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2015年6月16日、[[2016年アメリカ合衆国大統領選挙]]へ[[共和党 (アメリカ)|共和党]]から[[出馬]]することを表明。トランプの初期[[キャンペーン]]は大々的に[[メディア]]の注目を浴び、広く一般の支持を集めた<ref>Matt Latimer, "Trump Schools the [[Republican Party (United States)|Republican]] Establishment: GOP elites are only making The Donald stronger", [http://www.politico.com/magazine/story/2015/07/trump-republican-establishment-120713.html ''Politico'' July 28, 2015]</ref>。2015年6月以来、共和党の[[世論調査]]では継続してトップの支持率を保っている<ref>Jennifer Agiesta, "CNN/ORC poll: Trump elbows his way to the top" [http://www.cnn.com/2015/07/26/politics/cnn-poll-presidential-race/ CNN July 26, 2015]</ref><ref name="BusinessInsider0820">Brett LoGiurato – [http://www.aol.com/article/2015/08/20/hillary-clinton-just-got-more-awful-poll-news-and-theres-now/21225211/?icid=maing-grid7%7Chtmlws-sb-bb%7Cdl19%7Csec3_lnk4%26pLid%3D395188655 "Hillary Clinton Just Got More Awful Poll News – and There's Now an Opening for Joe Biden",] ''Business Insider'', August 20, 2015. Retrieved August 21, 2015</ref><ref>See [http://www.realclearpolitics.com/epolls/2016/president/us/2016_republican_presidential_nomination-3823.html for summary of current polls]</ref>。[[メキシコ]]系や[[ヒスパニック]]系の不法[[移民]]に関する発言は、[[外国人嫌悪]]と取られることから共和党主流派の[[方針]]と決定的に相反するという[[指摘]]も受けており<ref>See:<br />{{cite web|url=http://www.politico.com/magazine/story/2015/09/trump-tea-party-populist-exposed-213111|title=How Trump Exposed the Tea Party|work=POLITICO Magazine|accessdate=2016-01-31}}<br />{{cite web|url=http://www.npr.org/sections/itsallpolitics/2015/09/04/437443401/populist-movement-reflected-in-campaigns-of-sanders-and-trump|title=Nativism And Economic Anxiety Fuel Trump's Populist Appeal|date=September 4, 2015|work=NPR.org|accessdate=2016-01-31}}<br />{{cite web|title=Donald Trump and the Long Tradition of American Populism|url=http://www.newsweek.com/donald-trump-populism-365052|work=Newsweek|author=CHRIS LEHMANN|date=August 22, 2015|accessdate=2016-01-313}}</ref>、[[ワシントン・ポスト]]、[[エコノミスト]]、[[ニューヨーク・タイムズ]]、[[ウォール・ストリート・ジャーナル]]、[[ハフィントン・ポスト]]などのメディアからは大きな[[批判]]を浴びた。 |
2015年6月16日、[[2016年アメリカ合衆国大統領選挙]]へ[[共和党 (アメリカ)|共和党]]から[[出馬]]することを表明。トランプの初期[[キャンペーン]]は大々的に[[メディア]]の注目を浴び、広く一般の支持を集めた<ref>Matt Latimer, "Trump Schools the [[Republican Party (United States)|Republican]] Establishment: GOP elites are only making The Donald stronger", [http://www.politico.com/magazine/story/2015/07/trump-republican-establishment-120713.html ''Politico'' July 28, 2015]</ref>。2015年6月以来、共和党の[[世論調査]]では継続してトップの支持率を保っている<ref>Jennifer Agiesta, "CNN/ORC poll: Trump elbows his way to the top" [http://www.cnn.com/2015/07/26/politics/cnn-poll-presidential-race/ CNN July 26, 2015]</ref><ref name="BusinessInsider0820">Brett LoGiurato – [http://www.aol.com/article/2015/08/20/hillary-clinton-just-got-more-awful-poll-news-and-theres-now/21225211/?icid=maing-grid7%7Chtmlws-sb-bb%7Cdl19%7Csec3_lnk4%26pLid%3D395188655 "Hillary Clinton Just Got More Awful Poll News – and There's Now an Opening for Joe Biden",] ''Business Insider'', August 20, 2015. Retrieved August 21, 2015</ref><ref>See [http://www.realclearpolitics.com/epolls/2016/president/us/2016_republican_presidential_nomination-3823.html for summary of current polls]</ref>。[[メキシコ]]系や[[ヒスパニック]]系の不法[[移民]]に関する発言は、[[外国人嫌悪]]と取られることから共和党主流派の[[方針]]と決定的に相反するという[[指摘]]も受けており<ref>See:<br />{{cite web|url=http://www.politico.com/magazine/story/2015/09/trump-tea-party-populist-exposed-213111|title=How Trump Exposed the Tea Party|work=POLITICO Magazine|accessdate=2016-01-31}}<br />{{cite web|url=http://www.npr.org/sections/itsallpolitics/2015/09/04/437443401/populist-movement-reflected-in-campaigns-of-sanders-and-trump|title=Nativism And Economic Anxiety Fuel Trump's Populist Appeal|date=September 4, 2015|work=NPR.org|accessdate=2016-01-31}}<br />{{cite web|title=Donald Trump and the Long Tradition of American Populism|url=http://www.newsweek.com/donald-trump-populism-365052|work=Newsweek|author=CHRIS LEHMANN|date=August 22, 2015|accessdate=2016-01-313}}</ref>、[[ワシントン・ポスト]]、[[エコノミスト]]、[[ニューヨーク・タイムズ]]、[[ウォール・ストリート・ジャーナル]]、[[ハフィントン・ポスト]]などのメディアからは大きな[[批判]]を浴びた。 |
2017年8月28日 (月) 13:51時点における版
ドナルド・トランプ Donald Trump | |
(2017年1月27日撮影)
| |
任期 | 2017年1月20日 – |
---|---|
副大統領 | マイク・ペンス |
出生 | 1946年6月14日(78歳) アメリカ合衆国 ニューヨーク州 ニューヨーク市 クイーンズ区 |
政党 | 共和党(2012年 - 現在、2009年 - 2011年、1987年 - 1999年)[1] 過去の所属: 民主党(2001年 - 2009年[1]、1987年以前[2]) アメリカ合衆国改革党(1999年 - 2001年)[1] |
出身校 | ペンシルベニア大学ウォートン・スクール |
配偶者 | イヴァナ・トランプ(1977年 - 1992年) マーラ・メープルズ(1993年 - 1999年) メラニア・トランプ(2005年 - 現在) |
子女 | ドナルド・トランプ・ジュニア イヴァンカ・トランプ エリック・トランプ ティファニー・トランプ バロン・トランプ |
署名 |
ドナルド・トランプ Donald Trump | |
---|---|
住居 | ホワイトハウス |
国籍 | アメリカ合衆国 |
職業 |
|
活動期間 | 1968年 - |
給料 | 2億5,000万ドル |
純資産 |
45億ドル (『フォーブス』2015年10月)[3] |
身長 | 191 cm (6 ft 3 in)[4] |
宗教 | 長老派教会 |
親 |
フレッド・トランプ(父) マリー・アン・マクラウド・トランプ(母) |
親戚 | マリアン・トランプ・バリー(姉)、ジョン・ジョージ・トランプ(叔父)、ジャレッド・クシュナー(娘婿) |
公式サイト |
公式サイト ドナルド・トランプ (@realDonaldTrump) - X(旧Twitter) |
ドナルド・ジョン・トランプ(Donald John Trump、1946年6月14日 - )は、アメリカ合衆国の実業家、政治家。第45代アメリカ合衆国大統領。不動産会社トランプ・オーガナイゼーションの会長兼社長を務め、カジノ・ホテル運営会社トランプ・エンターテイメント・リゾーツの設立者である。
略歴
生粋のニューヨーカー(ニューヨークの市民)であり、父のフレッド・トランプもニューヨーク市の不動産開発業者。父のフレッドは不動産開発事業に対するトランプの関心を育て、トランプはペンシルベニア大学ウォートン・スクール在学中から、父フレッドの経営する不動産会社「エリザベス・トランプ・アンド・サン」を手伝い[5]、大学を卒業する手前の1968年に正式に社員になった。
1971年には父フレッドから同社の経営権を与えられ、社名を現行の「トランプ・オーガナイゼーション」に改めた。以来トランプは、ホテル、カジノ、ゴルフコースその他諸々の不動産を建設し、その多くに自らの名前を冠している。地価の上昇とジャンク債の流行が、トランプをふくむ多くの実業家を無理な複数経営に走らせた。
1990年代、トランプはロスチャイルド、ウィルバー・ロス、フィデリティ・インベストメンツの肝いりで経営危機を切り抜けた。
NBCのリアリティ番組「アプレンティス」への出演はトランプの知名度を更に高め、3回の結婚歴はタブロイド紙で広く報じられた。
2009年2月、レイト・ショー・ウィズ・デイヴィッド・レターマンへ出演して「ゼネラルモーターズはつぶれるべきだ」と発言した。翌年から急に業界の経営が上向き、デトロイトは再開発が進んだ。しかし同市は2013年に財政破綻した。
2015年6月16日、2016年アメリカ合衆国大統領選挙へ共和党から出馬することを表明。トランプの初期キャンペーンは大々的にメディアの注目を浴び、広く一般の支持を集めた[6]。2015年6月以来、共和党の世論調査では継続してトップの支持率を保っている[7][8][9]。メキシコ系やヒスパニック系の不法移民に関する発言は、外国人嫌悪と取られることから共和党主流派の方針と決定的に相反するという指摘も受けており[10]、ワシントン・ポスト、エコノミスト、ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、ハフィントン・ポストなどのメディアからは大きな批判を浴びた。
その一方で、ヒスパニックへの愛を表明し、マンハッタンのトランプ・タワーで各分野のラティーノ指導者らと会談を持ち、マイノリティの声に耳を傾けてもいる[11]。また、親しい黒人女優のオマロサ・マニゴールトとともにミシガン州デトロイトを訪れ、黒人有権者らとセルフィしたり、赤ちゃんを抱っこしたり、一緒に踊ったりし、差別されてきた人たちのことを理解しているとアピール。さらに、共和党はリンカーンの党であり、誰も排除されない国、労働者の党を目指すと宣言。有権者からの支持を増やすことに繋がった。2016年7月、トランプはマイク・ペンス(インディアナ州知事)を副大統領候補に指名した。
2016年11月8日、2016年アメリカ合衆国大統領選挙一般投票が行われ、開票の結果、一部の州を除き、全米で過半数の選挙人を獲得する見通しとなったため、第45代アメリカ合衆国大統領に就任することが確実となった。11月28日、最後まで勝敗が決していなかったミシガン州の最終結果により、トランプは、全米で306人の選挙人を獲得した。
12月19日、コロラド州にある連邦裁判所にて、538人の選挙人による投票が行われ、正式に大統領に当選した。複数の選挙人が州の決定と異なる候補者に投票する造反があったが、一般投票の結果は覆らなかった[12]。
得票数で対立候補を下回った候補が選挙人を獲得したのは、ジョージ・W・ブッシュがアル・ゴアを破った2000年アメリカ合衆国大統領選挙以来16年ぶりとなる。
2017年1月20日、第45代アメリカ合衆国大統領に就任。前任のバラク・オバマから職務を引き継いだ[13]。
1期目の就任時の年齢が70歳というのは、歴代の大統領の中で最も高齢で、初めての政治や軍人の経験がない人物でもある[14]。
プロフィール
生い立ち
トランプは裕福な家庭の第四子として生まれた。父のフレッド・トランプは、1885年にドイツのラインラント=プファルツ州カルシュタットからアメリカに移民したドイツ人フレデリック・トランプの子で、ニューヨーク州クイーンズ区の不動産デベロッパー。母のメアリー・アンは、スコットランドのルイス島生まれで1930年にアメリカに渡った慈善家・主婦。トランプの両親は1936年に結婚し、5人兄妹をもうけた。
少年期のトランプは、クイーンズ区ジャマイカ・エステートのミッドランド・パークハイウェイ沿いで暮らし、13歳までは父が運営委員を務めるフォレスト・ヒルズ地区の学校に通っていたが、素行不良のためニューヨーク・ミリタリー・アカデミー(陸軍幼年学校の1つ)に転入させられた[15]。
1964年からブロンクス区のフォーダム大学に2年通ったのち、不動産の専門学科があった数少ない大学であるペンシルベニア大学の経営学部(ウォートン・スクール)に転校し、1968年に経済学士号(BS (ECon))を取得して卒業した[16][17]。卒業後に父親が経営するエリザベス・トランプ・アンド・サンに入社して、仕事を通じて不動産管理や投資などの知識を身につける。
不動産王
1970年代からオフィスビル開発やホテル、カジノ経営などに乗り出し、1980年代には、ロナルド・レーガン政権下における景況感の回復を背景に大成功を収め、アメリカの不動産王と呼ばれることになる。
自己顕示欲が旺盛であると言われ、各種メディアに積極的に露出するだけでなく、自らが開発・運営する不動産に「トランプ・タワー」、「トランプ・プラザ」、「トランプ・マリーナ」、「トランプ・タージマハール」など、自分の名前を冠している。
トランプ・タワー
自らの名前を冠した不動産の1つである「トランプ・タワー」は、1983年に、ニューヨーク五番街(ミッドタウン・マンハッタンの目抜き通りである)に建設された。80年代のトランプの代表作として知られ、高級アパートメントとショッピングモール、オフィスエリアを擁する複合施設である。80年代にはスピルバーグやマイク・タイソンといったセレブが入居しており、現在もNYヤンキースのデレク・ジーターや、ハリソン・フォード、ビヨンセなどの有名人が住む。ミス・ティーンUSA、ミスUSA、ミス・ユニバースの優勝者が共同生活していることでも有名である。
USFL
1983年には新興のプロアメリカンフットボールリーグであるUSFLのニュージャージー・ジェネラルズのオーナーとなった。1985年には、春夏制であったスケジュールをNFLと同じ秋冬制にし、NFLとの合併を目指すよう他のオーナーたちを説得する。だがNFLを反トラスト法で訴えた裁判は実りなく、USFLは1985年をもって消滅することになった[18]。
転落とカムバック
1980年代後半には、当時経営不振に陥っていた大手航空会社・イースタン航空のニューヨーク発(ラガーディア空港)のシャトル便路線網を買収して、自らの名を冠した「トランプ・シャトル」を興すなど他異業種への展開を進めたものの、1988年から1989年にかけて巨額の債務を抱え、1991年にカジノが、1992年にホテルが倒産した。
1994年にこれらの資産を売って借金を減らし、遊覧船事業と飛行機事業から撤退、マンハッタンに所有する物件も多数を中華人民共和国系の企業に売却した。現在も中華人民共和国の銀行やゴールドマン・サックス、ドイツ銀行などから多額の借金を抱えている[19]。
トランプはロスチャイルド、ウィルバー・ロス、フィデリティ・インベストメンツの肝いりで危機を切り抜けた。1990年代後半から好景気を背景に復活を成し遂げ、著名な経済誌「フォーブス」が選ぶアメリカのトップ企業400社に再びランクインし、マンハッタンに新たな高級アパートメントを多数建設する他、ラスベガスやアトランティック・シティなどアメリカ中に多数のホテルやカジノをオープンするなど、再び「アメリカの不動産王」としての地位を取り戻した。
サブプライム問題
2007年後半に起こったいわゆる「サブプライム問題」以降の不況を受け、社債の利子の支払い不能に陥るなど経営難に陥っていた「トランプ・プラザ」、「トランプ・マリーナ」、「トランプ・タージマハール」を経営するトランプ・エンターテイメント・リゾーツ社が、2009年2月17日に連邦倒産法第11章の適用を申請した。
同社の創業者でもあるトランプはこれに先立ち、同社の取締役会に対して「同社の株式をすべて購入する」との申し出を行ったが拒否されたことを不服として同社の取締役を辞職した。2010年9月9日、「グラウンド・ゼロ」近くにイスラム教の文化センターが計画されている問題で、センター予定地を価格の25%上乗せで買い取りたいと申し出た。
オバマに対する発言
ハワイ州が発行したバラク・オバマ大統領の簡易な出生証明書("Certification of Live Birth")に疑問を呈し、 2011年、オバマは実際はハワイではなくアフリカ(ケニア)生まれで大統領の資格はないのではないかという国籍陰謀論を蒸し返し、注目を集めた[20]。
ABCニュースに出演したトランプはカメラの前に自身の出生証明書を掲げ、オバマにも同じことをするように要求した。「アフリカ生まれ」との疑惑を払拭するため、オバマは出生証明の原本をメディアに公開し、改めてハワイ生まれであるという事実を証明した。これについてトランプは、「バラク・オバマの出生情報を提出させることに成功した」と自画自賛した[21]。
これには、一部から人種差別だという反発とボイコット運動が起こり、グルーポンが「アプレンティス」(後述)のサイトから広告を引き上げる騒ぎとなった[22]。
同年4月末、トランプは年一回開かれるホワイトハウス記者クラブ主催の晩餐会に出席したが、ここでオバマは「この問題を取り上げていた人は、かねてからの問題に安心して取り組むことができるようになったのではないでしょうか」と、トランプら陰謀論を唱えた人々をジョークで皮肉った[23]。
同月の世論調査では、トランプは、大統領選における共和党の候補として、アーカンソー州前知事マイク・ハッカビーと並んで、2位の支持率を獲得した(1位はマサチューセッツ州元知事ミット・ロムニー) [24]。 2012年2月2日、共和党大統領候補として、ミット・ロムニーを支持すると表明した[25]。
同年5月16日、共和党の予備選挙への不出馬を表明したが、最後に付け加える形で、のちの大統領選に、再び「(政治)見習いのセレブ(Celebrity Apprentice)」として出馬する予定であるとも述べた[26]。
2015年9月18日には、自身の集会で、自身の支持者がオバマをムスリムと決めつけたときに否定しなかったことで再び非難を浴びた[27]。
2016年8月10日には、フォートローダーデールの集会において、オバマと対抗馬のヒラリー・クリントンをイスラム過激派組織ISIL(イスラム国)の共同創設者であるとの持論を展開。翌11日のCNBCでのインタビューにおいて「私は事実を言ってるだけ」と述べた。しかし民主党のチャーリー・ウィルソンやオバマ陣営の外交問題顧問を務めたズビグネフ・ブレジンスキーらが、冷戦下のイスラム系反共武装集団に政治的支援を与えていたとしても、創設したとまでは言い難い。クリントン陣営は、「的外れな主張」であり、「トランプが米国を見下していることを示す新たな例」であるとの声明を発表した[28]。一方で民主党の側もロシア悪玉論を振りかざしている[29]。
2016年8月19日には、洪水の被害に見舞われたルイジアナ州のバトンルージュを訪問。トラックいっぱいに詰め込まれた支援物資(子供向け玩具、衣類、おしめ、水、食料など)を運び、荷下ろしも手伝った。そして「大丈夫さ。状況は良くなる」などと被災者を励ました。その一方で、大統領就任以来300回目となるゴルフプレーに興じていたオバマ[30]に対し、「大統領はゴルフをせずに、早くルイジアナを訪れるべきだった。遅すぎる」と批判するのも忘れなかった。
2016年9月16日、トランプはワシントンで記者会見を開き、「オバマ大統領は米国生まれ。以上」と短い声明を読み上げ、オバマがアメリカ合衆国生まれであることを渋々認めたが、謝罪はしなかった[31]。
民主党候補者への言動
かねてよりチェロキー族を先祖に持つエリザベス・ウォーレン上院議員を「ポカホンタス」と蔑称で呼ぶなど、SNS上で民主党関係者や共和党の対抗馬などへの挑発を続けてきたトランプであるが、ヒラリー・クリントンと最後まで予備選を争ったバーニー・サンダース候補が民主党党大会においてクリントン支持を表明するとTwitterにおいて、サンダースがやってきたことは全て無駄だったと挑発。サンダースは、「Never tweet.」(二度とツイートするな)と投稿した。オバマがクリントン支持を表明したことについて誰もオバマの続投を望んでいないとツイートすると、クリントンは「Delete your account.」(アカウントを削除しなさい)と短く返し話題を呼んだ[32]。
2016年8月10日、銃規制の強化をクリントンが主張していることについて、「銃を所持する権利を支持する人なら何かできるだろう」と発言し、支持者に暗殺を示唆したものとして波紋が広がった。トランプの選挙対策本部は、支持者に投票を呼びかけたものであると釈明に追われた[33][34]。アメリカ合衆国シークレットサービスは、トランプ陣営に対して事情聴取を複数回行ったことを明らかにした[35]。
一方のトランプは、肺炎と診断された民主党候補ヒラリー・クリントンの回復を願うと表明。トランプ陣営の職員らにも、クリントンの病状に配慮し、 この件に関するソーシャルメディア上の投稿を控えるよう指示している[36]。
女性蔑視発言
2016年10月8日、ワシントン・ポストは、2005年にトランプがテレビドラマ『デイズ・オブ・アワ・ライブス』の収録に向かうバスの中で、バラエティ番組『アクセス・ハリウッド』の司会者ビリー・ブッシュと、結婚直後であったにもかかわらず、「私は魅力的で美しい女性に磁石のように引き寄せられ、キスを始めてしまう」と既婚女性と性的関係を持とうとしたことを発言し、猥談を繰り広げる動画を公表した[37]。
ポール・ライアン下院議長は、気分が悪くなるとしてトランプの演説会への参加を取りやめ、ラインス・プリーバス共和党全国委員長も非難する声明を発表。さらには、ジェーソン・チェイフェッツ下院議員が、共和党の議員として初めてトランプ支持を撤回するなど、批判の広がりを受けたトランプは「気分を害した人がいたら謝罪する」と傍若無人の問題発言を繰り返すトランプが、自らの発言について謝罪を行う初の事態に追い込まれた[38][39][40]。10月10日までに共和党に所属する連邦議会議員、州知事331人のうち少なくとも160人がトランプを批判し、うち32人はトランプに選挙戦からの撤退を要求した[41]。
アメリカ大統領候補
2000年大統領選挙
1999年10月25日、アメリカ合衆国改革党に入党。ジェシー・ベンチュラの支援を受けて、2000年大統領選挙への出馬を表明する[42][43]。トランプの予備選キャンペーンはメディアの注目を浴びることとなった[44]。財政赤字削減のために超富裕層に税率14.25%を一度だけ課すことや、同性愛者差別を禁止するための1964年公民権法改正、法人税引き上げを財源に国民皆医療保険を実現することなどを掲げた。しかし、「改革党の内部対立が全く酷いこととなっている」として2000年2月には撤退している[45]。
この予備選で改革党の大統領候補となった政治コメンテーターのパット・ブキャナン[46]が、「メキシコ系移民を叩き出せ」などと暴言を繰り返していたことに対して、トランプは「パット・ブキャナンはレイシストだ。あんなことを言ったらメキシコ系の支持を失う」、「私はブルックリンで低所得者の移民の人たちと仕事をしてきた。ニューヨークにはいろんな人がいて当たり前。だから、差別的な発言は不快」と発言している[47]。
2016年大統領選挙
出馬表明会見
2015年6月16日には、トランプ・タワーの会見場で、2016年アメリカ合衆国大統領選挙に共和党から出馬することを表明した[48]。
この出馬表明の場でトランプは「メキシコ(政府)がメキシコの人を送ってくるときは、メキシコのベストな人は送ってこない。メキシコは問題が沢山ある人を送ってきて、彼ら(問題が沢山あるメキシコ人)は問題を我々のところに持ち込む。彼らはドラッグを持ちこむ。彼らは犯罪を持ちこむ。彼らは強姦犯だ。そして、いくらかは多分良い人だ!国境警備隊と話したら我々の直面していることを話してくれた。」と破天荒な発言し、大きな反発を招いた。
アメリカではヒスパニック(中南米)系住民が増加の一途をたどっており、2050年には国民の3人に1人はヒスパニックになると予想されている。このヒスパニックの反感を買う発言はトランプ自身の首を締めるものと言われた。
米スペイン語放送最大手でヒスパニック向けのテレビ番組を放送しているユニビジョンは、トランプが共同事業者として参加しているMUO(ミス・ユニバース機構)との提携関係を解消し、「ミス・ユニバース」関連の放送を今後一切行わないと発表した。
米放送メディア大手NBCも「ミス・ユニバース」の放送を打ち切ると発表し、「ミスUSA」の放送も打ち切り、自社番組「アプレンティス」からトランプを降板させ、トランプ抜きで放送を続けると発表した。
トランプは同時に「私はメキシコにもメキシコ人にも敬意を抱いているし好きだよ」(I have great respect for Mexico and love their people and their people's great spirit.)とも言ったが、米大手百貨店メイシーズもトランプ・ブランドを撤去すると発表した。
男子ゴルフのメジャー大会優勝者で争われるPGAグランドスラムを開催する米プロゴルフ協会(PGA)は、10月の大会をトランプが所有するロサンゼルスのコースで行う予定だったが、別の場所にすると発表した[49]。
同月、トランプはケーブルテレビのインタビューで、大統領に当選すれば、投資家のカール・アイカーンを財務長官に、実業家のジャック・ウェルチや投資家のヘンリー・クラビスを政策ブレーンに起用すると発言した。アイカーンは「突然のことで驚いた」[50]「嬉しいが、この提案に応じられるほど私は早起きしていない」と一旦は辞退したものの[51]、後に受諾を表明した[52]。 カール・アイカーンはトランプのためにスーパーPACを組織するなど大統領選を支援し、支持を呼びかけている[53]。アイカーンはタイム・ワーナーの大株主であったが、2006年2月7日にラザードとタイム・ワーナー解体を主導したことが343ページの企画書公開により明らかとなった。そのタイム・ワーナーは2016年10月現在、AT&Tが買収する見込みである。
11月、ヒスパニック系の著名な知識人67名が、「数百万の死者を出すことに繋がった異民族に対する歴史的運動を想起させる」危険なヘイトスピーチであるとの非難声明を発表した[54]。
出馬表明後
2015年12月には、ムスリム系夫妻がカリフォルニア州サンバーナディーノ郡で福祉施設を銃撃し14人を殺害した事件の後、「当局が(テロの)全容を把握するまで当面の間ムスリムの入国を完全に禁止するよう」提案した。メディアはこれを「ムスリム入国禁止発言」と伝え、世界的に波紋が広がり、イスラム世界はトランプ・ブランドの商品を回収するなど激しく反発した[55][56]。
この発言を巡っては、アラブの大富豪として知られるサウジアラビアのアルワリード・ビン・タラール王子が「おまえは共和党だけでなく全米の恥だ。おまえは決して勝てないから大統領選から撤退しろ」“You are a disgrace not only to the GOP but to all America. Withdraw from the U.S presidential race as you will never win."[57]と、Twitterで攻撃して話題になった。
これに対してトランプは「まぬけ王子のアルワリード・タラルの望みは、我がアメリカの政治家をパパのお金で操縦することだ。私が当選したら出来ないがね。」“Dopey Prince Alwaleed Talal wants to control our U.S. politicians with daddy’s money. Can’t do it when I get elected."[58]とツイートし返して注目を集めた[59]。
その後も様々な「問題発言」が取り上げられていたが、2016年3月当時も、共和党の指名候補争いでトップの支持率を保っていた[60]。
2016年1月19日、2008年大統領選挙で共和党の副大統領候補だったサラ・ペイリン元アラスカ州知事から支持を表明された[61]。
2月27日、大統領選挙から撤退したニュージャージー州知事クリス・クリスティから共和党指名争いにおける支持を得る[62]。
3月2日、スーパー・チューズデーの日、共和党の安全保障専門家たちが「トランプの大統領就任を阻止するために精力的に取り組むと誓う」とする連名の公開書簡を発表した[63][64]。この書簡にはロバート・ゼーリック前世界銀行総裁、マイケル・チャートフ元国土安全保障長官、ドブ・ザケイム元会計検査担当国防次官など120人以上が署名している[65][63]。
トランプ人気の強さが明らかになるに連れて、トランプの集会を訪れる抗議者も増えている。 特にシカゴで予定されていた3月11日の選挙集会では、移民に関する発言に反発した黒人やヒスパニック系の反トランプ派数百人が現れ、会場となっていたアリーナの5区画を占拠した。既に会場にはトランプの演説を聞くために8500~1万人の聴衆が集まっていたが、抗議者と支持者の間で殴り合いも起き、トランプ陣営は「安全上の懸念」を理由として集会の中止を発表した[66][67]。
同日、4日に共和党指名争いから撤退した元神経外科医のベン・カーソンから大統領候補としての支持を受けた[68]。
メディア報道
2016年大統領選における米国の新聞・雑誌の支持動向
候補 | 日刊紙 | 週刊紙 | 雑誌 | 学生新聞 | 国際報道機関 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|
ヒラリー・クリントン | 226 | 121 | 13 | 53 | 10 | 425 |
支持なし | 55 | 12 | 0 | 4 | 0 | 70 |
ドナルド・トランプ以外 | 6 | 1 | 4 | 3 | 4 | 18 |
ドナルド・トランプ | 8 | 4 | 0 | 0 | 0 | 12 |
ゲーリー・ジョンソン | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 |
エヴァン・マクマリン | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
ヒラリー・クリントン以外 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
トランプは他の候補よりも少ない資金で指名争いをリードすることで、資金力だけでは勝てないことを印象づけた。
ルビオ、ヒラリー、ジェブ・ブッシュらがウォール街から大口の献金を得ていることと対照的に[69]、トランプは献金を募らずに自弁による選挙活動を続けており、同陣営が使った28億円(2500万ドル)という費用はあらゆる共和党候補よりも少ない。
16年2月時点で、共和党の各候補が1票を獲得するために投じた費用は、ジェブ・ブッシュが14万円(1320ドル)、ルビオが3万円(260ドル)、テッド・クルーズが2万6千円(233ドル)、トランプが6800円(60ドル)である[70]。
有権者1人あたりに投じた金額は、ジェブ・ブッシュ6万円(551ドル)、ルビオ3400円(30ドル)に対して、トランプは340円(3ドル)である[71]。
またトランプに対するネガティブ広告は週ごとに増し、2月末までに費やされたトランプ封じのネガティブキャンペーン予算は76億円(6700万ドル)に上る。各候補は対トランプ予算を3億円以上用意しており、フロリダの予備選投票ではトランプ阻止のために7億9千万円(700万ドル)が使われた。
16年3月上旬には共和党のテレビCMの半数はトランプ降ろしを狙うものになり、対トランプのネガティブCMは6万件に達し、「弾幕」や「嵐」と呼ばれるほど増えた。
また欧米メディアは、一様にトランプに否定的な反応を見せている[72]。米国の政治専門紙ザ・ヒルの調査によると2016年10月までに米国の発行部数上位100紙のうち民主党候補のクリントンを支持した新聞が17紙あったのに対し、トランプ支持を打ち出した新聞は1紙も存在しなかった[73]。女性蔑視発言によるトランプの失速が明らかになって以降、トランプ批判に踏み切りクリントン支持を打ち出すメディアは急増しており、歴代大統領に関する資料を収集するカリフォルニア大学サンタバーバラ校のプロジェクトが同じく上位100紙を対象に行った調査では、クリントン支持33紙、ジョンソン支持3紙、トランプ支持は0紙であった[74]。ジョンソン支持を打ち出した3紙は元来、共和党寄りの論調の新聞である。
- ニューズウィークは、トランプについてアドルフ・ヒトラーと同じデマゴーグであり、自画自賛が激しく、傲慢で具体性もないのに詭弁を弄して民衆の支持を集める人物であるとする記事を掲載した[76][出典無効]。
- ハフィントン・ポストは、2015年にはトランプの選挙運動を「見せ物」(sideshow)に過ぎないとして、政治欄で扱わずエンタメ欄[77]に掲載していたが、12月7日、アリアナ・ハフィントン(ハフィントンポスト創設者で社長、編集長)がトランプを「トランプの発言は初めから醜かった(ugly)」「トランプは女性蔑視主義者だ」「トランプは人種差別主義者」「トランプの好きにはさせない」「彼の発言は面白くない。不快で危険だ。」と非難し、再び政治面で扱う決定をしたと発表した[78][79]。
- 共和党系保守紙ナショナル・レビューは、ドナルド・トランプとテッド・クルーズの2人を共和党への脅威として辛辣に批判し続けており、2016年には「反トランプ」特集を組んだ[80]。
- タブロイド紙デイリーニューズの黒人記者は、トランプが2度離婚していること、牧師に罪を告解した経験がないこと、人種差別的とされる発言が多いことなどを挙げ、キリスト教徒のふりをしている紛い物であると批判した。トランプへの支持を表明したジェリー・ファルウェル(米バージニア州のリバティ大学学長)に対しても「南部の保守的な白人キリスト教徒はいつも人種差別的である」とした上で、トランプのことをファルウェルのような保守派のキリスト教徒に愛される人間ではないとした[81]。
- ニューヨーク・タイムズは、1月30日、民主党のヒラリー・クリントンを「近代史上、最も能力の高い大統領候補」と称賛する一方で、共和党トランプを「経験もなければ、安全保障や世界規模の貿易について学習することへの興味もない」と評した[82][83]。
- ウォール・ストリート・ジャーナルは2月22日の社説で、トランプ支持を見直さなければ得体の知れないものに真っ逆さまに飛び込むことになると訴えかけ、民主党が党内の社会主義者(バーニー・サンダース)を「甘やかさなかったように」、共和党支持者も反トランプ票を1人の対抗馬に集めることが望まれるとした[84]。
- ワシントン・ポストは2月25日の社説でトランプの大統領就任阻止を訴えた。トランプが1100万人に上る不法移民を強制送還すると発言した点に触れて、「スターリン政権かポル・ポト政権以来のスケールの強制措置」であると批判、「良心ある共和党指導者がトランプ氏を支援できないと表明し、指名阻止のためにできることをする時だ」と訴えた[85][86]。10月13日には、トランプについて「偏見に満ち、無知で、嘘つきで、自己中心的で、執念深く、狭量で、女性蔑視で、財政面で無頓着。民主主義を軽蔑し、米国の敵に心を奪われている」と強く批判した上で、「根気があり、困難にめげず、決然とし、しかも賢明」なクリントンへの支持を表明した[74]。
- キリスト教有力紙クリスチャン・ポストは、トランプを「ミソジニスト(女性差別主義者)であり、なおかつ遊び人である」として、「女性と少数派を貶めている」と批判、トランプを落選させるよう有権者に呼びかけた[87]。
- フォーリン・ポリシーには、軍にテロ容疑者の家族、疑わしい市民に対する拷問を命じるとするトランプの発言に反対する50人の共同声明が掲載された。彼らは「我々の知る有力な法律家は皆それらを違法だと考えている」として、トランプに違法な命令を出すような約束をやめるように呼びかけた。また米国の大統領が戦争犯罪を行うよう命令しても米軍は法的職業上の義務として拒絶するとした[88]。
- フィナンシャル・タイムズは、トランプがウィスコンシン州の予備選で敗北すると、投票者がようやくトランプの欠点に気がつき始めたのかもしれないというかすかな希望が見えたとし、有権者に共和党の大多数がトランプに反対する流れに今から続いても決して遅くはないと呼びかけた[89]。トランプ当選後には、アメリカ国民は「自爆テロ犯を政府に送り込んだ」とし、米国の民主主義は南北戦争以来、150年間経験したことのない試練に直面するとして、改めてトランプを酷評した[90]。
- ガーディアンはトランプ当選を受けて、左派系論壇の重鎮として知られるジョナサン・フリードマンによる社説を掲載。トランプの「醜い」選挙キャンペーンやトランプを当選させたアメリカ国民を厳しく批判した[91]。
- ボストン・グローブは、2016年4月10日、「共和党はトランプを阻止せよ」と題する社説とともに「トランプ大統領」の統治下を想定した架空の記事を掲載してトランプが掲げる1100万人の移民強制送還などの政策を批判した[92]。
- 米国最大手紙USAトゥデイは、2016年9月29日、行き当たりばったりで人種偏見的思想を持つトランプを、確定申告もしない嘘つきであるとして、「米国が大統領に求める性格、知識、堅実さ、誠実さを欠く」トランプは大統領に相応しくないと論評した。政治的中立を謳う同紙が大統領に対する支持・不支持を明確にするのは1982年の創業以来初のことである[93]。
- 長年共和党支持を打ち出してきたテキサス州の最大手紙ダラス・モーニングニューズは、トランプを「党のほぼ全ての理想と相いれない。党員でも保守主義者でもない」と批判し、「大統領になる資格はなく、投票に値しない」として不支持を表明。第二次世界大戦後初めて民主党候補であるクリントンの支持を表明した[95]。
- アリゾナ州の最大手紙アリゾナ・リパブリックも、創刊時の紙名が「リパブリカン」(共和党員)である共和党支持の新聞であるが、トランプを「保守でもなく、大統領になるべきでもない」として1980年の創刊以来初めて民主党候補を推薦した[96]。
- その他、共和党寄りの論調で知られる新聞では、ヒューストン・クロニクル(テキサス州)が史上2回目、シンシナティ・インクワイアラー(オハイオ州)が100年ぶり、サンディエゴ・ユニオン・トリビューン(カリフォルニア州)が創刊以来初めて民主党支持を打ち出した他、リッチモンド・タイムズ・ディスパッチ(バージニア州)、ニューハンプシャー・ユニオン・リーダー(ニューハンプシャー州)、デトロイト・ニュース(ミシガン州)のように第3の候補とされるリバタリアン党のゲーリー・ジョンソン元ニューメキシコ州知事を支持する新聞もある[96]。
- 激戦区フロリダ州のタンパベイ・タイムズなどもクリントン支持を明らかにしている[74]。
このようなメディアの逆風と、少ない選挙資金で指名争いの首位を保ってきた逆説的な状況については、マスコミ誌上でも多くの分析があり[97]、全体としては主流政治家への不満の他、支持者の見識不足と結論づける論調が多いが、非常に少数の意見としては米大手シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のエドワード・ルトワックによる見解などもある[98][99]。
なお、トランプ陣営は自身に対して批判したメディアの取材を拒否し、ワシントン・タイムズ、ハフィントン・ポスト、バズフィード、デイリー・ビースト、ユニビジョン、フュージョン、マザー・ジョーンズ、ポリティコ、ナショナル・レビューなど多くの報道機関の記者から記者証を取り上げたり、トランプの選挙対策本部長コーリー・ルワンドウスキ(後に解任)が質問しようとした女性記者の腕を掴むなどの強硬策に打って出ている[100]。
数少ないメディアによる支持表明の例としては、ニューヨーク・ポストがあり、日韓核武装論やメキシコ国境への万里の長城建設といった政策を「新人らしいミス」と一蹴しつつも、「不完全だが、可能性に満ちている」として支持を表明している[101]。
大統領就任後には、自身に批判的なCNNを「人々の敵」、「フェイクニュース」と非難。ホワイトハウスは、2月24日のショーン・スパイサー報道官の会見を正式な会場を使わず、ぶら下がり取材方式に変更。トランプに批判的なCNNやニューヨーク・タイムズ、ロサンゼルス・タイムズ、ニューヨーク・デーリー・ニューズ、ポリティコ、ザ・ヒル、バズフィード、ハフィントン・ポストなどの国内メディアや、デーリー・メール、BBCなどの殆んどの外国メディアを排除した。許可されたのは、保守的な論調で知られるFOXニュースやスティーブン・バノン首席戦略官が会長を務めた右派のニュースサイトブライトバート・ニュース・ネットワークなどであった。これに対してホワイトハウス記者クラブは「強く抗議する」として非難。AP通信やタイムは抗議のためボイコットした[102][103]。
日本語メディアの反応
アメリカ大統領選挙は世界中の政治や経済の秩序に大きな影響を与えるため世界中のメディアが注目しており[104]、アメリカの同盟国として最大の経済力を持つ日本でも新聞各紙はトランプの躍進について社説で論評している。
- 発行部数が世界最大の日刊紙、読売新聞は、3月3日の社説で、トランプが中国・日本・メキシコなどを打ち負かすと発言したり、偉大な米国を取り戻すといった「単純なスローガン」の繰り返し[105]によって危うい大衆扇動をしていると評し、トランプを支持する動きを「反知性主義」と断じた[106]。
- 朝日新聞は、トランプが「米国と世界を覆う難題」に冷静に取りくまず「社会の分断」を煽ってきたと言い、トランプは国民の鬱屈する心情に「扇動的」に訴えかけており、「自由主義の旗手を自負する大国」の指導者に相応しくないとした。また米国の強みは流入する移民とともに成長することであるとした上で、米国では白人が着実に減っている反面、中南米系とアジア系が増えているのだから「人種的な意識があるならば時代錯誤である」として、米国民に「移民を排し、外国を責め、国を閉じ」ても何も解決しないので「グローバル」で優秀な指導者を選ぶように期待するとした[107]。
- 毎日新聞は、トランプがメキシコとの国境に壁を作って移民を締め出し、イスラム教徒の入国も禁じる訴えをしていると紹介したうえで、世界がこのような発言で息苦しくなっているとし、共和党にそれでよいのかと疑問を投げかけ、トランプには、「暴言や下品なパフォーマンス」を慎むべきだとした[108]。
- 日本経済新聞は、トランプが支持を集める背景を理解すべきとした上で、トランプが「人種差別的な発言」を繰り返しているとした。またトランプの「極端な主張」は必ずしも保守主義を体現しておらず、そのような主張に共鳴する支持者の姿を見ると、歯止めがきかなくなった「大衆迎合主義の危うさ」を感じるとし[110]、米国社会の分裂がトランプや他の候補の政策によって高まれば日本が不満の捌け口にされる恐れもあると指摘した[111]。
- 産経新聞は、『トランプ現象 「痛快だから」では済まぬ』と題する記事を掲載。トランプの政治姿勢について「貿易で日本、中国、メキシコを打ち負かすと連呼」していて、「日米同盟の意義」を理解していない、「有無を言わせず通商紛争を仕掛けるかのような」内向きで独善的な姿勢であるとして、トランプの躍進に不安を覚えるとした。他方、トランプの対立候補には、トランプを支持する人たちが抱えている政治や社会への不満を克服する手法や政策を提示するよう求めた[112]。
共和党予備選での勝利
2016年5月3日、インディアナ州予備選で勝利し共和党の大統領候補指名獲得に必要な代議員1237人の確保がほぼ確実となった。
これを受け、ライバル候補のテッド・クルーズおよびジョン・ケーシックが予備選からの撤退を表明[113][114]。他の候補者がすべて選挙戦から撤退し、予備選に残っている候補者はトランプのみとなったため、この時点でトランプの大統領候補指名獲得が事実上確定した。
2016年7月の共和党予備選挙で正式に大統領候補に指名された。
一般投票
2016年11月8日(アメリカ東部時間)執行のアメリカ合衆国大統領選挙一般投票で、民主党指名候補のヒラリー・クリントン、リバタリアン党指名候補のゲーリー・ジョンソン、アメリカ緑の党指名候補のジル・スタインを相手に接戦の末、全米で過半数の270人以上の選挙人を獲得した。
12月19日の選挙人による投票で、過半数の270人以上の選挙人が、トランプ氏に投票した場合、当選者となり、バラク・オバマの後任として、2017年1月20日に第45代アメリカ合衆国大統領に就任する[115]。就任時は70歳7ヶ月で、1981年1月に69歳で初就任したロナルド・レーガンを上回り、歴代の最高齢で就任する大統領になる[116]
当選後
閣僚の人選は、副大統領候補のマイク・ペンスが2016年11月11日に組閣責任者となり、指揮することになった。同月15日にカール・アイカーンがツイッターで語ったところによると、財務長官にユダヤ系投資家として知られる元ゴールドマン・サックス幹部のスティーヴン・マヌーチン氏、商務長官にはイェール大学卒の投資家ウィルバー・ロス氏が起用される[117]。
2016年12月19日、選挙人投票が行われ正式に第45代アメリカ合衆国大統領に決定した[118]。
2017年2月、自身のTwitterでホワイトハウス記者晩餐会へ出席しないことを発表した。大統領が出席しないのは1981年に暗殺未遂事件で銃弾を受け病床に伏せていたレーガン大統領以来、36年ぶり。[119]
アメリカ合衆国大統領
大統領就任式
2017年1月20日をもって第45代アメリカ合衆国大統領に就任した。就任演説では、「アメリカ第一主義(アメリカ・ファースト)」を掲げた。
入国制限の大統領令
2017年1月27日、一部諸国の外国人の米国入国を禁止する大統領令を出した[120]。
イエーツ米司法省長官代行は、この大統領令に反対の意を表明した。これに対し、トランプ大統領は、罷免を行った。
アサド政権の施設への攻撃とISILへの爆撃
2017年4月6日、トランプ大統領はシリアのアサド政権が一般市民に対し、化学兵器を使用したとみなし、地中海に展開していた、アメリカ海軍の駆逐艦二隻より巡航ミサイルトマホーク59発を発射し、化学兵器使用に関わったとされる空軍基地などを攻撃した。関係国や国連と調整しない単独行動主義(ユニラテラリズム)に基づく軍事作戦であり[121]、シリア内戦開戦以来アメリカがアサド政権を直接攻撃したのはこれが初であった[122]。この時、トランプ政権は北朝鮮に対するメッセージでもあることを明言した[123]。
2017年4月13日、アフガニスタンのISILの拠点に核兵器に次ぐ最大級の破壊力を持つとされる大規模爆風爆弾兵器(MOAB)を初めて実戦投入したことも地下要塞を複数持つ北朝鮮への牽制とされた[124]。
朝鮮半島危機への関与
2017年4月8日シンガポールに寄港していた原子力空母カール・ヴィンソンがオーストラリアに向かう予定を変更し、朝鮮半島へ向けて出港した。
4月15日の金日成生誕105周年記念日および25日の朝鮮人民軍創設記念日への警戒とみられる。
4月16日アメリカ太平洋軍と韓国軍の合同参謀本部の発表により日本時間の16日午前6時21分、北朝鮮が東部のハムギョン(咸鏡)南道シンポ(新浦)付近から大陸間弾道ミサイルとみられるのを1発、発射したが直後に爆発し失敗した。
4月29日、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領との電話会談の際に朝鮮半島沖に原子力潜水艦も2隻展開してることを漏らす[125]。
5月18日、原子力空母ロナルド・レーガンも合同演習のために派遣して空母を異例の2隻も朝鮮半島沖に展開させた[126]。
5月30日、実物のICBMを迎撃する史上初の実験に成功したと発表し、北朝鮮やイランに対抗するミサイル防衛を打ち出した[127]。この実験に対して北朝鮮は強く反発した[128]。
6月1日、日本の海上自衛隊と米空母2隻が朝鮮半島近海で共同軍事演習を開始した[129]。
6月2日、国際連合安全保障理事会はトランプ政権では初の対北朝鮮制裁強化決議を全会一致で可決した[130]。決議案は5週間に亘る米中協議で合意したものであり[131][132]、ロシアの賛成も得た[133]。トランプは度重なる北朝鮮のミサイル発射を「中国に無礼だ」と批判しており[134]、北朝鮮はこの決議に対して「米中が裏部屋で勝手にでっち上げた」と批判した[135]。
7月4日、北朝鮮のICBMを発射したと称する実験に対して「この男(金正恩)は他にやることないのか」「日韓は忍耐できなくなり、中国はこの無意味なことを終結させるだろう」と批判し[136]、6日には中国の取り組みの不十分を指摘しつつ「協力を決して諦めない」と述べ[137]、8日の米中首脳会談では中国の対北制裁措置に感謝して「米中が望むより長期化するかもしれないが、最終的には解決する」と述べた[138]。また、同時期の日本の航空自衛隊と大韓民国空軍との共同訓練で、戦略爆撃機のB-1で北朝鮮のミサイル発射台に擬した目標の空爆や地下施設への攻撃訓練を行い[139]、これに北朝鮮は強く反発した[140]。
7月11日、THAADによるIRBMの迎撃実験に成功し、北朝鮮などのミサイル開発への対抗を発表した[141]。
7月21日、北朝鮮でのオットー・ワームビアら米国人の拘束を受け、米国人の北朝鮮ツアーを行ってきた中国の旅行会社に渡航禁止措置を通知し[142]、米国民の北朝鮮への観光の禁止と米国務省による渡航の審査を発表した[143][144]。8月2日、トランプ政権は北朝鮮渡航者に8月中の国外退去を指示し、9月から渡航を禁ずると発表した[145]。
8月5日、トランプ政権の提案した初の大規模な対北朝鮮制裁強化決議が中露の賛成も得て国連安保理で全会一致で可決され[146]、石炭や鉄鉱石などの全面禁輸が盛り込まれた[146]。国連大使のニッキー・ヘイリーは「中国の重要な貢献に感謝したい」と演説し[147]、「中国は口先だけで何もしない」と苦言を呈していたトランプ大統領も「中国とロシアも我々と一緒に投票した。北朝鮮に対して過去最大の制裁だ」と述べ[147]、中露に謝意も表明した[148][149]。トランプ大統領は北朝鮮が挑発を続ければ「世界が見たこともない火力と怒りに遭わせる」と警告し[150]、北朝鮮は中露を「米国に追従した」と批判[151]してグアム攻撃計画を8月中旬までに策定すると発表した[152]。これを受け、トランプ大統領は再び北朝鮮に「生温い発言だったかもしれない。グアムに何かすれば誰も見たことないことが北朝鮮に起きる」[149]「軍事的な解決をとる準備は整った」[153]と警告し、米軍は戦略爆撃機のB-1を再び派遣して日本の航空自衛隊や韓国空軍と共同訓練を実施し[154]、米軍幹部は先制攻撃の準備と語ったと報じられた[155]。
パリ協定離脱
2017年6月1日、「中国、ロシア、インドは何も貢献しないのに米国は何十億ドルも払う不公平な協定だ」[156]として米国はパリ協定から離脱すると表明した[157][158]。
これに対して日本[159]をはじめ各国[160]は反発した。G20の19カ国は米国を抜きにパリ協定を履行することで合意した[161]。
国内でも波紋を呼び、ワシントン州とニューヨーク州とカリフォルニア州はトランプ政権から独立してパリ協定目標に取り組む米国気候同盟を結成し、さらにマサチューセッツ州など他の7州も加盟し[162]、その立ち上げを主導したカリフォルニア州知事ジェリー・ブラウンは直後に訪問した中国で中国政府が米国に代わって気候変動対策のリーダーシップを握ったとして中国と協力する[163][164][165]として中国とクリーンエネルギー技術のパートナーシップを結び[166]、一帯一路構想へのカリフォルニア州の参加も表明した[167][168][169]。また、6日の北京での第8回クリーンエネルギー部長級会議に出席[170]するためトランプ大統領のパリ協定離脱表明直後に中国に出発したアメリカ合衆国エネルギー省長官のリック・ペリーは中国が気候変動対策でリーダーシップをとることを歓迎[171][172]すると表明しつつ米国はクリーンエネルギー技術分野などでリードしてると述べ、中国の張高麗副首相との会談でクリーンエネルギーでの米中協力で一致[173]するも一地方自治体に対するものでは異例の厚遇である習近平中国国家主席との会見を行ったブラウン知事との対応の違いが米メディアで比較された[174]。トランプ大統領の決定に抗議してロバート・A・アイガーやイーロン・マスクは大統領戦略政策フォーラムのメンバーから抜けた[175]。
なお、脱退の手続きに3年から4年を要するため、米国の正式なパリ協定離脱は2020年アメリカ合衆国大統領選挙が行われる2020年11月3日以降となる[156]。
ロシア疑惑
2017年6月、ロシア疑惑で自身の弁護を担当するマーク・カソウィッツがロシア政府、プーチン大統領の影響下にあるクライアントを複数持っていることなどが報じられた[176]。
保護主義
保護貿易主義的政策をとっているとされ、大統領就任からほどなく環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの離脱や、大西洋横断貿易投資パートナーシップ協定(TTIP)交渉の凍結がなされた。これにより、それまではアメリカとの貿易交渉を優先していた日本と欧州連合(EU)が、反保護主義を掲げて接近。長年停滞していた日本・EU経済連携協定交渉が急加速した[177][178]。
政策
政権スタッフ
職名 | 氏名 | 任期 |
大統領 | ドナルド・トランプ | 2017 - |
副大統領 | マイク・ペンス | 2017 - |
大統領顧問団 | ||
国務長官 | レックス・ティラーソン | 2017 - |
国防長官 | ジェームズ・マティス | 2017 ‐ |
財務長官 | スティーヴン・マヌーチン | 2017 ‐ |
司法長官 | ジェフ・セッションズ | 2017 - |
内務長官 | ライアン・ジンキ | 2017 - |
農務長官 | ソニー・パーデュー | 2017 - |
商務長官 | ウィルバー・ロス | 2017 - |
労働長官 | アレクサンダー・アコスタ | 2017 - |
保健福祉長官 | トム・プライス | 2017 - |
住宅都市開発長官 | ベン・カーソン | 2017 - |
運輸長官 | イレーン・チャオ | 2017 - |
エネルギー長官 | リック・ペリー | 2017 - |
教育長官 | ベッツィ・デヴォス | 2017 - |
退役軍人長官 | デービッド・シュルキン | 2017 - |
国土安全保障長官 | ジョン・F・ケリー | 2017 - |
「将軍(General)」と金融大手「ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)」出身者、大富豪を意味する「ガジリオネア(Gazillionaire)」から抜擢、それぞれの頭文字を取り通称「3G政権」と言われる。元将軍、ゴールドマン出身者からは共に3人が起用される[179]。
政権の性格について、ポリティコは「保守派の理想チーム」[180]、ニューズウィークが「米国史上最も保守的な政権」[181]、ロサンゼルスタイムズが「現代史において最もタカ派の国内政策を取る政権」[182]と評しており、CNNも超保守的とする[183]など、マスメディアはトランプ政権を超保守主義と位置付けている。ザ・ヒルは、エスタブリッシュメントの共和党員とされるジョン・マケインやミット・ロムニーらであれば選択しなかったであろう、「型破りな政権」と分析している[184]。
一方で、ウォール・ストリート・ジャーナルは、トランプ政権のイデオロギーを明確に分類することは不可能に近いとしている[185]。
政権発足後2ヶ月を迎えてもなお議会で未承認のポストがあることについて、トランプは「民主党の妨害」であると批判している[186]。
政見
1987年以前と2001年~2009年にかけては民主党員であり、同党のクリントン元大統領夫妻に過去10回[187]に亘って献金もしている。また1999年~2001年までの間、アメリカ合衆国改革党にも所属していた。2000年の大統領選には同党から立候補しようとしたが結局断念。2016年の大統領選では共和党から出馬しているが、アメリカ合衆国改革党の分派であるアメリカ改革党の支持も得ている。
トランプの政策的主張は共和党の主流派とは大きく異なっており、政見について敵対する勢力からは大衆迎合主義(ポピュリズム)であると揶揄されることも多い。
トランプをポピュリストとする1人でロイター通信のコラムニスト、ビル・シュナイダー(英語)によれば、ポピュリストとしてのトランプには右翼ポピュリストの特徴と左翼ポピュリストの特徴が両方あるという[188]。
シュナイダーによれば、ポピュリストにも右翼と左翼の区別があり、左翼ポピュリストはウォール街と「富を独占する1%の富裕層」を攻撃するが[189]、右翼ポピュリストはリベラルの俗物ぶりとエゴの大きさを批判し、高学歴者がキリスト教の伝統的価値を破壊することを批判する[190]。
そしてドナルド・トランプはそれが合体しており、自分自身が富裕層であるのにウォール街を愛しておらず、右派のように移民、少数派、女性を攻撃するばかりか、左派のようにヘッジファンド嫌いであり、ウォール街の側も、反トランプの広告に何百万ドルも使って、トランプの勝利を阻もうとしているという[188]。
こうしたトランプの主張の支持者は、ニューヨーク・タイムズによれば「高校を出ていない白人」「農業や製造業といった古い産業の底辺」であり[191]、ウォール・ストリート・ジャーナルによれば「高卒の白人、特に男」「下流労働者で非民主的な思想の持ち主」だという。また支持者に移民はほとんど居ないと言われている。しかし一部の合法な移民からは支持されているという[192]。
大統領令
詳細はドナルド・トランプの執行措置の一覧を参照
No. | No. | 令名/説明 | 署名日 | 発行日 | FR 引用 | FR Doc. Number | Ref. |
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1 | 13765 | 医療保険制度改革の撤廃 | 2017/1/20 | 2017/1/24 | 82 FR 8351 | 2017-01799 | [193][194] |
2 | 13766 | 優先度の高いインフラプロジェクトの環境レビューと承認の迅速化 | 2017/1/24 | 2017/1/30 | 82 FR 8657 | 2017-02029 | [195][196] |
3 | 13767 | 国境警備と移民施行の改善 | 2017/1/25 | 2017/1/30 | 82 FR 8793 | 2017-02095 | [197][198][199] |
4 | 13768 | 米国内の公共安全を強化 | 2017/1/25 | 2017/1/30 | 82 FR 8799 | 2017-02102 | [200][201][202] |
5 | 13769 | 国家を外国のテロリストからの米国への侵入から守る | 2017/1/27 | 2017/2/1 | TBA | 2017-02281 | [203][204][205] |
6 | 13770 | エグゼクティブブランチ従業員による倫理約束 | 2017/1/27 | TBA | TBA | TBA | [206][207] |
7 | 13771 | 規制緩和と規制コスト管理に関する大統領令 | 2017/1/30 | TBA | TBA | TBA | [208][209][210] |
8 | 13772 | 米国の金融システムを規制するための基本原則 | 2017/2/3 | February 8, 2017/2/8 | 82 FR 9965 | 2017-02762, | [211][212][213][214] |
9 | TBA | 犯罪削減と公共安全に関するタスクフォース | 2017/2/9 | TBA | TBA | TBA | [215][216][217][218][219] |
10 | TBA | 連邦、州、部族、地方の法執行官に対する暴力の防止 | 2017/2/9 | TBA | TBA | TBA | [216][219][220][221] |
11 | TBA | 国境を越えた刑事組織に対する国際連邦法の施行と国際人身売買の防止 | 2017/2/9 | TBA | TBA | TBA | [216][219][222][223] |
外交
反共主義や自由化、民主化を掲げて介入するジョージ・W・ブッシュ元大統領をはじめとする共和党のネオコンや、ヒラリー・クリントンなどの民主党のタカ派とはトランプは一線を画していると見られており、外国の事に関与するよりも国内問題に集中して取り組むべきだというモンロー主義(孤立主義)により近いという見方もある。トランプの古くからの親友[224]で長年アドバイザーだったロジャー・ストーンはリチャード・ニクソンの崇拝者であり、トランプには輸入課徴金の採用[225]やニクソンの演説の引用[226]など力を背景にしつつ保護主義的で国益重視だったニクソンの影響があるともされている[224]。ニクソンの腹心だったヘンリー・キッシンジャーを「非常に尊敬してる」として度々助言を仰いでいる[227][228][229]。
トランプは自らの外交方針について「私は孤立主義者ではないが、’’米国が第一’’だ(I’m “America First.” )」「我々はあらゆる国と親しくするが、いかなる国に対しても付け入る隙を与えない」と要約している[230][231][232][233][234][235]。
ときに米国のリベラル・保守派の双方が非難している他国指導者を支持するかのような発言が見られ、1990年にインタビューの中で、崩壊前年のソビエト連邦と天安門事件直後の中国について語った箇所は、トランプが共和党候補者でタカ派であるにも関わらず、共和党右派からも批判されている。
インタビュアーがソビエト連邦の情勢をどう見るか尋ねると、トランプは「ピケが多発しており、今すぐにも革命が起こる。ロシアはリーダーシップを失って混乱している。がっちりした手を講じないゴルバチョフ大統領(当時)に問題があるのだろう。」と答えた。
この前年(89年)に起きた中国の天安門事件を念頭において「がっちりした手とは中国のような対応?」とインタビュアーが質問すると「中国は学生たちを一掃した。彼らは悪いやつで恐ろしい。だが、彼らは我々に力の強さを見せつけた。一方の我々の国は、弱くなっている」とコメントした[236]。
また、「ソビエト連邦は転覆すると予言しておく。ゴルバチョフが極端な弱さを示しているからだ。突然いたるところで騒乱がおきて、究極的には暴力革命に繋がるだろう。ゴルバチョフは素敵なリーダー扱いされており今後も国際的な信用を増していくだろうが、それは彼がソ連を破壊しているからだ。」とゴルバチョフの改革がソ連を脆弱化させているという認識を示した。
この発言は、右派ナショナル・レビューの共和党とイラク戦争を支持する編集幹部から、「(ソ連や中国の強権政治について)こんな発言をする人間だからプーチンを褒めても驚くには値しない」「自由や民主主義や人権に背を向ける民主党のように、共和党まで落ちてしまうのか。」「私は残忍で殺人的で卑怯な中国政府を吹き飛ばしたかった!」と非難されている[236]。
この発言はCNNで行われたテレビ討論会でも追及され、その際にも天安門で起きたことを支持していないと強調した上で、中国政府が「暴動」を押さえ込んだという表現を使ったことで[237]、天安門事件でリーダー格だった王丹[238]、魏京生[239]やウイグル人ウーアルカイシ[240]といった著名な中国民主化運動家から「まるで中国共産党の指導者」「中国共産党による抑圧に反対する者への侮辱だ」「アメリカの価値観の敵」として抗議を受けている。
ロシアや中国とは小さくない問題を抱えているとしながらも、「敵対関係になってはならず、共通の利益を見いだすべきだ」と発言している[241]。
対ロシア
大統領就任前の2015年9月、シリアで空爆を続けるロシア軍について「ロシアはアメリカに敬意を払っていないが、もしイスラム国を攻撃したいのならロシアに好きにさせればいい。イスラム国を排除させるのだ。我々もイスラム国を排除したいのだから気にすることなどない」と発言。ロシアが主導権を握ることを容認する考えを示した[242]。
2016年7月の演説では「イスラム国に対抗して、我々がロシアや中国などと一緒になってイスラム国がもたらす地獄と混乱を一掃すれば素晴らしいだろう?」[243]と発言している。
当時はソ連だった80年代からロシアや他の旧ソ連構成国[244]でもビジネスを行っている経験上、ロシアとも関係を深めるべきであると発言しており[245]、「米ロがもっと協力すれば、テロを根絶し世界平和を再構築することができると常に感じている。貿易のみならず、あらゆる恩恵が相互の信頼関係からもたらされる」と述べている。
露国の大統領であるウラジミール・プーチンに対し、「内外で尊敬されている人物」「オバマと違って少なくともリーダーだ」とたびたび称賛しており、プーチン大統領もトランプを「トランプ氏には才能がある」と評価している[246]。ただし、トランプは「ロシアとは関係はよくなると思うが、もしかしたらそうでもないかもしれない。私をプーチン大統領が褒めたといっても、これは交渉の助けにならない」とも発言している[247]。
トランプ陣営が制作した選挙宣伝用ビデオの中で、ナレーションがロシアを「最強の敵」と表現したことについては、ロシアの大統領報道官ドミトリー・ペスコフは「ロシアを悪魔のように扱っている」と批判した[248]。
また、国際空域で米軍機へのロシア軍戦闘機の接近が相次ぐことに関連して、オバマはロシアに弱腰であるとして、「ロシアの戦闘機が米国機に接近しても、外交が役に立たないなら、それらを撃墜する必要がある」とも明言している[249]。
民主党のメール流出事件については「ロシアや中国といった我々の友人はハッキングの地獄に突き落としたのだ」[250]「ロシアにはさらにメールを見つけてもらいたい」「ロシアと中国、或いは他の国がメールを持っているなら、正直に言う、彼らは私に見せてほしい」[251][252]と発言している。
大統領選勝利後、電話会談でプーチン大統領に対して「強固で永続的な関係を築きたい」と述べたとする声明を発表した[253]。
2017年4月12日の記者会見では、中国[254][255][256]と比較して「ロシアとは全くうまくいかず、史上最低と言える」[257][258]と述べた。また、同時期にプーチン大統領も「トランプ政権になってむしろ米露関係は悪化した」とする見解を示した[259]。
同年6月20日、ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領と首脳会談を行い、ミンスク和平合意の履行がなされていないことを理由に、ロシアに対して更なる追加制裁を科すことを声明した[260]。
同年7月6日、ポーランドを訪問して「(集団的自衛権を定めた)北大西洋条約第5条を強く支持し、中東欧の安全と平和維持に責任を負う米国は地域を不安定化するロシアの行動に対処する」と演説した[261]。翌日の7月7日にはプーチン大統領と初の米露首脳会談を行い、シリア南西部の停戦と安全地帯の設置やウクライナ東部での停戦合意履行と両国代表の設置で合意した[262]。サイバー分野でも協力が模索されたが、9日にトランプは「実際に協力できるとは思わない」と述べた[263]。
同年7月28日、議会の可決した対ロシア制裁強化法案を承認し[264]、同年8月2日に署名した[265]。ロシアは報復として755人の米国の外交スタッフの国外退去を求め、プーチン大統領は史上最低の米露関係は長引くと述べた[266]。
対中東
これまでの中東政策には否定的であり、イラク戦争にも反対してきた。
- わかるだろ、あなたがサダム・フセインを好きかしらないが、彼はテロリストを殺していた。テロリストにとってイラクは楽しい場所ではなかった。ところが今や、イラクは「テロリズムのハーバード大学」(Harvard of terrorism)だ[268]。
- 数年前のイラクを見たらわかる。彼(サダム)が良いやつだったと言うつもりはない。彼はおそろしい奴だったが、今よりもマシだった。
“ If you look at Iraq from years ago, I'm not saying he (Saddam) was a nice guy. He was a horrible guy but it's better than it is now,
- 人々は頭を刎ね飛ばされたり、溺れさせられたりしている。今この時、彼らの状態は、かつてなく最低で、サダム・フセインやカダフィの時代より悪い。
“ People are getting their heads chopped off. They're being drowned. Right now it's far worse than ever [than it was] under Saddam Hussein or Gaddafi,
- 何が起こったか見てくれ。リビヤは大惨事だ。大災害だ。イラクも大災害。シリアも大災害。中東まるごと大災害だ。全部、ヒラリーとオバマの時代に吹き飛んでしまった。
“ look what happened. Libya is a catastrophe. Libya is a disaster. Iraq is a disaster. Syria is a disaster. The whole Middle East. It all blew up around Hillary Clinton and around Obama. It blew up.
一方で、2002年のラジオの中では、「あなたならイラクに侵攻する?」と問われて「するだろうね(Yeah I guess so)」と答えていたので、かつてはイラク戦争を支持していたのではないかという指摘もある[269]。トランプはこの件について、「私は開戦する前から反対派になり、2003年からはっきりと反対しているのだから意味がない」と主張した。
イラン核合意については破棄を「私の最優先事項」[270]と訴えている[271]。
サウジアラビアについては「守りたいが、彼らはいくら負担してくれるんだ?」と発言した[272]。
エジプトについては、「親イスラエルだったホスニ・ムバラク政権を倒してムスリム同胞団を助けた」とオバマの外交政策を批判している[273]。 イスラエルを「アメリカの最も信頼できる友」としており、「我々は100%、イスラエルのために戦う。1000%戦う。永遠に戦う」[274]や「イスラエルはユダヤ人の国家であり、永遠にユダヤ人国家として存在することをパレスチナは受け入れなければならない」[275]などと表明するなど、明確にイスラエル寄りの姿勢を示している。
1983年にユダヤ民族基金から米国とイスラエルの関係への貢献を称えられて表彰されており[276]、2004年にニューヨーク五番街で行われたイスラエルを応援するパレードでグランドマーシャルを務めたり[277]、「Jewish Voice」というメディアから、ユダヤ人の孫の祖父であることをどう感じるかと聞かれて、「私はユダヤ人の孫だけでなくユダヤの娘(イヴァンカ)もいて、とても光栄に思います」[278]と答えており、父[279]や兄[280]など家族もともにユダヤ人コミュニティとの繋がりは深い[281]。
2016年7月に行われた共和党大会では、採択された政策綱領で同盟国イスラエルとの関係強化が掲げられ、パレスチナに言及した二国家解決案の削除などがされたことから「史上最も親イスラエル的な綱領」と称賛した[282]。大統領就任後も二国家解決に拘らない意向を表明している[283]。大統領選の際もイスラエルで前例のない規模の在外投票を呼びかけるキャンペーンを行った[284]。また、ヨルダン川西岸地区でのイスラエルの入植活動を支持しており[285]、自らが掲げるメキシコとの間の壁建設も自身の著書でイスラエル西岸地区の分離壁を参考にしてるとしている[286]。
父フレッドの友人[287]でもあったイスラエル首相のベンヤミン・ネタニヤフとは旧知の仲であり[288]、大統領選に出馬する前の2013年にも再選キャンペーンに「本当に偉大な首相だ」と応援する36秒のビデオメッセージを寄せていた[289]。ただし、ネタニヤフ首相も、イスラム教徒を入国禁止にするというトランプの発言に関しては、発言の数時間後には「イスラエルはあらゆる宗教を尊重する」と表明するなど距離を置き、トランプは予定していたイスラエル訪問を「余計なプレッシャーをかけたくないので大統領になってからする」と延期した[290]。2016年9月25日にトランプはネタニヤフ首相との会談を果たし、イラン核合意やイスラエルへの軍事支援を話し合った他、エルサレムをイスラエルの首都として承認することやパレスチナにイスラエルをユダヤ人国家として受け入れさせることで一致した[291]。大統領選の勝利の際も真っ先[292]にイスラエルと電話協議してネタニヤフは「トランプはイスラエルの真の友人」と祝福するビデオメッセージを寄せ[293]、トランプもネタニヤフを米国に招待した[288]。
2017年5月20日、大統領就任後の初外遊先にはオバマ政権の対イラン政策で米国と関係が緊張したサウジアラビアとイスラエルを選んで中東重視を打ち出し、長女のイヴァンカ補佐官や娘婿のジャレッド・クシュナー上級顧問らも同行した[294]。その直前にはイランへの追加制裁も発表した[295]。現職大統領としては初めて嘆きの壁を訪問し[296]、イランを共通敵としてイスラエルとアラブ諸国の和平を推進する意向を表明した[297]。また、アルカイダやISILと並べてヒズボラとハマースをテロ組織と断じたことでハマスなどから反発を招いた[298]。
対アジア
アジア太平洋での海洋安全保障については、2015年9月3日にラジオで司会者から「中国が日本やフィリピンの船を沈めたら、どう対応するか」と聞かれたときは、「相手に考えを知られたくないから答えない」「『これをする』『ここを攻撃する』と言ってしまうのがオバマ大統領の問題。」と明言しなかった[299]。また、「中国の行動をきっかけに米国が第三次世界大戦を始めるとは考えない」「中国をよく理解している」「中国とは良いビジネスを重ねてきた」として「米国は中国に対して貿易上の影響力を持っている。圧力をかけて譲歩を引き出すことができる」とし[300]、尖閣諸島を中国が占領した場合も「答えたくない」としている[301]。
また、2016年2月25日テキサス州でのテレビ討論会では「日本、韓国、ドイツ、など全ての同盟国を守ることはできない」とし「もっとお金を払わせたいんだ」と、在日・在韓米軍の駐留費用の負担増を求める考えを示した。
3月10日フロリダ州では、社会保障の財源について司会者から聞かれると、「狂気じみた北朝鮮が何かするたびに米国は艦船を派遣するが、事実上、米国が得るものは何もない」と話し、アジア地域を含む在外米軍の駐留経費を削減する可能性に言及した。
3月21日、ワシントン・ポストによるインタビューにおいて[302]、人件費を除いた日韓の米軍駐留経費のうち、50%を日韓が負担していることを指摘された際、「50%? なぜ100%ではないのか?」と答え、海外に基地を有することで米国は利益を得ているかと問われた際には、「個人的にはそう思わない」「米国はかつての地位にはないと思う。米国は大変強く、大変豊かな国だったと思うが、今は貧しい」とした上で、それにも関わらず巨額の予算を自国のためではなく外国の防衛のために投じていると述べた[302][301][303]。
3月26日のニューヨーク・タイムズのインタビューの中で[230]、記者から「日本は世界のどの国よりも多額の駐留支援金を払っている」と指摘されると、「払っているが、依然我々が負担しているコストよりも遥かに少ない」と反論し、「米国には日韓の防衛のために巨額の資金を費やす余裕はない」と主張した。その上で、日韓が駐留経費の負担額を大幅に増額しないのであれば、「喜んでそうするわけではないが」、在日・在韓米軍の撤退も辞さないと明言した。更に、NATOや日米等の防衛条約について「非常に不公平」であるとして、再交渉する意向を表明した。
更に、同インタビューの中で、「米国がこのまま弱体化を続けるなら、私が議論するかどうかとは無関係に、日韓は核兵器の保有を望むようになるだろう」「日本が北朝鮮の核の脅威にさらされた場合に、日本が核兵器を保有することは米国にとってそんなに悪いことではないだろう」と述べると共に、記者の「(北朝鮮が何をしでかすかわからないから)日本が自分たち自身の核兵器を必要とするのも分かるし、日本は米国に頼るばかりではいられない…(というわけか)」との発言に対して「本当にその通りだと思っている。特に、北朝鮮の脅威があるから。北朝鮮は日本に対して非常に攻撃的だ。北朝鮮は中国とイラン以外のどの国に対しても攻撃的なんだ」と答え、日韓の核武装に反対しない考えを示唆した[230][231][304]。
日本や中華人民共和国に対しては、大統領選出馬表明会見の際にも「中国、メキシコ、日本、その他多くの場所から、仕事を取り返す。私は我々の仕事を取り返し、我々にお金を取り返す」(I’ll bring back our jobs from China, from Mexico, from Japan, from so many places. I’ll bring back our jobs, and I’ll bring back our money.)と言及がある。大統領選勝利後の初の会見でも中国と日本とメキシコなどが貿易不均衡をもたらしてると問題視し[305]、大統領就任後も中国と日本は不公平な貿易を行ってると度々批判している[306][307]。
日本
1987年から日本をライバル視した言動で知られ、1988年には「日本は我々を愚か者に見せようとしている。日本が同盟国なら我々は敵と直面したくない」、1989年にロックフェラー・センターが三菱地所に買収された際は「ニューヨークを吸い尽す日本を止めなくてはならない」、1993年にも日本が全面的な市場開放をしなければ日本製品をボイコットすべきなどと発言していた[308]。
出馬当時から日本を中国やメキシコと並べ、「米国から雇用を奪った国」として責めたてるなど、「ジャパンバッシング」の急先鋒であり、「日本人と日本企業の競争力は尊敬しているが、好意は抱かない」と発言したこともある[309]。出馬会見では、「彼ら(日本)は、百万台以上の日本車を送ってくるが、我々はどうだ?最後にシボレーを東京で見たのはいつだ?存在しませんよ。彼らは我々をいつも打ち負かしてきた」と発言している[310]。また、日本が米国産牛肉の輸入に課してるものと同率の関税を日本からの自動車輸入に課すべきとしている[311]。大統領就任後も自動車分野での日本の市場開放を要求している[312][313]。
為替政策についても批判しており、たびたび「日本の度重なる円安誘導のせいで、友達は高いキャタピラーではなく、コマツのトラクターを購入した」[314]、「日本の安倍は(米経済を)殺す者だ〈この訳はあくまで日本メディアが当てたものであり、"killer"には褒め言葉としての用法があることに留意する必要がある〉[315]、やつは凄い。地獄の円安でアメリカが日本と競争できないようにした」(Abe from Japan, who's a killer, he's great. He's already knocking the hell out of the yen)[316][317]などと発言している。ウォールストリート・ジャーナルは「確かに円安は日本の輸出の助けとなっているが、日銀の金融緩和政策は内需拡大とインフレ目標実現のためで、輸出促進のためではない。それに、コマツは米国内で何千もの雇用を創出している」と指摘するなど、論理の粗雑さが指摘されている[318]。
日米安保条約についても、アメリカ防衛の義務を日本が負っておらずアメリカが日本を防衛する義務を負っていることに不満があると見られる。1990年には「日本は石油の7割近くを湾岸地域に依存しているが、その活動は米軍が守っている。日本は米軍に守られて石油を持ち帰ってアメリカの自動車メーカーを叩きのめしている」「日本の優れた技術者はビデオデッキや車を作り、アメリカの優れた技術者はミサイルを作って日本を守っている。日本にコストを弁償させるべきじゃないか」と発言。
大統領選挙出馬後には、
- “If somebody attacks Japan, we have to immediately go and start World War III, OK? If we get attacked, Japan doesn't have to help us.”
(「もし誰かが日本を攻撃したら私たちは即座に第3次世界大戦を始める、OK?だが、我々が攻撃を受けたら日本は私たちを助けなくてもいいんだ。」)
- “If Japan gets attacked, we have to immediately go to their aid, if we get attacked, Japan doesn’t have to help us.”“That’s a fair deal?”
(「もし日本が攻撃されたら私たちは直ちに救援に行かなくてはならない。もし私たちが攻撃を受けたら日本は私たちを助けなくてもいい。」「この取引は公平なのか?」)
しかし、大統領就任後には態度が軟化し、日米首脳会談では在日米軍駐留経費の負担増額について言及せず、ワシントンの共同記者会見で安倍晋三を横に「私どもの米軍をホストしてくれている。日本国民にお礼を申し上げたい」と発言している[321]。北朝鮮によるミサイル発射時にも「米国は100%、日本と共にある。100%自分と米国を信頼してもらいたい」と安倍に伝えている[322]。
中国
出馬会見では、特に中国への対抗姿勢を鮮明にしており、「中国との貿易交渉で彼らに勝ったことがありますか?。彼らは我々を殺そうとしてるが、私は彼らにいつも勝つ」( When was the last time anybody saw us beating, let's say, China in a trade deal? They kill us. I beat China all the time.)「私は中国が好きです。私はちょうど中国の誰かに1500万ドルでアパートを売りました。私が彼らを嫌うと思いますか?」( I like China. I sell apartments for— I just sold an apartment for $15 million to somebody from China. Am I supposed to dislike them?)「私は中国のことは大好きです。中国から世界で最大の銀行(中国工商銀行)がやってきたが、米国本部がどこにあるか知っていますか?このビルの中ですよ。トランプ・タワーです。だから中国は大好きですよ」( I love China. The biggest bank in the world is from China. You know where their United States headquarters is located?. In this building, in Trump Tower. In this building, in Trump Tower. I love China.)「みんなは私に中国が嫌いなんですかと聞きます。違います、私は彼らが大好きです。だが彼らの指導者たちは我々の指導者たちよりも遥かに賢く、これでは我々は持ちこたえれません」( People say, “Oh, you don't like China?” No, I love them. But their leaders are much smarter than our leaders, and we can't sustain ourself with that.)と発言している[323]。一方でかねてから中国とのビジネス上の関係を強調しており[324][325]、「中国は偉大だ。中国が好きだ。われわれは中国とビジネスをするべきだ。もっとうまくやっていけるはずだ」と発言し[326]、大統領選勝利後は電話会談で習近平総書記に対して「中国は偉大で重要な国であり、米国との互恵関係を実現できる」と語ったと報じられ[327]、トランプ側も声明で祝電に感謝して「今後両国は最も強固な関係を築きたい」と述べたと発表した[328][329]。北朝鮮問題で協力が得られれば貿易交渉で中国に譲歩[330]して中国が有利になるよう取り計らうとし[331]、為替などの問題でも中国に国際ルール順守を求める[332]としつつ選挙中に訴えていた中国の為替操作国指定の主張は撤回し[333][334]、「関係改善すべき最も重要な国の1つ」として中国とは米中双方の利益となる関係を築くと表明している[335]。大統領就任後の習総書記との書簡や電話会談、首脳会談では米中協力の意向を示して中国政府から称賛され[336][337][338][339]、大統領就任前に中国を刺激した蔡英文台湾総統との電話協議も習総書記との良好な個人的な関係から再会談には応じないとする意向を示し[340][341]、台湾への武器売却も遅らせてることについて批判する声も出ており[342]、トランプ政権初の台湾への武器売却には大型兵器は含まれず[343]、習総書記を「中華民国総統」とホワイトハウスが間違えて紹介したことからトランプ政権の中台問題への理解を不安視する向きもある[344]。2017年5月には米中の貿易摩擦を是正する「100日計画」の具体化で合意してトランプ政権は習主席が国策に掲げる一帯一路国際協力サミットフォーラムに代表団を派遣することを発表し[345]、出席した米国代表団は習主席の経済圏構想である一帯一路への協力を表明した[346]。トランプ自らも一帯一路への協力で米国はオープンであると述べてる[347]。また、オバマ政権で続けられてきた「航行の自由作戦」の南シナ海での実施が米軍から要請された際にもトランプ政権はこれを3度も拒否しており[348][349]、トランプ大統領当選後から同作戦が途絶してることに米議会から懸念の声が上がった[350]。同年5月24日になってトランプ政権は初めての「航行の自由作戦」を実施したと報じられた際にもトランプ政権はオバマ政権と違って公表しなかった[348][351]。2018年に行われる環太平洋合同演習(リムパック)にはオバマ政権と同様に中国を招待した[352][353]。トランプは中国に北朝鮮への制裁強化を求めて貿易面で圧力をかけるなど硬軟織り交ぜた外交を行ってる[354]。
トランプの対中国姿勢を批判する者は、トランプが中国に8社もの合弁会社を所有[355]してその提携先には中国共産党の幹部が経営する国有企業[356]もあることや、トランプが中国の国営銀行に多額の債務を抱えてること[19]、トランプがシカゴのトランプ・インターナショナル・ホテル・アンド・タワーなどで中国の鉄鋼を使用し[357][358]、新ビル建設工事にあたって中国人投資家へ出資を募って彼らに向けて迅速にビザが発行される政府プログラムの利用を勧めていたことを取り上げ「安全保障を損ないかねない」と批判したり[359]、トランプブランドの商品の産地がメイド・イン・チャイナやメイド・イン・メキシコであることを問題視し「全製品をアメリカで生産せよ」と非難するなどしている[360]。 これに対しトランプは、中国やメキシコの通貨が安くなっているためにアメリカブランドがアメリカで生産できなくなってしまっているなどの説明を行っている。
移民対策
中米からの不法移民の取り締まりに積極的な姿勢を示している。シリア難民の受け入れにも反対している。
アメリカ国内に住む不法移民について強制退去させると言っており、アメリカ生まれの不法移民の子供にアメリカの市民権が与えられるという規定を廃止するとも述べた。1100万人に上る不法移民を退去させることは莫大な費用が掛かるし、差別的であると批判を受けながらも、退去させることは実現可能で人道的だとの考えを表明している。
大統領選の出馬会見でも、メキシコからやってくる不法入国者たちが麻薬と犯罪を持ち込んでいるとの見解を述べ、メキシコとの国境沿いに「万里の長城」の様な国境の壁を造り、(注・CNNの試算では数十億ドルになるという)その建設費をメキシコに払わせると発言した[361]。
国境線に壁が必要だという主張についてメキシコ大統領報道官のエドゥアルド・サンチェスはブルームバーグの電話インタビューで「それはもちろん間違っている」「そういう考えはメキシコが果たしている役割をものすごく無視していて、そんなことを主張する候補者の無責任さを示すものだ」とコメントしており、その費用をメキシコに負わせるという発言に対しても「トランプの発言には米国の現実についての知識の巨大な欠如が反映されている」「アメリカにいるメキシコ人は熱意を持って働いている。彼らは仕事をよくやっている」として[362]、負担に応じない方針を示しているが、トランプは現在まで撤回していない。
イスラム教徒について一部のセキュリティ会社が発表した調査結果(アメリカ人を攻撃することをジハードの一部として正当化できると回答した割合が25%に上る)などを引用し、「ムスリムのアメリカへの憎しみは我々の理解を超えている」と何度も主張しており[363][364]、ムスリム系夫妻が14人を銃撃し殺害する事件が起きると、イスラム教徒の入国を禁止するように提案したり[365]、一部のモスクを閉鎖させてムスリムを監視すべきと提案している[366]。
大統領就任からわずか1週間後の2017年1月27日、「外国テロリストの米国入国からの国家の保護(Protecting the Nation From Foreign Terrorist Entry Into the United States)」と題した大統領令に署名。これにより、シリア、イラク、イラン、スーダン、リビア、ソマリア、イエメンの計7か国からの出身者の米国入国を90日間停止、さらに難民に至っては120日間受け入れ停止となった。
内政
司法制度
死刑制度
トランプは、死刑を支持する死刑制度存続派である。以下の事件に関する言動では抗議デモも受けた。
1989年4月19日、夜のセントラル・パークで、10代のストリートギャングが人々を襲った。夜9時ころから30人以上の黒人やヒスパニックの少年たちがパークの来園者を襲い始めた。
襲撃者たちはタクシーを石で破壊し、サイクリングコースで数台の自転車を襲った。人々が逃げ出すと歩行中の男性に襲いかかり、金品を奪って意識不明になるまで殴った。通りがかった教師はひどく殴打され、何度も蹴られた。ランニングコースにいた2人の男性も意識を失うまで鉄パイプと棍棒で殴られた。駆けつけた警官は、血の海だったと証言した。被害者たちは意識が戻ると、4、5人の黒人の若者に襲われたと証言した。通報を受けて急行したニューヨーク市警は、少年たちを逮捕しながらパーク内の見回りを始めた。
同じ頃、パーク内のランニングコースでも、ジョギング中の28歳の白人女性Aが何者かに襲われてレイプされ、肛門を犯されるなどの暴行を受けた。女性は発見時、縛り上げられ、口枷をされ、裸で、血液の75%を失う深刻な頭部外傷を負い、血まみれで泥の中に埋もれていた。女性は奇跡的に生きていたが、12日間昏睡状態にあり、深刻な障害が残った。
Aが発見される前、パーク内を見回っているパトカーの車内でリヤシートに座っていた少年が、出し抜けに「俺は殺人(murder)はしていない」と言い出した。「だが誰がやったか知ってる。あいつら2人だ」と2人の名前をあげた。その隣に座っている少年も同調して「あいつがやった」と繰り返した。
Aが20日未明に発見されると、警察は逮捕した少年たちから14歳から16歳の黒人4人とヒスパニック1人の計5人を、Aへの暴行、強姦、殺人未遂の被疑者とした。5人ともパークでの襲撃に参加しており、うち2人は前述のパトカーで仲間から犯人と名指しされた少年だった。
5人は通行人を襲ったことは認めたものの強姦については否認し、目撃しただけで関与はしていないと供述した。5人の一人は「女を犯していた1人はフードを被ったプエルトリコ系(ヒスパニック)の少年だった」と供述し、一人は「レイプはしていない。俺は胸を触っただけだ」と供述した。
メディアがこの事件を報じると、トランプは「犯人たちの死刑」と「ニューヨークでの死刑の復活」を求め、8万5000ドルを投じて新聞4紙に「死刑を取り戻せ!」という全面広告を掲載した。また当時のエドワード・コッチ市長が「憎しみや恨みを私たちの心から取り去らないといけません」と発言したことにも反論し「私はそうは思わない。私はこれらの強盗・殺人犯たちを憎しみたい。犯人たちが苦しむことを望む。社会を攻撃する者たちには、攻撃を始める時が人権の終わる時だと教えるべきだ。」と主張した。 5人側を防御する弁護士は、この意見広告について「5人を公然と侮辱している」と抗議した。
ニューヨーク市警は5人に苛烈な取り調べを加え、Aへの暴行も自白させた(後に虚偽の自白と判明する)。陪審員による裁判は少年たちに懲役6年から13年を宣告した。5人は二審でも有罪になり服役した。
しかし2002年、この5人のぬれぎぬを晴らす出来事がおきた。連続強姦や殺人罪で服役していたヒスパニックの男性B(5人とは別人)が司法取引で強姦罪の免責と引き換えに、Aに乱暴した真犯人は自分だと告白した。Bの告白には信ぴょう性があり、DNA鑑定によっても裏付けられ、さらにBは1人でレイプしたと証言したため、5人の元少年たちは無実だったことが明らかになった。
5人の元少年たちは釈放されるとトランプに謝罪を求めた。元少年たちの弁護士は「ドナルド・トランプは社会に対して、また若者たち(被告)とその家族に対して、本当の謝罪をするべきだ」とコメントした。トランプは「謝罪しない。彼らは刑事に自白した。後になってからやっていないと言い出したが信じない」と拒否した。人権団体はデモ集会を行って、参加者たちはトランプ・タワーの前で「トランプのとんま!(Trump is a chump!)」「人種差別主義者」と声をあげた[367]。
5人の元少年たちは人種差別、悪意訴追、精神的苦痛を理由としてニューヨーク市に2500万ドルの賠償を求めて訴えた。市側は、元少年たちを起訴に持ち込んだことには相当な理由があったとして応じず、市側の法律家も自分たちが勝つと感じていた。しかし裁判は10年間に及び、2013年にビル・デブラシオが「私が市長になればこの問題を解決する」と宣言し、新市長に就任すると、2014年5月に、元少年たちに解決金として4100万ドル(約46億円)を支払う決定をした。
トランプはこの決着を批判し「これは恥だ」「彼ら(ニューヨーク市を訴えた5人)は天使のような人間ではない」「4000万ドルはニューヨーク市の納税者にとっては大金だ。この受け取り手は大声で笑っているに決まっている」「決着はしたが潔白という意味ではない」「この司法制度は問題だらけで、この問題に費やされた時間とエネルギーはとんでもない」などと発言した[368]。
無実が証明された5人の少年の内の1人は「トランプはあいかわらず憎しみに満ちた人間だ。トランプが大統領になることなど想像も出来ない」とコメントした[369]。
なお5人の元少年たちはニューヨーク市から4100万ドル(46億円)を受け取るとニューヨーク州に対しても5200万ドル(約58億円)を求めて2014年12月に提訴している。
警官の黒人容疑者への対応
2014年にニューヨークの路上で、違法タバコを所持していた黒人男性が、彼を販売容疑で逮捕しようとした警官たちにねじ伏せられて窒息死する事件が起きた(エリック・ガーナー窒息死事件)。
この事件に関して「警官によって28時間ごとに1人の黒人が殺されている」「戦争のようだ」などと抗議運動をしていた「黒人の命も大切だ[370]」が2015年11月、トランプの集会で抗議を行うと[371]、トランプは批判を展開し「面倒を起こそうとしてるんだと思う」と述べた。
また白人や警官によって殺される黒人よりも黒人によって殺される市民の方がはるかに多いとして画像をツイートしたが、この画像には信頼性がなく、非難を浴びた。
トランプが引用した画像は、出典を「サンフランシスコ 犯罪統計局 2015年度データ」としているが、サンフランシスコ市は年次報告書の発行を2014年で終了しており、2015年の統計は公表されていなかった。また14年以前も、加害者・被害者の人種ごとの内訳は掲載していなかった。
また各数字も、実在するFBIの14年度の全米統計データと見比べてあまりに差が大きく、信頼できないものと考えられた。実際のFBIの2014年度の全米統計では、①「黒人(B)が加害者になって、白人被害者(W)を殺害した数」は全殺人の15%である一方、②「白人(W)が加害者になって、黒人被害者(B)を殺害した件数」は7%である。
ところがトランプが引用した画像は、15年のサンフランシスコについて①を81%、②を2%としていた。 サンフランシスコ市警察の広報は新聞の取材に対して「(トランプがツイートした画像は)我々が公表したデータではない。どこから来た情報か分からない。」と答えた[372]。
人工妊娠中絶についての見解
自らを人工妊娠中絶反対派と位置づけており、原則として妊娠後期(米国では一般的に満20週以降)では中絶(abortion)を認めるべきではないとする。認めるべき場合としては、強姦被害による場合と、近親姦による場合、母体の健康に問題がある場合を挙げる。
2016年3月、トークショーの司会者から、中絶手術を禁止した場合に違法な手術は罰するべきかと問われて、「there has to be some form of punishment (for the woman)((女性に対して)何らかの罰を設けるべきだろう)」と答えた[373]。
- 司会者:中絶に対して原則的には罰を与えるべきだと思いますか?イエスかノーかで答えてください。
- トランプ:何らかの罰を設けるべきだろう。
- 司会者:女性に対してですか?
- トランプ:はい。[374]
この発言に関して世界中のメディアが
- ドナルド・トランプ氏が「妊娠中絶を受けた女性は刑罰の対象にすべきだ」と発言
- 中絶手術を受けた女性は処罰されるべきだと発言した[375]
と報じ、中絶反対派からも激しい非難を受けた[376][377]。
日本のマスコミも
と批判した。
トランプはこの件については同日中に再説明し「もし議会が中絶を違法化し、あるいはいずれかの州が連邦法の下で禁止し、連邦裁判所がこの法律(中絶を禁じる法律)を合憲とする場合には、医師あるいはどんな人物であれ、この違法行為を妊婦に行った者(堕胎施術者)は、法的責任を問われる。この時、胎内の命を奪われた妊婦は被害者である。」として「私の立場はロナルド・レーガンと同じ立場で、例外を認めるプロライフだ[380]。」とした。
中絶を巡る問題に関しては、この件についての多数の報道があった後、有利とされていたウィスコンシン州で敗北したことで、フレームアップされたこの「発言」が、選挙戦に致命的なダメージを与えたという分析も出ている[381]。
ただトランプは、刑罰化を積極的に望む姿勢を示したわけではなかった。激しく非難された発言は、後期中絶の違法化を巡るやりとりの中での返答だが、トランプは司会者から「違法に堕胎するものが現れれば罰するのか?」と質問されて、そのたびに「これは非常に難しい問題なんだ」「他の候補者よりも緩やかな考えだ」「広い例外を認める禁止派(プロライフ)だ」と濁している。また、この返答を受けた司会者が「ではどのような刑を課すのか」などと矢継ぎ早に畳み掛けると、その際にもトランプは「分からない」と3度繰り返し「カトリックと同様の見地から対応するつもり」「これについては今後、決定する」と続けており、強固な考えを持っていないことも示唆している。
なお、妊娠後期の胎児についての中絶の禁止自体は、共和党の候補者に共通する考えであり、米国外では日本などが採用している[382]。しかし、日本の刑法で第212条から216条に規定されている堕胎罪の場合は、犯罪の主体が女性に限定されないため、批判されたトランプの当初の主張とは異なる。
トランプは17年前には、中絶の問題は妊婦と担当医に委ねるべきと述べていた[383]。
- トランプ:私は完全にプロチョイスだ。中絶のことは嫌悪している。嫌いだ。胎児の殺害を意味する全てを嫌っている。私は人々がこの話題で言い争うのを聞くだけで、身のすくむ思いがする。しかし、そうであっても選ぶ自由を認めるべきなのだと思う。それに……あるいはニューヨークの人々の物の捉え方には、他の地域の人々とは少し変わっている部分がある。そして知ってのように、私はニューヨーク生まれの人間だ。この町で大きくなって、働いて、ニューヨークシティで形作られた。なんにせよ、プロチョイスを強く支持している。だが堕胎も嫌悪している。
- 司会者:ではトランプ大統領は堕胎を禁止しますか?
- トランプ:いいえ、自分はどの点でもプロチョイスだ。しかし、嫌いなんだ[384]。
- 自分は全面的に「中絶の自由」を支持する。「中絶の自由」を嫌悪しているし、「中絶の自由」など口にするのも嫌だ。そして自分が「中絶の自由」の支持者だと言うことを恥ずかしいとも感じる。だが支持する他ないように思われるから「中絶の自由」の支持者だ[385]。
現在「例外を認めるプロライフ」としていることについて、1999年の見解から立場を変えたことを批判しているマスコミもある[386]。
財政、税制、貿易、医療
財政面では、社会保障のための積極財政政策を唱える。
税制面では、法人税と個人の最高税率を引き下げて経済活動を促すと共に、年収5万ドル(約570万円)以下の夫婦世帯および年収2万5000ドル(約280万円)以下の単身者に対しては所得税を免除して国民の間の格差も是正するとしている。
経済格差については過去に拡大を止めるために民主党のバーニー・サンダース上院議員と同じく富裕層への課税を提唱したことがあり、政策スタンスはリベラルや民主党左派に近いとされた。また、ドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法の廃止を掲げ[387]、ウォール街への課税や租税回避対策とインバージョン規制を行うなどとしている。
これらの政策は中流の保護と低所得者の保護を含んでおり、共和党主流派の小さな政府・民営化・資産再配分の否定(自由主義・リバタリアニズム)と相容れないため、共和党や米財界から社会主義や隠れリベラルという批判を受けており、エスタブリッシュメント層からはポピュリズムや反市場・反企業と糾弾されている[388]。
グローバリズム拡散による単一市場に対しては否定的であり、保護貿易主義的とされる。TPPにも反対である。
医療保険改革では、PPACA、通称オバマケアに対して廃止を明言していたが[389]、2016年大統領選挙後のオバマとの会談では全廃にせず一部を維持することを示唆した[390]。トランプは自らのプランをサンダースが訴える単一支払者制度ではないとたびたび表明しており [391]、 オバマケアに反対している[392][393]。トランプ陣営のスポークスマンは、「ユニバーサルかつ、自由市場に基づいて選択の幅を提供する社会主義的ではない制度」を用意するとコメントしている[394]。
また、トランプは経済政策に関わる新設機関としてアメリカン・イノベーション・オフィス(初代局長にジャレッド・クシュナー)、国家通商会議(初代委員長はピーター・ナヴァロ)、大統領戦略政策フォーラム(初代議長はブラックストーン・グループCEOスティーブ・シュワルツマン[395])などを設立した。
ノードストロームへの政治介入問題
2017年2月4日、大手百貨店ノードストロームは、販売不振を理由にトランプの娘イヴァンカ・トランプのブランド取扱い中止を発表したところ、「娘が不公平な扱いが受けた」とTwitterで非難を開始した[396]。大統領の親族への優遇のための政治介入ではないかとの批判を受けた[397]。
メディアへの露出
自己顕示欲が旺盛で、テレビドラマ「スピン・シティ」や映画「ホームアローン2」、「トゥー・ウィークス・ノーティス」などのほか、さらにはセサミストリートのマペットやアニメーション「ザ・シンプソンズ」に至るまで、様々な媒体に様々な形で積極的に出演しており、この様な活動を通じて自らのホテルやカジノへの集客を図るだけでなく、自己顕示欲を満たすことも兼ねていると言われている。
アプレンティス
2004年に放映が開始されたNBCテレビのリアリティ番組「アプレンティス(The Apprentice)」に、ホスト兼プロデューサーとして参加し、トランプの関連企業の役員の椅子を懸けて番組内で丁稚奉公を行う番組参加者(公募による関係者以外)を、「お前はクビだ(You're fired)」(本当はアメリカのプロレス団体WWEの代表取締役会長兼最高経営責任者ビンス・マクマホンが元祖であり、ビンスの場合は原語では同じYou're firedだが、日本語では「貴様はクビだ」と表示される)の決め台詞で斬り落とす姿が人気を博し、同番組はリアリティ番組として空前の人気を誇るだけでなく、トランプの発する決め台詞が流行語となった。
WWE
2007年4月1日、WWE主催Wrestlemania23(ミシガン州デトロイト大会)において、「Battle of the Billionaires(億万長者対決)」と題されたトランプとビンスそれぞれの代理レスラー(トランプの代理はボビー・ラシュリー、ビンスの代理はウマガ)の試合が行われた。
アメリカではそれぞれがかつらとの噂があり、その噂を皮肉った対決で、敗者は頭を剃ることになるルールであった。特別レフェリーの"ストーン・コールド"・スティーブ・オースチンの助けもあり、トランプ側が勝利し、その場でトランプがビンスの髪の毛を刈った[398]。ちなみに、試合後にトランプもオースチンから必殺技のストーンコールド・スタナーを浴びている(勿論、プロレスラーではないトランプに合わせて手を抜いている)。
2009年6月にはアングルとして、ビンスからRAWを買収してオーナーに就任。翌週の放送は番組史上初のCM無し放送や観客の入場料全額払い戻しを実行するが、その日のうちにビンスが売却した倍額で買い戻し、オーナーアングルは1回限りで終了した。2013年にWWE殿堂入り[399]。
私生活
トランプは祖父と兄をアルコール依存症に由来する合併症で失っている。祖父と兄弟を反面教師にした兄は酒とタバコに触れないように言い、トランプはその言いつけ通り、酒、タバコのどちらも一切摂取せず、コーヒーさえ飲まないという。子どもたちにも酒、タバコ、ドラッグを摂取しないように勧めてきた。 その理由についてABCニュースの出演時には「本当に輝いていた優秀な人たちが人生を台無しにするのを沢山見てきたため」としている。
食生活はビッグマック、ケンタッキーフライドチキン、ドミノ・ピザといったファストフードのルーチンを好み、飲料はもっぱらダイエットコーラを愛好し、一日中飲んでいるほどとされる。また、食事時間以外にもポテトチップスを常食している。運動はほとんどせず、睡眠時間は3、4時間程度で十分との考えを持っている。自身の健康に自信をもっているものの、体重は107キログラムに及び、スタチンやプロペシアを服用しているとされる。スーツ及びネクタイはブリオーニで揃え、スマートフォンはAndroidを用いているが、警護担当からのセキュリティが強化された機種への変更要請を拒んでおり、下院調査委員会に調査要求が出されている。愛用のペンであるクロスのセンチュリーIIブラックラッカーは数百本保有し、議員や関係者らにも配っているという[400][401]。
宗教は長老派教会(プレスビテリアン)のプロテスタントとしている。積極的な活動はしていないが、好きな本を聖書としている。ユダヤ教との結びつきも強い。2016年の選挙ではギリシャ正教のアメリカ人主教から祝福を受けた。
家族
父のフレッド・トランプは、ニューヨークが中心に事業を展開していた不動産開発者。トランプが自ら語るところによれば、父の手伝いは5歳からしていたという。
姉のマリアン・トランプ・バリーは、連邦高等裁判所の裁判官。
フレッド・トランプについては、21歳の頃、KKKに加入していた可能性があると報じられた。それによれば、1927年のニューヨーク・タイムズの記事に、クイーンズ地区でKKKが約1000人で騒々しいデモ行進を行い、取り締まり中の約100人の警官と乱闘に発展したという記事があり、警官が負傷し、7名の逮捕者が出た。7人の内の一人が、ドナルド・トランプの父親のフレッドと同姓同名だった。当時の記事によれば、フレッド・トランプという21歳の男性は起訴されずに釈放された。この男性の住所は、クイーンズ区ジャマイカ・エステートと記載されていた。ジャマイカ・エステートはドナルド・トランプの父が住んでいた地区である。
当時KKKは合法の結社で、若き日のハリー・トルーマン(後に第33代大統領になる)も、選挙での支援を得るために一時加入したことがあるほど党勢が強く、600万人の党員がおり、州知事も輩出していた。
トランプはこの報道について、英紙デーリー・メールのインタビューで「くだらない」と否定。「父に逮捕歴はないし、その事件とも無関係だ。そんなことはまったくなかった。ばかげている」と語っている[402]。
なおフォーク歌手のウディ・ガスリーは、フレッドに家を借りていた事があり、ガスリーによるとフレッドは人種差別的な行動を取っていたとし、賃貸エージェントによると、黒人に家を貸さないように指示していたと言う[403]。
娘のイヴァンカは、三児の母。主婦業、母親業、モデル業をこなす傍ら、相続人としてトランプ・オーガナイゼーションの副社長も務め、父ドナルドの選挙活動にも出馬会見や集会で前座を務めるなど活発に参加している。産経新聞によると「クールで最高に行儀がよい」ことから米メディアから「秘密兵器」と呼ばれているという[404]。夫と同じユダヤ教に改宗している[405][406][407]。
ドナルドは3度結婚しており、1977年にチェコスロバキア出身のイヴァナ・ゼルチコヴァ(イヴァナ・トランプ)と結婚し、1992年に離婚。夫妻の間には、二男一女(ドナルド・トランプ・ジュニア、イヴァンカ、エリック)。
翌1993年に、女優のマーラと再婚。マーラとの間にティファニーが生まれる。マーラとは、1999年6月8日に離婚する。
3度めの結婚は、2005年1月22日で、相手は24歳年下のスロベニア出身のモデル、メラニア・クナウス。翌2006年3月20日メラニアとの間に男児バロンが生まれる。
金銭
2009年11月、経済誌フォーブス誌が「アメリカのテレビ界で最も稼いでいる男性」のランキングを発表し、2008年6月から2009年6月までの収入が5,000万ドル(日本円で約45億円)で2位にランクインした。
このランキングの上位にランキングされた男性出演者のほとんどが事業なども手掛けていて、トランプは自身の名前をネクタイやウォッカなどの商品に使わせており、講演や著書の印税などの収入もある[408][409]。
その他
- 非合法の白人至上主義団体KKKの元幹部デービッド・デュークが、トランプの支持を表明して、「移民問題に強く、メディアの嘘を暴いて、白人社会を発展に導く候補だ」と発言した。この件について、CNNのインタビュー番組で司会者が「デューク氏に支持されることを拒否するか」と尋ねると、トランプは「私はデュークという男を知らない。一度も会ったことがないし、何も知らない」「あなたは私の知りもしないグループについて私に糾弾させようと思うべきではない」「白人至上主義者のことは何も知らない」、「どの団体のことを言っているのか分からない」と言うだけではっきりと拒絶しなかった[410]。しかし、過去の会見でトランプが「デービッド・デュークが私を支持した?そうか、私は拒否する。よいね?」と記者に答えたこととの矛盾が批判された[411]。後に自らがつけていたイヤホンの性能が原因であると釈明した[412]。
- トランプの支持者がジェブ・ブッシュを嘲る加工画像を作ってトランプのツイッター宛に送ったとき、トランプはいつものように面白がってリツイートしたが、後からそのユーザーがネオナチのメンバーだったことが判明した。ブッシュ陣営の広報は「政敵をナチス呼ばわりすると自分にも戻ってくる法則。トランプはジェブをナチ呼ばわりしていたが、彼のアンチ・ジェブのリツイートの中にはナチのアカウントがある」と、からかった[413]。
- 2005年当時、911テロで崩壊した旧ワールドトレードセンターの跡地計画について、モニュメント性の高い建築を作る案よりも、911テロで崩壊した旧ワールドトレードセンターよりも更に大きな「ツインタワーII」として再建しようと語っている[414]。
- 2011年6月1日、サラ・ペイリンとニューヨークのピザ屋で同席し、ともに朝食をとる。この際、どういうわけかプラスチックのフォークとナイフで食べるトランプの姿が注目され、2日、トランプはYouTube上でこの件について説明をした[要出典]。
- 2011年4月に入り、上記のオバマ大統領出生地論を話題に出したことで、瞬くまにアメリカ主要メディアの注目を浴び、この一件は日本のメディアでも取り上げられた。また、ABCの朝の番組グッド・モーニング・アメリカの司会者ジョージ・ステファノプロスとのインタビューで、ジョージに対し「George, Next question George」と次の質問を要求[415]するさまが、同じABC系のトーク番組で取り上げられるなど、ニュース、バラエティとジャンルを問わずに話題になった。
- 脚本家ボブ・ゲイルによると、映画バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズに登場する悪役ビフ・タネンは、トランプをモデルにして描かれたとの事[416]。
- ノーベル平和賞にノミネートされたことがある。個人として推薦された228人の候補者の1人になったとのこと[418]。推薦した人物はノーベル平和賞委員会から候補を推薦するように依頼されたアメリカ人と見られる[419]。推薦の理由は「力のイデオロギーを通じて平和を精力的に追求している」ことという。通常はノーベル平和賞委員会から受賞に相応しい人を推薦するように依頼される有識者は数千人に上る。受賞の可能性はほぼ無いと考えられているが、万一トランプが大統領に当選してノーベル賞も受賞すれば、米国大統領は2代続けてノーベル平和賞を受賞することになる。
- カツラ疑惑を払拭することができず、そのため2015年9月には、子供に髪の毛を引っ張らせてカツラ疑惑を払しょくしたが、ハリウッドのスタイリストらはいまだカツラか自毛かで論争が続ているとAFP通信が伝えた。また、実際前妻との離婚理由は、増毛に失敗して植毛せざるをえなくなったことが原因とする報道もあるが、本人の過激な発言が先行したため、かつら疑惑は陰に追いやられており、いまだ真相は不明なままである[420][421][422]。
- 大統領選で共和党の正式大統領候補者となったとことで、ツイッター上で「ヒスパニック愛してる」など、人種差別的なイメージの払しょくを語る傾向が出だしている[425]。
- 「我が国で何が起こっているかを見てほしい。人々が警察を冷酷に殺すような状態で、どのように我々は人に何かを教えることが出来るのか」と述べ、他の国のふるまいを矯正しようとする前に米国は自らを秩序のもとに置かねばならないとする考えを示した[426]。
- 大統領就任後も大統領専用機を使わす自家用機であるトランプ・フォース・ワンを使うと発言していたが、政府当局の見解では大統領が空路で移動する際には専用機以外の使用を認めず、トランプ・フォース・ワンを利用するならば専用機と同等の防護装置を私費で導入する必要があると発表した[427]。
- 1989年に『TRUMP THE GAME』というボードゲームが発売されている[428]。
社会現象
- 2016年のヒラリークリントンと争った大統領選挙において、彼女が当選するだろうと言われていたが、トランプが優勢と報じられると株式などの市場は大混乱に陥り、一時市場は最低価格にまで値を下げ、翌日は急上昇した。為替市場は対ドルで大幅に変動し、ドル円は東京時間で約5円円高になり欧米時間で約5円円安になり、そのまま円安の勢いは止まらずに約1ヶ月で18円近く円安になった。
- 次期大統領と決定後の米国各地でヒラリー支持派らの大規模のデモが発生し、レディー・ガガ等の有名セレブ達から怒りの声がSNSやマスコミを通して伝えられ、トランプ・タワー等では厳重警備が行われている[429]。
- 一時、カナダへ移住するためのサイトが米国の移民を中心にアクセスが大殺到したため、サーバーダウンが発生した[430]。
- ドナルド・トランプは政治経験が無い他、度重なる暴言・失言・差別発言などの言動が多いため、予てより大統領就任には批判的な意見が多い。そうした経緯から暗殺計画の噂が予てより囁かれていた。実際に「Terminating Donald Trump」と名乗る闇サイトがトランプ暗殺計画を企てて資金集めをしていることが明らかになっている[431]。
- 苛烈な姿勢からフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領[432]や日本の足立康史衆議院議員(日本維新の会所属)[433]のように過激な発言をする政治家が「○○のトランプ」と報道されるケースがある。
- 2017年5月31日未明、トランプがTwitterにおいて、「Despite the constant negative press covfefe」(相も変わらず否定的な報道のcovfefeにもかかわらず)と書きかけのような文章を投稿。「covfefe」という謎の単語の真意を巡って話題を呼び、大統領就任以来最多となる10万回以上のリツイートがなされ「#covfefe」がトレンド入りした。ショーン・スパイサー報道官が記者団に対し「大統領とごく一部の人はちゃんと(意味が)わかっている」と述べたことで暗号ではないかという臆測が広がった。さらにトランプ自身がこのツイートを削除した後、「covfefeの真の意味が分かるか?楽しんでくれ」と投稿した。CNNなどのアメリカメディアは単に「press coverage」と書こうとして誤っただけではないかと分析している[434][435][436][437]。トランプは深夜帯にツイートをすることが多いが、度々スペルや文法のミスを他のアカウントユーザーから指摘されている[438]。
トランプ支持の主な著名人
- クリント・イーストウッド
- ティラ・テキーラ
- スラヴォイ・ジジェク[439]
- エド・フルナー[440](ヘリテージ財団創業者)
- ピーター・ティール
- マイク・タイソン
- リー・グリーンウッド
- トビー・キース
- 3ドアーズ・ダウン(就任式で演奏)
- サム・ムーア(就任式で演奏)
- キッド・ロック
- ケビン・クローン
- デニス・ロッドマン[441]
- アーロン・カーター[442]
- ハルク・ホーガン
- スティーヴン・ボールドウィン
- アジーリア・バンクス
- ジョン・ヴォイト
- 厚切りジェイソン
- あえば直道
- 大川豊
- 片山さつき(自民党)
- 亀井静香
- 木村太郎[443]
- 副島隆彦
- 孫正義[444]
- 武田邦彦
- 堤未果
- 橋下徹(日本維新の会)
- 孫崎享
- 馬渕睦夫
- 三浦瑠麗(以前はマルコ・ルビオ支持)
- 宮台真司[445]
- 山崎行太郎
受賞歴
- ゲーミング殿堂(1995年)[446]
- ハリウッド・ウォーク・オブ・フェーム(2007年)
- ニューヨーク・ライド殿堂(2010年)[447]
- ロバート・ゴードン大学(イギリス・スコットランド)名誉経営学博士号(2010年)[448]しかし、2015年12月9日に学位剥奪。理由は、トランプが「大学の特質・価値観と完全に相容れない数多くの発言をしたため」[449]。
- リバティ大学(アメリカ・ヴァージニア州)名誉経営学博士号(2012年)[450]
- WWE殿堂(2013年)
- 共和党サラソータ支部(フロリダ州)年間最優秀政治家(2012年、2015年)[451][452]
- フロリダ州ドラール市の鍵(キー・トゥ・ザ・シティ)(2015年)[453][454]
- アメリカ海兵隊総司令官リーダーシップ賞(2015年)、アメリカ海兵隊法執行機関[455]
- ニュージャージー・ボクシング殿堂(2015年11月12日)[456]
著作
トランプには以下の著書がある。
- Trump: The Art of the Deal (1987), ISBN 978-0-345-47917-4
- トニー・シュウォーツ共著、相原真理子訳『トランプ自伝―不動産王にビジネスを学ぶ』早川書房、1988年/〔文庫版〕筑摩書房、2008年
- Trump: Surviving at the Top (1990), ISBN 978-0-394-57597-1
- Trump: The Art of Survival (1991), ISBN 978-0-446-36209-2
- Trump: The Art of the Comeback (1997), co-written with Kate Bohner, ISBN 978-0-8129-2964-5
- ケイト・ボナー共著、小林龍司訳『敗者復活』日経BP社、1999年
- The America We Deserve (2000), with Dave Shiflett, ISBN 1-58063-131-2
- Trump: How to Get Rich (2004), ISBN 978-0-345-48103-0
- 石原薫訳『金のつくり方は億万長者に聞け!――大富豪トランプの金持ち入門』扶桑社、2004年/〔復刊版〕扶桑社、2016年
- The Way to the Top: The Best Business Advice I Ever Received (2004), ISBN 978-1-4000-5016-1
- Trump: Think Like a Billionaire: Everything You Need to Know About Success, Real Estate, and Life (2004), ISBN 978-0-345-48140-5
- Trump: The Best Golf Advice I Ever Received (2005), ISBN 978-0-307-20999-3
- Why We Want You to be Rich: Two Men – One Message (2006), co-written with Robert Kiyosaki, ISBN 978-1-933914-02-2
- ロバート・キヨサキ共著、白根美保子、井上純子訳『あなたに金持ちになってほしい』筑摩書房、2008年
- Think Big and Kick Ass in Business and Life (2007), co-written with Bill Zanker, ISBN 978-0-06-154783-6
- 峯村利哉訳『大富豪トランプのでっかく考えて、でっかく儲けろ』徳間書店、2008年
- Trump: The Best Real Estate Advice I Ever Received: 100 Top Experts Share Their Strategies (2007), ISBN 978-1-4016-0255-0
- Trump 101: The Way to Success (2007), ISBN 978-0-470-04710-1
- Trump Never Give Up: How I Turned My Biggest Challenges into Success (2008), ISBN 978-0-470-19084-5
- Think Like A Champion: An Informal Education in Business and Life (2009), ISBN 978-0-7624-3856-3
- 月谷真紀訳『明日の成功者たちへ』PHP研究所、2010年/〔改題〕『トランプ思考――知られざる逆転の成功哲学』PHP研究所、2016年
- Midas Touch: Why Some Entrepreneurs Get Rich-And Why Most Don't (2011), co-written with Robert Kiyosaki, ISBN 1-61268-095-X
- ロバート・キヨサキ共著、白根美保子訳『黄金を生み出すミダスタッチ――成功する起業家になるための5つの教え』筑摩書房、2012年
- Time to Get Tough: Making America No. 1 Again (2011), ISBN 978-1-59698-773-9
- 岩下慶一訳『タフな米国を取り戻せ――アメリカを再び偉大な国家にするために』筑摩書房、2017年
- Crippled America: How to Make America Great Again (2015), ISBN 978-1-5011-3796-9
- 岩下慶一訳『THE TRUMP――傷ついたアメリカ、最強の切り札』ワニブックス、2016年
関連項目
- 2016年アメリカ合衆国大統領選挙
- トランプ・オーガナイゼーション
- トランプ・インターナショナル・ホテル・アンド・タワー
- トランプ・ワールド・タワー
- トランプ・ホテル・ラスベガス
- トランプ・タワー
- 40 ウォール・ストリート
- ミス・ユニバース
- アプレンティス
- WWE・ロウ
- マニー・パッキャオ 対 ティモシー・ブラッドリー第3戦 - 不法移民に対するトランプの発言を皮肉り抗議する意味でアンダーカードに多国籍の選手が出場し「ドナルド・トランプ・アンダーカード」と名付けられた。
- Make America Great Again
- オルタナ右翼
- 聖域都市
- クリスティン・ルフェーヴル
- 隠れトランプ
- 医療保険制度改革 (アメリカ)
脚注
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- Donald J. Trump – トランプ・オーガナイゼーション
- "ドナルド・トランプの関連記事". ウォール・ストリート・ジャーナル (英語).
- "ドナルド・トランプの関連記事". ガーディアン (英語).
- ドナルド・トランプ - C-SPAN
- Donald Trump - DMOZ
- President Trump (@POTUS) - X(旧Twitter)
- Donald J. Trump (@realdonaldtrump) - X(旧Twitter)
- Donald J. Trump (@realdonaldtrump) - Instagram
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