「イナリワン」の版間の差分
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{{馬齢旧}}{{競走馬 |
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|名 = イナリワン |
|名 = イナリワン |
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|説 = イナリワンと柴田政人(1990年4月29日) |
|説 = イナリワンと柴田政人(1990年4月29日) |
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|性 = [[牡馬|牡]]<ref name="jbis">{{Cite web |title=イナリワン |url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000171237/ |website=JBISサーチ |accessdate=2021-06-19}}</ref> |
|性 = [[牡馬|牡]]<ref name="jbis">{{Cite web |title=イナリワン |url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000171237/ |website=JBISサーチ |accessdate=2021-06-19}}</ref> |
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|産 = 山本実儀<ref name="hidaka">{{Cite web |url=http://www.umahidaka.jp/03.html |title=馬を讃える |website=日高町 競馬観光ご案内サイト |publisher=日高町 |accessdate=2015-06-07 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20161026235732/http://www.umahidaka.jp/03.html |archivedate=2016-10-26 |deadlinkdate=2021-09-06}}</ref> |
|産 = 山本実儀<ref name="hidaka">{{Cite web |url=http://www.umahidaka.jp/03.html |title=馬を讃える |website=日高町 競馬観光ご案内サイト |publisher=日高町 |accessdate=2015-06-07 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20161026235732/http://www.umahidaka.jp/03.html |archivedate=2016-10-26 |deadlinkdate=2021-09-06}}</ref>{{#tag:ref|[[ホウヨウボーイ]]などを生産した[[北海道]][[新冠町]]の豊洋牧場とは親戚関係、豊洋牧場の[[仔分け]]から開場した<ref>『優駿』1989年7月号 26-27頁</ref>。|group="注釈"}} |
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|主 = 保手濱忠弘<ref name="NAR">{{Cite web|title=イナリワン|url=https://www.keiba.go.jp/KeibaWeb/DataRoom/RaceHorseInfo?k_lineageLoginCode=30008404113&k_activeCode=1|website=www.keiba.go.jp|accessdate=2021-11-12}}</ref><br/>→保手浜弘規<ref name="jbis" />(同一人物{{#tag:ref|本項では、イナリワンの中央競馬時代の馬主名に統一する。保手浜忠弘と保手浜弘規は同一人物であり、本名は「弘規」<ref name="西山-保手浜" />。中央競馬では「弘規<ref name="jbis" />」、地方競馬では「忠弘<ref name="NAR" />」を使用した。西山茂行によれば、姓名判断を受けて「弘規」から「忠弘」に改名したところ、イナリワンに出会ったという<ref name="西山-保手浜" />。|group="注釈"}}) |
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|主 = [[保手浜弘規]]<ref name="jbis" /> |
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|調 = [[福永二三雄]]([[大井競馬場|大井]])<br />→[[鈴木清 (競馬)|鈴木清]]([[美浦トレーニングセンター|美浦北]])<ref name="hidaka"/> |
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|金 = 5億932万6000円<ref name="jbis" /> |
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|冠 = [[JRA賞年度代表馬]]<ref name="jbis" />(1989年)<br/>[[JRA賞最優秀4歳以上牡馬|JRA賞最優秀5歳以上牡馬]]<ref name="jbis" />(1989年)<br/>[[NARグランプリ特別表彰馬]]<ref name="jbis" />(2016年) |
|冠 = [[JRA賞年度代表馬]]<ref name="jbis" />(1989年)<br/>[[JRA賞最優秀4歳以上牡馬|JRA賞最優秀5歳以上牡馬]]<ref name="jbis" /><br/>(1989年)[[東京競馬記者クラブ賞]]<ref>『優駿』1990年2月号 174-175頁</ref>(1989年)<br/>[[NARグランプリ特別表彰馬]]<ref name="jbis" />(2016年) |
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|medaltemplates={{medalGI|[[天皇賞(春)]]|1989年}}{{medalGI|[[宝塚記念]]|1989年}}{{medalGI|[[有馬記念]]|1989年}} |
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{{medalオープン|[[東京王冠賞]]|1987年}}{{medalオープン|[[東京湾カップ]]|1987年}}{{medalオープン|[[東京大賞典]]|1988年}}}} |
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'''イナリワン'''(欧字名:{{Lang|en|Inari One}}、[[1984年]][[5月7日]] - [[2016年]][[2月7日]])は、[[日本]]の[[競走馬]]、[[種 |
'''イナリワン'''(欧字名:{{Lang|en|Inari One}}、[[1984年]][[5月7日]] - [[2016年]][[2月7日]])は、[[日本]]の[[競走馬]]、[[種牡馬]]<ref name="hidaka" />。 |
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[[1989年]]の[[JRA賞|JRA賞年度代表馬]]、[[JRA賞最優秀4歳以上牡馬|JRA最優秀5歳以上牡馬]]、2016年選出の[[NARグランプリ特別表彰馬]]である。主な勝ち鞍は、1989年の[[天皇賞(春)]]({{GI}})、[[宝塚記念]]({{GI}})、[[有馬記念]]({{GI}})。1988年の[[東京大賞典]]。1987年の[[東京湾カップ]]、[[東京王冠賞]]。 |
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[[地方競馬|公営]]・[[大井競馬場|大井競馬]]所属時に[[東京王冠賞]]と[[東京大賞典]]を優勝、1989年に[[日本中央競馬会|中央競馬]]へ移籍したあとに[[競馬の競走格付け|GI競走]]で3勝を挙げた。[[1980年代]]後半に勃興した第二次競馬ブーム期において、[[オグリキャップ]]、[[スーパークリーク]]とともに「[[平成三強]]」と称された<ref name="hidaka" />。 |
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[[大井競馬場|大井競馬]]でデビューし、1989年からは[[中央競馬]]に移籍。{{GI}}2連勝後の秋には、[[オグリキャップ]]と[[スーパークリーク]]に並び立ち「[[平成三強]]」と呼ばれ、秋古馬路線の三タイトルを分け合った。 |
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== 生涯 == |
== 生涯 == |
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=== デビューまで === |
=== デビューまで === |
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1984年5月7日、[[北海道]][[門別町]]の山本牧場にて誕生。他よりも小柄であったが、バネのある幼駒であった<ref>『日本名馬物語』pp.207-208</ref>。2歳時に[[大井競馬場]]所属調教師の[[福永二三雄]]<ref group="注">中央競馬調教師・[[福永甲]]の弟、中央競馬[[調教師・騎手顕彰者|騎手顕彰者]]・[[福永洋一]]の兄。</ref>に見初められ、福永の勧めで保手浜忠弘が購買した。「カミノ」の冠名を愛馬に用いて、中央競馬と地方競馬に出走させていた保手浜弘規が所有することとなった。父ミルジョージはダートで活躍する傾向にあり、イナリワン自身にもあまり期待されていなかったため、地方競馬でデビューが決定した。[[千葉県]]の和光育成牧場で調教が積まれたのち、3歳となった1986年6月、福永の元に入厩した。 |
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==== 誕生までの経緯 ==== |
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テイトヤシマは、1970年に[[北海道]][[浦河町]]のヤシマ牧場で生産された牝馬で、父は[[イギリスダービー]]優勝馬の{{仮リンク|ラークスパー (競走馬)|en|Larkspur (horse)|label=ラークスパー}}であった<ref>{{Cite web|title=テイトヤシマ|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000034786/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-11-12}}</ref>。競走馬としてデビューすることなく[[繁殖牝馬]]となり、1974年の初仔は死亡、76年の2番仔は未出走となっている<ref name="優駿-1989-6-141" />。3、4、5番仔は北海道[[静内町]]の藤川昭牧場で生産された<ref>{{Cite web|title=テンザンヤシマ|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000100438/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-11-12}}</ref><ref name="JBIS-コウシンファスト">{{Cite web|title=コウシンフアスト|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000108535/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-11-12}}</ref><ref>{{Cite web|title=ヤシマダイヤ|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000116801/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-11-12}}</ref>。以降、6番仔は浦河町の川崎清牧場<ref>{{Cite web|title=_________|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000136162/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-11-12}}</ref>、7番仔はヤシマ牧場<ref>{{Cite web|title=ムーリンテイトヒゴ|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000147293/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-11-12}}</ref>、8番仔は浦河町の松田敏牧場にてそれぞれ生産された<ref>{{Cite web|title=ミカホーマー|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000161122/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-11-12}}</ref>。 |
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12月9日、大井競馬場の新馬戦(ダート1000メートル)でデビュー。[[宮浦正行]]を背に、2着に4馬身差を付けて初勝利を挙げる。続いて翌年の正月競馬に登録を行ったが、競走当日、ゲートに頭を強打し、前頭骨打撲で出走を取り消し、大事を取ってそのまま休養に入った。春の目標とした[[羽田盃]]、[[東京ダービー (競馬)|東京ダービー]]を断念したが5月に復帰し、以後連勝を続けた。秋には[[三冠 (競馬)#南関東三冠|南関東三冠]]の最終戦・[[東京王冠賞]]に出走、[[チャンピオンスター]]に1馬身差を付けて優勝し、[[重賞]]初制覇を果たした。年末には[[船橋競馬場]]の新設重賞・[[東京湾カップ]]に勝利。8連勝で4歳を終えた。 |
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8番仔は後にミカホーマーと名付けられて[[中央競馬]]でデビューし、1986年に3勝を挙げることになるが<ref>{{Cite web|title=競走成績:全競走成績|ミカホーマー|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000161122/record/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-11-12}}</ref>、それ以前は、3頭の産駒が不出走、不受胎による空胎が2年あった<ref name="優駿-1989-6-141">『優駿』1989年6月号 141頁</ref>。また、デビューした3頭の産駒はすべて[[地方競馬]]で走ったが、2頭は勝利を挙げられず、4番仔であるコウシンファスト(父:ボールドコンバタント)の38戦1勝が最高成績であった<ref name="優駿-1989-6-141" /><ref name="JBIS-コウシンファスト" />。ミカホーマーが産まれた1983年、テイトヤシマは[[ミルジョージ]]と交配<ref name="JBIS-テイトヤシマ">{{Cite web|title=繁殖牝馬情報:牝系情報|テイトヤシマ|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000034786/broodmare/info/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-11-12}}</ref>。1984年5月7日、北海道[[門別町]]の山本実儀牧場にて9番仔である[[鹿毛]]の[[牡馬]](後のイナリワン)が誕生する<ref>{{Cite web|title=中央の年度代表馬に輝いたイナリワン {{!}} TCKコラム {{!}} データ&コラム|url=http://www.tokyocitykeiba.com/data/column/column_vol06/|website=東京シティ競馬 : TOKYO CITY KEIBA|accessdate=2021-11-12|language=ja}}</ref>。同年、テイトヤシマは{{仮リンク|マタボーイ|en|Mattaboy}}と交配するも、不受胎に終わり、12月には[[用途変更]]となっている<ref name="優駿-1989-6-141" /><ref name="JBIS-テイトヤシマ" />。 |
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==== 幼駒時代 ==== |
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同じ年に牧場で生産されたのは8頭であったが、テイトヤシマの9番仔は、実儀の子である山本文雄によれば、目立つ存在ではなかったという<ref name="優駿-1989-8-142145">『優駿』1989年8月号 142-145頁</ref>。当歳夏に[[大井競馬場]]所属の調教師である[[福永二三雄]]に見出され、福永が2歳春に城南製作所代表取締役である保手浜弘規{{#tag:ref|本項では、イナリワンの中央競馬時代の馬主名に統一する。保手浜忠弘と保手浜弘規は同一人物であり、本名は「弘規」<ref name="西山-保手浜" />。中央競馬では「弘規<ref name="jbis" />」、地方競馬では「忠弘<ref name="NAR" />」を使用した。西山茂行によれば、姓名判断を受けて「弘規」から「忠弘」に改名したところ、イナリワンに出会ったという<ref name="西山-保手浜">{{Cite web|title=『お悔やみ申し上げます。』|url=https://ameblo.jp/nybokujo/entry-11101506376.html|website=西山牧場オーナーの(笑)気分|accessdate=2021-11-12|language=ja}}</ref>。|group="注釈"}}を紹介<ref name="横尾一彦-コラム">{{Cite web|title=中央の年度代表馬に輝いたイナリワン {{!}} TCKコラム {{!}} データ&コラム|url=http://www.tokyocitykeiba.com/data/column/column_vol06/|website=東京シティ競馬 : TOKYO CITY KEIBA|accessdate=2021-11-12|language=ja}}</ref>。福永は「小柄だが精悍でバランスが良い馬だ。ミルジョージの仔は最初の世代から世話して熟知しているが、イナリワンはミルジョージの分身といった感じで生き写し。賢そうで、気性も競走馬向きと思った<ref name="横尾一彦-コラム" />」、保手浜は「馬相が良く、目に澄み切った海底をのぞくような深いものを感じた。値段の交渉もほとんどせずに買いました<ref name="横尾一彦-コラム" />」と回顧している。ミルジョージ産駒は、ダートで活躍する傾向にあったため、9番仔も[[地方競馬]]でのデビューが決定<ref name="優駿-2010-1-154161">『優駿』2010年1月号 154-161頁</ref>。保手浜は、地方競馬でデビューさせる馬に与える[[冠名]]{{#tag:ref|保手浜は、中央競馬デビューする馬については「カミノ」、外国で購入した馬については「ティエイチ」を用い、合計3つの冠名を使い分けていた<ref name="優駿-1989-7-64"/>。「カミノ」とは保手浜の母親の故郷である愛媛県三島町に所在し、「戦いの神」として信じられる[[大山祇神社]]にちなむ「神の」から<ref name="優駿-1989-7-64"/>。「ティエイチ」は保手浜忠弘のイニシャル「T.H」から<ref name="優駿-1989-7-64"/>。|group="注釈"}}で、大井競馬場近くの[[穴守稲荷神社]]に由来する「'''イナリ'''」に、「一番出世して欲しい馬<ref name="横尾一彦-コラム" />」という願いから「'''ワン'''」を組み合わせた「'''イナリワン'''」という競走馬名を9番仔に与えた<ref name="横尾一彦-コラム" />。 |
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イナリワンは、福永厩舎に入厩した。福永はデビュー前のイナリワンを「緩さは残るが、絶対走るから乗ってみろ<ref name="高橋孝-東京大賞典" />」と騎手の[[宮浦正行]]に紹介<ref name="高橋孝-東京大賞典">{{Cite web|title=レースヒストリー {{!}} 東京大賞典 {{!}} 冬の三重賞特設サイト {{!}} 東京シティ競馬 : TOKYO CITY KEIBA|url=https://www.tokyocitykeiba.com/special_page/special2016yearend/daisyoten/history.html|website=www.tokyocitykeiba.com|accessdate=2021-11-12}}</ref>。宮浦が騎乗してみると、角馬場では躓いて、キャンターすることができなかったが<ref name="高橋孝-東京大賞典" />、外馬場では「(前略)のびのび走らせてみると全身を使って走るし、パワーも凄かった<ref name="高橋孝-東京大賞典" />」と回顧している。以降、宮浦がしばらく騎乗することとなる<ref name="高橋孝-東京大賞典" />。 |
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=== 競走馬時代 === |
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==== 大井競馬時代(1986-88年) ==== |
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1986年12月9日、[[大井競馬場]]の[[新馬|新馬戦]](ダート1000メートル)でデビュー。2着に4馬身差を付けて初勝利を挙げる。続いて翌1987年の正月競馬に登録を行ったが、出走を取り消した。春の目標とした[[羽田盃]]、[[東京ダービー (競馬)|東京ダービー]]を断念したが、以後連勝を続けた<ref name="優駿-2010-1-154161" />。秋には[[三冠 (競馬)#南関東三冠|南関東三冠]]の最終戦{{#tag:ref|阿部珠樹によれば「JRAの菊花賞」に相当<ref name="優駿-2010-1-154161" />。|group="注釈"}}である[[東京王冠賞]]に出走、[[チャンピオンスター]]に1馬身差を付けて優勝し、[[重賞]]初制覇を果たした<ref name="優駿-2010-1-154161" />。暮れは「出てくれば当然1番人気と思われた<ref name="優駿-1988-2-130">『優駿』1988年2月号 130頁</ref>」(林重治郎)[[東京大賞典]]{{#tag:ref|林重治郎によれば「公営版有馬記念」<ref name="優駿-1988-2-130" />|group="注釈"}}ではなく、[[船橋競馬場]]の新設重賞である[[東京湾カップ]]を選択し<ref name="優駿-1988-2-130" />、勝利を挙げて8連勝とした<ref name="優駿-1988-5-122">『優駿』1988年5月号 122頁</ref>。 |
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翌1988年、3月3日の[[金盃]]は苦手の[[馬場状態|重馬場]]となる中{{#tag:ref|イナリワンは、走法的に水を含んだコースではバランスを崩し、まともに走れなかった<ref>『日本名馬物語』p.209</ref>。|group="注釈"}}、2番人気で出走<ref name="優駿-1988-5-122" />。スタートで出遅れて追い込んだが、先に抜け出した[[チヤンピオンスター|チャンピオンスター]]に届かず3着、初の敗戦となった<ref name="優駿-1988-5-122" /><ref name="優駿-1988-6-124125">『優駿』1988年6月号 124-125頁</ref>。続く[[帝王賞]]も当日の降雨で重馬場となり、2番人気に推されたが、後方待機のまま7着<ref name="優駿-1988-6-124125" />。その後は[[オールカマー]]から[[ジャパンカップ]]出走を目論んでいたが<ref name="優駿-1989-7-64">『優駿』1989年7月号 64頁</ref>、オールカマーの地方競馬代表には選出されなかった<ref name="優駿-1988-10-135">『優駿』1988年10月号 135頁</ref>。8月の[[関東盃]]では、イーグルシャトーの逃げに敵わず5着<ref name="優駿-1988-10-135" />、11月2日の[[東京記念]]は3着に敗れた。11月23日には、[[全日本サラブレッドカップ]]の招待馬に選出、初めて[[笠松競馬場]]に遠征し出走した<ref name="優駿-1989-1-118">『優駿』1989年1月号 118頁</ref>。スローペースの2番手につけたが、後方から追い込んだ[[フェートノーザン]]に第3コーナーから最終コーナーかけてかわされ2着<ref name="優駿-1989-1-118" />。後に宮浦は、仕掛けを遅らせたことを自らの騎乗ミスであると振り返っている<ref name="高橋孝-東京大賞典" />。 |
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12月29日の[[東京大賞典]]では、勝利した暁には中央競馬に移籍し[[天皇賞]]を目指すと宣言した<ref name="高橋孝-東京大賞典" />。東京王冠賞、[[ダービーグランプリ]]など6連勝中だったアエロプラーヌ<ref name="優駿-1989-1-118" />が1番人気、アラナスモンタが2番人気と続き、3番人気で出走<ref name="優駿-1989-2-130">『優駿』1989年2月号 130頁</ref>。アエロプラーヌがスローペースで逃げる一方、宮浦は控える戦法を選択した<ref name="優駿-1989-2-130" />。直線で末脚を見せると、代わって先頭となったアラナスモンタを半馬身差し切って勝利<ref name="優駿-1989-2-130" />。宮浦にとっては、1978年の[[ハツシバオー]]以来2回目となる東京大賞典優勝であった<ref name="優駿-1989-2-130" />。保手浜は、改めて中央競馬への移籍を発表、翌年の[[天皇賞(春)]]と[[宝塚記念]]を目標とし、[[岡部幸雄]]とともに参戦する計画も併せて発表<ref name="優駿-1989-2-130" />。翌1989年1月10日、地方競馬の競走馬登録を抹消し<ref name="地方-抹消">{{Cite web|title=イナリワン 出走履歴|url=https://www.keiba.go.jp/KeibaWeb/DataRoom/HorseMarkInfo?k_lineageLoginCode=30008404113&k_activeCode=2|website=www.keiba.go.jp|accessdate=2021-11-12}}</ref>、美浦トレーニングセンターの鈴木清厩舎に転厩した。以降、福永はアドバイザーとしてイナリワンへの関与を継続している<ref>『夢はターフを駆けめぐる5』p.156</ref>。 |
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==== 中央競馬時代(1989-90年) ==== |
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2月11日、[[京都競馬場]]のすばるステークス(OP)に[[小島太]]が騎乗して中央競馬デビュー。[[折り合い]]を欠いて入れ込みながらの追走となり、直線には2番手で差し掛かったが、以降は伸びず4着<ref name="優駿-2010-1-154161" />。小島は「はじめての芝と道悪で条件が厳しかった。(後略)<ref name="優駿-2010-1-154161" />」としている。続く3月12日の[[阪神大賞典]]({{GII}})でJRAの[[重賞]]初出走。後方待機から、最後の直線で追い上げにかかったが、[[スルーオダイナ]]の[[斜行]]で進路妨害を受けて6位入線<ref name="優駿-1989-5-136137">『優駿』1989年5月号 136-137頁</ref>。スルーオダイナの失格処分により繰り上がり、5着となった<ref name="優駿-1989-5-136137" /><ref>『夢はターフを駆けめぐる5』p.157</ref>。 |
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===== 天皇賞(春) ===== |
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それから4月29日、天皇賞(春)({{GI}})に出走。陣営は、近走のかかるクセを改善するため、鞍上にクセのある馬への騎乗に対して、評価の高かった[[武豊]]を起用<ref name="島田-1997-29">島田(1997)p.29</ref>。武は前年の[[菊花賞]]優勝馬である[[スーパークリーク]]の[[主戦騎手]]であったが、体調不良<ref name="優駿-2010-1-154161" />、脚部不安<ref name="優駿-1989-6-9799">『優駿』1989年6月号 97-99頁</ref>で戦線を離脱していたため、イナリワンへの騎乗が実現した<ref name="優駿-2010-1-154161" /><ref name="優駿-1989-5-136137">『優駿』1989年5月号 136-137頁</ref>。人気は、スルーオダイナと[[ランニングフリー]]がオッズ3倍台、コクサイトリプルが7.6倍、イナリワンはそれに次ぐ9.3倍の4番人気であった<ref>{{Cite web|title=天皇賞(春)|1989年4月29日|url=https://db.netkeiba.com/race/198908030310/|website=db.netkeiba.com|accessdate=2021-11-13}}</ref>。最内枠から発走し、上位人気のスルーオダイナとランニングフリーの背後である、中団後方に位置<ref name="優駿-1989-6-138141">『優駿』1989年6月号 138-141頁</ref>。最初のゴール板通過では、スタンドの喚声に反応してしまったが、武は馬群に入れて、前方に他の馬を置くことで折り合いをつけた<ref name="優駿-2010-1-154161" /><ref name="優駿-1989-6-138141" />。2周目の向こう正面、外から追い上げて、第3コーナーの坂を登り下りすると、最終コーナーを逃げた[[ミヤマポピー]]、2番手で先行したミスターシクレノン、中団にいたランニングフリーに次ぐ4番手で通過<ref name="優駿-1989-6-138141" />。直線では、ミスターシクレノンとランニングフリーの間から追い込み、残り200メートルで抜け出して独走した<ref name="優駿-2010-1-154161" /><ref name="優駿-1989-6-9799" />。後方との差を5馬身まで広げて先頭で入線、移籍後初勝利かつ{{GI}}初勝利と相成った<ref name="優駿-1989-6-138141" />。{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=uNCUbPKb588&ab_channel=JRA%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB 1989年 天皇賞(春)<br />レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画]}}走破タイム3分18秒8は、[[モンテプリンス]]が1982年の天皇賞(春)で樹立したコースレコードおよびレースレコードを0.4秒更新<ref name="優駿-1989-6-138141" />。また、1954年秋の[[オパールオーキツト|オパールオーキット]]、1956年秋の[[ミツドフアーム|ミッドファーム]]、1961年秋の[[タカマガハラ]]、1962年春の[[オンスロート (競走馬)|オンスロート]]、1968年春の[[ヒカルタカイ]]に続いて'''史上6頭目、21年ぶりとなる地方競馬出身競走馬による天皇賞勝利'''となった<ref name="優駿-1989-6-128">『優駿』1989年6月号 128頁</ref>。加えて、武は父の[[武邦彦]]が19度挑戦しても届かなかった天皇賞を初挑戦で優勝<ref name="優駿-1989-6-128" />、当日は20歳であり、天皇賞優勝騎手としては、1939年の[[帝室御賞典]](天皇賞の前身)を[[テツモン]]で制した[[保田隆芳]]の19歳に次ぐ、史上2番目の若さであった<ref name="優駿-1989-6-128" />。そのうえ、生産した山本にとっては、初めてJRA重賞勝利が天皇賞であった<ref name="優駿-1989-5-136137" />。表彰式では、イナリワンの左右で鈴木と福永が共に[[轡]]を取り、[[優勝レイ]]は福永に贈られている<ref>『日本名馬物語』pp.211-212</ref>。 |
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===== 宝塚記念 ===== |
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続いて6月11日、[[宝塚記念]]({{GI}})に再び武とともに出走。[[皐月賞]]優勝馬の[[ヤエノムテキ]]とともに単枠指定制度の対象となり<ref name="優駿-1989-8-142145" />、人気はヤエノムテキが単勝オッズ2.5倍の1番人気、イナリワンは4.8倍の2番人気、[[目黒記念]]優勝馬のキリパワーが4.9倍の3番人気であった<ref>{{Cite web|title=宝塚記念|1989年6月11日|url=https://db.netkeiba.com/race/198909030810/|website=db.netkeiba.com|accessdate=2021-11-15}}</ref>。また出走メンバーには、[[東京優駿]]優勝馬の[[サクラチヨノオー]]、[[優駿牝馬]]優勝馬の[[コスモドリーム]]、[[安田記念]]優勝馬の[[フレッシュボイス]]、[[バンブーメモリー]]など総勢7頭の{{GI}}優勝馬が揃っていた<ref name="優駿-1989-7-1619">『優駿』1989年7月号 16-19頁</ref>。{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=zDKXrKo_crU&ab_channel=JRA%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB 1989年 宝塚記念<br />レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画]}} |
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スタートから先行し、逃げるダイナカーペンター、[[シヨノロマン]]に次ぐ好位の3番手で1、2コーナーを通過<ref name="優駿-1989-8-142145" />。第3コーナーでは、シヨノロマンをかわして2番手、最終コーナーでダイナカーペンターに並びかけて、直線で抜け出した<ref name="優駿-2010-1-154161" />。先行したために末脚は鈍り、後方待機から追い込むフレッシュボイスに差を縮められ、並んだところで入線<ref name="優駿-1989-7-1619" />。クビ差イナリワンが先着しており、{{GI}}連勝となった<ref name="優駿-1989-8-142145" />。 |
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===== 毎日王冠 ===== |
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翌1988年、緒戦の[[金盃]]は苦手の[[馬場状態|重馬場]]となり{{#tag:ref|イナリワンは、走法的に水を含んだコースではバランスを崩し、まともに走れなかった<ref>『日本名馬物語』p.209</ref>。|group="注"}}、3着と初の敗戦を喫する。続く[[帝王賞]]も当日の降雨で重馬場となり、7着と大敗。その後態勢を立て直すために休養、8月に[[関東盃]]で復帰するも、三度の重馬場で5着に終わった。これを受けて再び休養。復帰後の[[東京記念]]は3着、[[笠松競馬場|笠松]]に遠征して臨んだ[[全日本サラブレッドカップ]]では、当時[[東海地方]]の最強馬であった[[フェートノーザン]]の2着と、復調を見せた。 |
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夏休みを経て、秋は[[毎日王冠]]({{GII}})で始動。武はスーパークリークの復帰初戦、同日開催の[[京都大賞典]]に騎乗したため、[[柴田政人]]に乗り替わった<ref name="優駿-2010-1-154161" />。春を全休し、復帰2戦目、連勝中のオグリキャップが単勝オッズ1.4倍の1番人気、デビュー以来2着以内を保ち、[[高松宮杯 (競馬)|高松宮杯]]優勝から臨む[[メジロアルダン]]が2.9倍の2番人気。イナリワンは単勝オッズ9.0倍の3番人気であった<ref>{{Cite web|title=毎日王冠|1989年10月8日 |url=https://db.netkeiba.com/race/198905040210/|website=db.netkeiba.com|accessdate=2021-11-13}}</ref>。 |
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スタートから後方に位置、オグリキャップをマークする形で追走した<ref name="優駿-1989-12-132133" />。直線では、内で7番人気[[ウインドミル]]とメジロアルダンが先頭を争う一方、オグリキャップとマークするイナリワンは大外に展開。先んじてオグリキャップが先頭争いを制したメジロアルダンとの差を縮めたが、イナリワンがメジロアルダンとオグリキャップの間を突いて脚を伸ばしてかわし、先頭となった<ref name="優駿-1989-12-132133" />。オグリキャップだけがそれに追いすがり、2頭がならびかけたところで入線。[[写真判定]]の末、オグリキャップのハナ差先着が認められ、イナリワンは2着に敗れた<ref name="優駿-1989-12-132133">『優駿』1989年12月号 132-133頁</ref>。(競走に関する詳細は、[[第40回毎日王冠]]を参照。) |
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保手浜はイナリワンを「芝コースに向く馬」と考え、年末のグランプリ競走・[[東京大賞典]]勝利の場合、中央競馬へ移籍する計画が立てられた。迎えた東京大賞典は良馬場となり、アラナスモンタを半馬身抑えて勝利を収める。これにより中央競馬への移籍が正式に決定し、翌1月には[[美浦トレーニングセンター]]の[[鈴木清 (競馬)|鈴木清]]に移った。以後も福永はアドバイザーとしてイナリワンへの関与を継続する<ref>『夢はターフを駆けめぐる5』p.156</ref>。 |
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その後、10月29日の[[天皇賞(秋)]]({{GI}})ではスタート直後に躓いて後方からとなり、追い込むも6着<ref>『優駿』1989年12月号 124-127頁</ref>、11月26日のジャパンカップ({{GI}})でも同様に追い込み11着に敗れた<ref name="優駿-2010-1-154161" />。 |
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=== 中央競馬移籍後 === |
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中央移籍後は、まず春の天皇賞を目標に関西に入った。しかし環境の変化に適応できず馬体が細化し、注目を集めた初戦・すばるステークスは4着。続く[[阪神大賞典]]は[[スルーオダイナ]]に進路を塞がれる不利もあり、5着に終わった{{#tag:ref|スルーオダイナは2位に入線したが失格、騎手の[[岡部幸雄]]は騎乗停止となった<ref>『夢はターフを駆けめぐる5』p.157</ref>。|group="注"}}。次走に天皇賞を迎えるに当たり、陣営は移籍後二走に見られた掛かり癖<ref group="注">馬が騎手の指示に従わず、ペース配分ができないこと。</ref>を是正するため、癖馬の騎乗に評価の高かった[[武豊]]を鞍上に迎えた<ref name="shimada29">島田(1997)p.29</ref>。体調も戻して迎えた[[天皇賞#天皇賞(春)|天皇賞(春)]]当日は4番人気の評価であったが、武の手綱で落ち着いたレース運びを見せる。最後の直線では後続馬を突き放し、5馬身差の圧勝。走破タイム3分18秒8というコースレコードで、移籍後初勝利を天皇賞で挙げた。表彰式ではイナリワンの左右で鈴木と福永が共に轡を取り、[[優勝レイ]]は福永に贈られた<ref>『日本名馬物語』pp.211-212</ref>。続く[[宝塚記念]]では[[安田記念]]優勝馬[[フレッシュボイス]]をクビ差で退け、[[競馬の競走格付け|GI競走]]2勝という成績で春のシーズンを終えた。 |
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===== 有馬記念 ===== |
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休養を経て、秋は[[東京競馬場]]の[[毎日王冠]]から始動。同日開催の[[京都大賞典]]で、武が[[主戦騎手]]を務めていたスーパークリークが故障休養から復帰。武が同馬への騎乗を選択したため、本競走から[[柴田政人]]を鞍上に迎えた。当日は稍重の馬場であったが、「怪物」オグリキャップと直線一杯に競り合い、ハナ差の2着。敗れたものの、その競走内容は史上の名勝負と称えられた<ref>『日本名馬物語』pp.212-213</ref>。 |
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続いて、年末のファン投票で選出馬となり、12月24日の[[有馬記念]]({{GI}})に参戦<ref>『優駿』1989年1月号 12頁</ref>。陣営は、連敗の原因を食事量の減少によって負荷のかかる追い切りができず、仕上がらないまま出走したためであると分析していた<ref name="優駿-2010-1-154161" />。鈴木は、連敗中にいた[[東京競馬場]]の馬房であると、落ち着きがないことに気付き、ジャパンカップ後に、イナリワンにとっては未知の場所である[[中山競馬場]]に一時入厩させ、美浦トレーニングセンターに戻るという対策を講じた<ref name="優駿-1990-2-138141">『優駿』1990年2月号 138-141頁</ref>。すると、イナリワンの食事量は回復。1週間前、当週の追い切りでは負荷の大きいメニューをこなして、充実した状態での出走が実現した<ref name="優駿-2010-1-154161" />。当日は、天皇賞(秋)2着、ジャパンカップ優勝のオグリキャップが単勝オッズ1.4倍の1番人気、天皇賞(秋)優勝、ジャパンカップ4着のスーパークリークが3.1倍、4歳馬の[[サクラホクトオー]]が12.6倍、そしてイナリワンは16.7倍の4番人気であった<ref>{{Cite web|title=有馬記念|1989年12月24日 |url=https://db.netkeiba.com/race/198906050809/|website=db.netkeiba.com|accessdate=2021-11-15}}</ref>。このうち、オグリキャップとスーパークリークは単枠指定制度の対象となっており<ref name="優駿-1990-2-138141" />、「二強」とも呼ばれた<ref name="優駿-1990-2-411">『優駿』1990年2月号 4-11頁</ref>。{{External media|width=300px|video1=[https://www.youtube.com/watch?v=P0xAti8Zb9o&ab_channel=JRA%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB 1989年 有馬記念<br />レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画]}} |
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スタートから「二強」が先行しそれぞれ2、3番手を占める一方<ref name="優駿-1990-2-411" />、イナリワンは後方に待機、2周目の向こう正面から外に持ち出し、位置を上げていた<ref name="優駿-2010-1-154161" />。オグリキャップが第3コーナーで逃げるダイナカーペンターを捉え、スーパークリークもそれに応じて差を詰め、最終コーナーは「二強」が並んだ状態で通過<ref name="優駿-1990-2-138141" />。イナリワンは外から中団馬群をかわしたのち、内に転進しその「二強」の背後を捉えた<ref name="優駿-1990-2-138141" />。直線では、[[ランニングフリー]]とともに追い上げを開始<ref name="優駿-2010-1-154161" />。「二強」の争いからはスーパークリークが制して先に抜け出し、追い上げる2頭からはイナリワンが末脚を利かせて、スーパークリークの外から追い込んだ<ref name="優駿-2010-1-154161" /><ref name="優駿-1990-2-138141" />。イナリワンがスーパークリークに並びかけたところで入線、写真判定の末、イナリワンのハナ差先着が認められ、{{GI}}3勝目となった<ref name="優駿-2010-1-154161" /><ref name="優駿-1990-2-138141" />。{{Quotation|勝負どころで |
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前にいたリアルバースデーに不利があって、そのスキにサッとインに潜り込んだんですよ。手ごたえもあったし、直線の坂下ではオグリキャップの脚色がおかしい。スーパークリークはもっと前にいて、届くかどうか微妙な感じだったんだけど、ものすごい勢いで伸びましたね。ゴールの瞬間は抜けたという感触がありましたよ。レース前から"やることはやった"と自分に言い聞かせていたんですよ。まともならオグリ(キャップ)やスーパー(クリーク)に引けを取らないレースが出来るって。根性を剥き出しにする、僕のタイプの馬ですよ。(後略、カッコ内加筆者)|柴田政人<ref name="優駿-1990-2-138141" />}} |
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走破タイム2分31秒7は、1984年に[[シンボリルドルフ]]が樹立したコースレコードおよびレースレコードを1.1秒更新<ref name="優駿-1990-2-138141" /><ref>『優駿』1989年2月号 138-141頁</ref>。同一年の宝塚記念と有馬記念を制したのは、1963年[[リユウフオーレル]]、1965年[[シンザン]]、1970年[[スピードシンボリ]]に続いて29年ぶり史上4頭目であった<ref>{{Cite web|title=【有馬記念】ドリジャニ9頭目の栄冠!|url=https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2009/12/27/kiji/K20091227Z00000450.html|website=スポニチ Sponichi Annex|accessdate=2021-11-16|language=ja}}</ref>。 |
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この年の「フリーハンデ」では、ハンデキャッパーが首位を「実力のオグリキャップ、実績のイナリワン<ref name="優駿-1989-フリーハンデ" />」(優駿編集部)のどちらに与えるかで激論となり、2時間半の時間を費やし、結局両者が首位の「65」<ref name="優駿-1989-フリーハンデ" />。以下、スーパークリークの「63」メジロアルダンの「60」ヤエノムテキの「59」と定められた<ref name="優駿-1989-フリーハンデ" />。「65」は、シンボリルドルフの「70」[[タマモクロス]]の「68」[[カツラギエース]]の「66」に次ぐ史上4番目であり、[[テンポイント]]に並ぶ評価であった<ref name="優駿-1989-フリーハンデ">『優駿』1990年2月号 66-72頁</ref>。またJRA賞では、全172票中140票を集めて[[JRA賞年度代表馬]]に、同様に144票を集めて[[JRA賞最優秀5歳以上牡馬]]に選出された<ref name="優駿-1989-JRA賞">『優駿』1990年2月号 52-57頁</ref>。 |
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しかし、この競走の反動から再び体調を崩し<ref>『日本名馬物語』p.213</ref>、次走の[[天皇賞#天皇賞(秋)|天皇賞(秋)]]は6着、評価を大きく落とした[[ジャパンカップ]]は11着と精彩を欠いた。しかし徐々に体調を戻し、年末に迎えた[[有馬記念]]では、レース最後の直線で武騎乗のスーパークリークをゴール寸前で交わし、2度目のコースレコードとなる2分31秒7で優勝。宝塚記念と合わせ、[[スピードシンボリ]]以来29年振りの春秋[[グランプリ (中央競馬)|グランプリ]]連覇を達成した。この年、GI競走3勝の実績が評価され、翌1月には当年の年度代表馬に選出された。 |
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翌1990年は、3月11日の阪神大賞典で始動。[[負担重量]]62キログラムに加えて、良馬場にもかかわらず馬場の荒れているところに脚をとられて伸びず、[[ブービー賞]]の5着敗退<ref>『優駿』1990年5月号 138-139頁</ref>。続く天皇賞(春)では、先行するスーパークリークの後方につけて、直線で追い込んだが、半馬身及ばず2着<ref>『優駿』1990年6月号 138-141頁</ref>。それから6月10日の宝塚記念では、後方待機から追い込むも、勝利した[[オサイチジョージ]]に5馬身以上遅れた4着となった<ref>『優駿』1990年8月号 140-143頁</ref>。 |
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翌1990年も競走生活を続行したが、緒戦の阪神大賞典は62kgの[[負担重量|斤量]]を背負い5着、天皇賞(春)はスーパークリークとの競り合いに敗れ2着、宝塚記念は荒れた馬場に脚を取られ、4着に終わった。休養後、秋の再起を目指して調整が進められるも、脚部不安を生じてレース出走は叶わず、そのまま引退。有馬記念当日の12月23日、[[中山競馬場]]で[[引退#競馬|引退式]]が執り行われた。 |
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美浦トレーニングセンターで夏休みを過ごし、秋はオールカマーから天皇賞(秋)というローテーションを予定していたが、9月初旬に右前脚の[[球節]]に不安が生じたために断念<ref>『優駿』1990年10月号 16-17頁</ref>。その後は、回復することなく競走馬を引退し、[[第35回有馬記念]]当日の12月23日に引退式が行われた<ref>『優駿』1991年2月号 18-19頁</ref>。 |
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=== 引退後 === |
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引退後は種牡馬として[[日高軽種馬農業協同組合|日高軽種馬農協]]門別種馬場に繋養された。共に「平成三強」と呼ばれたオグリキャップ、スーパークリークと同年の種牡馬入りであったが、[[サンデーサイレンス]]をはじめとする輸入種牡馬の前に、両馬ともども大きな成功を収めることはできなかった。しかし、福永厩舎に入った初年度産駒[[ツキフクオー]]が、東京王冠賞親子制覇など大井で活躍。ほかイナリコンコルド([[大井記念]]・[[東京記念]]など)、シグナスヒーロー([[日経賞]]2着など)といった活躍馬も輩出し、「三強」の中では最も目立った成績を残した。 |
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=== 種牡馬時代 === |
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2004年を限りに種牡馬から引退し、以後は門別町のポニーファームで[[功労馬]]として過ごす。2007年には大井で「里帰り」イベントが開催され、東京大賞典以来20年振りに大井競馬場を訪れた<ref group="注">12月28日開催。当初は8月18日に開催の予定だったが、同時期に関東で[[馬インフルエンザ]]が流行したため、感染防止・防疫の観点から競馬開催中止に伴いこの里帰りも一度は中止となったが、ファン有志が代替イベントの開催を希望したため、4か月延期という形で開催となった。</ref>。翌[[2008年]][[6月22日]]には、[[北広島市]]の乗馬施設ホースフィールドワッツで行われたイベント「第5回ワッツワンダフルワールド!」に参加。その後繋養先が何度か移転し、2010年7月には茨城県北茨城市のオールドウェスト乗馬クラブで繋養されていると報じられた<ref>名馬「イナリワン」 北茨城で幸せな余生 茨城新聞2010年7月31日</ref>。2014年12月からは[[功労馬繋養展示事業]]の助成を受け、[[北海道]][[占冠村]]のあるぷすペンションで過ごした。 |
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引退後は種牡馬として[[日高軽種馬農業協同組合|日高軽種馬農協]]門別種馬場に繋養された。福永厩舎に入った初年度産駒ツキフクオーが、東京王冠賞親子制覇など大井で活躍。他にイナリコンコルド([[大井記念]]・[[東京記念]]など)、シグナスヒーロー([[日経賞]]2着など)が産まれた。 |
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2004年を限りに種牡馬から引退し、以後は門別町のポニーファームで[[功労馬]]として過ごす。その後繋養先が何度か移転し、2010年7月には茨城県北茨城市のオールドウェスト乗馬クラブで繋養されていると報じられた<ref>名馬「イナリワン」 北茨城で幸せな余生 茨城新聞2010年7月31日</ref>。2014年12月からは[[功労馬繋養展示事業]]の助成を受け、[[北海道]][[占冠村]]のあるぷすペンションで過ごした。2016年2月7日に32歳で死亡<ref name="イナリワン-死">{{Cite web|title=平成3強のイナリワン死す 32歳|url=http://race.sanspo.com/keiba/news/20160207/etc16020718140004-n1.html|website=予想王TV@SANSPO.COM|date=2016-02-07|accessdate=2021-11-16|language=ja-JP}}</ref>。 |
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2016年2月7日に32歳で死亡した<ref>{{Cite web |url=https://www.meiba.jp/horses/view/1984106229/ |title=近況|イナリワン |website=引退名馬 |date=2016-02-07 |accessdate=2016-04-03}}</ref>。 |
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== 競走成績 == |
== 競走成績 == |
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|[[1986年|1986]]. |
|[[1986年|1986]]. |
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|12. |
|12. |
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|{{0}}9 |
|[[12月9日|{{0}}9]] |
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|[[大井競馬場|大井]] |
|[[大井競馬場|大井]] |
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|[[新馬|3歳新馬]] |
|[[新馬|3歳新馬]] |
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|ダ |
|ダ1000m(良) |
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|9 |
|9 |
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|6 |
|6 |
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|[[1987年|1987]]. |
|[[1987年|1987]]. |
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|{{0}}1. |
|{{0}}1. |
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|{{0}}2 |
|[[1月2日|{{0}}2]] |
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|大井 |
|大井 |
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|151万下 |
|151万下 |
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| colspan="4" |出走取消 |
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|{{0}}宮浦正行 |
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|54.5 |
|54.5 |
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|{{0}}5. |
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|[[5月20日|20]] |
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|大井 |
|大井 |
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|155万下 |
|155万下 |
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|{{0}}6. |
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|[[6月14日|14]] |
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|14 |
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|大井 |
|大井 |
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|360万下 |
|360万下 |
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|{{0}}6. |
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|[[6月28日|28]] |
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|大井 |
|大井 |
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|ライラック特別 |
|ライラック特別 |
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|{{0}}8. |
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|[[8月21日|21]] |
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|大井 |
|大井 |
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|りんどう特別 |
|りんどう特別 |
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|{{0}}9. |
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|[[9月23日|23]] |
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|大井 |
|大井 |
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|トゥインクルエイジ |
|トゥインクルエイジ |
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208行目: | 237行目: | ||
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|11. |
|11. |
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|[[11月11日|11]] |
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|大井 |
|大井 |
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|[[東京王冠賞]] |
|[[東京王冠賞]] |
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227行目: | 256行目: | ||
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|12. |
|12. |
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|[[12月28日|28]] |
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|[[船橋競馬場|船橋]] |
|[[船橋競馬場|船橋]] |
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|[[東京湾カップ |
|[[東京湾カップ]] |
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|ダ2000m(良) |
|ダ2000m(良) |
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246行目: | 275行目: | ||
|[[1988年|1988]]. |
|[[1988年|1988]]. |
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|{{0}}3. |
|{{0}}3. |
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|{{0}}3 |
|[[3月3日|{{0}}3]] |
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|大井 |
|大井 |
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|[[金盃]] |
|[[金盃]] |
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265行目: | 294行目: | ||
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|{{0}}4. |
|{{0}}4. |
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|[[4月13日|13]] |
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|大井 |
|大井 |
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|[[帝王賞]] |
|[[帝王賞]] |
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284行目: | 313行目: | ||
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|{{0}}8. |
|{{0}}8. |
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|[[8月10日|10]] |
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|大井 |
|大井 |
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|[[サンタアニタトロフィー|関東盃]] |
|[[サンタアニタトロフィー|関東盃]] |
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|{{0}}宮浦正行 |
|{{0}}宮浦正行 |
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|イーグルシャトー |
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|[[11月2日|{{0}}2]] |
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|大井 |
|大井 |
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|[[東京記念]] |
|[[東京記念]] |
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|[[11月23日|23]] |
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|[[笠松競馬場|笠松]] |
|[[笠松競馬場|笠松]] |
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|[[全日本サラブレッドカップ |
|[[全日本サラブレッドカップ]] |
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|ダ2500m(良) |
|ダ2500m(良) |
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341行目: | 370行目: | ||
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|12. |
|12. |
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|[[12月29日|29]] |
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|大井 |
|大井 |
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|[[東京大賞典]] |
|[[東京大賞典]] |
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360行目: | 389行目: | ||
|[[1989年|1989]]. |
|[[1989年|1989]]. |
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|{{0}}2. |
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|[[2月11日|11]] |
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|[[京都競馬場|京都]] |
|[[京都競馬場|京都]] |
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|すばるS |
|すばるS |
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379行目: | 408行目: | ||
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|{{0}}3. |
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|[[3月12日|12]] |
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|[[阪神競馬場|阪神]] |
|[[阪神競馬場|阪神]] |
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|[[阪神大賞典]] |
|[[阪神大賞典]] |
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|{{ |
|{{GII}} |
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|芝3000m(良) |
|芝3000m(良) |
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393行目: | 422行目: | ||
|{{0}}小島太 |
|{{0}}小島太 |
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|57 |
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|ナムラモノノフ |
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|444 |
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|{{0}}4. |
|{{0}}4. |
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|[[4月29日|29]] |
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|京都 |
|京都 |
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|[[天皇賞#天皇賞(春)|天皇賞(春)]] |
|[[天皇賞#天皇賞(春)|天皇賞(春)]] |
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|{{ |
|{{GI}} |
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|芝3200m(良) |
|芝3200m(良) |
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|18 |
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|{{00}}9.3{{0}}(4人) |
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|{{Nowiki|-}}0.8 |
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|{{0}}[[武豊]] |
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|58 |
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|( |
|(ミスターシクレノン) |
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|{{0}}6. |
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|[[6月11日|11]] |
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|阪神 |
|阪神 |
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|[[宝塚記念]] |
|[[宝塚記念]] |
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|{{ |
|{{GI}} |
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|芝2200m(良) |
|芝2200m(良) |
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|16 |
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|10. |
|10. |
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|{{0}}8 |
|[[10月8日|{{0}}8]] |
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|[[東京競馬場|東京]] |
|[[東京競馬場|東京]] |
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|[[毎日王冠]] |
|[[毎日王冠]] |
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|{{ |
|{{GII}} |
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|芝1800m(稍) |
|芝1800m(稍) |
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|8 |
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455行目: | 484行目: | ||
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|10. |
|10. |
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|[[10月29日|29]] |
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|29 |
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|東京 |
|東京 |
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|[[ |
|[[天皇賞(秋)]] |
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|{{ |
|{{GI}} |
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|芝2000m(良) |
|芝2000m(良) |
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|14 |
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474行目: | 503行目: | ||
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|11. |
|11. |
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|[[11月26日|26]] |
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|26 |
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|東京 |
|東京 |
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|[[ |
|[[ジャパンカップ]] |
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|{{ |
|{{GI}} |
||
|芝2400m(良) |
|芝2400m(良) |
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|15 |
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493行目: | 522行目: | ||
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| |
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|12. |
|12. |
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|[[12月24日|24]] |
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|24 |
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|[[中山競馬場|中山]] |
|[[中山競馬場|中山]] |
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|[[ |
|[[有馬記念]] |
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|{{ |
|{{GI}} |
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|芝2500m(良) |
|芝2500m(良) |
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|16 |
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503行目: | 532行目: | ||
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|{{0}}16.7{{0}}(4人) |
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|{{0}}柴田政人 |
|{{0}}柴田政人 |
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512行目: | 541行目: | ||
|[[1990年|1990]]. |
|[[1990年|1990]]. |
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|{{0}}3. |
|{{0}}3. |
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|[[3月11日|11]] |
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|阪神 |
|阪神 |
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|阪神大賞典 |
|阪神大賞典 |
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|{{ |
|{{GII}} |
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|芝3000m(良) |
|芝3000m(良) |
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|6 |
|6 |
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531行目: | 560行目: | ||
| |
| |
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|{{0}}4. |
|{{0}}4. |
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|[[4月29日|29]] |
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|29 |
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|京都 |
|京都 |
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|天皇賞(春) |
|天皇賞(春) |
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|{{ |
|{{GI}} |
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|芝3200m(良) |
|芝3200m(良) |
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|16 |
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550行目: | 579行目: | ||
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| |
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|{{0}}6. |
|{{0}}6. |
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|[[6月10日|10]] |
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|10 |
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|阪神 |
|阪神 |
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|宝塚記念 |
|宝塚記念 |
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|{{ |
|{{GI}} |
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|芝2200m(良) |
|芝2200m(良) |
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|10 |
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567行目: | 596行目: | ||
|442 |
|442 |
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|} |
|} |
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*タイム欄の{{color|darkred|R}}はレコード勝ちを示す。 |
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== 種牡馬成績 == |
== 種牡馬成績 == |
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=== 主な成績 === |
=== 主な成績 === |
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* ツキフクオー([[東京王冠賞]]、[[アフター5スター賞]]) |
* ツキフクオー([[東京王冠賞]]、[[アフター5スター賞]])<ref>{{Cite web|title=ツキフクオー|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000259540/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-11-16}}</ref> |
||
* イナリコンコルド([[大井記念]]、[[東京記念]]、[[金盃]]、アフター5スター賞) |
* イナリコンコルド([[大井記念]]、[[東京記念]]、[[金盃]]、アフター5スター賞)<ref>{{Cite web|title=イナリコンコルド|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000297493/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-11-16}}</ref> |
||
* シグナスヒーロー(2着 - [[日経賞]]、[[ステイヤーズステークス]]、[[アメリカジョッキークラブカップ]]、[[エプソムカップ]]、[[七夕賞]]) |
* シグナスヒーロー(2着 - [[日経賞]]、[[ステイヤーズステークス]]、[[アメリカジョッキークラブカップ]]、[[エプソムカップ]]、[[七夕賞]])<ref>{{Cite web|title=シグナスヒーロー|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000260388/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-11-16}}</ref> |
||
* ボストンエンペラー(2着 - [[愛知杯]]) |
* ボストンエンペラー(2着 - [[愛知杯]])<ref>{{Cite web|title=ボストンエンペラー|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000267801/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-11-16}}</ref> |
||
* ミナモトエリモ(高崎オークス、クイーンカップ(高崎)) |
* ミナモトエリモ(高崎オークス、クイーンカップ(高崎))<ref>{{Cite web|title=ミナモトエリモ|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000302642/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-11-16}}</ref> |
||
* セイントピアス([[ジュニアグランプリ (岩手競馬)|東北ジュニアグランプリ]]) |
* セイントピアス([[ジュニアグランプリ (岩手競馬)|東北ジュニアグランプリ]])<ref>{{Cite web|title=セイントピアス|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000313066/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-11-16}}</ref> |
||
* タツミブレン([[くろゆり賞]](笠松)) |
* タツミブレン([[くろゆり賞]](笠松))<ref>{{Cite web|title=タツミブレン|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000328633/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-11-16}}</ref> |
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* ライジングタイド(中津大賞典) |
* ライジングタイド(中津大賞典)<ref>{{Cite web|title=ライジングタイド|url=https://www.jbis.or.jp/horse/0000305869/|website=www.jbis.or.jp|accessdate=2021-11-16}}</ref> |
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== 特徴・エピソード == |
== 特徴・エピソード == |
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日常生活から蹴癖があり、対策として馬房の壁に[[畳]]が貼られる<ref>渡瀬(1992)p.354</ref>など、非常に気性が激しい馬だった。こうした気性から、コースで走る際には極めて強い掛かり癖を見せた{{#tag:ref|武豊は、イナリワンは激しすぎる気性から折り合いを欠くため、スタート直後から道中常になだめながら乗る必要があると述べている<ref>渡瀬(1992)pp.333-334</ref>。|group="注"}}。武豊が調教で初騎乗した際には、武が手綱をがっしりと抑えながら、これを無視して全速力で2周を走り、「レースでも御し切れないのでは」という不安を抱かせている<ref name="shimada29" |
日常生活から蹴癖があり、対策として馬房の壁に[[畳]]が貼られる<ref>渡瀬(1992)p.354</ref>など、非常に気性が激しい馬だった。こうした気性から、コースで走る際には極めて強い掛かり癖を見せた{{#tag:ref|武豊は、イナリワンは激しすぎる気性から折り合いを欠くため、スタート直後から道中常になだめながら乗る必要があると述べている<ref>渡瀬(1992)pp.333-334</ref>。|group="注釈"}}。武豊が調教で初騎乗した際には、武が手綱をがっしりと抑えながら、これを無視して全速力で2周を走り、「レースでも御し切れないのでは」という不安を抱かせている<ref name="shimada29">島田(1997)p.29</ref>。小柄ながら力も非常に強く、後年武は、数々の騎乗馬の内で「一番気の強い馬」「一番パワーのあった馬」として本馬の名を挙げている<ref>島田(2007)pp.277-278</ref>。 |
||
一方、騎手との呼吸が合った時に見せる能力は素晴らしかったとされ、武は「良くも悪くも、凄まじい推進力を持った馬でしたね。軽くてコンパクトなボディーに、超ハイパワーのエンジンを積んでいた、という感じ」と評し<ref>島田(1997)p.33</ref>、柴田政人は「体全体を使うフォームで、体の小ささを感じさせなかった」と述べ、自身が騎乗した内の最強馬に挙げている<ref>『Sports Graphic Number PLUS』p.23</ref>。また、イナリワンの調教を行った[[調教助手]]の堤敏夫は、騎乗した時の印象について「キャンターに入るまでの感触はガクンガクンとしてあまり良くないが、加速してからの乗り味はすごくいい」と述べている<ref>渡瀬(1992)p.352</ref>。 |
一方、騎手との呼吸が合った時に見せる能力は素晴らしかったとされ、武は「良くも悪くも、凄まじい推進力を持った馬でしたね。軽くてコンパクトなボディーに、超ハイパワーのエンジンを積んでいた、という感じ」と評し<ref>島田(1997)p.33</ref>、柴田政人は「体全体を使うフォームで、体の小ささを感じさせなかった」と述べ、自身が騎乗した内の最強馬に挙げている<ref>『Sports Graphic Number PLUS』p.23</ref>。また、イナリワンの調教を行った[[調教助手]]の堤敏夫は、騎乗した時の印象について「キャンターに入るまでの感触はガクンガクンとしてあまり良くないが、加速してからの乗り味はすごくいい」と述べている<ref>渡瀬(1992)p.352</ref>。 |
||
東京大賞典、東京王冠賞を勝利という実績を掲げて中央入りし、 GIを3勝し年度代表馬にまでなった名馬であったが 中央での11戦において単勝オッズ1番人気には一度もならなかった。 |
|||
なお、武騎乗で天皇賞(春)と宝塚記念を連勝した際、馬主の保手浜はその功に報いるため、武がかねて希望していた渡米を実現させ、現地で自身の所有馬に騎乗させた。これ以降、武は毎年のアメリカ遠征が叶うようになり、「イナリワンは僕に幸運をプレゼントしてくれた馬だった」との謝辞を送っている<ref>島田(1997)p.34</ref>。 |
なお、武騎乗で天皇賞(春)と宝塚記念を連勝した際、馬主の保手浜はその功に報いるため、武がかねて希望していた渡米を実現させ、現地で自身の所有馬に騎乗させた。これ以降、武は毎年のアメリカ遠征が叶うようになり、「イナリワンは僕に幸運をプレゼントしてくれた馬だった」との謝辞を送っている<ref>島田(1997)p.34</ref>。 |
||
87年クラシック世代の同期に[[サクラスターオー]]、[[タマモクロス]]がいる。サクラスターオーは87年、タマモクロスは88年に[[年度代表馬]]に選出されており、89年年度代表馬のイナリワンと合わせて3年連続で同い年が年度代表馬に選ばれている。同期で3頭の年度代表馬を輩出した世代は他に60年クラシック世代の[[コダマ (競走馬)|コダマ]]、[[ホマレボシ]]、[[オンスロート (競走馬)|オンスロート]]と、76年クラシック世代のいわゆる[[TTG]]がいる。TTGは[[トウショウボーイ]]が76年、[[テンポイント]]が77年、[[グリーングラス]]が79年であり、3年連続は60年世代と87年世代のみである。{{#tag:ref|啓衆社賞時代には、[[コダマ (競走馬)|コダマ]]、[[ホマレボシ]]、[[オンスロート (競走馬)|オンスロート]](いずれも1957年生まれ)が3年連続で年度代表馬に選出されている。|group="注"}}。 |
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== 血統表 == |
== 血統表 == |
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631行目: | 655行目: | ||
== 脚注 == |
== 脚注 == |
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=== 注釈 === |
=== 注釈 === |
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<references group="注釈" /> |
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=== 出典 === |
=== 出典 === |
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{{Reflist|2}} |
{{Reflist|2}} |
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643行目: | 668行目: | ||
* 『Sports Graphic Number PLUS - 競馬黄金の蹄跡』(文藝春秋、1999年)ISBN 4160081088 |
* 『Sports Graphic Number PLUS - 競馬黄金の蹄跡』(文藝春秋、1999年)ISBN 4160081088 |
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* 『[[優駿]]』([[日本中央競馬会]]) |
* 『[[優駿]]』([[日本中央競馬会]]) |
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** |
** 1988年2月号 |
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***林重治郎「【地方競馬ニュース】東京大賞典で有終の美 テツノカチドキ」 |
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**1988年5月号 |
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***林重治郎「【地方競馬ニュース】大井の金盃はチャンピオンスター」 |
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**1988年6月号 |
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***林重治郎「【地方競馬ニュース】第11回帝王賞は大井のチャンピオンスター」 |
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**1988年10月号 |
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***林重治郎「【地方競馬ニュース】快速イーグルシャトー 牡馬を蹴散らしV2」 |
|||
**1989年1月号 |
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***林重治郎「【地方競馬ニュース】全日本サラブレッドC フェートノーザン快勝」 |
|||
***林重治郎「【地方競馬ニュース】アエロプラーヌ 4歳馬の頂点に」 |
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**1989年2月号 |
|||
***林重治郎「【地方競馬ニュース】実力馬イナリワン 東京大賞典で復活」 |
|||
**1989年5月号 |
|||
***佐藤将美「【今月の記録室】第37回阪神大賞典({{GII}}) ナムラモノノフ」 |
|||
**1989年6月号 |
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***「【第99回天皇賞(春)カラーページ】レコードの快勝、輝く星、ふた~つ、イナリワン」 |
|||
***瀬上保男([[読売新聞]])「【今月の記録室】皐月賞、天皇賞で公営出身馬が快勝」 |
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***梶山隆平([[日刊スポーツ]])「【今月の記録室】第99回天皇賞(春)({{GI}})」 |
|||
**1989年7月号 |
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***「【'89春の{{GI}}レース総集編 第30回宝塚記念】ここはユタカvsミキオ 若いパワーの炸裂も、イナリワン」 |
|||
***[[吉川良]]「【'89春の{{GI}}競走勝ち馬の故郷紀行】雲をつかんだ人たち イナリワンの山本実儀牧場」 |
|||
***「【オーナー愛馬を語る 38】イナリワンの保手浜忠弘さん」 |
|||
**1989年8月号 |
|||
***末永紀元([[大阪スポーツ]])「【今月の記録室】第30回宝塚記念({{GI}}) イナリワン」 |
|||
**1989年12月号 |
|||
***原田純一([[報知新聞]])「【今月の記録室】第100回天皇賞(秋)スーパークリーク」 |
|||
***田中英雄([[毎日新聞]])「【今月の記録室】第40回毎日王冠({{GII}})」 |
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**1990年1月号 |
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***「【第34回有馬記念有力馬】オグリキャップvsスーパークリーク 舞台は変わって第三幕。」 |
|||
**1990年2月号 |
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***「【第34回有馬記念詳報】実る夢、散る夢 平成元年年度代表馬にイナリワン」 |
|||
***「【1989年度JRA賞】年度代表馬は{{GI}}3勝のイナリワン オグリキャップには特別賞」 |
|||
***「【1989年度フリーハンデ決定 5歳以上総合】実力のオグリキャップ対実績のイナリワンは、ともに史上4番目の65キロで決着。」 |
|||
***伊藤元彦([[夕刊フジ]])「【今月の記録室】第34回有馬記念<グランプリ>({{GI}})イナリワン」 |
|||
**1990年5月号 |
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***井上泰司([[スポーツニッポン]])「【今月の記録室】第38回阪神大賞典({{GII}})オースミシャダイ」 |
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**1990年6月号 |
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***萩谷宗秀(報知新聞)「【今月の記録室】第101回天皇賞(春)スーパークリーク」 |
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**1990年8月号 |
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***大野良郎(スポーツニッポン)「【今月の記録室】第31回宝塚記念({{GI}})オサイチジョージ」 |
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**1990年10月号 |
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***[[柏木集保]]「【'90秋・古馬戦線の動向】2年間続いた"長期三強の時代"の行方は。」 |
|||
**1991年2月号 |
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***「【"三強"の引退】イナリワン、スーパークリークも――。三強時代は終わりを告げた。」 |
|||
**2010年1月号 |
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*** 阿部珠樹「【サラブレッド・ヒーロー列伝】イナリワン 地方・中央の統一王者」 |
*** 阿部珠樹「【サラブレッド・ヒーロー列伝】イナリワン 地方・中央の統一王者」 |
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== 関連項目 == |
|||
* [[穴守稲荷神社]] - イナリワンの「イナリ」は馬主の保手浜氏が崇敬していた穴守稲荷神社に由来しており、保手浜氏が大井競馬場などの公営競馬に預託する馬につける冠号である。 |
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== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
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{{競走馬成績|netkeiba=1984106229|yahoo=1984106229|jbis=0000171237|chihou=30008404113|racingpost=}} |
|||
* [http://www.local-keiba.com/minariwan.html 地方競馬まるごと] -地方競馬場所属の名馬たち- イナリワン号 |
|||
* {{競走馬成績|netkeiba=1984106229|yahoo=1984106229|jbis=0000171237|chihou=30008404113|racingpost=}} |
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* {{競走馬のふるさと案内所|0000171237|イナリワン}} |
* {{競走馬のふるさと案内所|0000171237|イナリワン}} |
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2021年11月16日 (火) 11:01時点における版
この記事は「旧馬齢表記」が採用されており、国際的な表記法や2001年以降の日本国内の表記とは異なっています。 |
イナリワン | |||||||||||||||||||||
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ファイル:Masato shibata.jpg イナリワンと柴田政人(1990年4月29日) | |||||||||||||||||||||
品種 | サラブレッド[1] | ||||||||||||||||||||
性別 | 牡[1] | ||||||||||||||||||||
毛色 | 鹿毛[1] | ||||||||||||||||||||
生誕 | 1984年5月7日[1] | ||||||||||||||||||||
死没 | 2016年2月7日(32歳没)[2] | ||||||||||||||||||||
抹消日 | 1989年1月10日[3] | ||||||||||||||||||||
父 | ミルジョージ[1] | ||||||||||||||||||||
母 | テイトヤシマ[1] | ||||||||||||||||||||
母の父 | ラークスパー[1] | ||||||||||||||||||||
生国 | 日本(北海道門別町)[1] | ||||||||||||||||||||
生産者 | 山本実儀[4][注釈 1] | ||||||||||||||||||||
馬主 |
保手濱忠弘[6] →保手浜弘規[1](同一人物[注釈 2]) | ||||||||||||||||||||
調教師 |
福永二三雄(大井)[6] →鈴木清(美浦北)[4] | ||||||||||||||||||||
厩務員 | 五関保利(JRA)[8] | ||||||||||||||||||||
競走成績 | |||||||||||||||||||||
タイトル |
JRA賞年度代表馬[1](1989年) JRA賞最優秀5歳以上牡馬[1] (1989年)東京競馬記者クラブ賞[9](1989年) NARグランプリ特別表彰馬[1](2016年) | ||||||||||||||||||||
生涯成績 |
25戦12勝[4] (地方競馬14戦9勝)[4] (中央競馬11戦3勝) | ||||||||||||||||||||
獲得賞金 | 5億932万6000円[1] | ||||||||||||||||||||
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イナリワン(欧字名:Inari One、1984年5月7日 - 2016年2月7日)は、日本の競走馬、種牡馬[4]。
1989年のJRA賞年度代表馬、JRA最優秀5歳以上牡馬、2016年選出のNARグランプリ特別表彰馬である。主な勝ち鞍は、1989年の天皇賞(春)(GI)、宝塚記念(GI)、有馬記念(GI)。1988年の東京大賞典。1987年の東京湾カップ、東京王冠賞。
大井競馬でデビューし、1989年からは中央競馬に移籍。GI2連勝後の秋には、オグリキャップとスーパークリークに並び立ち「平成三強」と呼ばれ、秋古馬路線の三タイトルを分け合った。
生涯
デビューまで
誕生までの経緯
テイトヤシマは、1970年に北海道浦河町のヤシマ牧場で生産された牝馬で、父はイギリスダービー優勝馬のラークスパーであった[10]。競走馬としてデビューすることなく繁殖牝馬となり、1974年の初仔は死亡、76年の2番仔は未出走となっている[11]。3、4、5番仔は北海道静内町の藤川昭牧場で生産された[12][13][14]。以降、6番仔は浦河町の川崎清牧場[15]、7番仔はヤシマ牧場[16]、8番仔は浦河町の松田敏牧場にてそれぞれ生産された[17]。
8番仔は後にミカホーマーと名付けられて中央競馬でデビューし、1986年に3勝を挙げることになるが[18]、それ以前は、3頭の産駒が不出走、不受胎による空胎が2年あった[11]。また、デビューした3頭の産駒はすべて地方競馬で走ったが、2頭は勝利を挙げられず、4番仔であるコウシンファスト(父:ボールドコンバタント)の38戦1勝が最高成績であった[11][13]。ミカホーマーが産まれた1983年、テイトヤシマはミルジョージと交配[19]。1984年5月7日、北海道門別町の山本実儀牧場にて9番仔である鹿毛の牡馬(後のイナリワン)が誕生する[20]。同年、テイトヤシマはマタボーイと交配するも、不受胎に終わり、12月には用途変更となっている[11][19]。
幼駒時代
同じ年に牧場で生産されたのは8頭であったが、テイトヤシマの9番仔は、実儀の子である山本文雄によれば、目立つ存在ではなかったという[21]。当歳夏に大井競馬場所属の調教師である福永二三雄に見出され、福永が2歳春に城南製作所代表取締役である保手浜弘規[注釈 3]を紹介[22]。福永は「小柄だが精悍でバランスが良い馬だ。ミルジョージの仔は最初の世代から世話して熟知しているが、イナリワンはミルジョージの分身といった感じで生き写し。賢そうで、気性も競走馬向きと思った[22]」、保手浜は「馬相が良く、目に澄み切った海底をのぞくような深いものを感じた。値段の交渉もほとんどせずに買いました[22]」と回顧している。ミルジョージ産駒は、ダートで活躍する傾向にあったため、9番仔も地方競馬でのデビューが決定[23]。保手浜は、地方競馬でデビューさせる馬に与える冠名[注釈 4]で、大井競馬場近くの穴守稲荷神社に由来する「イナリ」に、「一番出世して欲しい馬[22]」という願いから「ワン」を組み合わせた「イナリワン」という競走馬名を9番仔に与えた[22]。
イナリワンは、福永厩舎に入厩した。福永はデビュー前のイナリワンを「緩さは残るが、絶対走るから乗ってみろ[25]」と騎手の宮浦正行に紹介[25]。宮浦が騎乗してみると、角馬場では躓いて、キャンターすることができなかったが[25]、外馬場では「(前略)のびのび走らせてみると全身を使って走るし、パワーも凄かった[25]」と回顧している。以降、宮浦がしばらく騎乗することとなる[25]。
競走馬時代
大井競馬時代(1986-88年)
1986年12月9日、大井競馬場の新馬戦(ダート1000メートル)でデビュー。2着に4馬身差を付けて初勝利を挙げる。続いて翌1987年の正月競馬に登録を行ったが、出走を取り消した。春の目標とした羽田盃、東京ダービーを断念したが、以後連勝を続けた[23]。秋には南関東三冠の最終戦[注釈 5]である東京王冠賞に出走、チャンピオンスターに1馬身差を付けて優勝し、重賞初制覇を果たした[23]。暮れは「出てくれば当然1番人気と思われた[26]」(林重治郎)東京大賞典[注釈 6]ではなく、船橋競馬場の新設重賞である東京湾カップを選択し[26]、勝利を挙げて8連勝とした[27]。
翌1988年、3月3日の金盃は苦手の重馬場となる中[注釈 7]、2番人気で出走[27]。スタートで出遅れて追い込んだが、先に抜け出したチャンピオンスターに届かず3着、初の敗戦となった[27][29]。続く帝王賞も当日の降雨で重馬場となり、2番人気に推されたが、後方待機のまま7着[29]。その後はオールカマーからジャパンカップ出走を目論んでいたが[24]、オールカマーの地方競馬代表には選出されなかった[30]。8月の関東盃では、イーグルシャトーの逃げに敵わず5着[30]、11月2日の東京記念は3着に敗れた。11月23日には、全日本サラブレッドカップの招待馬に選出、初めて笠松競馬場に遠征し出走した[31]。スローペースの2番手につけたが、後方から追い込んだフェートノーザンに第3コーナーから最終コーナーかけてかわされ2着[31]。後に宮浦は、仕掛けを遅らせたことを自らの騎乗ミスであると振り返っている[25]。
12月29日の東京大賞典では、勝利した暁には中央競馬に移籍し天皇賞を目指すと宣言した[25]。東京王冠賞、ダービーグランプリなど6連勝中だったアエロプラーヌ[31]が1番人気、アラナスモンタが2番人気と続き、3番人気で出走[32]。アエロプラーヌがスローペースで逃げる一方、宮浦は控える戦法を選択した[32]。直線で末脚を見せると、代わって先頭となったアラナスモンタを半馬身差し切って勝利[32]。宮浦にとっては、1978年のハツシバオー以来2回目となる東京大賞典優勝であった[32]。保手浜は、改めて中央競馬への移籍を発表、翌年の天皇賞(春)と宝塚記念を目標とし、岡部幸雄とともに参戦する計画も併せて発表[32]。翌1989年1月10日、地方競馬の競走馬登録を抹消し[3]、美浦トレーニングセンターの鈴木清厩舎に転厩した。以降、福永はアドバイザーとしてイナリワンへの関与を継続している[33]。
中央競馬時代(1989-90年)
2月11日、京都競馬場のすばるステークス(OP)に小島太が騎乗して中央競馬デビュー。折り合いを欠いて入れ込みながらの追走となり、直線には2番手で差し掛かったが、以降は伸びず4着[23]。小島は「はじめての芝と道悪で条件が厳しかった。(後略)[23]」としている。続く3月12日の阪神大賞典(GII)でJRAの重賞初出走。後方待機から、最後の直線で追い上げにかかったが、スルーオダイナの斜行で進路妨害を受けて6位入線[34]。スルーオダイナの失格処分により繰り上がり、5着となった[34][35]。
天皇賞(春)
それから4月29日、天皇賞(春)(GI)に出走。陣営は、近走のかかるクセを改善するため、鞍上にクセのある馬への騎乗に対して、評価の高かった武豊を起用[36]。武は前年の菊花賞優勝馬であるスーパークリークの主戦騎手であったが、体調不良[23]、脚部不安[37]で戦線を離脱していたため、イナリワンへの騎乗が実現した[23][34]。人気は、スルーオダイナとランニングフリーがオッズ3倍台、コクサイトリプルが7.6倍、イナリワンはそれに次ぐ9.3倍の4番人気であった[38]。最内枠から発走し、上位人気のスルーオダイナとランニングフリーの背後である、中団後方に位置[39]。最初のゴール板通過では、スタンドの喚声に反応してしまったが、武は馬群に入れて、前方に他の馬を置くことで折り合いをつけた[23][39]。2周目の向こう正面、外から追い上げて、第3コーナーの坂を登り下りすると、最終コーナーを逃げたミヤマポピー、2番手で先行したミスターシクレノン、中団にいたランニングフリーに次ぐ4番手で通過[39]。直線では、ミスターシクレノンとランニングフリーの間から追い込み、残り200メートルで抜け出して独走した[23][37]。後方との差を5馬身まで広げて先頭で入線、移籍後初勝利かつGI初勝利と相成った[39]。
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1989年 天皇賞(春) レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画 |
走破タイム3分18秒8は、モンテプリンスが1982年の天皇賞(春)で樹立したコースレコードおよびレースレコードを0.4秒更新[39]。また、1954年秋のオパールオーキット、1956年秋のミッドファーム、1961年秋のタカマガハラ、1962年春のオンスロート、1968年春のヒカルタカイに続いて史上6頭目、21年ぶりとなる地方競馬出身競走馬による天皇賞勝利となった[40]。加えて、武は父の武邦彦が19度挑戦しても届かなかった天皇賞を初挑戦で優勝[40]、当日は20歳であり、天皇賞優勝騎手としては、1939年の帝室御賞典(天皇賞の前身)をテツモンで制した保田隆芳の19歳に次ぐ、史上2番目の若さであった[40]。そのうえ、生産した山本にとっては、初めてJRA重賞勝利が天皇賞であった[34]。表彰式では、イナリワンの左右で鈴木と福永が共に轡を取り、優勝レイは福永に贈られている[41]。
宝塚記念
続いて6月11日、宝塚記念(GI)に再び武とともに出走。皐月賞優勝馬のヤエノムテキとともに単枠指定制度の対象となり[21]、人気はヤエノムテキが単勝オッズ2.5倍の1番人気、イナリワンは4.8倍の2番人気、目黒記念優勝馬のキリパワーが4.9倍の3番人気であった[42]。また出走メンバーには、東京優駿優勝馬のサクラチヨノオー、優駿牝馬優勝馬のコスモドリーム、安田記念優勝馬のフレッシュボイス、バンブーメモリーなど総勢7頭のGI優勝馬が揃っていた[43]。
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1989年 宝塚記念 レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画 |
スタートから先行し、逃げるダイナカーペンター、シヨノロマンに次ぐ好位の3番手で1、2コーナーを通過[21]。第3コーナーでは、シヨノロマンをかわして2番手、最終コーナーでダイナカーペンターに並びかけて、直線で抜け出した[23]。先行したために末脚は鈍り、後方待機から追い込むフレッシュボイスに差を縮められ、並んだところで入線[43]。クビ差イナリワンが先着しており、GI連勝となった[21]。
毎日王冠
夏休みを経て、秋は毎日王冠(GII)で始動。武はスーパークリークの復帰初戦、同日開催の京都大賞典に騎乗したため、柴田政人に乗り替わった[23]。春を全休し、復帰2戦目、連勝中のオグリキャップが単勝オッズ1.4倍の1番人気、デビュー以来2着以内を保ち、高松宮杯優勝から臨むメジロアルダンが2.9倍の2番人気。イナリワンは単勝オッズ9.0倍の3番人気であった[44]。
スタートから後方に位置、オグリキャップをマークする形で追走した[45]。直線では、内で7番人気ウインドミルとメジロアルダンが先頭を争う一方、オグリキャップとマークするイナリワンは大外に展開。先んじてオグリキャップが先頭争いを制したメジロアルダンとの差を縮めたが、イナリワンがメジロアルダンとオグリキャップの間を突いて脚を伸ばしてかわし、先頭となった[45]。オグリキャップだけがそれに追いすがり、2頭がならびかけたところで入線。写真判定の末、オグリキャップのハナ差先着が認められ、イナリワンは2着に敗れた[45]。(競走に関する詳細は、第40回毎日王冠を参照。)
その後、10月29日の天皇賞(秋)(GI)ではスタート直後に躓いて後方からとなり、追い込むも6着[46]、11月26日のジャパンカップ(GI)でも同様に追い込み11着に敗れた[23]。
有馬記念
続いて、年末のファン投票で選出馬となり、12月24日の有馬記念(GI)に参戦[47]。陣営は、連敗の原因を食事量の減少によって負荷のかかる追い切りができず、仕上がらないまま出走したためであると分析していた[23]。鈴木は、連敗中にいた東京競馬場の馬房であると、落ち着きがないことに気付き、ジャパンカップ後に、イナリワンにとっては未知の場所である中山競馬場に一時入厩させ、美浦トレーニングセンターに戻るという対策を講じた[48]。すると、イナリワンの食事量は回復。1週間前、当週の追い切りでは負荷の大きいメニューをこなして、充実した状態での出走が実現した[23]。当日は、天皇賞(秋)2着、ジャパンカップ優勝のオグリキャップが単勝オッズ1.4倍の1番人気、天皇賞(秋)優勝、ジャパンカップ4着のスーパークリークが3.1倍、4歳馬のサクラホクトオーが12.6倍、そしてイナリワンは16.7倍の4番人気であった[49]。このうち、オグリキャップとスーパークリークは単枠指定制度の対象となっており[48]、「二強」とも呼ばれた[50]。
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1989年 有馬記念 レース映像 JRA公式YouTubeチャンネルによる動画 |
スタートから「二強」が先行しそれぞれ2、3番手を占める一方[50]、イナリワンは後方に待機、2周目の向こう正面から外に持ち出し、位置を上げていた[23]。オグリキャップが第3コーナーで逃げるダイナカーペンターを捉え、スーパークリークもそれに応じて差を詰め、最終コーナーは「二強」が並んだ状態で通過[48]。イナリワンは外から中団馬群をかわしたのち、内に転進しその「二強」の背後を捉えた[48]。直線では、ランニングフリーとともに追い上げを開始[23]。「二強」の争いからはスーパークリークが制して先に抜け出し、追い上げる2頭からはイナリワンが末脚を利かせて、スーパークリークの外から追い込んだ[23][48]。イナリワンがスーパークリークに並びかけたところで入線、写真判定の末、イナリワンのハナ差先着が認められ、GI3勝目となった[23][48]。
勝負どころで 前にいたリアルバースデーに不利があって、そのスキにサッとインに潜り込んだんですよ。手ごたえもあったし、直線の坂下ではオグリキャップの脚色がおかしい。スーパークリークはもっと前にいて、届くかどうか微妙な感じだったんだけど、ものすごい勢いで伸びましたね。ゴールの瞬間は抜けたという感触がありましたよ。レース前から"やることはやった"と自分に言い聞かせていたんですよ。まともならオグリ(キャップ)やスーパー(クリーク)に引けを取らないレースが出来るって。根性を剥き出しにする、僕のタイプの馬ですよ。(後略、カッコ内加筆者) — 柴田政人[48]
走破タイム2分31秒7は、1984年にシンボリルドルフが樹立したコースレコードおよびレースレコードを1.1秒更新[48][51]。同一年の宝塚記念と有馬記念を制したのは、1963年リユウフオーレル、1965年シンザン、1970年スピードシンボリに続いて29年ぶり史上4頭目であった[52]。
この年の「フリーハンデ」では、ハンデキャッパーが首位を「実力のオグリキャップ、実績のイナリワン[53]」(優駿編集部)のどちらに与えるかで激論となり、2時間半の時間を費やし、結局両者が首位の「65」[53]。以下、スーパークリークの「63」メジロアルダンの「60」ヤエノムテキの「59」と定められた[53]。「65」は、シンボリルドルフの「70」タマモクロスの「68」カツラギエースの「66」に次ぐ史上4番目であり、テンポイントに並ぶ評価であった[53]。またJRA賞では、全172票中140票を集めてJRA賞年度代表馬に、同様に144票を集めてJRA賞最優秀5歳以上牡馬に選出された[8]。
翌1990年は、3月11日の阪神大賞典で始動。負担重量62キログラムに加えて、良馬場にもかかわらず馬場の荒れているところに脚をとられて伸びず、ブービー賞の5着敗退[54]。続く天皇賞(春)では、先行するスーパークリークの後方につけて、直線で追い込んだが、半馬身及ばず2着[55]。それから6月10日の宝塚記念では、後方待機から追い込むも、勝利したオサイチジョージに5馬身以上遅れた4着となった[56]。
美浦トレーニングセンターで夏休みを過ごし、秋はオールカマーから天皇賞(秋)というローテーションを予定していたが、9月初旬に右前脚の球節に不安が生じたために断念[57]。その後は、回復することなく競走馬を引退し、第35回有馬記念当日の12月23日に引退式が行われた[58]。
種牡馬時代
引退後は種牡馬として日高軽種馬農協門別種馬場に繋養された。福永厩舎に入った初年度産駒ツキフクオーが、東京王冠賞親子制覇など大井で活躍。他にイナリコンコルド(大井記念・東京記念など)、シグナスヒーロー(日経賞2着など)が産まれた。
2004年を限りに種牡馬から引退し、以後は門別町のポニーファームで功労馬として過ごす。その後繋養先が何度か移転し、2010年7月には茨城県北茨城市のオールドウェスト乗馬クラブで繋養されていると報じられた[59]。2014年12月からは功労馬繋養展示事業の助成を受け、北海道占冠村のあるぷすペンションで過ごした。2016年2月7日に32歳で死亡[2]。
競走成績
以下の内容は、netkeiba.com[60]、JBISサーチ[61]、『優駿』2010年1月号[62]の情報に基づく。
競走日 | 競馬場 | 競走名 | 格 | 距離(馬場) | 頭 数 |
枠 番 |
馬 番 |
オッズ(人気) | 着順 | タイム (上がり3F) |
着差 | 騎手 | 斤量 [kg] |
1着馬(2着馬) | 馬体重 [kg] | ||
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1986. | 12. | 9 | 大井 | 3歳新馬 | ダ1000m(良) | 9 | 6 | 6 | (1人) | 1着 | 1:03.2 | -0.9 | 宮浦正行 | 53 | (シャレーセデス) | 454 | |
1987. | 1. | 2 | 大井 | 151万下 | ダ1400m(良) | 8 | 1 | 1 | 出走取消 | 宮浦正行 | 54.5 | チャンピオンスター | 計不 | ||||
5. | 20 | 大井 | 155万下 | ダ1500m(良) | 8 | 6 | 6 | (1人) | 1着 | 1:37.2 | -0.4 | 宮浦正行 | 54 | (エスペラント) | 456 | ||
6. | 14 | 大井 | 360万下 | ダ1600m(良) | 10 | 8 | 9 | (1人) | 1着 | 1:45.4 | -0.2 | 宮浦正行 | 54 | (ミスターシュウ) | 455 | ||
6. | 28 | 大井 | ライラック特別 | ダ1600m(良) | 12 | 6 | 8 | (1人) | 1着 | 1:44.1 | -0.3 | 宮浦正行 | 54 | (リンドマシーン) | 452 | ||
8. | 21 | 大井 | りんどう特別 | ダ1600m(良) | 10 | 8 | 9 | (1人) | 1着 | 1:43.2 | -0.5 | 宮浦正行 | 55 | (ニュータカラヒ) | 449 | ||
9. | 23 | 大井 | トゥインクルエイジ | ダ1700m(良) | 8 | 1 | 1 | (1人) | 1着 | 1:50.0 | -0.3 | 宮浦正行 | 54 | (ハナキリュウ) | 451 | ||
11. | 11 | 大井 | 東京王冠賞 | ダ2600m(良) | 10 | 3 | 3 | (1人) | 1着 | 2:52.7 | -0.2 | 宮浦正行 | 57 | (チャンピオンスター) | 447 | ||
12. | 28 | 船橋 | 東京湾カップ | ダ2000m(良) | 10 | 4 | 4 | (1人) | 1着 | 2:10.4 | 0.0 | 宮浦正行 | 57 | (マルケンアキーラ) | 447 | ||
1988. | 3. | 3 | 大井 | 金盃 | ダ2000m(重) | 11 | 4 | 4 | (2人) | 3着 | 2:06.8 | 1.0 | 宮浦正行 | 54.5 | チャンピオンスター | 450 | |
4. | 13 | 大井 | 帝王賞 | ダ2000m(重) | 14 | 2 | 2 | (2人) | 7着 | 2:08.2 | 1.2 | 宮浦正行 | 56 | チャンピオンスター | 441 | ||
8. | 10 | 大井 | 関東盃 | ダ1600m(重) | 10 | 2 | 2 | (4人) | 5着 | 1:40.9 | 1.5 | 宮浦正行 | 54 | イーグルシャトー | 453 | ||
11. | 2 | 大井 | 東京記念 | ダ2400m(良) | 10 | 6 | 6 | (3人) | 3着 | 2:36.2 | 0.3 | 宮浦正行 | 54 | ダッシュホウショウ | 451 | ||
11. | 23 | 笠松 | 全日本サラブレッドカップ | ダ2500m(良) | 10 | 3 | 3 | (3人) | 2着 | 2:50.1 | 0.3 | 宮浦正行 | 56 | フェートノーザン | 450 | ||
12. | 29 | 大井 | 東京大賞典 | ダ3000m(良) | 12 | 2 | 2 | (3人) | 1着 | 3:17.3 | -0.1 | 宮浦正行 | 56 | (アラナスモンタ) | 448 | ||
1989. | 2. | 11 | 京都 | すばるS | 芝2000m(重) | 9 | 4 | 4 | 3.7 (2人) | 4着 | 2:02.8(35.9) | 0.1 | 小島太 | 58 | チュニカオー | 444 | |
3. | 12 | 阪神 | 阪神大賞典 | GII | 芝3000m(良) | 11 | 6 | 7 | 5.3 (2人) | 5着 | 3:07.7(35.8) | 0.3 | 小島太 | 57 | ナムラモノノフ | 444 | |
4. | 29 | 京都 | 天皇賞(春) | GI | 芝3200m(良) | 18 | 1 | 1 | 9.3 (4人) | 1着 | R3:18.8(36.0) | -0.8 | 武豊 | 58 | (ミスターシクレノン) | 452 | |
6. | 11 | 阪神 | 宝塚記念 | GI | 芝2200m(良) | 16 | 2 | 3 | 4.8 (2人) | 1着 | 2:14.0(37.1) | -0.1 | 武豊 | 56 | (フレッシュボイス) | 452 | |
10. | 8 | 東京 | 毎日王冠 | GII | 芝1800m(稍) | 8 | 4 | 4 | 9.0 (3人) | 2着 | 1:46.7(34.7) | 0.0 | 柴田政人 | 59 | オグリキャップ | 446 | |
10. | 29 | 東京 | 天皇賞(秋) | GI | 芝2000m(良) | 14 | 5 | 7 | 6.2 (4人) | 6着 | 1:59.8(34.9) | 0.7 | 柴田政人 | 58 | スーパークリーク | 444 | |
11. | 26 | 東京 | ジャパンカップ | GI | 芝2400m(良) | 15 | 7 | 12 | 14.0 (8人) | 11着 | 2:23.8(37.0) | 1.6 | 柴田政人 | 57 | ホーリックス | 446 | |
12. | 24 | 中山 | 有馬記念 | GI | 芝2500m(良) | 16 | 8 | 15 | 16.7 (4人) | 1着 | R2:31.7(35.8) | 0.0 | 柴田政人 | 56 | (スーパークリーク) | 448 | |
1990. | 3. | 11 | 阪神 | 阪神大賞典 | GII | 芝3000m(良) | 6 | 1 | 1 | 2.5 (2人) | 5着 | 3:11.3(37.4) | 1.2 | 柴田政人 | 62 | オースミシャダイ | 448 |
4. | 29 | 京都 | 天皇賞(春) | GI | 芝3200m(良) | 16 | 4 | 7 | 6.0 (2人) | 2着 | 3:22.0(35.9) | 0.1 | 柴田政人 | 58 | スーパークリーク | 452 | |
6. | 10 | 阪神 | 宝塚記念 | GI | 芝2200m(良) | 10 | 2 | 2 | 4.7 (2人) | 4着 | 2:15.1(37.3) | 1.1 | 柴田政人 | 56 | オサイチジョージ | 442 |
種牡馬成績
主な成績
- ツキフクオー(東京王冠賞、アフター5スター賞)[63]
- イナリコンコルド(大井記念、東京記念、金盃、アフター5スター賞)[64]
- シグナスヒーロー(2着 - 日経賞、ステイヤーズステークス、アメリカジョッキークラブカップ、エプソムカップ、七夕賞)[65]
- ボストンエンペラー(2着 - 愛知杯)[66]
- ミナモトエリモ(高崎オークス、クイーンカップ(高崎))[67]
- セイントピアス(東北ジュニアグランプリ)[68]
- タツミブレン(くろゆり賞(笠松))[69]
- ライジングタイド(中津大賞典)[70]
特徴・エピソード
日常生活から蹴癖があり、対策として馬房の壁に畳が貼られる[71]など、非常に気性が激しい馬だった。こうした気性から、コースで走る際には極めて強い掛かり癖を見せた[注釈 8]。武豊が調教で初騎乗した際には、武が手綱をがっしりと抑えながら、これを無視して全速力で2周を走り、「レースでも御し切れないのでは」という不安を抱かせている[73]。小柄ながら力も非常に強く、後年武は、数々の騎乗馬の内で「一番気の強い馬」「一番パワーのあった馬」として本馬の名を挙げている[74]。
一方、騎手との呼吸が合った時に見せる能力は素晴らしかったとされ、武は「良くも悪くも、凄まじい推進力を持った馬でしたね。軽くてコンパクトなボディーに、超ハイパワーのエンジンを積んでいた、という感じ」と評し[75]、柴田政人は「体全体を使うフォームで、体の小ささを感じさせなかった」と述べ、自身が騎乗した内の最強馬に挙げている[76]。また、イナリワンの調教を行った調教助手の堤敏夫は、騎乗した時の印象について「キャンターに入るまでの感触はガクンガクンとしてあまり良くないが、加速してからの乗り味はすごくいい」と述べている[77]。
なお、武騎乗で天皇賞(春)と宝塚記念を連勝した際、馬主の保手浜はその功に報いるため、武がかねて希望していた渡米を実現させ、現地で自身の所有馬に騎乗させた。これ以降、武は毎年のアメリカ遠征が叶うようになり、「イナリワンは僕に幸運をプレゼントしてくれた馬だった」との謝辞を送っている[78]。
血統表
イナリワンの血統(ミルリーフ系/Nasrullah4.5×4=15.62%) | (血統表の出典) | |||
父 *ミルジョージ Mill George 1975 鹿毛 |
父の父 Mill Reef1968 鹿毛 |
Never Bend | Nasrullah | |
Lalun | ||||
Milan Mill | Princequillo | |||
Virginia Water | ||||
父の母 Miss Charisma1967 鹿毛 |
Ragusa | Ribot | ||
Fantan | ||||
*マタティナ Matatina |
Grey Sovereign | |||
Zanzara | ||||
母 テイトヤシマ 1970 鹿毛 |
*ラークスパー Larkspur 1959 栗毛 |
Never Say Die | Nasrullah | |
Singing Grass | ||||
Skylarking | Precipitation | |||
Woodlark | ||||
母の母 ヤシマジェット1960 鹿毛 |
*ソロナウェー Solonaway |
Solferino | ||
Anyway | ||||
ヤシマニシキ | *セフト | |||
神正 F-No.5-h |
父ミルジョージは地方から中央まで幅広く活躍馬を輩出。イナリワンが年度代表馬を受賞した1989年には、全日本リーディングサイアーを獲得している。母テイトヤシマは仔出しが悪く、イナリワンの出産を最後に繁殖から用途変更となった。直近の近親に活躍馬はいないが、四代母・神正の子(三代母ヤシマニシキの全弟)に二冠馬ボストニアン、子孫にイナリワンと同時期に活躍したバンブーメモリーがいる。
脚注
注釈
- ^ ホウヨウボーイなどを生産した北海道新冠町の豊洋牧場とは親戚関係、豊洋牧場の仔分けから開場した[5]。
- ^ 本項では、イナリワンの中央競馬時代の馬主名に統一する。保手浜忠弘と保手浜弘規は同一人物であり、本名は「弘規」[7]。中央競馬では「弘規[1]」、地方競馬では「忠弘[6]」を使用した。西山茂行によれば、姓名判断を受けて「弘規」から「忠弘」に改名したところ、イナリワンに出会ったという[7]。
- ^ 本項では、イナリワンの中央競馬時代の馬主名に統一する。保手浜忠弘と保手浜弘規は同一人物であり、本名は「弘規」[7]。中央競馬では「弘規[1]」、地方競馬では「忠弘[6]」を使用した。西山茂行によれば、姓名判断を受けて「弘規」から「忠弘」に改名したところ、イナリワンに出会ったという[7]。
- ^ 保手浜は、中央競馬デビューする馬については「カミノ」、外国で購入した馬については「ティエイチ」を用い、合計3つの冠名を使い分けていた[24]。「カミノ」とは保手浜の母親の故郷である愛媛県三島町に所在し、「戦いの神」として信じられる大山祇神社にちなむ「神の」から[24]。「ティエイチ」は保手浜忠弘のイニシャル「T.H」から[24]。
- ^ 阿部珠樹によれば「JRAの菊花賞」に相当[23]。
- ^ 林重治郎によれば「公営版有馬記念」[26]
- ^ イナリワンは、走法的に水を含んだコースではバランスを崩し、まともに走れなかった[28]。
- ^ 武豊は、イナリワンは激しすぎる気性から折り合いを欠くため、スタート直後から道中常になだめながら乗る必要があると述べている[72]。
出典
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参考文献
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- 『Sports Graphic Number PLUS - 競馬黄金の蹄跡』(文藝春秋、1999年)ISBN 4160081088
- 『優駿』(日本中央競馬会)
- 1988年2月号
- 林重治郎「【地方競馬ニュース】東京大賞典で有終の美 テツノカチドキ」
- 1988年5月号
- 林重治郎「【地方競馬ニュース】大井の金盃はチャンピオンスター」
- 1988年6月号
- 林重治郎「【地方競馬ニュース】第11回帝王賞は大井のチャンピオンスター」
- 1988年10月号
- 林重治郎「【地方競馬ニュース】快速イーグルシャトー 牡馬を蹴散らしV2」
- 1989年1月号
- 林重治郎「【地方競馬ニュース】全日本サラブレッドC フェートノーザン快勝」
- 林重治郎「【地方競馬ニュース】アエロプラーヌ 4歳馬の頂点に」
- 1989年2月号
- 林重治郎「【地方競馬ニュース】実力馬イナリワン 東京大賞典で復活」
- 1989年5月号
- 佐藤将美「【今月の記録室】第37回阪神大賞典(GII) ナムラモノノフ」
- 1989年6月号
- 1989年7月号
- 「【'89春のGIレース総集編 第30回宝塚記念】ここはユタカvsミキオ 若いパワーの炸裂も、イナリワン」
- 吉川良「【'89春のGI競走勝ち馬の故郷紀行】雲をつかんだ人たち イナリワンの山本実儀牧場」
- 「【オーナー愛馬を語る 38】イナリワンの保手浜忠弘さん」
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- 末永紀元(大阪スポーツ)「【今月の記録室】第30回宝塚記念(GI) イナリワン」
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- 「【第34回有馬記念有力馬】オグリキャップvsスーパークリーク 舞台は変わって第三幕。」
- 1990年2月号
- 「【第34回有馬記念詳報】実る夢、散る夢 平成元年年度代表馬にイナリワン」
- 「【1989年度JRA賞】年度代表馬はGI3勝のイナリワン オグリキャップには特別賞」
- 「【1989年度フリーハンデ決定 5歳以上総合】実力のオグリキャップ対実績のイナリワンは、ともに史上4番目の65キロで決着。」
- 伊藤元彦(夕刊フジ)「【今月の記録室】第34回有馬記念<グランプリ>(GI)イナリワン」
- 1990年5月号
- 井上泰司(スポーツニッポン)「【今月の記録室】第38回阪神大賞典(GII)オースミシャダイ」
- 1990年6月号
- 萩谷宗秀(報知新聞)「【今月の記録室】第101回天皇賞(春)スーパークリーク」
- 1990年8月号
- 大野良郎(スポーツニッポン)「【今月の記録室】第31回宝塚記念(GI)オサイチジョージ」
- 1990年10月号
- 柏木集保「【'90秋・古馬戦線の動向】2年間続いた"長期三強の時代"の行方は。」
- 1991年2月号
- 「【"三強"の引退】イナリワン、スーパークリークも――。三強時代は終わりを告げた。」
- 2010年1月号
- 阿部珠樹「【サラブレッド・ヒーロー列伝】イナリワン 地方・中央の統一王者」
- 1988年2月号
外部リンク
- 競走馬成績と情報 netkeiba、スポーツナビKEIBA.GO.JPJBISサーチ
- イナリワン - 競走馬のふるさと案内所