ガメラ
ガメラ Gamera | |
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ガメラシリーズのキャラクター | |
ガメラ(大怪獣ガメラ) | |
初登場 | 『大怪獣ガメラ』(1965) |
作者 | |
演 | |
詳細情報 | |
別名 |
Friend of All Children("全ての子供の友")[注釈 1] Guardian of the Universe("宇宙の守護神")[注釈 2] 最後の希望[注釈 3] 地眷神[注釈 4] 守護獣[10] 玄武[注釈 5] その他[注釈 6] |
種族 |
巨大な亀 人工生物[注釈 7] 神[注釈 8] |
性別 | 不明[注釈 9] |
ガメラは、大映(現:KADOKAWA)が1965年に公開した怪獣映画『大怪獣ガメラ』にて初登場した架空の怪獣の名称である。
『大怪獣ガメラ』以降も続編、およびガメラの登場する映画作品が継続的に製作されており、これら全作品を総称してガメラシリーズと呼ぶ。本項ではシリーズ全般、およびキャラクターとしてのガメラを解説する。
後述の通り、同じく大映初の著名なキャラクターである「大魔神」も当初はガメラシリーズの敵として構想されていたり[15]、「シネミス・ガメラ」や「ガメラバエナ(英語版)」の命名の由来になっているなど世界的に文化面に影響を与えてきた側面があり、特撮界全体にも多大な影響を与え[9][16][17][18]、多数の作品や事象の名称にガメラへのオマージュなどが存在し[注釈 11]、数々の著名人や彼らの作品[注釈 12]も影響を受けており、調布市の文化発信にも応用されている[52][53]。また、11月27日[注釈 13]は『大怪獣ガメラ』の公開日であるため、「ガメラの日」と称される場合がある[55][56][57][58]。
シリーズの概要
[編集]カメ特有のユーモラスなデザインや飛行能力、人間と親和性の高いヒロイックな性格など独特の個性を持ち、東宝怪獣と共に日本の怪獣映画界の代表的なキャラクターとして広く浸透しており[59]、「ゴジラシリーズ」の展開にも影響を与えてきたとされる[注釈 14]。本シリーズの代表的な敵怪獣としてはギャオスが知られる。
ガメラシリーズは「倒産以前の旧大映時代」「再建して徳間グループに入っていた大映が製作した時代」「角川グループに入った大映が商号変更した角川ヘラルド - 角川映画時代」の3つに区分することができる。
2度にわたって権利会社が変更になったことに加え、付随する直接的・間接的な要因[注釈 15]などの経済的な理由などによって本シリーズを含む大映作品は大打撃を受けており[69]、大映の看板特撮フランチャイズ[注釈 16]は続編や新作の企画が度重なって中止になり、「大魔神」は予算の面から本格的な復活が難しく[70]、「ガメラシリーズ」も「妖怪シリーズ」も『ガメラ対深海怪獣ジグラ』がダイニチ映配提供となって以降はすべて他社配給や定額制動画配信サービスによる配信という供給手段を取っている[16]。
また、大映の倒産以前からビデオの配給面で「ゴジラシリーズ」との競合を避けていたが、倒産以降は新作の製作自体にもその傾向が見られ、本シリーズの製作本数の少なさや休眠に影響を与えてきた可能性がある[注釈 17][注釈 18]。また、徳間康快が存命中にゴジラとのクロスオーバーへの意向を表明・東宝に打診したり[75][76]、後述の通り2002年には角川からも東宝へとクロスオーバーが提案されたが[77]、結局は実現しなかった[78][79]。一方で、本シリーズは「ゴジラシリーズ」との「共存」を目指して出発したこともあり、村瀬継蔵を筆頭に両シリーズが製作面において関係者を共有してきたことも多く、平成三部作は「洋画系」ではあったが東宝によって配給されており、東宝側から見ても本シリーズは決して「敵対」するようなライバルではないとされる[注釈 19][16][80]。
結果的に本シリーズは7~17年間に渡る休眠を4度経ており、複数回の打ち切りや続編や新作のキャンセルなどに直面してきた。長期の休眠だけでなく予算の都合から新作の宣伝費も限定されるためにさらに知名度も低下しやすいなどの二次的な悪影響を受ける側面もある[注釈 20][16]。計12作存在する劇場作品において、それらの中の一作も経済的な理由から完全な新規作品ではなくて過去作のストック・フッテージに依存している[16]。
ガメラの誕生秘話
[編集]ガメラの厳密な原案者に関しては湯浅憲明・高橋二三・築地米三郎・斉藤米二郎の間でも意見の相違が存在し、彼らによればオリジナルのアイディアを生み出したのは高橋とも永田雅一とも永田秀雅(英語版)ともとあるホステスの噂話ともされている。
永田雅一がアメリカ合衆国に向かう飛行機から見下ろした島または島の上に浮かぶ雲の形状が亀または亀の甲羅に似ていたことにインスピレーションを受けた、または飛行する亀の「幻影」を見たことがきっかけで「大映の怪獣は空を飛ぶ亀をモチーフにする」事に決定されたという逸話がある[82]。一方で、当初は『大海魔ダゴラ』というタコの怪獣映画が企画され[注釈 21]、その後に撮影こそされたが諸事情で製作中止となった『大群獣ネズラ』を経て、永田のアイディアを受けて斉藤米二郎と高橋二三によって考案された「火喰いガメ 東京を襲う」が『大怪獣ガメラ』の原案になったとされる[注釈 22][71]。
一方で、生前の湯浅憲明は高橋二三がガメラの原案者だと思っていた。
また、別の説として大映の撮影所の近所のとある神社の池に女性の参拝客が訪れる時に限って姿を現すことから「スケベガメ」と呼ばれたカメがいたため、大映の関係者の間ではこのカメがガメラのモデルになったという噂や、このためにガメラは「当初は子供ではなくて女性の味方と予定されていた」という噂も存在したとされる[16]。また、斉藤米二郎の証言でも「長崎県の海水浴場に現れる、回転しながら女性に接近するスケベなカメ」が紹介されており、とあるホステスから紹介されたこの与太話がガメラのモデルとなり、制作に影響を与えたともしている[84]。
ガメラの名前を決めたのは永田雅一である。看板怪獣の名前を「火食い亀」にするわけにもいかず、永田がゴジラに対抗して「ガメラ」と名付けたが、他の面々はゴジラとの名前の類似性が強いことから反対した一方で、他に妙案もなかったので、社長である永田に反対することもできずに決定となった[84]。
ピー・プロダクションとの関係
[編集]上述の通り、ガメラの発案者に関しては諸説があるが、一方でピー・プロダクションの創設者であり円谷英二に師事したうしおそうじ(鷺巣富雄)がガメラの原案を生んだという説も存在し、1962年の企画「STOPシリーズ」のデモフィルム用に作成した「火炎を噴出して飛行する巨大な亀」がガメラのモデルになったという逸話があるが、うしおと同様に円谷に師事して後に『ネズラ』と『ガメラ』に携わった築地米三郎はこれを否定して永田秀雅(英語版)のアイディアだとしている[85]。また、井上章は『大怪獣ガメラ』の制作時に約50ものガメラのコンセプトデザインを制作しており、それらの中には「手足がなくムカデの様に地面を這って進む」などの完成版からは大幅に違う物も含まれていた[86]。
一方で、うしお自身が大映作品群と関わってきただけでなく、大映とピー・プロダクションは以降も人材面において互いに関与してきた。ガメラシリーズや他の大映特撮の関係者も、ピー・プロダクションが1968年に窮地に立たされて自力で特撮作品を作れなくなる以前から同社の作品群に協力し、1968年以降も大映の関係者によるピープロ側への参加は続き[注釈 23]、後年にはうしおの息子であり現社長である鷺巣詩郎も含めたピープロ側の関係者がガメラシリーズや大映系作品に参加する事例も増えた[注釈 24][注釈 25]。
ピー・プロダクションの発起人には大映出身であり、やはり円谷との交流があった高山良策と渡辺善夫も含まれており、小嶋伸介や田賀保など『大群獣ネズラ』の失敗とそれによる混乱に際して大映を見限ってピー・プロダクションに移籍した者も複数いた[注釈 26]。一方で、田賀保は後に湯浅や菊池などのガメラシリーズの関係者と共に大映テレビ系の作品[注釈 27]や、大映の倒産後ではあるが『宇宙怪獣ガメラ』に携わっている[89]。
大映時代
[編集]旧大映時代のガメラシリーズは、東宝製作のゴジラシリーズの成功に触発された当時の各映画会社がこぞって製作していた怪獣映画作品群の流れを受けて誕生したが、大映による1962年の『鯨神』と1965年の『大怪獣ガメラ』以降に六社協定の影響下にありながらも他会社による怪獣作品が急増し、それらにもガメラの考案者の一人である永田雅一による六社協定の主導と社団法人「映画輸出振興協会」の設立への影響があったため[注釈 28]、大映とガメラシリーズも「怪獣」や「特撮」というジャンルに与えた影響が大きいとされる[注釈 29][16]。なお、大映は1952年の『キング・コング』のリバイバル上映[注釈 30]を行った後、1954年には『原子怪獣現わる』の国内配給も行っており、『大怪獣ガメラ』には『キングコング』および『原子怪獣現わる』とのプロットやキャラクター上の類似点[注釈 31]が見られる[86][35][93]。
また、大映時代の配役には『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』以降は必ず外国人の少年(およびその家族)が登場し、より子供向けの作風になっただけでなく、主人公である日本人の少年とともに冒険するという特徴がある。これは、当時の日本政府が日本映画界の救済のために作品の海外輸出の増加を見込んで(永田雅一の尽力もあって)社団法人「映画輸出振興協会」を設立し、前作の『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』や『大魔神逆襲』などの大映作品や『大巨獣ガッパ』や『宇宙大怪獣ギララ』などの他社作品群がその融資を受けた事が関係している[60][90]。また、ゴジラシリーズが多大な影響を持つ北米の市場を避けるためにヨーロッパの市場にビデオなどの商品展開を行う際に、欧州のバイヤーからの要望で外国人のキャストの起用が開始されたとされるが、それらのバイヤーは黒人の起用を望まなかったために黒人のキャラクターは昭和のガメラシリーズにほとんど登場せず、これが原因で大映が批判を受けることもあったとされている[16]。
方針として、ゴジラシリーズとの競争ではなく共存が念頭にあったとされる。後述の通り、六社協定の影響下にあったこともあって大映は「ガメラシリーズ」には円谷英二の助力をあえて受けなかった一方で、「ガメラシリーズ」や「大魔神」や『鯨神』や「妖怪シリーズ」などの大映特撮作品群には六社協定を超えて、(円谷英二の黙認の下で)村瀬継蔵を筆頭に『ゴジラ』をはじめとする東宝の特撮・怪獣作品に携わってきた面々や円谷の関係者や東宝の元社員など[注釈 32]が参加している[16]。ガメラシリーズの制作方針として、六社協定や予算面の事情に左右される中で、技術面や着ぐるみなどの材料の選択などの他にも、ガメラのキャラクター性や作品の方向性などにもゴジラシリーズとの差別化がとくに意識されており[注釈 33]、明確に方向性を変えることでガメラとゴジラの両シリーズが愛されるように目指したとされる。そして、ゴジラシリーズがガメラシリーズから影響を受けるほどにアイコンとしてガメラが確立され、多くのファンを獲得したとされる[注釈 34][16][17]。
後にガメラの生みの親の一人となる永田雅一の主導によって制定された六社協定の影響で、東宝以外の会社は東宝が確立した特撮の技術などを表立って使うことができない状況にありガメラの直接火炎を吐いたり飛行したり「破壊神ではなく感情を持つ生物[注釈 35]」というキャラクター像、造形物の材料、特撮技術の利用方法など大映のガメラシリーズの製作面において大きく影響したとされる。日活や松竹が1967年の『大巨獣ガッパ』や『宇宙大怪獣ギララ』に円谷英二のチームを起用したのに対して[注釈 36]、大映だけは(円谷の知人であった大映の関係者が円谷に協力のオファーをする提案もしたが[84])あえて円谷の力を借りずにそれらよりも先に看板怪獣を製作し[注釈 37]、厳しい経営状況と六社協定の条件をクリアするためにゴジラシリーズとの差別化を念頭に置き、怪獣映画の「お約束」である「自衛隊や軍隊や兵器群」や「科学的な考察」の導入をあえて制限し、奇抜ながらも子供が共感を得やすく、子供が活躍し、ガメラと子供の絆[注釈 38]がキーポイントとなるという方向性を確立させた[注釈 39][16]。
第一作目である『大怪獣ガメラ』の製作の時点ですでに大映は経済的な危機に追い込まれており、本シリーズは宣伝費も含めた予算面で非常に苦しんだ[注釈 40]。『大怪獣ガメラ』は当時の「ゴジラシリーズ」の作品と異なり白黒であり[84]、制作陣の間でも「所詮はゴジラの二番煎じ」「たらい回しの末に湯浅憲明に放り投げられた」「安っぽい」「失敗は目に見えている」とさえされていた。しかし、周囲の反応と異なって永田雅一が評価をしただけでなく、本作の予想外の大ヒットによって大映は多少であるが経済的に持ち直した。これによって、ガメラシリーズだけでなく(ガメラシリーズの影響を受けている)「大魔神」シリーズや「妖怪シリーズ」もドル箱として機能し始めた[16]。
そしてガメラシリーズの影響で大映は実質的に倒産が先送りになり、本シリーズが当時の大映を実際の倒産まで支えていたとされる。なお、大映の倒産を知った湯浅憲明は悔しさのあまり残されていたガメラや敵怪獣の着ぐるみや造形物などを自ら壊したというエピソードが残されている[16][17]。また、倒産時の混乱によってネガの混同なども発生し、『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』の上映時間が延長されたのもこの影響だとされている[84]。なお、1966年に「大魔神」作品を三本立て続けに製作したことも大映の経営をさらに圧迫する一因となったとされている[69]。
なお、大映の経済状況から上記の通り敵怪獣のデザイン(操演に必要な人数を減らすなど)や能力などのアイディアが制限され、予算ゆえにSFXも多用できないために子供向けにもかかわらず残酷な近接戦闘を増やし[注釈 41]、都市部の破壊などの場面も減少し[84]、『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』以降は十分な宣伝費が確保できないため、そのような状況でも可能な限り注目度を高めるためにバイラス以降の敵怪獣(バイラス・ギロン・ジャイガー・ジグラ)の名前をすべて一般公募にした[注釈 42]。一方で、ガメラの飛行方法として回転ジェットではなく両脚からのジェット噴射による飛行方法も経費削減の結果として生まれたとされる[16]。また、大映が独自の特撮路線を歩んだ事で、昭和ガメラによって得られた特撮のノウハウも多いとされる[84]。
大映が倒産する前の最後の作品であった『ガメラ対深海怪獣ジグラ』は配給が日活との共同で行われたが、このような傾向は現在に至るまで続いている[注釈 43][71]。
なお、『ガメラ対深海怪獣ジグラ』の次に計画されていたのは通称『ガメラ対双頭怪獣W』という作品だった(ガメラ#未公開・製作中止作品を参照)。
徳間グループ時代
[編集]徳間書店グループ下の新会社として再建された大映は、当時の徳間グループによるメディアミックス戦略の一環として『ゴジラ』に対抗しうる特撮映画を制作することを検討する。当初は「大魔神」または「妖怪シリーズ」の復活を検討していたが、人気や知名度や予算の都合上で難しく[注釈 44][9][67]、その結果、前述した通りの人気を持っていたガメラに着目し、新作の制作を決定した。
1980年に(東宝が『メカゴジラの逆襲』を持ってゴジラシリーズを一時的に中断していたこともあって)9年ぶりの新作として公開された『宇宙怪獣ガメラ』は新規の特撮シーンが非常に少なく、怪獣の映像の大部分を過去作品のストック・フッテージの再利用であるが、これは大映の倒産による経済面の問題があったことと、『実相寺昭雄監督作品ウルトラマン』の成功の影響を受けたからだとされている[注釈 45]。しかし、怪獣映画というジャンル自体が下火に入っていたこともあり、本作も興行的な成功を収めることはできなかった[16][71]。
平成三部作とは別に高橋二三は1994年の公開を目指した作品『地球大破滅(ハルマゲドン)- ガメラVS.不死鳥(フェニックス)』のプロットを作成しており、映像化には至らなかったが1995年に出版された小説『ガメラ対不死鳥』の原案となった[102][103]。
こうして制作された新たな『ガメラ 大怪獣空中決戦』は、それまでの怪獣映画にはないリアリティを追求した脚本と大胆にCGを導入した映像が話題を呼び、当時の「ゴジラシリーズ」と比較しても半分以下[注釈 46]という限られた予算と東宝洋画系という限られた上映館数、阪神・淡路大震災の影響を受けた側面もあって大ヒットには至らなかったものの、各方面から高い評価を受けた[注釈 47][67]。これにより、往年のファンだけでなく新たなファンの獲得にも成功し、引き続き製作された2作品と合わせて後に「平成三部作」と呼ばれ、高い人気を得るに至った。また、すでにヒットメーカーとして知られていた金子修介(本編)と伊藤和典(脚本)だけでなく、特撮や造形などを担当した樋口真嗣、品田冬樹や原口智生の知名度も大きく上がった。また、この三部作は以降の特撮界全体に多大な影響を与えただけでなく、後年の『小さき勇者たち〜ガメラ〜』および東映の『デジモンテイマーズ』と円谷プロダクションの『ウルトラマンティガ』は『ガメラ 大怪獣空中決戦』の最初期の構想が再利用されて制作された[注釈 48][9]。
なお、低年齢層も視聴するゴジラシリーズ他の一般的な日本製怪獣・特撮映画と比較すると、「(効果音付きで)人が食べられる」「一般市民が襲われて多量の出血をともなって死亡する」「ミイラ化した死体が描写される」など残酷なシーンが見受けられるが、これは監督の金子が本シリーズの対象年齢を「小学校高学年辺り」としていることによる。
徳間康快は『ガメラ 大怪獣空中決戦』の制作時に『ゴジラ対ガメラ』も念頭にある事を表明しており、東宝にクロスオーバーを打診していたとされる[75][76][79]。また、この時代はスタジオジブリも共に徳間書店のプロパティであったため、配給面での影響を受けたり、『巨神兵東京に現わる』では『ガメラ 大怪獣空中決戦』で使用された東京タワーの造形物を再利用することも企図されており、結果的には『巨神兵東京に現わる』の公開時にいくつかの劇場で東京タワーのモデルが展示されたこともあった[9]。なお、宮崎駿も子供の頃に劇場で『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』を鑑賞しており、その子供向けの荒唐無稽さなストーリーが強く印象に残ったことを明かしている[60]。
しかし、様々な要素から三部作全体の興行成績は決して優れていたわけではなく[注釈 49]、平成三部作自体の作風が子供のファンの増加にあまり寄与せず[注釈 50]、『ガメラ3 邪神覚醒』での路線変更も功を奏さず、中には渋谷を破壊するガメラに恐怖を覚えて泣き出して親御と共に退出する光景も見られたとされる[60][注釈 51]。また、金子・伊藤・樋口は元からゴジラシリーズや他の東宝作品を好む一方で昭和ガメラを好まず[注釈 52]、湯浅憲明や高橋二三などの旧来のスタッフ[注釈 53]や旧大映(徳間書店)や営業側だけでなく平成三部作のスタッフの一部とも様々な意見の相違が発生し[注釈 54][注釈 55]、『ガメラ 大怪獣空中決戦』の制作時に企画中止または金子修介が降板させられる寸前にまで関係が悪化していたと金子自身が述べている[注釈 56][67]。そして、『ガメラ3 邪神覚醒』にて人間の犠牲者を出し過ぎたことと[注釈 57]、金子らによる続編の構想に難点が存在し[注釈 58]、徳間書店による平成シリーズは打ち切りとなり[67]、徳間書店の経営難と徳間康快の死去をもって大映の各プロパティは角川書店に売却され、2度目の著作権譲渡を迎えた[9][69][16]。
その他、庵野秀明による(関係者同士の諍いも含めた制作事情をフィーチャーした)ドキュメンタリー『GAMERA1999』と林家しん平による自主制作映画『ガメラ4 真実』、同じく自主制作映画である『The Slammie Bros. vs. Godzilla and Gamera』が存在する[35]。
角川映画(KADOKAWA)時代
[編集]平成三部作の終了後、ガメラシリーズはしばらく休眠期に入ったが、ゴジラシリーズが2004年をもってひとまずシリーズの完結を迎えたことで、テレビ特撮番組からのスピンオフではない純粋な「特撮(怪獣)映画」の新作が観られなくなることを危惧したファンから、再びガメラシリーズの復活を求める声が高まった。
大映自体も2002年に角川書店に営業権が譲渡され、その営業権をもとに新たに株式会社角川大映映画が設立された。角川大映は後に角川映画に商号を変更し、ガメラだけでなく「大魔神」や「妖怪シリーズ」の復活も考慮された[9]。黒井和男は商号が変更された直後に「大魔神」の新たな企画と共に『ゴジラvsガメラ』を東宝に対して提案したが、両シリーズのクロスオーバーは実現しなかった[注釈 59][77][78][79]。同社は平成三部作の路線からの脱却と原点回帰を目指し、「ガメラを子供たちに返す」というモットーの下で、徳間時代とは違った形でのガメラ復活を検討する。その結果、『ゴジラ FINAL WARS』を経て東宝がゴジラ映画の製作を休止したことを受けて[16][71]、2006年には新作ガメラ映画『小さき勇者たち〜ガメラ〜』を製作・上映した[注釈 60]。しかし、本作は本来の意図である子供や女性の観客からは好評を得たが[注釈 61]、平成三部作の方向性を好む客層には支持されずに興行的に失敗となり[注釈 62]、本作の続編だけでなく、後述の通り、同時期に進行していたアニメ作品などや大魔神の企画[117]が中止されるなど、シリーズは再度の打ち切りに直面して新たな休眠に入った[注釈 63][9]。
なお、上述の実相寺昭雄も携わっていた『ウルトラマンマックス』では、金子修介が担当した第11話「バラージの預言」にて、テレビ上でのオンエア限定版にてガメラとゴジラの玩具が登場し、平成ガメラ三部作で草薙浅黄役を務めた藤谷文子も客演している[118]。また、これまでガメラシリーズや『大魔神カノン』などに携わってきた井上伸一郎によると、井上が製作総指揮を務め三池敏夫なども参加した『Fukushima 50』には平成ガメラ三部作へのオマージュが込められているとされる[119]。
2015年10月、ガメラ生誕50周年記念としてウェブサイトが公開され[120]、YouTubeにて記念映像『GAMERA』が公開された[121]。この映像は石井克人が監督し、男児の子役とその父親として宮藤官九郎が出演した[121]。第28回東京国際映画祭日本映画クラシックス部門でも、「ガメラ」生誕50周年記念スペシャル映像が上映された[121]。一方で小説『聖獣戦記 白い影』を執筆したり「大魔神」シリーズにも携わってきた井上伸一郎[12]は実際の映画化を模索し続けていたとされている[73]。
2022年11月に『GAMERA -Rebirth-』の製作が発表され[122]、2023年9月7日にNetflixにて配信された[123]。本作は未制作に終わった企画をのぞけばシリーズ初のアニメ作品であり、また令和初およびシリーズ最長の空白期間である17年の月日を経て作られた新規本編である[注釈 64]。また、スマートフォン用のアプリゲーム『ゴジラバトルライン』との公式コラボレーションが実現し、ガメラ(昭和版とRebirth版)とギャオス(昭和版とRebirth版)とギロンがプレイアブルキャラクターとして参戦している[注釈 65]。上記の2002年の際とは逆に、今回は東宝側が角川側にコラボレーションを提案した[59][124][125]。シーズン5までの構想が存在するとされている一方で[126]、本作にも全体的に予算不足が指摘されており、人間などの3Dモデルのクオリティーの低さがとくに目立つだけでなく、オープニングアニメーションも用意されておらず、監督の瀬下寛之が構想していた戦闘シーンは半分に削減されている[127][128][126]。
映画以外のガメラ
[編集]ガメラは映画以外のメディアでもテレビゲーム化されたり、パチスロメーカー「ロデオ」によって『ガメラ』『オオガメラ』『ガメラハイグレードビジョン』『ガメラZS』と、合計4台のパチスロ台がリリースされている。
キャラクターとしてのガメラ
[編集]巨大な直立歩行を行うカメの姿をした怪獣である。甲羅の表面は「鱗のような重なり合った形状」になっており、下顎の左右両端から大きな牙が1本ずつ、上に向かって生えている[注釈 66]。
血液は緑色であるが、昭和版では眼の色が黄色で血管も赤く描写されており、2015年の50周年記念映像でも眼は黄色に近い色であった。
ガメラを含むガメラシリーズの怪獣は、ゴジラシリーズやウルトラシリーズなどの作品に登場する怪獣と比べると、(設定上の)体重が非常に軽く、とくに昭和版(80トン)と平成三部作(120トン)では実在する現生のヒゲクジラ類よりも軽い。書籍『空想科学読本』でも、体重から計算した体の密度が空気の2倍程度と計算されている[129]。
昭和シリーズで監督および特撮監督を務めた湯浅憲明は、ガメラとゴジラやウルトラ怪獣との差別化として、ガメラを直立二足歩行だけでなく四足歩行などで這わせたり、流血描写などで動物性を強調させたと述べている[82]。昭和時代の敵怪獣にも四足歩行型が多いのも特徴とされる[84]。平成三部作では終始直立二足歩行で移動している。また、直接的な火炎を吐く、飛行する、人間を守る、光や核爆発を好む、生物としての性格の個性を持つ、北方から出現する[60]などの点も、人間・人為的な光・核爆発のすべてを憎み「破壊神」としての側面を持ち南方から現れたゴジラとの差別化要素として用いられたとされる[16][17]。
トッド・マッカーシーはバラエティにおけるレビューにて、「見た目こそ恐ろしいが、全ての怪獣の中で最も愛すべきキャラクターの一種である」と述べている[130]。 Film School Rejectsのクリス・コッフェルも、「私は個人的に、ガメラの亀に因んだ姿と、子供との関係性から、シリーズとしてゴジラよりも優れていると思う」と評価している[131]。渡辺謙も、モンスター・ヴァースに出演した際のインタビューながら「(ゴジラよりも)ガメラの方が思い入れが強かった」という旨の発言をしている[132]。ギレルモ・デル・トロも『大怪獣ガメラ』をとくにお気に入りの怪獣映画の一つに挙げており、「型破りだが素晴らしい人格を持つキャラクターであり、本多猪四郎の怪獣とは違って、怪獣映画の定番だけでなく滑稽さと愛らしさも持っている。僕の時代の子供は皆が巨大なロボットや(ガメラのような)ペットのような怪獣が欲しいと思っていた」という評価をしている[44]。
正体
[編集]ガメラは映像作品以外にも小説・漫画やテレビゲームなど多数の媒体に登場しており、出自は世代や媒体によって大きく異なるが、アトランティスをはじめとする超古代文明と何らかの関わりを持つとされる場合が目立ち、厳密な正体が不明である場合と超古代文明によって生み出された人工生物とされる場合がとくに顕著である。昭和・平成・令和の各時代の「本編」に登場したガメラに関しては以下の各項を参照。
高橋二三による新作の企画から誕生した小説『ガメラ対不死鳥』では[102]、それまでの昭和ガメラとは別にナスカの地上絵の地下から出現した平成三部作の特徴を持つ新たなガメラが登場し、人類による環境破壊によって復活し不死ゆえに苦しみ自死を遂げようとするフェニックスに対処・再封印したが、人類による環境破壊から地球を守るためにオゾンホールを自身の体で塞ぐという自己犠牲を行った。この結末はガメラとフェニックスの双方が人間による環境破壊のために犠牲になり死ぬこともできないという描写になっている。ただし、昭和ガメラとこの新ガメラの関連性は明らかにされていない[9][103]。
小説作品である『妖怪大戦争ガーディアンズ外伝 平安百鬼譚』[99]と『聖獣戦記 白い影』にはそれぞれ「玄武」が登場しており[注釈 67][注釈 68]、どちらも超常的な能力を持つ「神」として描写されている[注釈 69][注釈 70][11][12]。
京極夏彦による長編小説シリーズ『虚実妖怪百物語』でも、ガメラ、大魔神、ダイモンが一種の思念体のような存在として登場する場面が存在し、鬼太郎や山村貞子[10]といったガメラシリーズと間接的に関連性を持つ存在を含め、多数の著名なキャラクター群と共演している[34]。
性質
[編集]性格面の大きな特徴として正義の存在である事が挙げられ[71][59]、人間とくに子供に親愛の情を示したり、人間や地球などを自らを犠牲にしてでも命懸けで守護する性質を持つ[17][133][14][103]。また、人間だけでなく動物や無垢で(人間に意図的に被害を与えない)怪獣や妖怪なども助ける可能性があるとされる[17][11]。一方で、その姿・性質・能力と敵怪獣との戦闘の様相から、人間からは脅威だと誤解を受けて攻撃されてしまうこともある[17]。後述の通り、基本的にエネルギー源は熱エネルギーや電気や原子力などに依存しており、人間や動物や植物を捕食することはない。
非常に知能が高く、人間の言葉を理解したり、助けた人間を傷つけないように力や動作を加減して行動したり、道具を使った戦術的な行動を取ったり、『ガメラ対大悪獣ギロン』ではミサイルを利用してギロンを撃破したり、子供達の不安を取り除こうと鉄棒や『ガメラマーチ』の演奏といったコミカルな行動を取ったり、子供達のためにUFOを修理する場面も存在する[17]。昭和作品では火炎噴射が決め手になる事例が限定されており、知恵を使った戦法によって勝利することが多い[69]。
能力
[編集]火炎を中心にプラズマ・電気などにも通じる能力が代表的な戦闘能力であり、これらのエネルギーを攻撃だけでなく飛行や自身の回復などにも応用する。エネルギー源としても熱エネルギーや電気などが中心的であり、動物や植物を捕食することはない[注釈 71]。また、通常兵器はおろか核爆発ですらガメラをパワーアップさせる可能性があるため、人間がガメラを攻略しようとしても一筋縄ではいかない[17]。
また、自らよりも大柄な敵[注釈 72]に対しても果敢に立ち向かい、格闘戦でも引けを取らないだけでなく自身(80トン)よりも遥かに重量がある5万トン級の船舶を持ち上げ放り投げる怪力を持ち[134]、ジャンプだけでなく走ったり鉄棒やアクロバティックな動きも可能なほどに身体能力も高い。一方で、敵の能力には殺傷能力が高い場合が多く、ガメラは多くの戦闘で激しく傷ついており、通常の生物では行動不能(死亡)に陥るようなダメージも多数負ってきた[17]。
また、超自然的な性質や能力も持ち合わせており、特にテレパシーを通じた人間との交信や遠方の対象などを察知する能力は昭和版[17]、平成三部作、『小さき勇者たち〜ガメラ〜』[133]、『GAMERA -Rebirth-』[135]の全てにおいて可能だとする可能性が指摘されている。平成三部作や関連作品では「マナ」と呼ばれる地球の生命エネルギーを司ったり、人間の傷を瞬時に蘇生したり、人間を蘇生したとも捉えられる描写がされていたり、周囲の市街地や火山を噴火させるなどの面も見られた[注釈 73][136]。オカルト的な要素は『ガメラ3 邪神覚醒』で急増したが、『小さき勇者たち〜ガメラ〜』の世界観でも、ジーダスがギャオスの怨念または霊魂によって操られている可能性が示唆されているなどの要素が存在する[9][137]。また、いくつかの小説作品では明確に「神」として登場しており、物質化現象や時間の停止などの様々な超能力を司っている[11][12]。
本物の亀のように、頭や手足、さらには尾までも甲羅内へ引き込める。手足を引き込んだ位置から火炎を噴射し、その推進力を利用して大気圏内はもちろん宇宙空間でも飛行できる。手足を引き込んだ四か所から火炎を噴射しつつUFOのごとく回転して飛ぶ場合と、後脚の部分から後方に火炎を噴射し、前を向いたまま飛ぶ場合がある。平成作品では、膝や肘からのジェット噴出で飛行している。大気圏内における最高飛行速度は秒速20キロメートル(マッハ58以上)[14]。
昭和作品では比較的ゆっくり回転したり人間を運ぶ際などには無回転でも飛行していたが[注釈 74]、平成作品では、付近のヘリコプターなどの飛行物を不安定にさせる突風が生じるほどの超高速で回転する。また、作品が進むごとに戦闘的な身体に進化するという設定も加わった影響で、昭和作品のように足を引っ込めるだけにとどまらず、『2』では腕を平たく伸ばして飛行機の翼のような形態に変化させられる。『3』ではその腕を可動させたり、足の部分からはヒレのようなものや、長大な尻尾を可動させることでさらに機動性を高めた他、進化によって甲羅の縁が鋭くなっており、回転飛行しながら斬り付けるように体当たりする攻撃も見せている(詳細は#身体的特徴および、フォルムの進化を参照)。
昭和のガメラ
[編集]基本データ | |
分類 | カメ類[注釈 75] |
---|---|
年齢 | 8,000歳以上 |
性別 | 不明 |
体高 | 60 m |
全長 | 不明 |
甲羅長径 | 不明 |
甲羅短径 | 不明 |
体重 | 80 t |
飛行速度 | マッハ3(大気圏内) マッハ50(宇宙空間)[注釈 76] |
水中潜航速度 | 150 kt |
歩幅 | 20 m |
エネルギー | 熱エネルギー |
武器・技 | 火炎噴射 怪力 回転ジェット 超能力 |
生息地 | 古代アトランティス大陸 |
好物 | 石油、石炭、地熱などの炎 落雷などの電気 ミサイルや原爆などの兵器 |
趣味 | モンキーダンス |
嫌いな物 | タマネギやニンジン[138] |
概要
[編集]エスキモーの伝承に「悪魔の使い」として語られた[注釈 77]、古代の怪獣。一説にはアトランティス大陸に生息していたとされる。北極の氷の中で眠っていたが、国籍不明の原爆搭載機の墜落による核爆発で閉じ込めていた氷が割れて覚醒し、最終的には日本に上陸して破壊の限りを尽くす。当初は凶暴な怪獣として描かれているが、子供に対しては友好的な面も見せている。一度はガメラ追放作戦「Z計画」で巨大ロケット内に閉じ込められて火星へ追放されるが、ロケットが飛行中に小惑星と衝突して崩壊した結果、地球へ再来する。
第2作以降は人間に対して具体的な敵意を示すことはなく、エネルギーの摂取時以外にはほとんど出現しなくなるが、侵略者や怪獣によって子供が危機に陥るような事態が起こると、どこからともなく現れて子供たちを救っていく。大人向けに製作した第2作を除く第3作以降は一貫して「悪の怪獣・侵略者を打ち倒す正義の怪獣」や「子供たちのヒーロー」として描かれる。第2作である『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』でも、撮影こそされなかったがガメラがバルゴンの被害を受けて凍らされた大阪の人々を救うという絵コンテが用意されていたとされる[17]。
シリーズの関係者[注釈 78]が協力している書籍では、本来は人間だけでなく野生動物や無垢な怪獣も助けようとする性格であるが[注釈 79]、第1作目でのガメラの狂暴性と第2作目での黒部ダムへの襲撃は、人類によって引き起こされた8,000年にわたる冬眠によってガメラが極度の空腹状態にあり自我を保てなくなっていたことが原因だとする説を掲載しており、人間そのものを攻撃対象としていたのではなく、核爆発によって現代の人間の技術力を察知し、人類を攻撃するとエネルギー源を得られることを学んだことが原因だと指摘されている[注釈 80][17]。また、エスキモーがガメラを「悪魔の使い」として恐れていたり、寒さを嫌うはずのガメラが北極の氷に閉じ込められていたのは、エスキモーの祖先とアトランティス人の古代の記憶と(アトランティスの崩壊も相まってガメラの情報が失われたこともあり)ガメラへの誤解が伝承されたためともされている[注釈 81][17]。実際に、『大怪獣ガメラ』にて俊夫少年は社会の反応と異なり一貫してガメラが「誤解されているだけで悪者ではない」と擁護する姿勢を見せており[注釈 82]、『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』ではすでにエネルギー摂取のために人間を攻撃することはなく自ら人間を守る姿勢を見せており、同作では意図的に山火事を起こしてガメラを呼び寄せていたが以降はガメラが積極的に人間を守るために救援に現れるという構図が定着した。また、同著では『ガメラ対大悪獣ギロン』にて鉄棒を披露したり『ガメラ対深海怪獣ジグラ』でジグラの背びれを使って「ガメラマーチ」を演奏したのも、知能の高さゆえの遊び心があるだけでなく、子供たちの不安や恐怖を取り除こうとしていた可能性を指摘している[17]。
『宇宙怪獣ガメラ』では主人公の圭一が逃がしたイシガメが成長してガメラになったような描写があり[注釈 83]、それまでのガメラとは別個体とする説もあり、高橋二三もこの説を「夢があって良い」と評している[17]。同作で宇宙海賊船ザノン号に特攻してからの消息は不明であるが、後の漫画作品ではこの個体がザノン号との決戦後にアトランティス人の末裔によってプラズマエネルギーを用いた人工太陽を使って蘇生され、「平成三部作」のガメラと似た姿に生まれ変わり、このガメラはタイムマシーンによって過去の世界に送られ、地球の歴史が改変され、ガメラが人間を守護しながらも監視することによって人類は破滅を免れるという描写がされている[139]。
第1作にミドリガメが登場するほか、第5作にて全身のレントゲン写真が「アオウミガメ」にそっくりと言われていることから、昭和ガメラの世界にはカメが存在していることが判明している[注釈 84]。
身体的特徴および攻撃技
[編集]口からの火炎噴射以外に、外観に似合わぬ運動能力[注釈 85]と怪力を誇り、周囲の岩や建造物を武器として使用することもある。また、身体を串刺しにされるほどの重傷を負っても戦闘を続行する生命力を持つ。しかし、ジャイガーの幼体に寄生されて吸血された際には昏倒してしまい、人間が幼体を排除してから体内に電気を供給することで復活した。負傷後は水中で休息することにより、傷を癒す。
弱点は低温で、劇中でも「冷たい温度に弱い」と言われ、自衛隊の冷凍爆弾でも短時間活動を停止している。バルゴンの冷凍液には火炎噴射も通じず全身が凍結してしまったが、自然解凍と同時に火炎噴射を行って復活するなど、生命活動の停止には至らなかった。一方で、宇宙空間や深海などでも活動可能である。
甲羅は頑強で、たいていの攻撃は受け付けない。また、実際のカメと同じく攻撃されると甲羅に各部を引き込んで防御を図ることも多い。しかし、バイラスの頭には貫かれ、串刺しになってしまったほか、ギロンには何度も切りつけられ、流血してしまったこともある。ジグラのヒレでも表面に傷をつけられている。
エネルギー源は熱やそれに類するものであるため、体内に火力発電所のような組織を持ち、マグマ、高圧電気、石炭、石油、ウランを常食とする。炎そのものも吸い込むようにして食べており、初期の段階では発電所や火山活動が活発な地域に出没することが多く、噴火中の火山に飛び込むこともあったほどで、火器を用いた攻撃なども吸収できる。また、バルゴンの虹光線を狙うこともある。電気エネルギーも食料であり、ジャイガーやジグラの攻撃によって活動停止した際は人力による放電や落雷によって回復した。また、初期の作品で人類を攻撃した理由として、上記の通りアトランティス人によって引き起こされた8,000年間もの飢餓状態から回復するために熱エネルギーや電気などを市街地などへの破壊行動から得たり、自衛隊による軍事作戦を意図的に誘発させて兵器からの熱エネルギーも摂取していた可能性があるとされている[17]。
着ぐるみは第1作のもの、第2 - 4作のもの、第5 - 7作のものと合計3種類ある(『宇宙怪獣ガメラ』は飛び人形のみ)。
スーツアクターは荒垣輝雄(第2 - 4作)、泉梅之助(第5・6作)。
身体機構(昭和)
[編集]- 石油袋[138]
- ガメラが食べた石油などの液体を、いったん貯蔵しておく器官。
- 石炭袋[138]
- ガメラが食べた石炭を、いったん貯蔵しておく器官。蓄えられた物質は、その後、高熱炉へ送られる。
- 高熱炉[138]
- ガメラが摂取した石油、石炭、炎、マグマ、ミサイル、ウランなどはここに集められ、燃焼される。
- 熱エネルギー変換腸[138]
- 高熱炉で燃焼されたものがここに送られ、熱エネルギーに変換される。
- 熱エネルギー心臓[138]
- 働きは他の生物の心臓と同じだが、熱エネルギーで動くため、桁外れのパワーを持つ。
- 高熱筋肉[138]
- 人間(力士豊登)の1万倍の腕力を誇り、いかなる高熱にも耐え、どんな金属よりも強靭。5万トン級の船舶を持ち上げ放り投げる[134]。
- 視力
- 赤外線を捉え、真夜中でも見える[134][140]。
- 肺
- 肺活量も非常に強く、吐息は風速1,000メートルに達する[140]。
- 火袋
- 体内に複数存在し、口や手の先から火炎を発する。足にある物はジェット袋と呼ばれる[134]。
- スプリング尾
- しなやかで弾力性を持ち、ビルを一撃で両断するなど攻撃にも使える[134][140]。
- 電気トゲ
- 甲羅のトゲには電気を溜める[141][142]。
- しびれ毒爪
- 手足の爪に毒を持つ[134]。
能力(昭和)
[編集]- 火炎噴射[注釈 86]
- 口から放つ強力な火炎放射だが射程が短く、バルゴン戦やギャオス戦のように敵に直撃しない場面もあり、ギャオスやガラシャープは火炎噴射を無力化する手段をもっている。しかし、第4作でのように宇宙空間や第7作でのように海中でも使用が可能であり、それぞれ宇宙船を破壊している。また、第5作でのように威力を落とせば宇宙船の修理にも使える。火炎噴射が決め手となったのは、ミサイルを手裏剣発射孔に突き刺されてから引火されたギロンと、陸上で身動きが取れなくなったジグラのみである。
- 資料によっては、液体酸素と水素を化合した熱線だとされている[143]。また、回転ジェットと併用して飛行速度を上げる可能性も指摘されている[17]。
- 飛行
- 第1作・第2作では回転ジェット以外のモーション(後脚からのジェット噴射)が見られず、第1作では最初の飛行の離陸時以外は、高速回転する甲羅が炎の尾を引く描写がされ、羽田空港を襲撃した際などは回転していない場合もあった。以降の作品では、体当たりする際や子供を運ぶ際などに回転しないで四肢からのジェット噴射で飛行していたほか、場面ごとに回転の速度が変動していた。後脚からのジェット噴射は、対ギャオス戦でギャオスに飛びかかる際に短距離を飛行したのが初めてであり、首や腕を引っ込めた状態での飛行もあった。第5作の関連スチルでは、後脚からのジェット噴射でギロンを攻撃する場面が描かれていた[17]。
- 超能力
- 『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』にて、ガメラが少年たちをバイラス人のスーパーキャッチ光線から逃がす場面では、ガメラがテレパシーを使って少年たちの心を読み取った可能性が示唆されている[17]。また、同作以降は地球や人類や子供たちの脅威となる怪獣や宇宙人の出現を察知して行動するなどの描写も繰り返し見られた。
- ガメラと子供の間のテレパシーを思わせる描写は『大怪獣ガメラ』の頃から存在している(大怪獣ガメラ#スタッフを参照)。
平成三部作のガメラ
[編集]便宜上、平成三部作の設定を継承する自主制作映画『ガメラ4 真実』のガメラについても記述する。
概要(平成三部作)
[編集]基本データ | |
分類 | 不明[注釈 87] |
---|---|
年齢 | 推定1億5千万歳 |
体高 | 80 m[注釈 88] |
全長 | 不明 |
甲羅長径 | 約60 m |
甲羅短径 | 約40 m |
体重 | 120 t |
大気圏内飛行速度 | マッハ3.5[注釈 89] |
水中潜航速度 | 180 kt |
歩幅 | 不明 |
エネルギー | プラズマエネルギー |
武器・技 | ハード・スラップ ラッシング・クロー エルボー・クロー ブレイク・ファング カーフ・クロー シェル・カッター プラズマ火球 ハイ・プラズマ ウルティメイト・プラズマ バニシング・フィスト バーナー(本編未登場) ホーミング・プラズマ(本編未登場) |
生息地 | 普段は深海で活動している。 |
スーツアクターは真鍋尚晃、鈴木潤(『ガメラ 大怪獣空中決戦』。以降、『1』)、大橋明(『ガメラ2 レギオン襲来』。以降、『2』)、福沢博文(『ガメラ3 邪神覚醒』。以降、『3』)。
基本的には昭和ガメラ3作目以降の「悪の怪獣を打ち倒す正義の怪獣」や、「ジェット噴射をして空を飛行できる」などの設定に準じているが、昭和ガメラの「北極の海に封印されていた」という設定から、「古代文明の技術を利用して生み出された生体兵器であり、永らく岩礁のような状態となって眠りに就いていた」という設定に変更されている。主な技も火炎噴射からプラズマ火球に変更され、外見が昭和ガメラよりも、より生物らしいリアルな外見になっている、休息期間中に戦闘的な身体に進化して外見が大きく変化していくなど、大幅な設定変更や追加がなされ、従来のシリーズとはまったく異なった新たなガメラとして描かれている。得意技としてプラズマ火球を発射し、肘の骨が爪のように変化した「エルボークロー」が追加された。また、『ガメラ 大怪獣空中決戦』では
作品全体の設定や演出は、子供との関わりや嫌いな食べ物の設定など低年齢向けとなっていた昭和ガメラに対し、平成版では環境破壊、勾玉や石碑などの古代の歴史に関わる物品の登場など、劇場公開当時の現実世界における古代の歴史、実際に起こっている問題や出来事とリンクした大人向けのリアリティーを意識した設定や演出が目立つ形となったが、敵怪獣の攻撃などで倒れても、子供の祈りに共感して力を発揮したり復活する様子も描かれた。
体格に関しては昭和ガメラよりも大きく[注釈 90]、設定年齢も大幅に増加している。歩き方に関しても昭和ガメラのはうような四足歩行ではなく、シリーズを通して直立二足歩行である。
人間に換算すると30.0という驚異的な視力を持つ[144]。
身体的特徴およびフォルムの変化
[編集]基本的な特徴は昭和ガメラとさほどの違いはないが、三部作通して姿は異なる。これは、長期間休息する際に体質改善を行い、体をより戦闘的に進化させているためであり、作品がすすむにつれ、外見だけに留まらず、能力に変化が見られるようになっている。
『ガメラ 大怪獣空中決戦』でのフォルム
[編集]首や手足はやや太く短めであるなど、全体的に柔和でずんぐりとした外見を持つ。頭がかなり大きく重いため、転倒すると無防備で危険な状態となってしまい、ジェット噴射を行わなければ起き上がれない。
目は大きめで、かなり柔らかな顔付きをしている。エルボークローは普段は肘の中に収納されており、任意で突出させることができる。両足のみを甲羅に引き込んで飛行する際は昭和ガメラ同様、腕を上もしくは前に出して飛行する。その際、尻尾は甲羅に収納される形となる。
- 監督を務めた金子修介が後年のインタビューに明かしたところによれば、彼が考えていた当初は『2』や『3』のようないかつい顔つきだったが、デザインを務めた原口智生に大映側から「昭和ガメラのイメージを残したものにしてくれ」と要請があったため、優しい顔つきになったという[67]。飛行時に両腕をヒレに変形させるアイディアもこの当時は許可されず、『2』以降に採択されている[67]。
- スーツは『2』に転用されたために現存しないが、2022年にはクラウドファンディングによる資金のもと[146]、復元・永久保存化されたスーツが制作され、イベント『特撮のDNA/平成ガメラ3部作展』にて展示された[147][148]。
『ガメラ2 レギオン襲来』でのフォルム
[編集]全体的に『1』の面影を残してはいるが、以前に比べてシャープな印象の姿になっている。以前より頭が小さくなり軽量化されたため、転倒してもジェット噴射を行わずとも自力で起き上がれるようになっている。また、頭が小さくなったことで首が若干長くなり、目は少し小さく、頭の鶏冠は少し大きくなった。さらに以前は内側よりだった歯並びが外側に移動し、精悍な顔付きとなっている。手や足も大きく長くなり、体格も以前より少し大きくなっている。
両足のみ甲羅に収納して飛行する際、以前は全て収納していた尻尾を短く出すようになり、先端をとがらせた形にするようにもなっているうえ、両手をウミガメのヒレのような翼状に変形させられるようになっている。この際、腕は固定される形で動かせないが、平たい形に変化した分、空気抵抗が抑えられ、さらにジェット噴射の威力や馬力も以前より上昇したことで、速力や機動性などの飛行能力が格段に高まっている。
腕のエルボークローは以前よりも大きく発達すると同時に、以前のように収納されず、常にせり出した状態で固定されている。付け根辺りにはもう1本の短いクローも生えているが、腕を翼状に変形した際にはエルボークロー自体は目立たなくなる。
『ガメラ3 邪神覚醒』でのフォルム
[編集]全体的にとげとげしく攻撃的な姿となり、より生物的かつ怪獣らしい姿へと変化している。過去2作品での進化以上に急激な進化を遂げており、過去2作品における面影はほとんど残っていない。
体格がさらに一回り大きくなり、頭は以前よりも小さくなり、転倒しても以前よりも素早く起き上がりやすいようになっている。首もさらに長くなり、頭の鶏冠もさらに大きく発達、逆に目はより小さくなったことに加え、眼球は白目だった部分が全て緑色に変化したことで、凶悪かつ険しい顔付きとなっている。手足は以前よりもさらに大きく発達し、指の形が段々に並んで若干長くなっており、足も以前と比べ太くがっしりとした形となっている。歯並びも以前よりも外側に移動している。表皮はさらに硬化しており、『1』では、ギャオスの超音波メスで右手の甲を負傷していたが、この形態ではより強力なギャオス・ハイパーの超音波メスの直撃を右手の甲で跳ね返している。甲羅の表面と側面がかなり鋭利な形に変化しており、回転飛行しながら体当たりする「シェル・カッター」の刃として利用できるようになっている。さらに「ヴァリアブル・シェル」で甲羅の表面を逆立てることにより、周囲の空気を吸引または放出し、離着陸する際の浮力調整を行えるようになっている(ただし離陸時はニュースのわずかな放送で逆立てる描写はない)。
エルボークローも、以前は肘辺りから後に向かって生えていたものが、この形態では腕の下に沿うように前に向かって生えており、ふくらはぎにも「カーフクロー」と呼ばれる突起が生えている。
以前のフォルム同様、飛行の際には両手を翼状に平たく変形させるが、こちらでは以前のように固定されることはなく、鳥の翼や海亀の鰭のように柔軟に動かすことができるようになることで、腕を後方に下げたりするなどしての機動調整が行えるようになっており、以前と比べ機動性が格段に高くなっている。腕に留まらず脚の部分にも小さな鰭のようなものが生え、とがった甲羅の端の最も長い部分も可変する、短い状態だった尻尾が長く突出し動かせるといった進化により、より細やかな空中機動を行えるようになっている。ジェット噴射の威力もさらに向上したことで速力もさらに高まっている。
『ガメラ4 真実』に登場するガメラのフォルムは、こちらの設定を踏襲している。
正体
[編集]はるか太古に滅亡した超古代文明によって、ギャオスを倒すために、甲羅状の「器」に地球の生命エネルギー「マナ」を集めて創り出された、一種の「生体兵器」とされ、環境への適応や自身の戦闘能力の向上のために、短期間で進化する能力を持っている[注釈 91]。
基本的に地球を守るために行動しており、守るべき対象は人間だけに限らず、すべての生態系、ひいては地球そのものとされており[注釈 92]、生態系を破壊し地球環境に害をなす生物を倒すためならば、市街地や人命に被害が及ぶような激しい戦闘を行うこともいとわない(このことが『3』において綾奈に恨まれる要因になった)一方、逃げ遅れた子供や人々をギャオスの光線やレギオンの襲撃から助けたりすることもある。
『3』では、玄武の伝承とガメラが関連づけられたが、古代中国の文化を参考にする案は『1』から存在し、昭和ガメラと関連づけられたエスキモーの文化と古代中国文化のデザイン上の類似性を見いだした制作陣は、ガメラの甲羅に亀甲墓やアンキロサウルスを、ギャオスのデザインには西洋のドラゴンや春秋戦国時代の中国の竜のイメージを投影した[9]。
平成三部作の世界に玄武の伝承は存在するものの、亀の先祖に相当する生物が恐竜と同時期に絶滅した設定となっているため、ガメラは「怪獣」と呼ばれることはあっても、「巨大な亀」といった表現で呼ばれるシーンはなく、「亀」という単語も一切使われない[注釈 87]。現生動物の亀という概念そのものがないため、劇中この設定に触れるシーンはないが、『3』の劇中では、登場人物の一人である斉藤雅昭のデスクの上に陸亀の置物が置いてあるという矛盾が生じている。また、序盤の会議シーンで一瞬映る資料には、海底で発見されたガメラの墓場について「亀の甲羅状」という言葉を用いて地形の説明が行われている。
コンビナートに墜落して大爆発に巻き込まれたり、レギオンプラント(草体)爆発時に炭化してしまったり、敵怪獣に瀕死状態に追い込まれたりしても復活しているが、これらはいずれも「人間の祈り」、特に子供の祈りが鍵になっている。
登場人物の一人、草薙浅黄とは精神的な交信が可能になっていた。一時は、ガメラが受けたダメージがそのまま浅黄に伝わったり、負傷した箇所と同じ箇所を負傷したり、ガメラが傷の回復のために眠りに就くのと同時に眠りに就き、ほぼ同時に目覚めたりするまでに強かったが作品が進むにつれ、その傾向は徐々に弱まって行き、『2』の中盤で途絶えたような描写がある。この精神交信には、岩礁状態で海を漂っていたガメラの甲羅から発見された勾玉が重要な鍵となっていたが、『2』でのガメラ復活時に、浅黄の持っていた勾玉は砕けている。『3』では、これと同時に他のすべての勾玉も砕けていることが判明した。浅黄は「ガメラは自ら人間との関わりを断ち切った」と考えたが、『3』の登場人物である倉田真也は「仙台でのガメラの復活は人間の祈りによって成されたものであり、ガメラはまだ人間との関わりを断ち切れずにいる。それこそがガメラ最大の弱みだ」と見解した。
作中における行動
[編集]1995年
[編集]永い眠りから目覚めたギャオス3体と、人の手によって偶発的に復活したガメラが日本各地で激戦を繰り広げていく。
当初、ガメラは長らく太平洋で奇妙な環礁のような状態で眠り続けていたが、ギャオスの誕生を察知するかのように漂流して日本に接近。一度プルトニウム運搬船とぶつかったが、特に問題は起きず、調査団のメンバーが甲羅に上陸し、中心部にあった金属板に米森良成らが触れたことで金属板が崩壊し、完全復活する。
3体のギャオスを追って福岡から日本列島を北上して行く。福岡湾で1体、木曽山中でさらに1体を倒し、残り1体を追うが自衛隊の攻撃を受けて墜落し、さらに超音波メスの攻撃を受けて負傷して退却、海底で傷の回復を図る。復活後、東京で地下から出現して巨大に成長した成体ギャオスと空中戦を展開し、さらに地上に降り立ち市街戦を展開。地上から再び空中へと戦いの舞台を変え、大気圏外、宇宙まで飛び出したが、そこでギャオスの足に食らいつきジェット噴射を抑えそのまま急降下する。苦しむギャオスが超音波メスで自らの脚を切断して脱出したため、コンビナートに墜落して大爆発に巻き込まれてしまう。しかし、浅黄の勾玉を通した「人間の祈り」を受けて周りの炎やコンビナートのエネルギーを吸収し、復活する。
最後は自身のハイ・プラズマとギャオスの超音波メスで撃ち合いを演じ、ギャオスの超音波メスは外れ、ハイ・プラズマはギャオスの頭部を吹き飛ばして勝利を収め、戦いの後は浅黄の傷を癒し、海に去った。
1996年
[編集]ギャオスとの戦いから1年後。宇宙怪獣レギオンの飛来を察知。レギオンの地球上での繁殖と、共生生物「草体」の種子発射によるレギオン拡散を阻止するために戦う。
札幌に出現した草体を撃破するものの、直後にソルジャーレギオンの奇襲を受け負傷する。変電所前に倒れ込み、ソルジャーレギオンが何体か移動した隙に回転飛行形態でソルジャーレギオンを振り落とし、傷を癒すために石狩湾に退却する。数日後、同じく草体の出現した仙台の戦いではマザーレギオンに巨大な脚で胴体を突かれ、強力な光線、マイクロ波シェルの前に苦戦し、さらに草体種子の発射は防ぎながらも大爆発に巻き込まれて炭化して仮死状態に陥るが、上記の「人間の祈り」により復活。直後に空へ飛び立ち、足利市から群馬、埼玉県境にかけて東京を目指して進行するマザーレギオンと自衛隊との交戦の最中に降り立つ。
プラズマ火球を連発し、エルボークローでエッグチャンバーを破壊し、ソルジャーレギオンを生み出すのを封じるなど奮戦するも、プラズマ火球を無効化するバリアを張り、体格差で圧倒してくるレギオンに再び追い込まれる。それでもレギオンの進行を阻止しようと戦うガメラを目の当たりにした自衛隊の援護を受け、次第に戦いを優勢に進めていき、隙を突いてレギオンの角をへし折るが、マイクロ波ビュートで反撃されて満身
1999年
[編集]レギオンとの戦いから3年後。先のレギオン戦において大量のマナを消費した影響で、地球各地に大量発生したギャオス・ハイパーを倒すために奔走。その過程で覚醒したギャオス変異体であるイリスと戦うこととなる。
とある週末の金曜の夜、東京上空でギャオス・ハイパー2匹と空中戦を展開、そのうちの1匹がガメラの攻撃を受けて渋谷に墜落したところに降下。深手を追った1匹をプラズマ火球で葬り、さらにもう1匹も撃破するものの、プラズマ火球の連射は人口密集地を壊滅させ、1万人以上の死者を出す結果となってしまう。この惨劇を機に、日本ではガメラを危険視する声が高まる(直接の描写はないが、劇中では海上自衛隊がガメラを攻撃したとのニュースが放送されている)。その後、イリス覚醒に伴い再び日本へ飛来し、イリスと空自との交戦の間に割って入るように紀伊半島上空で激しい空中戦を繰り広げ、終始戦いを優勢に進める。体当たりの途中、回転飛行形態に変形して側面のとがった甲羅を利用してさらなる追撃を行うが、イリスが放った超音波メスを食らい、距離を離されてしまう。そのまま追尾していたところにガメラ掃討を優先した自衛隊のペトリオット攻撃を食らい、大きくバランスを崩してイリスを取り逃してしまう。イリスを追ってプラズマ火球を発射しながら京都に降下して行くが、イリスの長い触手によって弾かれた火球により京都は火の海と化す。
京都に降下後は、ガメラを両親の仇と恨む少女、比良坂綾奈の憎しみを取り込んだイリスと激戦を繰り広げ、鋭利な手甲で胴体を貫かれるなど、苦戦しながらイリスともつれ合ってJR京都駅になだれ込む。瀕死の状態に陥りながらも、イリスが綾奈との融合を計った隙に綾奈の祈りによって復活し、イリスの腹部をえぐって綾奈を救出した。イリスは手甲でガメラの右腕を貫いて拘束し、ガメラからコピーした偽プラズマ火球を突き付けるも、ガメラは自らプラズマ火球で右腕を爆砕し、失った腕にイリスの放った偽プラズマ火球を受け止めて“炎の拳”(バニシング・フィスト)を造り出し、綾奈を救出した際にえぐったイリスの腹部に炎の拳をねじ込んで体内から爆発させ、その息の根を止め勝利を収める。綾奈を浅黄と長峰たちに返して蘇生を見届けた後、半壊した京都駅を後にすると、右腕を喪失した深手状態のまま、世界中から日本上空に迫りつつあるギャオスの大群との戦いを前に
全シリーズ中、最も人々に恐怖を与える存在であると同時に、最も悲劇的かつ、過酷な運命をたどっていく怪獣として描かれている。その後については、非公式ながら『ガメラ4 真実』や『ガメラ 大怪獣絶唱』[149][150]で描かれることとなる。
なお、金子修介はガメラがギャオスハイパーの大群に勝利すると述べているが、伊藤和典はラストに登場したギャオスハイパーの大群はあくまでも「第一波」であると考えており、ガメラが勝利したかどうかについては(金子よりは)疑問を抱いている[9]。なお、予算やストーリー上の都合で却下されたが、金子は本来は『3』はガメラがギャオスの大群に勝利することを描き切りたかったとしている[151]。
身体機構(平成三部作)
[編集]- 細胞
- 再生能力に優れているため、たとえ負傷しても短時間のうちに回復する。『2』では、草体の大爆発に巻き込まれた際も表面の細胞が炭化して固まっただけで、内側に新たな細胞が再構築されており、祈りの力を得て復活できた。『3』では、ギャオス・ハイパーの超音波メスの直撃を受けても大部分を跳ね返すほどの耐久性を身に着けている。
- 甲羅
- 頑丈で、ギャオスの超音波メス程度なら昭和版と同じく防ぐことができるが、ギャオス以降の敵怪獣の攻撃も強力になっており、レギオンのマイクロ波シェルとレギオン・ビュート、イリスの槍腕(スピア・アブソーバ)の一撃で破壊、貫通されている。また、イリスの放つ強化された超音波メスが甲羅に直撃した際も防御しきれずにダメージを負い、出血している描写がある。
- 自衛隊のミサイル攻撃を受けた際にも衝撃までは防ぎきれず、『1』では転倒や飛行中に墜落してしまっており、『3』でも飛行の際に爆撃され、墜落とまでは至らなかったが、大きくバランスを崩し、失速するなどのダメージを受けている。
- 昭和版とは異なり甲羅に身体を引っこめての防御は行わず、『3』で、回転飛行中に鋭利な甲羅の縁を利用した「シェル・カッター」が甲羅を使った唯一の戦法となる。
- 力(パワー)
- 腕力に任せてレギオンの大角を強引に引きちぎり、自分よりも遥かに大柄なレギオンを足止めするなど、怪力の持ち主である。その一方、イリスに取り込まれた綾奈を救出し、長峰や浅黄たちにそっと返すなど、繊細な扱いもできる。
- ガメラブレイン(大脳)
- 三半規管が発達しているため、円盤飛行などによる高速回転でも目が回らない。知能も高い。
- テレパ・ブレイン(小脳)
- 超古代文明の勾玉を持った草薙浅黄との精神波を送受信する。
- 熱エネルギー変換炉(プラズマ変換炉)
- ガメラが全身で吸収した炎、高圧電流、核燃料などから発せられる熱エネルギーを、血液中の電子、陽子、原子核と融合させることで、プラズマエネルギーに変換・貯蔵しておく器官。地球の生命エネルギー「マナ」も、ここでプラズマエネルギーに変換される。全プラズマエネルギーを解放した際のパワーは、予測不可能である。
- エルボークロー(邪斬突)
- 両肘にある鋭い爪のような突起。『1』ではギャオスとの格闘中に肘の皮膚を突き破るように生え、肘打ちのような動作でダメージを与えた。『2』以降は常に飛び出した状態になっている。
- 『1』では組み付いてきたギャオスを遠方まで吹き飛ばし、『2』では自身の数倍の体格はあるレギオンを大きく後退させるなど、非常に強力な武器である。
- カーフクロー(邪撃脚)
- ふくらはぎにある
蹴爪 ()状の突起。相撲の内掛けの要領で敵を転倒させるが、イリスには通用せず、自分が転倒した。 - ヴァリアブル・シェル(可変甲殻)
- 『3』で回転ジェットから着地する際、甲羅の表面を逆立てる。
攻撃技
[編集]- ハード・スラップ(玄武掌)
- 登場作品:『1』
- 主に格闘戦で多用される拳打。
- 福岡港では飛翔する幼体ギャオスを叩き落とした。建物を破壊する際にも用いられることもある。
- ラッシング・クロー(激突貫)
- 登場作品:『3』
- 鋭利な爪で相手の皮膚を引き裂く攻撃。作中では、イリスの胸を貫き体内に取り込まれた綾奈を救出する。
- ブレイク・ファング(餓裂牙)
- 登場作品:『1』『3』
- 鋭い牙と、強力な顎の力を用いた噛み付き攻撃。一度食らいついたら離さない。ギャオスはこれを受けて、自らの足を切断してようやく脱出する。イリスとの空中戦でも使用。
- シェル・カッター(旋斬甲)
- 登場作品:『3』
- 回転ジェットによる体当たり攻撃。『3』のガメラの特徴であるとがった甲羅の側面で敵を切り裂く荒技。イリスとの空中戦で使用しているが、接近しすぎたために直後に超音波メスで切り刻まれて流血してしまった。
- 平成三部作を通して唯一、甲羅を使った技である。
- プラズマ火球(烈火球)
- 登場作品:『1』『2』『3』
- 口からエネルギー火球を放つガメラの必殺技。
- 体内に貯蔵したプラズマエネルギーと酸素を喉にあるチャンバーで融合・圧縮することで強力な電離作用が発生し、凝縮されたエネルギーが火球となって口から噴射される、超放電と超光熱を伴う現象である。万物を瞬時に燃焼させる威力を持ち、連射も可能。作品が進む毎にその威力は上昇していく傾向にあり、『1』や『2』ではビルの一部が吹き飛ぶ程度の威力だったが、『3』では一発で広範囲の市街地が吹き飛んだり、イリスに弾き飛ばされて被弾した地域が一瞬で巨大な炎に包まれている。『1』や『3』のギャオス、ギャオス・ハイパー単体程度なら1発か数発で粉砕できるが、それ以降の敵怪獣の防御、回避も強力なものとなっており、レギオンには干渉波クローによって無効化され、イリスにはテンタクランサーと呼ばれる長い触手によって弾き落とされ、ギャオス・ハイパーは単体の撃墜を物ともしない圧倒的な数で押されたりしており、次第に決定打とはならなくなっている。
- ハイ・プラズマ(超烈火球)
- 登場作品:『1』『2』『3』
- 通常の120パーセント以上の出力で放つプラズマ火球。
- 『1』の対ギャオス戦では自身の墜落によって生じた石油コンビナートの爆発エネルギーを吸収することで放ち、ギャオスを撃破している。また、『2』ではススキノでの初戦で草体の影響により、周囲の酸素が高濃度になっていたことを利用して吸収し、爆発力を増幅させた火球を放ち、草体を炎上させている。この際、
強靭 な肺活量のために周囲には局地的に台風のような猛烈な風が発生した。『3』では、東京渋谷の上空にて最初に撃墜して瀕死状態だったギャオス・ハイパーへのとどめとして使用され、渋谷駅を中心に街が広範囲に渡って炎上している。『1』や『2』と違い、この時は爆発の際のエネルギーや高濃度酸素による増幅ではなく、口内に自らのエネルギーを蓄えることで爆発力を増幅させて放っている。 - 破壊力は大きいが、通常のプラズマ火球と違って速射はできず、発射前には幾分時間がかかっている。
- ウルティメイト・プラズマ(究極超烈火球[注釈 93])
- 登場作品:『2』、『ガメラ2000』
- 『2』で使用されたガメラ究極の必殺技。ガメラが天に向かって咆哮すると地球のエネルギーであるマナが頭上に集まり始め、これを体内に収束してプラズマ変換炉でプラズマエネルギー化し、貯蔵限界までチャージした後に腹甲を開いてプラズマ変換炉を露出し直接放射する。
- 巨大なプラズマの奔流はハイ・プラズマさえ比べものにならない大威力で、レギオンの巨体すら一瞬で粉砕し焼き尽くすほどだが、ガメラの生涯において一度しか使えないとされる。
- 非常に強力だが、地球のエネルギーであるマナを大量に消費するため、この技の使用は地球環境のバランスを崩してしまう恐れがある。『3』の世界各地で起きたギャオス・ハイパーの大量発生も、この技を使ったことが原因の一つだった可能性が示唆されている。作中で浅黄は、(レギオンという強大な敵の前では)ガメラもギリギリ最後の手段として、それを覚悟の上で使用に踏み切らざるを得なかったのではないか、と推測している。
- 一生に一度しか使えないという制限の原因が、ガメラの身体そのものにあるのか、二度使用できるだけのマナが地球上に存在しないからなのかは不明。
- 『ガメラ3』のイリスへの決め技としてデザイン稿の段階では「ウルティメイト・プラズマを再度使用する」という案もあったらしく腹部発射孔が剥き出しになっているデザインも現存している。
- すでに使えないはずの『4』ではギャオス・ハイパーの大群に向けて使用されるが、もはや全滅させるだけの威力には至らなかったうえ、ガメラが力尽きることとなる。
- バニシング・フィスト(爆熱拳)
- 登場作品:『3』、CRガメラ
- ガメラが対イリス戦の土壇場で見せた逆転の技。別名「バニシング・ソード」または「炎の鉄拳」[10]。イリスの放った偽プラズマ火球を、自分で切り落とした右腕の切り口で受け止め、そのエネルギーを吸収して「炎の拳」へ変化させたものである。イリスの腹部の傷に繰り出してねじ込み、体内から爆散させて勝利した。
- 「CRガメラ」シリーズでは、腕を失うこともなく通常の技として使用している。
- 発想の原点として『片腕ドラゴン』が言及されている[116]。また、ストーリー上の観点としてはガメラの「比良坂綾奈への(両親と飼い猫を不可抗力で殺してしまったことへの)償い」だとされている[9]。
- 『マンガボーイズコミックススペシャル:大怪獣ガメラ』には「プラズマ掌打」という技が登場しており[152]、『GAMERA -Rebirth-』に登場した「燼滅手」の英語表記も「Vanishing Fist」である[14]。
- 火炎噴射
- 登場作品:『3[注釈 94]』、『ガメラ:最後の希望』、『攻城戦記◆バハムートグリード』、CRガメラ、『ガメラ4 真実』など
- 本編で厳密に使用している場面はない[注釈 95]が、関連作品では使用している。
- 『ガメラ:最後の希望』では回転ジェットのジェットを火炎噴射として放出して周囲を攻撃したり大爆発を引き起こし、ギャオスの群れや大型化したガラシャープを葬っている[153]。
- バーナー[154]
- 登場作品:『4』
- 四肢のいずれかを甲羅に引き込み、プラズマエネルギー噴射口から長大なエネルギーの剣を噴出させる。本来は『2』または『3』での使用が予定されていた[155]。対アルビノギャオス戦で使用され、勝利の決め技となった。
- ホーミング・プラズマ[154]
- 登場作品:『4』
- 目標を自動追尾するプラズマ火球であり、これによってガメラは次の目標に素早く集中できるが、イリスの念力によって逆に火球がコントロールされる危険性がある。こちらも本来は『2』や『3』での使用が検討されていた[156]。
- 1997年のテレビゲームソフトである『ガメラ 2000』では、ガメラが通常の技として敵を追尾するプラズマ火球を複数同時発射する。
その他の能力
[編集]- 人間の治癒・蘇生
- 『ガメラ 大怪獣空中決戦』では、劇中での最後のスーパーギャオスを倒した後、草薙浅黄に礼のような動作を見せたうえで浅黄の頬や腕の傷を一瞬で治している。『ガメラ3 邪神覚醒』では、人工呼吸と心臓マッサージによる心肺蘇生法でも目を覚まさなかった比良坂綾奈がガメラの咆哮直後に目を覚まし、イリスによって弾き飛ばされていた守部龍成もほぼ同時に目を覚ましている。この時の浅黄と長峰真弓の反応から、ガメラが綾奈または龍成も含めた2人を蘇生したとうかがえる描写がされている。
- 金子によると、ガメラが二人を蘇生した際には周囲の精気がマナを吸収したことが原理として挙げられるが、肉体が四散してしまった倉田と美都の蘇生は不可能だったとされる[10]。
- 『ガメラ2 レギオン襲来』では一転して、焦土と化した仙台にて人々がガメラに祈りを捧げ、草薙浅黄の勾玉によって超常的な現象が発生してガメラが復活するという描写が見られる。
- 噴火
- 2003年の漫画作品『大怪獣激闘 ガメラ対バルゴン:Comic Version』にて披露した能力であり、何らかの超常的な力によって地面や火山を意図的に噴火させる。バルゴンに凍結されたアスファルトの地面を噴火させて自身も回復し、さらにエネルギー補給のために火山帯に飛来して火山を噴火させている[136][157]。
- 再生能力
- Moo.念平による『ガメラ3 邪神覚醒』のコミカライズ版[注釈 96]では、映画版と異なりイリスの「オーバーブースト・プラズマ」に頭部を直撃され、頭部を一時的に破壊されたが瞬時に再生したかのような描写がされており、映画版における「バニシング・フィスト」の代わりにその炎を取り込んだ「プラズマ火球」または「火炎噴射」を用いてイリスを撃破している[158]。
トラウマガメラ
[編集]『ガメラ3 邪神覚醒』劇中の序盤で、比良坂綾奈の悪夢に出てきたガメラ。
G1のギャオス襲撃の際に両親を亡くしたことでガメラを逆恨みする綾奈の夢の中に登場し、より一層ガメラへの憎悪を増させる要因となった。
スーツはG2ガメラの改修版で、G3の姿に準じて、トサカが大きく、甲羅の側面がとげとげしくなっているほか、眼球は白目のみで皮膚がただれたようになっているなど、まがまがしい容姿となっている。
恐ろしい形相に見えるのは、ガメラの墜落に巻き込まれた両親を「ガメラに殺された」と受け止めた綾奈の憎悪によるものであり、イリスによる精神干渉の影響でもあることが示唆されている(綾奈の海馬体はイリスとの融合未遂後、異常に肥大化している)。
当初は粉塵越しの不鮮明な姿であったが、終盤でイリスに取り込まれた綾奈が見たのは現実のガメラとはまったく違う姿であり、ギャオスとの対比から綾奈に真実を気付かせた。
スーツアクターは同じくG2ガメラを演じ、本作品でイリスを演じた大橋明。
新生版のガメラ
[編集]基本データ アヴァンガメラ / トト(志摩出現時) / トト(名古屋出現時) | |||
分類 | カメ類 | ||
---|---|---|---|
年齢 | 不明 | 0歳 | |
体高 | 35 m[159][注釈 97] | 8 m | 30 m[159] |
体長 | 55 m[159][注釈 98] | 10 m | 50 m[159] |
甲羅長径 | 不明 | 不明 | 29.7 m[159] |
甲羅短径 | 不明 | 不明 | 24.7 m[159] |
体重 | 1,200 t[159] | 不明 | 900 t[159] |
大気圏内飛行速度 | 不明 | ||
水中潜航速度 | 不明 | ||
歩幅 | 不明 | ||
エネルギー | 熱エネルギー | ||
武器・技 | 火球 自爆 |
火球 火炎噴射 回転ジェット | |
生息地 | 火山帯のどこか(推測) |
スーツアクターは佐々木俊宜。幼体の撮影には本物のケヅメリクガメが用いられた(一部CG)。
1973年と2006年の個体が登場したが、両者の関係は明らかになっていない。前者は「アヴァンガメラ」と呼ばれる。後者は本作品の主役であり、作品内で孵化し、卵を見つけた相沢透によって「トト」と名付けられた。トトは最初は透の手に乗るほどの大きさであったが急速に成長した。なお、アヴァンガメラもトトもオリジナルギャオスも、体重がこれまでのガメラやギャオスよりも大幅に増加しているが身長や体長は大きく小型化しており[注釈 99]、厳密な正体は不明で超古代文明との関連性も明らかになっておらず[注釈 100]、鳴き声は変更されている。
平成に入って4作目のガメラは昭和ガメラ、平成三部作のガメラとは異なり、33年前(1973年に相当)、オリジナルギャオスの群れに町が襲われるシーンから入る。昭和ガメラのように「人を助けるため自ら怪獣に挑む」という設定になっており、小説版の一つでは、アヴァンガメラは人間たちを守って彼らが山に逃げる時間を稼いで戦闘に巻き込まないために、あえてオリジナルギャオスに対して火球を使わずに体当たりでギャオスを誘導していたとされる[137]。また、平成三部作のように子供と共感して力を発揮するシーンも見られる。
ガメラとは生物としての名称であるが、本作品ではガメラに「トト」という“名前”がつけられている。ガメラが文明の産物ではなく、子供とガメラの成長物語であるということを強調している点も、以前とは異なる部分である。
身体機構(新生版)
[編集]- ガメラアイ[159]
- 視力30.0[注釈 101]だといわれ、紫外線や赤外線を捉え、暗闇や深海でも見ることができる。
- 筋肉ヒートマッスル[159][注釈 102]
- 熱エネルギーによって筋力を増大させる[133]。
- 索敵・交信能力
- 頭部に脳(正義脳)の他、スピリッツ・クリスタルと呼ばれる勾玉状の器官を眉間の奥に持ち、人間とのテレパシーを行ったり、人間の言葉を理解したり、悪の怪獣の出現を察知する能力を持つ。その際、赤い石が共鳴して発光する[159][133][注釈 103]。
- ガメラファング・ガメラクロー[159][133]
- 牙と爪。格闘戦で威力を発揮する。成長途中のトトは威力を発揮できない。
- DNA
- 『ガメラ2006 HARDLINK』にて、アヴァンガメラのDNAはギャオスのDNAを死滅させる効果が確認されている。
- 身体能力
- 小説では、昭和版のようにアクロバティックな動きを見せており、ジーダスを倒す際にハープーン舌をつかんで宙返りして、ジーダスの口に火球を命中させて倒した。
- 手足のトゲ
- トトの未発達の手足のトゲは、乳歯の下の永久歯のように、体内に隠されている[159][133]。
- 高密度骨格
- 頑丈で軽量な骨は、未知の構成物で成る[159][133]。
- 炎紋章
- アヴァンガメラとトトの腹部には「炎」のように見える「
炎紋章 」が存在し、後述の「トトインパクト」や自爆の際に赤い石と同様に赤く発光する[71]。
能力(新生版)
[編集]- 火球・火炎噴射
- アヴァンガメラ・トト共に使用している。子亀や10メートル級のトトは予告編・本編共に予告編・本編共に火炎を単発噴射していて、小説版の一つでは火炎噴射とされている[137]。それ以外は、通常色の火炎に朱色の火炎が混ざった火球を発射する。アヴァンガメラの火球は煙の尾を、トトのトトインパクトは光のような尾を引く。
- 『ガメラ2006 HARDLINK』では、アヴァンガメラは4発の火球を全弾ギャオスに命中させている。
- 飛行
- この作品ではアヴァンガメラは一切飛行しておらず[注釈 104]、トトも幼体時の空中浮遊や、回転ジェット飛行は見せても、尾と後ろ足だけを収納したジェット噴射飛行形態は披露していない。なお、トトの回転ジェットは飛行機雲のような尾を引く。子亀のトトは、四肢や首をひっこめず空気のようなものを噴射して浮遊していた。なお、作中では見せていないが後ろ足からのジェット噴射だけでも飛行が可能とされる[133]。
- 自爆
- アヴァンガメラが最後の手段として使用した。全身が朱色に発光し、虹彩に火炎状の光沢が宿り、体内の全エネルギーを放出して強烈な発光と共に爆発する[71]。オリジナルギャオスを全滅させただけでなく、波切の大王崎の半島を分断する破壊力を持ち、その後周辺では「緋色の真珠」が取れ、名産品となって被災地の復興に貢献した。この真珠は、爆散したガメラのエネルギーの固形体と推測されていた。
- 『ガメラ2006 HARDLINK』では、アヴァンガメラが自爆した後に10万人を10年間動員する大規模な調査が行われたが、ガメラの痕跡は細胞や肉片一つすら発見されなかったとされている。
- トトインパクト
- トトがジーダスを倒す際に使用した火球。自爆と同様、腹部の炎紋章の発光から始まったため、人類には自爆の兆候と誤解された。その後全身が発光し赤熱化し[注釈 105]、朱色の火球を発射した。
- 技名は(昭和のバイラス以降の敵怪獣の名前と同じく)一般公募であり、最終候補には「ガメラバズーカ」「ガメラダマ(牙滅羅魂)[注釈 106]」「ガメバウアー」「ととんぱー」「トト勇気球」「アースボール」「ブラストキャノン」「ド根性ファイヤー」「ちょい悪火球」「じばくと思わせるビーム」「アルファベータ・ガメラ」「アステカ[注釈 107]」などが存在した[162]。また、火球の様相は『スタートレック』シリーズの「光子魚雷」に着想を得ている[71]。
『GAMERA』のガメラ
[編集]基本データ | |
体高 | 65-70 m[163][注釈 108] |
---|---|
武器・能力 | 火炎噴射 飛行 |
ガメラ生誕50周年記念でKADOKAWAが制作したプロモーション作品のガメラ。オールCGで表現されている。
前作同様、全体的に茶色い体色をしている。歴代よりも前傾姿勢が強く、甲羅も図体に比べて大きく、甲羅から血液が流出したような跡があり、煙が上がっている[注釈 109]。上顎よりも分厚い下顎を持ち、尖った鼻先と黄金色の小さな目を持つ。2023年に発売された書籍『平成ガメラ造型写真集』にて正式にモデルが公開されたが、実際の映像作品とは異なりより昭和・平成三部作に近い黒っぽい体色にリペイントされている[116]。
東京に襲来したギャオスの群れに立ち向かい、全滅させるが、その10年後に現れた新たな敵に対し、再び現れて立ち向かう。
能力(GAMERA)
[編集]- 火炎噴射
- 火山の噴火のような爆炎を噴射する。昭和のガメラとは異なり、空気を大量に吸い込んでチャージする描写がある[注釈 110]。小型とはいえ遠方のギャオスの大群を一瞬で
殲滅 する火力と射程と範囲があり、被弾したギャオスの体が沸騰・破裂したり、前方の市街地そのものが消滅している。 - 飛行
- ニューヨーク・コミコン限定のTシャツにラフスケッチが掲載。四肢を引っ込めた状態で頭部は出し、甲羅から「ブースター」を噴射している。
『GAMERA -Rebirth-』のガメラ
[編集]基本データ | |||
体高 | 60 m[164] | ||
---|---|---|---|
体重 | 800 t[164] | ||
飛行速度 | マッハ3(高度1万メートル以下) マッハ6(高度3万メートル以上) 秒速20km(マッハ58以上、地球重力圏突破時)[14] | ||
武器・能力 | 火焔弾など 怪力 飛行 |
概要
[編集]他の怪獣と同様に、超古代文明が戦争と人口の調節装置として生み出した。そのため、他の怪獣とはプラズマや電磁波や重力の生成や「シールド」の使用など共通する能力や身体機構を有しており、ギャオスとジグラ、ジャイガーとバルゴンが同系統であるのと同様に、ガメラもギロンなどと系統を共有している[注釈 111][14]。
小説版にて、佐々木宗篤が少年時代にガメラと遭遇していたことが明かされており、また、その際に佐々木少年が目撃した遺構からガメラが古代に24体の怪獣と戦っていたことが示唆されている[13]。
全体的に大柄な体躯をしている。昭和作品のガメラと同じ身長だが体重は10倍に増加しており、『小さき勇者たち〜ガメラ〜』のガメラに近い体重設定である[注釈 112]。
尖った鼻先や甲羅の形状などの細部は2015年の50周年記念映像のガメラに類似しているが、全体的な体色や首元の装甲、大型化した手足などの変更点も少なくない[注釈 113][116]。また、『小さき勇者たち〜ガメラ〜』のガメラと同じく腹部が発光するが、こちらでは緑色になっている。体色は平成3部作以来となる黒を基調としたものになっている。目は平成3部作や『小さき勇者たち〜ガメラ〜』と同様に緑色であるが、これまでよりもより鮮明な色彩を持つ[注釈 114]。全身に装甲状の鱗を持つ[14]。
体内の「オリリウム」の反応炉で発生させたプラズマエネルギーを全身に循環させる。その際、プラズマが甲羅を中心に体内で円を描いて流れている。また、骨格の構図には人間を思わせる部分も存在するとされる[14][13]。
戦闘時や飛行時などに胸元や喉元の周辺などが青色や緑色などに帯電する[注釈 115]。
能力(GAMERA -Rebirth-)
[編集]- 火焔弾[166](Magma Blaster)
- 口からプラズマエネルギーとパルス放電を併用し、粘性のある強力な"プラズマ火球"である「火焔弾」を発射する[14][166]。高速回転するマグマ状のコアを持ち、パルス放電は特定の波長を持つため、敵の怪獣の「シールド」を中和・貫通し、小型の怪獣であれば直撃しなくても超高温とパルス放電によって死亡する[14][135]。着弾点に衝撃波が発生し、ジャイガーが余波で転倒している。火球の発射時には目の周囲や首筋から火炎の発光が見え[注釈 116]、攻撃をチャージする段階で胸元が帯電する[注釈 117]。
- 燼滅手(Vanishing Fist)
- 前腕を超高熱に加熱して触れる敵を攻撃・焼却する近接技[注釈 118]。ジャイガーが体表から発する耐熱性の粘液を突破するために使われた[14]。
- 小説版では、胸部から発生した電撃が腕へと伝わり、大量の水蒸気と共に技が発動するとされている[135]。また、こちらではエスギャオスに対しても燼滅手を使用しているが、エスギャオスの異常な自己再生能力ゆえに決定打にはならなかった[13]。
- 電磁衝撃波
- 胸部に電撃を発生させ、電磁パルスを伴う衝撃波として発射する[135]。人類のミサイルを無力化してレーダーを攪乱したり、ジグラのエコーロケーションを混乱・ダメージを与え、エスギャオスに対しても使用された。
- シールド
- 他の怪獣と同様に、体表に不可視の「シールド」を発生させ、通常兵器の攻撃によるダメージを軽減する[注釈 119][135]。月に向かった子供たちを追うバイラスとの戦闘では、重力をコントロールしてバイラスの荷電重粒子砲を反射し、後述の「弾丸飛行形態(第二飛行形態)」の状態で体当たりしてバイラスを撃破した[14]。
- 火焔旋撃(Plasma Roller)
- ギロンを倒した技であり、回転ジェットの状態で甲羅の先端を刃物状に変形させ、マッハ5で回転して敵を切り裂く[注釈 120]。特定波長のパルス放電によって敵の「シールド」を中和・貫通する[14]。
- 火焔烈球(Plasma Sphere)[注釈 121]
- 「火焔旋撃」の応用技であり、垂直回転を付与させることで巨大な高速回転する球体となって敵を粉砕する。石垣島・崎枝半島にてエスギャオスに対して使用され、超音波メスも無効化していた[注釈 122][14]。
- 荷電重粒子砲(Moon Buster)[13]
- バイラスと同様に、プラズマエネルギーを使用した荷電重粒子ビームを光輪と共に発射する。地表から月の地下施設を狙撃し、月ごと貫通するという威力を見せるが、この攻撃に全ての残存エネルギーを費やすと、ガメラの全身が青い発光と共に炭化・霧散してしまい、次のガメラの「卵」が残される[注釈 123][14]。
- 身体能力
- ジャイガーを頭上高く持ち上げたり尻尾を掴んで勢いよく叩きつける怪力を持つ[注釈 124]。また、敵怪獣に走りながら素早く突進したり、ジャンプをして敵との距離を詰める場面も存在する。
- 劇中では未披露だが、敵に体当たりする際は四足歩行からの前傾姿勢を見せたり、爪を使ってギャオスの首を切断することも可能である[注釈 125][14]。
- 再生能力
- 他の怪獣と異なり、人間や他の怪獣を捕食して回復・成長する描写は存在しないが、強力な再生能力を持ち、ギロン戦で失った左目と腹部と甲羅の穴は傷跡が残るもののバイラス戦時には回復していた。「オリリウム」のエネルギーの適切な投与によって再生能力が加速する。しかし、ギロン戦で失った右腕は回復しきっておらず、エスギャオスに襲撃される際にも全身が骨折を負っているなどの重傷状態であった[注釈 126]。
- 飛行
- プラズマジェットを噴射して飛行し、体内で液体燃料を生成・点火することでさらに速度を増す[14]。平成3部作同様、後ろ足からのジェット噴射での飛行時には腕をウミガメのヒレ状に変形させる(通常飛行形態)[注釈 127][14]。また、その際はヒレの後部からもジェット噴射を追加で行っている[注釈 128]。複数のミサイルの追撃を翻弄する機動性を発揮する。
- 前腕を収納することで空気抵抗を減らし、頭部を出す飛行形態も存在し(弾丸飛行形態/第二飛行形態)、地球の重力圏の突破の際の超高速飛行や体当たりなどに応用が可能である[注釈 129][14]。
- 回転ジェットの状態では、歴代とは異なり前腕を体内に格納するのではなくて身体に密着する形で畳み込んでいる[14]。
- その他
- 歴代と同様にテレパシー能力を持ち、他の怪獣の精神干渉に影響を受けた人間を補助したり、特定の人間とのリンクによって古代の記憶を人間と共有できるが、ギロン戦のようにガメラの傷が子供の体に痛みとしてリンクしてしまう場面も存在する[注釈 130]。また、ガメラと接触した子供たちには怪獣の接近を近距離から察知する能力が付与されるだけでなく、ボコやギャオスの群れはガメラと接触する以前からガメラの接近を同時に察知する場面がある。また、ガメラの名前はそれそのものが子供の心に希望を与える効果を持ち、人間も「ガメラ」という名前がなぜか正しい名前であると自然に思うようになるという描写も存在する[135]。
ガメラシリーズ全作品リスト
[編集]映画作品
[編集]昭和版
[編集]通番 | 題名 | 公開日 |
---|---|---|
第1作 | 大怪獣ガメラ | 1965年11月27日 |
第2作 | 大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン | 1966年4月17日 |
第3作 | 大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス | 1967年3月15日 |
第4作 | ガメラ対宇宙怪獣バイラス | 1968年3月20日 |
第5作 | ガメラ対大悪獣ギロン | 1969年3月21日 |
第6作 | ガメラ対大魔獣ジャイガー | 1970年3月21日 |
第7作 | ガメラ対深海怪獣ジグラ | 1971年7月17日 |
第8作 | 宇宙怪獣ガメラ | 1980年3月20日 |
平成三部作
[編集]通番 | 題名 | 公開日 |
---|---|---|
第1作 | ガメラ 大怪獣空中決戦 | 1995年3月11日 |
第2作 | ガメラ2 レギオン襲来 | 1996年7月13日 |
第3作 | ガメラ3 邪神覚醒 | 1999年3月6日 |
新生版
[編集]通番 | 題名 | 公開日 |
---|---|---|
第1作 | 小さき勇者たち〜ガメラ〜 | 2006年4月29日 |
ガメラ3関連作品
[編集]- 1999年 『ガメラ巨大生物審議会』
- 2000年 『GAMERA1999』
- 『新世紀エヴァンゲリオン』を監督した庵野秀明による、『ガメラ3』のメイキング。内容の中立性について物議を醸した。
- 『駕瞑羅4 真実』
生誕50周年記念映像
[編集]- 2015年 「ガメラ」生誕50周年記念映像『GAMERA』(監督:石井克人 / 出演:宮藤官九郎、高橋琉晟)[173]
- 映像にはガメラとギャオスのほか、もう1体の怪獣の存在が確認できる。この怪獣は、ガメラがギャオスの大群を焼き払ってから10年後、東京に現れてしなやかな巨体で這うようにして町を破壊していくだけでなく、離れた位置に建つビルを脚部とは別に背部から伸びる1対の腕から放つ不可視の衝撃波(放つ際には腕の先端が一瞬輝く)で球状にくり貫く破壊も行っている。
- ニューヨーク・コミコン2015での初公開後は世界で話題となっており、50周年記念特設サイトも開設されている。2014年秋にKADOKAWAの井上伸一郎やプロデューサーの菊池剛に依頼され、「これは大変そうだと思いつつも、こんな機会はめったにあるものじゃない」と引き受けた石井は、井上の用意したプロットではなくゴジラシリーズなどで実績を持つ都築雄二と相談して独自に作ったプロットを元に、ガメラとギャオスのほか、もう1体の怪獣のデザイン案も描いた。怪獣はすべてCGで表現されているが、石井としては「イリスと似ちゃうかもしれないという危惧もあって、けっこう悩みました」という[174]。
- 約4分強の内容の制作は、長編映画と同様の段取りに絵コンテやプレビズなど、より細かな作業を経てアニメに近いものとなった。CG制作のメインにオムニバス・ジャパンを推薦した都築は、CGチームにとって面倒な作業である、厳密にパースを合わせたレイアウトの作成にこだわった。また、舞台となった六本木はCG向けのデータが揃っていなかったため、美術部とCGチームによるロケハンが何度も行われたという[175]。
- 制作当時、宮藤は自分の撮る映画の準備中だったが、石井の出演依頼を快諾したという。また、石井は完成したばかりの本作品を「今はまだ映像を客観視できない」と評しながらも、「こうすれば怪獣映画は撮れるんだなという手ごたえは感じましたね」と評している[175]。
- 井上は5年ほど、ガメラの新作映画の製作を模索してきたとされている[73]。
未公開・製作中止作品
[編集]- 『ガメラ対氷人』
- 『ガメラ対大邪獣ガラシャープ』
- 1971年ごろに『ガメラ対深海怪獣ジグラ』に続く8作目として企画されていた『ガメラ対双頭怪獣W』を、1991年発売のLD-BOXの映像特典として、ハイライトシーンをイラストとミニチュアによるシミュレーション映像と称して映像化した幻の次回作。ストーリー原案は高橋二三、イラスト・怪獣デザインは井上章、監督は湯浅憲明。登場する怪獣は大邪獣「ガラシャープ」と幻のNG怪獣「マルコブカラッパ」である。
- 『空想科学読本』などで知られる近藤ゆたかが挿絵を担当したストーリーではガラシャープの姿、能力、ストーリーの細部にシミュレーション映像とは差異が見られる[177]。
- 湯浅・高橋・八木正夫・徳間康快などが協力している書籍では、廃案された『ガメラ対双頭怪獣W』を再利用したプロットが掲載されており、「W」こと「ワイバーン」だけでなく、鯨神、ネズラ、パイラ星人も含めた歴代の大映の怪獣・宇宙人系のキャラクターの多くが登場する大規模な構想となっている[17]。
- 漫画作品『マンガボーイズコミックススペシャル:大怪獣ガメラ』にはオリジナル怪獣が複数登場しており、それらの中にはガラシャープ・マルコブカラッパ・ネズラを意識したキャラクターも含まれている[注釈 131]。また、『ガメラ:最後の希望』でも多数のガラシャープと大型個体が登場している[153]。2006年の製作中止のアニメシリーズ『牙滅羅』でもガラシャープやマルコブカラッパの登場が検討されていた[161]。
- 『地球大破滅(ハルマゲドン)- ガメラVS.不死鳥(フェニックス)』
- 高橋二三が1994年の公開を目指してプロットを作成し、1995年の小説『ガメラ対不死鳥』の原案になった[102]。
- 高橋はこの原稿を複数の特撮関係者に送っており、その中には『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』を絶賛して高橋を激励して一緒に仕事がしたいと述べ、1980年代には「大魔神」の復活企画への参加も予定されていた本多猪四郎[62]も含まれていた(高橋二三#来歴・人物を参照)。
- 『ガメラ4』
- 『ゴジラvsガメラ』
- 徳間書店時代に、生前の徳間康快が平成3部作の制作時にクロスオーバーへの興味を表明し、東宝に企画を打診したとされている[75][76]。その後、大映のプロパティーの商号が徳間書店から角川に譲渡された直後の2002年にも黒井和男が「大魔神」のリメイク企画と共に発表し、東宝へとオファーされたが実現せず、『小さき勇者たち〜ガメラ〜』が代わりに制作された[77][78][79]。
- 上述の通り、例えば『大怪獣東京に現わる』[35]のように多数の作品に見られる両キャラクターへのオマージュ[注釈 132]の他にも、『ゴジラバトルライン』[59]や『ガメラ ドリームバトル』[69]の様に直接の本編やシリーズ作品ではないが両キャラクターの版権元や関係者が携わっている事例[注釈 133]や外部作品[注釈 134]で直接的または疑似的な共演歴がある。
- 『小さき勇者たち〜ガメラ〜』の続編
- 『ガメラ』(テレビアニメ)
- 『小さき勇者たち〜ガメラ〜』に合わせてカートゥーンネットワークにて2007年にテレビアニメが放送開始することがアナウンスされた[184][185]。
- 『牙滅羅』(テレビアニメ)
- 『ガメラ3D』
- 2015年の記念映像の前身
- その他
ゲスト出演
[編集]- 『ガメラ対セーラーファイター』
- 『セーラーファイト!』の第3巻映像特典として収録。
- 『コスプレ戦士キューティ・ナイト』Version1.3 / Version1.0
- 『コスプレ戦士キューティ・ナイト2 帝国屋の逆襲』
- 『妖怪大戦争ガーディアンズ外伝 平安百鬼譚』
- 『虚実妖怪百物語』
- その他
- 上述の通りに様々な媒体にガメラや敵怪獣が実際にゲスト登場しており、『駕瞑羅4 真実』以外の自主製作映画として1992年の『The Slammie Bros. vs. Godzilla and Gamera』が存在する他、様々なオマージュを含め、『大怪獣東京に現わる』など明確にガメラを意識したと思わしい作品などが多数見られる[35]。音楽面でも、トータスの『ミリオンズ・ナウ・リヴィング・ウィル・ネヴァー・ダイ』、ブラッカリシャス(英語版)の『パラグラフ・プレジデント』[192]、金属恵比須の『邪神覚醒』[193]、Oxygen Destroyerの『Guardian of the Universe』[194]などがガメラをテーマにした曲を制作したり歌詞で言及している。
アニメ作品
[編集]- 『GAMERA -Rebirth-』(2023年)
漫画作品
[編集]- 1984年 『大怪獣ガメラ』〈永島書店〉
- 1994年 『大怪獣ガメラ』作:寺沢健一郎、画:破李拳竜(月刊マンガボーイズ 1994年11月号 - 1995年2月号掲載)
- 1994年 『おまかせ! ガメラくん』むさしのあつし(てれびくん連載)
- 1999年 『ガメラ2 レギオン襲来 COMIC VERSION』
- 1999年 『ガメラ対モルフォス』Moo.念平(『アニメージュ』1999年1月増刊号に読み切り掲載)
- 1999年 『ガメラ外伝Ver2.5』 島村英靖(少年チャンピオン 1999年14号 - 15号掲載)
- 2003年 『大怪獣激闘 ガメラ対バルゴン COMIC VERSION』近藤和久
- 2006年 『ガメラ2006 HARDLINK』Ark Performance
- 2006年 『ガメラ~小さき勇者たち~プロローグ』
- 2023年 『GAMERA -Rebirth- コードテルソス』カンブリア爆発太郎(ヤングエースUP)
コミカライズ作品
[編集]- 『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』馬場秀夫『少年ブック』(集英社)の1967年正月増刊号付録
- 『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』中沢啓治 光文社発行の少年誌『少年』の1967年4月号別冊付録「少年コミックス」とB5判サイズの単行本
- 1968年 『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』井上智 秋田書店の漫画雑誌『別冊まんが王』とB5判サイズの単行本
- 『ガメラ対大悪獣ギロン』中沢啓治 別冊まんが王 1969年春季号
- 1970年 『ガメラ対大魔獣ジャイガー』一峰大二 『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)とB5判サイズの単行本
- 『ガメラ対深海怪獣ジグラ』すずき勝利 別冊冒険王 1971年夏季号
- 1995年1月1日『大怪獣ガメラ1 伝説の巨大モンスター大出現!!の巻』槙村ただし (徳間書店の少年キャプテンコミックススペシャル)
- 1995年2月20日『大怪獣ガメラ2 大怪獣空中戦ガメラ対ギャオスの巻』浜田よしみ (徳間書店の少年キャプテンコミックススペシャル)
- 1995年2月1日『大怪獣ガメラ3 大怪獣決闘ガメラ対バルゴンの巻』小山田つとむ (徳間書店の少年キャプテンコミックススペシャル)
- 1995年3月25日『大怪獣ガメラ4 大怪獣宇宙戦ガメラ対バイラスの巻』槙村ただし (徳間書店の少年キャプテンコミックススペシャル)
- 1995年3月25日『大怪獣ガメラ5:大悪獣決闘ガメラ対ギロンの巻』はまだよしみ (徳間書店の少年キャプテンコミックススペシャル)
- 1995年4月25日『大怪獣ガメラ6:大魔獣激突ガメラ対ジャイガーの巻』小山田つとむ (徳間書店の少年キャプテンコミックススペシャル)
- 1995年4月25日『大怪獣ガメラ7 大怪獣深海戦ガメラ対ジグラの巻』槙村ただし (徳間書店の少年キャプテンコミックススペシャル)
- 1995年4月25日『大怪獣ガメラ8:宇宙最強!!6大怪獣軍団と大乱戦の巻』はまだよしみ (徳間書店の少年キャプテンコミックススペシャル)
- 『別冊コロコロコミック』に掲載された平成ガメラ3部作の伊藤和典脚本に基づくコミカライズ版。公開に先立って読み切り掲載された。
- 1995年 『ガメラ 大怪獣空中決戦』たかや健二(てんとう虫コミックススペシャル発売)
- 1996年 『ガメラ2 レギオン襲来』てしろぎたかし(1996年6月てんとう虫コミックススペシャル発売)
- 1999年 4月号『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』Moo.念平(未単行本化)
- 1995年3月25日 『ガメラ大怪獣空中決戦大百科』(立風書房) (立風書房) (『大怪獣空中決戦』の漫画化も含む)
- 2006年 『ガメラ~小さき勇者たち~プロローグ』津島直人(特撮エース15号、未単行本化)[157]
- 2023年 『GAMERA-Rebirth-』貴島煉瓦(タテスクコミック)
アメコミック作品
[編集]- 1996年 『ガメラ:宇宙の守護神』(Gamera: Guardian of the Universe) [196]
- 2017年 『ガメラ:最後の希望』(Gamera: The Last Hope)
ゲーム作品
[編集]- 『大怪獣ガメラ伝説: Macintosh&Windowsマシン対応』 (ナツメ社CD-ROMブック)
- Macintosh&Windows CD-ROM用。
- 1995年3月3日 『ガメラ 大怪獣空中決戦』(メーカー:エンジェル)
- ゲームボーイ用。
- 1995年3月22日 『ガメラ - ザ・タイム・アドベンチャー -』(メーカー:バンダイ)
- プレイディア用。
- 1995年6月30日 『ガメラ ギャオス撃滅作戦』(メーカー:サミー)
- スーパーファミコン用。ストーリー・設定は平成ガメラシリーズに基づいているが、昭和ガメラシリーズへのオマージュを含めたステージがある。登場する怪獣はガメラとギャオスのみ。プレイヤーは自衛隊の指揮官となり、ガメラ及びギャオスへの掃討作戦が成功するように指揮する(裏技を使えば怪獣も操作可能)。
- 1997年4月25日 『ガメラ2000』(メーカー:デジタルフロンティア)
- PlayStation用。タイトルの「2000」はゲームの舞台となる時代が西暦2000年であることから。ストーリー・設定は平成ガメラシリーズに基づいており、「世界各地で大発生したギャオスとの戦い」という映画3作目を先どったような内容である(ただし、実際の映画では2000年を待たずしてイリス覚醒などが起こっており、だいぶズレは生じている)。ゲームは画面の奥を前方と見なす3Dシューティングで、プレイヤーが直接コントロールするのはガメラではなく戦闘機。ガメラはプレイヤー機の援護役として自機のロックオンに合わせてホーミング弾を放つ。なお、2Pでガメラだけを操作することもできる。当時、同じ3Dシューティングの名作『パンツァードラグーン』に似たゲーム、と評されることが多かった。漫才コンビ「パックンマックン」のパックンが実写ムービーデモに出演している。
- 製作はタイトーが協力し、本作品の曲はタイトーサウンドチームのZUNTATAによるもの。
- 1998年 『The Tower II』(メーカー:OPeNBooK→オープンブック9003)。Classic Mac OS、Windows用。このゲームのプラグインマップに、『ガメラ3』とタイアップした「京都駅ビル GIII」がある。
- 1999年3月25日 『ガメラ ドリームバトル』(メーカー:セガ)
- 2012年 『ガメラバトル』(メーカー:角川コンテンツゲート、ORATTA アイテム:課金制〈通信費は別途かかる〉)
- 2015年11月 『ガメラ対モンギア』(メーカー:セガ)
- 2017年10月19日 『巨影都市』(開発元:グランゼーラ、発売元:バンダイナムコエンターテインメント)
- PlayStation 4用。本作品において、ガメラは人類の脅威「巨影」の一体として登場する。
- 2023年 『青鬼オンライン』
- 『GAMERA -Rebirth-』とのコラボレーションが行われた[198]。
- 2023-2024年 『ゴジラバトルライン』
カードゲーム
[編集]- 2024年 『UNION ARENA(ユニオンアリーナ)』
- 『GAMERA -Rebirth-』とのコラボレーションが行われた[199]。
小説作品
[編集]- 1995年 『ガメラ-大怪獣空中決戦』著:伊藤和典、イラスト:開田裕治・樋口真嗣、小学館 スーパークエスト文庫。1995年6月1日 初版第1刷。
- 1995年 『ガメラVS不死鳥(フェニックス)―愛と感動の怪獣戦争(バトル)』著:高橋二三、イラスト:柳柊二、小学館 スーパークエスト文庫。1995年5月1日 初版第1刷[103]。
- 2006年 『僕とトトの物語—映画『小さき勇者たち ガメラ』(角川文庫、2006年発行、ISBN 4043818017)
- 2006年 『ともだち 小さき勇者たち〜ガメラ〜』(エンターブレイン、2006年発行、ISBN 4757728050)
- 2015年 『怪獣文藝の逆襲』
- 2023-24年 『小説 GAMERA -Rebirth-』上下巻(瀬下寛之、じん、角川文庫)
ソノシートのオリジナル音声ドラマ
[編集]- 1967年 『ガメラの歌』 朝日ソノラマ(キングレコードレーベル)
- 1968年 『ガメラマーチ』/『ぼくらのガメラ』朝日ソノラマ(大映レコードレーベル)
- 1970年 『ガメラマーチ』/「迫力ドラマ」『ガメラ対ジャイガーの大死闘』(脚本:辻真先)朝日ソノラマ(大映レコードレーベル)
ムック
[編集]CM
[編集]- 1989年ごろ、カルビー『カルコーン』(後の商品名、焼きもろこし)CMに着ぐるみが出演。
- 2010年11月より三井住友海上『GK』CMに出演。スーツは『ガメラ 大怪獣空中決戦』を元に復刻。共演は堀北真希。共演に篠原ゆき子と玄覺悠子。制作陣には若狭新一およびモンスターズ、大橋明、川西純などが参加している[200][201]。
パチンコ・パチスロ
[編集]- パチンコ
- 以下、いずれもメーカーはサミーによる製造。
- 2001年 『CRガメラR』
- 2001年 『CRガメラS』
- 2006年 『CRガメラエクストリームバトル』(型式名:CRガメラ+2X)
- 2009年 『CRガメラTHE BATTLE PACHINKO』(型式名:CRガメラHVJ)
- 以下、メーカーがタイヨーエレックによる製造。
- 2015年 『CRガメラ』
- パチスロ
- 以下、いずれもメーカーはフィールズがロデオブランド(現在はフィールズと提携を解消)で製造。
- 2000年 『ガメラ』(4号機)
- 2001年 『オオガメラ』(4号機)
- 2004年 『ガメラハイグレードビジョン』(4号機)
- 2010年 『ガメラZS』(5号機)
ガメラマーチ
[編集]『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』以降の旧大映ガメラ映画の主題歌。ガメラの強さを歌い、頑張れと励ます内容である。当時大映専務の永田秀雅が作詞、音楽を担当していた広瀬健次郎が作曲した。演奏は大映児童合唱団、大映レコーディングオーケストラ。「大映児童合唱団」とはいうものの、実際にはその辺の子供を連れてきて歌わせたものだと監督・湯浅は語っている。歌詞は3番まであり、1番では「悪魔の虹」、2番では「殺人音波」、3番では「宇宙怪獣」が登場し、それぞれ対バルゴン、対ギャオス、対バイラスを思わせる。それぞれ、「火炎噴射攻撃」、「かみつき攻撃」、「回転ジェットによる体当たり攻撃」が技として挙げられている。
同じ作者、演奏者による「ぼくらのガメラ」も使われた。こちらはガメラの大きさ、各種の技、戦車のような強さ、「ぼくら子供達」の友達であることを歌っている。
2021年の『ネズラ1964』では、『ガメラマーチ』のオマージュとして『ネズラマーチ』が作成された[202]。
「ガメラ」の名を付けられた古生物
[編集]20世紀末、中国において、6500万年前の地層から新種の亀の化石が発見され、怪獣ファンでもあるカナダの古生物学者リー・ヴァン・ヴェーレンによって1993年に「シネミス・ガメラ」との学名がつけられた。甲羅の後方左右についている翼状の突起物が飛行する亀を思わせたため(無論、実際には飛行するためではなく、水中を泳ぐために適応した結果の形状だと考えられている)、そこから飛行する亀=ガメラと連想したという。
また、白亜紀後期の北米から発見されている亀である「ガメラバエナ(英語版)」も、やはりガメラに因んで命名されるという経歴を経ている。
なお、とあるノドサウルス科の著名な個体の化石が「Gamera」と名付けられている(英語版)。
関連項目
[編集]- 大魔神・妖怪シリーズ
- 角川大映スタジオ
- ゴジラ・ガメラ・ウルトラマン!怪獣クイズだ大集合!!
- ワニガメ - ガメラの姿のモチーフの一つ。
- 調布市 - ガメラ・大魔神・水木しげるによるキャラクター群(『ゲゲゲの鬼太郎』や『悪魔くん』)をイメージキャラクターに設定しており、駅の構内やマンホールなど至るところにこれらのキャラクター達が描かれたり関連道具が展示されており、町の応援キャラクターである「ガチョラ」はガメラに因んでデザイン・命名されている[52][53]。
- 戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITED
- 大怪獣ヨンガリ - ガメラの製作陣が携わった怪獣作品。
- メリーランド大学カレッジパーク校 - 開発した人力のヘリコプター(Gamera I、Gamera II)の名前にガメラを起用している。
- ワシントン州立大学 (プルマン) - 脚を欠損したケヅメリクガメに歩行用の補助装備を取り付け、『小さき勇者たち〜ガメラ〜』に因んで「Gamera」と名付けている[203][204][205]。
- MS&ADインシュアランスグループホールディングス - 「GKシリーズ」のCMにガメラを起用。造型は『ガメラ 大怪獣空中決戦』のものを踏襲している。
- J/FPS-5 - 日本のミサイル防衛の中核となるフェーズドアレイレーダー。亀甲形のタイルを組み合わせた円形のカバーから、専門誌やマスコミでは「ガメラレーダー」と呼ばれている。
- 菊地敏之 - 日本のフリークライマーであり、「ガメラ」という通称でも知られている[206]。
- ビッグモーター - 2023年に伊藤忠商事がビッグモーターの諸問題を受けて同社を買収する際に、買収プロジェクトのコードネームが「ガメラ」であったとしている[207]。
- キングコング (1976年の映画) - ピーター・カレンのキングコングの声は、『小さき勇者たち〜ガメラ〜』のガメラの声の一部に使われている。『極地からの怪物 大カマキリの脅威』で使用された生物の鳴き声も、1976年の『キングコング』や『小さき勇者たち〜ガメラ〜』のガメラ、『怪獣大決戦ヤンガリー』のヤンガリーなどに使われている。
- デジモンテイマーズ・ウルトラマンティガ - 小中千昭・小中和哉兄弟が『ガメラ 大怪獣空中決戦』用に準備した初期(伊藤和典らが携わる以前)の構想「小中ガメラ」は、『デジモンテイマーズ』や『小さき勇者たち〜ガメラ〜』の原案になるなどの影響を与えた [208][9][209]。
- モンスター・ヴァース - 前身の企画の一つとして『ガメラ3D』が存在し、このシリーズにおけるゴジラや敵怪獣や登場キャラクターの設定や描写は金子修介作品(平成ガメラシリーズおよび『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』)との類似点が指摘され、金子自身も類似性を認識している[19][210]。また、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』のコンセプトアートの一つにはガメラに酷似した怪獣またはガメラ自身が描かれている[211]。また、ジャレッド・クリシェフスキーによれば、『ゴジラxコング 新たなる帝国』に登場した冷凍怪獣のシーモ(Shimo)は製作段階でバルゴンの影響を受けているとされる[212][213]。
- Fukushima 50 - 井上伸一郎や三池敏夫などが携わり、平成ガメラ三部作を意識した作風になっている[119]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 「Friend to All Children」という表記も存在する。[3][4][5][6]
- ^ フェーズシックスコミックス出版の海外作品の邦題も『ガメラ:宇宙の守護神』である[7]。
- ^ 平成3部作で見られた表記であり、2018年に『ガメラ:宇宙の守護神』の特典として収録されたマット・フランクによる『ガメラ:最後の希望』のタイトルでも踏襲されている[8]。また、『GAMERA -Rebirth-』の作中でも、とある古代人がこの表現を使う場面が存在する。
- ^ 後述の2015年の50周年記念映像公開の際に見られた表記である。『ガメラ 大怪獣空中決戦』の初期稿の「小中ガメラ」においても、古代インドの遺跡に伝承が伝わる「世界の危機に現れるとされる、大地の底で眠り続ける神・ガメーラ」という呼称が存在した[9]。
- ^ 平成三部作で関連付けられた概念だが、後述の小説作品である『妖怪大戦争ガーディアンズ外伝 平安百鬼譚』と『聖獣戦記 白い影』では「玄武」という呼称が専ら使われている[11][12]。
- ^ 「大怪獣ガメラ」および「小さな勇者」[13]。『大怪獣ガメラ』と『小さき勇者たち〜ガメラ〜』に準じている。
- ^ 平成三部作および『GAMERA -Rebirth-』。
- ^ 『妖怪大戦争ガーディアンズ外伝 平安百鬼譚』[11]および『聖獣戦記 白い影』[12]。
- ^ 英語では一般的に「he」という表現が使われ、平成三部作では草薙浅黄が「父」や「恋人」や「元カレ」に類似する感情を抱いていたり、『ガメラ3 邪神覚醒』の最終稿の一つでは浅黄がガメラへの想いを断ち切れないために人間の男性たちとの恋愛に踏み切れないという描写も考案されていた[9]。『GAMERA -Rebirth-』でも和多大輝(ボコ)がガメラに「父」の面影を見ているとされる[14]。『小さき勇者たち〜ガメラ〜』や『GAMERA -Rebirth-』でもガメラ達は卵を残す一方で本編や関連書籍では雄である様な描写がされている。一方で、『妖怪大戦争ガーディアンズ外伝 平安百鬼譚』では「老女」とされている[11]。
- ^ メカ・ストライサンドの大迷惑[26]
- ^ ゴジラシリーズ[19]、クッパ(マリオシリーズ)[20][21]、ポケットモンスターシリーズ[22][23][24][25]、『サウスパーク』[注釈 10]、『銀魂』[27]などの多数の作品に見られる部分的や比喩的なオマージュの他にも、『ドラゴンボール』や『Dr.スランプ』の「ガメラ」と「子ガメラ」[28]、『メガトーキョー』の「ガメル」、『ザ・シンプソンズ』[29][26]、『うる星やつら』[29][30]、『DAICON III OPENING ANIMATION』[31]、『フランクリン』[32]、『焼きたて!!ジャぱん』[33]、『虚実妖怪百物語』[34]、『ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて』[29]、『ぱにぽにだっしゅ!』[29]、町田康の『浄土』、柴田よしきの『炎都』など[35]、直接的なキャラクターとしてガメラや敵怪獣が各作品の本編やオープニング映像などに登場する。また、後述の通り、ガメラをテーマにした音楽作品や、『パシフィック・リム: アップライジング』[36]、『ボルテスV レガシー』[37]、『僕のヒーローアカデミア』[38]、『らき☆すた』[39]、佐々木主浩、ギャオス内藤、会社名[40][41]などの、直接ガメラや関係事象の名称を導入している事例や、ガメラとゴジラに因んで名付けられたキャラクターが登場する事例も見られる。マウンテンデューのラベルにもガメラを意識したキャラクターが採用された事がある[42]。
- ^ 庵野秀明(『新世紀エヴァンゲリオン』など。『GAMERA1999』も製作している。)[43]、ギレルモ・デル・トロ[44]、諫山創(『進撃の巨人』など)[45][46]、堀越耕平(『僕のヒーローアカデミア』など)[47], 有川浩(『図書館戦争』や『クジラの彼』など)[48]、山本貴嗣(『メタルマックス』など)[49]、ジェレミー・ロビンソン(『ネメシス・サーガ』など)[50]、藤村忠寿(『水曜どうでしょう』など)[51]など。
- ^ 大橋明は自身が演じたガメラにはブルース・リーのイメージが投影されているとしており、11月27日が(大魔神とダイモンを演じ『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』や『鯨神』などにも出演した橋本力とも共演歴がある)ブルース・リーの誕生日でもあることの偶然性を挙げている[54]。
- ^ 本多猪四郎が『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』を絶賛して高橋二三を激励して一緒に仕事がしたいと伝えたエピソードもあり(本多と高橋は後述の『ガメラ対不死鳥』の際にも交流があり、1980年代には本多が「大魔神」を制作する話もあった)[60][61][62]、昭和のゴジラシリーズの後期でゴジラがより正義の味方的な立ち位置になっただけでなく、「ミニラ」が登場したり[63]、作風がより子供向けになり、キャラクターとしての怪獣により焦点が当てられるようになった。敵怪獣もより奇抜になり、円谷英二がキリスト教への信仰ゆえに流血描写を嫌っていたにもかかわらず流血する場面が増えたのはガメラシリーズの影響であるという指摘も存在する[16][17][18]。また、『モンスター・ヴァース』をふくめて『ゴジラvsスペースゴジラ』以降のゴジラ作品にも平成ガメラ三部作の影響が指摘されている[18][19][64][65][66]。
- ^ 宣伝費も含めた予算不足、マーケティングの減少、知名度の低下、大映の倒産によって配給体制が失われて以降は他社に映画配給を依存せざるを得ない状況、限定された配給規模、ゴジラシリーズとの競合とそれに起因する怪獣映画の人気自体が低迷している時期での新作の公開、阪神・淡路大震災など[16][67][68]。
- ^ 「ガメラ」「大魔神」「妖怪シリーズ」
- ^ 1980年の『宇宙怪獣ガメラ』や2006年の『小さき勇者たち〜ガメラ〜』は『メカゴジラの逆襲』や『ゴジラ FINAL WARS』の興行結果の不振によって東宝がゴジラ作品の製作を休止していたことを受けて製作された[16][71]。また、平成ゴジラシリーズは本来は『ゴジラvsメカゴジラ』や『ゴジラvsスペースゴジラ』を最終作と予定されており、『ガメラ 大怪獣空中決戦』の製作が開始された時期も合致していた[9][72]。平成三部作の配給も東宝洋画系であり、ゴジラシリーズの配給を行っていた東宝邦画系よりも上映館数も大幅に少なかった。2015年がガメラの生誕50周年であったが、本来は映画化を目指していたものの新規の映画作品は製作されておらず[73][74]、一方で「ゴジラシリーズ」は、『ガメラ3D』が前身の企画として存在し金子修介も平成ガメラ三部作との類似性を認識している『モンスター・ヴァース』が2014年からはじまり[19]、以降も劇場公開および定額制動画配信サービスの両方において継続的に展開されている。2023年に『GAMERA -Rebirth-』が配信されたNetflixにおいても、『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』が2021年に配信されていた。
- ^ 『宇宙怪獣ガメラ』と『ガメラ3 邪神覚醒』と『小さき勇者たち〜ガメラ〜』が制作・公開された時期は、ゴジラシリーズの休眠および怪獣映画というジャンル自体の人気が低迷している時期(「冬」)でもあったとされている[16][71][10]。
- ^ 多数の作品でガメラとゴジラの両者へのオマージュが見られ[35]、『ゴジラバトルライン』[59]や後述の様々な外部の作品やイベントでは、ガメラとゴジラや、その他の両シリーズの登場怪獣が実際に共演している。未公開・製作中止作品も参照。
- ^ ガメラというキャラクターが正義の存在であるという事や、ゴジラシリーズとは異なるフランチャイズである事などの多くの面が「忘れられ」、新規層からはゴジラの模倣に過ぎないと思われたり、亀をモチーフとしていること自体や子供向けの作風なども「子供だまし」などの「食わず嫌い」的な反応を新規層に引き起こして敬遠される材料にもなってきたとされている。このような知名度の低下なども興行収入にも悪影響を及ぼしてきたとされている[16][71][81][10]。
- ^ 『小さき勇者たち〜ガメラ〜』の敵怪獣であるジーダスも当初は頭足類型の怪獣として検討されており、別名も「海魔獣」である[71]。
- ^ 『ダゴラ』も『ネズラ』も生きた動物を用いて撮影しようとしたことが原因で頓挫したとされている。その後、これらを意識した作品として、2020年と2021年に横川寛人による『ネズラ1964』と『ヤツアシ』が制作された[83]。
- ^ うしお自身やピー・プロダクションが大映作品群のタイトルを担当したり『鯨神』や『釈迦』などにも携わってきた経歴を持ち、湯浅憲明、高橋二三、菊池俊輔、高山良策、開米栄三、渡辺善夫、田賀保などのガメラシリーズの関係者や大橋史典や的場徹などのその他の大映特撮の関係者も『電人ザボーガー』や『怪獣王子』や『マグマ大使』や『スペクトルマン』の様なピー・プロダクションの作品群に参加してきた。
- ^ 田賀保、原口智生、日本映像クリエイティブ、ヒルマモデルクラフトなどのピー・プロダクションのプロジェクトに参加してきた面々も後にガメラシリーズに関与している。
- ^ 鷺巣詩郎も、大映の倒産後ではあるが大映テレビによる『青い瞳の聖ライフ』や『青春オーロラ・スピン スワンの涙』に参加したり[87]、ガメラシリーズに関与してきた庵野秀明や樋口真嗣の作品でありガメラシリーズにも影響を受けてきたとされるフランチャイズの作品(『シン・ゴジラ』、『シン・ウルトラマン』、『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズ[43]、『進撃の巨人』[45][46])に参加している。また、ピアニストの宮城純子を『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の折に樋口に紹介したのも、彼女が平成ガメラ3部作の大ファンだったからだとしている[88]。
- ^ 大映は『ダゴラ』と『ネズラ』に生きた動物を使用して失敗したが、後述の通り、ガメラの生みの親の一人である永田雅一によって主導された六社協定により、大映自身も東宝の特撮技術を使えない状況にあった[16]。
- ^ 『怪人二十面相』や『白い牙』や『GO!GOスカイヤー』など。
- ^ 六社協定の影響により、他社が東宝の『ゴジラ』の成功を安易に追従することができない状況にあった。『大怪獣ガメラ』の公開は翌年の『ウルトラQ』よりも先であり、『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』の公開も『ウルトラマン』の放送開始よりも先行している。また、政界との繋がりを持っていた永田によって促進された「映画輸出振興協会」の設立は、『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』や『大魔神逆襲』などの大映作品や『大巨獣ガッパ』や『宇宙大怪獣ギララ』などの他社作品群への同協会からの融資へと帰結した[60][90]。
- ^ 戦後の日本における最初期のSF特撮作品とされる1949年の『虹男』と『透明人間現わる』の制作を主導したのも永田雅一であり、これらの制作に携わっていた円谷英二や有川貞昌や荒木秀三郎は(公職追放や東宝争議などのためにに東宝を退職していたため)大映に入社しようとしていたが断念している。また、永田雅一と円谷は1930年代からの交流があった[90]。一方で、円谷の弟子である築地米三郎や渡辺善夫は『大怪獣ガメラ』の他にその前身である『大群獣ネズラ』、「大魔神」、「妖怪シリーズ」、『宇宙人東京に現わる』などの「ガメラシリーズ」と関連性を持つ大映特撮作品群にも携わった[86]。また、『ネズラ1964』にはモデル名こそ名言されていないが円谷を意識したキャラクター(古谷敏演)が登場しており[91]、後述の通り湯浅が携わっていた『ウルトラマン80』や『アニメちゃん』や『コメットさん』などガメラシリーズと円谷プロダクション(とくにウルトラシリーズ)はこれまで関係者を共有したり製作面で互いに影響を与えてきた部分がある[92]。
- ^ 戦後の日本における最初のモンスター映画の上映だった。
- ^ 『原子怪獣現わる』と同様に、北極圏の氷の下に眠っていた古代怪獣が、飛行機に起因する核爆発によって復活した後に別の国々の灯台や大都市を襲撃する。『キング・コング』の小説版と同様に、怪獣と主役の人間との交流が描かれ、怪獣とモチーフを共有する動物種のペットが登場する[17]。
- ^ 開米栄三、高山良策、八木正夫(父の勘寿と叔父の康栄も『ゴジラ』以降の数々の東宝怪獣作品に携わっている[94][95][96])、大橋史典、鈴木昶、三上陸男、築地米三郎、渡辺善夫など。上記の通り、円谷自身も1930年代から永田雅一との関係性を持っていたり[90]、六社協定の調印以前の1940年代後半までは大映作品群に携わっており(『ネズラ1964』でも大映と円谷の交流は描かれている[91])、大映で築地を指南した他、『透明人間現わる』の制作の折に円谷自身や有川貞昌や荒木秀三郎が、公職追放や東宝争議の影響で東宝を退社したゆえに大映に入社しようとしており[86]、後に湯浅自身も含めてガメラシリーズと円谷プロダクションの間には制作上の関係性が生じてきた。
- ^ たとえば生前の湯浅もゴジラシリーズとの差別化の必要性を説いていた[97]
- ^ 特撮ファンが真剣に鑑賞する東宝作品とは異なり、ガメラシリーズの場合は子供たちがガメラを応援しながら「楽しく」鑑賞する「お祭り」のような雰囲気であったとされる。
- ^ 鳴き声にも感情を込める事が意識され、ガメラの感情毎に鳴き声のバリエーションが存在したともされる。また、子供の観客がガメラに憐みと哀愁と共感を抱くことを狙って「ガメラを泣かせる」ことも考案されたという[84]。
- ^ 上述の通り、この2作品は永田雅一の影響を受けて設立に至った「映画輸出振興協会」からの融資を『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』や『大魔神逆襲』などの大映作品と共に受けている[60][90]。
- ^ 村瀬継蔵によれば、当時は『大怪獣ガメラ』以前の非東宝系の巨大生物を描いた特撮作品はやはり大映による1962年の『鯨神』しか存在しなかったため、1965年の『大怪獣ガメラ』と翌年の『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』以降に他会社による怪獣映画が急増したことに関して六社協定の規律を破って円谷が日活や松竹に助力していたことは明白だったとしている。
- ^ 湯浅憲明が子供の頃、戦前と戦後に体験した「政治的な事情によって子供をプロパガンダによって誘導する大人」を経験してきたため、湯浅はガメラを「子供たちが常に信頼を置ける存在」としてデザインしたとされている[98]。また、永田秀雅(英語版)は「子供をいい子に育てたい」という願いを込めて子供向けの方向性を重要視していたとされる[84]。
- ^ ゴジラシリーズとの差別化や、限られた予算の中でストーリーを構築して特撮に費やされる費用を抑えるためだけでなく、子供をあえて登場させず湯浅憲明が監督しなかった『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』の上映時に観客の子供たちが飽きて席を立つことが目立ったことに着目し、『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』以降は子供が食事を取ったり奇抜なアイディアで状況を打開したり、ガメラが鉄棒や音楽を披露したり、『ガメラマーチ』をはじめとするガメラを応援するテーマソングを制作するなど、子供の観客が飽きずに関心・共感できる要素や演出を可能な限り導入したとされている。
- ^ 『大怪獣ガメラ』の成功で大映は一時的に持ち直したものの、『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』のころには『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』の四分の一弱、『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』の三分の一弱の予算に減少し、その後も予算は下がり続けたとされる。
- ^ 一方で、『ガメラ対大悪獣ギロン』におけるギロンによる宇宙ギャオスの殺害描写には海外からもクレームが入って輸出版ではカットされている[84]。
- ^ たとえば東宝のキングギドラのようなデザインの怪獣は作ることができず、バイラスの却下された能力の一つとしては酸性の粘液を敵の体内に注入して攻撃するというものもあったと言及されている[16]。
- ^ 平成三部作は東宝の(ゴジラシリーズとは異なり)東宝洋画系によって、『小さき勇者たち〜ガメラ〜』も松竹によって配給されており、『GAMERA -Rebirth-』もNetflixによる配信作品である。2005年の『妖怪大戦争』や『妖怪大戦争 ガーディアンズ』もやはり松竹や東宝との共同配給である。
- ^ 「大魔神」は人間と直接的なやり取りを行う大きさであるために、実寸大のセットやモデルや小道具などより予算が必要になることが復活の足枷になっているとされている[67][70]。大魔神の復活の計画はその後も幾度か企図されており、平成ガメラ三部作の折には藤谷文子の実父であるスティーブン・セガールを主演とした企画が構想されたり、『小さき勇者たち〜ガメラ〜』と同時期に三池崇史も企画していた。その後、三池は2021年に(外伝作品でガメラも登場した[11][99])『妖怪大戦争 ガーディアンズ』にて大魔神を登場させている[71][70][100]。
- ^ 実相寺昭雄は(企画段階も含めれば)金子・伊藤・樋口の全員が携わっており(他にはじんのひろあきや島田満なども関与していた[92])、平成ガメラ三部作にも影響を与えた『ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説』を監督している[101]。
- ^ 『ガメラ 大怪獣空中決戦』は450万米ドル[104]、『ガメラ2 レギオン襲来』は500万米ドル[105]、『ゴジラvsスペースゴジラ』と『ゴジラvsデストロイア』は1,000万米ドル規模[106]。 徳間書店側が当初提示した『ガメラ 大怪獣空中決戦』の予算は約5億円だったが、金子の要望であった最低6億円を確保するために日本テレビと博報堂が共同出資するという契約になったが、この契約のために徳間書店側の収益が制作費がオーバーしても比率が変わらず、仮に本作がヒットしてもペイしないという状況に陥ったとされている[107]。
- ^ 配給面だけでなく、市街地が破壊される描写が震災の被災者の心理に与える影響も憂慮されたとされ、金子自身も被災現場を東宝の関係者の案内で訪れている[68]。
- ^ 平成三部作は前述の頓挫して実相寺昭雄に引き継がれた『ウルトラQ』の企画を経ており(実相寺のウルトラマン作品は『宇宙怪獣ガメラ』に影響を与え、実相寺は後述の『ウルトラマンマックス』にも参加している)[101]、平成三部作の特撮技術には湯浅憲明らも携わっていた『ウルトラマン80』のノウハウも活かされているとされ、他にも『ウルトラマンパワード』の撮影が金子と伊藤と樋口の集合の契機の一つになった。その後、『ウルトラマンティガ』などの制作に平成ガメラ三部作を経験したスタッフも携わり始めてウルトラ特撮がレベルアップしたとされる[92]。
- ^ 上述の通り、平成三部作の配給も東宝邦画系ではなく東宝洋画系であり、上映館数もゴジラシリーズよりも大きく劣っていた(ガメラシリーズ自体がビデオの配給や新作の製作において経済的な面からゴジラシリーズとの競合を避けようとしてきた側面があり[16][71]、『大怪獣空中決戦』の制作開始もゴジラシリーズとの競合を避けようとした可能性があるが[72]、当時のゴジラシリーズは当初は最終作と予定されていた『ゴジラvsメカゴジラ』以降も継続された)。出資面においても、金子が要望した予算額の確保のために日本テレビと博報堂との共同になったため、徳間書店側の収益はさらに厳しくなった[107]。また、上述の通り阪神・淡路大震災の影響を受けた側面もある[67][68]。
- ^ 難解なプロット、恐ろしげな描写、子供が共感できる場面の少なさなど[71]。
- ^ 『ガメラ3 邪神覚醒』の作風は明確にホラーを意識されており、この理由として前2作の興行成績と、当時は怪獣映画というジャンルの人気に陰りが出ていたことと対照的に子供たちの間でホラー作品が人気であったことが関係しており、金子修介や平成3部作の関係者も携わったり後にガメラシリーズと間接的に関係性を持つことになった『リングシリーズ』や『学校の怪談シリーズ』などの影響を受けている[10]。また、イリスのデザインも含めて『デビルマン』を意識している部分もあるとされる[108]。
- ^ 昭和版のガメラの「子供や人類の味方」や「回転しながら空を飛ぶ」「子供の活躍」という面を含めたコンセプトやキャラクター自体を金子・伊藤・樋口の全員が最初から「幼稚」で思い入れがないために好んでおらず、金子は子供の頃は映画館でガメラ作品を見たことがなく「ガメラを見たいと言ったら馬鹿にされる」と思っていたり[109]、ガメラを愛する人間を冷ややかに見ていたり[110]、旧来のガメラ像には「大映側が思っているほどの財産価値はない」と発言している[111]。金子と伊藤にとっての平成三部作のモチベーションの一つは、彼らが過去に『ゴジラvsモスラ』を製作しようとしたが叶わず、金子も伊藤も当初はガメラ制作へのオファーを喜べなかったり、「ゴジラのリベンジをガメラで」と考えていたこともあった。
- ^ 生前の湯浅は平成三部作を「あれはガメラ映画ではない」と評して「ゴジラシリーズ」との差別化の必要性を強調しており、高橋も子供の味方としてのガメラ像に拘りを持っていた。
- ^ ガメラを「体の各部が発光・変形したり、機械音を発する生きたロボット」「人間を守ることを最初から視野に入れておらず、盲目的にギャオスを排除するために猛進するが人類に与える被害にも無頓着に近い」「人間がアリを見るようにガメラも人間を意に介さない」「多数の人間に被害を与えかねない脅威」という面を当初から描こうとしていたり、「子供」をプロットから完全に除外しようとしたなど、金子らの本来の構想は昭和ガメラと対照的な部分が多く、制作陣や関係各者の間でも旧来派と革新派で分かれており、三部作の制作陣にも旧来のガメラ像を好む者も少なくなく、金子たちは昭和ガメラの思わぬ人気とスタッフ(金子らによる通称「隠れガメラ」)からの意見(反発)に面食らったとしている[9][111]。
- ^ 金子は『小さき勇者たち〜ガメラ〜』を「正直に言うと嫌いであり、コンセプトが受け入れがたい」としており、「金子の間違いを正そうとしたのかもしれないが、『小さき勇者たち』は結局はシリーズ化されず、平成3部作は間違ってなかった」「旧来のガメラをいつまでも懐かしんでいても仕方がない」などと述べており[109]、後年にも『GAMERA -Rebirth-』の制作の折に新規案を持ち込んだり[112]、『ゴジラ-1.0』に際した山崎貴との対談にて、自身のガメラの新作への構想として(冗談まじりではあるが)「ガメラが真珠湾を襲う」というアイディアを言及している[113]。
- ^ 金子たちが構想していた『ガメラ 大怪獣空中決戦』におけるガメラのデザインや能力や性格は、最初から『ガメラ3 邪神覚醒』における描写に近い物だったが、『ガメラ 大怪獣空中決戦』の時点では許可が下りずに変更され、「より戦闘的なデザイン」と「飛行時の腕部のヒレへの変形」は『ガメラ2 レギオン襲来』以降に許可された。また、「体の各部の発光」「すべての四肢のヒレへの変形による高速遊泳」「ホーミング・プラズマ」「バーナー」「甲羅が光沢を発してギャオスの超音波メスを反射する」など、完成作品への使用が叶わなかった能力や描写も数多い[9]。
- ^ 『ガメラ3 邪神覚醒』のプロット、とくに「ガメラが意図的ではないにしろ人間を殺害し、少女(子供)に憎悪の対象とされ、人類に多大な被害を与える」という面やとくに渋谷での戦闘での犠牲者の描写を好まない関係者も湯浅憲明も含めて少なくなかったとされている。
- ^ 金子の提出した『ガメラ4』の構想は、林家しん平による自主映画の『ガメラ4 真実』に似ていたとされており、打ち切りの原因には予算面の問題だけでなく「ガメラがギャオスの大群を倒すためとはいえ大災害を引き起こして去る」という構想が機能しなかったこともあるとされている。
- ^ その代わりに、『小さき勇者たち〜ガメラ〜』の主要な敵怪獣であるジーダスは意図的に東宝怪獣などを意識したコンセプトで製作されたとされており、実際に原口智生と高濱幹との対談や有重陽一へのインタビュー[114]などでもゴジラおよびジラース、バラン、ゴロザウルスなどとの類似性などが言及されており、1998年の『GODZILLA』に登場したゴジラと同様にビルを登ったり跳躍するだけでなく、頓挫した1998年版の実写版続編と『小さき勇者たち〜ガメラ〜』では、物語の終盤に倒れこんだ主役怪獣を市民が盾となって軍事組織から逃がすという共通点がある[115]。また、ジーダスの初期デザインの多くは「モンスター・ヴァース」で登場したMUTOと偶然にもよく似ていたとされている[9][116]。また、『Godzilla: Unleashed』というゲーム作品にも一時はガメラの登場が企画されていた。
- ^ 平成モスラ三部作の好評に角川映画が注目したこともあり、『ガメラ 大怪獣空中決戦』の最初期の脚本を再利用しようという方向性が高まったとされている。冒頭のアヴァンガメラとオリジナルギャオスの戦闘シーンこそ平成三部作を意識しているが、それ以外の部分では平成三部作を踏襲した作風は許可されず、有重陽一も本作が仮に平成3部作の続編になるのであれば関与しなかったと表明している。また、昭和シリーズも六社協定や予算面などの諸事情からあえて「怪獣映画らしさ」を避けていたが、本作も『ゴジラ FINAL WARS』の興行不振、平成モスラ三部作と『子ぎつねヘレン』と(瀬下寛之も携わった)『REX 恐竜物語』の好評を受けて、あえて「怪獣映画らしさ」を避けた作風になったとされている[16][9][71]。
- ^ 平成三部作は特撮ファンなどからは高い評価を得た一方で、昭和シリーズとは異なり徹底的に「子供」を除外しようとしたり、旧来側を納得させるための「アリバイ」として断片的な子供のシーンが挿入されたものの、子供の役割も多くの場合は昭和シリーズとは異なりあくまでも「無力な足手まとい」として描かれ[9][71]、『ガメラ3 邪神覚醒』では少女(子供)が自身の入院の影響で避難が遅れて両親と飼い猫が犠牲になった結果ガメラを憎み、多大な被害を巻き起こすという昭和とは完全に対照的なプロットがみられた。また、子供にとっては難解なプロットや描写が目立ち、それ以外にも子供が共感できる場面が存在せず、逆に子供が敬遠する様な恐ろしいシーンやグロテスクな描写なども導入されたためか、平成三部作は子供の客層の増加にはあまり貢献しなかったとされている[9][71]。
- ^ 前述の通り、金子修介と伊藤和典と樋口真嗣は昭和のガメラのコンセプトを好まないために旧来の関係者や昭和ガメラを好むスタッフ達との間に数々の軋轢や意見の相違が生じ(金子・伊藤・樋口らは昭和ガメラを好むスタッフを「隠れガメラ」と呼んでいた)[111]、金子は自身の作風や姿勢への逆風があることを理解したうえで『小さき勇者たち〜ガメラ〜』のコンセプトに否定的な評価をしており、同時に「『小さき勇者たち』は金子の間違いを正そうとしたのかもしれないが結局はシリーズ化されず、やはり自分たちが間違っていなかった」と平成三部作の方向性の正当性を主張している[109]。
- ^ 『小さき勇者たち〜ガメラ〜』が失敗した場合の経済的余裕はまったくなかったとされているが、平成三部作の続編または類似した路線の踏襲を求める声も制作陣の中にあった一方で、平成三部作からの脱却の必要性が非常に大きかったとされている[9]。
- ^ 『宇宙怪獣ガメラ』と『ガメラ 大怪獣空中決戦』の間の15年間の空白期間を超える。
- ^ 本作の監督である瀬下寛之が監督を務めた『GODZILLA』に登場した「ゴジラ・アース」がプロモーション用に選ばれた。
- ^ 実在のカメにおいては、牙や歯の生えているものは確認されていない。
- ^ 『平安百鬼譚』においては下顎に長い牙を持つなど明確にガメラの姿として描写され、火球と回転ジェットと両脚からのジェット噴射による飛行も披露している。「ガメラ」という名前こそ言及されていないが、「玄武」自身が「かつては玄武と呼ばれたこともあった」と発言し、太郎坊も「玄武であるが玄武以外の存在でもある」と表現している。一方で、「玄武」を応援する妖怪の喧騒や、妖怪や人間が初めて見るはずの「玄武」の姿と能力になぜか懐かしさと親しみを覚える場面では、歴代のガメラ作品の主題歌である「ガメラマーチ」「ガメラの歌」「神話」と「ゲゲゲの鬼太郎の歌」の歌詞がそれぞれ導入されている。
- ^ 『聖獣戦記 白い影』では、バルゴンとジャイガーがそれぞれ「青竜」と「白虎」として登場し、終盤で「玄武」の存在が確認されている。この中で、(「白虎」がどこか竜にも虎にも見えると登場人物は述べているが)ジャイガーの名前は実際に作中で使われ、バルゴンは「青竜」という呼称のみが使われているが、姿の描写と背中から発射する虹光線の能力がバルゴンと合致している。
- ^ 『平安百鬼譚』においては、大江山とその周囲から出現した「玄武」の霊体が鵺と戦うために物質化現象を経て実体化し、その際に人間の言葉を話す謙虚で恥ずかしがりな「老女」として描かれており、前述の通り、妖怪も人間も初めてみるはずの玄武の姿や能力になぜか幼少時から知っているような懐かしさと親しみを覚えるという描写がされている。
- ^ 『聖獣戦記 白い影』では各怪獣は普段は霊的な存在(神)として扱われ、勾玉を介して特定の人間を各怪獣が契約者として選び、彼らに超人的な身体能力などを授け、契約者が怪獣を実体化した存在として召喚することもできる。各怪獣は本来は神聖な存在であるが、怪獣の力を破壊的な行為などに使うと世界を「霊的」に汚染するともされ、怪獣の実体化には契約者の体力や生命力を大きく費やすために契約者には命の危険が伴う。また、「青竜(バルゴン)」は翼を持たずに飛行し、「白虎(ジャイガー)」は嵐や雷などの天候を操作し、「青竜」の虹光線で倒された際にあるはずの「白虎」の死骸が忽然と消失している。「玄武」は契約者である日蓮に時間を停止させる能力を授けており、日蓮は元寇の最中の「青竜」と「白虎」の戦いで生じた霊的な「穢れ」を浄化するために動くことが示唆された。
- ^ 『GAMERA -Rebirth-』の『おでかけ子ザメ』とのSPコラボにておにぎりを食べている描写がある。
- ^ ジャイガーやレギオンやジーダスやエスギャオスなど。
- ^ 該当漫画では霊魂の存在が確認されており、バルゴンもいくつかの超常的な能力や生態を見せている。
- ^ 『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』においてバルゴンの虹光線に接近した際など、高速で回転している場面もある。
- ^ アルケロンを祖先に持つ。
- ^ 『ガメラ対大悪獣ギロン』にて、明夫とトムを載せた宇宙円盤が惑星テラに向かう際に、ガメラが少年達の救出に現れた場面では明夫がガメラの現在の宇宙空間での速度はマッハ33以上であると述べ、さらにガメラが太陽系外に進出する際にはマッハ50に達することを示唆している。
- ^ 第1作には、ガメラの名前が出ただけでエスキモー集落の子どもたちが一目散に逃げるシーンがある。
- ^ 湯浅憲明や高橋二三や八木正夫や徳間康快など。
- ^ 未制作に終わった『ガメラ対ガラシャープ』では、ガメラはガラシャープの子供たちを助けることが予定されており、『ガメラ対大魔獣ジャイガー』でも、ジャイガーの攻撃によって行動不能になる直前にガメラが水際に四つん這いに立って口を開けたのは、ジャイガーの幼生を口から太平洋に逃がす意図があったのではないかという説が掲載されている。また、ガメラとジャイガーが2万5000年以上前にムー大陸で戦闘した経験があり、ガメラが「悪魔の笛」の発掘を邪魔したり、ジャイガーが各能力を的確に使用したのはガメラとジャイガーが互いの能力を把握していたこと、またジャイガーは終盤でも死んでおらず、ガメラはジャイガーを再度「悪魔の笛」で封じてウェスター島に連れ帰ったと記載されている。
- ^ 市街地やコンビナートや船舶などを攻撃するとエネルギー源となる火災や爆発や漏電などが発生し、市街地などを攻撃することで自身への軍事作戦を誘発させ、火器によってさらに熱エネルギーを吸収できるとされている。
- ^ ガメラは巨大で恐ろし気な見た目をしており、途方もない戦闘力や超常的な生態を持ち、人間に好意的であることや人間を災害や他の怪獣から守ろうとすること、人類にとって生命線である熱エネルギーや電気などをエネルギー源とするために、人間に近づいたり文明に悪影響を与える可能性がある。そのために、人々は(自分たちを守ろうとしている姿を誤解して)ガメラを恐れたり、エネルギー源を奪う「害獣」と見なした。ある時、ガメラは子供を助けるために(または当時は北極圏にあったアトランティスの都市のエネルギーに惹かれて)北極圏に飛来したが、寒さによって熱エネルギーを消耗したことと、付近に火山などが一切ないためにアトランティスのエネルギーを摂取しようとした。エネルギー源を死守するためにアトランティスはガメラを追い払おうとしたが、陸海空を移動したり兵器を使用しても喜ぶだけのガメラには有効打がなく、(「Z計画」と同様に)ガメラを「隔離」することを決定した。後日、アトランティス人はガメラを氷原におびき寄せて罠を発動してガメラを氷の下に閉じ込め、体内の熱エネルギーが常に奪われ続けたガメラは、北極圏の弱い太陽光と赤外線を吸収する氷の特性や、地球寒冷化も相まって形成された氷床から脱出する体力を得られずに冬眠したとされている。
- ^ 「大人と異なり、子供は常にガメラを信じ続ける」という構図は後の作品群でも見られるようになった。この構図は、上記の通りに湯浅憲明が自身の子供の頃に体験した「都合によってプロパガンダを用いて子供を誘導する大人」に対するアンチテーゼであったとしている[98]。
- ^ 『大怪獣ガメラ』における俊夫とペットのミドリガメの「チビ」とガメラの描写と類似している。『小さき勇者たち〜ガメラ〜』でもこれを踏襲したプロット上の特徴が見られる。1932年の小説である『キング・コング』におけるアン・ダロウとペットの猿のイグナチオとキングコングとの対比性が指摘されている[17]。
- ^ 後年の平成ガメラの世界には、カメに相当する生物が恐竜と共に絶滅したという設定になっている。
- ^ 第5作では、鉄棒の二段跳びという芸当を見せている。
- ^ または「火焔噴射」[140]。
- ^ a b 特技監督の樋口は『スクリーン』誌のインタビューの際、「この世界には、カメという生き物はいない」と語っている[要文献特定詳細情報]。平成三部作に関してはカメという単語は出てこない。
- ^ 『ガメラ3 邪神覚醒』ではガメラとイリスが京都駅ビルの吹き抜け空間の中で対峙しており、これは怪獣映画史上初の“巨大怪獣による屋内での対決シーン”となった。実際の京都駅ビルの吹き抜け空間の内法は、高さ約50メートル。
- ^ 宇宙では亜光速。マッハ9で飛ぶとされるイリスに追い付きかけた場面もあった。
- ^ ただし、体重120トンは、現地球上最大の動物シロナガスクジラ(160-190トン)よりも軽い。
- ^ 『ガメラ3 邪神覚醒』では、沖ノ鳥島沖の深海に多数のガメラの骨が発見される。この「ガメラの墓場」にある遺骨は、マナを受け止める器にはなれなかった物として“失敗ガメラ”と通称される。
- ^ 『2』では「ガメラが地球を守るために人類と敵対する可能性」も示唆された。
- ^ 『平成ガメラパーフェクション』の260頁では「とても文字では表せない最後のたった一発の火球」と表記されている。
- ^ Moo.念平の漫画作品
- ^ 『3』の渋谷戦にて、空中のギャオス・ハイパーがガメラの火炎攻撃を連続して避ける場面では、他の場面とは異なり「プラズマ火球」の形状が熱線のような直線的で火球状ではない。
- ^ 1999年には本作とアニメージュに掲載された『ガメラ対モルフォス』の2作品を出版している。
- ^ 小説版の一つでは、映画と同様に体高30メートルとされるトトよりも、アヴァンガメラは明確に大きかったと描写されている[137]。
- ^ 体高と同様に、小説版の一つでは映画と同様の大きさを持つトトよりも、アヴァンガメラは明確に大きかったとされている[137]。
- ^ 『ガメラ 大怪獣空中決戦』の初期稿であり『小さき勇者たち~ガメラ~』の原案であった「小中ガメラ」でも、ガメラとギャオスの体長が卵大、1メートル、8メートル、20メートル以上と類似した大きさの変動になっている[160]。
- ^ 「小中ガメラ」では、海底の遺跡からガメラとギャオスの「卵」が発見され、ガメラとギャオスはそれぞれが対立する2つの超古代文明の守護神とされており、ガメラが子供達に夢で超古代文明の記憶を見せる場面が存在する[160]。
- ^ 平成シリーズと同じ視力。
- ^ 昭和ガメラの高熱筋肉に似る。
- ^ 平成シリーズのテレパ・ブレインに似る。
- ^ ただし、劇中で麻衣が透に手渡した資料(ウェブページのプリントアウト)には、飛行することが書かれている。小説でも『ガメラ2006 HARDLINK』は海から出現しており、飛行する場面は描写されていない。
- ^ ジーダスの切断された舌が一瞬で燃え尽きた。
- ^ 米たにヨシトモが製作する予定だった2006年のアニメ企画と同じ漢字表記である[161]。
- ^ 高橋二三の小説作品『ガメラVS不死鳥』も南米から新たなガメラが出現するという構図を持っている。
- ^ 角川の当初の要請は100m以上だったが、東京の路地に立つのに大きすぎると石井が感じたために変更された。
- ^ ニューヨーク・コミコン限定のTシャツのラフスケッチには、「地眷神」という表記や動く岩山のような説明が書かれている。
- ^ ガメラ2の札幌でのハイ・プラズマとは異なり、人間が立っていられないほどの暴風は起きていないが、周囲の物が吸い寄せられる強風が発生していた。
- ^ ガメラとギロンの戦いは「侍vs忍者」と表現されており、各々の象徴する武装が盾と刀だが、両者とも手裏剣の意匠を持つ能力を持つ。
- ^ 平成三部作のガメラとアヴァンガメラも体重が10倍差になっている。しかし、体高35メートルで体重1,200トンとされるアヴァンガメラと比較すると、本作のガメラの体重比はかなり軽い。
- ^ 石井克人も本作にガメラのデザイナーとしてクレジットに含まれており、「動く岩山」というコンセプトイメージや、第1話でのボコ達との出会いと小型のギャオスの群れを火焔弾で迎撃する構図も受け継いでいる[14]。
- ^ 劇中で未使用に終わったが、後にイベント用の着ぐるみに採用されたトトの眼のカラーリングに類似している[165]。
- ^ ガメラが電気をエネルギーとする設定は昭和から存在し、ガメラ自身が帯電するという設定自体も上記の通り昭和(電気トゲ)および平成3部作(プラズマ火球)に存在するが、これまでは作中で視覚的な効果が描写されることはなかった。
- ^ 『ガメラ 大怪獣空中決戦』の絵コンテにも、プラズマ火球の発射時に目の付近や首元が発光するというアイディアが存在した[167]。
- ^ 平成3部作のプラズマ火球も、超放電現象という設定がされている。また、『小さき勇者たち〜ガメラ』の「トトインパクト」も同様に胸部が発光する。
- ^ 平成三部作版や「CRガメラ」シリーズのバニシング・フィストと同様に英語表記は「Vanishing Fist」である。また、腕の発光の様相は『小さき勇者たち〜ガメラ』の「トトインパクト」にてジーダスの舌を焼却する場面と類似している。
- ^ 『ガメラ 大怪獣空中決戦』でも、甲羅に光沢を発生させてギャオスの超音波メスを反射させる能力が考案されていた[168]。
- ^ 平成3部作の「シェルカッター」や『ガメラvs.不死鳥』で見せた甲羅の縁を刃物上に変形させて回転ジェットで対象を真っ二つにする技[103]、平成3部作で予定されていた甲羅を変形させてジェットが光のリングを形成する回転ジェットとの類似性が強い[169]。
- ^ 平成三部作のプラズマ火球の別名である「烈火球」と類似した漢字表記である。
- ^ 設定資料集では「ガメラボール」とも表記されている。
- ^ 『小さき勇者たち~ガメラ~』におけるアヴァンガメラの自爆とトトの卵、企画段階では光線攻撃であることも考慮されたトトの「トトインパクト」、『ガメラ2 レギオン襲来』におけるガメラが炭化する描写に通じる。光輪が伴うのは、未制作に終わったアニメ作品の火炎噴射に付属する「ファイヤーリング」と類似しており[161]、『ガメラ 大怪獣空中決戦』の初期稿であり『小さき勇者たち~ガメラ~』の原案であった「小中ガメラ」でも、「古代文明の海中遺跡から発見されたガメラの卵」が遺物状の形状であったり、「青白い火炎噴射」を発する場面が存在する[170]。
- ^ 『ガメラ対大魔獣ジャイガー』でもガメラがジャイガーの尻尾を掴んで叩きつける場面があるが、ジャイガーの四肢に逆に持ち上げられた場面がある。
- ^ 平成三部作のエルボークローに近い形状の肘の突起も考案されていた。
- ^ バイラス戦時には、エミコ・メルキオリも「死に損ないの分際」とガメラを罵倒していた。
- ^ 平成三部作で実現できなかった、後ろ脚もヒレに変形させる高速水中形態[171]も企画されていた[172]。
- ^ このような描写はこれまでは見られなかったが、50周年記念映像のガメラも飛行時に甲羅から「ブースター」を噴出するという設定がされている。
- ^ 劇中では未使用だが、頭部を収納する形態や前腕からもジェットを噴射する形態も存在する。
- ^ 『ガメラ 大怪獣空中決戦』の初期稿であり『小さき勇者たち~ガメラ~』の原案であった「小中ガメラ」でも、子供たちに古代文明の記憶を夢で共有する場面が存在する[160]。
- ^ ダブリュース、ガランシャープ、フタコブカラッパ、マルガラッパ、ハリネズラ。その他のオリジナル怪獣としてゲボラスとパワード・ギャオスが登場した[152]。
- ^ 『Dr.スランプ』[178]・『名探偵コナン』[179]・『美少女戦士セーラームーン』[180]・『バ怪獣 ゴメラ』[181]には両怪獣に因んで命名されたキャラクターが登場する。
- ^ 大阪万博におけるステージショー[182]、ゴジラ・ガメラ・ウルトラマン!怪獣クイズだ大集合!!、「史上最大の作戦ヒーローフェスティバル」[183]、『巨影都市』、『DAICON III OPENING ANIMATION』[31]、『虚実妖怪百物語』[34]など。
- ^ 『ドラゴンボール』や『Dr.スランプ』[28]、『ザ・シンプソンズ』[29][26]、『うる星やつら』(金子修介などが携わっている)[29]、『メガトーキョー』、自主製作の『The Slammie Bros. vs. Godzilla and Gamera』[35]など。ここでは、アレンジを経たオマージュなどではなく、直接的にガメラやゴジラや両シリーズの怪獣が登場する事例に限定している。
- ^ ノベライズ『ともだち 小さき勇者たち〜ガメラ〜』では、ギャオスの影響を受けて変異・怪獣化した存在として、宇宙ギャオスや小型ジャイガーも含めたその他の昭和の敵怪獣が全て登場している[157]。
- ^ 『小さき勇者たち〜ガメラ〜』に登場した「トトインパクト」の名称公募の最終候補の一つ「牙滅羅魂」と同じ漢字表記である。
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参考文献
[編集]- 映画パンフレット
- 『小さき勇者たち〜ガメラ〜』パンフレット 2006年4月29日発行 / 編集/発行:松竹株式会社
- 「宇宙船vol.184特別付録 宇宙船YEARBOOK 2024」『宇宙船』vol.184(SPRING 2024.春)、ホビージャパン、2024年4月1日、ISBN 978-4-7986-3486-9。
外部リンク
[編集]- ガメラ4K SDR
- ガメラ生誕50周年
- 小さき勇者たち〜ガメラ〜公式ホームページ - 閉鎖。(2010年3月31日時点のアーカイブ)
- ガメラWEB アーカイブ - 閉鎖。(2010年4月3日時点のアーカイブ)