コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ジョン・ラセター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジョン・ラセター
John Lasseter
John Lasseter
本名 John Alan Lasseter
生年月日 (1957-01-12) 1957年1月12日(67歳)
出生地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
カリフォルニア州ハリウッド
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
職業 映画監督脚本家映画プロデューサーアニメーター
ジャンル アニメーション
主な作品
トイ・ストーリー』シリーズ
バグズ・ライフ
カーズ』シリーズ
受賞
アカデミー賞
特別業績賞
1995年トイ・ストーリー
ヴェネツィア国際映画祭
栄誉金獅子賞
2009年
ベルリン国際映画祭
銀熊賞(最優秀短編映画賞)
1987年ルクソーJr.
ロサンゼルス映画批評家協会賞
アニメ映画賞
1995年トイ・ストーリー
1998年バグズ・ライフ
その他の賞
アニー賞
ウィンザー・マッケイ賞(功労賞)
2008年(第36回)
テンプレートを表示

ジョン・アラン・ラセターJohn Alan Lasseter1957年1月12日 - )は、アメリカ合衆国カリフォルニア州ハリウッド出身の映画監督プロデューサー、アニメーション作家。

かつてウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオピクサー・アニメーション・スタジオ両スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)を兼任した。またディズニーパーク等の企画開発を行うウォルト・ディズニー・イマジニアリングのプリンシパル・クリエイティブ・アドバイザーも務めていた。2019年よりスカイダンス・アニメーションのトップに就任[1]

来歴

[編集]

高校生の頃からアニメーターを目指し、1979年カリフォルニア芸術大学の映像学部("Film/Video"科)アニメ課程("Character Animation")の第一期生として入学、アニメーションを学び美術学士号("Bachelor of Fine Arts")を取得。在学中、1979年制作の"Lady and the Lamp"と1980年制作の"Nightmare"で"Student Academy Award"(学生のための映画賞)を受賞している。また、後にピクサー作品の制作に携わる、ジョー・ランフトブラッド・バードも同大学出身でラセターとはこのころから交友がある。在学中は並行してディズニー作品にかかわり、『きつねと猟犬』や『ミッキーのクリスマスキャロル』の作画をしている。

卒業後ディズニーに入社した彼は、ディズニーが製作したSF映画『トロン』を見てCGアニメーションの可能性を感じ、グレン・キーンと共に手描きのキャラクターとCGの背景を合成した実験作『Wild Things』を制作、さらにトマス・M・ディッシュの『いさましいちびのトースター』のCGアニメ映画化の企画を進めるが、逆にCGに仕事を奪われることに危機感を抱いていた社内の反発によりCGプロジェクトは中止(もうひとつの企画『かいじゅうたちのいるところ』のテスト映像を作る際に多額の資金を投入してしまったからだという話もある)、ラセターも解雇された。

1984年、CGアニメ短編作品を準備していたエドウィン・キャットマルと出会い、ルーカスフィルムの子会社であるインダストリアル・ライト&マジック(ILM)に入社、コンピュータ部門(コンピュータ部門には当時3つの部署があったが、そのうちの1つのピクサーの前身団体となる部署)で『アンドレとウォーリーB.の冒険』にアニメーターとして参加している。また『ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎』でのステンドグラスの騎士の映像制作にも参加している。その後、所属する部署がスティーブ・ジョブズに売却され、1986年独立企業としてピクサーが創立される。そこで3DCGアニメソフトの開発や短編作品の製作を始める。同年、ピクサーでの初作品でまたラセターの初監督作品である『ルクソーJr.』をSIGGRAPHにて公開、反響を呼ぶ。1988年、『ティン・トイ』で3DCG作品として初めてアカデミー短編アニメ賞を受賞。

1991年、ピクサーは従来の主力部門であったシステムやコンピュータの販売部門を縮小し、CG作品の製作に力を入れ始め、長編CG作品の作成が決定し、ラセターが今までの実績を踏まえて監督に任命される。1995年、自身の長編映画デビュー作となった『トイ・ストーリー』がディズニーの配給で公開され、大ヒット作品となる[2]。また長編フルCGの作品を生み出した製作チーム統括の業績に対し、ラセターはアカデミー特別業績賞を受賞した。その後もピクサー作品の多くで監督・製作総指揮を務めている。

2006年5月5日ウォルト・ディズニー・カンパニーによるピクサー買収により、ラセターはピクサー・アニメーション・スタジオとウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任し、両社のアニメーション作品において、最高責任者としてプロデュースを任される。またウォルト・ディズニー・イマジニアリングのプリンシパル・クリエイティブ・アドバイザーとして、ディズニーパーク等の企画開発にも携わる。

2009年1月30日に開催された、第36回アニー賞において、生涯功労賞にあたるウィンザー・マッケイ賞が授与された。

2009年にはヴェネツィア国際映画祭栄誉金獅子賞を受賞した。

2017年11月21日、ピクサー社内で女性スタッフに不適切なハグをするなどのセクハラ行為が発覚[3]。それが原因となり、半年間休業することが公表された[4]。翌年6月8日、年末に退社することがディズニーより発表された[5]。2019年1月9日、スカイダンス・メディアが2017年に設立したアニメーション部門のトップに、ラセターの就任が発表された[6]

人物

[編集]
  • 影響を受けたクリエイターとしてウォルト・ディズニーフランク・キャプラバスター・キートンチャック・ジョーンズ宮崎駿を挙げている[7]
  • 1980年代から宮崎駿との交流があり、同時に宮崎駿の大ファン。最初に会ったのは映画『リトル・ニモ』の企画時で、当時は互いに印象はなかったが、高畑勲らが持っていった映画『ルパン三世 カリオストロの城』のビデオを見て、その作画に驚いて繰り返し鑑賞。1987年の初来日時にはスタジオジブリを訪問し、『となりのトトロ』製作中に「ねこバス」の設定に大きな衝撃を受け、ジブリ作品の中でも同作がお気に入りだと言う。その縁でジブリとピクサーは会社ぐるみの交流がある。また宮崎駿監督の作品『千と千尋の神隠し』のアメリカでの公開に際し、宣伝活動、翻訳総指揮を行っている。宮崎駿へのアカデミー名誉賞授賞式では、プレゼンターとしてスピーチを行った。2003年にはスタジオジブリにより、ラセターと宮崎の交友関係を取り上げたドキュメンタリー『ラセターさん、ありがとう』が制作されている。
  • 彼のディズニーでの最初の仕事は、ディズニーランドジャングルクルーズのスキッパー(船頭兼案内役)をやったこと。
  • BSDデーモンのうち、FreeBSDのマスコット画像の原型などとして最も親しまれているバリエーションである「4.3BSD Daemon[8](1988年3月22日)[要出典]と「4.4BSD Daemon[9]」の原画を描いた。
  • カリフォルニア芸術大学の在学中の同期には映画監督ティム・バートンがいる。
  • 彼が監督を務めるトイ・ストーリーシリーズに出て来る「バズ・ライトイヤー」は彼本人の顔を元に作られている。
  • 「魔法の映画はこうして生まれる〜ジョン・ラセターとディズニー・アニメーション」(NHK2014年11月24日放送)によれば、「ヒット映画三原則」は次の通り。
    • 観客が夢中になるような予測のつかない物語を作り上げる
    • 登場人物が魅力的である 悪役であっても魅力的に
    • ストーリーもキャラクターにも真実味があること
  • ナンシー夫人との間に5人の子どもがいて、カリフォルニア州ソノマの広大な自宅にはぶどう畑があり、ワインを作っている。敷地内には自走可能な蒸気機関車があり、ラセター自身が運転している(「魔法の映画はこうして生まれる」)。

作品

[編集]

長編作品

[編集]
タイトル 役職
1981 きつねと猟犬
The Fox and the Hound
アニメーション(アンクレジット)
1985 ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎
Young Sherlock Holmes
コンピューターアニメーション: ILM
1987 ブレイブ・リトル・トースター
The Brave Little Toaster
ストーリー・アーティスト
1989 リトル・マーメイド
The Little Mermaid
製作総指揮: スペシャル3Dエディション
1991 美女と野獣
Beauty and the Beast
1992 紅の豚
Porco Rosso
エグゼクティブ・クリエイティブコンサルタント: アメリカ公開版
1994 ライオン・キング
The Lion King
製作総指揮: スペシャル3Dエディション
1995 トイ・ストーリー
Toy Story
監督/ストーリー原案
/モデリング & アニメーションシステム開発
1998 バグズ・ライフ
A Bug's Life
監督/ストーリー原案
1999 トイ・ストーリー2
Toy Story 2
2000 スペース・レンジャー バズ・ライトイヤー 帝王ザーグを倒せ!英語版
Buzz Lightyear of Star Command : The Adventure Begins
キャラクター原案
2001 千と千尋の神隠し
Spirited Away
製作総指揮: アメリカ公開版
モンスターズ・インク
Monsters, Inc.
製作総指揮
2003 ファインディング・ニモ
Finding Nemo
2004 Mr.インクレディブル
The Incredibles
ハウルの動く城
Howl's Moving Castle
製作総指揮: アメリカ公開版
2006 カーズ
Cars
監督/ストーリー原案/脚本
ゲド戦記
Tales from Earthsea
製作総指揮: アメリカ公開版[10]
2007 ルイスと未来泥棒
Meet the Robinsons
製作総指揮
レミーのおいしいレストラン
Ratatouille
2008 WALL・E/ウォーリー
WALL-E
崖の上のポニョ
Ponyo
製作総指揮: アメリカ版監督/英語字幕製作
ティンカー・ベル
Tinker Bell
製作総指揮
ボルト
Bolt
2009 カールじいさんの空飛ぶ家
Up
製作総指揮/senior creative team: Pixar
ティンカー・ベルと月の石
Tinker Bell and the Lost Treasure
製作総指揮
プリンセスと魔法のキス
The Princess and the Frog
2010 トイ・ストーリー3
Toy Story 3
ストーリー原案/製作総指揮/senior creative team: Pixar
ティンカー・ベルと妖精の家
Tinker Bell and the Great Fairy Rescue
製作総指揮
塔の上のラプンツェル
Tangled
2011 カーズ2
Cars 2
監督/ストーリー原案/キャラクター原案
くまのプーさん
Winnie the Pooh
製作総指揮
ザ・マペッツ
The Muppets
クリエイティブ・コンサルタント[11]
2012 メリダとおそろしの森
Brave
製作総指揮
ティンカー・ベルと輝く羽の秘密
Secret of the Wings
シュガー・ラッシュ
Wreck-It Ralph
2013 モンスターズ・ユニバーシティ
Monsters University
プレーンズ
Planes
ストーリー原案/製作総指揮
アナと雪の女王
Frozen
製作総指揮
2014 ティンカー・ベルとネバーランドの海賊船
The Pirate Fairy
ストーリー原案/製作総指揮
プレーンズ2/ファイアー&レスキュー
Planes: Fire & Rescue
製作総指揮
ベイマックス
Big Hero 6
2015 ティンカー・ベルと流れ星の伝説
Tinker Bell and the Legend of the NeverBeast
インサイド・ヘッド
Inside Out
アーロと少年
The Good Dinosaur
2016 ズートピア
Zootopia
ファインディング・ドリー
Finding Dory
モアナと伝説の海
Moana
2017 リメンバー・ミー
Coco
2019 トイ・ストーリー4
Toy Story 4
製作総指揮/ストーリー原案をセクハラ行為により降板
2022 ラック~幸運をさがす旅~英語版
Luck
製作総指揮
エリアンと魔法の絆
Spellbound

短編作品

[編集]
題名 役職
1983 ミッキーのクリスマスキャロル
Mickey's Christmas Carol
アニメーター
1984 アンドレとウォーリーB.の冒険
The Adventures of André and Wally B.
キャラクターデザイン、
and animation, models: André/Wally B.
1986 ルクソーJr.
Luxo Jr.
脚本、監督、プロデューサー、
models, animation
1987 レッズ・ドリーム
Red's Dream
脚本、監督、アニメーター
1988 ティン・トイ
Tin Toy
脚本、監督、アニメーター、モデラー
1989 ニックナック
Knick Knack
脚本、監督
1997 ゲーリーじいさんのチェス
Geri's Game
製作総指揮
2000 フォー・ザ・バーズ
For the Birds
2002 マイクとサリーの新車でGO!
Mike's New Car
2003 素晴らしきサンゴ礁
Exploring the Reef
バウンディン
Boundin'
2005 ジャック・ジャック・アタック!
Jack-Jack Attack
ワンマンバンド
One Man Band
2006 メーターと恐怖の火の玉
Mater and the Ghostlight
ストーリー原案, 監督
リフテッド
Lifted
製作総指揮
2007 グーフィーのホームシアター
How to Hook Up Your Home Theater
ユア・フレンド・ザ・ラット(仮名・原題)
Your Friend the Rat
2008 マジシャン・プレスト
Presto
グラゴーズ・ゲスト
Glago's Guest
BURN・E/バーニー
BURN-E
カーズトゥーン メーターの世界つくり話
Cars Toons
監督, 製作総指揮
2009 ライノ!
Super Rhino
製作総指揮
晴れ ときどき くもり
Partly Cloudy
ダグの特別な一日
Dug's Special Mission
ウェイン&ラニー クリスマスを守れ!
Prep & Landing
2010 デイ&ナイト
Day & Night
ウェイン&ラニー 秘密の指令
Prep & Landing: Operation: Secret Santa
2011
Prep & Landing: Naughty vs. Nice[12]
月と少年
La Luna
ネッシーのなみだ
The Ballad of Nessie
ハワイアン・バケーション
Hawaiian Vacation

Pixie Hollow Games
ニセものバズがやって来た
Small Fry
ストーリー制作/製作総指揮
2012 ラプンツェルのウェディング
Tangled Ever After
製作総指揮
レックスはお風呂の王様
Partysaurus Rex
ストーリー制作/製作総指揮
紙ひこうき
Paperman
製作総指揮
モルデューの伝説
The Legend of Mor'du
2013 ブルー・アンブレラ
The Blue Umbrella
パーティー・セントラル(仮名・原題)
Party Central
トイ・ストーリー・オブ・テラー!
Toy Story of Terror!

Pixie Hollow Bake Off
ミッキーのミニー救出大作戦
Get a Horse!
2014
Planes: Vitaminamulch: Air Spectacular
愛犬とごちそう
Feast[13]
トイ・ストーリー 謎の恐竜ワールド
Toy Story That Time Forgot
2015 アナと雪の女王 エルサのサプライズ
Frozen Fever[14]
LAVA 南の島のラブソング
Lava[15]

出演作品

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ セクハラで辞任のジョン・ラセター氏、スカイダンス・アニメーションのトップに就任”. 映画.com. 株式会社エイガ・ドット・コム (2019年1月12日). 2019年1月24日閲覧。
  2. ^ 「トイ・ストーリー」シリーズ全4作解説 ネタバレあらすじ、日本語吹替版声優、興行収入ランキング 【金曜ロードショー「トイ・ストーリー3&4」連続放送記念】”. 映画.com (2022年6月17日). 2022年6月21日閲覧。
  3. ^ セクハラプロデューサーに反対! エマ・トンプソン、アニメ映画を降板 - Peachy - ライブドアニュース
  4. ^ ディズニー/ピクサーの重役ジョン・ラセター、セクハラで半年間休業へ シネマカフェ 2017年11月22日
  5. ^ “米ディズニー、アニメ部門のトップが辞任 不適切なスキンシップで”. 日本経済新聞. (2018年6月9日8時58分). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31576990Z00C18A6000000/ 2018年6月9日閲覧。 
  6. ^ Tadashi Sudo (2019年1月10日). “ジョン・ラセター 設立1年のスカイダンス・アニメーションのトップに就任”. アニメーションビジネス・ジャーナル. 2020年8月2日閲覧。
  7. ^ ピクサー映画が世界中でヒットする理由 映画.com 2003年12月1日更新
  8. ^ 4.3BSD Daemon
  9. ^ 4.4BSD Daemon
  10. ^ Honeycutt, Kirk (October 14, 2010). “Tales From Earthsea – Film Review”. The Hollywood Reporter. December 27, 2013閲覧。
  11. ^ Kit, Borys (October 14, 2010). “Disney Picks Pixar Brains for Muppets Movie”. The Hollywood Reporter. November 24, 2011閲覧。
  12. ^ "PREP & LANDING: NAUGHTY VS. NICE," PRODUCED BY WALT DISNEY ANIMATION STUDIOS, AIRS MONDAY, DECEMBER 5 ON THE ABC TELEVISION NETWORK”. ABC Medianet. 2011年11月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年11月12日閲覧。
  13. ^ Walt Disney Animation Studios' 'Feast' to Premiere at the Annecy International Animated Film Festival”. Disney Post (24 April 2014). 24 April 2014閲覧。
  14. ^ Graser, Marc (September 2, 2014). “‘Frozen’ Characters to Return in ‘Frozen Fever’ Animated Short”. Variety. September 2, 2014閲覧。
  15. ^ Koch, Dave (June 20, 2014). “Inside Out Adds Animated Short”. Big Cartoon News. June 20, 2014閲覧。

参考文献

[編集]

外部リンク

[編集]