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* ガクアジサイ {{Snamei|Hydrangea macrophylla}} ({{AU|Thunb.}}) {{AU|Ser.}} f. {{Snamei|normalis}} ({{AU|E.H.Wilson}}) {{AU|H.Hara}} {{small|([[1955年|1955]])}}<ref name="YList_2657">{{YList|id=1657|taxon=Hydrangea macrophylla (Thunb.) Ser. f. normalis (E.H.Wilson) H.Hara ガクアジサイ(標準)|accessdate=2023-03-24}}</ref>
* アジサイ(ホンアジサイ) {{Snamei|Hydrangea macrophylla}} ({{AU|Thunb.}}) {{AU|Ser.}} f. {{Snamei|macrophylla}} {{small|([[1830年|1830]])}}<ref name="YList_213">{{YList|id=213|taxon=Hydrangea macrophylla (Thunb.) Ser. f. macrophylla アジサイ(標準)|accessdate=2023-03-24}}</ref>
* セイヨウアジサイ {{Snamei|Hydrangea macrophylla}} ({{AU|Thunb.}}) {{AU|Ser.}} f. {{Snamei|hortensia}} ({{AU|Lam.}}) {{AU|Rehder}} {{small|([[1926年|1926]])}}<ref name="YList_3458">{{YList|id=3458|taxon=Hydrangea macrophylla (Thunb.) Ser. f. hortensia (Lam.) Rehder セイヨウアジサイ(標準)|accessdate=2023-03-24}}</ref>
|和名 = アジサイ<br />ガクアジサイ
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}}

'''アジサイ'''(紫陽花、[[英語|英名]]・[[学名]]: {{Lang|la|Hydrangea}})とは[[アジサイ科]]アジサイ属の[[植物]]の総称である。学名は「水の容器」という意味で、そのまま「ヒドランジア」あるいは「ハイドランジア」ということもある。また、英語では「ハイドレインジア」と呼ぶ。
'''アジサイ'''(紫陽花{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=86}}、[[学名]]: {{snamei|Hydrangea macrophylla}})は、[[アジサイ科]][[アジサイ属]]の落葉低木の一種である<ref name="nichigai">{{Cite book|和書|editor=日外アソシエーツ|editor-link=日外アソシエーツ|title=植物3.2万名前大辞典|year=2008|publisher=日外アソシエーツ|isbn=978-4816921209}}</ref>。広義には「アジサイ」の名はアジサイ属植物の一部の総称でもある<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-12|title=アジサイ(ハイドランジア)|accessdate=2013-08-03|author=濱野周泰|work=みんなの趣味の園芸|publisher=NHK出版}}</ref>。狭義には[[品種]]の一つ {{sname|''H. macrophylla'' f. ''macrophylla''}} の[[和名]]であり<ref>{{Cite book|和書|author=橋本保|authorlink=橋本保 (植物学者)|editor=フランク・ギブニー|editor-link=フランク・ギブニー|title=[[ブリタニカ国際大百科事典]]|edition=第2版改訂版|year=1993|publisher=[[ティービーエス・ブリタニカ]]|chapter=アジサイ}}</ref>{{efn|[[変種]]の一つとされる場合もある<ref>{{Cite book|和書| chapter=アジサイ | title=[[ブリタニカ国際大百科事典]] 小項目事典 | year=1993 | edition=第2版改訂版 | publisher=[[ティービーエス・ブリタニカ]] | editor=フランク・ギブニー|editor-link=フランク・ギブニー }}</ref><ref>{{Cite book|和書| chapter=アジサイ | author=若林三千男|authorlink=若林三千男 | title=[[世界大百科事典]] | year=2009 | edition=2009年改定新版 | publisher=[[平凡社]] | editor=下中直人|editor-link=下中直人 }}</ref><ref name="kotobank">{{Cite web|和書|author=[[小林義雄 (菌類学者)|小林義雄]]・[[湯浅浩史]]|url=https://kotobank.jp/word/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%B5%E3%82%A4-1142630#E6.97.A5.E6.9C.AC.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E5.85.A8.E6.9B.B8.28.E3.83.8B.E3.83.83.E3.83.9D.E3.83.8B.E3.82.AB.29|title=アジサイ|publisher=日本大百科全書(ニッポニカ)|accessdate=2019-05-19}}</ref>。}}、他との区別のためこれが'''ホンアジサイ'''と呼ばれることもある。原種は日本に自生する'''ガクアジサイ'''である。


== 概要 ==
== 概要 ==
[[File:Nagai Botanical Garden Osaka Japan04-r.jpg|thumb|ピンク色の花]]
いわゆる最も一般的に植えられている球状のアジサイは'''セイヨウアジサイ''' (ヒメアジサイ・テマリ咲きアジサイは別) であり、日本原産の'''ガクアジサイ''' (Hydrangea macrophylla) を改良した品種である。
狭義の'''アジサイ'''(ホンアジサイ)は、日本で原種'''ガクアジサイ'''から改良した園芸品種で、ガクアジサイに近い落葉低木{{sfn|馬場篤|1996|p=17}}。6月から7月にかけて開花し、白、青、紫または赤色の{{読み仮名|[[萼]]|がく}}が大きく発達した装飾花をもつ。ガクアジサイではこれが[[花序]]の周辺部を縁取るように並び、園芸では「額咲き」と呼ばれる。ガクアジサイから変化し、花序が球形ですべて装飾花となったアジサイは、「手まり咲き」と呼ばれる。


[[栽培]]は、[[梅雨]]期に主に[[挿し木]]によって繁殖させている{{sfn|馬場篤|1996|p=17}}。日本、ヨーロッパ、アメリカなどで観賞用に広く栽培され、多くの品種が作り出されている。原産地は日本で、ヨーロッパで品種改良されたものは'''セイヨウアジサイ'''と呼ばれる。変種の[[アマチャ]]は稀に山地に自生するが、多くは寺院などで栽培されている{{sfn|馬場篤|1996|p=17}}。また、[[漢方]]で用いないが、民間では[[薬用植物]]として利用できる。
樹高は 1-2 メートル。[[葉]]は光沢のある淡緑色で葉脈のはっきりした卵形で、周囲は鋸歯状。6 月から 7 月に紫(赤紫から青紫)の[[花]]を咲かせる。一般に花と言われている部分は装飾花で、おしべとめしべが退化しており(中性花)、花びらに見えるものは萼(がく)である。ガクアジサイでは密集した両性花の周囲にいくつかの装飾花がみられるが、セイヨウアジサイではほとんどが装飾花となっている。また、装飾花の欠如した変異もある(ガクアジサイ「三河千鳥」など)。


後述の通り本種は有毒植物であるため、園芸や切り花として利用する際には取り扱いに注意が必要である。ただし、口に入れなければ毒の効果はない<ref>{{Cite web|和書|title=アジサイの葉は有毒です。食べないで!:目黒区公式ホームページ |url=https://www.city.meguro.tokyo.jp/smph/kurashi/hoken_eisei/eisei/shokuhin/ajisai.html#:~:text=%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%81%AF%E6%9C%89%E6%AF%92%E6%A4%8D%E7%89%A9%E3%81%A7%E3%81%99,%E3%81%A7%E6%8F%90%E4%BE%9B%E3%81%97%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A7%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84%E3%80%82 |website=www.city.meguro.tokyo.jp |access-date=2022-06-14}}</ref>。食べてしまうと吐き気、[[めまい]]、[[顔面紅潮]]などの症状が出る<ref>{{Cite web|和書|title=自然毒のリスクプロファイル:高等植物:アジサイ|url=https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082116.html |website=厚生労働省 |access-date=2023-09-23}}</ref>。
「あじさい」の名は「[[藍色]]が集まったもの」を意味する「あづさい(集真藍)」が訛ったものと言われる。また[[漢字]]表記に用いられる「紫陽花」は唐の詩人・[[白居易]]が別の花に名付けたもので、[[平安時代]]の学者・[[源順]]がこの漢字をあてはめたことから誤って広まったといわれている。


=== 花の色 ===
== 分布と生育環境 ==
アジサイに関して、[[キュー植物園]]系のデータベース Plants of the World Online(POWO)は[[#分類]]で後述する原種や変種も含め {{Snamei|Hydrangea macrophylla}} として[[日本]]と[[火山列島]]に自生し、その他世界の様々な国や地域に持ち込まれているとしている<ref>POWO (2019). "Plants of the World Online. Facilitated by the Royal Botanic Gardens, Kew. Published on the Internet; http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:791637-1 Retrieved 16 June 2021.</ref>。なお、POWO が利用している地域区分は分類学データベース専門調査委員会({{Lang-en-short|Taxonomic Databases Working Group}}; 略称: TDWG){{efn|現在は「生物多様性情報規格 (TDWG)」[[:en:Biodiversity Information Standards (TDWG)|Biodiversity Information Standards (TDWG)]] と改称されている。}}によるものであり<ref>[http://www.plantsoftheworldonline.org/search-help Search help, Plants of the World Online]. {{Accessdate|2021-06-16}}</ref>、そのために2001年に提供された4段階による区分法では1段階目のアジア-温帯(Asia-Temperate)、2段階目のアジア東部(Eastern Asia)までは共通しているものの、3段階目で日本(Japan)と火山列島(Kazan-retto)という別々の区分に分けられている<ref>{{Cite book|last=Brummitt|first=R. K.|authorlink=:en:Richard Kenneth Brummitt|year=2001|title=World Geographical Scheme for Recording Plant Distributions|edition=2|location=Pittsburgh|publisher=Hunt Institute for Botanical Documentation, Carnegie Mellon University|page=42|url=https://web.archive.org/web/20220220230948/https://grassworld.myspecies.info/sites/grassworld.myspecies.info/files/tdwg_geo2.pdf|ref=harv}}</ref>。
花(正確には萼)の色は、[[アントシアニン]]のほか、その発色に影響する補助色素(助色素)や、土壌の [[水素イオン指数|pH]] (酸性度)、[[アルミニウム]][[イオン]]量、さらには開花からの日数によって様々に変化する。そのため、「七変化」とも呼ばれる。一般に「土壌が酸性ならば青、アルカリ性ならば赤」と言われているが、'''土壌の pH (酸性度)は花色を決定する要因の一つに過ぎない'''。花弁(正確には装飾花)に含まれる補助色素によっては青になり得ない、またはなり難いものがあるほか、pH は地中のアルミニウムがイオン化する量を左右する要因に過ぎないため、仮に酸性土壌であっても地中のアルミニウムの量が少なければ花が青色になることはない。また、初めは青かった花も、咲き終わりに近づくにつれて赤みがかかっていく。


アジサイ(ホンアジサイ)は、庭や公園などに植えられる植物で、ガクアジサイは庭や公園にも植えられるほかに、海に近い林にも自生し、本州の[[房総半島]]・[[伊豆半島]]・[[伊豆諸島]]の沿岸地に分布する{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=86}}。
花の色が緑色になることがあり、観賞用として緑の花が販売されることもある。花が緑色の品種もあるが、日本では[[ファイトプラズマ]]感染による「アジサイ葉化病」に罹ったものも稀にみられる<ref>[http://www.agri-kanagawa.jp/nosoken/kankyo/2007/ajisaiyouka200711.htm アジサイ葉化病について] - 神奈川県農業技術センター</ref>。この病気の治療法はまだなく、感染拡大を避けるため発病株の処分が求められる。


== 毒性 ==
== 名称 ==
アジサイの語源ははっきりしないが、最古の和歌集『[[万葉集]]』では「味狭藍」「安治佐為」(あぢさゐ)、[[平安時代]]の辞典『[[和名類聚抄]]』では「阿豆佐為」の字をあてて書かれている<ref name="山本12">[[#山本|山本 (1981)]]、12頁。</ref>。もっとも有力とされているのは、「[[藍色]]が集まったもの」を意味する「集真藍(あづさあい/あづさい)」がなまったものとする説である{{sfn|亀田龍吉|2014|p=65}}<ref name="山本12" />。そのほか、「味」は評価を{{efn|味のある絵」「味な趣向」などの用法における味。}}、「狭藍」は花の色を示すという[[谷川士清]]の説、「集まって咲くもの」とする[[山本章夫]]の説(『万葉古今動植物正名』)、「厚咲き」が転じたものであるという[[貝原益軒]]の説がある<ref name="山本12" />。
アジサイは毒性があり、[[ウシ]]、[[ヤギ]]、[[ヒト|人]]などが'''摂食すると中毒を起こす'''。症状は過呼吸、興奮、ふらつき歩行、[[痙攣]]、[[麻痺]]などを経て死亡する場合もある。日本では、飲食店などが毒性を持つアジサイの性質を知らずに料理に使用してしまい、経口摂取した客が中毒する事故が発生している<ref>[http://www.asahi.com/health/news/OSK200806300067.html アジサイの葉食べ食中毒 大阪市の居酒屋で] - 朝日新聞 2008年6月30日配信</ref>。


花の色がよく変わることから、別名で「七変化(しちへんげ)」「八仙花(はっせんか)」とも呼ばれる<ref>[[#山本|山本 (1981)]]、8頁。</ref><ref>[[#武田|武田 (1996)]]、105頁。</ref>。また、「四葩(よひら)」は[[俳句]]で好まれる別名で、葩は「花びら」を表す言葉である{{sfn|田中潔|2011|p=144}}。
アジサイには[[青酸]][[配糖体]](グリコシド)が含まれており、それが中毒の原因であると考えられている。ただし、[[農業・食品産業技術総合研究機構]][[動物衛生研究所]]によると、原因物質は青酸配糖体ではなく、別の物質の可能性があるとしている<ref>[http://niah.naro.affrc.go.jp/disease/poisoning/plants/hydrangea.html アジサイ] - 農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所</ref>。[[厚生労働省]]の課長通知においても、アジサイに青酸配糖体が含まれていることについての知見が十分ではないことから、2008年8月18日付けで「アジサイの喫食による青酸食中毒について (2008年7月1日) 」の文書を廃止している<ref>{{PDFlink|[http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/dl/080818a.pdf アジサイの喫食による食中毒について]}} 厚生労働省 - 2008年8月18日</ref>。
<!--対症療法として、[[亜硝酸ナトリウム]]や[[チオ硫酸ナトリウム]]の静脈内投与が有効。-->


ガクアジサイの語源は、装飾花が周囲を額縁のように飾ることから、「額アジサイ」の意味で名づけられている{{sfn|田中潔|2011|p=144}}。
*'''毒成分''' アミグダリン (amygdalin) 、アントシアニン (anthocyanin) 、ヒドラゲノシド A、グリコシド(上記参照)
*'''毒部位''' 蕾、葉、根
*'''毒症状''' めまい、嘔吐、痙攣、昏睡、呼吸麻痺


日本語で漢字表記に用いられる「紫陽花」は、[[唐]]の詩人[[白居易]]が別の花、おそらく[[ライラック]]<ref name="kotobank" />に付けた名で、[[平安時代]]の学者[[源順]]がこの漢字をあてたことから誤って広まったといわれている<ref>[[#山本|山本 (1981)]]、14頁。</ref>。[[艸部|草冠]]の下に「便」を置いた字が『新撰字鏡』にはみられ、「安知佐井」のほか「止毛久佐」の字があてられている。アジサイ研究家の山本武臣は、アジサイの葉が便所で使われる地域のあることから、止毛久佐は普通トモクサと読むが、シモクサとも読むことができると指摘している<ref name="山本13">[[#山本|山本 (1981)]]、13頁。</ref>。また『言塵集』にはアジサイの別名として「またぶりぐさ」が挙げられている<ref name="山本13" />。
== 分類と品種 ==
エングラーの分類体系では「ユキノシタ科アジサイ属」になっているが、[[クロンキスト体系]]ではユキノシタ科の木本類をアジサイ科として分離独立させている。
アジサイ属の野生種としては、日本には以下のようなものがある。


学名の属名 {{snamei|Hydrangea}}(ハイドランジア)は、「水」の意味である{{sfn|田中潔|2011|p=145}}。[[フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト|シーボルト]]はアジサイ属の新種に自分の妻「おタキさん」の名をとって {{snamei|Hydrangea otaksa}} と命名し、物議をかもした<ref>[[#山本|山本 (1981)]]、16頁。</ref><ref name="マレー241">[[#マレー|マレー (2009)]]、241頁。</ref>。これは {{snamei|Hydrangea macrophylla}} と同種であった。
まず次の種がアジサイの原種と栽培種であるが、野性でも変異が多い種である。
* ガクアジサイ ''H. macrophylla'' Sieb. f. ''normalis'' (Wilson) Hara
** アジサイ f. ''macrophylla''
** セイヨウアジサイ f. ''hortensia''
** ヤマアジサイ(サワアジサイ) ''H. macrophylla'' subsp. ''serrata'' (Thumb.) Makino
*** [[アマチャ]]はこの変種
** [[エゾアジサイ]] subsp. ''yezoensis'' (Koidzumi) Kitamura


== 特徴 ==
全くの別種になるのが以下のものである。
[[File:Nagai Botanical Garden Osaka Japan01-r.jpg|thumb|薄緑色の花]]
* [[ヤハズアジサイ]] ''H. sikokiana'' Maximowicz
[[File:Hydrangea macrophylla 02.jpg|thumb|青色と紫色の花]]
* [[タマアジサイ]] ''H. involucrata'' Sieb.
[[落葉広葉樹]]の低木で、樹高は1 – 2[[メートル]]。樹皮は淡黄褐色で縦に筋があり、薄く剥がれる{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=86}}。枝は灰褐色から淡黄褐色で、なめらか{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=86}}。[[葉]]は[[葉#葉序|対生]]し、[[葉身]]は厚く光沢があり{{sfn|馬場篤|1996|p=17}}、淡緑色で[[葉脈]]のはっきりした卵形で、周囲は鋸歯状。夏を過ぎると、黄白色や黄色に[[黄葉]]する{{sfn|亀田龍吉|2014|p=65}}。


花期は6 - 7月{{sfn|田中潔|2011|p=144}}。[[花序]]は大型で、若い枝の先端に紫(赤紫から青紫)の[[花]]を咲かせる{{sfn|田中潔|2011|p=145}}。一般に花といわれている部分は[[装飾花]]で、大部分が[[中性花]]からなり、4枚の[[萼片]]が大きく変化したもので、[[花弁]]状で目立つ{{sfn|馬場篤|1996|p=17}}{{sfn|田中潔|2011|p=144}}。中央にある[[両性花]]は極小で目立たず{{sfn|馬場篤|1996|p=17}}、退化した[[雄蕊]]10本と[[雌蕊]]3 - 4本がある。数え方は「◯朶(だ)」という。母種のガクアジサイでは、花序の頂部がたいらで両性花が多数あり、密集した両性花の周囲だけに装飾花(中性花)がみられるが{{sfn|馬場篤|1996|p=17}}、アジサイ(ホンアジサイ)やセイヨウアジサイではほとんどが装飾花となっている。また、装飾花の欠如した変種も知られている(ガクアジサイ「三河千鳥」など)。ホンアジサイは装飾花がついた花序が、しばしば冬でも枯れた姿で枝に残っている{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=86}}。
以下の種はアジサイの名を持つが、装飾花を持たない。
* [[コアジサイ]] ''H. hirta'' (Thumb.) Sieb. et Zucc.


果期は7 - 12月で、ほとんど結実しないが{{sfn|田中潔|2011|p=144}}、ガクアジサイなどは両性花に[[蒴果]]をつける{{sfn|田中潔|2011|p=145}}。ガクアジサイは、装飾花だけが落ちて、果穂に果実だけがついて冬でも枯れ残っていて、種子が残っている場合もある。
また、アジサイの名を持たないが、以下の種はアジサイ属で、よく似た花をつける。
* [[ガクウツギ]] ''H. scandens'' (L. f.) Seringe
* コガクウツギ ''H. luteovenosa'' Koidzumi
* [[ノリウツギ]] ''H.paniculata'' Sieb.


[[冬芽]]は対生し、[[頂芽]]は長卵形の裸芽で大きく、暗紅紫色で無毛、幼葉は2枚向き合う{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=86}}。側芽は小さく、2 - 4枚の薄い芽鱗に包まれる{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=86}}。葉痕はアジサイが浅いV字形や心形で、ガクアジサイでは倒松形や腎形で、[[維管束]]痕が3個つく{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=86}}。アジサイとガクアジサイの冬芽や樹皮は、互いによく似ている{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2014|p=86}}。
[[つる植物]]となるものもある。
* [[ツルアジサイ]](ゴトウヅル) ''H. petiolaris'' Sieb. et Zucc.
* [[イワガラミ]] ''Schizophragma hydrangeoides'' Sieb. et Zucc.(ツルアジサイに似るが、装飾花が一弁)


=== 花の色 ===
このほか、[[草本]]でアジサイ様の花を咲かせるものに[[クサアジサイ]](''Cardiandra alternifolia'' Sieb. et Zucc.)がある。
花(萼)の色は[[アントシアニン]]という色素によるもので、アジサイにはその一種の[[デルフィニジン]]が含まれている。これに補助色素(助色素)と[[アルミニウム]]の[[イオン (化学)|イオン]]が加わると、青色の花となる<ref>[[#武田|武田 (1996)]]、98–99頁。</ref>。従来は理論の域に留まっていたが、今般、実際にアジサイの花で直接確認された<ref>日本経済新聞2019年4月14日サイエンス欄</ref>。


アジサイは土壌の[[水素イオン指数|pH]](酸性度)によって花の色が変わり、一般に「酸性ならば青、アルカリ性ならば赤」になると言われている{{sfn|田中潔|2011|p=144}}{{efn|[[リトマス試験紙]]と逆なので注意されたい。}}。これは、アルミニウムが根から吸収されやすいイオンの形になるかどうかに、pHが影響するためである。すなわち、土壌が酸性だとアルミニウムがイオンとなって土中に溶け出し、アジサイに吸収されて花のアントシアニンと結合し青色を呈する。逆に土壌が中性やアルカリ性であればアルミニウムは溶け出さずアジサイに吸収されないため、花は赤色となる<ref>[[#武田|武田 (1996)]]、102頁。</ref>。したがって、花を青色にしたい場合は、酸性の[[肥料]]や、アルミニウムを含む[[ミョウバン]]を与えればよい<ref>[[#武田|武田 (1996)]]、103頁。</ref>。同じ株でも部分によって花の色が違うのは、根から送られてくるアルミニウムの量に差があるためである<ref>[[#武田|武田 (1996)]]、100頁。</ref>。花色は花(萼)1グラムあたりに含まれるアルミニウムの量がおよそ40マイクログラム以上の場合に青色になると見積もられている<ref>{{cite journal|author=Schreiber, H. D.; Jones, A. H.; Lariviere, C. M.; Mayhew, K. M.; Cain, J. B.|year=2011|title=Role of aluminum in red-to-blue color changes in ''Hydrangea macrophylla'' sepals|journal=Biometals|volume=24|pages=1005–1015|number=6|pmid=21584711}}</ref>。ただし品種によっては遺伝的な要素で花が青色にならないものもある。これは補助色素が原因であり、もともとその量が少ない品種や、効果を阻害する成分を持つ品種は、アルミニウムを吸収しても青色にはなりにくい<ref>[[#武田|武田 (1996)]]、103–104頁。</ref>。
また、分類上の位置は大きく異なるが[[スイカズラ科]]にも低木で散房花序の周辺部に装飾花をつけるものがあり、やや様子が似ている。[[ムシカリ]] (''Viburnum furcatum'' Blume) や[[ヤブデマリ]] (''V. plicatum'' Thumb. f. ''tomentosum'' [Thumb.] Rehder) などがその代表で、ヤブデマリではアジサイと同様に装飾花だけからなる園芸品種[[オオデマリ]] (f. ''plicatum'') があるのもよく似ている。

土壌の肥料の要素によっても変わり、[[窒素]]が多く、[[カリウム]]が少ないと紅色が強くなる{{sfn|田中潔|2011|p=145}}。

また、花色は開花から日を経るに従って徐々に変化する<ref name="武田105-107">[[#武田|武田 (1996)]]、105–107頁。</ref>。最初は花に含まれる[[葉緑素]]のため薄い黄緑色を帯びており、それが分解されていくとともにアントシアニンや補助色素が[[生合成]]され、赤や青に色づいていく<ref name="武田105-107" />。さらに日が経つと[[有機酸]]が蓄積されてゆくため、青色の花も赤味を帯びるようになる{{efn|アントシアニンそのものも酸性度によって色が変化する<ref>[[#武田|武田 (1996)]]、65頁。</ref>。}}。これは花の老化によるものであり、土壌の変化とは関係なく起こる<ref>[[#武田|武田 (1996)]]、107頁。</ref>。

他に花が緑色の品種(ヤマアジサイ「土佐緑風」など)も知られており、観賞用として緑の花が販売されることもある。しかし日本では[[ファイトプラズマ]]感染による「アジサイ葉化病」にかかったものも稀にみられる<ref name="河原田175">[[#河原田|河原田、三上、若林 (2010)]]、175頁。</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://www.agri-kanagawa.jp/nosoken/kankyo/2007/ajisaiyouka200711.htm|title=アジサイ葉化病について|accessdate=2012-06-16|date=2007-11-01|publisher=神奈川県農業技術センター|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120320125448/http://www.agri-kanagawa.jp/nosoken/kankyo/2007/ajisaiyouka200711.htm|archivedate=2012-03-20|url-status=dead|url-status-date=2018-03}}</ref>。この病気の治療法は知られておらず、感染拡大を避けるため発病株は処分したほうがよいとされる<ref name="河原田175" />。


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File:Ajisai Kobe Rokko01bs2700.jpg|自生のアジサイ([[表六甲ドライブウェイ]])
Image:Hydrangea macrophylla 2004ja 01.jpg|''Hydrangea macrophylla'' (アジサイ)
File:枯紫陽花 Pcs34560 IMG4257.jpg|[[葉脈]]を残して枯れ落ちた状態([[上総大久保駅]])
Image:Hydrangea macrophylla forma normalis 01.jpg|''Hydrangea macrophylla'' forma ''normalis'' (ガクアジサイ:アジサイの原種)
Image:Hydrangea hirta 2004ja 01.jpg|''Hydrangea hirta'' ([[コアジサイ]])
Image:Hydrangea quercifolia 2004ja 01.jpg|''Hydrangea quercifolia'' (カシワバアジサイ:飾り花をもたない、北米原産)
Image:Gakuutsugi.JPG|''Hydrangea scandens'' ([[ガクウツギ]]:名に[[ウツギ]]とあるがアジサイの一種で、茎と葉がウツギに似ている事からこの名が付いた)
Image:Tamaajisai00.JPG|''Hydrangea involucrata'' Sieb. ([[タマアジサイ]]:つぼみが球の形をしていることからこの名が付いた)
Image:Tamaajisai-tsubomi.JPG|タマアジサイのつぼみ
画像:P6164299カシワバアジサイ.jpg|[[カシワバアジサイ]]([[西脇市]]・[[都麻乃郷あじさい園]])
画像:ツルアジサイ Hydrangea petiolaris.JPG|''Hydrangea petiolaris''([[ツルアジサイ]])
画像:エゾアジサイ Hydrangea serrata var. megacarpa.JPG|''Hydrangea serrata'' var. ''megacarpa''<br />([[エゾアジサイ]])
画像:ノリウツギ02 Hydrangea paniculata.JPG|''Hydrangea paniculata''<br />([[ノリウツギ]])
画像:イワガラミ Schizophragma hydrangeoides.JPG|''Schizophragma hydrangeoides''<br />([[イワガラミ]])
Image:yamaajisai 01.jpg|''Hydrangea macrophylla'' subsp. ''serrata'' (ヤマアジサイ)
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</gallery>

== 分類 ==
[[File:Hydrangea macrophylla f normalis2.jpg|thumb|ガクアジサイ]]
この種は、[[装飾花]]の分布から、ガクアジサイと、狭義のアジサイ(ホンアジサイ)に分かれる。またこれらとは別に、[[ヤマアジサイ]] {{snamei|Hydrangea serrata}} やハイドランゲア・スティロサ {{snamei|Hydrangea stylosa}} を同種とする説もある。

分子系統では、栽培種にヤマアジサイに近縁なものと''H. stylosa''に近縁なものとがあり、交配による[[多系統]]かもしれない<ref name="samain">{{cite|journal=[[:en:Systematic Botany|Systematic Botany]]|volume=35|number=3|title=Unraveling Extensive Paraphyly in the Genus Hydrangea s. l. with Implications for the Systematics of Tribe Hydrangeeae|last=Samain|first=Marie-Stéphanie|last2=Wanke|first2=Stefan|last3=Goetghebeur|first3=Paul|year=2010|url=http://www.ingentaconnect.com/content/aspt/sb/2010/00000035/00000003/art00014}}</ref>。

; ガクアジサイ(額紫陽花)
: 原種 {{sname|''H. macrophylla'' f. ''normalis''}}
: [[房総半島]]{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=86}}、[[三浦半島]]、[[伊豆半島]]{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=86}}、[[伊豆諸島]]{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=86}}、和歌山県神島{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=69}}、四国[[足摺岬]]{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=69}}、[[南硫黄島]]、[[北硫黄島]]<ref name="川島298">[[#川島|川島 (2010)]]、298頁。</ref>で海岸に自生する<ref name="北村114">[[#北村|北村、村田 (1979)]]、114頁。</ref><ref name="河原田26">[[#河原田|河原田、三上、若林 (2010)]]、26頁。</ref>(足摺岬のものは人為的植栽起源)<ref name="川島300">[[#川島|川島 (2010)]]、300頁。</ref>。このため、ハマアジサイとも呼ばれる<ref name="河原田26" />。半常緑の低木で{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=86}}、高さは2 m程度だが<ref name="北村114" />、4 mに達することもある<ref name="マレー61">[[#マレー|マレー (2009)]]、61頁。</ref>。庭木や公園樹としても植えられる{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=86}}。
: 花序は多数の両性花を中心として、装飾花が周りを縁取る<ref name="北村114" />。名称の「ガク」はこのさまを額縁になぞらえたものである<ref name="河原田26" />。花序は直径12 - 18 cm、装飾花は直径3 - 6 cmで色は白色・青色・淡青緑色・または淡赤紫色<ref name="北村114" />、両性花は濃紫色である<ref name="河原田26" />。まれに白色などもある{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=69}}。葉は広卵形で鋸歯がある{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=69}}。また葉は厚く、大きく(長さ10 - 18 cm<ref name="北村114" />)、種小名 macro (大きい) phyllus (葉)の由来となっている<ref name="河原田26" />。葉の表面は濃緑色で光沢がある<ref name="北村114" />。外側の装飾花は実を結ばないが、中央部の多数の両性花は卵形の[[蒴果]]をつける{{sfn|田中潔|2011|p=145}}、冬でも枯れた花序に果実だけが残っていて、装飾花は落ちている{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=86}}。冬芽は対生し、頂芽は裸芽で長卵形、測芽は小さく芽鱗2枚に包まれる{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=86}}。葉痕は倒松形や腎形で[[維管束]]痕が3個つく{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=86}}。
:栽培品種に ‘花火’、‘城ヶ崎’ などがある<ref>[[#河原田|河原田、三上、若林 (2010)]]、8、34、36頁; [[#マレー|マレー (2009)]]、66–67頁。</ref>。
; アジサイ(紫陽花、別名:ホンアジサイ)
: 変種 {{sname|''H. macrophylla'' var. ''macrophylla''}}
: 日本原産のガクアジサイの[[園芸品種]]で、暖地に生えるガクアジサイが改良されてすべてが装飾花になったもの{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=68}}。しかし、自生しているという説もあり<ref name="河原田27" />、起源ははっきりしない<ref name="北村115">[[#北村|北村、村田 (1979)]]、115頁。</ref>。他のアジサイとの区別のためホンアジサイとも呼ばれる<ref name="河原田27">[[#河原田|河原田、三上、若林 (2010)]]、27頁。</ref>。欧米でも好まれ、品種改良が盛んで、ハイドランジアの名で流通している{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=68}}。庭や公園に植えられる落葉低木で株立ちする{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=86}}。樹皮は淡黄褐色で縦に薄く剥がれる{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=86}}。枝は淡黄褐色で滑らかである{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=86}}。
: 花序はほとんど装飾花のみからなり、種子ができるのはまれであるため、挿し木や株分けで増やす<ref name="北村114" />。花序の大きさは20 - 25 cm程度である<ref name="北村114" />。古く日本から中国へ伝わったものが、18世紀にさらにヨーロッパへと持ち込まれ、多くの園芸品種が作られた<ref name="北村115" />。日本では輸入したものがセイヨウアジサイとも呼ばれる。かつて、[[フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト|シーボルト]]はこの品種を {{snamei|H. otaksa}} と命名したが、学名としては現在では使われていない<ref>[[#河原田|河原田、三上、若林 (2010)]]、7頁。</ref>。otaksaはシーボルトの日本人妻の楠本滝の事である。ちなみに学名上は、ガクアジサイより先に命名されたこちらが {{snamei|Hydrangea macrophylla }} 種の基亜種という扱いである。
:冬でも枯れた姿で装飾花が残るが、果実は実らない{{sfn|田中潔|2011|p=145}}{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=86}}。
:冬芽は対生し、頂芽は裸芽で大きく、暗紅紫色で無毛の幼葉が2枚向き合う{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=86}}。測芽は小さく、薄い芽鱗2 - 4枚に包まれている{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=86}}。葉痕V字形や心形で、維管束痕が3個つく{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=86}}。
:材はかたくて、かつては木釘の材に使われた{{sfn|平野隆久監修 永岡書店編|1997|p=68}}。
; [[ヤマアジサイ]](山紫陽花)
: 別種 {{snamei||Hydrangea serrata}} ver. {{Snamei|serrata}} だが{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=87}}、亜種 {{sname|''Hydrangea macrophylla'' subsp. ''serrata''}} 等とする説もある<ref>{{cite journal|last=Reed|first=Sandra M.|year=2006|title=Hydrangea macrophylla and serrata – Should we Lump 'em or Split 'em?|url=http://naldc.nal.usda.gov/download/45326/PDF|journal=SNA Research Conference|volume=51|pages=573–576|first2=Timothy A.|last2=Rinehart}}</ref>。
: 本州の福島県以南の太平洋側、四国、九州に分布する{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=87}}。山地の沢沿いなどの湿り気の多いところに生えるため、サワアジサイの別名がある{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=87}}。落葉低木で、高さ1&nbsp;mほどになり、ガクアジサイよりも小ぶり{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=87}}。樹皮は灰褐色で薄く剥がれる{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=87}}。冬でも枯れた果序の装飾花が良く残っている{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=87}}。冬芽は対生し、頂芽は裸芽で大きく、測芽は小さい{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=87}}。冬芽は頂芽ははじめ芽鱗があるがすぐに落ち{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=87}}、測芽は芽鱗2枚に包まれる{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=87}}。葉痕は心形や三角形で維管束痕が3個つく{{sfn|鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文|2012|p=87}}。


== シーボルトとあじさいと牧野富太郎 ==
== シーボルトとあじさいと牧野富太郎 ==
{{出典の明記|date=2012年7月20日 (金) 10:22 (UTC)|section=1}}
[[鎖国]]時代に長崎に[[オランダ商館]]員の一員として日本に渡来し、オランダ人と偽って[[出島]]に滞在し医療と博物学的研究に従事したドイツ人医師にして博物学者[[フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト|シーボルト]]は、オランダに帰還してから植物学者のツッカリニと共著で『日本植物誌』を著した際にアジサイ属 14 種を新種記載している。その中で花序全体が装飾花になる園芸品種のアジサイを ''Hydrangea otaksa'' Siebold et Zuccarini と命名している。しかしこれはすでに[[カール・ツンベルク]]によって記載されていた ''H. macrophylla'' (Thunberg) Seringe var. ''macrophylla'' の[[シノニム]](同一種)とみなされ、植物学上有効名ではない。にもかかわらず、[[牧野富太郎]]が自著の各種植物図鑑において ''Hydrangea macrophylla'' Seringe var. ''otaksa'' Makino の学名を用い種の記載者が Seringe で変種の記載者が牧野自身であるとする事実と異なる処置を行っていることから、一部の植物学書であたかも ''H. otaksa'' が植物学的な有効名であるかのような誤解が広まってしまっている。

[[鎖国]]時代に長崎に[[オランダ商館]]員の一員として日本に渡来し、オランダ人と偽って[[出島]]に滞在し医療と博物学的研究に従事したドイツ人医師にして博物学者[[フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト|シーボルト]]は、オランダに帰還してから植物学者のツッカリニと共著で『日本植物誌』を著した際にアジサイ属 14 種を新種記載している。その中で花序全体が装飾花になる園芸品種のアジサイを {{sname|''Hydrangea otaksa'' Siebold et Zuccarini}} と命名している。しかしこれはすでに[[カール・ツンベルク]]によって記載されていた {{sname|''H. macrophylla'' (Thunberg) Seringe var. ''macrophylla''}} の[[シノニム]](同一種)とみなされ、植物学上有効名ではない。にもかかわらず、[[牧野富太郎]]が自著の各種植物図鑑において {{sname|''Hydrangea macrophylla'' Seringe var. ''otaksa'' Makino}} の学名を用い種の記載者が Seringe で変種の記載者が牧野自身であるとする事実と異なる処置を行っていることから、一部の植物学書であたかも {{snamei|H. otaksa}} が植物学的な有効名であるかのような誤解が広まってしまっている。


牧野は上記の植物学的に不可解な処置と矛盾する言動をまた、著書の中で行っている。シーボルトは自著の中で '''otaksa''' をアジサイが日本で「オタクサ」と呼ばれていると命名の由来を説明しているが、牧野は日本国内でこの呼称が確認できなかったことからシーボルトの愛妾の[[楠本滝]](お滝さん)の名を潜ませたと推測し、美しい花に[[花柳界]]の女性の名をつけたとして強く非難している。
牧野は上記の植物学的に不可解な処置と矛盾する言動をまた、著書の中で行っている。シーボルトは自著の中で otaksa をアジサイが日本で「オタクサ」と呼ばれていると命名の由来を説明しているが、牧野は日本国内でこの呼称が確認できなかったことからシーボルトの愛妾の[[楠本滝]](お滝さん)の名を潜ませたと推測し、美しい花に[[花街|花柳界]]の女性の名をつけたとして強く非難している。そして自らも新種の笹に自らの妻の名から「スエコザサ」と名付けた


牧野のこの推測によって「オタクサ」の名はシーボルトとお滝さんのロマンスをイメージさせて文人作家の創作意欲を刺激し、詩歌にこの名を詠み込むことなどが盛んに行われている。
牧野のこの推測によって「オタクサ」の名はシーボルトとお滝さんのロマンスをイメージさせて文人作家の創作意欲を刺激し、詩歌にこの名を詠み込むことなどが盛んに行われている。


== 鑑賞 ==
== 鑑賞 ==
低木で、5月から7月頃、青、紫、ピンクなどの花(装飾花)を密につけ、手毬状をなす。初夏あるいは[[梅雨]]時期の風物詩として広く親しまれ、鑑賞用に庭園や公園に植栽されてきた。また、咲き始めの頃は白っぽく、次第に色が変ってくることから「七変化」とも呼ばれる。園芸種も多い。
[[画像:Ajisai Kobe Rokko01bs2700.jpg|thumbnail|200px|自生のアジサイ<br />([[表六甲ドライブウェイ]])]]
低木で、5月から7月頃、青、紫、ピンクなどの花(装飾花)を密につけ、手毬状をなす。[[初夏]]あるいは[[梅雨]]時期の風物詩として広く親しまれ、鑑賞用に庭園や公園に植栽されてきた。また、咲き始めの頃は白っぽく、次第に色が変ってくることから「七変化」とも呼ばれる。園芸種も多い。


アジサイを剪定する時期は、鑑賞が終わった花後すぐである{{sfn|田中潔|2011|p=145}}。こうすることで株の根元近くに花芽が形成されて、翌年も花を見ることができるようになる{{sfn|田中潔|2011|p=145}}。
=== アジサイ名所 ===
全国各地にアジサイを境内に多く植えた[[アジサイ寺]]と呼ばれるような[[観光都市|観光名所]]がある。公共の施設では[[大阪府民の森ぬかた園地]]、[[神戸市立森林植物園]]、[[舞鶴自然文化園]]に約5万株のアジサイが植えられている。三重県[[津市]]にある「伊勢温泉ゴルフクラブ内の福祉と環境を融合したあじさい園」には 2万5000平方メートルに 56 種類・7万5000株という日本最大級のあじさい園が2008年6月より新設された。また神戸市の[[裏六甲ドライブウェイ]]および[[奥摩耶ドライブウェイ]]沿いには延々とアジサイが自生している。[[箱根登山鉄道]]では開花時期に合わせ夜間[[ライトアップ]]されたアジサイを楽しめる特別列車が運行されている。


===観光資源として===
; 名所一覧
[[ファイル:Hydrangea macrophylla at Mimuroto-ji Garden 001.jpg|thumb|京都・[[三室戸寺]]あじさい園]]
''寺院の名所は、[[アジサイ寺]]を参照''
{{See|アジサイ寺}}
<!--五十音順-->
日本全国各地にアジサイを境内に多く植えた[[アジサイ寺]]と呼ばれるような[[観光都市|観光名所]]がある。公共の施設では静岡県下田市の下田公園に約15万株、[[大阪府民の森ぬかた園地]]、[[神戸市立森林植物園]]、[[舞鶴自然文化園]]に約5万株のアジサイが植えられている。三重県[[津市]]にある「伊勢温泉ゴルフクラブ内の福祉と環境を融合したあじさい園」には 2万5000平方メートルに 56 種類・7万5000株のあじさい園が2008年6月より新設された。また神戸市の[[裏六甲ドライブウェイ]]および[[奥摩耶ドライブウェイ]]沿いには延々とアジサイが自生している。[[神奈川県]]の[[小田急箱根]][[小田急箱根鉄道線|鉄道線(箱根登山電車)]]では開花時期に合わせ夜間[[ライトアップ]]されたアジサイを楽しめる特別列車が運行されている。[[岩手県]][[一関市]]にある「みちのくあじさい園」は、15万平方メートルの杉山に300種・3万株のアジサイと、元日本アジサイ協会会長の山本武臣が生前に収集・栽培した品が「山本コレクションコーナー」として保存されている。
* 伊勢温泉ゴルフクラブ内福祉と環境を融合したあじさい園(三重県[[津市]])
* [[板取街道]](別名:アジサイロード・[[日本の道100選]])(岐阜県[[関市]])
* [[神戸市立森林植物園]](兵庫県[[神戸市]][[北区 (神戸市)|北区]])
* [[正善寺ダム|正善寺湖]](新潟県[[上越市]])
* [[天上山公園|天上山公園]](山梨県[[富士河口湖町]])
* [[としまえん|としまえん]](東京都[[練馬区]])
* [[なばなの里]](三重県[[桑名市]])
* [[箱根登山鉄道鉄道線|箱根登山鉄道]](神奈川県[[足柄下郡]][[箱根町]])
* [[舞鶴自然文化園]](京都府[[舞鶴市]])


海外でもアジサイに似た[[アザレア]]が町を挙げて栽培されている所もあり、[[北米]]では[[米国]][[アラバマ州]][[モービル (アラバマ州)|モービル]]や[[ジョージア州]][[バルドスタ (ジョージア州)|バルドスタ]]などが「あじさいの町」(Azalea City)として知られ、また[[ノースカロライナ州]][[ウィルミントン (ノースカロライナ州)|ウィルミントン]]では「[[ノースカロライナあじさい祭り]]」が毎年開催される。
== 文化 ==

== 薬用 ==
[[漢方]]では用いられないが、[[民間薬]]として葉、花が利用される{{sfn|馬場篤|1996|p=17}}。初夏に花や葉を採って天日乾燥して生薬にする。[[解熱]]に、乾燥させた花または葉10[[グラム]]を煎じて服用する用法が知られ、特に瘧(おこり、一定時間おいて起こる熱病)に効果があるといわれている{{sfn|馬場篤|1996|p=17}}。

== 毒性 ==
''アジサイの保有する毒性に関しては、[[アジサイ属#毒性|アジサイ属]]を参照''

== アジサイに関わる文化 ==
[[File:Ajisai namagashi.jpg|thumb|180px|紫陽花を模した生菓子]]
[[File:Ajisai namagashi.jpg|thumb|180px|紫陽花を模した生菓子]]
アジサイの[[花言葉]]は、「移り気」「高慢」とされている{{sfn|田中潔|2011|p=144}}。
=== 和歌 ===

あじさい(紫陽花)は夏の[[季語]]。
=== 日本文学 ===
古来より多くの詩歌に歌われ、俳句は夏の季語である。さまざまに色が変化する装飾花は、梅雨時の風物詩となっている{{sfn|田中潔|2011|p=144}}。


==== 和歌 ====
[[万葉集]]には二首のみ。
[[万葉集]]には二首のみ。
* 言問はぬ木すら味狭藍 諸弟(もろと)らが 練の村戸(むらと)にあざむかえけり([[大伴家持]] 巻4 773)
* 言問はぬ木すら味狭藍諸弟(もろと)らが練の村戸(むらと)にあざむかえけり([[大伴家持]] 巻4 773)
* 紫陽花の八重咲く如やつ代にを いませわが背子見つつ思はむ(しのはむ)([[橘諸兄]] 巻20 4448)
* 紫陽花の八重咲く如やつ代にをいませわが背子見つつ思はむ(しのはむ)([[橘諸兄]] 巻20 4448)


平安後期になるとしばしば詠まれるようになった。
平安後期になるとしばしば詠まれるようになった。
* あぢさゐの 花のよひらに もる月を 影もさながら 折る身ともがな([[源俊頼]]『散木奇歌集』)
* あぢさゐの花のよひらにもる月を影もさながら折る身ともがな([[源俊頼]]『散木奇歌集』)
* 夏もなほ 心はつきぬ あぢさゐの よひらの露に 月もすみけり([[藤原俊成]]『千五百番歌合』)
* 夏もなほ心はつきぬあぢさゐのよひらの露に月もすみけり([[藤原俊成]]『千五百番歌合』)
* あぢさゐの 下葉にすだく蛍をば 四ひらの数の添ふかとぞ見る([[藤原定家]])
* あぢさゐの下葉にすだく蛍をば四ひらの数の添ふかとぞ見る([[藤原定家]])
<!--複数ソースで確認するまでコメントアウト
<!--複数ソースで確認するまでコメントアウト
; 江戸時代
; 江戸時代
:: 昨日今日あすとうつろう世の人の 心に似たるあぢさゐの花([[佐久間象山]])
:: 昨日今日あすとうつろう世の人の 心に似たるあぢさゐの花([[佐久間象山]])-->
-->
<!--歌 http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/ajisai.html
-->
=== 文学 ===
*『あじさい』- [[永井荷風]] 作、昭和6年(1931年)


現代では多くの作品が詠まれており、例をあげることは必ずしも容易ではない。
=== 絵画 ===

[[画像:Hydrangea and Swallow 2.jpg|thumb|300px|あじさいに燕]]
==== 俳句 ====
俳句では、あじさい(紫陽花)は夏の[[季語]]{{sfn|田中潔|2011|p=145}}。

==== 小説 ====
*「紫陽花」 - [[泉鏡花]] 作、明治29年(1896年)
*「あじさい」- [[永井荷風]] 作、昭和6年(1931年)

=== 日本画 ===
[[File:Hydrangea and Swallow 2.jpg|thumb|300px|あじさいに燕]]
*「あじさいに燕」- [[葛飾北斎]] 画
*「あじさいに燕」- [[葛飾北斎]] 画
*「あじさい」- [[高村智恵子]] 画、またこれを原画とした巨大タイル壁画が[[神戸文化ホール]]にある。
*「あじさい」- [[高村智恵子]] 画、またこれを原画とした巨大タイル壁画が[[神戸文化ホール]]にある。
*「紫陽花」- [[菱田春草]] 画


=== 歌謡曲 ===
=== 日本の歌謡曲 ===
{{div col}}
*「あじさいの歌」 - [[石原裕次郎]] 歌、1960年
**この歌および生前アジサイが好きだったことにより[[7月17日]]の石原裕次郎忌を「あじさい忌」という。
*「紫陽花の詩」- [[グレープ (ユニット)|グレープ]] 歌、1974年、アルバム『[[わすれもの (グレープのアルバム)|わすれもの]]』に収録。
*「[[紫陽花 (アリスの曲)|紫陽花]]」- [[アリス (フォークグループ)|アリス]] 歌、1975年。1980年には[[横山みゆき]]がカバーしている。
*「[[紫陽花 (アリスの曲)|紫陽花]]」- [[アリス (フォークグループ)|アリス]] 歌、1975年。1980年には[[横山みゆき]]がカバーしている。
*「[[あじさい橋]]」- [[城之内早苗]] 歌、1986年
*「[[あじさい橋]]」- [[城之内早苗]] 歌、1986年
*「[[Loving You (原由子のアルバム)#収録曲|あじさいのうた]]」- [[原由子]] 歌、1987
*「あじさいのうた」- [[原由子]] 歌、1987年、アルバム『[[Loving You (原由子のアルバム)|Loving You]]』収録。
*「紫陽花の坂道」 - [[熊谷幸子]] 歌、1994年
*「[[ハチミツ (アルバム)#収録曲|あじさい通り]]」- [[スピッツ (バンド)|スピッツ]] 歌、1995年
*「あじさい」- [[サニーデイ・サービス]] 歌、1996
*「あじさい通り」- [[スピッツ (バンド)|スピッツ]] 歌、1995、アルバム『[[ハチミツ (アルバム)|ハチミツ]]』収録。
*「あじさい」- [[サニーデイ・サービス]] 歌、1996年、アルバム『[[東京 (サニーデイ・サービスのアルバム)|東京]]』収録。
*「[[every little thing every precious thing#収録曲|アジサイ]]」- [[リンドバーグ (バンド)|LINDBERG]] 歌、1996年
*「アジサイ」- [[リンドバーグ (バンド)|LINDBERG]] 歌、1996年、アルバム『[[every little thing every precious thing]]』収録。
*「[[青空の扉 〜THE DOOR FOR THE BLUE SKY〜#収録曲|紫陽花のうた]]」- [[浜田省吾]] 歌、1996年
*「紫陽花のうた」- [[浜田省吾]] 歌、1996年、アルバム『[[青空の扉 〜THE DOOR FOR THE BLUE SKY〜]]』収録。
*「[[ステレオ2#収録曲|あじさい]]」- [[山崎まさよし]] 歌、1997年
*「[[あじさい (RAZZ MA TAZZの曲)|あじさい]]」- [[RAZZ MA TAZZ]] 歌、1997年
*「あじさい」- [[山崎まさよし]] 歌、1997年、アルバム『[[ステレオ2]]』収録。
*「紫陽花」- [[五木ひろし]] 歌、1997年
*「紫陽花」- [[五木ひろし]] 歌、1997年
*「紫陽花」- [[TUBE]] 歌、2000年、アルバム『[[虹になりたい]]』に収録。
*「紫陽花の咲く庭で」- 2001年<!--に放送されたアニメ『[[まほろまてぃっく]]』劇中歌。-->、[[川澄綾子]] 歌
*「紫陽花の咲く庭で」- 2001年<!--に放送されたアニメ『[[まほろまてぃっく]]』劇中歌。-->、[[川澄綾子]] 歌
*「[[憐哀 -レンアイ-#収録曲|紫陽花]]」- [[シド (バンド)|シド]] 歌、2004年
*「紫陽花」- [[シド (バンド)|シド]] 歌、2004年、アルバム『[[憐哀 -レンアイ-]]』に収録
*「紫陽花」- [[椿屋四重奏]] 歌、2005年、シングル『[[紫陽花/螺旋階段]]』に収録。
*「Hydrangea」- [[INORAN]] 歌、2008年
*「Hydrangea」- [[INORAN]] 歌、2008年
*「紫陽花」- [[Ms.OOJA]] 歌、2013年
*「[[夏のハイドレンジア]]」- [[Sexy Zone]] 歌、2021年
*「[[紫陽花 (PEOPLE 1の曲)|紫陽花]]」- [[PEOPLE 1]] 歌、2022年{{div col end}}


== 市町村花・木として ==
=== 日本発行切手 ===
*1966年(昭和41年)7月1日発売 25円[[日本の普通切手|普通切手]]
アジサイは下記の市区町村の花・木として制定されている。
*1972年(昭和47年)1月21日発売 25円普通切手 刷色変更
*[[秋田県]][[北秋田市]]
*1992年(平成4年)4月20日発売 62円 [[切手趣味週間]]『榻上の花』[[山口蓬春]]
*[[山形県]][[新庄市]]、[[大江町]]
*1996年(平成8年)4月19日発売 80円 切手趣味週間『窓』[[安田靫彦]]
*[[茨城県]][[かすみがうら市]]
*2001年(平成13年)6月1日発売 50円 [[東京]]の四季の花・木
*[[群馬県]][[渋川市]]
*2003年(平成15年)4月1日発売 50円 [[日本郵政公社]]設立記念 『四季花鳥図巻』の[[ガクアジサイ]]の部分図
*[[千葉県]]、[[松戸市]]、[[成田市]]、[[旭市]]、[[習志野市]]、[[勝浦市]]
*2004年(平成16年)6月1日発売 50円 [[ふるさと切手]] [[神奈川県]]の花
*[[埼玉県]][[さいたま市]][[西区 (さいたま市)|西区]]
*2005年(平成17年)4月1日発売 50円 ふるさと切手 [[北陸]]の花
*[[東京都]][[港区 (東京都)|港区]]
*2006年(平成18年)6月1日発売 80円 ふるさと切手 [[九州]]の花と風景II アジサイと[[見帰りの滝]]・[[佐賀県]]
*[[神奈川県]][[横浜市]][[瀬谷区]]、[[相模原市]]、[[開成町]]
*2012年(平成24年)6月7日発売 50円と80円 ふるさと切手 季節の花シリーズ第3集
*[[福井県]][[福井市]]
*[[静岡県]][[下田市]]、[[牧之原市]]
*[[愛知県]][[日進市]]
*[[兵庫県]][[神戸市]]
*[[広島県]][[府中市 (広島県)|府中市]]、[[安芸高田市]]
*[[長崎県]][[長崎市]]
*[[熊本県]][[宇土市]]
<!--廃止された町
*[[新潟県]][[豊浦町 (新潟県)|豊浦町]](現:[[新発田市]])
*[[兵庫県]][[安富町]](現:[[姫路市]])--><!--不要-->


== 関連項目 ==
=== 菓子 ===
* 新庄の花あじさい
* [[木の一覧]]
::[[山形県]][[新庄市]]にあった「新庄の菓匠たかはし」が製造販売していた洋風クッキー。クッキー菓子であるが"あじさいせんべい"の愛称で親しまれた。薄焼きのクッキーにアーモンドスライスがちりばめられている。新庄市の花であるアジサイをモチーフしており、[[1985年]]に販売開始。[[2002年]]には[[全国菓子大博覧会]]で最高賞の名誉総裁賞を受賞している。新庄の菓匠たかはしの店主の高齢化と[[日本における2019年コロナウイルス感染症による社会・経済的影響|新型コロナウイルス]]による景気失速により、[[2020年]]に新庄の菓匠たかはしが閉店となり、新庄の花あじさいの製造も停止となった<ref>{{Cite news|url= https://www.yamagata-np.jp/news/202102/02/kj_2021020200036.php |title= 新庄の“あじさいせんべい”忘れないよ 月末、「菓匠たかはし」90年の歴史に幕|newspaper=山形新聞|publisher=株式会社山形新聞社|date=2021-02-02|accessdate=2021-02-04}}</ref>。
* [[花の一覧]]
* おたくさ
::[[長崎県]][[長崎市]]の[[唐草 (製菓)|唐草]]が製造販売しているあじさいの花を象ったパイ菓子。

=== 海外の文化 ===
[[中国]]ではアジサイを「[[繡球]]」と言う。[[チワン族]]にはアジサイに模した絹に刺繍を施した[[手毬]]を作り、男女が問答をしながら投げ合ってお互いの意志を確認する[[求婚]]の伝統的な習慣がある。
[[狛犬]]{{efn|「狛犬」には南方系の「石獅子」だけでなく、北方系の「コマ([[濊貊|貊]]、[[高麗]])」の文化要素が混合している。}}や[[シーサー]]の起源となる{{仮リンク|石獅子|zh|石獅子}}(訓みは「シシジ」「せきしし」)は[[瑞獣]]を象った[[石獣]]の1つで、一対で置かれる左側の雄獅子は足に繡球を持っている。

== 日本の市町村の花・木として ==
アジサイは下記の市区町村の花・木として制定されている。

=== 現行市町村 ===
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*青森県:東津軽郡[[外ヶ浜町]]
*秋田県:[[北秋田市]]
*山形県:[[新庄市]]、西村山郡[[大江町]]
*茨城県:[[かすみがうら市]]、稲敷郡[[河内町]]
*群馬県:[[渋川市]]
*埼玉県:[[さいたま市]][[西区 (さいたま市)|西区]]
*千葉県:[[松戸市]]、[[成田市]]、[[旭市]]、[[習志野市]]、[[勝浦市]]、香取郡[[多古町]]
*東京都:[[港区 (東京都)|港区]]、[[三宅村]]
*[[神奈川県]]:横浜市[[瀬谷区]]・[[港南区]]、[[相模原市]]、[[秦野市]]、足柄上郡[[開成町]]
*新潟県:南蒲原郡[[田上町]]
*富山県:[[射水市]]
*福井県:[[福井市]]
*山梨県:南巨摩郡[[南部町 (山梨県)|南部町]]
*岐阜県:[[美濃加茂市]]、[[瑞穂市]]
*静岡県:[[下田市]]、[[牧之原市]]
*愛知県:名古屋市[[千種区]]、[[日進市]]
*大阪府:大阪市[[生野区]]
*兵庫県:[[神戸市]]
*和歌山県:伊都郡[[かつらぎ町]]
*広島県:[[府中市 (広島県)|府中市]]、[[安芸高田市]]
*長崎県:[[長崎市]]
*熊本県:[[宇土市]]
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=== 廃止市町村 ===
{{div col}}
*青森県:東津軽郡[[三厩村]]、下北郡[[川内町 (青森県)|川内町]]、三戸郡[[名川町]]
*宮城県:登米郡[[石越町]]
*秋田県:仙北郡[[仙北町]]
*茨城県:新治郡[[霞ヶ浦町]]、真壁郡[[協和町 (茨城県)|協和町]]
*栃木県:[[黒磯市]]、下都賀郡[[大平町]]、那須郡[[小川町 (栃木県)|小川町]]
*群馬県:勢多郡[[黒保根村]]
*新潟県:北蒲原郡[[豊浦町 (新潟県)|豊浦町]]、西蒲原郡[[西川町 (新潟県)|西川町]]、 東頸城郡[[浦川原村]]、中頸城郡[[吉川町 (新潟県)|吉川町]]
*石川県:石川郡[[鶴来町]]
*福井県:坂井郡[[三国町]]、遠敷郡[[上中町]]
*山梨県:中巨摩郡[[中富町]]
*三重県:員弁郡[[北勢町]]、度会郡[[南島町]]
*滋賀県:東浅井郡[[びわ町]]、伊香郡[[余呉町]]
*京都府:相楽郡[[加茂町 (京都府)|加茂町]]、与謝郡[[岩滝町]]
*兵庫県:神崎郡[[神崎町 (兵庫県)|神崎町]]、宍粟郡[[安富町]]、養父郡[[養父町 (兵庫県養父郡2004年)|養父町]]
*奈良県:宇陀郡[[菟田野町]]
*徳島県:那賀郡[[相生町]]
*香川県:大川郡[[長尾町 (香川県)|長尾町]]、木田郡[[庵治町]]
*高知県:吾川郡[[春野町 (高知県)|春野町]]
*佐賀県:東松浦郡[[相知町]]
*長崎県:北松浦郡[[世知原町]]、壱岐郡[[郷ノ浦町]]
*熊本県:阿蘇郡[[長陽村]]、天草郡[[栖本町]]
*宮崎県:宮崎郡[[佐土原町]]、北諸県郡[[山之口町]]
*鹿児島県:薩摩郡[[祁答院町]]・[[鶴田町 (鹿児島県)|鶴田町]]、曽於郡[[松山町 (鹿児島県)|松山町]]
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== 脚注 ==
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist}}
{{Notelist}}

=== 出典 ===
{{Reflist|3}}

== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書|author =亀田龍吉|title =落ち葉の呼び名辞典|date=2014-10-05|publisher =[[世界文化社]]|series =|isbn=978-4-418-14424-2|page =65|ref=harv}}
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* {{Cite book | 和書 | author=山本武臣 | title=アジサイの話 | publisher=[[八坂書房]] | series=植物と文化双書 | year=1981 | isbn=978-4-89694-314-6 | ref=山本}}

== 関連項目 ==
* [[アジサイ寺]]


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
{{Commonscat}}
{{Wikispecies|Hydrangea}}
{{Wikispecies}}
{{Commonscat|Hydrangea}}
* [http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/higher_det_01.html 自然毒のリスクプロファイル:アジサイ] [[厚生労働省]]
* [https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082116.html アジサイ] - 厚生労働省
* {{Kotobank|アジサイ}}
* [http://niah.naro.affrc.go.jp/disease/poisoning/plants/hydrangea.html 写真で見る家畜の有毒植物と中毒-アジサイ-] - 独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
* [https://hdl.handle.net/10131/1542 アジサイ(広義)の葉の解剖学的研究] - 横浜国立大学教育学部理科教育実習施設研究報告(1983-1997)第05号
* [http://www.i-apple.jp/medicinal/01/2014.html アジサイ Hydrangea 紫陽花] 江戸時代・明治時代の植物事典([[長野電波技術研究所]])
{{Normdaten}}
* [http://news.shikoku-np.co.jp/national/life_topic/200806/20080630000409.htm アジサイの葉食べ食中毒/大阪市の居酒屋で―四国新聞社] - [[四国新聞社]]


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[[fr:Hydrangea]]
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[[no:Hortensia]]
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[[pt:Hortênsia]]
[[ru:Гортензия]]
[[sc:Ortensia]]
[[sh:Hortenzija]]
[[simple:Hydrangea]]
[[su:Hortensia]]
[[sv:Hortensiasläktet]]
[[th:ไฮเดรนเยีย]]
[[uk:Гортензія]]
[[vi:Chi Tú cầu]]
[[zh:繡球花]]

2024年12月19日 (木) 14:24時点における最新版

アジサイ
ガクアジサイ
分類APG III
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : キク類 Asterids
: ミズキ目 Cornales
: アジサイ科 Hydrangeaceae
: アジサイ属 Hydrangea
: アジサイ節 Hydrangea
亜節 : アジサイ亜節 Macrophyllae
: アジサイ H. macrophylla
学名
Hydrangea macrophylla (Thunberg) Ser.
和名
アジサイ
ガクアジサイ
品種

アジサイ(紫陽花[4]学名: Hydrangea macrophylla)は、アジサイ科アジサイ属の落葉低木の一種である[5]。広義には「アジサイ」の名はアジサイ属植物の一部の総称でもある[6]。狭義には品種の一つ H. macrophylla f. macrophylla和名であり[7][注釈 1]、他との区別のためこれがホンアジサイと呼ばれることもある。原種は日本に自生するガクアジサイである。

概要

[編集]
ピンク色の花

狭義のアジサイ(ホンアジサイ)は、日本で原種ガクアジサイから改良した園芸品種で、ガクアジサイに近い落葉低木[11]。6月から7月にかけて開花し、白、青、紫または赤色のがくが大きく発達した装飾花をもつ。ガクアジサイではこれが花序の周辺部を縁取るように並び、園芸では「額咲き」と呼ばれる。ガクアジサイから変化し、花序が球形ですべて装飾花となったアジサイは、「手まり咲き」と呼ばれる。

栽培は、梅雨期に主に挿し木によって繁殖させている[11]。日本、ヨーロッパ、アメリカなどで観賞用に広く栽培され、多くの品種が作り出されている。原産地は日本で、ヨーロッパで品種改良されたものはセイヨウアジサイと呼ばれる。変種のアマチャは稀に山地に自生するが、多くは寺院などで栽培されている[11]。また、漢方で用いないが、民間では薬用植物として利用できる。

後述の通り本種は有毒植物であるため、園芸や切り花として利用する際には取り扱いに注意が必要である。ただし、口に入れなければ毒の効果はない[12]。食べてしまうと吐き気、めまい顔面紅潮などの症状が出る[13]

分布と生育環境

[編集]

アジサイに関して、キュー植物園系のデータベース Plants of the World Online(POWO)は#分類で後述する原種や変種も含め Hydrangea macrophylla として日本火山列島に自生し、その他世界の様々な国や地域に持ち込まれているとしている[14]。なお、POWO が利用している地域区分は分類学データベース専門調査委員会(: Taxonomic Databases Working Group; 略称: TDWG)[注釈 2]によるものであり[15]、そのために2001年に提供された4段階による区分法では1段階目のアジア-温帯(Asia-Temperate)、2段階目のアジア東部(Eastern Asia)までは共通しているものの、3段階目で日本(Japan)と火山列島(Kazan-retto)という別々の区分に分けられている[16]

アジサイ(ホンアジサイ)は、庭や公園などに植えられる植物で、ガクアジサイは庭や公園にも植えられるほかに、海に近い林にも自生し、本州の房総半島伊豆半島伊豆諸島の沿岸地に分布する[17]

名称

[編集]

アジサイの語源ははっきりしないが、最古の和歌集『万葉集』では「味狭藍」「安治佐為」(あぢさゐ)、平安時代の辞典『和名類聚抄』では「阿豆佐為」の字をあてて書かれている[18]。もっとも有力とされているのは、「藍色が集まったもの」を意味する「集真藍(あづさあい/あづさい)」がなまったものとする説である[19][18]。そのほか、「味」は評価を[注釈 3]、「狭藍」は花の色を示すという谷川士清の説、「集まって咲くもの」とする山本章夫の説(『万葉古今動植物正名』)、「厚咲き」が転じたものであるという貝原益軒の説がある[18]

花の色がよく変わることから、別名で「七変化(しちへんげ)」「八仙花(はっせんか)」とも呼ばれる[20][21]。また、「四葩(よひら)」は俳句で好まれる別名で、葩は「花びら」を表す言葉である[22]

ガクアジサイの語源は、装飾花が周囲を額縁のように飾ることから、「額アジサイ」の意味で名づけられている[22]

日本語で漢字表記に用いられる「紫陽花」は、の詩人白居易が別の花、おそらくライラック[10]に付けた名で、平安時代の学者源順がこの漢字をあてたことから誤って広まったといわれている[23]草冠の下に「便」を置いた字が『新撰字鏡』にはみられ、「安知佐井」のほか「止毛久佐」の字があてられている。アジサイ研究家の山本武臣は、アジサイの葉が便所で使われる地域のあることから、止毛久佐は普通トモクサと読むが、シモクサとも読むことができると指摘している[24]。また『言塵集』にはアジサイの別名として「またぶりぐさ」が挙げられている[24]

学名の属名 Hydrangea(ハイドランジア)は、「水」の意味である[25]シーボルトはアジサイ属の新種に自分の妻「おタキさん」の名をとって Hydrangea otaksa と命名し、物議をかもした[26][27]。これは Hydrangea macrophylla と同種であった。

特徴

[編集]
薄緑色の花
青色と紫色の花

落葉広葉樹の低木で、樹高は1 – 2メートル。樹皮は淡黄褐色で縦に筋があり、薄く剥がれる[17]。枝は灰褐色から淡黄褐色で、なめらか[17]対生し、葉身は厚く光沢があり[11]、淡緑色で葉脈のはっきりした卵形で、周囲は鋸歯状。夏を過ぎると、黄白色や黄色に黄葉する[19]

花期は6 - 7月[22]花序は大型で、若い枝の先端に紫(赤紫から青紫)のを咲かせる[25]。一般に花といわれている部分は装飾花で、大部分が中性花からなり、4枚の萼片が大きく変化したもので、花弁状で目立つ[11][22]。中央にある両性花は極小で目立たず[11]、退化した雄蕊10本と雌蕊3 - 4本がある。数え方は「◯朶(だ)」という。母種のガクアジサイでは、花序の頂部がたいらで両性花が多数あり、密集した両性花の周囲だけに装飾花(中性花)がみられるが[11]、アジサイ(ホンアジサイ)やセイヨウアジサイではほとんどが装飾花となっている。また、装飾花の欠如した変種も知られている(ガクアジサイ「三河千鳥」など)。ホンアジサイは装飾花がついた花序が、しばしば冬でも枯れた姿で枝に残っている[17]

果期は7 - 12月で、ほとんど結実しないが[22]、ガクアジサイなどは両性花に蒴果をつける[25]。ガクアジサイは、装飾花だけが落ちて、果穂に果実だけがついて冬でも枯れ残っていて、種子が残っている場合もある。

冬芽は対生し、頂芽は長卵形の裸芽で大きく、暗紅紫色で無毛、幼葉は2枚向き合う[17]。側芽は小さく、2 - 4枚の薄い芽鱗に包まれる[17]。葉痕はアジサイが浅いV字形や心形で、ガクアジサイでは倒松形や腎形で、維管束痕が3個つく[17]。アジサイとガクアジサイの冬芽や樹皮は、互いによく似ている[17]

花の色

[編集]

花(萼)の色はアントシアニンという色素によるもので、アジサイにはその一種のデルフィニジンが含まれている。これに補助色素(助色素)とアルミニウムイオンが加わると、青色の花となる[28]。従来は理論の域に留まっていたが、今般、実際にアジサイの花で直接確認された[29]

アジサイは土壌のpH(酸性度)によって花の色が変わり、一般に「酸性ならば青、アルカリ性ならば赤」になると言われている[22][注釈 4]。これは、アルミニウムが根から吸収されやすいイオンの形になるかどうかに、pHが影響するためである。すなわち、土壌が酸性だとアルミニウムがイオンとなって土中に溶け出し、アジサイに吸収されて花のアントシアニンと結合し青色を呈する。逆に土壌が中性やアルカリ性であればアルミニウムは溶け出さずアジサイに吸収されないため、花は赤色となる[30]。したがって、花を青色にしたい場合は、酸性の肥料や、アルミニウムを含むミョウバンを与えればよい[31]。同じ株でも部分によって花の色が違うのは、根から送られてくるアルミニウムの量に差があるためである[32]。花色は花(萼)1グラムあたりに含まれるアルミニウムの量がおよそ40マイクログラム以上の場合に青色になると見積もられている[33]。ただし品種によっては遺伝的な要素で花が青色にならないものもある。これは補助色素が原因であり、もともとその量が少ない品種や、効果を阻害する成分を持つ品種は、アルミニウムを吸収しても青色にはなりにくい[34]

土壌の肥料の要素によっても変わり、窒素が多く、カリウムが少ないと紅色が強くなる[25]

また、花色は開花から日を経るに従って徐々に変化する[35]。最初は花に含まれる葉緑素のため薄い黄緑色を帯びており、それが分解されていくとともにアントシアニンや補助色素が生合成され、赤や青に色づいていく[35]。さらに日が経つと有機酸が蓄積されてゆくため、青色の花も赤味を帯びるようになる[注釈 5]。これは花の老化によるものであり、土壌の変化とは関係なく起こる[37]

他に花が緑色の品種(ヤマアジサイ「土佐緑風」など)も知られており、観賞用として緑の花が販売されることもある。しかし日本ではファイトプラズマ感染による「アジサイ葉化病」にかかったものも稀にみられる[38][39]。この病気の治療法は知られておらず、感染拡大を避けるため発病株は処分したほうがよいとされる[38]

分類

[編集]
ガクアジサイ

この種は、装飾花の分布から、ガクアジサイと、狭義のアジサイ(ホンアジサイ)に分かれる。またこれらとは別に、ヤマアジサイ Hydrangea serrata やハイドランゲア・スティロサ Hydrangea stylosa を同種とする説もある。

分子系統では、栽培種にヤマアジサイに近縁なものとH. stylosaに近縁なものとがあり、交配による多系統かもしれない[40]

ガクアジサイ(額紫陽花)
原種 H. macrophylla f. normalis
房総半島[4]三浦半島伊豆半島[4]伊豆諸島[4]、和歌山県神島[41]、四国足摺岬[41]南硫黄島北硫黄島[42]で海岸に自生する[43][44](足摺岬のものは人為的植栽起源)[45]。このため、ハマアジサイとも呼ばれる[44]。半常緑の低木で[4]、高さは2 m程度だが[43]、4 mに達することもある[46]。庭木や公園樹としても植えられる[4]
花序は多数の両性花を中心として、装飾花が周りを縁取る[43]。名称の「ガク」はこのさまを額縁になぞらえたものである[44]。花序は直径12 - 18 cm、装飾花は直径3 - 6 cmで色は白色・青色・淡青緑色・または淡赤紫色[43]、両性花は濃紫色である[44]。まれに白色などもある[41]。葉は広卵形で鋸歯がある[41]。また葉は厚く、大きく(長さ10 - 18 cm[43])、種小名 macro (大きい) phyllus (葉)の由来となっている[44]。葉の表面は濃緑色で光沢がある[43]。外側の装飾花は実を結ばないが、中央部の多数の両性花は卵形の蒴果をつける[25]、冬でも枯れた花序に果実だけが残っていて、装飾花は落ちている[4]。冬芽は対生し、頂芽は裸芽で長卵形、測芽は小さく芽鱗2枚に包まれる[4]。葉痕は倒松形や腎形で維管束痕が3個つく[4]
栽培品種に ‘花火’、‘城ヶ崎’ などがある[47]
アジサイ(紫陽花、別名:ホンアジサイ)
変種 H. macrophylla var. macrophylla
日本原産のガクアジサイの園芸品種で、暖地に生えるガクアジサイが改良されてすべてが装飾花になったもの[48]。しかし、自生しているという説もあり[49]、起源ははっきりしない[50]。他のアジサイとの区別のためホンアジサイとも呼ばれる[49]。欧米でも好まれ、品種改良が盛んで、ハイドランジアの名で流通している[48]。庭や公園に植えられる落葉低木で株立ちする[4]。樹皮は淡黄褐色で縦に薄く剥がれる[4]。枝は淡黄褐色で滑らかである[4]
花序はほとんど装飾花のみからなり、種子ができるのはまれであるため、挿し木や株分けで増やす[43]。花序の大きさは20 - 25 cm程度である[43]。古く日本から中国へ伝わったものが、18世紀にさらにヨーロッパへと持ち込まれ、多くの園芸品種が作られた[50]。日本では輸入したものがセイヨウアジサイとも呼ばれる。かつて、シーボルトはこの品種を H. otaksa と命名したが、学名としては現在では使われていない[51]。otaksaはシーボルトの日本人妻の楠本滝の事である。ちなみに学名上は、ガクアジサイより先に命名されたこちらが Hydrangea macrophylla 種の基亜種という扱いである。
冬でも枯れた姿で装飾花が残るが、果実は実らない[25][4]
冬芽は対生し、頂芽は裸芽で大きく、暗紅紫色で無毛の幼葉が2枚向き合う[4]。測芽は小さく、薄い芽鱗2 - 4枚に包まれている[4]。葉痕V字形や心形で、維管束痕が3個つく[4]
材はかたくて、かつては木釘の材に使われた[48]
ヤマアジサイ(山紫陽花)
別種 Hydrangea serrata ver. serrata だが[52]、亜種 Hydrangea macrophylla subsp. serrata 等とする説もある[53]
本州の福島県以南の太平洋側、四国、九州に分布する[52]。山地の沢沿いなどの湿り気の多いところに生えるため、サワアジサイの別名がある[52]。落葉低木で、高さ1 mほどになり、ガクアジサイよりも小ぶり[52]。樹皮は灰褐色で薄く剥がれる[52]。冬でも枯れた果序の装飾花が良く残っている[52]。冬芽は対生し、頂芽は裸芽で大きく、測芽は小さい[52]。冬芽は頂芽ははじめ芽鱗があるがすぐに落ち[52]、測芽は芽鱗2枚に包まれる[52]。葉痕は心形や三角形で維管束痕が3個つく[52]

シーボルトとあじさいと牧野富太郎

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鎖国時代に長崎にオランダ商館員の一員として日本に渡来し、オランダ人と偽って出島に滞在し医療と博物学的研究に従事したドイツ人医師にして博物学者シーボルトは、オランダに帰還してから植物学者のツッカリニと共著で『日本植物誌』を著した際にアジサイ属 14 種を新種記載している。その中で花序全体が装飾花になる園芸品種のアジサイを Hydrangea otaksa Siebold et Zuccarini と命名している。しかしこれはすでにカール・ツンベルクによって記載されていた H. macrophylla (Thunberg) Seringe var. macrophyllaシノニム(同一種)とみなされ、植物学上有効名ではない。にもかかわらず、牧野富太郎が自著の各種植物図鑑において Hydrangea macrophylla Seringe var. otaksa Makino の学名を用い種の記載者が Seringe で変種の記載者が牧野自身であるとする事実と異なる処置を行っていることから、一部の植物学書であたかも H. otaksa が植物学的な有効名であるかのような誤解が広まってしまっている。

牧野は上記の植物学的に不可解な処置と矛盾する言動をまた、著書の中で行っている。シーボルトは自著の中で otaksa をアジサイが日本で「オタクサ」と呼ばれていると命名の由来を説明しているが、牧野は日本国内でこの呼称が確認できなかったことからシーボルトの愛妾の楠本滝(お滝さん)の名を潜ませたと推測し、美しい花に花柳界の女性の名をつけたとして強く非難している。そして自らも新種の笹に自らの妻の名から「スエコザサ」と名付けた。

牧野のこの推測によって「オタクサ」の名はシーボルトとお滝さんのロマンスをイメージさせて文人作家の創作意欲を刺激し、詩歌にこの名を詠み込むことなどが盛んに行われている。

鑑賞

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低木で、5月から7月頃、青、紫、ピンクなどの花(装飾花)を密につけ、手毬状をなす。初夏あるいは梅雨時期の風物詩として広く親しまれ、鑑賞用に庭園や公園に植栽されてきた。また、咲き始めの頃は白っぽく、次第に色が変ってくることから「七変化」とも呼ばれる。園芸種も多い。

アジサイを剪定する時期は、鑑賞が終わった花後すぐである[25]。こうすることで株の根元近くに花芽が形成されて、翌年も花を見ることができるようになる[25]

観光資源として

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京都・三室戸寺あじさい園

日本全国各地にアジサイを境内に多く植えたアジサイ寺と呼ばれるような観光名所がある。公共の施設では静岡県下田市の下田公園に約15万株、大阪府民の森ぬかた園地神戸市立森林植物園舞鶴自然文化園に約5万株のアジサイが植えられている。三重県津市にある「伊勢温泉ゴルフクラブ内の福祉と環境を融合したあじさい園」には 2万5000平方メートルに 56 種類・7万5000株のあじさい園が2008年6月より新設された。また神戸市の裏六甲ドライブウェイおよび奥摩耶ドライブウェイ沿いには延々とアジサイが自生している。神奈川県小田急箱根鉄道線(箱根登山電車)では開花時期に合わせ夜間ライトアップされたアジサイを楽しめる特別列車が運行されている。岩手県一関市にある「みちのくあじさい園」は、15万平方メートルの杉山に300種・3万株のアジサイと、元日本アジサイ協会会長の山本武臣が生前に収集・栽培した品が「山本コレクションコーナー」として保存されている。

海外でもアジサイに似たアザレアが町を挙げて栽培されている所もあり、北米では米国アラバマ州モービルジョージア州バルドスタなどが「あじさいの町」(Azalea City)として知られ、またノースカロライナ州ウィルミントンでは「ノースカロライナあじさい祭り」が毎年開催される。

薬用

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漢方では用いられないが、民間薬として葉、花が利用される[11]。初夏に花や葉を採って天日乾燥して生薬にする。解熱に、乾燥させた花または葉10グラムを煎じて服用する用法が知られ、特に瘧(おこり、一定時間おいて起こる熱病)に効果があるといわれている[11]

毒性

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アジサイの保有する毒性に関しては、アジサイ属を参照

アジサイに関わる文化

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紫陽花を模した生菓子

アジサイの花言葉は、「移り気」「高慢」とされている[22]

日本文学

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古来より多くの詩歌に歌われ、俳句は夏の季語である。さまざまに色が変化する装飾花は、梅雨時の風物詩となっている[22]

和歌

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万葉集には二首のみ。

  • 言問はぬ木すら味狭藍諸弟(もろと)らが練の村戸(むらと)にあざむかえけり(大伴家持 巻4 773)
  • 紫陽花の八重咲く如やつ代にをいませわが背子見つつ思はむ(しのはむ)(橘諸兄 巻20 4448)

平安後期になるとしばしば詠まれるようになった。

  • あぢさゐの花のよひらにもる月を影もさながら折る身ともがな(源俊頼『散木奇歌集』)
  • 夏もなほ心はつきぬあぢさゐのよひらの露に月もすみけり(藤原俊成『千五百番歌合』)
  • あぢさゐの下葉にすだく蛍をば四ひらの数の添ふかとぞ見る(藤原定家

現代では多くの作品が詠まれており、例をあげることは必ずしも容易ではない。

俳句

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俳句では、あじさい(紫陽花)は夏の季語[25]

小説

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  • 「紫陽花」 - 泉鏡花 作、明治29年(1896年)
  • 「あじさい」- 永井荷風 作、昭和6年(1931年)

日本画

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あじさいに燕

日本の歌謡曲

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日本発行の切手

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  • 1966年(昭和41年)7月1日発売 25円普通切手
  • 1972年(昭和47年)1月21日発売 25円普通切手 刷色変更
  • 1992年(平成4年)4月20日発売 62円 切手趣味週間『榻上の花』山口蓬春
  • 1996年(平成8年)4月19日発売 80円 切手趣味週間『窓』安田靫彦
  • 2001年(平成13年)6月1日発売 50円 東京の四季の花・木
  • 2003年(平成15年)4月1日発売 50円 日本郵政公社設立記念 『四季花鳥図巻』のガクアジサイの部分図
  • 2004年(平成16年)6月1日発売 50円 ふるさと切手 神奈川県の花
  • 2005年(平成17年)4月1日発売 50円 ふるさと切手 北陸の花
  • 2006年(平成18年)6月1日発売 80円 ふるさと切手 九州の花と風景II アジサイと見帰りの滝佐賀県
  • 2012年(平成24年)6月7日発売 50円と80円 ふるさと切手 季節の花シリーズ第3集

菓子

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  • 新庄の花あじさい
山形県新庄市にあった「新庄の菓匠たかはし」が製造販売していた洋風クッキー。クッキー菓子であるが"あじさいせんべい"の愛称で親しまれた。薄焼きのクッキーにアーモンドスライスがちりばめられている。新庄市の花であるアジサイをモチーフしており、1985年に販売開始。2002年には全国菓子大博覧会で最高賞の名誉総裁賞を受賞している。新庄の菓匠たかはしの店主の高齢化と新型コロナウイルスによる景気失速により、2020年に新庄の菓匠たかはしが閉店となり、新庄の花あじさいの製造も停止となった[54]
  • おたくさ
長崎県長崎市唐草が製造販売しているあじさいの花を象ったパイ菓子。

海外の文化

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中国ではアジサイを「繡球」と言う。チワン族にはアジサイに模した絹に刺繍を施した手毬を作り、男女が問答をしながら投げ合ってお互いの意志を確認する求婚の伝統的な習慣がある。 狛犬[注釈 6]シーサーの起源となる石獅子中国語版(訓みは「シシジ」「せきしし」)は瑞獣を象った石獣の1つで、一対で置かれる左側の雄獅子は足に繡球を持っている。

日本の市町村の花・木として

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アジサイは下記の市区町村の花・木として制定されている。

現行市町村

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廃止市町村

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脚注

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注釈

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  1. ^ 変種の一つとされる場合もある[8][9][10]
  2. ^ 現在は「生物多様性情報規格 (TDWG)」Biodiversity Information Standards (TDWG) と改称されている。
  3. ^ 味のある絵」「味な趣向」などの用法における味。
  4. ^ リトマス試験紙と逆なので注意されたい。
  5. ^ アントシアニンそのものも酸性度によって色が変化する[36]
  6. ^ 「狛犬」には南方系の「石獅子」だけでなく、北方系の「コマ(高麗)」の文化要素が混合している。

出典

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  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Hydrangea macrophylla (Thunb.) Ser. f. normalis (E.H.Wilson) H.Hara ガクアジサイ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年3月24日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Hydrangea macrophylla (Thunb.) Ser. f. macrophylla アジサイ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年3月24日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Hydrangea macrophylla (Thunb.) Ser. f. hortensia (Lam.) Rehder セイヨウアジサイ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年3月24日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2012, p. 86.
  5. ^ 日外アソシエーツ 編『植物3.2万名前大辞典』日外アソシエーツ、2008年。ISBN 978-4816921209 
  6. ^ 濱野周泰. “アジサイ(ハイドランジア)”. みんなの趣味の園芸. NHK出版. 2013年8月3日閲覧。
  7. ^ 橋本保 著「アジサイ」、フランク・ギブニー 編『ブリタニカ国際大百科事典』(第2版改訂版)ティービーエス・ブリタニカ、1993年。 
  8. ^ フランク・ギブニー 編「アジサイ」『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』(第2版改訂版)ティービーエス・ブリタニカ、1993年。 
  9. ^ 若林三千男 著「アジサイ」、下中直人 編『世界大百科事典』(2009年改定新版)平凡社、2009年。 
  10. ^ a b 小林義雄湯浅浩史. “アジサイ”. 日本大百科全書(ニッポニカ). 2019年5月19日閲覧。
  11. ^ a b c d e f g h i 馬場篤 1996, p. 17.
  12. ^ アジサイの葉は有毒です。食べないで!:目黒区公式ホームページ”. www.city.meguro.tokyo.jp. 2022年6月14日閲覧。
  13. ^ 自然毒のリスクプロファイル:高等植物:アジサイ”. 厚生労働省. 2023年9月23日閲覧。
  14. ^ POWO (2019). "Plants of the World Online. Facilitated by the Royal Botanic Gardens, Kew. Published on the Internet; http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:791637-1 Retrieved 16 June 2021.
  15. ^ Search help, Plants of the World Online. 2021年6月16日閲覧。
  16. ^ Brummitt, R. K. (2001). World Geographical Scheme for Recording Plant Distributions (2 ed.). Pittsburgh: Hunt Institute for Botanical Documentation, Carnegie Mellon University. p. 42. https://web.archive.org/web/20220220230948/https://grassworld.myspecies.info/sites/grassworld.myspecies.info/files/tdwg_geo2.pdf 
  17. ^ a b c d e f g h 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 86.
  18. ^ a b c 山本 (1981)、12頁。
  19. ^ a b 亀田龍吉 2014, p. 65.
  20. ^ 山本 (1981)、8頁。
  21. ^ 武田 (1996)、105頁。
  22. ^ a b c d e f g h 田中潔 2011, p. 144.
  23. ^ 山本 (1981)、14頁。
  24. ^ a b 山本 (1981)、13頁。
  25. ^ a b c d e f g h i 田中潔 2011, p. 145.
  26. ^ 山本 (1981)、16頁。
  27. ^ マレー (2009)、241頁。
  28. ^ 武田 (1996)、98–99頁。
  29. ^ 日本経済新聞2019年4月14日サイエンス欄
  30. ^ 武田 (1996)、102頁。
  31. ^ 武田 (1996)、103頁。
  32. ^ 武田 (1996)、100頁。
  33. ^ Schreiber, H. D.; Jones, A. H.; Lariviere, C. M.; Mayhew, K. M.; Cain, J. B. (2011). “Role of aluminum in red-to-blue color changes in Hydrangea macrophylla sepals”. Biometals 24 (6): 1005–1015. PMID 21584711. 
  34. ^ 武田 (1996)、103–104頁。
  35. ^ a b 武田 (1996)、105–107頁。
  36. ^ 武田 (1996)、65頁。
  37. ^ 武田 (1996)、107頁。
  38. ^ a b 河原田、三上、若林 (2010)、175頁。
  39. ^ アジサイ葉化病について”. 神奈川県農業技術センター (2007年11月1日). 2012年3月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年6月16日閲覧。
  40. ^ Samain, Marie-Stéphanie; Wanke, Stefan; Goetghebeur, Paul (2010), “Unraveling Extensive Paraphyly in the Genus Hydrangea s. l. with Implications for the Systematics of Tribe Hydrangeeae”, Systematic Botany 35 (3), http://www.ingentaconnect.com/content/aspt/sb/2010/00000035/00000003/art00014 
  41. ^ a b c d 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 69.
  42. ^ 川島 (2010)、298頁。
  43. ^ a b c d e f g h 北村、村田 (1979)、114頁。
  44. ^ a b c d e 河原田、三上、若林 (2010)、26頁。
  45. ^ 川島 (2010)、300頁。
  46. ^ マレー (2009)、61頁。
  47. ^ 河原田、三上、若林 (2010)、8、34、36頁; マレー (2009)、66–67頁。
  48. ^ a b c 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 68.
  49. ^ a b 河原田、三上、若林 (2010)、27頁。
  50. ^ a b 北村、村田 (1979)、115頁。
  51. ^ 河原田、三上、若林 (2010)、7頁。
  52. ^ a b c d e f g h i j 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2012, p. 87.
  53. ^ Reed, Sandra M.; Rinehart, Timothy A. (2006). “Hydrangea macrophylla and serrata – Should we Lump 'em or Split 'em?”. SNA Research Conference 51: 573–576. http://naldc.nal.usda.gov/download/45326/PDF. 
  54. ^ “新庄の“あじさいせんべい”忘れないよ 月末、「菓匠たかはし」90年の歴史に幕”. 山形新聞 (株式会社山形新聞社). (2021年2月2日). https://www.yamagata-np.jp/news/202102/02/kj_2021020200036.php 2021年2月4日閲覧。 

参考文献

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関連項目

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外部リンク

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