JR東海L0系電車
新幹線L0系電車 | |
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初期型のL0系900番台 (2013年9月5日 リニア見学センターより) | |
基本情報 | |
製造所 |
日本車輌製造[* 1] 三菱重工業[* 2][1] 日立製作所[* 3] |
製造数 | 16両 |
投入先 | 山梨リニア実験線 |
主要諸元 | |
編成 | 試験時:最長12両[8][注釈 1]、営業時:16両[9] |
電気方式 | 交流 33,000 V[2] |
最高運転速度 | 500 km/h[3][5] |
設計最高速度 | 603 km/h [6] |
編成定員 | 約1,000人(16両編成)[7] |
車両定員 | 先頭車最大24名[4][3][5]、中間車最大68名(初期型)[4][3]最大60名(改良型)[5] |
車両重量 | 約25t(中間車)[3][5] |
編成長 | 299m(12両編成)[3] |
車体長 | 先頭車28m[4][3][5]、中間車24.3m[3][5] |
車体幅 | 2,900mm[10][3][5] |
車体高 | 3,100mm[10][3][5] |
備考 |
新幹線L0系電車(しんかんせんL0けいでんしゃ)は、東海旅客鉄道(JR東海)が建設中の中央新幹線(品川 - 名古屋間)の営業用仕様車両として開発された磁気浮上式鉄道「超電導リニア」の車両である。
概要
[編集]形式名の「L」はLinear(リニア)を、「0」は0系新幹線のような第1世代の車両を意味する[8]。
超電導リニアは走行用の電力を軌道側で消費する地上一次方式のため、電車(リニア地下鉄を含む)のように車両に走行用の電力を供給する必要がない。そのため初期型の900番台ではサービス用の補助電源としてガスタービン発電機を搭載していたが、改良型の950番台では誘導集電方式となった[11]。
番台別概説
[編集]900番台
[編集]2011年(平成23年)9月まで走行試験に使用された実験車両MLX01をベースとし、先頭車両の形状はMLX01-901Aをより滑らかにしたものとなっている[8]。先頭車は車体の長さが28m[3]、ノーズ部分の長さは15m[10]で、MLX01-901を改造したMLX01-901Aと同じ。中間車は長さ・定員ともMLX01の長尺中間車と同じ。客室空間を確保するため車体断面は角型となっている[8]。
塗装は東海道新幹線のイメージを踏襲した白地に青線を採用[8]する。MLX01のものとは若干異なり、先頭車前面の青線は屋根上まで伸び、車体側面の窓上には2本の青線が引かれる[10]。車体側面にはロゴが付けられた。
山梨リニア実験線での試験走行のため、先頭車4両、中間車10両の計14両が製作された[12]。製造は日本車輌製造と三菱重工業が担当した[13]。14両のうち先頭車2両と中間車3両の5両が2012年(平成24年)11月22日に車両基地へ搬入され(ただし車体のみで、台車部分は空洞)[14]、2013年(平成25年)6月3日に台車を取り付けた5両編成の姿が公開された[4]。
既に山梨実験線の延伸後全区間 (42.8 km) を用いた試験走行を開始しており、山梨実験線では最長12両編成での試験走行が行われる[8]。当初は5両編成だったが2013年9月から7両編成となり、2014年(平成26年)6月25日には12両編成での試験走行を開始した[15]。その後再び7両編成に戻してから、2014年11月から12月までと2015年(平成27年)3月に一般向けの体験乗車が開催される[9]。
2015年4月14日、1日で4,064 kmの試験走行を行い、2003年(平成15年)に記録した2,876 kmの24時間走行記録を更新した[16]。同年4月16日、7両編成の試験走行で590 km/hの最高速度を達成し、2003年12月2日にMLX01が記録した581 km/hの世界鉄道最高速度記録を更新した[16]。さらに2015年4月21日には603 km/hで走行し、鉄道における世界最高速度記録を更新した[17][注釈 2]。
950番台(改良型)
[編集]2018年(平成30年)12月に、2020年(令和2年)春完成を目指してL0系の改良が進められていることがJR東海から発表された[19]。
主な改良点としては、誘導集電の全面採用によるガスタービン発電機の廃止、先頭形状の最適化による空気抵抗の低減、視認性向上を目的とした前照灯および前方視認用カメラの位置の変更、カラーリングの変更である[19]。座席のデザインは先頭車・中間車ともほぼ共通で、幅477mm、奥行445mm、背ずり高さ(床基準)1,230mmと、いずれも拡大された[20]。また、荷物置場については、座席上の荷棚のほか、全座席の足もとに小型荷物用の、客室妻部に大型荷物用の収納スペースを確保し、さらに、客室妻部に大型荷物用の荷棚を設置した[21]。なお、中間車の定員は最大60名となった[5]。
先頭車および中間車が1両ずつ製作され、先頭車は日立製作所が、中間車は日本車輌製造が製作した[22]。完成した車両は従来の編成に組み込み、既存のL0系5両と組み合わせて6・7号車となり、B編成の一部となった[20][21]。
2020年3月25日に、日立製の先頭車L22-951の報道公開が行われた[23]。同年8月17日に試験走行が始まり、同年8月19日に山梨実験線の設計最高速度である550km/hでの走行試験を実施し、安全上の問題がないことが確認された[24]。
量産
[編集]試験車両の開発を手掛けていた三菱重工業が発注元のJR東海と製造コストの面で折り合いがつかず、商業車両の量産には入らないと報道された[25][26]。
2018年8月20日付の日経ビジネスにおける葛西敬之のインタビューでは、三菱重工業側が1両12億円で製造を引き受けるとした件で自ら撤退したと言及している[27]。
2018年度、リニアモーターカー車両の製造は日本車輌製造と日立製作所に変更された[19]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “マイナス269度で超高速に リニア新幹線車両に台車取り付け”. 日本経済新聞. (2013年3月26日) 2013年6月6日閲覧。
- ^ https://www.pref.yamanashi.jp/taiki-sui/documents/tyuuousinnkannsenn_tyuukan_honpen04.pdf
- ^ a b c d e f g h i j “L0系の設計|リニア中央新幹線|JR東海”. リニア中央新幹線|JR東海. 東海旅客鉄道株式会社. 2019年7月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月5日閲覧。
- ^ a b c d “山梨リニア実験線:「L0系」5両編成公開−−JR東海-”. 毎日jp(毎日新聞). (2013年6月3日) 2013年6月6日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i “車両について|リニア中央新幹線|JR東海”. リニア中央新幹線|JR東海. 東海旅客鉄道株式会社. 2021年4月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月5日閲覧。
- ^ “超電導リニア603km/h、ギネス世界記録®︎に認定”. 東海旅客鉄道株式会社. 2023年7月14日閲覧。
- ^ “リニアに改良型試験車両が登場!最新技術を徹底解説”. DIAMOND online. 2023年7月16日閲覧。
- ^ a b c d e f 『超電導リニアの新型車両の概要について』(PDF)(プレスリリース)東海旅客鉄道株式会社、2010年10月26日。オリジナルの2010年11月1日時点におけるアーカイブ 。2021年4月5日閲覧。
- ^ a b “リニア、今夏12両で試験 山梨実験線 新型L0系のデータ測定”. 山梨日日新聞. (2014年5月24日). オリジナルの2014年5月27日時点におけるアーカイブ。 2014年5月26日閲覧。
- ^ a b c d 『超電導リニアの新型車両の概要について(別紙)』(PDF)(プレスリリース)東海旅客鉄道株式会社、2010年10月26日。オリジナルの2010年11月1日時点におけるアーカイブ 。2021年4月5日閲覧。
- ^ Rail Magazine(レイル・マガジン)公式twitter (2020年3月25日) 2020年4月22日閲覧。
- ^ “超電導リニアの新型車両の概要について”. 2023年10月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月10日閲覧。
- ^ “超電導リニア、新市場へ加速 三菱重・日本車両がタッグ JR東海、試験走行を再開”. 日本経済新聞. (2013年9月1日). オリジナルの2013年9月3日時点におけるアーカイブ。 2014年7月1日閲覧。
- ^ “「本番仕様」リニア新型車両を公開 山梨実験線に搬入”. 信濃毎日新聞. (2012年11月22日). オリジナルの2013年4月21日時点におけるアーカイブ。 2012年11月23日閲覧。
- ^ “12両で初走行、試験再開 山梨リニア実験線”. MSN産経ニュース. (2014年6月25日). オリジナルの2014年6月26日時点におけるアーカイブ。 2014年7月1日閲覧。
- ^ a b “リニアが世界最速590キロ 長距離走行記録も更新”. 産経新聞. 産経ニュース (産経新聞社). (2015年4月16日). オリジナルの2015年4月15日時点におけるアーカイブ。 2018年4月3日閲覧。
- ^ “リニア新幹線、世界最高速度となる時速603 kmを記録 - JR東海”. マイナビニュース(テクノロジー) (マイナビ). (2015年4月21日). オリジナルの2017年12月27日時点におけるアーカイブ。 2017年12月27日閲覧。
- ^ “Fastest maglev train”. Guinness World Records. 2023年1月2日閲覧。
- ^ a b c 『超電導リニア 改良型試験車の製作について』(PDF)(プレスリリース)東海旅客鉄道株式会社、2018年12月20日。オリジナルの2018年12月21日時点におけるアーカイブ 。2021年4月5日閲覧。
- ^ a b “JR東海、超電導リニアL0系の改良型試験車を公開 - 500km/h走行も”. マイナビニュース. 株式会社マイナビ Mynavi Corporation (2020年10月19日). 2020年10月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月5日閲覧。
- ^ a b “JR東海,超電導リニア改良形試験車の車内を公開|鉄道ニュース|2020年10月20日掲載|鉄道ファン・railf.jp”. 鉄道ファン・railf.jp. 株式会社 交友社 (2020年10月20日). 2020年10月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月5日閲覧。
- ^ “JR東海が改良型リニア公開、時速500キロで走行試験”. 日本経済新聞 (2020年10月19日). 2020年10月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月5日閲覧。
- ^ “JR東海、超電導リニア改良型試験車を公開 - L0系と5月から走行試験”. マイナビニュース. 株式会社マイナビ Mynavi Corporation (2020年3月25日). 2020年3月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月5日閲覧。
- ^ “550km/h走行に成功 改良型超電導リニア「L0系」”. 乗りものニュース. 株式会社メディア・ヴァーグ (2020年8月31日). 2021年1月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月5日閲覧。
- ^ “三菱重工、リニア車両製造から撤退へ”. 中日新聞 CHUNICHI Web (中日新聞社). (2017年8月10日). オリジナルの2017年8月11日時点におけるアーカイブ。 2017年12月27日閲覧。
- ^ “三菱重工、リニア新幹線の車両撤退 業績不振で事業選別”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2017年8月10日). オリジナルの2017年8月9日時点におけるアーカイブ。 2017年12月27日閲覧。
- ^ “談合は関係なし! 神様が見たってリニアはいける 「JR東海の天皇」、葛西名誉会長インタビュー”. 日経ビジネス. 日経BP (2018年8月20日). 2018年8月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年9月19日閲覧。