コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

マルガレーテン (競走馬)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マルガレーテン
欧字表記 Margarethen
品種 サラブレッド
性別
毛色 黒鹿毛
生誕 1962年4月3日
Tulyar
Russ-Marie
母の父 Nasrullah
生国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
馬主 Ernest H. Woods
調教師 Charles P. Sanborn
競走成績
生涯成績 64戦16勝
テンプレートを表示

マルガレーテンMargarethen)は、アメリカ合衆国競走馬繁殖牝馬マルガレーゼン[1][2][3] と表記されることも多い。繁殖牝馬として一大牝系の祖となり、子孫に多くの活躍馬を輩出した。

経歴

[編集]

競走馬時代

[編集]

競走馬としてはアメリカで64戦を走り抜き、計16勝を挙げた。主な勝ち鞍に1966年のモデスティハンデキャップがある。

繁殖牝馬時代

[編集]

繁殖入り後は全部で8頭(うち7頭が牝馬)の産駒を送り出した。競走馬として最も活躍したのは1974産の5番仔トリリオン(Trillion)で、1978年のガネー賞に優勝したほか、凱旋門賞仏オークスイスパーン賞サンクルー大賞などG1競走での2着が計10回ある。アメリカでG1競走を4戦連続2着した1979年にはエクリプス賞最優秀芝牝馬に選出された。トリリオンを含めて牝馬の産駒がそれぞれ母として活躍し、マルガレーテン系を構築している。

1973年産のプリ(Prix)の子孫からは香港でG1競走を4勝し安田記念にも勝利したブリッシュラックが出ている。

前述のトリリオンは母としても成功を収め、史上初のガネー賞母仔制覇を達成しG1競走9勝を挙げた「鉄の女トリプティク(Triptych)を産んだ。その後も牝系は広がり、地方所属馬として交流G1競走を6勝したフリオーソ、36年振りに凱旋門賞連覇を達成した「凱旋門賞の申し子」[4]トレヴ(Treve)などの活躍馬が出ている。

1976年産のヘイルマギー(Hail Maggie)は母として米G1馬を産み、子孫にも仏2000ギニー馬ランドシーア(Landseer)や宝塚記念優勝馬ミッキーロケットなどがいる。

最後の産駒となった1981年産のドフザダービー(Doff the Derby)は母として英ダービー愛ダービーを制しキングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークスでも7馬身差の圧勝を飾ったジェネラス、日本で重賞2勝を挙げたオースミタイクーン愛1000ギニー英オークス優勝馬イマジン(Imagine)などを輩出する目覚ましい繁殖成績を挙げた。その後の子孫からも欧州でマイル以下のG1を6勝した名牝ムーンライトクラウド(Moonlight Cloud)、皐月賞ディーマジェスティスプリンターズステークス優勝馬タワーオブロンドンなど多くの大レース勝ち馬が出ている。

産駒一覧

[編集]
生年 馬名 毛色 戦績・繁殖成績
1970 Way Home 鹿毛 Noholme 未出走
1971 Dunkirk 鹿毛 Prince John 10戦1勝
リステッド競走2着2回
1972 Margravine 黒鹿毛 Hail to Reason 23戦5勝
クリテリウムデプーリッシュ2着
繁殖牝馬
1973 Prix 鹿毛 Vaguely Noble 14戦3勝
繁殖牝馬
子孫にブリッシュラックなど
1974 Trillion 鹿毛 Hail to Reason 32戦9勝
ガネー賞など重賞7勝
仏オークスロワイヤルオーク賞イスパーン賞サンクルー大賞凱旋門賞・ガネー賞・カナディアン国際ターフクラシックSオークツリー招待SワシントンDC国際-2着
1979年エクリプス賞最優秀芝牝馬
繁殖牝馬。仔にトリプティク
子孫にフリオーソトレヴなど
1976 Hail Maggie 鹿毛 Hail to Reason 1戦0勝
繁殖牝馬。仔にカリフォルニアンS優勝・BCマイル2着馬Sabona
子孫にLandseerミッキーロケットなど
1977 Noble Chick 黒鹿毛 Vaguely Noble 18戦4勝
繁殖牝馬
1981 Doff the Derby 鹿毛 Master Derby 未出走
繁殖牝馬。仔にWedding Bouquet(G3競走2勝、ナショナルS2着)、ジェネラスオースミタイクーンImagine
子孫にムーンライトクラウドディーマジェスティタワーオブロンドンなど

産駒一覧の出典:[5][6]

マルガレーテン系

[編集]

G1競走優勝馬(太字)、重賞競走に優勝した日本馬を記載。*は日本に輸入された馬。

その他の近親

[編集]

本馬の半妹Lady MargueryとTim Marie(共に父はティムタム)も、姉ほどではないものの独自に牝系を広げている。

牝系図の出典:Galopp Sieger牝系検索α

血統表

[編集]
マルガレーテン血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 ボワルセル系
[§ 2]

Tulyar
1949 黒鹿毛
父の父
Tehran
1941 鹿毛
Bois Roussel Vatout
Plucky Liege
Stafaralla Solario
Mirawala
父の母
Neocracy
1944 黒鹿毛
Nearco Pharos
Nogara
Harina Blandford
Athasi

Russe-Marie
1956 鹿毛
Nasrullah
1940 鹿毛
Nearco Pharos
Nogara
Mumtaz Begum Blenheim
Mumtaz Mahal
母の母
Marguery
1938 鹿毛
Sir Gallahad Teddy
Plucky Liege
Marguerite Celt
Fairy Ray
母系(F-No.) 4号族(FN:4-n) [§ 3]
5代内の近親交配 Nearco 3×3=25.00%、Plucky Liege 4×4=12.50%、Phalaris 5・5×5=9.38%、Blandford 4×5=9.38% [§ 4]
出典
  1. ^ [33]
  2. ^ [33]
  3. ^ [33]
  4. ^ [34]
  • 牝系を遡ると7代母セントマーガレット(St.Marguerite、セントマルゲリートとも)に辿り着く。同馬は牝馬ショットオーヴァーがイギリス牡馬クラシック二冠を制するなど活躍し当年のクラシック5競走を全て牝馬が制した世代の出身で、自身も1000ギニーでショットオーヴァーを2着に破り優勝した活躍馬だった。繁殖牝馬としても大きく牝系を伸ばし、子孫に英三冠馬ロックサンドや本馬との間にMargravine・Trillion・Hail Maggieを産んだ名種牡馬ヘイルトゥリーズンが出ているほか、本馬の6代母St.Marinaの牝系にも米三冠馬ギャラントフォックスなどがいる。

注釈

[編集]
  1. ^ 藤沢和雄厩舎からデビューしたもののデビュー戦後に予後不良級の怪我を負い、そこから回復して繁殖入りした経歴を持つ[17][18]

出典

[編集]
  1. ^ 【NHKマイルC】藤沢タワー!3頭出し名伯楽インタビュー”. サンスポZBAT!競馬 (2018年5月1日). 2019年12月24日閲覧。
  2. ^ 平出(2014)p.168
  3. ^ 平出(2019)p.74
  4. ^ 伝説の名馬”. JRA-VAN Ver.World. 2019年9月29日閲覧。 File.21参照
  5. ^ 血統情報:牝系情報|Margarethen(USA)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年9月29日閲覧。
  6. ^ Margarethen Offspring”. www.pedigreequery.com. 2020年3月22日閲覧。
  7. ^ Juvenia(USA)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年10月1日閲覧。
  8. ^ トリリオンカット(USA)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年10月1日閲覧。
  9. ^ Treble(USA)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年10月1日閲覧。
  10. ^ Tawqeet(USA)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年10月1日閲覧。
  11. ^ Amorama(FR)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年10月1日閲覧。
  12. ^ Odeliz(IRE)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年10月1日閲覧。
  13. ^ Sabona(USA)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年10月1日閲覧。
  14. ^ カーネギーダイアン|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年10月1日閲覧。
  15. ^ Angel Of Truth(AUS)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年10月1日閲覧。
  16. ^ マチカネオーラ|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年10月1日閲覧。
  17. ^ 生まれてこなかったはずの馬が、1人の男の熱意で生を受け、ビッグレースを制するまでの感動秘話(平松さとし) - Yahoo!ニュース”. Yahoo!ニュース 個人. 2019年9月30日閲覧。
  18. ^ 【スプリンターズS】23年前、安楽死寸前だった祖母を藤沢和厩舎で懸命の介護”. 2019年9月30日閲覧。
  19. ^ Sobetsu(GB)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年10月1日閲覧。
  20. ^ Horatio Nelson(IRE)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年10月1日閲覧。
  21. ^ Daredevil(USA)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年10月1日閲覧。
  22. ^ Here Comes Ben(USA)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年10月1日閲覧。
  23. ^ 血統表 Dayoutoftheoffice”. p.bogus.jp. 2021年1月9日閲覧。
  24. ^ King Charlemagne(USA)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年10月1日閲覧。
  25. ^ Life's Hope(USA)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年10月1日閲覧。
  26. ^ Rebel Raider | Race Record & Form | Racing Post”. www.racingpost.com. 2019年10月1日閲覧。
  27. ^ A Little Kiss(NZ)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年10月1日閲覧。
  28. ^ ゲイリーファンキー(USA)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年10月1日閲覧。
  29. ^ Rising Romance | Race Record & Form | Racing Post”. www.racingpost.com. 2019年10月1日閲覧。
  30. ^ Mossfun | Race Record & Form | Racing Post”. www.racingpost.com. 2019年10月1日閲覧。
  31. ^ Shamekha(AUS)|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2019年10月1日閲覧。
  32. ^ Rosalind | Race Record & Form | Racing Post”. www.racingpost.com. 2019年10月1日閲覧。
  33. ^ a b c 血統情報:5代血統表|Margarethen|JBISサーチ(JBIS-Search)”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年9月29日閲覧。
  34. ^ Margarethenの血統表”. netkeiba.com. 2019年9月29日閲覧。

参考文献

[編集]
  • 平出貴昭『覚えておきたい日本の牝系100』(スタンダードマガジン、2014年) ISBN 978-4-908960-00-0 (pp.168-169)
  • 平出貴昭『覚えておきたい世界の牝系100』(オーイズミ・アミュージオ、2019年) ISBN 978-4-07-341149-9 (pp.74-75)

外部リンク

[編集]