二十一世紀の起源
二十一世紀の起源 | |
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L'Origine du XXIème siècle | |
監督 | ジャン=リュック・ゴダール |
脚本 |
ジャン=リュック・ゴダール A・E・ヴァン・ヴォークト アンリ・ヴァカン アンリ・ベルクソン ジョルジュ・バタイユ ジャン=ベニーニュ・ボシュエ ピエール・ギュヨタ |
出演者 |
ピエール・ギュヨタ(声) ロナルド・アリエル・シャマ(声) |
音楽 | ハンス・オッテ |
撮影 | ジュリアン・イルシュ |
編集 | ジャン=リュック・ゴダール |
製作会社 | ヴェガ・フィルム |
配給 |
カナル・プリュス ECM |
公開 |
2000年5月10日 カンヌ映画祭開会式 2006年6月27日 |
上映時間 | 13分 |
製作国 | フランス |
言語 | フランス語 |
『二十一世紀の起源』(仏語L'Origine du XXIème siècle)は、ジャン=リュック・ゴダール監督による、2000年製作のフランスの短篇映画である。第53回カンヌ国際映画祭の要請により、カナル・プリュスの提供によってつくられ、2000年5月10日、同映画祭開会式で上映された。ゴダールの20世紀最後の作品であり、2000年代の最初の作品である。
概要
[編集]20世紀の最後の年、2000年の第53回カンヌ国際映画祭開会式で上映されるべく、本作はゴダールに発注された。『ゴダールの映画史』(1988年 - 1998年)にも出資したフランスのテレビ局カナル・プリュスが出資し、『ヌーヴェルヴァーグ』(1990年)以来のゴダールの製作上のパートナー、ルート・ヴァルトブルゲールのヴェガ・フィルム社が本作を製作した。
1998年に10年がかりの大作『映画史』を完成したゴダールは、同様のアーカイヴ・フッテージのモンタージュで本作をつくる。「1990年」「1975年」「1960年」「1945年」「1930年」「1915年」「1900年」と15年ごとに遡るが、「わたしたちの人生のもっともうつくしい時代(Les plus belles année de notre vies)」のどのときにも、わたしたち人類は戦争を戦っていたことを思い知らされる。冒頭にタイトル『L'Origine du XXIème siècle』が大文字で表示されるとき、「わたしにとって pour moi」という文字が示される。あくまでもゴダールの私論なのである。
スタンリー・キューブリック監督の『シャイニング』(1980年)、ゴダール監督の『2人の子どもフランス漫遊記』(共同監督アンヌ=マリー・ミエヴィル、1977年 - 1978年)や『勝手にしやがれ』のパトリシア・フランキーニ(ジーン・セバーグ)のラストショット、マックス・オフュルス監督の『快楽』(1952年)の最後の挿話、ロジェ・レーナルト監督の『最後のバカンス』(1947年)、アンドレ・マルロー監督の『希望』(L'Espoir1939年 - 1945年)、カール・ドライヤーの『吸血鬼』(1932年)など数々のフィクションと、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争、ベトナム戦争、第二次世界大戦などの戦争や、レーニンの葬儀、アドルフ・ヒトラーのカラープリントなど数々のニュースリール、そして『映画史』にも紛れ込んでいたようなポルノ画像がモンタージュされる。
電子音楽で知られるハンス・オッテのピアノ曲が流れるのは、ドイツのレコード会社ECMと、フランソワ・ミュジーとゴダールの蜜月関係による。ボリス・ヴィアンも愛したSF作家A・E・ヴァン・ヴォークト、労働問題を専門とする社会学者アンリ・ヴァカン、ノーベル文学賞を受賞した哲学者アンリ・ベルクソン、ナチスのニーチェ濫用を早期に指摘した思想家ジョルジュ・バタイユ、王権神授説を唱えた17世紀の神学者ジャン=ベニーニュ・ボシュエ、そして20世紀後半の寡作で孤高の小説家ピエール・ギュヨタのテクストが読み上げられる。読み上げるのはギュヨタであり、女優イザベル・ユペールの夫でゴダールの友人であるロナルド・アリエル・シャマの声である。
本作は、2006年6月27日、ドイツのECMレコードから全世界発売されたゴダールとアンヌ=マリー・ミエヴィルの短編集DVD(Four Short Films / Quatre Films Courts)に収録された。
作品データ
[編集]カラー作品(イーストマン・カラー) / 上映時間 13分 / 上映サイズ1:1.37(スタンダード・サイズ)
スタッフ・キャスト
[編集]- 監督 ジャン=リュック・ゴダール
- 音楽 ハンス・オッテ
- 脚本 ジャン=リュック・ゴダール
- テクスト A・E・ヴァン・ヴォークト、アンリ・ヴァカン、アンリ・ベルクソン、ジョルジュ・バタイユ、ジャン=ベニーニュ・ボシュエ、ピエール・ギュヨタ
- 声の出演 ピエール・ギュヨタ、ロナルド・アリエル・シャマ
- 撮影 ジュリアン・イルシュ
- 編集 ジャン=リュック・ゴダール
- 音響 フランソワ・ミュジー、ガブリエル・ハフナー
- 製作会社 ヴェガ・フィルム
- 提供 カナル・プリュス
参考文献
[編集]- 『ゴダールの神話』(雑誌「現代思想」臨時増刊号、青土社、1995年10月20日 ISBN 4791719921)
- 『ゴダールの世紀』(雑誌「ユリイカ 詩と批評」2002年5月号特集、青土社、2002年4月25日 ISBN 4791700899)
- 堀潤之による詳細な「ゴダール・フィルモグラフィー 1987-2001」がある。