日本製鉄
本社が入居する「丸の内パークビルディング」 | |
種類 | 株式会社 |
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市場情報 | |
略称 | NSSMC |
本社所在地 |
日本 〒100-8071 東京都千代田区丸の内二丁目6番1号 |
設立 |
1950年(昭和25年)4月1日 (八幡製鐵株式會社) |
業種 | 鉄鋼 |
法人番号 | 3010001008848 |
事業内容 | 鉄鋼の製造・販売など |
代表者 |
代表取締役会長 宗岡正二 代表取締役社長 進藤孝生 代表取締役副社長 橋本英二 代表取締役副社長 榮 敏治 代表取締役副社長 谷本進治 代表取締役副社長 中村真一 代表取締役副社長 井上昭彦 代表取締役副社長 宮本勝弘 |
資本金 |
4195億24百万円 (2018年3月31日現在) |
発行済株式総数 | 9億5032万1千株 |
売上高 |
連結:5兆6686億63百万円 単体:3兆2666億86百万円 (2018年3月期) |
営業利益 |
連結:1823億82百万円 単体:64億8百万円 (2018年3月期) |
純利益 |
連結:1950億61百万円 単体:1182億75百万円 (2018年3月期) |
純資産 |
連結:3兆5155億1百万円 単体:2兆0246億48百万円 (2018年3月期) |
総資産 |
連結:7兆5924億13百万円 単体:5兆2350億48百万円 (2018年3月期) |
従業員数 |
連結:92,309人 単体:24,822人 (2018年3月31日現在) |
決算期 | 3月31日 |
会計監査人 | 有限責任あずさ監査法人 |
主要株主 |
日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口) 4.2% 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 4.0% 日本生命 2.6% 住友商事 1.9% (2018年3月31日現在) |
主要子会社 |
日鉄エンジニアリング 100% 日鉄ケミカル&マテリアル 100% 日鉄ソリューションズ 61% 日新製鋼 100% 山陽特殊製鋼51.5% |
外部リンク | https://www.nipponsteel.com |
日本製鉄株式会社(にっぽんせいてつ、英文社名:NIPPON STEEL METAL CORPORATION)は東京都千代田区に本社を置く、日本最大手の鉄鋼メーカー(高炉メーカー)であり、エンジニアリング事業や化学事業、システムソリューション事業など5つの事業を有する日本製鉄グループの中枢を担う事業持株会社である。略称はNSSMC。TOPIX Core30の旧構成銘柄の1つでTOPIX Large70の構成銘柄の一つである。2019年4月に新日鐵住金から商号変更された。
粗鋼生産量において日本国内最大手、世界ではアルセロール・ミッタル(ルクセンブルク)、中国宝武鋼鉄集団(中国)に次ぐ世界第3位の規模を持つ。
官営八幡製鐵所の流れを汲む新日本製鐵と、住友グループの鉄鋼メーカーである住友金属工業が合併し、2012年に成立した。
概要
日本製鉄は新日本製鐵と住友金属工業の合併によって発足した。新日本製鐵(新日鐵)は、日本製鐵株式會社(日鐵)を前身に持つ鉄鋼メーカーであった。日鐵は1934年に官営八幡製鐵所を中心として複数の製鉄業者が合同して発足し、「日本製鐵株式會社法」で経営が規定される高い公共性を持つ半官半民の国策会社であった。後に日鐵は太平洋戦争後の過度経済力集中排除法により4社に分割される(財閥解体)が、このうち八幡製鐵株式會社と富士製鐵株式會社という鉄鋼メーカー2社が1970年に合併することにより、新日鐵は発足した。発足時は日立製作所を抜いて売上日本最大のメーカーであり、1980年代にトヨタ自動車に抜かれるまで、長年その地位にあった。また、2010年の粗鋼生産量において日本国内では首位、世界では第5位の規模を持っていた。一方の住友金属工業(住金)は、1935年に住友伸銅鋼管と住友製鋼所(旧・住友鋳鋼場)が合併して発足した鉄鋼メーカーであった。住金は関西経済界の重鎮(関西財界御三家)であり、住友グループの要として三井住友銀行、住友化学と共に「住友グループ御三家」と称された。主たる事業は鉄鋼業であり、鋼管、薄板、厚板、建材、鉄道車両品、チタン、条鋼などを生産していた。事業の中でも「パイプの住金」と言われるように、継目無鋼管と呼ばれる原油発掘用の鋼管は世界的にトップシェアを誇っていた。また、2010年の粗鋼生産量において日本国内では第3位、世界では第19位の規模を持つ。
2012年10月1日、上述の新日本製鐵が住友金属工業を吸収合併して新日鐵住金は発足した。国内の鉄鋼業界では、2002年の川崎製鉄と日本鋼管(NKK)の経営統合によるJFEホールディングスが発足して以来、約10年ぶりの大型再編となった。それまでの再編では生産調整等が目的であったが、新日鉄住金では韓国・中国をはじめ新興国の製鋼メーカー台頭を意識した戦略的合併が主な目的となっている。グローバル競争での存続を巡る大型取引であり、合併発表当時はこれを許容した公正取引委員会の態度の変化が話題となった。合併の背景には、日本国内での重複部門の統廃合によるコスト削減や、経営資源を集中させて莫大な費用を要する高炉建設を迅速に進める体制整備、また、鉄鋼需要が急拡大する新興国などを視野に、海外展開における課題(輸送コストや円高による価格競争力の低下)があり、規模拡大による競争力の強化が不可避と判断されたものと見られる[1]。粗鋼生産量ベースで世界4位の新日本製鉄と同19位の住友金属工業との合算は3,750万トンとなり、世界2位の宝鋼集団(3,130万トン)と3位ポスコ(3,110万トン)を上回り、首位を独走するアルセロール・ミッタル(7,750万トン)を追いかける筆頭となった(生産量の数値は2009年実績、世界鉄鋼協会調べ)[1]。また、企業結合により消滅した住友金属工業は住友グループの主要企業であったが、統合後の新日鐵住金としては住友グループ広報委員会等には加入していない。
2013年には、7年ぶりに鉄鋼メーカーとして時価総額世界一になった[2]。
2018年5月、2019年4月1日に「日本製鉄」に社名を変更することを発表。財閥解体により八幡製鐵と富士製鐵に分割される前の商号「日本製鐵」(にほんせいてつ)に復するが、「鐵」が新字体の「鉄」となり、読みも「にっぽんせいてつ」となる。英語社名は合併前の「Nippon Steel」に戻り、「& Sumitomo Metal」が外れる。進藤孝生社長は「日本製鐵」を意識したわけではないとした[3]が、6月の株主総会後には旧住友金属出身の代表取締役が一掃され、8人の代表取締役の全員を旧新日本製鐵出身者が占めることなった[4]。
コーポレートスローガンは「総合力世界No.1の鉄鋼メーカーへ」。
同社は、高交叉角拡管穿孔法を考案・実現し、シームレスパイプを生産している。[注釈 1]
事業拠点
本社・支店
- 本社 - 東京都千代田区丸の内2丁目6-1(丸の内パークビルディング)
- 大阪支社 - 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5-33(住友ビル本館)
- 北海道支店 - 北海道札幌市中央区北2条西4丁目1
- 東北支店 - 宮城県仙台市青葉区一番町3丁目6-1
- 新潟支店 - 新潟県新潟市中央区東大通1丁目3-10
- 北陸支店 - 富山県富山市桜橋通1-18
- 茨城支店 - 茨城県水戸市笠原町978-25
- 名古屋支店(名古屋) - 愛知県名古屋市中村区名駅南2丁目13-18
- 名古屋支店(東海)- 愛知県東海市東海町5丁目3
- 中国支店 - 広島県広島市中区鉄砲町10-12
- 四国支店 - 香川県高松市番町1丁目6-1
- 九州支店 - 福岡県福岡市博多区店屋町5-18
製造拠点
国内の13拠点によって展開されている。銑鋼一貫製鉄所は室蘭・鹿島・君津・名古屋・和歌山・八幡・大分の7か所である。
工場とその所在地、主な生産品目を以下に示す[注釈 2]。
工場名 | 所在地 | 主な生産品目 |
---|---|---|
室蘭製鐵所 | 北海道室蘭市仲町12 | 棒鋼・線材 |
釜石製鐵所 | 岩手県釜石市鈴子町23-15 | 線材 |
鹿島製鐵所 | 茨城県鹿嶋市光3 | 薄板・厚板・形鋼・鋼管 |
君津製鐵所 | 千葉県君津市君津1(君津地区) | 薄板・厚板・線材・形鋼・鋼管 |
東京都板橋区舟渡4丁目3-1(東京地区) | 鋼管 | |
直江津製造所 | 新潟県上越市港町2丁目12-1 | ステンレス鋼・チタン |
名古屋製鐵所 | 愛知県東海市東海町5-3 | 薄板・厚板・鋼管 |
製鋼所 | 大阪府大阪市此花区島屋5丁目1-109 | 鉄道車両用車輪・車軸・ クランクシャフト |
尼崎製造所 | 兵庫県尼崎市東向島西之町1 | 鋼管 |
広畑製鐵所 | 兵庫県姫路市広畑区富士町1 | 薄板 |
和歌山製鐵所 | 和歌山県和歌山市湊1850(和歌山地区) | 鋼管・薄板 |
大阪府堺市堺区築港八幡町1(堺地区) | 形鋼 | |
和歌山県海南市船尾260-100(海南地区) | 鋼管 | |
光製造部 | 山口県光市島田3434 | 鋼管・チタン |
八幡製鐵所 | 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1-1(八幡地区) | 薄板・形鋼・軌条・鋼管 |
福岡県北九州市小倉北区許斐町1(小倉地区) (生産能力を増強する八幡地区に一本化し稼働率を向上させるため、 2019年3月を目処に高炉を休止する予定[5]) |
棒鋼・線材 | |
大分製鐵所 | 大分県大分市西ノ洲1(大分地区) | 薄板・厚板 |
山口県光市島田3434(光地区) | 鋼管・チタン |
研究開発拠点
- 波崎研究開発センター - 茨城県神栖市砂山
- REセンター(富津) - 千葉県富津市新富
- 尼崎研究開発センター - 兵庫県尼崎市扶桑町
国外事業所
- NIPPON STEEL & SUMITOMO METAL U.S.A., INC.(ニューヨーク、シカゴ、ヒューストン、メキシコシティ)
- NIPPON STEEL & SUMITOMO METAL Empreendimentos Siderurgicos Ltda.(サンパウロ、ベロオリゾンテ)
- Nippon Steel & Sumitomo Metal European Office(デュッセルドルフ、ロンドン、ドバイ)
- NIPPON STEEL & SUMITOMO METAL Australia Pty. Limited(シドニー、パース)
- NIPPON STEEL & SUMITOMO METAL Consulting (Beijing) Co., Ltd.(北京、上海、広州)
- NIPPON STEEL & SUMITOMO METAL Southeast Asia Pte. Ltd.(シンガポール、ジャカルタ)
- NIPPON STEEL & SUMITOMO METAL (Thailand) Co., Ltd.(バンコク)
- NIPPON STEEL & SUMITOMO METAL India Private Limited(ニューデリー)
主要事業
製鉄事業
製品
製品は、船舶や大形構造物に使用される厚板、自動車・電気製品・缶・変圧器などに使用される高張力鋼を含む薄板・表面処理鋼板、建築・土木分野で使用されるH形鋼・鋼矢板・軌条などの建材、自動車部品や建築物に使用される棒鋼・線材、エネルギー分野や機械部品などに使用される鋼管が主なものである。交通産機品の製造では、鉄道車両用部品と自動車用鍛造クランクシャフトを主力とし、鉄道車両用車輪・車軸において日本国内シェアほぼ100%を誇る。その他、チタンやステンレスの製造も行う。
エンジニアリング事業
化学事業・新素材事業
システムソリューション事業
沿革
- 2011年(平成23年)
- 2月:合併基本計画を発表
- 5月:公正取引委員会1次審査
- 6月:公正取引委員会2次審査
- 9月:新会社名、合併比率(住金株式1株に対して新日鐵株式0.735株を割当)を発表
- 12月:公正取引委員会が合併を承認
- 2012年(平成24年)
- 4月:合併契約を締結
- 6月:両社の株主総会で合併が承認
- 10月1日:新日本製鐵が株式交換により住友金属工業を完全子会社としたのちに、住友金属工業を吸収合併。商号を「新日鐵住金株式会社」へと変更。
- 2017年(平成29年)
- 3月:日新製鋼を子会社化
- 2019年(平成31年)
- 2020年(平成32年)
- 3月:八幡製鉄所の高炉2基のうち小倉地区の1基を休止し八幡地区へ一本化、八幡地区から小倉地区への新たな鉄道輸送トンネルを供用予定[5]。(予定)
歴代会長・社長
鉄鋼業界の業界団体である日本鉄鋼連盟の会長職は1948年(昭和23年)の発足以来、慣行として新日本製鐵社長が務めていたが、2006年(平成18年)5月に三村からJFEスチールの馬田一社長へ会長職を交代。今後は両社が2年おきの輪番で会長を務めることになる。
社長一覧
会長一覧
- 宗岡正二 - 2012年10月就任
グループ企業
2012年(平成24年)3月31日現在、日本製鉄グループは傘下の連結子会社286社、持分法適用関連会社125社で構成されている。
社名に「しんにってつ」を含むグループ企業において、「『てつ』の漢字表記を『鐵』とするか『鉄』とするか」には、特段の統一性はない。
指定問屋
指定問屋のうち、有力企業により「十日会」と呼ばれる団体が組織されている。同団体は前身の日本製鐵時代より組織されており、新日鐵住金発足後も継続している。構成企業は下記のとおりである。
2012年(平成24年)9月18日現在
文化・スポーツ事業
スポーツ
- 社会人野球[注釈 3]
- サッカー
- 鹿島アントラーズ
- 日本製鉄室蘭サッカー部
- 日本製鉄釜石サッカー部
- 新日鐵君津サッカークラブ
- 日本製鉄大分サッカー部
- バレーボール
- 堺ブレイザーズ
- 新日鐵住金君津バレーボール部
- ラグビー
- 釜石シーウェイブス
- 新日鐵住金君津ラグビー部
- NSCラガーTOKYO
- 新日鐵堺ラグビー部
- 日本製鉄八幡ラグビー部
- 新日鐵住金大分ラグビー部
- 柔道
- 新日鐵住金広畑柔道部
- 弓道
- 新日鐵住金釜石弓道部
- 新日鐵住金君津弓道部
- 新日鐵住金本社弓道部
- 新日鐵住金広畑弓道部
- 新日鐵住金八幡弓道部
- 新日鐵住金大分弓道部
人材育成
- 優秀な社員を兵庫県尼崎市の産業技術短期大学(1962年一般社団法人日本鉄鋼連盟が設立)に派遣して、人材育成を行っている。具体的には、「製造現場における知識創造と人材の多機能育成政策・綿密な能力開発策のひとつとして、企業内選抜を経て中堅技術者への昇進に結びつく産業技術短期大学への派遣を行う政策の実行」であり、このような人材育成形態(教育訓練形態)を「オフ・ザ・ジョブ・トレーニング・OFF-JT」という。
不祥事
広畑製鉄所の社員の一人が、鋼材の原料の鉄屑を納入したように装う形で同製鉄所から計約700万円を騙し取ったとして、2018年8月に兵庫県警察に、スクラップ業者の関係者2人と共に詐欺容疑で逮捕された。同社はこの社員を同年2月に懲戒解雇としている[9]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b “新日鉄と住金、来年合併へ”. 読売新聞 (読売新聞社). (2011年2月4日)
- ^ “【今日のチャート】新日鉄住金、円安で時価総額「世界一」に”. ブルームバーグ (2013年5月24日). 2013年6月12日閲覧。
- ^ a b 帰ってきた「日本製鉄」複雑な社名の歴史日本経済新聞 2018年5月16日
- ^ 新日鐵住金」が「日本製鉄」になる意味、進藤孝生社長が語るダイヤモンドオンライン
- ^ a b “小倉高炉、休止2年延期 戸畑には新鋳造設備 20度末”. 毎日新聞 (読売新聞社). (2016年3月31日). 2016-03-31 2016年3月31日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “新日鐵住金株式会社による日新製鋼株式会社の完全子会社化に係る株式交換契約の締結並びに 新日鐵住金株式会社、 日新製鋼株式会社及び新日鐵住金ステンレス株式会社のステンレス鋼板事業の統合に 係る基本合意書の締結に関するお知らせ”. 2019年3月23日閲覧。
- ^ “欧州特殊鋼メーカー Ovako AB社を完全子会社化 ~ 新日鐵住金グループの一員に ~”. 新日鐵住金株式会社. 2018年11月16日閲覧。
- ^ “新日鐵住金株式会社による山陽特殊製鋼株式会社の子会社化等に関する契約の締結について”. 山陽特殊製鋼株式会社. 2018年11月16日閲覧。
- ^ 架空納入で詐取疑い、新日鉄住金元社員ら3人逮捕…被害額は5億円か 兵庫県警 産経新聞 2018年8月21日
参考文献
- 『メイド・イン・ジャパン-日本製造業変革への指針-』(ダイヤモンド社、1994年)
- 『産業技術短期大学大学案内2011』(産業技術短期大学、2010年)
- 『産業技術短期大学五十年のあゆみ』(学校法人鉄鋼学園 産業技術短期大学、2012.4.25)
ほか
関連項目
- 加盟団体
- 製鉄所の元付属病院
- 産業技術短期大学 : 日本鉄鋼連盟が設立した大学
- 日本製鉄文化財団 - 紀尾井ホールを運営
- 南平台公邸:渋谷区南平台町に存在する迎賓館
- 知利別会館:室蘭市に存在する迎賓館
- 京見会館 : 遠藤新が設計した旧日本製鐵 迎賓館