「上皇 (天皇退位特例法)」の版間の差分
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2016年(平成28年)8月8日、[[明仁|上皇]]が「[[象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば|おことば]]」で退位の意向を間接的に述べたことにより、それまで[[皇室典範]]に退位の条項がなかったことから議論が始まった経緯がある。政府が設置した有識者会議で上皇一代限りの退位として特別法を制定するか、恒久的に天皇の退位を制度化し皇室典範を改正するか議論がなされたが、結局上皇一代限りの退位を決議し[[安倍晋三]][[内閣総理大臣|首相]]にこの考えを提示した。政府は[[国会]]に議席を有する政党の代表者との事前協議を重ねたうえで「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案」を国会に上程し、翌2017年(平成29年)6月9日の参議院本会議で可決・成立し、16日に公布され、一部は施行された<ref>{{Cite news | title = 天皇退位、特例法が成立 一代限り退位容認 | url = https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS08H5T_Y7A600C1MM0000/ | publisher = 日本経済新聞 | date = 2017-06-09 | accessdate = 2017-10-6}}</ref>。全面施行は退位を特例法によって行うため、2019年(平成31年)4月30日である。 |
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2019年4月30日 (火) 15:27時点における版
上皇 | |
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在位中の上皇 | |
明仁 | |
詳細 | |
敬称 | 陛下 |
成立 | 天皇の退位等に関する皇室典範特例法に基づき設置。2019年5月1日から、前日に退位した今上天皇が上皇となる予定 |
宮殿 |
吹上仙洞御所(現:皇居御所)→ 仙洞仮御所(高輪皇族邸)→ 仙洞御所(赤坂御用地、現:東宮御所) |
ウェブサイト | 宮内庁 |
称号:上皇 | |
---|---|
敬称 |
陛下 His Majesty the Emperor Emeritus |
上皇(じょうこう、英: Emperor Emeritus[1][2])とは、天皇の退位等に関する皇室典範特例法に基づき退位する日本の第125代天皇明仁の称号。
概要
退位特例法第三条に基づき、退位した後の天皇明仁の称号を「上皇」とし、敬称は退位前と同様に「陛下」とした[3]。 平成時代の天皇である明仁は2019年(平成31年)4月30日に譲位し、令和元年5月1日より上皇となった。
また、宮内庁は2019年(平成31年)2月に称号「上皇」の英語表記として「Emperor Emeritus」を採用すると発表した。「emeritus」は「名誉待遇の」という意味を持つ。敬称の「陛下」の英訳は従来通りの「His Majesty」である[4]。直訳すると「名誉天皇」だが、「emeritus」は退位した前ローマ教皇ベネディクト16世にも用いられており、彼の称号は「名誉教皇」である。海外では退位した君主に対して爵号を授けたり、即位以前の「王子」や「王女」を名乗ったり、あるいは退位後もそのまま君主の称号を保持し続けたりする例があったが、宮内庁次長は「我が国(日本)にはあまりふさわしくない」とした[4]。英国放送協会では解説において「grand emperor」という語も使用している[5]。
喪儀及び陵墓の格式については天皇と同様としている。従って上皇の崩御に当たっては大喪の礼が執行され、天皇陵が造営される。 その他の事項については皇族の例に倣うとし、皇族の位置付けではあるがその一方、皇位継承権や皇室会議の議員就任権は認められていないなど、一般の皇族とは差が設けられている。
上皇の后は「上皇后」であり、敬称は陛下である。
なお、天皇が退位するのは江戸時代の光格上皇以来約200年ぶりのことである[6][7]。戦前の旧皇室典範も、戦後の皇室典範も退位に関する規定がなく終身在位となっていたため[7][8]、これが憲政史上初めての退位となる[6][7]。また東京奠都後、東京の地で誕生し即位した天皇が退位するのも史上初めてとなる。
退位決定の経緯
2016年(平成28年)8月8日、上皇が「おことば」で退位の意向を間接的に述べたことにより、それまで皇室典範に退位の条項がなかったことから議論が始まった経緯がある。政府が設置した有識者会議で上皇一代限りの退位として特別法を制定するか、恒久的に天皇の退位を制度化し皇室典範を改正するか議論がなされたが、結局上皇一代限りの退位を決議し安倍晋三首相にこの考えを提示した。政府は国会に議席を有する政党の代表者との事前協議を重ねたうえで「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案」を国会に上程し、翌2017年(平成29年)6月9日の参議院本会議で可決・成立し、16日に公布され、一部は施行された[9]。全面施行は退位を特例法によって行うため、2019年(平成31年)4月30日である。
当初、マスコミ各社は天皇の退位関連ニュースで「生前退位」と報じたが、その後は「退位」と「譲位」の2つの言葉が使用されている[10][11][12]。
称号における論議
今上天皇の退位後の「上皇」という称号は「太上天皇」の略称ではなく、正式な称号である。
歴史上用いられた「上皇」は「太上天皇」の略称だったが、退位特例法の法案化の過程での議論の中で、上皇が「治天の君」として院政を敷いたり、天皇が上皇により譲位させられたり、上皇同士、上皇と天皇間で権力闘争が起きたことから、「二重権威」にあたると使用に反対する意見も見られた。
このような意見を踏まえ、同法第3条第1項に「退位した天皇は、上皇とする」と規定しており、この規定により今上天皇の退位後の称号は「太上天皇」ではなく「上皇」が正式なものとなる。ただし、退位した天皇の呼称、および国民に馴染みやすい呼称として選定されており、その語源が太上天皇の略である。
「上皇后」も同様に歴史上の称号ではない。皇后は配偶者の天皇が退位するか、天皇が崩御して未亡人になると皇太后となる。直近の例では香淳皇后が昭和天皇の崩御から、2000年(平成12年)に自身が崩御するまで皇太后の身位にあった。皇太后は三后(皇后・皇太后・太皇太后)の身位の1つだが、これは未亡人という印象が強いことから使用が避けられたようである。
2017年(平成29年)6月に制定された天皇の退位等に関する皇室典範特例法の規定にのっとり、今上天皇一代に於いて適用される臨時法(時限立法)であり、恒久法ではないため、特例法の制定もしくは皇室典範などが改正されない限り、次代には適用されない。
御所
上皇、上皇后の御所は皇居から皇太子一家が住む東宮御所に移動し、これを仙洞御所と改称する予定である。入れ替わるようにして、即位する新天皇一家が皇居の御所に入る。皇嗣となる秋篠宮文仁親王および秋篠宮家のために東宮御所は設置されず、秋篠宮邸を改修してそこに留まる予定。
東宮御所を使用している東宮家が皇居に移動するまでの間は、上皇・上皇后は東京都港区の高輪皇族邸に仮住まい(御仮寓所)する予定である[13]。
天皇誕生日の移動
12月23日の天皇誕生日は、今上天皇退位日である2019年(平成31年)4月30日をもって、皇太子徳仁親王の誕生日である2月23日に移動する。ただし2019年は5月1日の新天皇即位日より前に迎えることになる為、1948年(昭和23年)の祝日法施行以来はじめて天皇誕生日のない年となる。
なお、上皇の存命中は上皇と天皇の二重権威回避の面から「上皇誕生日」は設けられない事になっている。
脚注
出典
- ^ “ご称号とお代替わりの基本用語” (PDF). 宮内庁 (2019年4月10日). 2019年4月29日閲覧。
- ^ “The key ceremonies in Japan's Imperial succession” (英語). The Japan Times Online (ジャパンタイムズ). (2019年4月28日). ISSN 0447-5763. オリジナルの2019年4月29日時点におけるアーカイブ。 2019年4月29日閲覧。
- ^ “【譲位特例法成立】天皇の退位等に関する皇室典範特例法(全文)、付帯決議(全文)”. 産経新聞. (2017年6月9日) 2017年6月10日閲覧。
- ^ a b “上皇の英語表現、「Emeritus」と名誉職を明記へ”. 朝日新聞. (2019年2月25日) 2019年2月25日閲覧。
- ^ Japanese Emperor Akihito declares historic abdication - 英国放送協会
- ^ a b “天皇陛下、200年ぶり退位へ 憲政史上初、歴史的1年に”. 福井新聞. (2019年1月1日) 2019年3月14日閲覧。
- ^ a b c “平成の30年(8)天皇陛下退位へ 平成に幕 200年ぶり、憲政史上初めて”. 日本経済新聞. (2018年12月28日) 2019年3月14日閲覧。
- ^ “皇室どう変わる? ポイント整理”. 日本経済新聞. (2019年1月1日) 2019年3月14日閲覧。
- ^ “天皇退位、特例法が成立 一代限り退位容認”. 日本経済新聞. (2017年6月9日) 2017年10月6日閲覧。
- ^ 楊井人文. “産経「譲位」に用語変更 朝日も「生前退位」不使用 他社は表記の混乱も”. Yahoo!ニュース 個人. 2019年1月18日閲覧。
- ^ 「【譲位】産経新聞は今後、「生前退位」ではなく「譲位」とします」『産経新聞』2016年10月28日。2019年1月18日閲覧。
- ^ 「【譲位】朝日新聞は「生前退位」から「退位」表記に 広報部「内容に応じてふさわしい言葉を」」『産経新聞』2016年10月29日。2019年1月18日閲覧。
- ^ 小松田健一 (2018年4月30日). “天皇陛下、退位まで1年 高輪で仮住まい 皇居・御所改修へ”. 東京新聞. オリジナルの2018年5月2日時点におけるアーカイブ。 2019年1月22日閲覧。