鰐淵晴子
わにぶち はるこ 鰐淵 晴子 | |||||
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1960年 | |||||
生年月日 | 1945年4月22日(79歳) | ||||
出生地 | 東京都 | ||||
身長 | 165 cm[1] | ||||
職業 | 女優・歌手・バイオリニスト | ||||
ジャンル | 映画・テレビドラマ | ||||
配偶者 |
服部歊(1968年 - 1969年)[2] タッド若松(1972年 - 1986年)[2] | ||||
著名な家族 |
鰐淵理沙(娘) 鰐淵賢舟(父・バイオリニスト) | ||||
事務所 | アートプロモーション | ||||
公式サイト | 鰐淵晴子プロフィール ホームページ | ||||
主な作品 | |||||
映画 『ノンちゃん雲に乗る』 『伊豆の踊子』 『悪魔が来りて笛を吹く』 | |||||
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鰐淵 晴子(わにぶち はるこ、1945年4月22日 ‐ )は、日本の女優・歌手・ヴァイオリニスト。身長165cm、体重48kg[1]。アートプロモーション所属。2007年まではアクターズプロモーションに所属していた[3]。
東京都生まれ。大西学園高校卒業[1]。1995年、『眠れる美女』などで毎日映画コンクール女優助演賞受賞。
来歴
[編集]新潟県長岡市出身のヴァイオリニスト・鰐淵賢舟とハプスブルク家の末裔の1人であるオーストリア人の母・ベルタの間に出生[4][2]。防空壕の中での出産であった[5]。大ドイツ主義的な解釈から日独ハーフ、ドイツ系と記述されることもある[要出典][注 1]。
父の指導のもと、3歳からヴァイオリンの英才教育を受けて8歳で全国を演奏旅行し、当時は「天才少女ヴァイオリニスト」と騒がれた[2]。
1952年、『母子鶴』で映子(配役:若尾文子)の少女時代を演じて映画初出演[6]。
1955年、『ノンちゃん雲に乗る』に主演した[7]。正統派美人として「原節子の再来」と評された[2]。
1956年コルチナ・ダンペッツオオリンピックでアルペン3冠王になったオーストリアのトニー・ザイラーが来日して主演した映画『銀嶺の王者』(松竹、1960年)では英語・ドイツ語の能力を認められ相手役に選ばれた[2][8]。
私生活では、夏になると家族で長野県軽井沢町に避暑滞在、その美しい晴子・朗子姉妹の姿は周囲の目をひく存在であったという(最初の結婚相手である服部時計店の御曹司・服部歊とは夏の軽井沢で出会う[9])[10]。趣味について、中学時代の彼女へのインタビューでは、スポーツは何をやりますか、という問いに「テニス、乗馬とピンポン」と答えている[4]。
1960年代前半は松竹看板スターのひとりとして多数の作品に出演、1965年には松竹を退社してフリーとなり、東映や大映の映画に出演した[2]。
1968年にアメリカへ渡る[11]。1970年、アメリカで出会った”恋人”タッド若松(のちに結婚)が撮影したヌード写真集『Ipy Girl Ipy / イッピー・ガール・イッピー』を発表[11]。そのアート性の高い内容は非常に高い評価を受け歴史に残っている[12]。
1970年、週刊明星(8月30日号)に鰐淵が拳銃や麻薬の密輸に関与したとする「虚偽の記事」が掲載されたため、鰐淵側が週刊明星を名誉棄損で訴え、1971年10月13日、東京地方裁判所は週刊明星副編集長に有罪判決を言い渡している[13]。
1971年には歌手として、荒木一郎の提供曲を含むLP「イッピー・ガール・イッピー」を発表した[14]。鰐淵はその後も女優として多くの映画に出演、1980年代には、舞台作品にも積極的になり、一方で林海象監督作品の常連としても活躍するようになる[2]。
1995年には『平成無責任一家 東京デラックス』、『遙かな時代の階段を』、『眠れる美女』の3作品などで個性的な役柄を演じ分け、その年の毎日映画コンクール女優助演賞を受賞している。
親族
[編集]- 父の鰐淵賢舟(1910-1986、本名鰐淵仁四郎)は渡米ののち、プラハ音楽院でオタカル・シェフチクに師事、帰国後にヴァイオリンの演奏家・指導者として活動した[15][16]。府中カトリック墓地に眠る[17]。
- 1959年の記事には、「オーストリアのウィーンには母方の祖母(七四歳)、アメリカのロサンゼルスには父方の祖父(八四歳)がいる」と記載されている[4]。
- 二度の結婚を経験している。1番目の夫は服部時計店社長服部正次の御曹司、服部歊(服部一郎の弟)[11]。1968年に結婚するも、翌年に離婚[16][11]。2番目の夫は写真家のタッド若松。1972年にニューヨークで極秘挙式している[18]。1986年に離婚[16][11]。タッド若松との間にはタレントの鰐淵理沙を儲けている[16]。
受賞
[編集]第50回(1995年)毎日映画コンクール 女優助演賞
出演
[編集]映画
[編集]- 母子鶴(1952年) - 幼少時代の映子
- ノンちゃん雲に乗る (1955年) - 田代信子(ノンちゃん)
- 乙女の祈り (1959年)
- 銀嶺の王者 (1960年)
- 伊豆の踊子 (1960年) - 薫(踊り子)
- あんみつ姫の武者修業 (1960年) - あんみつ姫
- 明日はいっぱいの果実(1960年)- 大和ハル子
- 猟銃 (1961年) - 薔子
- 大学かぞえうた(1962年) - 浮田咲子
- 丹下左膳 (1963年) - 萩乃
- 二十一歳の父 (1964年) - 岩間恭子
- この空のある限り (1964年)
- ウナ・セラ・ディ東京(1965年) - 香椎涼子
- 花札渡世(1967年) - 伊藤梅子
- 眠狂四郎無頼控 魔性の肌 (1967年) - ちさ
- 反逆の報酬 (1973年) - 上村秋子
- キンキンのルンペン大将(1976年) - 東陽軒の女店員
- 脱走遊戯 (1976年) - 久世陽子
- ハウス (1977年) - 江馬涼子
- らしゃめん (1977年) - 神保雪
- 悪魔が来りて笛を吹く (1979年) - 椿秋子
- 愛しき日々よ (1984年) - 岩井光子
- 南へ走れ、海の道を! (1986年) - 玉城ハルエ
- ZIPANG (1990年) - 女王
- バカヤロー!3 へんな奴ら (1990年) - 岡嶋君子
- 外科室 (1992年) - 看護婦長
- 我が人生最悪の時 (1994年) - 濱リリー
- 平成無責任一家 東京デラックス (1995年) - 夏目秋子(料亭「木々」の女将)
- 遙かな時代の階段を (1995年) - 濱リリー
- 眠れる美女 (1995年)
- バースデイプレゼント (1995年) - 野口サト子
- 柘榴館 (1997年) - 立花久代
- 不機嫌な果実 (1997年) - 柏木光枝
- 昭和歌謡大全集 (2002年)
- 天国の本屋~恋火 (2004年) - 「天国の喫茶店」のママ
- 貝ノ耳 (2004年)
- 着信アリ2 (2005年) - 水沼サチエ
- 天使 (2006年) - 猫おばさん
- 初恋 (2006年)
テレビドラマ
[編集]- 娘と私 (1961~1962年)
- 土曜ドラマ / 松本清張シリーズ・たずね人 (1977年) - ルキア
- ワイン殺人事件25歳の夏 (1995年)
- 夕陽ヶ丘の探偵団 (2007年) - オババ
- ゴーストフレンズ (2009年) - アンナ
- 風と樹と空と (1965年 - 1966年) - 沢田多喜子
- 続 風と樹と空と (1967年) - 沢田多喜子
- 土曜日の女 / 鏡の中の顔 (1974年)
- 新五捕物帳 (1980年)
- 火曜サスペンス劇場 / 黒いドレスの女 (1985年)
- 金田一少年の事件簿 (1996年) - 万代鈴江
- P.A.(1998年) - 香坂みさき
- ボーダー 犯罪心理捜査ファイル (1999年) - 白木千草
- 夜逃げ屋本舗 (2003年) - 白鳥麗子
- ぼくの魔法使い (2003年) - 黒木チヨ
- 全国指名手配! 二つの顔を持つ女 (2005年)
- スチール・スター劇場 / 第9回「アリサの肖像」(1960年)[19]
- さぼてん(1964年)
- 光る海 (1965年)
- 横溝正史シリーズII / 八つ墓村 (1978年) - 森美也子
- 母も娘も (1983年)
- 愛と逃亡の果て・女優岡田嘉子 (1993年)
- 金田一耕助の傑作推理 / 呪われた湖 (1996年) - 御子柴八重
- ひなたぼっこ (1998年 - 1999年) - 和泉種子
- 月曜ドラマスペシャル / 真夏の恐怖劇場(2)ファミリー(1999年) - 羽室繁子
- カクレカラクリ (2006年) - 風見千都
- 月曜ミステリー劇場 / カードGメン・小早川茜 (2003年) - 篠宮俊子
- 華麗なる一族 (2007年) - 小泉夫人
- 木枯し紋次郎 第2シーズン 第8話「獣道に涙を棄てた」(1973年) - お鈴
- 日曜恐怖シリーズII 第7話「危険な誘拐」(1979年)
- 真夏の薔薇 (1996年) - 巌井萌子
- 月の輝く夜だから (1997年) - 池田光子
- 太陽がいっぱい (1998年) - 谷山聡子
- 女同士 (2000年)
- 新・牡丹と薔薇 (2015年) - 小日向カオルコ
- 金曜エンタテイメント
- 女優 夏木みどりシリーズ3(1991年) - 香田ちづる
- 京都祇園入り婿刑事事件簿 (2000年) - 藤原久子
- 長谷川伸シリーズ 第9話「人斬り伊太郎」(1972年) - おふう
- 非情のライセンス
- 第2シリーズ 第63話「兇悪のデザイン」(1975年) - 北原知美
- 第3シリーズ 第7話「兇悪の予言・霊感を売る女」(1980年) - 北麗子
- 土曜ワイド劇場
- 大東京四谷怪談 (1978年)
- 天使と悪魔の美女 (1983年) - 三田村秋
- 救急救命士・牧田さおり (2004年) - 飯塚節子
- 西部警察 第15話「さらば愛しき女」(1980年) - 加納しずえ
- 年忘れ必殺スペシャル・仕事人アヘン戦争へ行く 翔べ! 熱気球よ香港へ (1983年) - 入船屋お北
- 水曜ミステリー9 / 信濃のコロンボ事件ファイル (2006年) - 奥野百合子
舞台
[編集]- ガラスの仮面 (1988年) - 姫川歌子
吹き替え
[編集]プロモーションビデオ
[編集]- HEART of GOLD(EXILE)
教養番組
[編集]ディスコグラフィ
[編集]シングル
[編集]- 丘の上から
- 小鳥とあんみつ(1961年1月5日臨発、コロムビア、SA-515)
- 作詞:関沢新一 / 作曲:浜口庫之助
- 松竹映画「あんみつ姫の武者修業」主題歌
- (c/w 夕やけ雲よなぜ赤い)
- 軽井沢物語(1963年、ビクター、VS-1110)
- (c/w 雨をあなたに)
- めざめ(1965年5月、ビクター、SV-198)
- (c/w さぼてんの唄)
- 愛を謳おう(1965年5月、ビクター、SV-218)
- (c/w ふたり)
- 素敵な明日(1965年、ビクター、SV-342)
- (c/w 青春の素顔)
- ともだち(1966年、ビクター、SV-394)
- 作詞:岩谷時子 / 作曲:いずみたく / 編曲:いずみたく
- TBS系ドラマ「ともだち」主題歌
- (c/w 涙はあとで)
- 春うらら(1967年)
- 黒いらんたん(1976年10月、キング、GK-44)
- (c/w らしゃめん)
オリジナル・アルバム
[編集]- Ipy Girl Ipy~愛の世界(1971年、MCA、JMC-5018)
- らしゃめん(1976年、キング、SKA-152)
書籍
[編集]紀行書
[編集]- 鰐淵晴子『晴子の世界一周空の旅』集英社、1960年。
写真集
[編集]- タッド若松『Ipy Girl Ipy / イッピー・ガール・イッピー』平凡社、1970年。
- タッド若松『FIRST & LAST: 鰐淵晴子RE写真集』竹書房、1998年4月22日。ISBN 978-4-8124-0389-1。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ a b c “鰐淵 晴子”. 日本タレント名鑑. 2016年10月16日閲覧。
- ^ a b c d e f g h “鰐淵晴子、天才美少女から妖艶なる美女、そして演技派女優へ”. シネマズ. 松竹 (2016年9月4日). 2016年10月17日閲覧。
- ^ アクターズプロモーション所属当時のプロフィール - ウェイバックマシン(2007年4月3日アーカイブ分)
- ^ a b c 「朝日ジャーナル 第2巻 第1~9号」(朝日新聞社、1960年)27頁
- ^ テレ朝POST » 鰐淵晴子、異国の地で育ててくれた母への感謝。出産は東京大空襲の約1カ月後、防空壕の中で 2023年12月19日閲覧
- ^ “母子鶴 - 作品情報・映画レビュー”. KINENOTE(キネノート). 2016年10月16日閲覧。
- ^ アート・プロモーション 鰐淵春子 2022年11月26日閲覧
- ^ “銀嶺の王者 - 作品情報・映画レビュー”. KINENOTE(キネノート). 2016年10月16日閲覧。
- ^ 『昭和・平成の華麗なる結婚 週刊女性2000号記念特別編集』(週刊女性, 1998年)42頁
- ^ 『軽井沢ヴィネットVol.129』(軽井沢新聞社、2021年)22頁
- ^ a b c d e 「フォーカス 第265-280巻」(新潮社)17頁
- ^ “【元祖セレブ女優・鰐淵晴子はドイツにいたセミリタイア・香山美子が明かす「私の毎日」】”. 週刊現代 (2016年5月22日). 2016年10月17日閲覧。
- ^ 「鰐淵さんの名誉棄損 週刊明星副編集長に有罪」『中國新聞』昭和46年10月14日 15面
- ^ 「まわり舞台の上で」p.479
- ^ 鰐淵 賢舟20世紀日本人名事典
- ^ a b c d “プロフィール – 鰐淵理沙” (2014年8月14日). 2016年10月16日閲覧。
- ^ 鰐淵賢舟掃苔録
- ^ 「大宅壮一文庫 雑誌記事索引総目録」(大宅壮一文庫、1985年)254頁
- ^ "アリサの肖像". スチール・スター劇場. Episode 9. 1960年4月1日. KRテレビ. 2024年5月10日閲覧。
関連書籍
[編集]- 今村つとむ『おもちゃの兵隊 : 鰐渕晴子の歌』きんらん社〈まんが物語〉、1954年。
- 富永一朗『私のバイオリン : 鰐渕晴子の歌』きんらん社〈まんが物語〉、1954年。
- 山根赤鬼『野菊の唄 : 鰐淵晴子の歌』きんらん社〈まんが物語〉、1956年。
- 山根赤鬼『ノンちゃん : 鰐淵晴子の歌』きんらん社〈まんが物語〉、1957年。
外部リンク
[編集]- 公式ウェブサイト
- ホームページ
- 鰐淵晴子 - 日本タレント名鑑
- アクターズプロモーション所属当時のプロフィール - ウェイバックマシン(2007年4月3日アーカイブ分)
- 鰐淵晴子 - 日本映画データベース
- 鰐淵晴子 - KINENOTE
- 鰐淵晴子 - テレビドラマデータベース
- 鰐淵晴子オフィシャルブログ