オーバーストア
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(店舗過剰から転送)
この記事はその主題が日本に置かれた記述になっており、世界的観点から説明されていない可能性があります。 (2023年6月) |
オーバーストア(和製英語: over store)とは、小売店などの商業施設が、ある商圏に対して需要より供給が過剰になるほど多数出店している状態を指す言葉。「店舗過剰」のことである。
概要
[編集]商店街などもともとその地域にあった小売店に加え、全国チェーンのショッピングセンターが出店したり、地方のスーパーマーケットがショッピングセンターを開発したり、コンビニエンスストア・ドラッグストアが出店したりして発生する。地方都市で起こることが多い。この状態になると売場面積当たりの販売額が下がり、小売店側は販売効率を高める必要に迫られる。売場面積の大きい店舗は人員削減などにより販売効率を高めることができるが、商店街の商店など小規模な店舗では人員削減のしようがない。そこで市中の商店街が廃れてシャッター通りとなり、郊外のショッピングセンターのみが生き残るという、都市の郊外化の一因にもなる。
また小売需要の大きい大都市圏の近郊部では、郊外のショッピングセンター同士によるオーバーストアが発生するケースもあり、この場合はショッピングセンターの撤退によって廃墟化した建物(デッドモール)が放置され、治安悪化の原因となることがある[1]。
オーバーストアの例
[編集]- 中心市街地にデパートが密集しすぎた結果、山崎百貨店→緑屋→ams→109、丸井→EFF(福田屋系)、十字屋、上野百貨店、西武百貨店、ロビンソン百貨店、パルコなどが相次いで閉店したり、短期で撤退した。福田屋百貨店は郊外移転。東武宇都宮百貨店のみ現存。ロビンソンは撤退後、ララスクエア宇都宮(三井不動産系)を経てトナリエ宇都宮に業態変更した。また郊外立地のGMSが飽和状態となった結果、2000年代初頭に市郊外にあったジャスコ2店と長崎屋1店が撤退した。長崎屋はその後に西武百貨店跡地へ進出したが、MEGAドン・キホーテに業態変更した。
→詳細は「宇都宮市 § 大規模商業施設」を参照
- 1980年代の時点で、甲府駅から徒歩10分圏以内に岡島百貨店、甲府西武、山交百貨店、パセオ、エクラン(現:セレオ甲府)、トポス(旧:ダイエー)甲府店が密集していた。人口20万人規模では供給過多で、1990年代になるとバブル崩壊やロードサイド店舗の増加などにより甲府西武(1998年)、トポス(1999年)が相次いで閉店。パセオは2010年にココリになるもデッドモール化し、2019年には山交百貨店が閉店(跡地はヨドバシ甲府が入居)。2023年に岡島百貨店が7分の1に規模縮小のうえココリに入った。
→詳細は「甲府市中心市街地活性化基本計画 § 概要」を参照
- 郊外型ロードサイド店舗のオーバーストアの例。人口3万人規模の市内に1990年代から2000年代にかけて、リバーサイドモールとLCワールド本巣(同じリオ横山が開業)、モレラ岐阜(ピエリ守山と同じ大和システムが開業)と、大型ショッピングモールが相次いで開店。いずれも「中部地区最大級のショッピングモール」を謳っていた。近隣の商圏内にもイオンモールやアウトレットパークなど大型モールの開店が相次いだ結果、リバーサイドモールは2011年に閉鎖され、2017年に解体されるまで廃墟化した状態で放置されていた。LCワールド本巣もテナント減少により本館は閉鎖、末期はタマネギの無人販売所だけとなっていた[3]。その後、リバーサイドモール跡地にはイオンタウン本巣が建設され、LCワールド本巣はテナントを入れ替えて営業再開している。
脚注
[編集]- ^ 30年後、日本は「明るい廃墟モール」だらけ!? 東洋経済オンライン、東洋経済新報社、2014年7月31日
- ^ “広島市/駅前は売場効率維持も市街地はオーバーストア状態に”. 流通ニュース. (2018年5月18日)
- ^ “巨大モール「LCワールド本巣」廃墟っぷりが大注目 残ったのは「タマネギ無人販売」”. J-CASTニュース. (2016年9月12日)