香箱座り
香箱座り(こうばこずわり)は、ネコの座法の一種。「箱座り」「香箱を組む[1]」「香箱を作る[2]」などとも呼ばれる。
うさぎなど猫以外の一部の動物も香箱座りをする。※後述
ただつくばっているだけでなく、「前脚を胸毛の奥(内側)へ折り曲げている場合のみ」を定義対象とする説もある[3]。これと同様の厳密な定義において、英語圏ではパンの塊に例えて「catloaf」と呼ばれたり、「meatloaf」とも呼ばれる(なお、料理のミートローフも形状がパンの塊に似ていることから名前がついている)。
概要
[編集]ネコが背を丸めてつくばっている様子が、香箱の形を連想させるため、メタファーとして、「香箱を作る」と呼ばれるようになったとされる[4]。この時前足は内側に折り込まれ肉球は上を向いた状態になっている[5]。
四肢をすべて畳んでいるためすぐに動くことができず、リラックスした状態であるが、周囲を観察できるよう頭は上げており、一定の警戒心も保った体勢である[6]。
前足の長い猫、太った猫、体の大きな猫、スコティッシュフォールドなど足の関節が異常に多い[7]種類の猫は、前足に負担がかかるため香箱座りの姿勢を取りにくい[8]。香箱座りは猫の座法として有名であるがネコ科動物であるトラやライオンはもとよりうさぎ、犬、ヤギ、クマなども香箱座りをすることもある[8][9]。
猫は足の裏に汗をかいて体温調節をするため[10]、暑い季節には、足の裏がお腹の毛の中に隠れてしまう香箱座りの体勢をとることは少なくなる[11]。
書物から
[編集]森鷗外『青年』(1910-1911年)、芥川龍之介『老年』(1914年)『お富の貞操』(1922年)、寺田寅彦『子猫 』、宮本百合子『子供・子供・子供のモスクワ 』(1930年)などに、「香箱を作る」の表現が見られる。また、尾崎紅葉『紫』(1894年)では、人間(女房)に対しての表現としても使われている[2]。『東京語辞典』(1917年)には、意味として「行儀よく坐れるまま、何事もせずに居ること」「所在なくして香匣を造る」などと定義されている。
脚注
[編集]- ^ 『もっと知りたい!ねこの気持ち』PHP研究所、pp.34-35
- ^ a b 『日本国語大辞典』小学館
- ^ 香箱座り - 猫語辞典
- ^ 「香箱を作る」の意味 - goo辞書(『大辞泉』小学館)
- ^ “こうしてたんだ! 猫の「香箱座り」完成までを下から見た動画が投稿される”. おたくま経済新聞 (2022年5月10日). 2024年4月7日閲覧。
- ^ ねこまみれ事典, p. 26.
- ^ 石山マキ (2017年11月17日). “スコティッシュフォールドと長く暮らすために気をつけたい病気やご飯選び”. PECO. 2018年10月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月13日閲覧。
- ^ a b “【もふもふ注意!】"香箱座り"ができるのは猫だけじゃない!?いろいろな動物の香箱座りまとめ : もふもふちゃんねる。” (日本語). もふもふちゃんねる。 2018年10月13日閲覧。[信頼性要検証]
- ^ 郁人, 神戸「まるで巨大な猫!動物園のクマが「香箱座り」 個性的な姿が愛らしい - withnews(ウィズニュース)」『』。2018年10月13日閲覧。
- ^ “猫は肉球から汗をかいている?知られざる体温調節の方法とは? – ねこびあ~猫のトリビア~ 猫の飼い方や豆知識などが身に付く情報サイト”. tetoan.com. 2018年10月13日閲覧。
- ^ “猫の寝相に隠された4つの気持ち” (日本語). ねこちゃんホンポ 2018年10月13日閲覧。
参考文献
[編集]- 今泉忠明、田草川史彦、石原さくら『猫にまつわるコトバがぜんぶわかる! ねこまみれ事典』ONDORI、2024年2月22日。ISBN 978-4-502-48701-9。