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*世紀末から新世紀末へ 筑摩書房 1990 |
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2020年8月25日 (火) 11:07時点における版
芳賀 徹(はが とおる、1931年5月9日 - 2020年2月20日[1])は、日本の文学研究者、比較文学者[2]。国際日本文化研究センター・東京大学名誉教授[2]、京都造形芸術大学名誉学長。日本藝術院会員[3]。
来歴
東京府(現・東京都)生まれだが、本籍は山形県。両親の都合で幼時より山形県で過ごし、1941年に東京高等師範学校附属小学校(現・筑波大学附属小学校)へ転入する。1950年に東京教育大学附属中学校・高等学校(現・筑波大学附属中学校・高等学校)を卒業。 新制大学第一期生で、1953年、東京大学教養学部教養学科フランス分科第一期生として卒業、続いて大学院比較文学比較文化専修課程第一期生。島田謹二に比較文学を学ぶ。修士修了ののちフランスへ留学、1957年帰国。
1963年東大教養学部専任講師、1965年助教授。1966年プリンストン大学研究員。1968年に初の単著『大君の使節』を刊行。1977年東京大学教授。1985年東京大学より文学博士。論文の題は「絵画の領分 : 近代日本比較文化史研究 」[4]。 1983年から1988年まで比較文学比較文化研究室主任教授。1991年国際日本文化研究センター教授(東京大学併任教授)。1992年東京大学定年退官、名誉教授。1997年国際日本文化研究センター定年退官、同名誉教授、大正大学教授。1998年岡崎市美術博物館館長(-2012年)。1999年京都造形芸術大学教授、学長を歴任し、2008年名誉学長。新しい歴史教科書をつくる会の理事を務める。2006年11月1日源氏物語千年紀の呼びかけ人となる。2010年静岡県立美術館館長(-2017年)。2011年『藝術の国日本 画文交響』で蓮如賞受賞。2012年現代俳句大賞受賞。2014年歌会始召人。
2020年2月20日、胆嚢がんのため、東京都内の病院で死去[1]。88歳没。死没日をもって正四位に叙される[5]。
人物
- 父は中世日本史を専攻した歴史学者芳賀幸四郎で[2]、父が左翼活動で東京高等師範学校を退学になった直後に生まれている[2]。東北大学教授の考古学者・芳賀満は長男。東北大学准教授の美術史学者・芳賀京子はその妻。
- 東京高等師範学校附属小学校では、同じクラス(第1部)からのちに東大教授となった者が五人いた。平川祐弘、石井進、高階秀爾、平田賢である。高階とは後に京都造形芸術大学においても同僚となり、芳賀が学長、高階が大学院長を務めた。平川と伊東俊太郎とは東京大学教養学部の同僚であり、伊東とは後に国際日本文化研究センターにおいても同僚となる。
- 当初、フランスに留学してその詩に親しんでいたが、蘭学研究を始めて近世以降の東西交渉史に関心を持ち、ついで近代日本絵画における西洋文化の影響、岩倉使節団を論じ、徳川時代の平和を、パクス・ロマーナをもじって「パックス・トクガワーナ」と名づけ[6]、徳川時代再評価の先鞭をつけた。
- 大学院では福田眞人・杉田英明[7]を含む数多くの後進を育成した。
- 1993年より2010年までサントリー学芸賞文学・美術部門選考委員を務め、弟子には受賞者が多い。
受賞歴
- 1981年に『平賀源内』でサントリー学芸賞。
- 1984年に『絵画の領分』で大佛次郎賞。
- 1993年に明治村賞。
- 1997年に紫綬褒章。
- 2000年に京都新聞文化学術賞(比較文学)。
- 2006年に瑞宝中綬章。
- 2011年に『藝術の国日本 画文交響』で蓮如賞。
- 2017年度 第2回井上靖記念文化賞(旭川市)。
- 2018年に日本芸術院賞恩賜賞。
著書
単著
- 『大君の使節』中央公論社〈中公新書〉1968
- 『渡辺崋山-優しい旅びと』(日本の旅人13)淡交社 1974/朝日選書 1986、オンデマンド版2003
- 『みだれ髪の系譜』美術公論社 1981/講談社学術文庫 1988
- 『平賀源内』(朝日評伝選23)朝日新聞社 1981/朝日選書 1989
- 『絵画の領分-近代日本比較文化史研究』朝日新聞社 1984/朝日選書 1990
- 『與謝蕪村の小さな世界』中央公論社 1986/中公文庫 1988
- 『文化の往還 比較文化のたのしみ』福武書店 1989(福武ブックス)
- 『岩倉使節団の西洋見聞 「米欧回覧実記」を読む』日本放送出版協会 1990(NHK市民大学)
- 『きのふの空 東大駒場小景集』中央公論美術出版 1992
- 『詩の国 詩人の国』 筑摩書房 1997
- 『詩歌の森へ-日本詩へのいざない』 中央公論新社〈中公新書〉 2002
- 『ひびきあう詩心-俳句とフランスの詩人たち』 TBSブリタニカ 2002
- 『みやこの円熟 江戸期の京都文化史再考』 日本放送出版協会 2004(NHK人間講座)
- 『藝術の国日本 画文交響』角川学芸出版 2010
- 『文明としての徳川日本』筑摩書房〈筑摩選書〉 2017
- 『桃源の水脈 東アジア詩画の比較文化史』名古屋大学出版会 2019
- 『外交官の文章 もう一つの近代日本比較文化史』筑摩書房 2020。遺著
主な共編著
- 明治百年の序幕 (大世界史21) 文藝春秋、1969。井上勲と共著
- 明治維新と日本人 講談社学術文庫、1980。あとがきに注記
- 日本の名著22 杉田玄白・平賀源内・司馬江漢 中央公論社 1971、新版・中公バックス 1983
- 講座比較文学 全8巻 平川・亀井俊介・小堀桂一郎共編 東京大学出版会、1973-76
- 批評日本史 政治的人間の系譜 徳川吉宗 奈良本辰也・楢林忠男共著、思索社、1973
- 平凡社ギャラリー 崋山-四州真景 1974
- 芸術の精神史 蕪村から藤島武二まで 共同討議 高階秀爾共編 淡交社 1976
- 明治大正図誌 東京 3 小木新造共編 筑摩書房 1979
- カンヴァス日本の名画 高橋由一 青木茂共著 中央公論社 1979
- 近代漫画〈4〉 日露戦争期の漫画 浅井忠・小杉未醒 清水勲共編 筑摩書房 1985
- 海外の日本人小事典 エッソ石油広報部 1985
- 近代漫画〈1〉 幕末維新期の漫画 C=ワーグマン・河鍋暁斎 清水勲共編 筑摩書房 1986
- 江漢西遊日記 司馬江漢 平凡社東洋文庫 1986。太田理恵子共校注
- 外国人による日本論の名著 ゴンチャロフからパンゲまで 佐伯彰一共編 中公新書 1987
- 小出楢重随筆集 岩波文庫 1987
- 文学の東西 辻瑆共編著 放送大学教育振興会 1988
- ビゴー素描コレクション 全3巻 清水勲・酒井忠康・川本皓嗣共編 岩波書店 1989
- 世紀末から新世紀末へ 筑摩書房 1990
- 写真で見る江戸東京 岡部昌幸共著 新潮社「とんぼの本」 1992
- 世界都市の条件 高階秀爾共編 筑摩書房 1992
- 絵のなかの東京 ビジュアルブック江戸東京 岩波書店 1993
- 叢書 比較文学比較文化〈1〉 文明としての徳川日本 中央公論社 1993
- 水墨画の巨匠 第12巻 蕪村 早川聞多共著 講談社 1994
- 河鍋暁斎画集 六燿社 1994
- 江戸のなかの近代-秋田蘭画と『解体新書』 筑摩書房 1996。高階秀爾・武塙林太郎・養老孟司・成瀬不二雄・河野元昭と共著
- 翻訳と日本文化 国際文化交流推進協会〈シリーズ国際交流〉 2000
- 創像新世紀 淡交社 2001
- 京都学を学ぶ人のために 冨士谷あつ子共編 世界思想社 2002
- ワーグマン素描コレクション(上下) 酒井・清水・川本・新井潤美編 岩波書店 2002
- 岩倉使節団の比較文化史的研究 思文閣出版 2003
- 古寺巡礼京都27 泉涌寺 上村貞郎共著 淡交社 2008
翻訳
- ジョージ・サンソム『西欧世界と日本』 金井圓・多田実・平川祐弘共訳
- 筑摩書房〈筑摩叢書〉(上下) 1966、復刊1983/ちくま学芸文庫(上中下) 1995
- A.M.クレイグ/D.H.シャイヴリ編『日本の歴史と個性 現代アメリカ日本学論集』本山幸彦・金井圓共監訳 ミネルヴァ書房(上下) 1973-74
- ドナルド・キーン『日本人の西洋発見』中央公論社 1968/中公叢書 1976/中公文庫 1982/「著作集 第11巻」新潮社 2014
- サミュエル・ビング『藝術の日本』 大島清次・池上忠治・瀬木慎一共訳、美術公論社 1981
関連項目
- 筑波大学附属中学校・高等学校の人物一覧
- 松山宣言
- 正岡子規国際俳句賞
- 平川祐弘
- 高階秀爾
- 梅原猛
- 河合隼雄
- 小堀桂一郎
- 山折哲雄
- 伊東俊太郎
- 中西進
- 上田正昭
- 米山俊直
- 牛村 圭
- 稲賀繁美
- モーリス・パンゲ
脚注
- ^ a b INC, SANKEI DIGITAL (2020年2月21日). “比較文化で独創的研究、つくる会にも参加 芳賀徹・東大名誉教授死去”. 産経ニュース. 2020年2月21日閲覧。
- ^ a b c d 小谷野敦 著 『日本の有名一族 近代エスタブリッシュメントの系図集』 幻冬舎(幻冬舎新書)、2007年9月30日第1刷発行、ISBN 978-4-344-98055-6、182頁。
- ^ “芸術院 芳賀徹氏と馬越陽子氏が新会員に”. www.nikkei.com. 日本経済新聞 (2018年11月30日). 2020年2月22日閲覧。
- ^ 博士論文書誌データベース
- ^ 『官報』第220号7頁 令和2年3月31日号
- ^ huffingtonpost
- ^ 『諸君!』2004年3月号「イスラムが『ミカド』と『トーゴー』に目醒めた時」の山内昌之との対談より