1968年の阪神タイガース

1968年の阪神タイガース
成績
セントラル・リーグ2位
72勝58敗3分 勝率.554
本拠地
都市	兵庫県西宮市
球場	阪神甲子園球場
球団組織
オーナー	野田誠三
経営母体	阪神電気鉄道
監督	藤本定義
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1968年の阪神タイガース（1968ねんのはんしんタイガース）では、1968年の阪神タイガースの動向をまとめる。

この年の阪神タイガースは、藤本定義監督の8年目（シーズン途中就任の1961年、1966年を含む）のシーズンである。

概要

　藤本監督は打線の強化を図るため広島へ移籍した山内一弘の穴埋めとしてウィリー・カークランドを獲得し、また前年まで近鉄の選手兼任監督だった小玉明利が移籍するなど、積極的な補強を行った。投手陣では2年目の江夏豊をはじめジーン・バッキーや村山実、若生智男、前年最優秀防御率の権藤正利が控えるなど盤石でチームは優勝が期待された。しかし前年と違って開幕ダッシュに失敗すると、その後も勝ち星を増やせずチームは苦戦を強いられた。後半戦になって8月に19勝2敗のハイペースで借金を返済し9月には2位に浮上。9月17日からの対巨人4連戦（うち18日はダブルヘッダー）の初戦を江夏の奪三振ショーでモノにすると翌日のダブルヘッダー第1試合は正捕手辻佳紀のサヨナラ本塁打で勝利。第2試合はバッキーが巨人の王貞治に危険球を投げつけ、それに激怒した荒川博コーチを殴打するなど大乱闘に発展。2番手権藤が王の頭部に死球をぶつけて再び両軍乱闘かと思われたが、巨人の川上哲治監督は「権藤はわざとぶつけるピッチャーじゃない」と言ってベンチから出た選手を呼び戻した。最後は長嶋茂雄が権藤から怒りの一発を放ち、これが響いて第2試合は阪神が敗戦。19日の試合を勝って巨人とゲーム差なしになるも、バッキーの負傷で先発コマ不足に陥ったチームは次の直接対決を1勝2敗で落とし、4年ぶりの優勝はならなかった。チーム防御率2.67とリーグ1位だったが、本塁打・打率共にリーグ5位だった。シーズン終了後藤本監督は高齢のため勇退し、後藤次男ヘッドコーチが後任となった。

チーム成績

レギュラーシーズン

開幕オーダー

1	遊	藤田平
2	右	藤井栄治
3	三	小玉明利
4	中	カークランド
5	一	遠井吾郎
6	左	和田徹
7	二	吉田義男
8	捕	辻恭彦
9	投	村山実

1968年セントラル・リーグ順位変動

順位	4月終了時		5月終了時		6月終了時		7月終了時		8月終了時		9月終了時		最終成績
1位	中日	--	巨人	--	広島	--	巨人	--	巨人	--	巨人	--	巨人	--
2位	広島	1.5	広島	2.5	巨人	1.0	広島	6.5	阪神	1.5	阪神	3.0	阪神	5.0
3位	巨人	3.5	中日	6.0	大洋	7.0	サンケイ	8.5	サンケイ	7.0	広島	8.5	広島	9.0
4位	大洋	5.0	阪神	7.0	サンケイ	8.5	阪神	10.5	広島	8.5	サンケイ	11.5	サンケイ	13.0
5位	サンケイ	5.5	サンケイ	8.5	阪神	9.5	大洋	11.0	大洋	15.0	大洋	16.5	大洋	18.0
6位	阪神	5.5	大洋	9.0	中日	13.0	中日	14.5	中日	16.0	中日	23.5	中日	27.0

1968年セントラル・リーグ最終成績

順位	球団	勝	敗	分	勝率	差
1位	読売ジャイアンツ	77	53	4	.592	優勝
2位	阪神タイガース	72	58	3	.554	5.0
3位	広島東洋カープ	68	62	4	.523	9.0
4位	サンケイアトムズ	64	66	4	.492	13.0
5位	大洋ホエールズ	59	71	3	.454	18.0
6位	中日ドラゴンズ	50	80	4	.385	27.0

入団・退団

シーズン開幕前

本節では、前シーズン終了から本シーズン開幕までの入退団について記述する。

入団 選手名 背番号 前所属 備考 投手 野上俊夫 37 和歌山・市立和歌山商 ドラフト1位 吉良修一 39 大分・津久見高 ドラフト2位 豊村建泰 44 坂本義雄 47 山口・早鞆高 ドラフト4位 捕手 真鍋幹三 50 ダイハツ ドラフト外 内野手 小玉明利 3 川藤幸三 45 福井・若狭高 ドラフト10位 原秀樹 48 愛媛・新居浜商 ドラフト6位 外野手 カークランド 31 桑野議 40 福岡・九州工業高 ドラフト5位 退団 選手名 背番号 退団区分 去就 投手 太田紘一 37 自由契約 阪急 捕手 久代義明 39 産経 内野手 朝井茂治 1 金銭トレード 広島 クレス 3 メキシカンリーグ 藤本勝巳 5 引退 飲食店開業 三宅伸和 16 引退 コーチ 野崎洋 47 外野手 山内一弘 8 金銭トレード 広島 富恵一 17 中島広喜 45 シーズン開幕後 本節では、本シーズン開幕から本シーズン終了までの入退団について記述する。 入団 選手名 背番号 前所属 備考 投手 辻邦男 51

オールスターゲーム1968

→詳細は「1968年のオールスターゲーム (日本プロ野球)」を参照

コーチ	ファン投票	監督推薦
藤本定義	選出なし	江夏豊 バッキー 権藤正利

試合結果

凡例
勝利試合	敗北試合	引き分け	中止

※日付の後の（a）はダブルヘッダー第1試合（b）はダブルヘッダー第2試合
※セーブ制度は1974年から

個人成績

投手成績

※色付きは規定投球回数（133イニング）以上の選手

• 太字はリーグ最高、赤太字はNPB記録
• 完封合計は継投も含む

選手	登 板	完 投	完 封	勝 利	敗 戦	勝 率	投 球 回	被 安 打	被 本 塁 打	与 四 球	与 死 球	奪 三 振	失 点	自 責 点	防 御 率
えな/ 江夏豊	49	26	8	25	12	.676	329.0	200	29	97	4	401	83	78	2.13
はつ/ バッキー	34	19	3	13	14	.482	255.1	205	18	49	8	142	87	62	2.19
むら/ 村山実	32	14	1	15	8	.653	198.0	169	13	39	7	152	66	60	2.73
かき/ 柿本実	34	1	1	8	7	.534	134.2	126	12	36	6	78	55	48	3.20
あへ/ 安部和春	20	0	0	2	3	.400	43.0	40	3	10	1	23	15	14	2.93
いし/ 石床幹雄	1	0	0	0	0	.000	5.0	5	0	0	0	4	0	0	0.00
いと/ 伊藤幸男	8	0	0	0	1	.000	9.0	6	0	4	0	4	5	5	5.00
おく/ 奥田敏輝	7	0	0	0	0	.000	11.0	13	2	1	0	10	5	5	4.09
くの/ 久野剛司	11	0	0	1	2	.334	17.2	24	2	8	1	15	14	14	7.00
こん/ 権藤正利	34	3	1	5	4	.556	104.0	97	11	28	3	79	44	32	2.77
ふる/ 古沢憲司	7	0	0	0	0	.000	11.0	14	2	7	0	11	6	6	4.91
わこ/ 若生智男	30	1	0	3	7	.300	91.2	69	14	29	3	68	39	34	3.33
合計		64	16	72	58	.554	1209.1	968	106	308	33	987	419	358	2.66

打撃成績

• 色付きは規定打席（412打席）以上の選手
• 太字 はリーグ最高

選手	試 合	打 席	打 数	得 点	安 打	二 塁 打	三 塁 打	本 塁 打	塁 打	打 点	盗 塁	盗 塁 死	犠 打	犠 飛	四 球	死 球	三 振	併 殺 打	打 率	出 塁 率
ふし/ 藤井栄治	113	417	377	29	101	24	4	4	145	40	3	3	4	7	27	2	20	10	.268	.320
とお/ 遠井吾郎	133	549	507	47	133	26	2	13	202	68	1	2	2	4	34	2	86	11	.262	.311
かく/カークランド	133	567	518	71	128	16	0	37	255	89	3	4	0	2	45	2	104	6	.247	.310
ふし/ 藤田平	129	560	516	66	124	30	4	11	195	32	7	7	6	3	28	7	61	8	.240	.289
あん/ 安藤統夫	39	104	93	12	19	5	0	2	30	6	1	0	3	0	6	2	12	3	.204	.267
いけ/ 池田純一	94	239	214	27	51	6	3	10	93	19	2	1	0	0	21	4	59	2	.238	.318
えた/ 江田昌司	9	15	14	1	4	2	0	0	6	0	0	0	1	0	0	0	1	0	.286	.286
おお/ 大倉英貴	8	6	6	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	1	1	.000	.000
かわ/ 川藤幸三	3	11	11	1	1	0	0	1	4	1	0	0	0	0	0	0	2	0	.091	.091
くわ/ 桑野議	3	4	4	1	1	0	0	0	1	0	0	0	0	0	0	0	2	0	.250	.250
こた/ 小玉明利	108	339	306	34	65	8	1	5	90	25	5	0	5	1	26	1	43	11	.212	.276
さい/ 西園寺昭夫	95	246	200	27	47	5	1	5	69	19	2	3	4	2	38	2	39	5	.235	.363
つしき/ 辻恭彦	86	278	248	17	63	10	0	7	94	29	0	1	3	1	22	4	41	5	.254	.325
つしよ/ 辻佳紀	78	236	208	21	41	9	1	10	82	29	1	3	2	0	24	2	43	3	.197	.286
にし/ 西村公一	16	18	18	0	2	0	0	0	2	0	0	0	0	0	0	0	6	0	.111	.111
のた/ 野田征稔	39	23	22	5	1	0	0	1	4	2	1	0	1	0	0	0	11	1	.045	.045
もと/ 本屋敷錦吾	111	268	246	20	47	7	1	3	65	12	2	1	3	0	19	0	37	9	.191	.249
やま/ 山尾孝雄	25	23	20	2	7	2	0	0	9	2	1	0	0	0	3	0	5	0	.350	.435
よし/ 吉田義男	114	357	318	36	73	13	2	2	96	21	3	1	14	1	20	4	21	9	.230	.284
わた/ 和田徹	88	236	218	19	48	3	1	8	77	18	2	1	2	2	10	4	57	8	.220	.267
あへ/ 安部和春	20	8	7	0	1	1	0	0	2	0	0	0	0	0	1	0	4	0	.143	.250
いしと/ 石床幹雄	1	1	1	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	1	0	.000	.000
えな/ 江夏豊	49	117	110	1	18	1	0	0	19	6	0	0	5	1	1	0	36	2	.164	.171
かき/ 柿本実	34	39	36	2	8	2	0	0	10	3	0	0	1	0	2	0	11	1	.222	.263
くの/ 久野剛司	11	2	2	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	2	0	.000	.000
こん/ 権藤正利	34	26	23	1	1	0	0	0	1	0	0	0	2	0	1	0	4	1	.043	.083
はつ/ バッキー	34	94	90	4	15	2	2	0	21	8	0	0	3	0	1	0	34	1	.167	.176
むら/ 村山実	32	74	65	3	15	2	0	0	17	3	0	0	4	0	5	0	23	1	.231	.286
わこ/ 若生智男	30	21	21	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	0	13	0	.000	.000
合計		4878	4419	447	1014	174	22	119	1589	432	34	27	65	24	334	36	779	98	.229	.289

表彰

• 江夏豊
  • 沢村賞（初受賞）
  • 最多勝利　25勝（初受賞）
  • 最多奪三振　401個（2年連続2度目）
  • ベストナイン 〈投〉（初受賞）

達成記録・出来事

• 4月25日 - 広島5回戦（広島市民）で勝利し、球団通算2000勝（2000勝1533敗86分）史上2球団目
• 6月19日 - 若生智男がサンケイ11回戦（神宮）で5回に巽一から三振を奪い通算1000奪三振、史上33人目
• 8月8日 - 江夏豊が中日17回戦（中日）で先発登板し、セ・リーグタイ記録の一試合16奪三振
• 8月27日 - ジーン・バッキーが広島20回戦（広島市民）で先発して勝利投手となり通算100勝、史上46人目
• 9月17日 - 江夏豊が巨人20回戦（甲子園）で王貞治から4回に1961年の稲尾和久（西鉄）が記録した年間奪三振記録に並ぶ353、7回に新記録の354個目となる三振を奪う
• 9月18日 - 巨人22回戦（甲子園）で、4回に王貞治に対するジーン・バッキーの投球をめぐり、巨人の打撃コーチの荒川博が乱闘
• 10月6日 - 村山実が大洋27回戦（甲子園）で先発登板し1回3死目のアウトを取って2500投球回、史上20人目
• 10月7日 - ジーン・バッキーが先日の乱闘の件で尼崎簡易裁判所で巨人の荒川博コーチと共に25,000円の罰金刑の略式命令が出されて決着した
• 10月23日 - 藤本定義監督の辞任を発表
• 11月19日 - 大阪・梅田の球団事務所にて新監督にヘッドコーチの後藤次男が就任したと発表

ドラフト指名選手

→詳細は「1968年度新人選手選択会議 (日本プロ野球)」を参照

順位	選手名	ポジション	所属	結果
1位	田淵幸一	捕手	法政大学	入団
2位	植木一智	投手	龍谷大学	入団
3位	猪狩志郎	投手	佼成学園高	拒否・駒澤大学進学
4位	小島健郎	投手	近畿大学	拒否・日本生命入社
5位	楠橋高幸	内野手	今治西高	入団
6位	太田進	外野手	日産自動車	拒否
7位	幡野正秋	内野手	三協精機	拒否
8位	長崎慶一	外野手	北陽高	拒否・法政大学進学