades!"と言っている。
- ^ 身長と体重は警察の応募用紙に、住所は納税申告書にそれぞれ記載がある。
- ^ ベルウェザー本人曰く「市長が冗談で付けたあだ名」。「クサイウェザー」は英語では"Smellwether"、日本語字幕版では「フンウェザー」、「ライオナラ市長」は、英語では"Lionfart"、日本語字幕版では「ライオナラハート」とされた。
- ^ 監督のツイートから。
- ^ 日本語字幕版では「陸運局」の職員。モデルとなったアメリカのDMVでも日本の陸運局の一部と免許試験場の業務を一緒に行っている。また、彼以外の職員も全てナマケモノとなっているが、DMVの事務手続きが異常に時間がかかることに対する風刺である。
- ^ 英語版ではニックはフラッシュのことを'pal'と称している。
- ^ 原語版ではこう呼び間違えられるが、日本語吹き替え版では「ウイルスタウン」と呼び間違えられる。
- ^ 日本語吹替の山路和弘は、アル・パチーノ演じる息子のマイケル・コルレオーネの吹替を担当していた。
- ^ 北米では一般的に6月から9月が夏休みとなり、日本でいう春休みのような年度間の長期休みを兼ねる。
- ^ 後に同年6月18日・19日の『ファインディング・ドリー』に抜かれる。
- ^ 興収と動員数で順位が違うのは『植物図鑑』『名探偵コナン』が2D版のみの公開に対し、本作は2Dより料金の高い3D/4DX/MX4D版も公開されているため。『デッドプール』は前述4種に加えIMAX版も公開され、またR15+指定のため、割引料金での観客数が相対的に減少し、動員数に比べて興収が高くなる。
- ^ 『モアナと伝説の海』のアウリイ・クラヴァーリョと同率1位
- ^ 『モアナと伝説の海』のアウリイ・クラヴァーリョと同率1位
- ^ 原文: precinct 1, city center(直訳すると「シティ・センター管轄の第1分署」ということになるが、precinctとは警察管区(≒日本における警察署)のことを指し、日本の警察における「分署」とは意味が異なる。)
- ^ 原文 : "Jude the dude"
- ^ 原文 : "Flash, Flash, hundred yard dash!"
- ^ 原文: The most feared crime boss in Tundratown
- ^ 原文 : "ungloved trunk" 日本語字幕版では「素鼻(=素手+鼻)」と表記。
- ^ 原文 : "crazy neighbors"
- ^ 原文 : The brilliantly well-rounded Zootopia offers a thoughtful, inclusive message that's as rich and timely as its sumptuously state-of-the-art animation – all while remaining fast and funny enough to keep younger viewers entertained.
- ^ 原文 : generally favorable reviews.
- ^ 原文 : "funny, smart, thought-provoking.
- ^ 原文 : may be the most subversive movie of 2016
- ^ 原文 : Zootopia is a wonderful example of how Disney, at its best, can mix its past and present together in a very cool, compelling way. It takes the classic animation trope of animals walking, talking and acting like humans, but gives it a modern spin both in terms of its humor and animation style ... and also in its themes, which are meaningful and fascinatingly topical.
- ^ 原文 : very funny, and very likable holiday treat.
- ^ 原文 : The ensuing drama is nominally a tale of predators succumbing to their animal instincts while frightened prey fear their neighbours. In fact, it's a delightfully well-orchestrated parable about trust and tolerance versus panic and prejudice. An encouragingly upbeat celebration of love and diversity in times of hate and uncertainty. If that all sounds overly on-message, then fear not – the jokes are funny, the characters engaging, and the animation packed with delicious visual detail,
- ^ 原文 : this is proper family fun with genuine cross-generational appeal. Hooray!
- ^ 原文 : The lion doesn't just lie down with the lamb, they run for City Hall on a joint ticket. It's the diversity dream come true. Or is it? […] Think Busytown by way of Chinatown. It's almost certain to be the most existentially probing talking animal cartoon of the year.
- ^ 原文 : Like Nick Nolte and Eddie Murphy in 48 Hrs., albeit considerably cuter, Judy and Nick make a hilariously strained but effective double act – not least thanks to Goodwin and Bateman's tremendous vocal work, which trips along with the effortless swing and snap of great bebop.
- ^ 原文 : You could read a blunt racial equivalence into this – and there are moments in which the film openly invites us to do so. (“Go back to the forest, predator!” a sheep shouts at a cheetah. “I’m from the savannah,” comes the weary reply.) But the allegory is far from rigid, and one of the film’s great strengths is the trust it puts in its young audience to decode its complex, nuanced message about the value of difference. “Turns out real life’s a little bit more complicated than a slogan on a bumper sticker,” Judy sighs after a few days on the beat. “Real life is messy.” Yes it is – and all the more funny, chaotic and beautiful because of it. So too, in the best possible way, is this film.
- ^ 原文 : Zootropolis has a few more women than most Disney movies - around a third of the cast. But it is Judy who breaks the mould; a character who has no interest in being saved by Prince Charming, she’s too busy saving everyone else. As Ginnifer Goodwin, the actress who voices Judy and has two sons, has said: “If I had little girls, I would kill for Judy Hopps to be their role model. And I would kill for Judy to be my boys’ role model, too.” (...) So perhaps it is time to get our daughters a Judy Hopps cop costume and tell them to put away their princess dress. If they protest, we can remind them of the advice given by Judy’s boss, Chief Bogo: “Life isn’t some cartoon musical where you sing a little song and your insipid dreams magically come true. So Let It Go.”
- ^ Best Original Score TV Spot
- ^ Most Original TV Spot
- ^ Best Pre-Show Theatrical Advertising for a Brand
- ^ Choice Music: Song from a Movie or TV Show
- ^ Hollywood Animation Award
- ^ Best Original Score ? Animated Film
- ^ Best Song ? Animated Film
- ^ BAFTA Kids' Vote
- ^ Best Voice Performance
- ^ a b c Best Animated Feature
- ^ Top Ten Films of The Year
- ^ a b c d e f g h Best Animated Film
- ^ Best Animated Female
- ^ Best Animated Feature Film
- ^ Best Animated Feature Film
- ^ Best Wide Release 2016
- ^ Best Animated Movie 2016
- ^ Favorite Movie
- ^ Favorite Family Movie
- ^ Favorite Animated Movie Voice
- ^ Best Edited Animated Feature Film
- ^ Best Animated Motion Picture
- ^ Outstanding Achievement, Animated Effects in an Animated Production
- ^ Outstanding Achievement, Character Animation in a Feature Production
- ^ Outstanding Achievement, Character Design in an Animated Feature Production
- ^ Outstanding Achievement, Directing in an Animated Feature Production
- ^ Outstanding Achievement, Production Design in an Animated Feature Production
- ^ Outstanding Achievement, Storyboarding in an Animated Feature Production
- ^ Outstanding Achievement, Voice Acting in an Animated Feature Production
- ^ Outstanding Achievement, Writing in an Animated Feature Production
- ^ Outstanding Achievement, Editorial in an Animated Feature Production
- ^ Best Movie for Grownups who Refuse to Grow Up
- ^ Outstanding Visual Effects in an Animated Feature
- ^ Outstanding Effects Simulations in an Animated Feature
- ^ Outstanding Voice Performance
- ^ Best Song Written for Visual Media
- ^ Outstanding Achievement in Sound Mixing for a Motion Picture – Animated
- ^ Best Animated or Mixed Media Feature
- ^ Best Original Score For An Animated Film
- ^ Favorite Animated Movie
- ^ Favorite Frenemies
- ^ 『Gigantic(ジャイガンティック)』は童話「ジャックと豆の木」をモデルとした作品で、2020年公開予定とされていたが、2017年に製作を中止することが発表された[245]。
外部リンク
- アニメ作品 す
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- キツネを主人公にした物語
- ウサギを主人公にした物語
- 動物を主人公にしたアニメ映画
- カワウソを題材とした映画作品
- 擬人化されたキャラクターを題材とした映画作品
- アメリカ合衆国の3D映画作品
- IMAX映画
- ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの映画作品
- ディズニーのアニメ映画
- アニー賞作品賞受賞作品
- アカデミー長編アニメ映画賞受賞作
- ゴールデングローブ賞アニメ映画賞受賞作
- マイケル・ジアッチーノの作曲映画
- 上戸彩
- 架空の養成学校を舞台とした作品