田中一穂
田中一穂 | |
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第3代 日本政策金融公庫代表取締役総裁 | |
任期 2017年12月25日 – 現職 | |
首相 | 安倍晋三 |
前任者 | 細川興一 |
第12代 財務事務次官 | |
任期 2015年7月7日 – 2016年6月17日 | |
首相 | 安倍晋三 |
前任者 | 香川俊介 |
後任者 | 佐藤慎一 |
主計局長 | |
任期 2014年7月4日 – 2015年7月7日 | |
首相 | 安倍晋三 |
前任者 | 香川俊介 |
後任者 | 福田淳一 |
主税局長 | |
任期 2012年8月17日 – 2014年7月4日 | |
首相 | 野田佳彦 |
前任者 | 古谷一之 |
後任者 | 佐藤慎一 |
個人情報 | |
生誕 | 1955年10月8日(69歳) 東京都 |
出身校 | 東京大学法学部第2類(公法コース) |
田中 一穂(たなか かずほ、1955年〈昭和30年〉10月8日[1] - )は、日本の財務官僚。日本政策金融公庫代表取締役総裁。森友学園をめぐる問題で、大阪府豊中市の国有地の売却交渉が行われたときの財務事務次官を務めた[2][3]。
来歴
[編集]東京都出身[2]。父は東京消防庁に勤務していた消防士[4]。東京学芸大学附属小金井中学校、東京学芸大学附属高等学校を経て[5]、1974年4月 東京大学文科一類に入学[6]。大学時代は剣道部に所属[5]。剣道に打ち込むあまり留年し[7]、1979年、東京大学法学部第2類(公法コース)卒業[8]。同年、大蔵省入省(主計局総務課企画係配属)[9][10][11][2]。1984年7月、高山税務署長[9]。
1990年7月、主計局総務課長補佐(歳入・国債係担当)。1993年7月、主計局主計官補佐(厚生第一、第二係主査)[12]。
2000年7月、主計局主計官(厚生・労働担当)。2001年1月6日、財務省主計局主計官(厚生労働担当)。2002年8月、理財局財政投融資総括課長に就任。政策金融のあり方などを担う[10]。2003年7月11日、大臣官房秘書課長[13]。
2006年9月26日、第1次安倍内閣の内閣総理大臣秘書官に就任。その後は大臣官房参事官(大臣官房担当)、大臣官房審議官(主税局担当)、国税庁次長[14] [15]、国税庁次長兼税務大学校長、国税庁次長、理財局長などを歴任。
2012年8月17日、主税局長に就任。同年12月、第2次安倍内閣が発足。安倍晋三首相の信頼が厚く、主税局長時代、法人税実効税率引き下げなどの財政政策に尽力した[14]。
2014年7月4日、主計局長に就任。主税局と主計局の両局長を歴任したのは戦後初であった[2]。
森友学園問題
[編集]2016年6月14日、財務省は、豊中市の国有地に関する「普通財産売払決議書」を決裁[16][17]。同年6月17日、田中は同省を退官[18]。同年6月20日、同省近畿財務局は、学校法人森友学園との間で豊中市の国有地についての売買契約を締結した。売却金額は非公開とされた[19][3]。
同年10月1日、東京海上日動火災保険株式会社顧問に就任[20]。
2017年2月9日、朝日新聞が、払い下げの国有地に新設予定の安倍晋三記念小学校の名誉校長が安倍昭恵であること、森友学園側に契約違反があった場合、国が「1億3400万円」で買い戻す特約がついていたこと[注 1]、森友学園の籠池泰典理事長が売却額が買い戻し特約と同額と認めたこと、売却額は同じ規模の近隣国有地の10分の1であること、籠池が日本会議大阪の役員を務めていることなどを報じた[21]。
同年2月17日、安倍晋三首相は衆議院予算委員会で野党から追及を受けると「私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい」と答弁した[22][23][24]。同年2月26日、財務省は、国有地売却の決裁文書から安倍昭恵、鴻池祥肇の秘書、平沼赳夫の秘書、北川イッセイの副大臣秘書官らに関する記述を「できる限り早急に」削除するよう、近畿財務局の職員7人にメールで指示[注 2]。近畿財務局は同日から文書の改竄を開始した[25][28]。安倍首相と籠池の関係を指し示す記述も改竄が行われ、「籠池康博氏は、『日本会議大阪代表・運営委員』を始めとする諸団体に関与」「日本会議と連携する組織として、超党派による『日本会議国会議員懇談会』が平成9年5月に設立され、現在、会長に平沼赳夫議員、副会長に安倍晋三総理らが就任」などの文言が削除された[29][30][31]。
同年5月15日、市民団体「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」(代表:八木啓代)は、財務省が森友学園との交渉記録を廃棄したとして、田中、武内良樹、迫田英典、佐川宣寿、中尾睦、田村嘉啓、池田靖ら7人に対する公用文書等毀棄容疑での告発状を東京地方検察庁に提出した[32][33][34]。同年9月15日、東京地検は告発のあった被疑事件を大阪地方検察庁特別捜査部に移送した[35]。
同年12月22日、日本政策金融公庫総裁に就任する人事が、閣議了解される[36]。12月25日、臨時株主総会後の取締役会で就任[37]。
2018年3月2日、朝日新聞が一面トップで、国有地取引をめぐる決裁文書が書き換えられている疑いを初めて報じた[38]。同日夜、安倍首相は田中、北村滋内閣情報官、林肇駐ベルギー大使らと有楽町のフランス料理店で3時間にわたって会食した[39]。同年3月7日、近畿財務局の元上席財産管理官の赤木俊夫が自殺[40]。同年5月31日、大阪地方検察庁特別捜査部は、田中ら財務省幹部38人全員を不起訴処分とした[41]。同年6月13日、市民団体「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」は不起訴処分を不服として、田中ら被疑者24人について大阪検察審査会に申立てをした[42][43][44]。
職歴
[編集]年 | 月 | 事柄 |
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1979 | 4 | 大蔵省入省。 |
1983 | 7 | 厚生省大臣官房老人保健福祉部計画課主査[45]。 |
1984 | 高山税務署長。 | |
1985 | 大臣官房文書課長補佐(審査・管理担当)兼大臣官房秘書課長補佐(調査担当)[46]。 | |
1987 | 主税局税制第二課長補佐(消費税担当)[47]。 | |
1990 | 主計局総務課長補佐(歳入・国債係担当)。 | |
1991 | 6 | 主計局主計官補佐(厚生第三係主査)。 |
1993 | 7 | 主計局主計官補佐(厚生第一、第二係主査)。 |
1994 | 大臣官房秘書課長補佐(総括)[48]。 | |
1995 | 6 | 大臣官房企画官兼大臣官房秘書課。 |
1996 | 8 | 大臣官房付(コロンビア大学研究員)。 |
1998 | 2 | 財政金融研究所研究部長。 |
7 | 主税局調査課長。 | |
1999 | 主税局税制第三課長。 | |
2000 | 主計局主計官(厚生・労働担当)。 | |
2001 | 1 | 財務省主計局主計官(厚生労働担当)。 |
2002 | 8 | 理財局財政投融資総括課長。 |
2003 | 7 | 大臣官房秘書課長。 |
2006 | 大臣官房参事官(大臣官房担当)。 | |
9 | 安倍晋三内閣総理大臣秘書官。 | |
2007 | 大臣官房参事官(大臣官房担当)。 | |
2008 | 7 | 大臣官房審議官(主税局担当)。 |
2010 | 国税庁次長。 | |
2011 | 6 | 国税庁次長兼税務大学校長。 |
7 | 国税庁次長。 | |
8 | 理財局長。 | |
2012 | 主税局長。 | |
2014 | 7 | 主計局長。 |
2015 | 財務事務次官。 | |
2016 | 6 | 退官。財務省顧問。 |
10 | 東京海上日動火災保険株式会社顧問。 | |
2017 | 12 | 日本政策金融公庫総裁。 |
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 2017年6月29日、近畿財務局は買戻権を行使し、森友学園に売却した土地は大阪航空局所管の土地となった。所有権移転の登記手続も行われ、同日を異動年月日として国有財産台帳へ新たに記録された[19]。
- ^ 2021年6月22日、大阪地裁の命令により、「赤木ファイル」が国側から赤木雅子に対し開示された[25]。同月24日、財務省はファイルを国会にも提出し、書き換えに至る詳細なやりとりが明らかになった。ファイルの記述によれば、2017年2月26日15時48分、同省理財局係長は、近畿財務局の赤木俊夫、管財部次長の小西眞、統括国有財産管理官の池田靖ら7人の職員にメールを送信した。「当該個所をマーキングしておきましたので、(略)近畿局の決裁文書につづられている調書等を修正・差し替えする」「修正をお願いしたいのは、『調書』および『経緯』の部分」「できるだけ早急に対応願います」等と明記されており、早急の改竄を指示していた[26][27]。
出典
[編集]- ^ “EDINET提出書類 株式会社日本政策金融公庫(E23582) 臨時報告書” (PDF) (2017年12月26日). 2019年12月4日閲覧。
- ^ a b c d e “財務次官に田中主計局長 同期3代連続”. 日本経済新聞. (2015年5月28日) 2017年3月13日閲覧。
- ^ a b “森友学園問題年表(関連情報を含む)”. 政府の公文書のあり方を問う弁護士・研究者の会. 2023年4月22日閲覧。
- ^ 財務次官 田中一穂氏 首相にも直言の熱血漢 日本経済新聞. 2015年7月8日 3:30(有料)
- ^ a b 猛々しくも面白い 〜東大剣道部こそ我が人生の原点〜 剣道日本 2020年5月号特集
- ^ 『週刊読売 1974年4月6日号』1974年4月発行、137頁
- ^ 『【54-財務省“最強世代”の研究】(上) 同期3人が事務次官に』週刊文春
- ^ 『東大人名録 第1部』1986年発行、57頁
- ^ a b 税制講演会 平成29年度税制改正(案)のポイント 一般社団法人東京法人会連合会
- ^ a b 政策金融の使命と役割を踏まえ中小企業支援にむけて連携を強化したい TKCグループ 平成31年2月28日(木)
- ^ “同期の絆 日本政策金融公庫総裁・田中一穂”. 日本経済新聞 (2024年5月27日). 2024年5月27日閲覧。
- ^ 『週刊金融財政事情 第44巻、第25~32号』 金融財政事情研究会、1993年発行、73頁
- ^ 平成15年7月11日発令 財務省(Archived 2003年8月6日, at the Wayback Machine.)
- ^ a b “次期財務次官に田中氏 異例の三代同期組、政府方針”. 産経新聞. (2015年5月28日) 2017年3月13日閲覧。
- ^ “首相にも直言の熱血漢 財務次官・田中一穂氏”. 日本経済新聞. (2015年7月8日) 2017年3月13日閲覧。
- ^ “乙第14号証の1(森友学園問題)”. 弁護士山中理司のブログ. 2023年5月16日閲覧。
- ^ “普通財産売払決議書(平成28年6月14日)”. 財務省. 2023年5月16日閲覧。
- ^ “田中財務次官、最後の日に引き受けた「汚れ仕事」”. 日本経済新聞. (2016年6月21日) 2017年3月13日閲覧。
- ^ a b 会計検査院(2017年11月22日).
- ^ 「平成29年度税制改正(案)のポイント」一般社団法人東京法人会連合会
- ^ 吉村治彦、飯島健太 (2017年2月9日). “学校法人に大阪の国有地売却 価格非公表、近隣の1割か”. 朝日新聞 2017年5月14日閲覧。
- ^ “第193回国会 衆議院 予算委員会 第12号 平成29年2月17日”. 国会会議録検索システム. 2022年3月18日閲覧。
- ^ 小西洋之 (2018年7月20日). “安倍総理の「私や妻が関係していたということになれば、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめる」発言に関する質問主意書”. 参議院. 2022年3月18日閲覧。
- ^ “「私や妻が関係していたら辞める」のあと記録廃棄”. NHK (2018年6月4日). 2023年4月1日閲覧。
- ^ a b 原田晋也、皆川剛 (2021年6月23日). “森友問題「赤木ファイル」黒塗りでも読み解けたこと、残った謎 安倍昭恵氏の削除は初日に指示”. 東京新聞 2021年9月21日閲覧。
- ^ “『理財局長の指示』『修正には疑問』改ざんの経緯記した「赤木ファイル」 残されたメールから見えてきた"改ざんの実態"”. MBSニュース (2021年6月24日). 2023年4月19日閲覧。
- ^ “「赤木ファイル」-全518ページを読む 佐川氏が改ざんを直接指示-”. 社民党 (2021年7月9日). 2023年4月19日閲覧。
- ^ 渥美龍太、森本智之、桐山純平 (2021年6月23日). “決裁文書「議員に持って行くつもりない」 森友問題「赤木ファイル」ににじむ財務省の「本音」”. 東京新聞. 2023年4月1日閲覧。
- ^ 財務省(2018年3月12日), p. 44.
- ^ “決裁文書改ざんの財務省報告詳報”. 西日本新聞 (2018年3月12日). 2023年5月26日閲覧。
- ^ 朝日新聞取材班 2018, p. 193.
- ^ “財務省幹部の告発状提出 森友問題、記録廃棄の疑い”. 日本経済新聞 (2017年5月15日). 2023年4月21日閲覧。
- ^ “報道関係者各位”. 健全な法治国家のために声をあげる市民の会 (2017年5月15日). 2023年4月21日閲覧。
- ^ “告発状”. 健全な法治国家のために声をあげる市民の会 (2017年5月15日). 2023年4月21日閲覧。
- ^ “処分通知書(2017年9月15日)”. 東京地方検察庁 (2017年9月15日). 2023年4月21日閲覧。
- ^ 日本公庫総裁に田中氏を閣議了解 政府日本経済新聞 電子版 2017/12/22
- ^ 日本政策金融公庫 役員人事異動日本政策金融公庫
- ^ “スクープの裏側 「森友学園にまつわる公文書改ざん報道」から見る、記者たちの姿勢 ちょい読みで、わたしが広がる。”. 朝日新聞. 2023年5月16日閲覧。
- ^ “首相動静(2018年3月2日)”. 時事ドットコム. 2023年5月16日閲覧。
- ^ 相澤冬樹 (2020年3月17日). “森友自殺 財務省職員 遺書全文公開「すべて佐川局長の指示です」 妻は佐川元理財局長と国を提訴へ”. 文春オンライン. 2023年3月22日閲覧。
- ^ “森友改ざん・背任容疑、佐川氏ら全員を不起訴 大阪地検”. 朝日新聞 (2018年5月31日). 2023年4月19日閲覧。
- ^ “報道関係者各位(2018年6月13日)”. 健全な法治国家のために声をあげる市民の会 (2018年6月13日). 2023年4月21日閲覧。
- ^ “公用文書等毀棄罪(文書廃棄)についての申立書”. 健全な法治国家のために声をあげる市民の会 (2018年6月13日). 2023年4月21日閲覧。
- ^ “虚偽有印公文書作成及び行使(文書改ざん)についての申立書”. 健全な法治国家のために声をあげる市民の会 (2018年6月13日). 2023年4月21日閲覧。
- ^ 『職員録 第1部』大蔵省印刷局、1984年発行、1101頁
- ^ 『職員録 第1部』大蔵省印刷局、1986年発行、502頁
- ^ 『職員録 第1部』大蔵省印刷局、1988年発行、498頁
- ^ 『職員録 第1部』大蔵省印刷局、1995年発行、469頁
参考文献
[編集]- 『学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果について』会計検査院、2017年11月22日 。
- 『決裁文書の書き換えの状況』財務省、2018年3月12日 。
- 『森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書』財務省、2018年6月4日 。
- 『森友学園等との交渉記録【売却まで】』財務省、2018年5月23日。
関連項目
[編集]その他の役職 | ||
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先代 細川興一 |
日本政策金融公庫総裁 2017年 - |
次代 現職 |
官職 | ||
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先代 古谷一之 |
財務省主税局長 2012年 - 2014年 |
次代 佐藤慎一 |