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1970年フランスグランプリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フランス 1970年フランスグランプリ
レース詳細
1970年F1世界選手権全13戦の第6戦
シャレード・サーキット (1958-1988)
日程 1970年7月5日
正式名称 LVI Grand Prix de France
開催地 シャレード・サーキット
フランスの旗 フランス オーヴェルニュ地域圏 クレルモン=フェラン
コース 恒久的レース施設
コース長 8.055 km (5.005 mi)
レース距離 38周 306.090 km (190.196 mi)
決勝日天候 晴(ドライ)[1]
ポールポジション
ドライバー フェラーリ
タイム 2:58.22
ファステストラップ
ドライバー オーストラリア ジャック・ブラバム ブラバム-フォード
タイム 3:00.75 (29[2]周目)
決勝順位
優勝 ロータス-フォード
2位 マーチ-フォード
3位 ブラバム-フォード

1970年フランスグランプリ (1970 French Grand Prix) は、1970年のF1世界選手権第6戦として、1970年7月5日シャレード・サーキットで開催された。

レースは38周で行われ、ロータスヨッヘン・リントが6番手スタートから優勝した。マーチクリス・エイモンが2位、ブラバムジャック・ブラバムが3位となった。

背景

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トゥールーズ近郊のアルビにあるアルビ・サーキットに開催地を移す計画だったが、資金を調達できなかったため実現せず、前年に引き続きシャレード・サーキットで行われることになった。シャレード・サーキットでのF1世界選手権レース開催は3回目である[3][4]

エントリー

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前戦オランダGPとほぼ同じであったが、ピアス・カレッジを失ったウィリアムズは参加せず[4]ジョン・サーティースもエンジン不足のため参加を見合わせ、次戦イギリスGPまでに自製マシンの完成を目指すことにした。マクラーレンはエースのデニス・ハルムインディ500英語版の練習走行中に負った両腕の火傷から復帰し、前戦オランダGPでアンドレア・デ・アダミッチが走らせたM14Dのエンジンをアルファロメオからフォード・コスワース・DFVに載せ替え、デ・アダミッチには古いM7Dを与えた[5]フェラーリは、イグナツィオ・ギュンティが2台目の312Bを走らせる[4]ロータスは当初、3台目のドライバーとして地元フランス出身のジャン=リュック・サロモンを起用する予定だったが、開催直前の6月28日ルーアンF3レースで亡くなったため[6]アレックス・ソラー=ロイグ英語版が起用された[7]

エントリーリスト

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チーム No. ドライバー コンストラクター シャシー エンジン タイヤ
イギリスの旗 ティレル・レーシング・オーガニゼーション 1 イギリスの旗 ジャッキー・スチュワート マーチ 701 フォードコスワース DFV 3.0L V8 D
2 フランスの旗 フランソワ・セベール
イギリスの旗 ヤードレー・チーム・BRM 3 メキシコの旗 ペドロ・ロドリゲス BRM P153 BRM P142 3.0L V12 D
4 カナダの旗 ジョージ・イートン
5 イギリスの旗 ジャッキー・オリバー
イギリスの旗 ゴールドリーフ・チーム・ロータス 6 オーストリアの旗 ヨッヘン・リント ロータス 72C フォードコスワース DFV 3.0L V8 F
7 イギリスの旗 ジョン・マイルズ 72B
イギリスの旗 ワールドワイド・レーシング 9 スペインの旗 アレックス・ソラー=ロイグ 1 49C
イギリスの旗 ブルックボンド・オクソ・レーシング/ロブ・ウォーカー 8 イギリスの旗 グラハム・ヒル ロータス 49C フォードコスワース DFV 3.0L V8 F
イタリアの旗 スクーデリア・フェラーリ SpA SEFAC 10 ベルギーの旗 ジャッキー・イクス フェラーリ 312B フェラーリ 001 3.0L F12 F
11 イタリアの旗 イグナツィオ・ギュンティ
イギリスの旗 マーチ・エンジニアリング 12 スイスの旗 ジョー・シフェール マーチ 701 フォードコスワース DFV 3.0L V8 F
14 ニュージーランドの旗 クリス・エイモン
イギリスの旗 チーム・サーティース 15 イギリスの旗 ジョン・サーティース 2 マクラーレン M7C フォードコスワース DFV 3.0L V8 F
イギリスの旗 ブルース・マクラーレン・モーターレーシング 16 イタリアの旗 アンドレア・デ・アダミッチ マクラーレン M7D アルファロメオ T33 3.0L V8 G
17 アメリカ合衆国の旗 ダン・ガーニー M14A フォードコスワース DFV 3.0L V8
19 ニュージーランドの旗 デニス・ハルム M14D
イギリスの旗 コーリン・クラッベ・レーシング 18 スウェーデンの旗 ロニー・ピーターソン マーチ 701 フォードコスワース DFV 3.0L V8 G
フランスの旗 エキップ・マトラ・エルフ 20 フランスの旗 アンリ・ペスカロロ マトラ MS120 マトラ MS12 3.0L V12 G
21 フランスの旗 ジャン=ピエール・ベルトワーズ
イギリスの旗 アウト・モトール・ウント・シュポルト 22 西ドイツの旗 ロルフ・シュトメレン ブラバム BT33 フォードコスワース DFV 3.0L V8 G
イギリスの旗 モーターレーシング・ディベロップメンツ・リミテッド 23 オーストラリアの旗 ジャック・ブラバム
スイスの旗 シルビオ・モーザー・レーシングチーム 24 スイスの旗 シルビオ・モーザー ベラシ F1 70 フォードコスワース DFV 3.0L V8 G
アメリカ合衆国の旗 ピート・ラブリー・フォルクスワーゲン・インク 25 アメリカ合衆国の旗 ピート・ラブリー ロータス 49B フォードコスワース DFV 3.0L V8 F
ソース:[7]
追記
  • ^1 - No.9は当初ジャン=リュック・サロモンを起用する予定だったが、開催直前のF3レースで亡くなったため、ソラー=ロイグが起用された[7]
  • ^2 - サーティースはエンジン不足のため欠場[5]

予選

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ジャッキー・イクスが今季初のポールポジションを獲得した[8]。2番手でイクスとともにフロントローを獲得したのは母国グランプリとなるジャン=ピエール・ベルトワーズであった。2列目はマーチ・701を駆るクリス・エイモンジャッキー・スチュワートが並んだ。ヨッヘン・リントはコースの起伏に苦しみ、石が顔面にヒットするアクシデントもあったが6番手に付け、ジャック・ブラバムとともに3列目を得た。ベルトワーズのチームメイトで同じく母国グランプリとなるアンリ・ペスカロロは、デニス・ハルムとともに4列目に並ぶ[4]

予選結果

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順位 No. ドライバー コンストラクター タイム グリッド
1 10 ベルギーの旗 ジャッキー・イクス フェラーリ 2:58.22 - 1
2 21 フランスの旗 ジャン=ピエール・ベルトワーズ マトラ 2:58.70 +0.48 2
3 14 ニュージーランドの旗 クリス・エイモン マーチ-フォード 2:59.14 +0.92 3
4 1 イギリスの旗 ジャッキー・スチュワート マーチ-フォード 2:59.24 +1.02 4
5 23 オーストラリアの旗 ジャック・ブラバム ブラバム-フォード 2:59.67 +1.45 5
6 6 オーストリアの旗 ヨッヘン・リント ロータス-フォード 2:59.74 +1.52 6
7 19 ニュージーランドの旗 デニス・ハルム マクラーレン-フォード 3:00.42 +2.20 7
8 20 フランスの旗 アンリ・ペスカロロ マトラ 3:00.59 +2.37 8
9 18 スウェーデンの旗 ロニー・ピーターソン マーチ-フォード 3:01.21 +2.99 9
10 3 メキシコの旗 ペドロ・ロドリゲス BRM 3:01.29 +3.07 10
11 11 イタリアの旗 イグナツィオ・ギュンティ フェラーリ 3:01.85 +3.63 11
12 5 イギリスの旗 ジャッキー・オリバー BRM 3:02.77 +4.55 12
13 2 フランスの旗 フランソワ・セベール マーチ-フォード 3:02.87 +4.65 13
14 22 西ドイツの旗 ロルフ・シュトメレン ブラバム-フォード 3:03.41 +5.19 14
15 16 イタリアの旗 アンドレア・デ・アダミッチ マクラーレン-アルファロメオ 3:03.48 +5.26 15
16 12 スイスの旗 ジョー・シフェール マーチ-フォード 3:03.78 +5.56 16
17 17 アメリカ合衆国の旗 ダン・ガーニー マクラーレン-フォード 3:04.04 +5.82 17
18 7 イギリスの旗 ジョン・マイルズ ロータス-フォード 3:04.16 +5.94 18
19 4 カナダの旗 ジョージ・イートン BRM 3:04.92 +6.70 19
20 8 イギリスの旗 グラハム・ヒル ロータス-フォード 3:07.84 +9.62 20
21 24 スイスの旗 シルビオ・モーザー ベラシ-フォード 3:08.10 +9.88 DNQ
22 9 スペインの旗 アレックス・ソラー=ロイグ ロータス-フォード 3:14.49 +16.27 DNQ
23 25 アメリカ合衆国の旗 ピート・ラブリー ロータス-フォード 3:15.58 +17.36 DNQ
ソース:[9][10]
追記
  • 上位20台が決勝進出

決勝

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ポールポジションからスタートするジャッキー・イクスだったが、レース開始前のウォームアップセッションでバルブシートが破損していることが判明した。エンジンを交換する時間的余裕はなく、バルブのみ交換してスタートに臨まなければならなかった[11]。それでもイクスはスタートから14周の間首位を走行するが[4]、メジャーバルブが壊れてリタイアした[11]。3位を走行していたジャッキー・スチュワートも点火装置のトラブルでピットインを強いられた。イクスのリタイアによって首位に立ったベルトワーズも、26周目にスローパンクチャーに見舞われた。リントがベルトワーズを抜いて首位に浮上し、ベルトワーズはピットへ向かっていった[4]。リントはラッキーな形で連勝して今季3勝目を挙げ[12]、ドライバーズランキングもスチュワートを抜いて首位に立った。クリス・エイモンは今季2度目の2位、ジャック・ブラバムデニス・ハルムのすぐ前でフィニッシュし、3位表彰台を獲得した。ブラバムに僅差で敗れたハルムが4位、アンリ・ペスカロロは母国グランプリで5位に入賞した。ダン・ガーニーは6位に入賞し、才能を失っていないことを証明した[8]。なお、ガーニーはこれが最後の入賞及び完走であった[13]

レース結果

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順位 No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 グリッド ポイント
1 6 オーストリアの旗 ヨッヘン・リント ロータス-フォード 38 1:55:57.00 6 9
2 14 ニュージーランドの旗 クリス・エイモン マーチ-フォード 38 +7.61 3 6
3 23 オーストラリアの旗 ジャック・ブラバム ブラバム-フォード 38 +44.83 5 4
4 19 ニュージーランドの旗 デニス・ハルム マクラーレン-フォード 38 +45.66 7 3
5 20 フランスの旗 アンリ・ペスカロロ マトラ 38 +1:19.42 8 2
6 17 アメリカ合衆国の旗 ダン・ガーニー マクラーレン-フォード 38 +1:19.65 17 1
7 22 西ドイツの旗 ロルフ・シュトメレン ブラバム-フォード 38 +2:20.16 14
8 7 イギリスの旗 ジョン・マイルズ ロータス-フォード 38 +2:47.17 18
9 1 イギリスの旗 ジャッキー・スチュワート マーチ-フォード 38 +3:09.61 4
10 8 イギリスの旗 グラハム・ヒル ロータス-フォード 37 +1 Lap 20
11 2 フランスの旗 フランソワ・セベール マーチ-フォード 37 +1 Lap 13
12 4 カナダの旗 ジョージ・イートン BRM 36 +2 Laps 19
13 21 フランスの旗 ジャン=ピエール・ベルトワーズ マトラ 35 燃料切れ 2
14 11 イタリアの旗 イグナツィオ・ギュンティ フェラーリ 35 +3 Laps 11
NC 16 イタリアの旗 アンドレア・デ・アダミッチ マクラーレン-アルファロメオ 29 規定周回数不足 15
Ret 12 スイスの旗 ジョー・シフェール マーチ-フォード 23 アクシデント 16
Ret 18 スウェーデンの旗 ロニー・ピーターソン マーチ-フォード 17 ディファレンシャル 9
Ret 10 ベルギーの旗 ジャッキー・イクス フェラーリ 16 エンジン 1
Ret 3 メキシコの旗 ペドロ・ロドリゲス BRM 6 ギアボックス 10
Ret 5 イギリスの旗 ジャッキー・オリバー BRM 5 エンジン 12
DNQ 24 スイスの旗 シルビオ・モーザー ベラシ-フォード 予選不通過
DNQ 9 スペインの旗 アレックス・ソラー=ロイグ ロータス-フォード 予選不通過
DNQ 25 アメリカ合衆国の旗 ピート・ラブリー ロータス-フォード 予選不通過
ソース:[14]
優勝者ヨッヘン・リントの平均速度[15]
158.391 km/h (98.420 mph)
ファステストラップ[2]
ラップリーダー[16]
太字は最多ラップリーダー

第6戦終了時点のランキング

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  • : トップ5のみ表示。前半7戦のうちベスト6戦及び後半6戦のうちベスト5戦がカウントされる。

脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ (林信次 1995, p. 131)
  2. ^ a b France 1970 - Best laps”. STATS F1. 2020年1月1日閲覧。
  3. ^ Rive, Franck. “A Brief History of Charade”. theracingline.net. 10 April 2017閲覧。
  4. ^ a b c d e f French GP, 1970”. grandprix.com. 2019年12月31日閲覧。
  5. ^ a b (ダグ・ナイ 1989, p. 212)
  6. ^ Ces 20 champions… qui n’ont jamais couru en F1 !”. F1i(フランス語版) (2016年8月9日). 2019年12月31日閲覧。
  7. ^ a b c France 1970 - Race entrants”. STATS F1. 2019年12月31日閲覧。
  8. ^ a b France 1970”. STATS F1. 2020年1月1日閲覧。
  9. ^ France 1970 - Qualifications”. STATS F1. 2020年1月1日閲覧。
  10. ^ France 1970 - Starting grid”. STATS F1. 2020年1月1日閲覧。
  11. ^ a b (アラン・ヘンリー 1989, p. 256)
  12. ^ (林信次 1995, p. 99)
  13. ^ 戦績:D.ガーニー”. F1 DataWeb. 2020年1月1日閲覧。
  14. ^ 1970 French Grand Prix”. formula1.com. 31 October 2013時点のオリジナルよりアーカイブ。22 December 2015閲覧。
  15. ^ France 1970 - Result”. STATS F1. 2020年1月1日閲覧。
  16. ^ France 1970 - Laps led”. STATS F1. 2020年1月1日閲覧。
  17. ^ a b France 1970 - Championship”. STATS F1. 15 March 2019閲覧。

参照文献

[編集]
  • Wikipedia英語版 - en:1970 French Grand Prix(2019年3月15日 16:42:15(UTC))
  • 林信次『F1全史 1966-1970 [3リッターF1の開幕/ホンダ挑戦期の終わり]』ニューズ出版、1995年。ISBN 4-938495-06-6 
  • アラン・ヘンリー『チーム・フェラーリの全て』早川麻百合+島江政弘(訳)、CBS・ソニー出版、1989年12月。ISBN 4-7897-0491-2 
  • ダグ・ナイ『チーム・マクラーレンの全て』森岡成憲(訳)、CBS・ソニー出版、1989年12月。ISBN 4-7897-0491-2 

外部リンク

[編集]
前戦
1970年オランダグランプリ
FIA F1世界選手権
1970年シーズン
次戦
1970年イギリスグランプリ
前回開催
1969年フランスグランプリ
フランスの旗 フランスグランプリ 次回開催
1971年フランスグランプリ