スモール・チェンジ
『スモール・チェンジ』 | ||||
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トム・ウェイツ の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | 1976年7月15日-7月29日 ハリウッド | |||
ジャンル | ロック、ジャズ | |||
時間 | ||||
レーベル | アサイラム・レコード | |||
プロデュース | ボーンズ・ハウ | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
チャート最高順位 | ||||
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トム・ウェイツ アルバム 年表 | ||||
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『スモール・チェンジ』(Small Change)は、トム・ウェイツが1976年に発表したアルバム。トムにとって初の全米トップ100入りを果たしたアルバムで、代表曲の一つ「トム・トラバーツ・ブルース」収録。
解説
[編集]1976年、トムは初のヨーロッパ・ツアーを行い、そこで多くの新曲を作る。帰国後、『Pasties and a G-String』という仮タイトル[1]のついたアルバムの制作に取りかかり、最終的にタイトルを『スモール・チェンジ』に変更して発表。
本作のレコーディングには、大御所ジャズ・ドラマーのシェリー・マンも参加。シェリーは、その後もトムのアルバム作りをサポートする。他にルー・タバキン(穐吉敏子の夫)も参加。
歌詞
[編集]アルバム・タイトルの"Small Change"とは、直訳すれば「小銭」だが、タイトル曲では「ちっぽけな野郎」というニュアンスで使われている[2]。
トムの歌詞には、固有名詞が登場することが多いが、本作には多くの有名人(マリリン・モンロー、ロッキー・マルシアノ、ルイ・アームストロング、ミッキー・マントル、リタ・ヘイワース、ヴィンセント・プライス、フーディーニ他)の名前が織り込まれている。「のってる奴」「想い出のニューオリンズ」でネタにされているチャック・E・ワイスは、トムの友人のミュージシャンで、1981年にデビューを果たす[3]。
「トム・トラバーツ・ブルース」のサビの部分では、オーストラリアで愛されてきたポピュラー・ソング「ワルチング・マチルダ」の一節が引用されている。「ステップ・ライト・アップ」の詞は歌詞カードに記載されておらず、代わりに、写真とクリーピング・チャーリーの葉2枚と返信用封筒をトロピカーナ(当時トムが暮らしていたハリウッドのモーテル)宛に送れば、歌詞を返送する旨のメッセージが書かれている。
収録曲
[編集]全曲トム・ウェイツ作。
- トム・トラバーツ・ブルース - "Tom Traubert's Blues (Four Sheets to the Wind in Copenhagen)" - 6:39
- ステップ・ライト・アップ - "Step Right Up" - 5:43
- のってる奴 - "Jitterbug Boy (Sharing a Curbstone With Chuck E. Weiss, Robert Marchese, Paul Body and The Mug and Artie)" - 3:44
- 想い出のニューオリンズ - "I Wish I Was in New Orleans (in the Ninth Ward)" - 4:53
- ピアノが酔っちまった - "The Piano Has Been Drinking (Not Me) (an Evening with Pete King)" - 3:40
- ブルースへようこそ - "Invitation to the Blues" - 5:24
- ペイスティとGストリング - "Pasties and a G-String (at the Two O'Clock Club)" - 2:32
- 身も心も疲れはてて - "Bad Liver and a Broken Heart (in Lowell)" - 4:50
- ザ・ワン・ザット・ゴット・アウェイ - "The One That Got Away" - 4:07
- スモール・チェンジ - "Small Change (Got Rained on with His Own .38)" - 5:07
- 仕事が終わるまで待てないよ - "I Can't Wait to Get Off Work (and See My Baby on Montgomery Avenue)" - 3:17
カヴァー
[編集]- 1992年、ロッド・スチュワートが「トム・トラバーツ・ブルース」のカヴァーをシングル・ヒットさせる(全英6位)。ロッドは、1993年にMTVアンプラグドに出演した際も同曲を歌った。2003年には、マリア・ジョアンとマリオ・ラジーニャの連名によるアルバム『アンダーカヴァーズ』でも同曲がカヴァーされた[4]。
- ボン・ジョヴィも、1993年12月20日のニュージャージー公演において、ドラマーのティコ・トーレスのリード・ボーカルで「トム・トラバーツ・ブルース」を演奏した。この時の音源は、日本では1994年にミニ・アルバム『ドライ・カウンティ+ライヴ・アット・カウント・ベイシー・シアター』(日本フォノグラム、CD番号PHCR-3033)で発表された。
- 「ブルースへようこそ」は、ホリー・コールによるトム・ウェイツのカヴァー・アルバム『Temptation』(1995年)で取り上げられた。
- 「想い出のニューオリンズ」は、スカーレット・ヨハンソンによるトム・ウェイツのカヴァー・アルバム『レイ・マイ・ヘッド』(2008年)で取り上げられた。
参加ミュージシャン
[編集]- トム・ウェイツ - ボーカル、ピアノ
- ルー・タバキン - テナー・サックス
- ジム・ヒューアート - ベース
- シェリー・マン - ドラムス
- ジェリー・イェスター - ストリングス・アレンジ
- ストリングス・セクション
脚注
[編集]- ^ 『トム・ウェイツ 素面の、酔いどれ天使』(パトリック・ハンフリーズ:著、金原瑞人:訳、東邦出版、ISBN 978-4-8094-0705-5)p.169
- ^ 日本盤CD(AMCY-3175)山本沙由理による対訳
- ^ CDjournal.com アーティスト
- ^ Maria Joao.: アンダーカヴァーズ(universal-music.co.jp)