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ブロチゾラム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
C15H10BrClN4Sから転送)
ブロチゾラム
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
法的規制
薬物動態データ
生物学的利用能48〜95%
代謝肝臓
半減期4.4時間(2.6〜6.9時間)
排泄腎臓
データベースID
CAS番号
57801-81-7
ATCコード N05CD09 (WHO)
PubChem CID: 2451
DrugBank DB09017 ×
ChemSpider 2357 チェック
UNII 5XZM1R3DKF チェック
KEGG D01744  チェック
ChEMBL CHEMBL32479 チェック
化学的データ
化学式C15H10BrClN4S
分子量393.69
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ブロチゾラム (Brotizolam) は、チエノトリアゾロジアゼピン系睡眠導入剤の一種。短時間作用型。商品名レンドルミン、ほかで販売される。

連用により依存症、急激な投与量の減少により離脱症状を生じることがある[1]。日本でも乱用症例からリスクの高い薬剤に同定されている[2]向精神薬に関する条約スケジュールIVに指定され、日本では麻薬及び向精神薬取締法第三種向精神薬に、薬機法習慣性医薬品に指定されている。

化学的特性

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酢酸ジクロロメタンに溶けやすく、ジエチルエーテルに溶けにくい。

歴史

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1976年に、武田薬品工業T.Nishiyamaが率いるチームによって開発された[3]

1985年にベーリンガーインゲルハイムレンドルミンの商品名でドイツで発売して以来、世界約20カ国で販売されている。イギリス、アメリカ、カナダの3国については、ベーリンガーインゲルハイムから過去を含めてレンドルミンが発売されたことはない。その理由に安全性面の懸念があったとの情報はない。

日本では、1988年より日本ベーリンガーインゲルハイムより発売され、2002年には口腔内崩壊錠のレンドルミンD錠が販売されている。

商品

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ブロチゾラム0.25mg錠「サワイ」

錠剤、口腔内崩壊錠(D錠またはOD錠等)ともに0.25mgがある。先発品がレンドルミンで、後発医薬品(ジェネリック薬)として、かつては製品名グッドミンゼストロミンその他で販売されていた。現在は日本ジェネリック長生堂製薬テバ製薬など各社とも、成分名(一般名)で発売されており、それぞれ、ブロチゾラム錠「JG」、ブロチゾラム錠「CH」、ブロチゾラム錠「テバ」の名称となっている。

適応

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使用上の注意

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高齢者の投与については、少量から投与を開始するなど慎重に投与する。

副作用

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主な副作用は、残眠感・眠気、ふらつき、頭重感、だるさ、めまい、頭痛、倦怠感などである。

依存性

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日本では2017年3月に「重大な副作用」の項に、連用により依存症を生じることがあるので用量と使用期間に注意し慎重に投与し、急激な量の減少によって離脱症状が生じるため徐々に減量する旨が追加され、厚生労働省よりこのことの周知徹底のため関係機関に通達がなされた[1]奇異反応に関して[4]、錯乱や興奮が生じる旨が記載されている[1]医薬品医療機器総合機構からは、必要性を考え漫然とした長期使用を避ける、用量順守と類似薬の重複の確認、また慎重に少しずつ減量する旨の医薬品適正使用のお願いが出されている[5]。調査結果には、日本の診療ガイドライン5つ、日本の学術雑誌8誌による要旨が記載されている[4]

原則禁忌

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次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与する。

  • 肺性心、肺気腫、気管支喘息及び脳血管障害の急性期で呼吸機能が高度に低下している場合

禁忌

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乱用

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ブロチゾラムは乱用の可能性がある。薬物乱用とは高揚感を得るために薬物を摂取したり、医師の指示に反して長期間摂取を続けることである。[6]

広範囲には広がらなかったが、ブロチゾラムの乱用は香港で1980~1990年に問題になった。香港でのベンゾジアゼピン乱用を防ぐため、政府の薬物毒物委員会はベンゾジアゼピンを危険な薬物として1990年10月に指定した。通常の処方箋とは別に、供給と流通について詳細な記録をつけることが求められる。これらの規制は、初めは主に乱用されていたベンゾジアゼピンのブロチゾラム、トリアゾラムフルニトラゼパムのみに適用された。このベンゾジアゼピン使用に関する規制変更による影響は、1990年から1993年までのベンゾジアゼピンの販売パターンを分析することによって研究されている。1991年にはトリアゾラムとフルニトラゼパムの売り上げは落下したが、規制外の5つのベンゾジアゼピンについては増加した。[7]とりわけニメタゼパムを用いた人身売買や乱用、テマゼパムの乱用が同じ年の1991年に問題になっていた。当初はブロチゾラム、トリアゾラム、フルニトラゼパムのみに適用された規制について、1992年1月現在は全てのベンゾジアゼピンを対象として拡張された。ベンゾジアゼピンの適切な処方と供給調剤の詳細記録を必要とする規制は、香港では少なくとも部分的に乱用を改善しているように見える。テマゼパム、ニメタゼパム、トリアゾラム、ブロチゾラムにはまだ問題があるが、主要なものではない。

ブロチゾラムは、日本でも乱用症例から乱用リスクの高い薬剤に同定されている[2]

出典

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  1. ^ a b c 厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課長『催眠鎮静薬、抗不安薬及び抗てんかん薬の「使用上の注意」改訂の周知について (薬生安発0321第2号)』(pdf)(プレスリリース)https://www.pmda.go.jp/files/000217230.pdf2017年3月25日閲覧 、および、使用上の注意改訂情報(平成29年3月21日指示分)”. 医薬品医療機器総合機構 (2017年3月21日). 2017年3月25日閲覧。
  2. ^ a b 松本俊彦「処方薬乱用・依存からみた今日の精神科薬物治療の課題:ベンゾジアゼピンを中心に」『臨床精神薬理』第16巻第6号、2013年6月10日、803-812頁。 
  3. ^ US patent 4017620, Yutaka Kuwada et al, "Thienodiazepine derivatives", published 1975-08-05, issued 1977-12-04 
  4. ^ a b 医薬品医療機器総合機構『調査結果報告書』(pdf)(プレスリリース)医薬品医療機器総合機構、2017年2月28日http://www.pmda.go.jp/files/000217061.pdf2017年3月25日閲覧 
  5. ^ 医薬品医療機器総合機構 (2017-03). “ベンゾジアゼピン受容体作動薬の依存性について” (pdf). 医薬品医療機器総合機構PMDAからの医薬品適正使用のお願い (11). https://www.pmda.go.jp/files/000217046.pdf 2017年3月25日閲覧。. 
  6. ^ Griffiths, RR; Johnson, MW (2005). “Relative abuse liability of hypnotic drugs: a conceptual framework and algorithm for differentiating among compounds”. The Journal of clinical psychiatry 66 (Suppl 9): 31?41. PMID 16336040. 
  7. ^ Lee, KK; Chan, TY; Chan, AW; Lau, GS; Critchley, JA (1995). “Use and abuse of benzodiazepines in Hong Kong 1990-1993--the impact of regulatory changes”. Journal of toxicology. Clinical toxicology 33 (6): 597?602. doi:10.3109/15563659509010615. PMID 8523479. 

関連項目

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