ひもかわ
ひもかわまたはひもかわうどんとは、幅が広く薄い日本の麺、ならびにその麺を用いた料理である。
概要
[編集]一般的なうどんとは形が異なり、平たいことから平打ちうどん(ひらうちうどん)とも呼ばれる。麺の幅は5.0mmから15cmを超えるものまで様々なものが存在する。群馬県の桐生市では郷土料理のひとつとして扱われており、極端に長いものや幅が広いものが名物となっている。生地を薄く伸ばすので、うどんと比べると麺が長く、薄く平らなので茹でる時間が短い。水と小麦粉と塩を練って作る点はうどんと同じだが、うどんよりも平たく延ばすために途中で切れたり折れたりする場合がある。うどんと比較してコシは非常に弱く、表面は滑らかでつるりとしている。
平打ちうどんは日本のいくつかの地域で名称が異なるものがあり、代表的な例として、愛知県の「きしめん」や岡山県の「しのうどん」などのほか埼玉県鴻巣市の「こうのす川幅うどん」などもある。
規格
[編集]日本農林規格(JAS)ではうどんの一種とされ、乾麺については『乾めん類品質表示基準[1]』に「幅を4.5mm以上とし、かつ、厚さを2.0mm未満の帯状に成形したものにあっては「干しひらめん」、「ひらめん」、「きしめん」又は「ひもかわ」と記載することができる。」と分類されている。生麺・茹で麺等(半生・冷凍麺等も含む)については製麺法を問わず『生めん類の表示に関する公正競争規約[2]』に「きしめん、等一般消費者に誤認されない名称に替えることができる(一部抜粋) 」と記載されており、具体的な数値や形状による基準は示されていないため、製造・販売業者にて見た目が薄くて平たい形状の麺を「きしめん」と名付けて分類している。ただし、名古屋市地域の名産・特産・本場・名物等として「名古屋きしめん」と表示する場合のみ、同規約に記載されている詳細な基準を満たした麺にする必要がある[2]。
歴史
[編集]起源については諸説あり、定かとはなっていない。
江戸時代の『東海道名所記』には三河(三河国)芋川の名物だとされており、『好色一代男』でも触れられている。また、國學院大學の加藤有次は「江戸時代、東海道・芋川(愛知県刈谷市)名物だった平打ちうどん」がひもかわのルーツとの説を唱えている[3]。同地で作られていた平らなうどんは「芋川(いもかわ)うどん」と呼ばれ、江戸時代初期から同地の名物として知られていた。同時代に書かれた『嬉遊笑覧』には「江戸で言う“ひもかわうどん”の起源か?」とも記されている。江戸時代後期の江戸においては「ひもかわ」と呼ばれていたが、「ひもかわ」は芋川の訛りで、名古屋では「きしめん」と呼ばれていることが『守貞謾稿』に記述されている。ただし、この「芋川」という地名が、後年のいずれの地域にあたるかは諸説あり、今川町 (刈谷市)や今岡町(その事を記した木碑がある)、一里山町といった説がある。
脚注
[編集]- ^ 乾めん類品質表示基準 (PDF)
- ^ a b 生めん類の表示に関する公正競争規約 (PDF) pp.3,15
- ^ “[めん麺メン]うどん (13) きしめん だしは削り節だけ しょうゆ味”. 読売新聞 朝刊 (東京): pp. 11. (1993年12月19日)