コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

lolcat

Listen to this article
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
lolcatの一例

lolcat(ロルキャット、あるいはエル・オー・エル・キャット)は、多くの場合ネコの画像にユーモラスで風変わりなキャプションを、正しくない英語で付けたものである。ここで使われる方言はロルスピーク(lolspeak)あるいはキティ・ピジン(kitty pidgin)と呼ばれ、インターネットスラングなどに見られる文法の貧弱な英語のパロディである。

Wikicatと呼ばれる画像

lolcatは笑いを表す頭文字語のLOLと「cat」(ネコ)の複合語である[1]。lolcatはイメージ・マクロimage macro)の一種であることから、キャット・マクロ(cat macro)とも呼ばれる[2]。lolcatは主に英語圏のウェブでの文化であり画像掲示板やその他のインターネット掲示板で使うために作られている。

「lolcat」という語はタイム誌の表紙に取り上げられ、アメリカ合衆国の国民的なメディアの注目を集めることとなった[3]。同誌では、この種の非商業的な現象は珍しくなってきており、lolcatは明らかに古典的な、1990年代初期のUsenetを思い起こさせるとしている。

形式

[編集]
「I'm in ur...」の形式が使われたlolcatの画像

典型的なlolcatの画像は、ネコの画像にサンセリフ(たとえば Arial Black)フォントで大きなキャプションが付けられている[4]

写真

[編集]

lolcatの画像の多くは、ネコが人間のような行動をしたり、コンピュータに代表される現代的な技術を使ったりしているように見えるようになっている。

キャプション

[編集]

キャプションは画像中のネコの発言を表すか、その状況を説明する。キャプションは意図的に英語の綴りや文法を間違って書かれ[4]、「奇妙な活用形であるが、新しい綴りや活用のルールにおおよそ則った」動詞が用いられる[4][5][6]。キャプションの文字は、インターネットスラングに典型的な、文法的に貧弱な方言が使われている。

lolcatのキャプションには決まった言い回しの雛形が使われる[6]。その言い回しの一部は出所の明らかなもので、多くの場合は「All your base are belong to us」や「Do not want[7]に代表されるインターネット・ミームであるが、そうでないものもある。lolcatのキャプションに使われる方言は、人々が飼いネコに話しかけるときによく用いられる幼児語と似通っている[8]

よく知られたlolcatの言い回しとして、「Im in ur (名詞), (動詞)-ing ur (名詞)」(俺はお前の…の中だ。お前の…を…してる)がある[9]

lolcatのキャプションには、短い単語だけのものもあり、多くの模倣や変種を生み出しよく知られたものとして「Ceiling Cat」や「Fail」[10]、「I Can Has Cheezburger[11]などがある。

歴史

[編集]
1905年のハリー・ウィッター・フリーズによるネコのポストカード。猫の写真にキャプションをつけた作品で知られ、Lolcatの元祖とも言われる。
ハリー・ポインター(Harry Pointer、1822-1889)による作品

lolcatが初めて匿名画像掲示板の4chanで見られるようになったのは2005年ごろのことである[12] [13][14]。確認できる最初の"lolcat"という語の使用は2006年6月ごろにまでさかのぼり、また"lolcat.com"というドメイン名が登録されたのは同年6月14日である。[15]。lolcatはサムシング・オーフル・フォーラムなどで使われることでその知名度をあげていった[16]

猫が覗く画像

ニュース・ジャーナルThe News Journal)誌は「lolcatの軌跡はウェブサイト4chanにさかのぼり、そこでは土曜日(Saturdays)あるいは『Caturdays』に関する奇妙なネコの画像が使われていた。」としている。更に、それらの画像は「長い間インターネット上でさまざまな異なる名前で使われ続けたが、2007年初頭に「I Can Has Cheezburger?」が登場するまではセンセーションとはならなかった」としている[17]。「I Can Has Cheezburger?」の最初の画像は2007年1月11日に、おそらくサムシング・オーフル・フォーラムに投稿されたものと考えられる[18][19]

タイム誌のレヴ・グロスマン(Lev Grossman)は、lolcatの最古の使用例はおそらく2006年までさかのぼるだろうとしたが[20]、後に自身のブログでこれを訂正し[21]、その中で読者から送られたエピソード的証拠を要約して説明するとともに、「Caturday」の起こりや、現在「lolcat」として知られる形式が2005年初期からあったことを掲載した。ドメイン名「caturday.com」は2005年4月30日に登録されている。

上記画像のパロディ作品

派生とパロディ

[編集]

lolcatのキャプションにつかわれる方言は、ジョーク・プログラミング言語LOLCODELOLCODE)の元となっており、同言語のインタプリタやコンパイラは.NET frameworkPerlなどで利用できる[1]

Ceiling CatとBasement Cat

[編集]
本に挟まる

Ceiling Cat(天井猫)は、インターネット・ミームによって広まったキャラクターである。最初の画像は天井の穴から顔をのぞかせるネコの画像に、「Ceiling Cat is watching you masturbate.」(Ceiling Catはお前のオナニーを見ている。)とのキャプションが付けられたイメージ・マクロである[22]。その後「Ceiling Catはお前の…を見ている。」(…は語尾を-ateとして韻を踏んだ動詞)というキャプション付きで、Ceiling Catの画像を左上隅に配した形式のイメージ・マクロが多数製作された。このキャラクターはLOLCat聖書翻訳プロジェクトproject to translate the Bible to lolspeak、聖書をlolspeakに翻訳するプロジェクト)にも用いられた。Ceiling CatとBasement Cat(地下猫、地下室に住む黒猫)がlolcatの世界のサタンを表しているとされる[23][24][25]

ウィキペディアの記事を見る猫

脚注

[編集]
  1. ^ a b Dwight Silverman (2007年6月6日). “Web photo phenomenon centers on felines, poor spelling”. Houston Chronicle. 2008年9月21日閲覧。
  2. ^ Randy A. Salas (2007年6月9日). “Laugh at cat humor”. Akron Beacon Journal, Star Tribune. "At first, they were called cat macros, but now go mostly by the name lolcats." 
  3. ^ en:Template:Cite news Partial scan of the print edition: http://fcrunk.wellimean.com/memes/catstime.jpg
  4. ^ a b c Anil Dash (2007年4月23日). “Anil Dash: Cats Can Has Grammar”. 2007年5月3日閲覧。
  5. ^ Annalee Newitz (2007年4月27日). “I'M IN YR X Y-ING YOUR Z – A Grammar of Lolcats”. Table of Malcontents, a Wired blog. 2014年11月16日閲覧。 “These images... usually include a cute cat saying something related to buckets, cheeseburgers, or whatever else with strangely-conjugated verbs.”
  6. ^ a b Mark Liberman (2007年4月25日). “Language Log: Kitty Pidgin and asymmetrical tail-wags”. 2007年4月28日閲覧。
  7. ^ Top ten Star Wars myths and legends: Do not want”. VirginMedia.com. 2008年12月30日閲覧。
  8. ^ Svensson, Peter (2008年4月24日). “Lolcat site needz ur skillz”. The Associated Press. http://www.usatoday.com/tech/webguide/internetlife/2008-04-24-lolcats-job-search_N.htm 2008年10月15日閲覧。 
  9. ^ Jay Cridlin (2007年6月1日). “This be funny storyz”. Tampa Bay Times. http://www.tbt.com/entertainment/news/article41041.ece?lol 
  10. ^ Microtrends: Failure - Times Online
  11. ^ Tozzi, John (July 13, 2007). Bloggers Bring in the Big Bucks. Business Week. http://www.businessweek.com/smallbiz/content/jul2007/sb20070713_202390.htm 2008年1月10日閲覧。. 
  12. ^ Langton, Jerry (2007年9月22日). “Funny how `stupid' site is addictive”. The Star. 2008年10月4日閲覧。
  13. ^ Iz not cats everywhere? Online trend spreads across campus”. 2010年1月1日閲覧。
  14. ^ smith, david. “the unseen face behind today’s counterculture”. http://www.taipeitimes.com/News/editorials/archives/2008/07/23/2003418192 2008年8月25日閲覧。 
  15. ^ WHOIS domain registration information results for lolcats.com from Network Solutions
  16. ^ Tom Whitwell (May 12, 2007). “Microtrends: LOLcats”. The Times. 2008年10月21日閲覧。
  17. ^ "Lolcats' demented captions create a new Web language," Tamara Ikenberg, The News Journal, July 9, 2007
  18. ^ About « Lolcats ‘n’ Funny Pictures - I Can Has Cheezburger?
  19. ^ "Original Picture, cheezburger, ICANHASCHEEZBURGER, September 26, 2007 http://icanhascheezburger.com/2007/01/11/i-can-has-cheezburger/
  20. ^ Lev Grossman (2007年7月12日). “Creating a Cute Cat Frenzy”. Time (magazine). 2007年7月16日閲覧。 “this has also spawned the digg dog which is part of the popular site titled digg.com”
  21. ^ Lev Grossman (2007年7月16日). “Lolcats Addendum: Where I Got the Story Wrong”. タイム. 2007年7月17日閲覧。
  22. ^ Ceiling cat is watching you...”. icanhazcheezburger.com (2007年1月24日). 2009年8月17日閲覧。
  23. ^ Amter, Charlie (2007年12月16日). “Lolcat Bible Translation Project presents the Gospel according to Fluffy”. Los Angeles Times. http://www.latimes.com/technology/la-ca-lolcat16dec16,1,6069575.story?ctrack=1&cset=true 2007年12月23日閲覧。 
  24. ^ Horan, Brianna. “How one hungry 'kitteh' can has the Internet lol”. 2008年6月18日閲覧。
  25. ^ Guzman, Monica. “Time killer: The "lolcat" Bible”. 2008年6月18日閲覧。

参考文献

[編集]

関連項目

[編集]
英語版記事の音声を再生 (8)
noicon
Spoken Wikipediaのアイコン
この音声ファイルは英語版記事の2008年4月4日 (2008-04-04)版を元に作成されており、以降の記事の編集内容は反映されていません。