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2022年8月21日 (日) 20:24時点における版
自然環境
動植物
植物
植生は、県を南北に分かつ地形のため、北限・南限植物が多く[1]、標高400メートル以下にイチイガシ、標高400-600メートルにウラジロガシ、標高600-1000メートルにモミやツガ、標高1000メートル以上にブナの自然林が分布する。山頂の南側にシャクナゲの群落がある[1]ほか、寒蘭の自生地もある。また、世界でも尾鈴山にしか見られないキバナノツキヌキホトトギス、尾鈴山地周辺地域にしか見られないウラジロミツバツツジ、ナガバナサンショウソウなどの固有種が分布する。上面木(じょうめき)山の付近一帯にはセンブリ、ワラビの自生地がある[2]。
尾鈴山一体は日向市域の一部をのぞき、国有林となっている。
植物ではキバナノツキヌキホトトギス、シャクナゲ、コウヤマキの群生がある[1]。
尾鈴林木遺伝資源保存林→尾鈴アカマツ等遺伝資源希少個体群保護林[3]
尾鈴植物群落保護林→尾鈴コウヤマキ希少個体群保護林[4]
動物
イノシシ、シカなど[1]のほか、ニホンカモシカの生息も確認されている。渓流魚のヤマメなども生息する[1]。
鳥獣保護区
尾鈴山鳥獣保護区3944ha[5]。 このうち万吉山から矢筈岳の稜線一帯は特別保護地区に指定されている。青鹿鳥獣保護区の一部、石川内鳥獣保護区の一部、芋ヶ八重・櫛野鳥獣保護区、川原鳥獣保護区
地質
四万十層群と宮崎層群の間に割り込む形で分布する尾鈴酸性岩体と呼ばれる火成岩から成る。中新世の1500万年前、大規模な火砕流の噴出を伴う大噴火があり、耳川河口付近を中心とした直径40キロメートルの尾鈴カルデラと呼ばれるカルデラが形成された。火砕流は周辺に溶結凝灰岩の地層を残した。その後、カルデラの西側にマグマが貫入し花崗斑岩からなる岩体となった。これら一連の火山活動は数百万年に及んだ。やがて九州山地の隆起に伴って岩体が地表に露出したものが尾鈴山である。
歴史
古くは山麓の古地名「新納院」に因んで新納山(にいろさん)と呼ばれていた。「尾鈴山」の名称の由来については次のような伝説がある。山麓の牧場にしばしば白馬が出現し、後に山の神が白馬に乗って麓の神社を参詣したものであることがわかった。その際に鈴の音が聞こえたことから白馬は「お鈴様」と呼ばれるようになり、山名の由来となったというものである。また、山の尾根にスズタケが茂っていることから名付けられたともいわれる[6]。
矢研の滝にはニギハヤヒが天の磐船に乗って天降した際に鏃(やじり)を研いだとする説があり、滝の上には「天の磐船」と呼ばれる巨石がある。また、神武東征において鏃を研いだとする説もある。
古くから山岳信仰の対象となっており、周辺の農民たちは山にかかる雲の様子で天候を予測したほか、日向灘を往来する船乗りたちもこの山を目印として船の位置を確認していた。旱魃の年にはしばしば雨乞いが行われた。中世には修験道の霊山となっており、瀑布群は修行のために利用されていた。
江戸時代においては高鍋藩の管轄下にあり林業が盛んであった。特に木炭は日向国における主要産地の一つであり、大阪などの市場へ出荷されていた。木材を運搬するために1909年(明治42年)から名貫川沿いに敷設された森林軌道(森林鉄道)が使われるようになり、1915年(大正4年)には都農土場(都農町市街地)まで、1924年(大正13年)には都農駅まで延長された。軌道はその後も1945年(昭和20年)頃まで整備が続けられたが、その後の台風被害や林道整備によって使われなくなり1958年(昭和33年)に廃止されている。
近代に入ってから観光地としての整備が行われ、1944年(昭和19年)に尾鈴山瀑布群が名勝に指定され、1958年(昭和33年)には128.5平方キロメートルが尾鈴県立公園(後の尾鈴県立自然公園)に指定されている。
脚注
出典
- ^ a b c d e 山と渓谷社YAMAKEI ONLINE「尾鈴山」
- ^ 引用エラー: 無効な
<ref>
タグです。「県トレッキングマップ
」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません - ^ 林野庁九州森林管理局「尾鈴アカマツ等遺伝資源希少個体群保護林」
- ^ 林野庁九州森林管理局「尾鈴コウヤマキ希少個体群保護林」
- ^ 「令和3年度年度鳥獣保護区等位置図(ハンターマップ) 鳥獣保護区一覧」
- ^ 折元秀穂 『新編・九州の山と高原』 p.304、西日本新聞社、1985年、ISBN 4-8167-0111-7
注釈
参考文献
- 木城町編・発行 『木城町史』 1991年
- 都農町編・発行 『都農町史』 1998年
- 天本孝志 『九州の山と伝説 総集篇』 葦書房、1983年