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迫田英典

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
さこた ひでのり

迫田 英典
生誕 (1959-10-11) 1959年10月11日(65歳)
日本の旗 日本 山口県豊北町(現下関市豊北町)
活動期間 1982年 -
著名な実績 第47代国税庁長官
財務省理財局長
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迫田 英典(さこた ひでのり、1959年10月11日[1] - )は、日本財務官僚。第47代国税庁長官森友学園をめぐる問題で、国有地の売却交渉が行われたときの財務省理財局長を務めた[2][3]

来歴

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山口県豊北町(現下関市豊北町)出身[4]山口県立山口高等学校卒業[4]1982年3月、東京大学法学部第2類(公法コース)卒業[5]。同年4月、大蔵省入省[4][6]関税局企画課に配属される[7]。入省同期に、片山さつき(自民党参議院議員)、福田淳一(財務次官、主計局長)、佐川宣寿(国税庁長官)、梶川幹夫(関税局長)、田中修(税務大学校長) [8][9]遠藤俊英金融庁長官)らがいる。

2014年7月4日、財務省大臣官房総括審議官に就任。

森友学園問題

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2015年7月7日、財務省理財局長に就任[6]大阪府豊中市の国有地をめぐり、学校法人森友学園との売買交渉に当たった[2][3]

2016年6月17日、第47代国税庁長官に就任[10][11]。その直後の6月20日、財務省近畿財務局は、森友学園との間で売買契約を締結した。売却金額は非公開とされた[12][13]

2017年2月9日、朝日新聞が、払い下げの国有地に新設予定の安倍晋三記念小学校の名誉校長が安倍昭恵であること、森友学園側に契約違反があった場合、国が「1億3400万円」で買い戻す特約がついていたこと[注 1]、森友学園の籠池泰典理事長が売却額が買い戻し特約と同額と認めたこと、売却額は同じ規模の近隣国有地の10分の1であること、籠池が日本会議大阪の役員を務めていることなどを報じた[14]

同年2月17日、安倍晋三首相は衆議院予算委員会で野党から追及を受けると「私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい」と答弁した[15][16][17]。同年2月26日、財務省は、国有地売却の決裁文書から安倍昭恵、鴻池祥肇の秘書、平沼赳夫の秘書、北川イッセイの副大臣秘書官らに関する記述を「できる限り早急に」削除するよう、近畿財務局の職員7人にメールで指示。近畿財務局は同日から文書の改竄を開始した[18][19]。安倍首相と籠池の関係を指し示す記述も改竄が行われ、「籠池康博氏は、『日本会議大阪代表・運営委員』を始めとする諸団体に関与」「日本会議と連携する組織として、超党派による『日本会議国会議員懇談会』が平成9年5月に設立され、現在、会長に平沼赳夫議員、副会長に安倍晋三総理らが就任」などの文言が削除された[20][21][22]

同年3月22日、豊中市議会議員の木村真、市民ら230人は、土地の売却を担当した財務省近畿財務局の職員を氏名不詳のまま背任容疑で大阪地検特別捜査部に告発した[23][24]

同年3月24日、迫田は参議院予算委員会に参考人として出席。「当時、本件について報告を受けたことはなく政治的な配慮をするべくもなかった」と答弁した。国会議員やその秘書からの問い合わせがあったかどうかについても「一切なかった」と否定した[3][25]

同年5月15日、市民団体「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」(代表:八木啓代)は、財務省が森友学園との交渉記録を廃棄したとして、迫田、佐川宣寿田中一穂中尾睦武内良樹、田村嘉啓、池田靖ら7人に対する公用文書等毀棄容疑での告発状を東京地方検察庁に提出した[26][27][28]。同年9月15日、東京地検は告発のあった被疑事件を大阪地検特捜部に移送した[29]

2018年3月26日、社会民主党福島瑞穂は参議院予算委員会で、迫田、安倍昭恵、今井尚哉、昭恵の元秘書官の谷査恵子の証人喚問を要求した[30]。同年3月29日、希望の党緑川貴士も衆議院本会議で「迫田、安倍昭恵、今井、谷の証人喚問は必須と考える」と述べた[31]。同年5月31日、大阪地検特捜部は、迫田ら財務省関係者38人全員を不起訴処分とした[32][33]。同年6月13日、「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」は不起訴処分を不服として、迫田ら被疑者24人について大阪検察審査会に申立てをしたが[34][35][36][32]、結局、全員、不問とされた[37]

職歴

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著作

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脚注

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注釈

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  1. ^ 2017年6月29日、近畿財務局は買戻権を行使し、森友学園に売却した土地は大阪航空局所管の土地となった。所有権移転の登記手続も行われ、同日を異動年月日として国有財産台帳へ新たに記録された[12]

出典

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  1. ^ 『読売年鑑 2016年版』(読売新聞東京本社、2016年)p.191-192
  2. ^ a b 森友、迫田局長の証人喚問必要”. ロイター (2018年3月16日). 2023年4月21日閲覧。
  3. ^ a b c 迫田国税庁長官「政治的な配慮していない」 森友問題”. 日本経済新聞 (2017年3月24日). 2023年4月21日閲覧。
  4. ^ a b c “毎日フォーラム・霞が関ふるさと記 山口県(下)”. 毎日新聞. (2016年2月10日). https://mainichi.jp/articles/20160209/org/00m/010/028000c 2017年2月24日閲覧。 
  5. ^ 『東大人名録,第1部』1986年発行、50ページ
  6. ^ a b c “財務省、理財局長に迫田氏を起用 官房長に岡本氏”. 日本経済新聞. (2015年6月23日). https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS22H75_S5A620C1EE8000/ 2017年2月24日閲覧。 
  7. ^ 国税庁新長官 迫田英典氏にインタビュー 税務研究会 2016年7月18日
  8. ^ 「大蔵『57年入省組』呪われた16年ー逮捕あり、自殺あり、退職あり…」 週刊文春 (1998年5月28日号)
  9. ^ 哀れ、「苦労人」佐川氏の末路~父親を亡くした後は、兄が学費を捻出 データマックス Net-IB News (2018年3月20日)
  10. ^ a b c “国税庁 新長官「公平な課税に努める」”. 毎日新聞. (2016年6月29日). https://mainichi.jp/articles/20160630/k00/00m/040/074000c 2017年2月24日閲覧。 
  11. ^ a b “国税庁長官に迫田氏 財務省主税局長には星野氏”. 日本経済新聞. (2016年6月14日). https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS14H0H_U6A610C1EAF000/ 2017年2月24日閲覧。 
  12. ^ a b 会計検査院(2017年11月22日).
  13. ^ 森友学園問題年表(関連情報を含む)”. 政府の公文書のあり方を問う弁護士・研究者の会. 2023年4月22日閲覧。
  14. ^ 吉村治彦、飯島健太 (2017年2月9日). “学校法人に大阪の国有地売却 価格非公表、近隣の1割か”. 朝日新聞. http://www.asahi.com/articles/ASK264H4YK26PPTB00J.html 2017年5月14日閲覧。 
  15. ^ 第193回国会 衆議院 予算委員会 第12号 平成29年2月17日”. 国会会議録検索システム. 2022年3月18日閲覧。
  16. ^ 小西洋之 (2018年7月20日). “安倍総理の「私や妻が関係していたということになれば、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめる」発言に関する質問主意書”. 参議院. 2022年3月18日閲覧。
  17. ^ 「私や妻が関係していたら辞める」のあと記録廃棄”. NHK (2018年6月4日). 2023年4月1日閲覧。
  18. ^ 原田晋也、皆川剛 (2021年6月23日). “森友問題「赤木ファイル」黒塗りでも読み解けたこと、残った謎 安倍昭恵氏の削除は初日に指示”. 東京新聞. https://www.tokyo-np.co.jp/article/112153 2021年9月21日閲覧。 
  19. ^ 渥美龍太、森本智之、桐山純平 (2021年6月23日). “決裁文書「議員に持って行くつもりない」 森友問題「赤木ファイル」ににじむ財務省の「本音」”. 東京新聞. 2023年4月1日閲覧。
  20. ^ 財務省(2018年3月12日), p. 44.
  21. ^ 決裁文書改ざんの財務省報告詳報”. 西日本新聞 (2018年3月12日). 2023年5月26日閲覧。
  22. ^ 朝日新聞取材班 2018, p. 193.
  23. ^ 朝日新聞取材班 2018, p. 132.
  24. ^ 近畿財務局を告発 森友に格安売却“国に損害”豊中市議ら”. しんぶん赤旗 (2017年3月23日). 2023年5月18日閲覧。
  25. ^ 第193回国会 参議院 予算委員会 第16号 平成29年3月24日”. 国会会議録検索システム. 2023年4月21日閲覧。
  26. ^ 財務省幹部の告発状提出 森友問題、記録廃棄の疑い”. 日本経済新聞 (2017年5月15日). 2023年4月21日閲覧。
  27. ^ 報道関係者各位(2017年5月15日)”. 健全な法治国家のために声をあげる市民の会 (2017年5月15日). 2023年4月21日閲覧。
  28. ^ 告発状”. 健全な法治国家のために声をあげる市民の会 (2017年5月15日). 2023年4月21日閲覧。
  29. ^ 処分通知書(2017年9月15日)”. 東京地方検察庁 (2017年9月15日). 2023年4月21日閲覧。
  30. ^ 第196回国会 参議院 予算委員会 第13号 平成30年3月26日”. 国会会議録検索システム. 2023年5月23日閲覧。
  31. ^ 第196回国会 衆議院 本会議 第13号 平成30年3月29日”. 国会会議録検索システム. 2023年5月23日閲覧。
  32. ^ a b 森友改ざん・背任容疑、佐川氏ら全員を不起訴 大阪地検”. 朝日新聞 (2018年5月31日). 2023年4月19日閲覧。
  33. ^ 処分通知書(2018年6月1日)”. 大阪地方検察庁 (2018年6月1日). 2023年4月21日閲覧。
  34. ^ 報道関係者各位(2018年6月13日)”. 健全な法治国家のために声をあげる市民の会 (2018年6月13日). 2023年4月21日閲覧。
  35. ^ 公用文書等毀棄罪(文書廃棄)についての申立書”. 健全な法治国家のために声をあげる市民の会 (2018年6月13日). 2023年4月21日閲覧。
  36. ^ 虚偽有印公文書作成及び行使(文書改ざん)についての申立書”. 健全な法治国家のために声をあげる市民の会 (2018年6月13日). 2023年4月21日閲覧。
  37. ^ 佐川氏ら再び不起訴 大阪地検、森友問題の捜査終結”. 日本経済新聞 (2019年8月10日). 2023年4月21日閲覧。
  38. ^ 『職員録 第1部』大蔵省印刷局、1986年発行、503頁
  39. ^ 『職員録 第1部』大蔵省印刷局、1987年発行、495頁
  40. ^ 『週刊金融財政事情,第39巻、第25~36号』 金融財政事情研究会、1988年、73ページ
  41. ^ a b c d e 『全国官公界名鑑 2002年』同盟通信社、2002年、48頁
  42. ^ 『職員録 第1部』大蔵省印刷局、1990年発行、502頁
  43. ^ 『大蔵省の憂鬱:挫折したエリート行政』日本経済新聞社、1992年4月発行、227頁
  44. ^ 『週刊金融財政事情,第43巻、第18~29号』 金融財政事情研究会、1992年、89ページ
  45. ^ “徳島県企画総務部長に就任した迫田英典さん”. 徳島新聞. (2002年8月8日). http://www.topics.or.jp/special/12254542636/2002/08/11660875411338.html 2017年2月24日閲覧。 
  46. ^ “財務次官に福田氏=国税庁長官は佐川氏-5日付”. 時事通信. (2017年7月4日). オリジナルの2017年8月21日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170821171230/https://www.jiji.com/sp/article?k=2017070400606&g=eco 2017年7月5日閲覧。 
  47. ^ 【入所】迫田英典氏顧問就任のお知らせ”. TMI総合法律事務所. 2017年3月2日閲覧。
  48. ^ 迫田英典 Hidenori Sakota”. TMI総合法律事務所. 2018年2月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年3月14日閲覧。
  49. ^ 国立国会図書館サーチ”. 国立国会図書館. 2017年3月2日閲覧。

参考文献

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関連項目

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官職
先代
中原広
財務省理財局長
第49代:2015年 - 2016年
次代
佐川宣寿
先代
浅川雅嗣
財務省大臣官房総括審議官
2014年 - 2015年
次代
太田充
先代
宮内豊
関東信越国税局長
2013年 - 2014年
次代
川上尚貴
先代
石原一彦
徳島県企画総務部長
2002年 - 2004年
次代
里見光一郎
先代
小林剛
東京国税局徴収部長
1999年 - 2000年
次代
太田充