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2021年9月6日 (月) 08:40時点における版

ビートルズ > ビートルズの作品 > クリスマス・タイム
ビートルズ > ビートルズの曲名一覧 > クリスマス・タイム
クリスマス・タイム
ビートルズ楽曲
英語名Christmas Time (Is Here Again)
リリース
  • イギリスの旗 1995年12月4日
  • アメリカ合衆国の旗 1995年12月31日
  • 日本の旗 1996年1月1日
規格
録音
ジャンルポップ・ロック
時間
  • 6分7秒
  • 3分3秒(シングル収録テイク)
レーベルアップル・レコード
作詞者
作曲者
  • ジョン・レノン
  • ポール・マッカートニー
  • ジョージ・ハリスン
  • リチャード・スターキー
プロデュースジョージ・マーティン
ビートルズ シングル U.K.U.S. 年表
ビートルズ シングル 日本 年表

クリスマス・タイム」(原題 : Christmas Time (Is Here Again))は、ビートルズの楽曲である。1967年にファンクラブ限定で配布された5作目のクリスマス・レコード『Christmas Time Is Here Again』のためにレコーディングが行われた[2]。作詞・作曲はジョン・レノンポール・マッカートニージョージ・ハリスンリンゴ・スターのメンバー全員で行っており、ブルースをベースとしたバッキング・トラック、メンバー4人とジョージ・マーティンビクター・スピネッティ英語版のボーカルで構成される。

「クリスマス・タイム」は、長い間一般での発表は行なわれなかったが、1995年12月に発売されたシングル『フリー・アズ・ア・バード』のB面に短く編集した音源が収録され、2017年に発売されたボックス・セット『クリスマス・レコード・ボックス英語版』に1967年バージョンが収録された。

背景・曲の構成

ビートルズは、1963年よりクリスマス・レコードの録音を開始し、毎年12月にファンクラブの会員に無料で配布していた[3]。初期に配布されたレコードにはファンへのメッセージ、後期に配布されたレコードには寸劇や音楽が収録されていた[4]ローリング・ストーン誌のジョージ・ランタグが「ビートルズのクリスマス・レコードの」頂点」と評する1967年のクリスマス・レコード『Christmas Time Is Here Again』は、これまでで最も大がかりなクリスマス・メッセージとなっており[5]、バンドは事前に台本を用意していた[6]。レコードの内容は、ラジオ番組やテレビ番組へのオマージュとなっていて[6]BBCラジオの番組のオーディションを受ける「The Ravellers」という架空のバンドを中心とした物語になっている[7]。寸劇には、タップダンスや架空の広告、バンドがピアノを弾きながら「Plenty of Jam Jars」について歌う場面が含まれている[6]。レコードの最後には、各メンバーとプロデューサーのジョージ・マーティンによる[5]ファンに向けた季節の挨拶と、ジョン・レノンによる「When Christmas Time Is Over」という詩が含まれている[7]。作家のジョン・C・ウィンは、この作品について「スコットランドのクリスマスの詩」[8]と表現し、ケネス・ウォマック英語版は「ジョイスの…ナンセンスな詩」と呼んでいる[7]

台本に加え、バンドはクリスマスソング「クリスマス・タイム」を書いた[6]。本作は、1967年の初期に作曲された「フライング」と同じく[9]、ビートルズの公式発表曲では数少ないメンバー4人の名前がクレジットに含まれている楽曲となっている[7][注釈 1]Dメジャーで演奏される本作は、ブルースをベースとした構成になっており[14]、9つのヴァースの後に、インストゥルメンタルのヴァースが繰り返される[8]。ウォマックは、本作の「コミカルな精神」と1967年夏に録音された「ユー・ノウ・マイ・ネーム」の類似性、BBC Radio 1のボンゾ・ドッグ・ドゥー・ダー・バンドからの影響を受けた可能性を指摘している[7]。作家のスティーブ・ターナーは、本作について1966年に発売された「イエロー・サブマリン」から始まった子供向けの歌への関心を示していて、1940年代のリヴァプールへの懐古とサイケデリック・ミュージックの子供向けの性質の組み合わせを反映したものとしている[15]。ランタグは、「単なる聖日のマントラに過ぎないが、ビートルズは全力でのコミットメントとニュー・シングル『ハロー・グッドバイ』を彷彿とさせる巧妙なアレンジでそれを売りとしている」と評している[5]

レコーディング

「クリスマス・タイム」のレコーディングは、1967年11月28日にEMIスタジオのスタジオ3で行われた[1]。午後6時から翌日の午前2時45分まで行なわれたこのセッションは、マーティンがプロデュースを手がけ、バランス・エンジニアのジェフ・エメリックがサポートした[16]。このセッションの2週間前にEP『マジカル・ミステリー・ツアー』のためのレコーディング・セッションを終えていたことから[17]、別のプロジェクトと並行して作られていない初のクリスマス・レコードとなった[注釈 2]。このセッションには俳優のビクター・スピネッティ英語版が参加しており、バンドメンバーの著書『In His Own Write』(1964年)と『A Spaniard in the Works』(1965年)を舞台化した[22]『The Lennon Play: In His Own Write』用のテープの準備をレノンが手伝っていた[16]。ビートルズはクリスマス・レコードのレコーディングにスピネッティを招待し、スピネッティは寸劇に出演したほか、曲中でボーカルも務めた[16]。1テイクで録音された[8]ベーシック・トラックは、リンゴ・スタードラムス[16]ジョージ・ハリスンアコースティック・ギターギブソン・J-160E[23]、レノンがティンパニポール・マッカートニーピアノ[16]という編成となっている。その後、ビートルズはマーティンやスピネッティと共に、オリジナル・テイクに手動でダブルトラックボーカルオーバー・ダビングした[16]

マーティンは、エメリックの助けを借りて、セッション翌日にEMIスタジオでミキシングを行なった。午後2時30分から5時30分にかけてモノラルのリミックスを複数編集したが、その総数は不明となっている。ビートルズの寸劇と合わせて編集された完成版は、演奏時間が6分8秒となっている[8]。マーティンとエメリックは、完成したマスター・バージョンをテープにコピーし、それをリントーン・レコードに送ってプレスを依頼した[16]

リリース

1967年12月15日に配布されたクリスマス・レコード『Christmas Time Is Here Again』は、本作のタイトルをわずかに変更したものとなっている[24]。これまでのビートルズのクリスマス・レコードと同じく、イギリスのファンには7インチ盤、アメリカのファンにはポストカードが配布された[7]。なお、本作の完全版は公式には発表されていない[11]。1976年4月23日に6分42秒の降るバージョンのモノラル・ミックスが作成された。このミックスは元々EMIの幹部しか聴くことができなかったが、1983年に海賊盤で初めて流通した。エメリックは、1983年にビートルズの未発表曲やアウトテイクなどを集めた『Sessions』のために再び本作のリミックスを行なった。エメリックは本作のステレオ・ミックスを作成し、曲を1分8秒に短くしたうえで「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」とのメドレーとしてクロスフェードするように編集を施した。これは、1984年のクリスマス頃にアルバムからの先行シングル『リーヴ・マイ・キトゥン・アローン』のB面曲として発売される予定だった。最終的にいずれも発売されることはなかったが、1985年と1986年にそれぞれ2つのバージョンが海賊盤として流通し始めた。

アップル・レコードは、CDシングル『フリー・アズ・ア・バード』の4曲目に本作を収録し、1995年12月4日にイギリスで、12月12日にアメリカで発売した。ウォマックは、このリリースにあたりマーティンがリミックスを行なったとしているが、ウィンは『Sessions』のために作られたステレオ・ミックスから、最初の2分19秒を編集した音源としている。ルイソンによるライナー・ノーツでは、プロデューサーとしてマーティン、「エンジニア / リミックス・エンジニア」としてエメリックの名がクレジットされている。同収録テイクは、1966年12月6日に録音された『Pantomime: Everywhere It's Christmas』に収録のメンバーの挨拶[25]が流れた後、「オールド・ラング・サイン」を伴奏にしたレノンによるナンセンス詩「When Christmas Time Is Over」の朗読で終わる[26]

2017年12月15日にボックス・セット『クリスマス・レコード・ボックス英語版』が発売され、フルサイズ版が初めて一般発売されることとなった[1]

演奏

※出典[11](特記を除く)

カバー・バージョン

リンゴ・スターは、1999年に発売の企画アルバム『アイ・ウォナ・ビー・サンタ・クロース〜リンゴのクリスマス・アルバム英語版』でセルフカバーした[27]。この翌年にはR.E.M.がファンクラブ限定のクリスマス・シングルとしてカバー。

2002年にテリー・ドライパー英語版がオムニバス盤『Takin' Care of Christmas』で[28]、2007年にスミザリーンズ英語版がアルバム『Christmas with the Smithereens』、2013年にエレファント・ストーン英語版がオムニバス盤『Psych-Out Christmas』でカバーした。

脚注

注釈

  1. ^ 1967年に配布されたレコードには、作詞作曲者のクレジットはない[10]。本作の作詞作曲者のクレジットについて、イアン・マクドナルド英語版は「Lennon-McCartney-Harrison-Starkey」[11]と表記している一方で、ウォマックは「Harrison-Lennon-McCartney-Starr」[7]と表記している。1995年にシングル『フリー・アズ・ア・バード』に付属のマーク・ルイソン英語版によるライナー・ノーツでは、「John Lennon, Paul McCartney, George Harrison and Ringo Starr」と表記されている[12]。また、リンゴ・スターによるカバー・バージョンが収録されている1999年に発売されたアルバム『アイ・ウォナ・ビー・サンタ・クロース〜リンゴのクリスマス・アルバム英語版』では、「George Harrison, John Lennon, Paul McCartney, Richard Starkey」[13]という表記になっている。
  2. ^ 1963年のクリスマス・レコード『The Beatles Christmas Record』は『ウィズ・ザ・ビートルズ[18]、1964年のクリスマス・レコード『Another Beatles Christmas Record』は『ビートルズ・フォー・セール[19]、1965年のクリスマス・レコード『The Beatles Third Christmas Record』は『ラバー・ソウル[20]、1966年のクリスマス・レコード『Pantomime: Everywhere It's Christmas』は『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』と並行して制作された[21]

出典

  1. ^ a b c d “ビートルズ、『クリスマス・レコード・ボックス』発売を記念してプレゼント・キャンペーンを実施”. NME Japan (BandLab UK Limited). (2017年12月15日). https://nme-jp.com/news/47686/ 2020年8月25日閲覧。 
  2. ^ Gilliland, John (1969). "Show 54 - Hail, Hail, Rock 'n' Roll: Getting back to rock's funky, essential essence. [Part 3]" (audio). Pop Chronicles. University of North Texas Libraries. {{cite web}}: 引数|ref=harvは不正です。 (説明)
  3. ^ Lewisohn 2000, p. 125.
  4. ^ Hertsgaard 1995, p. 136.
  5. ^ a b c Runtagh 2020.
  6. ^ a b c d Lewisohn 2000, p. 131.
  7. ^ a b c d e f g Womack 2016, p. 95.
  8. ^ a b c d Winn 2009, p. 139.
  9. ^ Everett 1999, p. 144.
  10. ^ Anon 1967.
  11. ^ a b c MacDonald 2007, p. 273.
  12. ^ Lewisohn 1995.
  13. ^ Anon 1999.
  14. ^ MacDonald 2007, p. 273, 494.
  15. ^ Turner 2005, p. 208.
  16. ^ a b c d e f g h Lewisohn 1988, p. 131.
  17. ^ Lewisohn 1988, p. 130-131.
  18. ^ Lewisohn 1988, p. 36.
  19. ^ Lewisohn 1988, p. 51.
  20. ^ Lewisohn 1988, p. 67.
  21. ^ Lewisohn 1988, p. 88.
  22. ^ Everett 1999, p. 160.
  23. ^ Womack 2016, p. 96.
  24. ^ Winn 2009, p. 139-140.
  25. ^ Everett 1999, p. 293, 341n194.
  26. ^ Womack 2016, p. 55.
  27. ^ Ruhlmann, William. I Wanna Be Santa Claus - Ringo Starr | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年8月25日閲覧。
  28. ^ Christmas Time Is Here Again - Terry Draper | Song Info - オールミュージック. 2020年8月25日閲覧。

参考文献

外部リンク