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ブタン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ブタン
Skeletal formula of butane with all carbon and hydrogen atoms shown Skeletal formula of butane with all implicit hydrogens shown
Ball-and-stick model of the butane molecule Space-filling model of the butane molecule
識別情報
CAS登録番号 106-97-8 チェック
PubChem 7843
ChemSpider 7555 チェック
UNII 6LV4FOR43R チェック
EC番号 203-448-7
E番号 E943a (その他)
国連/北米番号 1011
KEGG D03186 チェック
MeSH butane
ChEBI
ChEMBL CHEMBL134702 チェック
RTECS番号 EJ4200000
バイルシュタイン 969129
Gmelin参照 1148
特性
化学式 C4H10
モル質量 58.12 g mol−1
外観 無色の気体
匂い ガソリンまたは天然ガスのような臭気[2]
密度 2.48 kg/m3 (at 15 °C (59 °F))
融点

−140 - −134 °C

沸点

−1 - 1 °C

への溶解度 61 mg/L (at 20 °C (68 °F))
log POW 2.745
蒸気圧 ~170 kPa at 283 K [4]
kH 11 nmol Pa−1 kg−1
磁化率 −57.4·10−6 cm3/mol
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −126.3–−124.9 kJ/mol
標準燃焼熱 ΔcHo −2.8781–−2.8769 MJ/mol
標準定圧モル比熱, Cpo 98.49 J/(K·mol)
危険性
GHSピクトグラム 可燃性 高圧ガス
GHSシグナルワード DANGER
Hフレーズ H220
Pフレーズ P210
NFPA 704
4
1
0
引火点 −60 °C (−76 °F; 213 K)
発火点 405 °C (761 °F; 678 K)
爆発限界 1.8–8.4%
許容曝露限界 無し[2]
関連する物質
関連するアルカン
関連物質 ペルフルオロブタン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ブタン: butane英語発音: [ˈbjuːteɪn] ビューテイン)は、炭化水素の一種で、炭素4個が直鎖状に連なったアルカンである。n-ブタンとも呼ばれる。無色不快臭であり、常温・常圧で気体である。構造異性体としてイソブタン(2-メチルプロパン、iso-ブタン)があり、これらは異性体を持つアルカンでは最も小さい。可燃性物質であり、圧縮して液化した状態で運搬、利用される。天然には、石油や天然ガスの中に存在する。

1849年エドワード・フランクランドによって発見された。名前の由来は酪酸の"but"にギリシア語における数字の末尾"ane"をつけたもの。

n-ブタンの爆発限界は 1.9 〜 8.5 vol%(空気中)。

反応

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十分な酸素がある場合、ブタンは燃焼により二酸化炭素を生成する。酸素が不足した場合は不完全燃焼が起こり、すす一酸化炭素もともに生成してくる。

n-ブタンは無水マレイン酸生産の原料となる(下式)。この反応にはシリカゲルに担持されたリン酸バナジウムが触媒として利用される[5]

ブタンは他の炭化水素と同じく、フリーラジカル的な塩素化反応により 1-クロロブタンや 2-クロロブタンを始めとする多くの塩素化物に変わる。生成物の比率は2種類の C-H 結合の結合解離エネルギーの違いにより説明することができる。それぞれ末端炭素、内部炭素についての結合解離エネルギーはそれぞれ 425、411 kJ/mol であり、内部炭素の C-H 結合の方がわずかに弱く解裂しやすい[6]

利用

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ブタンの民生利用は、ライターの燃料、エアロゾルスプレーの噴射剤のほか、液化石油ガス(LPガス、LPG)にプロパン等と混合して使用される。特にLPG自動車用の燃料であるオートガスは冬期等の寒冷期を除き基本的にはブタンとプロパンの比率が8:2となっている。調理用、キャンプ用などの手軽に利用可能なカセットコンロ燃料としてガス缶が市販されている。また、2009年には、ブタンを燃料とするエンジンホンダ・ピアンタFV200など)も開発されている。可燃性であるにもかかわらず、純粋なブタンをジクロロジフルオロメタンなどのフロンガスの代わりに冷媒として自動車に用いるという提案もある。さらに数年前国産ノンフロン冷蔵庫の冷媒はイソブタンが使われている。

工業利用では、石油化学における蒸気クラッキングの原料としても用いられる。

沸点が-0.5℃であるため、寒冷地でブタンボンベを使用する場合気化しないことがある。このため寒冷地ではプロパン、またはイソブタンを混合したものを使用する。前述のオートガスも寒冷期ではプロパンの割合が増やされる。

出典

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  1. ^ a b “General Principles, Rules, and Conventions”. Nomenclature of Organic Chemistry: IUPAC Recommendations and Preferred Names 2013 (Blue Book). Cambridge: The Royal Society of Chemistry. (2014). P-12.1. doi:10.1039/9781849733069-00001. ISBN 978-0-85404-182-4. "Similarly, the retained names 'ethane', 'propane', and 'butane' were never replaced by systematic names 'dicarbane', 'tricarbane', and 'tetracarbane' as recommended for analogues of silane, 'disilane'; phosphane, 'triphosphane'; and sulfane, 'tetrasulfane'." 
  2. ^ a b c NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards 0068
  3. ^ August Wilhelm Von Hofmann (1867). “I. On the action of trichloride of phosphorus on the salts of the aromatic monamines”. Proceedings of the Royal Society of London 15: 54–62. doi:10.1098/rspl.1866.0018. https://books.google.com/books?id=w1BJAAAAcAAJ&pg=RA1-PA58. 
  4. ^ W. B. Kay (1940). “Pressure-Volume-Temperature Relations for n-Butane”. Industrial & Engineering Chemistry 32 (3): 358–360. doi:10.1021/ie50363a016. 
  5. ^ Coulston, G. W.; Bare, S. R.; Kung, H.; Birkeland, K.; Bethke, G. K.; Harlow, R.; Herron, N.; Lee, P. L. "The Kinetic Significance of V5+ in n-Butane Oxidation Catalyzed by Vanadium Phosphates" Science 1997, 275, 191 - 193. DOI: 10.1126/science.275.5297.191
  6. ^ Bond dissociation energies: Senosiain, J. P.; Han, J. H.; Musgrave, C. B.; Golden, D. M. Faraday Discussions 2001, 119, 173 - 189.

関連項目

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外部リンク

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