気狂いピエロ
気狂いピエロ | |
---|---|
Pierrot Le Fou | |
監督 | ジャン=リュック・ゴダール |
脚本 | ジャン=リュック・ゴダール |
製作 | ジョルジュ・ド・ボールガール |
出演者 |
ジャン=ポール・ベルモンド アンナ・カリーナ |
音楽 | アントワーヌ・デュアメル |
撮影 | ラウール・クタール |
編集 | フランソワーズ・コラン |
配給 |
SNC 日本ヘラルド映画 |
公開 |
|
上映時間 | 110分 |
製作国 |
フランス イタリア |
言語 | フランス語 |
製作費 | $300,000 |
『気狂いピエロ』(きちがいピエロ、フランス語: Pierrot Le Fou)[注 1]は、1965年のフランス・イタリア合作映画。ジャン=ポール・ベルモンド主演、ジャン=リュック・ゴダール監督。ヌーヴェルヴァーグを代表する作品の一つ。
概要
[編集]ライオネル・ホワイトの小説『Obsession』(1962年)を原作とする。しかし他の多くのゴダールの作品と同じく脚本と呼べるものはなく、ほとんどのシーンは即興で撮影された。訳書に『気狂いピエロ』(矢口誠訳、新潮文庫、2022年)がある。
当初ゴダールはマリアンヌ役にシルヴィ・ヴァルタンを考えていたが、ヴァルタンのエージェントに断られた[3][4]。ゴダールとアンナ・カリーナは1964年12月に離婚していたが[5][6]、カリーナをその役にあてた。
1965年5月24日、ヴァール県の海岸で撮影が開始され、6月16日まで本土で撮影が行われた。翌6月17日から29日にかけてポルクロル島とトゥーロンで撮影。7月5日、パリで撮影が再開し、7月17日に終了した[7]。
俳優のジャン=ピエール・レオが、スタッフとして助監督を務めた。海のシーンは、溝口健二監督の「山椒大夫」へのオマージュとされる[8]。
1965年8月29日、ヴェネツィア国際映画祭で上映。しかし観客からはブーイングがなされたという[9]。同年11月5日、フランスで公開された[1]。
1966年10月11日から19日にかけて第4回「フランス映画祭」が東京の東商ホールと草月ホールで開催された。ゴダールの『アルファヴィル』『気狂いピエロ』『男性・女性』のほか、『戦争は終った』『城の生活』『創造物』『悲しみの天使』『317小隊』『バルタザールどこへ行く』など計23本の映画が上映された。本作品は10月18日に上映された[2][10]。この時点で「気狂いピエロ」の邦題が付けられた。そして翌1967年7月7日に日本で一般公開された[1]。
ギャラリー
[編集]-
『キネマ旬報』1967年2月下旬号に掲載された広告
-
ジャン=ポール・ベルモンド、アンナ・カリーナ
-
ベルモンド、カリーナ
-
ベルモンド、カリーナ
あらすじ
[編集]「ピエロ」と呼ばれるフェルディナン(ベルモンド)は、不幸な結婚をしていた。退屈な生活から逃げ出したい衝動に駆られていたフェルディナンは、ふと出会った昔の愛人であるマリアンヌ(カリーナ)と一夜を過ごすが、翌朝見知らぬ男性の死体を見つけ、彼女と共に逃避行を始める。
アルジェリアのギャングに追われながらもフェルディナンは充実した生活を過ごすが、そんな彼に嫌気がさしたマリアンヌは、ギャングと通じてフェルディナンを裏切る。マリアンヌを銃殺したフェルディナンは顔にペンキを塗り、さらにはダイナマイトまで顔に巻きつけ、死ぬつもりで火を点ける。我に返ったフェルディナンは火を消そうとするが間に合わずに爆死する。カメラは地中海を映し、アルチュール・ランボーの詩「永遠」が朗読される[11]。
キャスト
[編集]- ジャン=ポール・ベルモンド (フェルディナン・グリフォン)
- アンナ・カリーナ (マリアンヌ・ルノワール)
- グラッツィラ・ガルヴァーニ (フェルディナンの妻)
- ロジェ・デュトワ (ギャング)
- ハンス・メイヤー (ギャング)
- サミュエル・フラー (本人役)
- ジャン=ピエール・レオ (映画館の若い観客)
- ラズロ・サボ (ラズロ・コヴァックス、政治亡命者)
- レイモン・ドボス (港の男)
評価
[編集]レビュー・アグリゲーターのRotten Tomatoesでは47件のレビューで支持率は87%、平均点は8.20/10となった[12]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c Pierrot Le Fou - IMDb
- ^ a b 『映画評論』1966年11月号、8-10頁、「秋は映画祭でオオ忙がし」。
- ^ Interview with Sylvie Vartan (in French)
- ^ Jean-Luc Godard's Pierrot le fou ed. David Wills, Cambridge University Press, 2000 (first 20 pages)
- ^ Thomson, David (2019年12月16日). “Journey to the end of the beach: Godard, Karina and Pierrot le fou” (英語). Sight & Sound. 2023年8月19日閲覧。
- ^ Hudson, David (2019年12月17日). “Unforgettable Anna Karina” (英語). The Criterion Collection. 2023年1月12日閲覧。
- ^ ベルガラ 2012, p. 482.
- ^ CORPORATION, KADOKAWA. “山椒大夫”. KADOKAWAオフィシャルサイト. 2023年8月28日閲覧。
- ^ “PIERROT LE FOU - Jean-Luc Godard”. www.newwavefilm.com. 2023年2月7日閲覧。
- ^ 『映画情報』1966年11月号、国際情報社、「フランス映画の粋を集めて 第4回フランス映画祭の参加作品」。
- ^
L'Éternité
Elle est retrouvée.
Quoi ? — L'Éternité.
C'est la mer allée
Avec le soleil - ^ “Pierrot Le Fou”. Rotten Tomatoes. Fandango Media. 2022年9月19日閲覧。
参考文献
[編集]- 『ジャン=リュック・ゴダール』(改訂第二版)エスクァイアマガジンジャパン〈E/Mブックス〉、2003年8月1日。ISBN 978-4872950199。 ※初版は1998年4月10日発行
- 『ヌーヴェルヴァーグの時代』エスクァイアマガジンジャパン〈E/Mブックス〉、1999年3月25日。ISBN 978-4872950618。
- コリン・マッケイブ 著、堀潤之 訳『ゴダール伝』みすず書房、2007年6月8日。ISBN 978-4622072591。
- アラン・ベルガラ 著、奥村昭夫 訳『六〇年代ゴダール―神話と現場』筑摩書房〈リュミエール叢書〉、2012年9月25日。ISBN 978-4480873194。
- 山田宏一『映画はこうしてつくられる―山田宏一映画インタビュー集』草思社、2019年9月4日。ISBN 978-4794224019。