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'''エイシンサニー'''<ref name="jbis">{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000200565/ |title= エイシンサニー |work=JBISサーチ |publisher=公益社団法人日本軽種馬協会|accessdate=2019-09-04}}</ref>は、[[日本]]の[[競走馬]]である。おもな勝鞍は、1990年の[[優駿牝馬]]（オークス）、[[報知杯4歳牝馬特別]]。優駿牝馬の勝ちタイム2分26秒1は当時のレースレコードであった。[[主戦騎手]]は[[岸滋彦]]。2021年に死亡するまで[[メインキャスター]]に次ぐ2番目に長寿の重賞勝ち存命馬（牝馬）であり、'''生存が確認されていたGI馬（牝馬）'''の長寿記録の持ち主であった。
'''エイシンサニー'''（欧字名:{{Lang|en|Eishin Sunny}}、[[1987年]][[3月29日]] - [[2021年]][[2月17日]]）は、[[日本]]の[[競走馬]]、[[繁殖牝馬]]<ref name="jbis">{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000200565/ |title= エイシンサニー |work=JBISサーチ |publisher=公益社団法人日本軽種馬協会|accessdate=2019-09-04}}</ref>。


主な勝ち鞍は、1990年の[[優駿牝馬]]（オークス）（{{GI}}）、[[報知杯4歳牝馬特別]]（{{GII}}）。
== 戦績 ==
[[1989年]]8月に[[小倉競馬場]]でデビュー。小倉では3戦するものの未勝利に終わり9月の[[阪神競馬場|阪神]]未勝利戦で初勝利をあげる。その後、10月 - 12月にかけて5戦するものの条件戦1勝に終わる。


== 生涯 ==
年明け後、前年ほどのヘビーローテーションではないものの1ヶ月間隔でレースに使われている。2月の[[エルフィンステークス]]で、後の[[桜花賞]]馬[[アグネスフローラ]]と初対戦。この時は先行したアグネスフローラを捕らえることが出来なかった。次走の[[フィリーズレビュー|4歳牝馬特別]]は、6番人気と評価が低かったものの、強烈な末脚を繰り出し重賞初制覇を達成した。


=== デビューまで ===
前走の重賞勝利によって穴人気で迎えた桜花賞だったが、道中不利があったこともあり、アグネスフローラから1秒4離された4着に終わった。アグネスフローラの強さだけが目立つレースであった。
レディアリスは、1956年に生産された牝馬で、イギリスで競走馬として5戦1勝<ref name="JBIS-レディアリス">{{Cite web|title=レデイアリス(GB)|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000377489/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-12-05}}</ref>。[[繁殖牝馬]]となった後、1962年12月に日本へ輸入された<ref>『優駿』1990年7月号 147頁</ref>。[[北海道]][[三石町 (北海道)|三石町]]の本桐牧場に繋養され、産駒には1966年の[[クイーンカップ]]を勝利したメジロマジョルカ<ref>{{Cite web|title=メジロマジヨルカ|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000011158/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-12-05}}</ref>（父:ドゥーテル）、1969年の[[天皇賞（秋）]]を勝利した[[メジロタイヨウ]]<ref>{{Cite web|title=メジロタイヨウ|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000012623/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-12-05}}</ref>（父:[[チャイナロック]]）、1973年の[[京都新聞杯]]を勝利したトーヨーチカラ<ref>{{Cite web|title=トーヨーチカラ|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000037051/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-12-05}}</ref>（父:フィダルゴ）などがいた<ref>{{Cite web|title=繁殖牝馬情報：牝系情報｜レデイアリス(GB)|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000377489/broodmare/info/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-12-05}}</ref>。


1978年11月、北海道[[浦河町]]にて、馬主の[[平井豊光]]が競走馬生産を行う[[栄進牧場]]を開場<ref name="優駿-1990-7-144147" />。17年間本桐牧場に在籍していた名古屋一征が移籍し、牧場長に任命された<ref name="優駿-1990-7-144147" />。名古屋は、修業した本桐牧場で同じ時を過ごしたレディアリスに思い入れがあり、その血を引く牝馬での生産を平井に直訴<ref name="優駿-1990-8-2527">『優駿』1990年8月号 25-27頁</ref>。平井は、本桐牧場で生産され、三代母（母の母の母）にレディアリスがいる牝の仔を購入した<ref name="優駿-1990-8-2527"/>。仔には「エイシンナツコ」と名付けられ、競走馬として[[中央競馬]]で26戦3勝<ref name="JBIS-エイシンナツコ" />。引退後は、栄進牧場で繁殖牝馬となった<ref name="JBIS-エイシンナツコ" />。エイシンナツコの繁殖初年度は、[[ブレイヴェストローマン]]と交配し、1986年に初仔の牡馬を生産<ref name="JBIS-エイシンナツコ牝系">{{Cite web|title=繁殖牝馬情報：牝系情報｜エイシンナツコ|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000129486/broodmare/info/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-12-05}}</ref>。続く2回目の交配では、[[ミルジョージ]]が選ばれた<ref name="JBIS-エイシンナツコ牝系" />。1987年3月29日、栄進牧場にて2番仔となる[[鹿毛]]の牝馬（後のエイシンサニー）が誕生する<ref name="jbis"/>。
桜花賞から直行して迎えたオークス。レースは、最初の1000メートルの通過タイムが、58秒6という異例のハイペースで推移し、圧倒的人気のアグネスフローラが直線抜け出したものの、出走馬唯一[[上がり (競馬)|上がり]]35秒台の素晴らしい末脚を繰り出しゴール前でアグネスフローラを4分の3馬身差し切った。鞍上の岸は、前年の[[エリザベス女王杯]]に続く牝馬GI制覇となった。


2番仔は平井が所有し、平井の用いる[[冠名]]「エイシン」に「サニー」を組み合わせた「'''エイシンサニー'''」という競走馬名が与えられた<ref name="jbis"/>。平井の所有馬や栄進牧場の生産馬は、平井が懇意にしている調教師が[[ドラフト会議]]の要領で自ら管理馬を決定しており<ref name=":1">『優駿』1990年7月号 82-85頁</ref>、エイシンサニーは、指名順が最下位だった[[栗東トレーニングセンター]]所属の[[坂口正則]]調教師に3巡目{{Refnest|group="注釈"|1巡目の指名のみ、母馬を管理していた調教師にその仔を指名する優先権が存在していた。2巡目から、ドラフト会議の要領で抽選が行われている。なおエイシンサニーの母、エイシンナツコは、栗東の湯浅三郎厩舎に所属していた<ref name="JBIS-エイシンナツコ">{{Cite web|title=エイシンナツコ|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000129486/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-12-05}}</ref>。}}で指名された<ref name=":1" />。
その後、休養を挟んだ秋競馬では凡走を繰り返し、翌年2月の[[目黒記念]]の10着を最後に引退した。

=== 競走馬時代 ===
3歳である1989年夏、[[小倉競馬場]]に遠征。8月12日の[[新馬戦]]（芝1000メートル）でデビューし5着。デビュー前から管骨[[骨膜炎]]（ソエ）の発症しており、坂口は回避を考えるほどの状態であった<ref name="優駿-1990-5-144145" />。坂口によれば「せっかく連れてきたんだから試しに使ってみよう<ref name="優駿-1990-5-144145" />」ということで小倉で出走させて3連敗となった。その後本州に戻って9月24日、[[阪神競馬場]]の未勝利戦（芝1200メートル）で初勝利<ref name="jbisrcd" />。それから年越しまで5戦に出走、そのうち11月26日のカトレア賞（400万円以下）では2勝目を挙げた。4歳となった1990年は、1月の[[紅梅ステークス|紅梅賞]]（OP）で始動し2着。2月の[[エルフィンステークス]]（OP）では3着となった<ref name="jbisrcd" />。

続いて陣営は、桜花賞の指定オープン競走である[[チューリップ賞]]（OP）を予定したが、岸が騎手免許更新のための面接を失念して1か月謹慎<ref name="優駿-1990-5-144145" />。そのため謹慎中に行われるチューリップ賞を回避し、謹慎が明けた3月18日、桜花賞の[[トライアル競走]]である[[報知杯4歳牝馬特別]]（{{GII}}）に出走<ref name="優駿-1990-5-144145" />。[[朝日杯3歳ステークス]]で牡馬の[[アイネスフウジン]]に次ぐ2着となったサクラサエズリが、単勝オッズ1.6倍の1番人気となり、エイシンサニーは15.8倍の6番人気であった<ref>{{Cite web|title=報知杯4歳牝馬特別｜1990年3月18日 {{!}} 競馬データベース - netkeiba.com|url=https://db.netkeiba.com/race/199009020811/|website=db.netkeiba.com|accessdate=2021-12-05}}</ref>。サクラサエズリが先手を主張し、競りかけてきたもう1頭とともに逃げてハイペースとなる中、最後方に待機<ref name="優駿-1990-5-144145" />。最終コーナーから外に持ち出して追い上げた。失速するサクラサエズリら先行勢を差し切り、後方に1馬身4分の3差をつけて入線<ref name="優駿-1990-5-144145">『[[優駿]]』1990年5月号 144-145頁</ref>。[[重賞]]初勝利となり、[[優先出走権]]を獲得した<ref name="優駿-1990-5-144145" />。それから、桜花賞（{{GI}}）に5番人気で出走、中団に位置した<ref name="優駿-1990-6-130133" />。前を行く馬の2頭が、向こう正面と3、4コーナーでそれぞれ落馬により[[競走中止|競走を中止]]<ref name="優駿-1990-6-130133" />。その影響で不利を受けながらの追走となった。直線では外に持ち出して追い上げたが、先行したアグネスフローラに2馬身以上及ばず4着<ref name="優駿-1990-6-130133" />。[[優駿牝馬]]の[[優先出走権]]を獲得した<ref name="優駿-1990-6-130133">『優駿』1990年6月号 130-133頁</ref>。

5月20日、優駿牝馬（オークス）（{{GI}}）に出走。桜花賞優勝馬のアグネスフローラが[[単枠指定制度]]の対象となり<ref name="優駿-1990-7-144147">『優駿』1990年7月号 144-147頁</ref>、単勝オッズ2.5倍の1番人気の支持。対してエイシンサニーは、12.2倍の5番人気であった<ref>{{Cite web|title=優駿牝馬｜1990年5月20日 {{!}} 競馬データベース - netkeiba.com|url=https://db.netkeiba.com/race/199005030210/|website=db.netkeiba.com|accessdate=2021-12-05}}</ref>。1頭が大逃げを打つ中、後続は一団となり、エイシンサニーは一団の後方であった。第3コーナーからは後続が位置を上げて、逃げ馬とのリードを縮めた<ref name="優駿-1990-7-144147" />。
{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=KzgSdWpQoXM&ab_channel=JRA%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB 1990年 優駿牝馬（オークス）<br />レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画]}}直線では内外にばらけて追い上げを図り、エイシンサニーは馬群の中央に位置<ref name="優駿-1990-7-144147" />。まず先行した3番人気のケリーバッグと18番人気の[[イクノディクタス]]、中団に位置した1番人気のアグネスフローラが大逃げの馬をかわして3頭の先頭を争い、その中から馬群の中央にいたアグネスフローラが抜け出していた<ref name="優駿-1990-7-144147" />。同じ頃、そのアグネスフローラの背後、数馬身後ろにいたエイシンサニーが仕掛けて、アグネスフローラの内側から追い上げを開始<ref name="優駿-1990-7-144147" />。残り100メートルでアグネスフローラに並びかけて2頭の競り合いとなり、エイシンサニーがそれを制した<ref name="優駿-1990-7-144147" />。岸がムチを持つ右手でガッツポーズをしながら、アグネスフローラに4分の3馬身差をつけて入線、{{GI}}初勝利となった<ref name="優駿-1990-7-144147" />。また、走破タイム2分26秒1は、1977年に[[リニアクイン]]が記録した2分28秒1を2秒上回り、レースレコードを樹立した<ref name="優駿-1990-7-144147" />。

その後は、栄進牧場で夏休みを過ごした<ref>『優駿』1990年10月号 24頁　</ref>。秋は、[[神戸新聞杯]]（{{GII}}）で始動し5着。以降、[[ローズステークス]]（{{GII}}）から[[有馬記念]]（{{GI}}）まで4戦するもすべて着外<ref name="jbisrcd" />。古馬となった1991年、[[目黒記念]]（{{GII}}）で10着に敗れ、6連敗となったのを最後に競走馬を引退した<ref name="jbisrcd" />。

=== 繁殖牝馬時代 ===
引退後は、生まれ故郷の栄進牧場で繁殖牝馬となった。1992年から2007年までに10頭を生産<ref name=":0" />。1998年に生産した6番仔のエイシンハリマオ―（父:[[トウカイテイオー]]）は、2003年の[[愛知杯]]（{{GIII}}）、[[米子ステークス]]（OP）、[[関屋記念]]（{{GIII}}）で2着となっている<ref name="エイシンハリマオー" />。10頭の内、初仔のエイシンプリンセス（父:[[ノーザンテースト]]）と8番仔のエイシンホリデイ（父:[[エイシンサンディ]]）は繁殖牝馬となった。このうち、エイシンプリンセスの孫で、エイシンサニーの曾孫にあたるエーシンブラン（父:[[スウェプトオーヴァーボード]]）は2011年の[[兵庫チャンピオンシップ]]（{{JpnII}}）、2010年のダリア賞（OP）を勝利した<ref>{{Cite web|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0001092440/pedigree/|title=エーシンブラン 血統情報：5代血統表|work=JBISサーチ|publisher=公益社団法人日本軽種馬協会|accessdate=2019-09-04}}</ref>。

繁殖牝馬引退後は、功労馬として余生を過ごした<ref name=":2">{{Cite web|title=１９９０年オークス馬エイシンサニー死す…３４歳|url=https://race.sanspo.com/keiba/news/20210218/etc21021821330006-n1.html|website=サンスポZBAT！競馬|date=2021-02-18|accessdate=2021-12-05|language=ja-JP}}</ref>。2021年2月17日朝、放牧されていたが、地面の凍結部分に脚をとられて転倒<ref name=":2" />。それ以降立ち上がれず、同日午後に34歳で死亡した<ref name=":2" />。


==競走成績==
==競走成績==
以下の内容は、netkeiba.com<ref name="netrcd">{{Cite web|url= https://db.netkeiba.com/horse/result/1987104444/ |title= エイシンサニーの競走成績|work=netkeiba|publisher=Net Dreamers Co., Ltd.|accessdate=2019-09-04}}</ref>、JBISサーチ<ref name="jbisrcd">{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000200565/record/ |title= エイシンサニー 競走成績|work=JBISサーチ |publisher=公益社団法人日本軽種馬協会|accessdate=2019-09-04}}</ref>に基づく。
以下の内容は、[[netkeiba.com]]<ref name="netrcd">{{Cite web|url= https://db.netkeiba.com/horse/result/1987104444/ |title= エイシンサニーの競走成績|work=netkeiba|publisher=Net Dreamers Co., Ltd.|accessdate=2019-09-04}}</ref>およびJBISサーチ<ref name="jbisrcd">{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000200565/record/ |title= エイシンサニー 競走成績|work=JBISサーチ |publisher=公益社団法人日本軽種馬協会|accessdate=2019-09-04}}</ref>に基づく。
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|{{0|R}}2:26.5（47.7）
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|{{0}}岸滋彦
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|{{0}}[[田島良保]]
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*タイム欄の{{color|darkred|R}}はレコード勝ちを示す。
*タイム欄の{{color|darkred|R}}はレコード勝ちを示す。


== 繁殖牝馬時代 ==
== 繁殖牝馬成績 ==
引退後は、栄進牧場で繁殖生活に入ったものの、産駒としては[[愛知杯]]と[[関屋記念]]で2着に入ったエイシンハリマオーが目立つ程度であり<ref name="エイシンハリマオー"/>、[[アグネスフライト]]と[[アグネスタキオン]]のクラシックホース2頭を輩出のアグネスフローラに大きく水をあけられた。孫以降の世代では、自身の曾孫でエイシンプリンセスの孫にあたるエーシンブランが[[兵庫チャンピオンシップ]]を制している<ref>{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0001092440/pedigree/ |title= エーシンブラン 血統情報：5代血統表|work=JBISサーチ |publisher=公益社団法人日本軽種馬協会|accessdate=2019-09-04}}</ref>。

2021年2月17日、死亡した。33歳325日だった<ref>[https://www.meiba.jp/news/view/4081 エイシンサニーの死亡について] - 引退名馬</ref>。エイシンサニーの死亡により、昭和生まれのG1馬が姿を消すこととなり、2021年8月20日現在で生存が確認されている最年長G1馬は、牡馬およびセン馬を含めると[[ウイニングチケット]]、牝馬に限ると[[フラワーパーク]]となった。


===産駒一覧===
===産駒一覧===
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!||生年||馬名||性||毛色||父||馬主||管理調教師||戦績||主な勝利競走||供用||出典
!||生年||馬名||性||毛色||父||馬主||管理調教師||戦績||主な勝利競走||供用||出典
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|初仔||[[1992年]]||エイシンプリンセス||牝||鹿毛||[[ノーザンテースト]]||rowspan="2"|平井豊光||rowspan="2"|栗東・坂口正則||9戦0勝||||（繁殖牝馬）||<ref>{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000257834/ |title=エイシンプリンセス |publisher=JBISサーチ|accessdate=2019-09-04}}</ref>
|初仔||1992年||エイシンプリンセス||牝||鹿毛||[[ノーザンテースト]]||rowspan="2"|平井豊光||rowspan="2"|坂口正則（栗東）||9戦0勝||||繁殖牝馬||<ref>{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000257834/ |title=エイシンプリンセス |publisher=JBISサーチ|accessdate=2019-09-04}}</ref>
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|2番仔||[[1993年]]||エイシンダンシング||牡||rowspan="2"|黒鹿毛||[[ダンシングブレーヴ]]||（不出走）||||||<ref>{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000268990/ |title=エイシンダンシング |publisher=JBISサーチ|accessdate=2019-09-04}}</ref>
|2番仔||1993年||エイシンダンシング||牡||rowspan="2"|黒鹿毛||[[ダンシングブレーヴ]]||不出走|| ||抹消||<ref>{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000268990/ |title=エイシンダンシング |publisher=JBISサーチ|accessdate=2019-09-04}}</ref>
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|-
|3番仔||[[1994年]]||エイシンサニーオー||牡→[[せん馬|&#39480;]]||[[サンデーサイレンス]]||平井豊光<br>→木村郁||栗東・坂口正則<br>→[[高知競馬場|高知]]・[[竹内昭利]]||29戦2勝（うち地方10戦1勝）|||||||<ref>{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000278454/ |title=エイシンサニーオー |publisher=JBISサーチ|accessdate=2019-09-04}}</ref>
|3番仔||1994年||エイシンサニーオー||牡
→[[せん馬|&#39480;]]
|[[サンデーサイレンス]]||平井豊光<br>→木村郁||坂口正則（栗東）<br>→竹内昭利（[[高知競馬場|高知]]）||29戦2勝|| ||抹消
||<ref>{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000278454/ |title=エイシンサニーオー |publisher=JBISサーチ|accessdate=2019-09-04}}</ref>
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|4番仔||[[1996年]]||エイシンマンノオー||牡||rowspan="4"|鹿毛||[[サクラバクシンオー]]||平井豊光||栗東・坂口正則||21戦3勝|| ||||<ref>{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000301792/ |title=エイシンマンノオー |publisher=JBISサーチ|accessdate=2019-09-04}}</ref>
|1995年
|産駒なし
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|[[リアルシャダイ]]
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|<ref name=":0">{{Cite web|title=繁殖牝馬情報：牝系情報｜エイシンサニー|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000200565/broodmare/info/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-12-01}}</ref>
|-
|-
|5番仔||[[1997年]]||エイシンキンバリー||牡→[[せん馬|&#39480;]]||[[ジェネラス]]||平井豊光<br>→木村郁||栗東・坂口正則<br>→高知・竹内昭利||77戦6勝（うち地方70戦6勝）||||||<ref>{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000313218/ |title=エイシンキンバリー |publisher=JBISサーチ|accessdate=2019-09-04}}</ref>
|4番仔||1996年||エイシンマンノオー||牡|| rowspan="4" |鹿毛||[[サクラバクシンオー]]||平井豊光||坂口正則（栗東）||21戦3勝|| ||抹消
|<ref>{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000301792/ |title=エイシンマンノオー |publisher=JBISサーチ|accessdate=2019-09-04}}</ref>
|-
|-
|5番仔||1997年||エイシンキンバリー||牡
|6番仔||[[1998年]]||エイシンハリマオー||rowspan="2"|牡||[[トウカイテイオー]]||rowspan="3"|平井豊光||rowspan="2"|栗東・坂口正則<br>→[[笠松競馬場|笠松]]・[[伊藤強一]]||46戦5勝（うち地方4戦0勝）||||||<ref name="エイシンハリマオー">{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000325935/ |title=エイシンハリマオー |publisher=JBISサーチ|accessdate=2019-09-04}}</ref>
→[[せん馬|&#39480;]]
|[[ジェネラス]]||平井豊光<br>→木村郁||坂口正則（栗東）<br>→竹内昭利（高知）||77戦6勝|| ||抹消
|<ref>{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000313218/ |title=エイシンキンバリー |publisher=JBISサーチ|accessdate=2019-09-04}}</ref>
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|-
|6番仔||1998年||エイシンハリマオー|| rowspan="2" |牡||[[トウカイテイオー]]|| rowspan="2" |平井豊光|| rowspan="2" |坂口正則（栗東）<br>→伊藤強一（[[笠松競馬場|笠松]]）||46戦5勝|| ||抹消
|7番仔||[[1999年]]||エイシンツヨシオー||[[エイシンワシントン]]||37戦3勝（うち地方2戦0勝）||||||<ref>{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000612596/ |title=エイシンツヨシオー |publisher=JBISサーチ|accessdate=2019-09-04}}</ref>
|<ref name="エイシンハリマオー">{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000325935/ |title=エイシンハリマオー |publisher=JBISサーチ|accessdate=2019-09-04}}</ref>
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|-
|7番仔||1999年||エイシンツヨシオー||[[エイシンワシントン]]||37戦3勝|| ||抹消
|8番仔||[[2002年]]||エイシンホリデイ||牝||青鹿毛||[[エイシンサンディ]]||栗東・[[藤原英昭]]<br>→[[大井競馬場|大井]]・[[上杉昌宏]]||8戦1勝（うち地方2戦0勝）||||（繁殖牝馬）||<ref>{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000732797/ |title=エイシンホリデイ |publisher=JBISサーチ|accessdate=2019-09-04}}</ref>
|<ref>{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000612596/ |title=エイシンツヨシオー |publisher=JBISサーチ|accessdate=2019-09-04}}</ref>
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|9番仔||[[2004年]]||エーシンジースーツ||rowspan="2"|牡||rowspan="2"|鹿毛||[[グラスワンダー]]||平井宏承<br>→加藤二六||栗東・坂口正則<br>→[[佐賀競馬場|佐賀]]・[[大垣敏夫]]||8戦0勝（うち地方4戦0勝）||||||<ref>{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000797848/ |title=エーシンジースーツ |publisher=JBISサーチ|accessdate=2019-09-04}}</ref>
|2000年
| rowspan="2" |産駒なし
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|
|[[ロドリゴデトリアーノ]]
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|
|
|<ref name=":0" />
|-
|
|2001年
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|
|サクラバクシンオー
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|<ref name=":0" />
|-
|8番仔||2002年||エイシンホリデイ||牝||青鹿毛||[[エイシンサンディ]]
|平井豊光||[[藤原英昭]]（栗東）<br>→上杉昌宏（[[大井競馬場|大井]]）||8戦1勝|| ||繁殖牝馬||<ref>{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000732797/ |title=エイシンホリデイ |publisher=JBISサーチ|accessdate=2019-09-04}}</ref>
|-
|
|2003年
|産駒なし
|
|
|[[ピルサドスキー]]
|
|
|
|
|
|<ref name=":0" />
|-
|9番仔||2004年||エーシンジースーツ||牡||鹿毛||[[グラスワンダー]]||平井宏承<br>→加藤二六||坂口正則（栗東）<br>→大垣敏夫（[[佐賀競馬場|佐賀]]）||8戦0勝|| ||抹消
|<ref>{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0000797848/ |title=エーシンジースーツ |publisher=JBISサーチ|accessdate=2019-09-04}}</ref>
|-
|
|2005年
| rowspan="2" |産駒なし
|
|
|[[フォーティナイナー]]
|
|
|
|
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|<ref name=":0" />
|-
|
|2006年
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|
| rowspan="2" |[[エイシンプレストン]]
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|<ref name=":0" />
|-
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|10番仔||[[2007年]]||スルスミポイント||[[エイシンプレストン]]||武仲勝||大井・[[久保杉利明]]<br>→大井・[[久保杉隆]]<br>→笠松・[[井上孝彦]]||地方60戦1勝||||||<ref>{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0001040260/ |title=スルスミポイント |publisher=JBISサーチ|accessdate=2019-09-04}}</ref>
|10番仔||2007年||スルスミポイント
|牡
|鹿毛||武仲勝||久保杉利明（大井）<br>→久保杉隆（大井）<br>→井上孝彦（笠松）||60戦1勝|| ||抹消
|<ref>{{Cite web|url= https://www.jbis.or.jp/horse/0001040260/ |title=スルスミポイント |publisher=JBISサーチ|accessdate=2019-09-04}}</ref>
|-
|-
|}
|}
455行目: 580行目:
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|}}
|}}
*曾祖母・レディアリスは[[メジロ牧場]]が[[イギリス]]から基礎繁殖牝馬として輸入し、この牝系からは[[天皇賞]]馬[[メジロタイヨウ]]や[[中山大障害]]馬[[メジロマスキット]]などを輩出している。

==脚注==
==脚注==

=== 注釈 ===
<references group="注釈" />
=== 出典 ===
{{reflist}}
{{reflist}}

== 参考文献 ==
*『[[優駿]]』（[[日本中央競馬会]]）
**1990年5月号
***深尾卓司（[[報知新聞]]）「【今月の記録室】第24回報知杯4歳牝馬特別（{{GII}}）<桜花賞トライアル> エイシンサニー」
**1990年6月号
***寺田文雄（[[デイリースポーツ]]）「【今月の記録室】第50回桜花賞（{{GI}}） アグネスフローラ」
**1990年7月号
***「【第51回オークス（{{GI}}）詳報】ゴール前の明暗はステイヤーに微笑を、エイシンサニー」
***「【杉本清の競馬談義 64】平井豊光」
***伊藤元彦「【今月の記録室】第51回オークス（{{GI}}）エイシンサニー」
**1990年8月号
***[[かなざわいっせい]]「【{{GI}}勝ち馬の故郷紀行】エイシンサニーの故郷 栄進牧場」
**1990年10月号
***「【'90秋4歳馬戦線】エイシンサニー」


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==

2021年12月5日 (日) 17:14時点における版

エイシンサニー
欧字表記 Eishin Sunny[1]
品種 サラブレッド[1]
性別 牝[1]
毛色 鹿毛[1]
生誕 1987年3月29日[1]
死没 2021年2月17日（34歳没）[2]
父 ミルジョージ[1]
母 エイシンナツコ[1]
母の父 ダイアトム[1]
生国 日本（北海道浦河町）[1]
生産者 栄進牧場[1]
馬主 平井豊光[1]
調教師 坂口正則（栗東）[1]
厩務員 上原正人
競走成績
生涯成績 20戦4勝[1]
獲得賞金 1億7852万2600円[1]
勝ち鞍
GI 優駿牝馬 1990年
GII 報知杯4歳牝馬特別 1990年
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エイシンサニー（欧字名:Eishin Sunny、1987年3月29日 - 2021年2月17日）は、日本の競走馬、繁殖牝馬[1]。

主な勝ち鞍は、1990年の優駿牝馬（オークス）（GI）、報知杯4歳牝馬特別（GII）。

生涯

デビューまで

レディアリスは、1956年に生産された牝馬で、イギリスで競走馬として5戦1勝[3]。繁殖牝馬となった後、1962年12月に日本へ輸入された[4]。北海道三石町の本桐牧場に繋養され、産駒には1966年のクイーンカップを勝利したメジロマジョルカ[5]（父:ドゥーテル）、1969年の天皇賞（秋）を勝利したメジロタイヨウ[6]（父:チャイナロック）、1973年の京都新聞杯を勝利したトーヨーチカラ[7]（父:フィダルゴ）などがいた[8]。

1978年11月、北海道浦河町にて、馬主の平井豊光が競走馬生産を行う栄進牧場を開場[9]。17年間本桐牧場に在籍していた名古屋一征が移籍し、牧場長に任命された[9]。名古屋は、修業した本桐牧場で同じ時を過ごしたレディアリスに思い入れがあり、その血を引く牝馬での生産を平井に直訴[10]。平井は、本桐牧場で生産され、三代母（母の母の母）にレディアリスがいる牝の仔を購入した[10]。仔には「エイシンナツコ」と名付けられ、競走馬として中央競馬で26戦3勝[11]。引退後は、栄進牧場で繁殖牝馬となった[11]。エイシンナツコの繁殖初年度は、ブレイヴェストローマンと交配し、1986年に初仔の牡馬を生産[12]。続く2回目の交配では、ミルジョージが選ばれた[12]。1987年3月29日、栄進牧場にて2番仔となる鹿毛の牝馬（後のエイシンサニー）が誕生する[1]。

2番仔は平井が所有し、平井の用いる冠名「エイシン」に「サニー」を組み合わせた「エイシンサニー」という競走馬名が与えられた[1]。平井の所有馬や栄進牧場の生産馬は、平井が懇意にしている調教師がドラフト会議の要領で自ら管理馬を決定しており[13]、エイシンサニーは、指名順が最下位だった栗東トレーニングセンター所属の坂口正則調教師に3巡目[注釈 1]で指名された[13]。

競走馬時代

3歳である1989年夏、小倉競馬場に遠征。8月12日の新馬戦（芝1000メートル）でデビューし5着。デビュー前から管骨骨膜炎（ソエ）の発症しており、坂口は回避を考えるほどの状態であった[14]。坂口によれば「せっかく連れてきたんだから試しに使ってみよう[14]」ということで小倉で出走させて3連敗となった。その後本州に戻って9月24日、阪神競馬場の未勝利戦（芝1200メートル）で初勝利[15]。それから年越しまで5戦に出走、そのうち11月26日のカトレア賞（400万円以下）では2勝目を挙げた。4歳となった1990年は、1月の紅梅賞（OP）で始動し2着。2月のエルフィンステークス（OP）では3着となった[15]。

続いて陣営は、桜花賞の指定オープン競走であるチューリップ賞（OP）を予定したが、岸が騎手免許更新のための面接を失念して1か月謹慎[14]。そのため謹慎中に行われるチューリップ賞を回避し、謹慎が明けた3月18日、桜花賞のトライアル競走である報知杯4歳牝馬特別（GII）に出走[14]。朝日杯3歳ステークスで牡馬のアイネスフウジンに次ぐ2着となったサクラサエズリが、単勝オッズ1.6倍の1番人気となり、エイシンサニーは15.8倍の6番人気であった[16]。サクラサエズリが先手を主張し、競りかけてきたもう1頭とともに逃げてハイペースとなる中、最後方に待機[14]。最終コーナーから外に持ち出して追い上げた。失速するサクラサエズリら先行勢を差し切り、後方に1馬身4分の3差をつけて入線[14]。重賞初勝利となり、優先出走権を獲得した[14]。それから、桜花賞（GI）に5番人気で出走、中団に位置した[17]。前を行く馬の2頭が、向こう正面と3、4コーナーでそれぞれ落馬により競走を中止[17]。その影響で不利を受けながらの追走となった。直線では外に持ち出して追い上げたが、先行したアグネスフローラに2馬身以上及ばず4着[17]。優駿牝馬の優先出走権を獲得した[17]。

5月20日、優駿牝馬（オークス）（GI）に出走。桜花賞優勝馬のアグネスフローラが単枠指定制度の対象となり[9]、単勝オッズ2.5倍の1番人気の支持。対してエイシンサニーは、12.2倍の5番人気であった[18]。1頭が大逃げを打つ中、後続は一団となり、エイシンサニーは一団の後方であった。第3コーナーからは後続が位置を上げて、逃げ馬とのリードを縮めた[9]。

映像外部リンク
1990年 優駿牝馬（オークス）
レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画

直線では内外にばらけて追い上げを図り、エイシンサニーは馬群の中央に位置[9]。まず先行した3番人気のケリーバッグと18番人気のイクノディクタス、中団に位置した1番人気のアグネスフローラが大逃げの馬をかわして3頭の先頭を争い、その中から馬群の中央にいたアグネスフローラが抜け出していた[9]。同じ頃、そのアグネスフローラの背後、数馬身後ろにいたエイシンサニーが仕掛けて、アグネスフローラの内側から追い上げを開始[9]。残り100メートルでアグネスフローラに並びかけて2頭の競り合いとなり、エイシンサニーがそれを制した[9]。岸がムチを持つ右手でガッツポーズをしながら、アグネスフローラに4分の3馬身差をつけて入線、GI初勝利となった[9]。また、走破タイム2分26秒1は、1977年にリニアクインが記録した2分28秒1を2秒上回り、レースレコードを樹立した[9]。

その後は、栄進牧場で夏休みを過ごした[19]。秋は、神戸新聞杯（GII）で始動し5着。以降、ローズステークス（GII）から有馬記念（GI）まで4戦するもすべて着外[15]。古馬となった1991年、目黒記念（GII）で10着に敗れ、6連敗となったのを最後に競走馬を引退した[15]。

繁殖牝馬時代

引退後は、生まれ故郷の栄進牧場で繁殖牝馬となった。1992年から2007年までに10頭を生産[20]。1998年に生産した6番仔のエイシンハリマオ―（父:トウカイテイオー）は、2003年の愛知杯（GIII）、米子ステークス（OP）、関屋記念（GIII）で2着となっている[21]。10頭の内、初仔のエイシンプリンセス（父:ノーザンテースト）と8番仔のエイシンホリデイ（父:エイシンサンディ）は繁殖牝馬となった。このうち、エイシンプリンセスの孫で、エイシンサニーの曾孫にあたるエーシンブラン（父:スウェプトオーヴァーボード）は2011年の兵庫チャンピオンシップ（JpnII）、2010年のダリア賞（OP）を勝利した[22]。

繁殖牝馬引退後は、功労馬として余生を過ごした[23]。2021年2月17日朝、放牧されていたが、地面の凍結部分に脚をとられて転倒[23]。それ以降立ち上がれず、同日午後に34歳で死亡した[23]。

競走成績

以下の内容は、netkeiba.com[24]およびJBISサーチ[15]に基づく。

競走日 競馬場 競走名 格 距離

（馬場）

頭

数

枠

番

馬

番

オッズ

（人気）

着順 タイム

(上り3F/4F)

着差 騎手 斤量

[kg]

1着馬

（2着馬）

馬体重

[kg]

1989.08.12 小倉 3歳新馬 芝1000m（良） 14 6 9 008.00（5人） 05着 R1:00.2（36.1） -0.8 0南井克巳 53 ツルマルベッピン 394
0000.08.26 小倉 3歳新馬 芝1000m（良） 11 3 3 008.20（3人） 04着 R1:00.1（35.7） -0.6 0南井克巳 53 コスモアイドル 398
0000.09.03 小倉 3歳新馬 芝1200m（不） 12 2 2 011.90（7人） 09着 R1:13.8（38.6） -2.0 0小池隆生 50 ガロシーザー 396
0000.09.24 阪神 3歳未勝利 芝1200m（良） 11 8 11 012.10（6人） 01着 R1:11.0（46.8） -0.2 0小池隆生 50 （ホシプロージット） 388
0000.10.21 京都 りんどう賞 4下 芝1400m（良） 9 5 5 007.70（4人） 05着 R1:23.7（47.9） -0.7 0武豊 53 ムーンセレナード 400
0000.11.05 京都 白菊賞 4下 芝1600m（良） 7 5 5 016.90（6人） 04着 R1:36.6（48.4） -0.3 0南井克巳 53 オースミロッチ 402
0000.11.26 中京 カトレア賞 4下 芝1800m（良） 7 3 3 004.60（3人） 01着 R1:48.8（36.6） -0.3 0岸滋彦 53 （マキハタグロリー） 406
0000.12.10 阪神 ラジオたんぱ杯3歳牝馬S GIII 芝1600m（良） 11 3 3 008.10（5人） 05着 R1:36.5（49.3） -0.7 0岸滋彦 53 レガシーワイス 410
0000.12.17 中京 中京3歳S OP 芝1800m（良） 10 8 9 010.90（6人） 07着 R1:49.9（37.0） -0.9 0松本達也 54 エスアルビヒーロー 412
1990.01.06 京都 紅梅賞 OP 芝1200m（良） 13 3 3 041.00（8人） 02着 R1:10.7（45.8） -0.0 0岸滋彦 53 コニーストン 410
0000.02.04 阪神 エルフィンS OP 芝1600m（不） 10 8 9 013.10（5人） 03着 R1:37.4（48.3） -0.4 0岸滋彦 53 アグネスフローラ 410
0000.03.18 阪神 報知杯4歳牝馬特別 GII 芝1400m（良） 16 6 11 015.80（6人） 01着 R1:23.9（48.5） -0.3 0岸滋彦 54 （スプライトパッサー） 410
0000.04.08 阪神 桜花賞 GI 芝1600m（重） 18 7 14 013.60（5人） 04着 R1:38.5（50.9） -1.4 0岸滋彦 55 アグネスフローラ 412
0000.05.20 東京 優駿牝馬 GI 芝2400m（良） 20 7 17 012.20（5人） 01着 R2:26.1（35.9） -0.1 0岸滋彦 55 （アグネスフローラ） 414
0000.09.23 阪神 神戸新聞杯 GII 芝2000m（良） 12 7 9 005.80（3人） 05着 R2:01.1（36.0） -0.8 0岸滋彦 54 センターショウカツ 412
0000.10.21 京都 ローズS GII 芝2000m（良） 14 8 14 003.70（2人） 12着 R2:02.7（49.1） -2.1 0河内洋 55 カツノジョオー 412
0000.11.11 京都 エリザベス女王杯 GI 芝2400m（良） 18 5 9 007.10（3人） 07着 R2:26.5（47.7） -1.0 0岸滋彦 55 キョウエイタップ 412
0000.12.02 京都 鳴尾記念 GII 芝2400m（良） 14 6 9 014.70（7人） 07着 R2:26.5（46.4） -0.7 0田島良保 54 カチウマホーク 416
0000.12.23 中山 有馬記念 GI 芝2500m（良） 16 6 12 133.4（16人） 14着 R2:35.3（35.8） -1.1 0田島良保 53 オグリキャップ 420
1991.02.17 東京 目黒記念 GII 芝2500m（稍） 13 4 5 021.8（10人） 10着 R2:36.4（37.1） -1.6 0蛯沢誠治 54 カリブソング 416
  • タイム欄のRはレコード勝ちを示す。

繁殖牝馬成績

産駒一覧

生年 馬名 性 毛色 父 馬主 管理調教師 戦績 主な勝利競走 供用 出典
初仔 1992年 エイシンプリンセス 牝 鹿毛 ノーザンテースト 平井豊光 坂口正則（栗東） 9戦0勝 繁殖牝馬 [25]
2番仔 1993年 エイシンダンシング 牡 黒鹿毛 ダンシングブレーヴ 不出走 抹消 [26]
3番仔 1994年 エイシンサニーオー 牡

→騸

サンデーサイレンス 平井豊光
→木村郁		 坂口正則（栗東）
→竹内昭利（高知）		 29戦2勝 抹消 [27]
1995年 産駒なし リアルシャダイ [20]
4番仔 1996年 エイシンマンノオー 牡 鹿毛 サクラバクシンオー 平井豊光 坂口正則（栗東） 21戦3勝 抹消 [28]
5番仔 1997年 エイシンキンバリー 牡

→騸

ジェネラス 平井豊光
→木村郁		 坂口正則（栗東）
→竹内昭利（高知）		 77戦6勝 抹消 [29]
6番仔 1998年 エイシンハリマオー 牡 トウカイテイオー 平井豊光 坂口正則（栗東）
→伊藤強一（笠松）		 46戦5勝 抹消 [21]
7番仔 1999年 エイシンツヨシオー エイシンワシントン 37戦3勝 抹消 [30]
2000年 産駒なし ロドリゴデトリアーノ [20]
2001年 サクラバクシンオー [20]
8番仔 2002年 エイシンホリデイ 牝 青鹿毛 エイシンサンディ 平井豊光 藤原英昭（栗東）
→上杉昌宏（大井）		 8戦1勝 繁殖牝馬 [31]
2003年 産駒なし ピルサドスキー [20]
9番仔 2004年 エーシンジースーツ 牡 鹿毛 グラスワンダー 平井宏承
→加藤二六		 坂口正則（栗東）
→大垣敏夫（佐賀）		 8戦0勝 抹消 [32]
2005年 産駒なし フォーティナイナー [20]
2006年 エイシンプレストン [20]
10番仔 2007年 スルスミポイント 牡 鹿毛 武仲勝 久保杉利明（大井）
→久保杉隆（大井）
→井上孝彦（笠松）		 60戦1勝 抹消 [33]

血統表

エイシンサニーの血統 （血統表の出典）[§ 1]
父系 ミルリーフ系
 [§ 2]
父

*ミルジョージ
Mill George
1975 鹿毛
父の父
Mill Reef
1968 鹿毛 		Never Bend Nasrullah
Lalun
Milan Mill Princequillo
Virginia Water
父の母
Miss Charisma
1967 鹿毛 		Ragusa Ribot
Fantan
*マタティナ Grey Sovereign
Zanzara
母

エイシンナツコ
1980 鹿毛 		*ダイアトム
Diatome
1962 黒鹿毛 		Sicambre Prince Bio
Sif
Dictaway Honeyway
Nymphe Dicte
母の母
ラウンドマザー
1971 栗毛 		*チャイナロック Rockefella
May Wong
*レディアリス Alycidon
Pontoon
母系(F-No.) レディアリス系(FN:3-f) [§ 3]
5代内の近親交配 Nasrullah=4×5 [§ 4]
出典
  1. ^ [34]
  2. ^ [35]
  3. ^ [34]
  4. ^ [34][35]

脚注

注釈

  1. ^ 1巡目の指名のみ、母馬を管理していた調教師にその仔を指名する優先権が存在していた。2巡目から、ドラフト会議の要領で抽選が行われている。なおエイシンサニーの母、エイシンナツコは、栗東の湯浅三郎厩舎に所属していた[11]。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q “エイシンサニー”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年9月4日閲覧。
  2. ^ “90年オークス馬エイシンサニーが34歳で永眠｜極ウマ・プレミアム”. p.nikkansports.com. 2021年12月5日閲覧。
  3. ^ “レデイアリス(GB)”. www.jbis.or.jp. 2021年12月5日閲覧。
  4. ^ 『優駿』1990年7月号 147頁
  5. ^ “メジロマジヨルカ”. www.jbis.or.jp. 2021年12月5日閲覧。
  6. ^ “メジロタイヨウ”. www.jbis.or.jp. 2021年12月5日閲覧。
  7. ^ “トーヨーチカラ”. www.jbis.or.jp. 2021年12月5日閲覧。
  8. ^ “繁殖牝馬情報：牝系情報｜レデイアリス(GB)”. www.jbis.or.jp. 2021年12月5日閲覧。
  9. ^ a b c d e f g h i j 『優駿』1990年7月号 144-147頁
  10. ^ a b 『優駿』1990年8月号 25-27頁
  11. ^ a b c “エイシンナツコ”. www.jbis.or.jp. 2021年12月5日閲覧。
  12. ^ a b “繁殖牝馬情報：牝系情報｜エイシンナツコ”. www.jbis.or.jp. 2021年12月5日閲覧。
  13. ^ a b 『優駿』1990年7月号 82-85頁
  14. ^ a b c d e f g 『優駿』1990年5月号 144-145頁
  15. ^ a b c d e “エイシンサニー 競走成績”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年9月4日閲覧。
  16. ^ “報知杯4歳牝馬特別｜1990年3月18日 | 競馬データベース - netkeiba.com”. db.netkeiba.com. 2021年12月5日閲覧。
  17. ^ a b c d 『優駿』1990年6月号 130-133頁
  18. ^ “優駿牝馬｜1990年5月20日 | 競馬データベース - netkeiba.com”. db.netkeiba.com. 2021年12月5日閲覧。
  19. ^ 『優駿』1990年10月号 24頁　
  20. ^ a b c d e f g “繁殖牝馬情報：牝系情報｜エイシンサニー”. www.jbis.or.jp. 2021年12月1日閲覧。
  21. ^ a b “エイシンハリマオー”. JBISサーチ. 2019年9月4日閲覧。
  22. ^ “エーシンブラン 血統情報：5代血統表”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年9月4日閲覧。
  23. ^ a b c “１９９０年オークス馬エイシンサニー死す…３４歳”. サンスポZBAT！競馬 (2021年2月18日). 2021年12月5日閲覧。
  24. ^ “エイシンサニーの競走成績”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2019年9月4日閲覧。
  25. ^ “エイシンプリンセス”. JBISサーチ. 2019年9月4日閲覧。
  26. ^ “エイシンダンシング”. JBISサーチ. 2019年9月4日閲覧。
  27. ^ “エイシンサニーオー”. JBISサーチ. 2019年9月4日閲覧。
  28. ^ “エイシンマンノオー”. JBISサーチ. 2019年9月4日閲覧。
  29. ^ “エイシンキンバリー”. JBISサーチ. 2019年9月4日閲覧。
  30. ^ “エイシンツヨシオー”. JBISサーチ. 2019年9月4日閲覧。
  31. ^ “エイシンホリデイ”. JBISサーチ. 2019年9月4日閲覧。
  32. ^ “エーシンジースーツ”. JBISサーチ. 2019年9月4日閲覧。
  33. ^ “スルスミポイント”. JBISサーチ. 2019年9月4日閲覧。
  34. ^ a b c “エイシンサニー 血統情報：5代血統表”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2019年9月4日閲覧。
  35. ^ a b “エイシンサニーの5代血統表”. netkeiba. Net Dreamers Co., Ltd.. 2019年9月4日閲覧。

参考文献

  • 『優駿』（日本中央競馬会）
    • 1990年5月号
      • 深尾卓司（報知新聞）「【今月の記録室】第24回報知杯4歳牝馬特別（GII）<桜花賞トライアル> エイシンサニー」
    • 1990年6月号
      • 寺田文雄（デイリースポーツ）「【今月の記録室】第50回桜花賞（GI） アグネスフローラ」
    • 1990年7月号
      • 「【第51回オークス（GI）詳報】ゴール前の明暗はステイヤーに微笑を、エイシンサニー」
      • 「【杉本清の競馬談義 64】平井豊光」
      • 伊藤元彦「【今月の記録室】第51回オークス（GI）エイシンサニー」
    • 1990年8月号
    • 1990年10月号
      • 「【'90秋4歳馬戦線】エイシンサニー」

外部リンク

優駿牝馬勝ち馬
1930年代

第1回 アステリモア / 第2回 ホシホマレ

1940年代

第3回 ルーネラ / 第4回 テツバンザイ / 第5回 ロツクステーツ / 第6回 クリフジ / 第7回 ミツマサ / 第8回 トキツカゼ / 第9回 ヤシマヒメ / 第10回 キングナイト

1950年代

第11回 コマミノル / 第12回 キヨフジ / 第13回 スウヰイスー / 第14回 ジツホマレ / 第15回 ヤマイチ / 第16回 ヒロイチ / 第17回 フエアマンナ / 第18回 ミスオンワード / 第19回 ミスマルサ / 第20回 オーカン

1960年代

第21回 スターロツチ / 第22回 チトセホープ / 第23回 オーハヤブサ / 第24回 アイテイオー / 第25回 カネケヤキ / 第26回 ベロナ / 第27回 ヒロヨシ / 第28回 ヤマピット / 第29回 ルピナス / 第30回 シャダイターキン

1970年代

第31回 ジュピック / 第32回 カネヒムロ / 第33回 タケフブキ / 第34回 ナスノチグサ / 第35回 トウコウエルザ / 第36回 テスコガビー / 第37回 テイタニヤ / 第38回 リニアクイン / 第39回 ファイブホープ / 第40回 アグネスレディー

1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
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