恋するザムザ
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概要
[編集]初出 | 書き下ろし |
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収録書籍 | 『恋しくて―Ten Selected Love Stories』 (中央公論新社、2013年9月、村上春樹編・訳) |
本短編について村上は次のように述べている。
「まず『恋するザムザ』というタイトルができて、そこからどんな話を書いていけばいいのか考えた。元ネタであるカフカの『変身』を読んでしまうとかえって書きにくくなりそうなので、遥か昔に読んだぼんやりとした記憶を辿って、『変身』後日譚(のようなもの)を書いた」[1]
収録書籍の『恋しくて―Ten Selected Love Stories』は2016年9月21日に中公文庫として文庫化された[2]。
英訳
[編集]タイトル | Samsa in Love |
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翻訳 | テッド・グーセン |
初出 | 『ザ・ニューヨーカー』2013年10月28日号[3] |
収録書籍 | 『Men Without Women』(クノップフ社、2017年5月9日) |
→「女のいない男たち § 翻訳」も参照
あらすじ
[編集]目を覚ましたとき、彼は自分がグレゴール・ザムザに変身していることを発見した。部屋には今彼が横たわっているベッドを別にすれば、家具と呼べそうなものは何ひとつなかった。
なんという不格好な身体だろう、自分の裸の肉体をざっと眺め、ザムザはそう思わずにはいられなかった。別の部屋のクローゼットからガウンを取り出して身にまとい、布団をかぶってまどろんでいるとベルが鳴った。ドアの外には小さな女が立っていた。年齢はたぶん二十代初めだろう。目が大きく、鼻が小さく、唇が痩せた月のようにいくらか片方に傾いていた。
「それで、問題の錠前はどこなの?」と女は言った。「錠前が壊れたから修理に来てほしいというお話だったけど」
ザムザは事情はのみ込めなかったが、壊れた錠前は二階のドアのどれかと判断し女を案内する。
脚注
[編集]- ^ 『恋しくて―Ten Selected Love Stories』中央公論新社、2013年9月、365頁。
- ^ 恋しくて|文庫|中央公論新社
- ^ FICTION SAMSA IN LOVE BY HARUKI MURAKAMI. OCTOBER 28, 2013The New Yorker