コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

水鳥真美

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
みずとり まみ

水鳥 真美
生誕 (1960-11-15) 1960年11月15日(64歳)
日本の旗 日本東京都
出身校 一橋大学法学部
スペイン外交官学校
職業 国連事務総長特別代表
任期 2018年 - 2023年
前任者 ロバート・グラッサー
後任者 カマル・キショール
配偶者 バラック・クシュナー
テンプレートを表示

水鳥 真美(みずとり まみ、1960年昭和35年〉11月15日[1] - )は日本外交官国際公務員。駐英公使イースト・アングリア大学付属セインズベリー日本藝術研究所所長等を経て、日本人女性初の国連事務総長特別代表として国連防災機関代表を務めた[2]

人物・経歴

[編集]

東京都生まれ[3]女子学院中学校・高等学校を経て[4]、1983年一橋大学法学部第三課程卒業、外務省入省。1986年スペイン外交官学校英語版国際関係ディプロマ課程修了[5]歴史学者バラック・クシュナー(英ケンブリッジ大学教授)は夫[6][7]

在アメリカ合衆国日本国大使館政務班一等書記官外務大臣官房人事課首席事務官、北米局日米地位協定室長、総合外交政策局国連政策課長、同局安全保障政策課長、在英国日本国大使館公使、同広報文化センター所長を歴任した[5][8][9]。1996年の在ペルー日本大使公邸占拠事件ではワシントンD.C.から支援のためリマに入り、現地対策本部顧問の補佐や、青木盛久大使の会見での通訳などをした[10][11]

温厚な性格で知られ、女性初の外務事務次官候補ともいわれたが、外務省大臣官房会計課長を最後に、2010年に辞職し、夫と暮らすため英国ケンブリッジに移住[12][13][14][15]ロンドン大学東洋アフリカ研究学院助教[16][17][18][19][20]及び、イングランド東部ノリッジイースト・アングリア大学付属セインズベリー日本藝術研究所英語版上席研究員に就任。2011年からは同研究所統括役所長及びイースト・アングリア大学日本学特別顧問を務めた[21][3][8][22]

この間、難民を助ける会理事、大和日英基金執行理事[23]ロンドン日本協会理事[24]、英フィデリティ・ジャパニーズ・バリューズ社取締役、日英21世紀委員会委員[3][8][25]ジャパン・ソサエティー理事等を兼務[注釈 1]し、立命館アジア太平洋大学東アジア・ガバナンス論の[21][27]早稲田大学国際関係論の教鞭を執った[21][28]

2018年、ロバート・グラッサー英語版の後任として、国際連合事務総長特別代表(防災担当)に就任した。国連国際防災戦略事務局代表として国連防災世界会議などにあたる[9][29][30][31]。なお、日本人が事務総長特別代表に就任するのは山本忠通に次いで歴代4人目となり、日本人女性初である[32]。また、同年岡井朝子国連開発計画危機対応局長に任命されており、外務省出身の日本人女性の国連幹部への登用が続いた[33]

2022年9月22日、来たる27日に実施予定の故安倍晋三国葬儀に水鳥が国連防災機関代表として参列することが、日本国外務省により発表された[34][35]

著述

[編集]
  • 「米国の対中南米政策」『ラテン・アメリカ時報』第40巻第8号、ラテンアメリカ協会、1997年8月、9-13頁、ISSN 13435019NAID 40003716894 
  • 「戦前戦後の動向から分析 賞味期限切れのクール・ジャパン : 広報文化外交の再考が必要」『金融財政business : 時事トップ・コンフィデンシャル+』第10236号、時事通信社、2012年4月、4, 6-11頁、NAID 40019200759 
  • ロンドン大会を通じて考察 今問われる五輪開催の意義 : 何をもって成功と言えるのか」『金融財政business : 時事トップ・コンフィデンシャル+』第10267号、時事通信社、2012年8月、10-13頁、NAID 40019377993 
  • 「英「レビソン報告書」を基に分析 誰のための報道の自由か : プライバシー保護との関係」『金融財政business : 時事トップ・コンフィデンシャル+』第10296号、時事通信社、2012年12月、14-17頁、NAID 40019514813 
  • 「王室存続の要因を分析 変革に身を委ねてきた英王室 : 「恐怖の年」乗り越えた女王」『金融財政business : 時事トップ・コンフィデンシャル+』第10322号、時事通信社、2013年4月、4-8頁、NAID 40019624894 
  • 「News Eye スノーデン事件の余波続く 問われる諜報活動の在り方」『金融財政business : 時事トップ・コンフィデンシャル+』第10348号、時事通信社、2013年8月、14-17頁、NAID 40019718892 
  • 「国際経済 「登録制」求める意見も 3つの危機に見舞われるBBC : 問われる公共放送の将来像」『金融財政business : 時事トップ・コンフィデンシャル+』第10411号、時事通信社、2014年5月、16-18頁、NAID 40020058546 
  • 「外交・国際 1カ月後に迫る 独立を問うスコットランド住民投票 : 夢と希望を売る賛成派と不安を煽る反対派」『金融財政business : 時事トップ・コンフィデンシャル+』第10432号、時事通信社、2014年8月、14-17頁、NAID 40020154720 
  • 「スコットランド独立問題・否決後に漂う焦燥感 : 英国連合体制に残した亀裂と課題」『外交 = Diplomacy』第28巻、外務省、2014年11月、118-122頁、NAID 40020272494 
  • 「参政権獲得の戦いから始まった歴史 英国における女性の社会進出 : 目標達成状況の厳格なフォローが不可欠」『金融財政business : 時事トップ・コンフィデンシャル+』第10450号、時事通信社、2014年11月、14-18頁、NAID 40020248595 
  • 「外交・国際 英米関係の現状と課題 : 「特別な関係」は生き残れるのか」『金融財政business : 時事トップ・コンフィデンシャル+』第10479号、時事通信社、2015年3月、12-16頁、NAID 40020390814 
  • 「外交・国際 英国の現実的な対中国外交路線 : 驚くに値しないAIIB参加」『金融財政business : 時事トップ・コンフィデンシャル+』第10503号、時事通信社、2015年6月、10-14頁、NAID 40020499807 
  • 「トレンド2015 難民問題で垣間見る欧州連合の同床異夢」『外交 = Diplomacy』第33巻、外務省、2015年9月、65-71頁、NAID 40020602321 
  • 「外交・国際 米キューバ、歴史的転換で国交回復 : オバマ政権の「レガシー」となるか」『金融財政business : 時事トップ・コンフィデンシャル+』第10529号、時事通信社、2015年10月、14-17頁、NAID 40020615227 
  • 「外交・国際 英国がリトルイングランドになる日 : EU悩ますグレートブリテン存続の危機」『金融財政business : 時事トップ・コンフィデンシャル+』第10558号、時事通信社、2016年2月、4-8頁、NAID 40020795024 
  • 「英国メイ新政権が担うBREXIT国民投票の〈後始末〉 (特集 動揺する戦後国際秩序)」『外交 = Diplomacy』第39巻、外務省、2016年9月、112-115頁、NAID 40020983057 
  • 「国際経済 BREXITという選択 : 英国はどこに向かうのか」『金融財政business : 時事トップ・コンフィデンシャル+』第10615号、時事通信社、2016年10月、4-7頁、NAID 40020973597 
  • 「国際シンポジウム 基調講演 国際社会における文化交流活動は必要だと思いますか?」『学習院大学国際研究教育機構研究年報 = The annual bulletin of the Global Exchange Organization for Research and Education, Gakushuin University』第3号、学習院大学国際研究教育機構、2017年、37-44頁、ISSN 2189-0838NAID 120006029090 
  • 「巻頭インタビュー 「対応」から「予防」へ 国連が挑む新しい防災枠組」『外交 = Diplomacy』第50巻、外務省、2018年7月、6-11頁、NAID 40021663234 

共著

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 2015年6月24日に理事選出[26]

出典

[編集]
  1. ^ 東洋経済新報社 編『政界・官庁人事録』東洋経済新報社〈東洋経済別冊〉、2005年。 
  2. ^ “国連防災担当代表に水鳥真美氏 外交官出身、日本人女性初”. 中日新聞. (2018年2月1日). オリジナルの2018年2月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180202012312/https://www.chunichi.co.jp/s/article/2018020101000772.html 2018年2月1日閲覧。 
  3. ^ a b c “「国連防災担当特別代表に水鳥氏」”. 時事通信. (2018年2月1日). https://www.msn.com/ja-jp/news/world/国連防災担当特別代表に水鳥氏/ar-BBIxcPS 2018年2月1日閲覧。 
  4. ^ 「国連でつぎつぎ登用される日本女性エグゼクティブたち」国連ウィメン日本協会 Vol.16 2019年1月
  5. ^ a b 略歴”. 外務省. 2018年2月1日閲覧。
  6. ^ “Class of 1990 (1990年卒業生)” (英語). Brandeis MAGAZINE (ブランダイス大学). http://www.brandeis.edu/magazine/2016/summer/class-notes/1990.html 2018年2月1日閲覧。.  バラック・クシュナーの出身校。
  7. ^ 「つるつる! 日本で最も人気のある食べ物ラーメン」を英ケンブリッジ大学の准教授が徹底解剖!”. 木村正人のロンドンでつぶやいたろう (2012年10月6日). 2018年2月1日閲覧。
  8. ^ a b c 理事及び事務局長”. 大和日英基金. 2018年2月1日閲覧。
  9. ^ a b “「国連防災担当に水鳥氏、グテレス事務総長が任命」”. 日本経済新聞. (2018年2月1日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26401420R00C18A2000000/ 2018年2月1日閲覧。 
  10. ^ 木村正人 (2013年1月21日). “アルジェリア事件「ペルー日本大使公邸占拠事件のような持久戦はあり得なかった」元外交官・水鳥真美さん」”. Yahoo Japan News. 2018年2月1日閲覧。
  11. ^ “水鳥真美さん=国連国際防災戦略事務局(UNISDR)代表に就任した”. 毎日新聞. (2018年5月3日). https://mainichi.jp/articles/20180503/ddm/008/070/042000c 2018年5月7日閲覧。 
  12. ^ “(ひと)水鳥真美さん 国連防災担当のトップになった”. 朝日新聞デジタル. (2018年3月26日). https://www.asahi.com/articles/DA3S13420482.html 2018年4月17日閲覧。 
  13. ^ “国連の防災担当トップ・水鳥真美さん「途上国へ、災害実例挙げ伝える」”. 産経ニュース. (2018年4月14日). https://www.sankei.com/article/20180414-5ITCZBREQ5OXPDT5JHLM5HH4PI/ 2018年4月17日閲覧。 
  14. ^ Flemings Club (UK). “Flemings Club会員、ゲストの皆様”. Facebook. 2018年2月1日閲覧。
  15. ^ “国連防災担当トップ 水鳥真美さん 世界の天災被害抑える”. 日本経済新聞. (2018年2月10日). https://www.nikkei.com/article/DGKKZO26776200Z00C18A2EA5000/ 2018年2月10日閲覧。 
  16. ^ (英語) 日本研究センター JRC Annual Review — September 2009–August 2010. ロンドン大学 東洋アフリカ研究学院. pp. 22, 25. https://www.soas.ac.uk/jrc/newsletter/file61096.pdf 2018年2月1日閲覧。. 
  17. ^ “Professorial research Associates” (英語). SOAS Experts Guide 2011 — Expert insights into Asia, Africa and the Middle East. ロンドン大学 東洋アフリカ研究学院. p. 36. https://www.soas.ac.uk/centresoffice/file28936.pdf 2019年4月4日閲覧。.  研究分野は「国際文化と学術交流分野における政府助成金」。
  18. ^ “Professorial research Associates” (英語). 日本研究センター JRC Annual Review — September 2010 - August 2011. ロンドン大学 東洋アフリカ研究学院. p. 17. https://www.soas.ac.uk/jrc/newsletter/file71014.pdf 2019年4月4日閲覧。.  任期2010年8月9日–2011年8月31日
  19. ^ “Honorary Appointments Sept 2011–Aug 2012 (2011年9月–2012年8月 名誉教員)” (英語). 日本研究センター JRC Annual Review — September 2011 - August 2012. ロンドン大学 東洋アフリカ研究学院. p. 17. https://www.soas.ac.uk/jrc/newsletter/file79728.pdf 2019年4月4日閲覧。 
  20. ^ Centre for the Study of Japanese Religions (日本宗教研究センター). “Welcome by Mami Mizutori, Executive Director of SISJAC (International Workshop — From the Ephemeral to the Eternal: Modest Materialities of the Sacred in Japan「国際ワークショップ - 儚さから永遠へ:日本の神聖なもののささやかな重要性)」)” (英語). CSJR Newsletter 2014–2015. ロンドン大学 東洋アフリカ研究学院. p. 4. https://www.soas.ac.uk/csjr/newsletter/file115924.pdf 2019年4月4日閲覧。  2015年7月2日、キャロライン・ヒラサワとルシア・ドルス主催ワークショップに出席。
  21. ^ a b c 「水鳥 真美 (Mami Mizutor」外務省
  22. ^ 南かおり (日本国弁護士・英国事務弁護士). “セインズベリー日本藝術研究所─英国に根差して日本文化を発信─”. 弁護士知財ネット. 2018年2月1日閲覧。
  23. ^ Annual Review 2014/15年次報告書”. The Daiwa Anglo-Japanese Foundation 大和日英基金. p. 2. 2023年11月6日閲覧。 2015年3月31日現在の理事一覧。
  24. ^ The Japan Society Annual General Meeting 2009 (2009年総会)”. 2019年4月4日閲覧。 “2008年12月、元情報文化センター長を務めた水鳥真美さんは帰国。”
  25. ^ 水鳥真美「英国と比べて日本の差別意識が強いのはなぜなのか? 同じ伝統国家に見る“多様化”の深い溝と社会的背景」2013年4月23日、2018年2月1日閲覧 
  26. ^ Japan Society 2016, p. 2.
  27. ^ AY2010 Self-Evaluation Report (APU Original Data Report)”. Ritsumeikan Asia Pacific University. p. 61. 2019年4月4日閲覧。 講座名 Promoting International Cultural Exchange: Does it really matter? 水島 真美 Ms. Mizutori Mami
  28. ^ Mami Mizutori of Japan Appointed Assistant Secretary-General, Special Representative for Disaster Risk Reduction” (英語). 国連. 2018年2月1日閲覧。
  29. ^ “国連 国際防災戦略代表に水鳥真美氏 外交官出身”. 毎日新聞. (2018年2月1日). https://mainichi.jp/articles/20180201/k00/00e/030/222000c 2018年2月1日閲覧。 
  30. ^ “国連防災担当代表に水鳥真美氏 外交官出身、事務総長発表”. 産経ニュース. (2018年2月1日). https://www.sankei.com/article/20180201-D22COBBL45PHZC5JHCM5Q6S3XE/ 2018年2月1日閲覧。 
  31. ^ 「水鳥真美氏の防災担当国連事務次長補兼事務総長特別代表指名について(外務大臣談話)」”. 外務省. 2018年2月1日閲覧。
  32. ^ 河野外務大臣会見記録(平成30年2月2日(金曜日)8時35分 於:官邸エントランスホール)”. 外務省 (2018年2月2日). 2018年2月2日閲覧。
  33. ^ “「UNDP危機対応局長に岡井バンクーバー総領事」”. 日本経済新聞. (2018年6月7日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31471400X00C18A6000000/ 2018年6月9日閲覧。 
  34. ^ 故安倍晋三国葬儀への各国・地域・国際機関等からの参列 | 外務省
  35. ^ 「故安倍晋三国葬儀への参列:各国・地域・国際機関等の名称及び代表者名」(PDF)

参考資料

[編集]

関連項目

[編集]
外務省同期

外部リンク

[編集]