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「中央線快速」の版間の差分

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==私鉄との関係==
==私鉄との関係==
中央線の新宿駅~高尾駅間においては、路線の南側に併走している[[京王電鉄]][[京王線]]、[[京王高尾線|高尾線]]、[[京王井の頭線]]とでライバル関係にある。そのため、新宿駅~八王子駅間、吉祥寺駅~渋谷駅間などに割安の特定運賃を設けるなどの対抗策を講じている。また新宿~[[拝島駅]]間では[[西武新宿線]]・[[西武拝島線|拝島線]]とも競合をしている。しかしこちらはバス路線がほとんど西武線の駅をスルーする(経由はするものの始終着はあまりない)ことや西武新宿線のターミナル駅の立地がよくないこと、また所沢・本川越方面の列車の方が本数が多いことからさほど大きな競合関係には至っていない。但し西武新宿線は将来的に東京メトロ東西線との相互直通運転を検討しているために今後の動向が注目される
中央線の新宿駅~高尾駅間においては、路線の南側に併走している[[京王電鉄]][[京王線]]、[[京王高尾線|高尾線]]、[[京王井の頭線|井の頭線]]とでライバル関係にある。そのため、新宿駅~八王子駅間、吉祥寺駅~渋谷駅間などに割安の特定運賃を設けるなどの対抗策を講じている。また新宿~[[拝島駅]]間では[[西武新宿線]]・[[西武拝島線|拝島線]]とも競合をしている。しかしこちらはバス路線がほとんど西武線の駅をスルーする(経由はするものの始終着はあまりない)ことや西武新宿線のターミナル駅の立地がよくないこと、また所沢・本川越方面の列車の方が本数が多いことからさほど大きな競合関係には至っていない。


京王と強力なライバル関係にある新宿~八王子間での比較を例にしてみると、普通乗車券の比較では京王線だと350円で、JRだと特定運賃の適用で460円となっている。ただ6月定期券だとJRと京王との定期割引率の差が大きいため、京王が割高でJRが割安になるという逆転が生じている。しかし、通勤3月定期および通学の6月定期は、京王線のほうがわずかながら安くなる。さらに、京王は定期券の[[定期乗車券#分割購入について|分割購入]]ができないのに対し、JRは定期券の分割購入ができる。例えば日野方面~新宿間とJR新宿以遠など、6ヶ月定期券を複数に分割すると通しで買うよりも割安になる区間がある。このために、定期券以外の利用者からは「安い京王」「割高なJR」というイメージが、通勤定期券を持っている[[サラリーマン]]などにとっては、逆に「割高な京王」「安いJR」というイメージが強い
京王と強力なライバル関係にある新宿~八王子間での比較を例にしてみると、普通乗車券の比較では京王線350円で、JR特定運賃の適用で460円となっている。ただ6月定期券ではJRと京王との定期割引率の差が大きいため、京王が割高でJRが割安になるという逆転が生じている。しかし、通勤3月定期および通学の6月定期は、京王線のほうがわずかながら安くなる。さらに、京王は定期券の[[定期乗車券#分割購入について|分割購入]]ができないのに対し、JRは定期券の分割購入ができる。例えば日野方面~新宿間とJR新宿以遠など、6ヶ月定期券を複数に分割すると通しで買うよりも割安になる区間がある。


また、同じく新宿~八王子間の時間面での比較では、日中は京王線(特急および準特急)・中央線(特別快速)のどちらも同程度の所要時間であり、最速は中央線特急列車(有料)の「[[あずさ (列車)|あずさ]]」・「[[かいじ (列車)|かいじ]]」である。ただし、中央線の特急は500円の[[特別急行券|自由席特急料金]]が別途必要である。有料特急を含めないで考えた場合は、京王線の方が若干ではあるが速い。ただし最近では、京王線の調布駅付近で立体交差工事が実施されていることなどから、一概に京王線の方が速いとも言い切れない。また、朝ラッシュ時の上りの場合、中央線の列車の種別は通勤特快が少数でほとんど快速のみに限られる。そのためダイヤが単純になることから、中央線の方が速い。
また、同じく新宿~八王子間の時間面での比較では、日中は京王線(特急および準特急)・中央線(特別快速)のどちらも同程度の所要時間であり、最速は中央線特急列車(有料)の「[[あずさ (列車)|あずさ]]」・「[[かいじ (列車)|かいじ]]」である。ただし、中央線の特急は500円の[[特別急行券|自由席特急料金]]が別途必要である。有料特急を含めないで考えた場合は、京王線の方が若干ではあるが速い。また、朝ラッシュ時の上りの場合、中央線の列車の種別は通勤特快が少数でほとんど快速のみに限られる。そのためダイヤが単純になることから、中央線の方が速い。

こうしたことなどから、ラッシュ時に東京都心へ通勤するサラリーマンなどの利用はJRの方が、昼間の時間帯での定期外の利用と、JR中央線のトラブルなどによって日常化している遅延・運休を嫌っている人は京王線の方が比較的多い。

今後は、[[Suica]]や[[PASMO]]という新しいカードが利用できるようになり、デパートなどで特典を設ける云々のサービスアップが計画されているため、将来のJR・京王電鉄・西武鉄道の利用動向が注目される。


==今後の予定==
==今後の予定==

2007年3月27日 (火) 13:42時点における版

中央快速線(ちゅうおうかいそくせん)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)管内である中央本線御茶ノ水駅から三鷹駅間の複々線の区間における快速線及びこの区間を含む東京駅から高尾駅までの運転系統の案内上の呼称である。

ファイル:Ct201.jpg
中央快速線の車両 201系(2001年5月13日、高尾~相模湖間にて撮影)
中央快速線の新型車両 E233系(2006年9月22日、横須賀線内にて撮影)

概要

路線名としては、東京駅~神田駅間は東北本線代々木駅新宿駅間は山手線に属し、その他の区間は中央本線である。当該区間のうち、御茶ノ水駅~中野駅間は東京の国鉄の中で早くに複々線化されたことや、山手線内で複々線の両方に旅客列車が走行し急行運転を行って来たことから現在、快速電車や長距離電車などが走る線は、正式には「中央本線(急行線)」と呼ばれる。駅構内の出発信号機等の表示を見れば明らかで、表題である「中央快速線」は、あくまでも「俗称」である。

基本的な系統としては東京駅~高尾駅間を主として運行するが、一部は大月駅青梅線青梅駅(上りのみ奥多摩発の設定あり)、五日市線武蔵五日市駅(青梅線経由)、八高線高麗川駅(同)、富士急行線河口湖駅まで運行される。

また、中央本線の沿革の兼ね合いや運行系統のため、東京圏で単に「中央線」と言う場合には、中央快速線を走る電車(オレンジ色の電車)を指す場合が多い。この運転系統の駅構内での案内方法は、高尾駅~武蔵境駅間(複線)と神田駅~東京駅間では「中央線」、三鷹駅~御茶ノ水駅間(複々線)では「中央線(快速)」と案内される。ラインカラー201系の車体色であるオレンジ色(国鉄朱色1号)である(当路線に限らず、JR東日本の東京近郊区間では「車体の色=(運転系統としての)路線色」を徹底している)。

なお、沿革にある通り、中間のターミナル駅などに渡り線が設置され、柔軟な運用を行っている京阪神間の東海道山陽本線の複々線区間(京阪神緩行線も参照されたい)と異なり、貨客分離を優先とした大改修を行った上で旅客化されていることや、改修に際して渡り線を複々線区間の出入口に当たる地点にのみ設けた関係で、各駅停車以外は快速も特急もすべてこの路線で運行されている。そのためか、「特急の通過待ちをしている快速が緩行線の電車(各駅停車)に追い抜かれる」というダイヤもある。

定時性は日本の鉄道の割にはあまり良くない。ラッシュ時には5~6分程度の遅れは頻繁に発生する。終日定時運行するのは1ヶ月で1日あるかないかという位である。これは1時間に最大30本(これは2分に1本ペースであり、10両編成での高速鉄道運行の限界である)という超過密ダイヤと乗客の多さが主な原因であるが、他にも人身事故の多さや30分に1本走る特急や特別快速、通勤ライナーなど、多種多様な列車種別があるなどといった理由もある。

沿線風景

東京~新宿

東京駅の中央快速線ホームは1995年に完成した3重層構造高架線の最上部にある。東海道新幹線東北新幹線上越新幹線のホームを真下に見渡すことも赤レンガ駅舎を真横に見ることもできるホームは非常に近代的な構造となっている。東京駅を発車すると左手に大手町の高層ビル街を見ながら近代的な高架を下っていき、一層下の山手線京浜東北線と合流すると首都高速八重洲線(地下)と交差、日本橋川と直上の首都高速都心環状線を潜り渡り神田駅に到着。この付近は中小ビルが連なる中で商店も多く軒を連ねている。間もなく緩やかに左へカーブし山手線・京浜東北線から分かれる。間もなく交通博物館および万世橋駅の跡地が見えると右手から神田川が近づく。間もなく中央・総武緩行線アーチ橋が見え、中央総武緩行線が33‰の急勾配を一気に駆け下り合流し聖橋を潜ると御茶ノ水駅に到着。御茶ノ水駅は武蔵野台地東端の谷にあり、駅両側が崖に挟まれている。駅周辺は文教地区であり、東京医科歯科大学明治大学など多くの教育施設がある。御茶ノ水駅から複々線区間に入る。右へ左へとカーブを切りながら方向別複々線から路線別複々線となり、左手から崖が無くなると水道橋駅に到着する。駅北側に東京ドームシティがあり、東京ドームでの巨人戦やイベント時には大変混雑する。水道橋駅を発車して間もなく首都高速5号池袋線を潜り左手に日本貨物鉄道(JR貨物)の本社ビルが見えるが、ここが飯田町駅の跡地である。甲武鉄道のターミナルとして開業し、近年は紙の物流基地として栄えた飯田町駅だが、開発の進んだ現在その面影はほとんど無い。間もなく飯田橋駅に到着、この駅は急カーブ上にあり、南西へ向きを変える。ここから並行していた神田川は旧江戸城外堀に変わる。お堀の堤には青々と草が生え木も多くさながら都会のオアシスのようである。市ヶ谷駅下の外堀には釣り堀があり、毎日のように釣り人で賑わっている。発車すると並行していた外堀が消え、左へカーブし南を向くと四ツ谷駅に到着し、国道20号東京地下鉄丸ノ内線を潜る。高尾寄りがカーブ上にあり、再び南西を向く。発車すると間もなく御所トンネルを抜ける。御所トンネルは赤坂離宮(現・赤坂迎賓館)を潜るため、離宮内の土を開削しトンネルを建設した後再び廃土を埋め戻す、地下鉄の開削工法のような手間のかかる工事が行われた。御所トンネルを抜けると新宿区に入り、左手から首都高速4号新宿線が近づくと信濃町駅に到着。発車するとさらに左手奥に明治神宮外苑が見えて渋谷区に入る。さらに右手に新宿御苑が見えると千駄ケ谷駅へ。並行していた首都高速4号新宿線が左へ分かれると右へカーブし北を向き山手線・埼京線湘南新宿ラインと合流し代々木駅に到着。間もなくルミネが見えると勾配を下り再び新宿区に入り、国道20号甲州街道)を潜ると世界一の乗降客数を誇る新宿駅へ到着する。

新宿~三鷹

新宿駅を発車するとガード(新宿大ガード)を渡り、高層ビル群を見ながら緩やかに左へカーブし湘南新宿ライン・山手線・埼京線から分かれ、間もなく大久保駅に到着する。この付近は関東最大のコリア・タウンとして有名であり、アジア諸国の料理店や雑貨店が立ち並んでいるが、新宿の繁華街に近いことから各種オフィスも多く、その他専門学校ラブホテル等も軒を連ねる色々な顔を持つ街になっている。その先も緩やかにカーブし、カーブを抜けて西を向くと再び神田川を渡り中野区に入って東中野駅に到着、ここからはるか先の立川駅まで長い直線区間となる。東中野駅を発車すると右手に並木が見え、桜が満開の春には市ケ谷~飯田橋間と並ぶ絶好の撮影ポイントとなっている。左手に中野電車区が現れると東京地下鉄東西線が地上に出て合流、中野駅に到着。中野駅周辺は中野サンプラザ中野ブロードウェイを中心に繁華街が形成され賑わいを見せている。高架駅だが、高架が低い上構内が広いためか地上駅の様相を見せる。この先いったん高架を降りるが、間もなく杉並区に入ると再び高架を上る。高架の下には住宅街が広がっているが、高円寺駅・阿佐ケ谷駅周辺はコンパクトに収まった商業地帯となっている。いったん高架を降り、東京都道5号新宿青梅線青梅街道)を潜ると荻窪駅に到着する。東京都道311号環状八号線(環八通り)を跨ぐと再び高架を上り善福寺川を渡る。西荻窪駅は東京女子大学を中心とした文教地区にあり、駅周辺にはアンティーク雑貨店や古書店が立ち並んでいる。また一方で新興宗教の関連施設も多く、かつてオウム真理教の主要施設があったことでも知られる。発車すると間もなく東京23区を抜け武蔵野市に入る。東京都道7号杉並あきる野線五日市街道)を跨ぐと大規模な繁華街に入り吉祥寺駅へ。水道橋にあった同名の寺院の門前町の住民がこの付近に移住し開墾したことに始まり、現在では多摩地方有数の商業地帯に発展した。発車すると間もなく両側の高層ビルは無くなり、再び住宅街を走る。そして再び高架を下ったところが三鷹駅となる。駅直下に玉川上水が流れ、武蔵野市と三鷹市の市境となっている。北側には官公庁の施設が多く、南側には南北に商店街が伸びている。ここで複々線区間は終わる。

三鷹~立川

三鷹駅を発車すると左手に三鷹電車区を見るが、間もなく左手には高架が現れる。再び武蔵野市に入り武蔵境駅に到着する。甲武鉄道開業時からの駅であり周辺には商業施設も多いが、三鷹・吉祥寺の両駅に近く商業地帯としてはあまり大規模なものではない。左手に西武多摩川線の高架を見て、地上に降りて分かれると間もなく小金井市に入る。東小金井駅周辺には大規模な商業施設は無く少し閑散とした様相である。武蔵小金井駅手前には東京都道15号府中清瀬線(小金井街道)の踏切開かずの踏切の代表格。2003年の高架工事ミスおよびその後の踏切距離拡幅障害で有名)がある。武蔵小金井駅を発車すると右手に豊田電車区小金井派出(旧・武蔵小金井電車区)を見ながら間もなく国分寺市に入る。切り通しに入り、緩やかに勾配を下ると左手から高架が消え、右手に早稲田実業学校が現れる。その先東京都道133号小川山府中線(国分寺街道)を跨いだところが国分寺駅となる。国分寺駅は元々快速・各駅停車のみが停車する小さな駅であったが、駅周辺の再開発によって大変貌を遂げた。また並行してホームがある西武国分寺線との間にはかつて渡り線があり貨物列車の受け渡しが行われ甲武鉄道時代には飯田町~川越(現・西武新宿線本川越駅)間直通列車まで運転されていた。さらにかつて下河原線が分岐し、廃止後もホームが残されていたが、駅構造が大きく変化した現在ではその面影はほとんど無くなり、高尾寄りの線路脇に廃線跡が残るのみである。発車すると、右手に西武国分寺線が並行するが、野川を渡ると間もなく分かれて築堤となり勾配を上り、両側に住宅街を見下ろす。間もなく再び切り通しに入り西国分寺駅に到着する。武蔵野線と交差し乗り換え客が多く、現在駅前の再開発も進んでいる。発車すると府中市に入るが駅は無くすぐに再び国分寺市に入る。勾配を上り切ると武蔵野線の短絡線が地上に出て合流し国立市に入る。間もなく左手に高架用地が現れる。国立駅は箱根土地(後のコクド、現・プリンスホテル)の堤康次郎が計画した学園都市の最寄り駅として開業した経緯があり、駅南口から南・南西・南東の3方向に放射状に道路が伸びる。三角屋根の国立駅旧南口駅舎の屋根の形状はこの道路の形状を現している。南へ延びる東京都道146号国立停車場谷保線(大学通り)に一橋大学桐朋中学校・高等学校など教育施設が多く、さらに南進したところに南武線谷保駅がある。また北側(所在地は国分寺市)には鉄道総合技術研究所があり、かつて国立駅から引込み線があったが、2004年に廃止され現在廃線跡は自転車駐輪場となっている。発車すると両側に学園都市の計画によって碁盤状に整備された住宅街を走る。立川市に入ると次第に国立市から続く住宅街から商業地帯へと入っていく。前方にルミネが見え左手から高架用地が消えると間もなく左手から南武線が合流、東京都道・埼玉県道16号立川所沢線(立川通り)を跨ぎ立川駅に到着する。高尾寄りで真上を多摩都市モノレール線が跨いでいる。駅周辺は多摩地区一の繁華街であり、駅北側・南側共に商業施設が軒を連ねている。

立川~八王子

豊田~八王子間を走るE257系

立川駅を発車すると右手に青梅線が分かれ、その先で中央快速線→青梅線直通電車や貨物列車などが使用する短絡線が分かれると大きく左へカーブし南西を向き、切り通しに入り勾配を下っていく。切り通しが終わり武蔵野台地を抜けると残堀川を渡り築堤となり、東京都道29号立川青梅線(新奥多摩街道)を跨ぐと多摩川を渡り日野市に入る。日野駅は国道20号(甲州街道)との交差部の築堤上にあり、利用客に対してホームが大変狭く危険な状態になっている。日野市の中心部にあり駅周辺には商業施設が広がる。日野駅を発車すると中央自動車道を潜り日野台地に入る。切り通しに入ると鉄道総合研究所の研究施設と共に本線にはさまれたホームの無い待避線が現れる。開業時はこちらに日野駅が設置され、1937年に現在地に移転した後も日野発着電車の折り返しに使用されていたが、発着電車が次の豊田駅に変更された現在では一部の回送列車や臨時列車が使用するのみである。国道20号(日野バイパス)を潜ると日野台地を抜け築堤となり、緩やかに右へカーブしながら勾配を下っていく。カーブを抜けたところが豊田駅となる。豊田駅は日野台地南端の崖下にあり、駅北側は商業施設や工場が多いが、駅南側は北側ほど開発が進んでおらず少し閑散としている。発車すると間もなく左手に豊田電車区が広がり、201系E233系115系189系など様々な車両を見ることができる。周辺は住宅街だが、大規模な農地も多くなってきている。右へ大きくカーブしながら勾配を上ると切り通しに入りすぐに左へカーブ、切り通しを抜け八王子盆地に入り浅川を渡ると八王子市に入る。再び大きく右へカーブし北西を向くと右手に八王子卸売市場などの大型商業施設と日本オイルターミナルの引込み線を見ながら勾配を上り、国道16号(八王子バイパス)を跨ぐと右手に八王子(貨物)駅(八王子オフレールステーション)を見る。前方にそごうが現れると間もなく京王線を跨ぎ右手から八高線が合流、さらに左手から横浜線も合流し八王子駅に到着。かつて八王子機関区も所在した多摩地区の交通の要衝であり、現在も構内には多くの側線がある。駅周辺はかつては甲州街道最大の宿場町八王子横山十五宿)であり、多摩地区の経済的中心として古くから発達、駅北側には官公庁施設や大規模な商業施設が立ち並び大きな繁華街を形成している。一方駅南側は再開発が進んでおらず住宅が多くなっている。

八王子~高尾

八王子駅を発車すると勾配を上り、東京都内では珍しい国道16号(東京環状)の踏切を渡る。約1.5km程走ると大きく左へカーブし南西を向き西八王子駅に到着。八王子駅から続く市街地にあるが、駅南側を中心に住宅街も広がっている。また教育施設も多く朝や夕方には多くの学生で賑わう。発車すると前方には関東山地が現れ市街地から抜け住宅街をほぼ一直線で抜けていくが、約2kmほど走ると右手に駐車場と化した空き地が見える。ここが東浅川駅の跡地である。東浅川駅は大正天皇の大喪列車の終着駅として設置され、その後も皇室多摩御陵参拝に利用された。廃止後駅舎は八王子市に下賜され「陵南会館」という集会施設となっていたが、1990年過激派による放火で焼失してしまった。東浅川駅跡地を過ぎると右へカーブしながら勾配を上り、東京都道47号八王子町田線町田街道)を跨ぎ勾配を上りきったところが高尾駅。左手に京王高尾線の高架が見える。高尾駅は八王子盆地の西端にあり、駅北部・西部は共に山が迫る。駅南側は開発が進み住宅街が広がっている。

列車種別

定期列車のうち、普通列車については以下の系統が運行される。一見すると種類は多いが、中央特快と青梅特快は同一視でき、しかも通勤特快、中央特快・青梅特快、通勤快速は排他的である。つまり各駅停車とライナーを別扱いすれば、どの時間帯も快速と特快系(通勤特快、中央特快・青梅特快、通勤快速のいずれか)の2種しか走らないと認識できる。また、中央(青梅)特快以下の下り電車は立川以降、各駅停車と案内される。

中央ライナー・青梅ライナー

東京新宿高尾青梅間を結ぶホームライナー

通勤特快

通勤特快は平日朝のみ運転で上りの東京行のみの設定。料金不要の列車では最も停車駅が少ない。ダイヤが最大に過密になるラッシュ時間帯を走っている上、快速も2分間隔と多いことから、停車駅のわりに、所要時間はかなり長い。むしろ、快速とあまり変わらない。略称は「通特」201系の方向幕では紫色、E233系LEDではピンク色で表される。

1日に5本(大月・青梅始発各2本・高尾始発1本、立川到着7時台2本・8時台3本)運行されている。立川国分寺で快速と接続するする他、豊田武蔵小金井三鷹中野で快速を追い越すこともある。

中央特快・青梅特快

中央特快・青梅特快は日中から夜間(夜間の下りは土休日のみ運転)にかけて運転されている。いわゆる「特別快速」であり、東京駅~立川駅間で特別快速運転をする。かつて「特別快速」と称して運転されていたが、1988年12月1日に「中央特快」に種別名を変更し、合わせて青梅線直通特別快速として「青梅特快」を新設させた。立川から青梅線へ直通するのが「青梅特快」、そうでないのは「中央特快」である。停車駅に差はないため、一般的には両者を併せて略称である「特快」と呼ばれることが多い。

中央特快と青梅特快の違いは、国分寺駅に停車するかどうかだけであったが、1993年4月10日のダイヤ改正から青梅特快が国分寺駅に停車するようになったことから、中央線内における停車駅の差異が無くなったが、新宿駅始発の中央特快は中野駅を通過する。これは、新宿駅で後続の快速が同駅到着後に発車するなどのダイヤ上の理由が挙げられる。

停車駅は同じであるにもかかわらず、種別名だけが違うまま現在に至っていることから、名称を統一するかどうか今後の動向が注目される。

201系の方向幕では、中央特快が青色、青梅特快が緑色で表される。2006年から導入された新形式車両であるE233系LEDでは、中央特快が水色、青梅特快が緑色で表される。但し、高尾方面の列車はそれ以下の列車も含めて全て各駅に停車するようになる立川からは種別が表示されなくなる。

日中は1時間あたり4本前後の割合で中央特快と青梅特快が、おおよそ3対1程度の割合で運行されている。原則として国分寺と三鷹、さらに一部は立川で快速または各駅停車に接続し、立川接続は青梅特快に多く見られる。

ただし、土曜・休日ダイヤでは、高尾駅5時55分発の中央特快は三鷹駅における快速や各駅停車の接続がないため、三鷹駅~中野駅間の通過駅(吉祥寺駅西荻窪駅荻窪駅阿佐ヶ谷駅高円寺駅)利用者も国分寺駅で乗り換えなければならないが、この中央特快については、高尾駅を17分早く発車した同駅始発各駅停車西荻窪駅で追い越す。

一部の中央特快は、豊田駅・高尾駅(下りのみ)・相模湖駅四方津駅のいずれかの駅で特急の通過待ちを行うことがある。特に高尾駅以遠発着の列車(大月駅始発など)は、そのほとんどが途中で特急に追い抜かされる。ちなみに、青梅特快が特急の通過待ちを行うことはない。

通勤快速

通勤快速は平日夕方から夜間下り(17~21時頃)まで特快に代わって運転されている。そのため、運行形態は中央特快ならびに青梅特快のように、三鷹・国分寺・立川などにおいて快速や各駅停車との接続を行う。特快の停車駅に加え、荻窪と吉祥寺にも停車する。略称は「通快」である。201系電車の方向幕は赤色で文字が書かれている、E233系のLEDでは紫色で表示される。一部の通勤快速は豊田・高尾・相模湖・四方津のいずれかで特急の通過待ちを行うことがある。大月行と河口湖行の列車はすべてが途中で特急に追い抜かされる。2007年3月18日のダイヤ改正より、平日東京発16時台前半の1本の通勤快速が特別快速に、21時台の4本の特別快速が通勤快速に変更された。

快速

快速は中央快速線の基本列車。この路線で最も多く運行されている種別である。土曜・休日ダイヤの場合は、中野~吉祥寺間の高円寺阿佐ヶ谷西荻窪には停車しない(緩行線が事故で運転を見合わせた場合は土曜・休日にもこれらの3駅に停車することがある)。当線の基本列車であるため、201系の方向幕には「快速」という表示はなく単に終点の駅名のみが書かれているだけであったが、E233系のLEDでは上りの全線と下りの中野(土曜・休日ダイヤの日は吉祥寺まで)まではオレンジ色で「快速」と表示されるようになった。なお、基本的に高尾~中野(土曜・休日ダイヤの日は吉祥寺)間は各駅に停まるため、関西圏の快速(新快速)電車に比べると、名前の割にはあまり速い電車とは思えない節がある。(詳細はこちらを参照)

なお、同じ「快速」を名乗るものとしては八王子国立大宮間(武蔵野線経由)の快速・ホリデー快速「むさしの」がある(むさしの (列車)を参照)。こちらは中央快速線内では立川だけにしか停車しない。

快速は、1960年代の中央線複々線化工事(101系が使用されていた時代)の際に、西荻窪、阿佐ヶ谷、高円寺には停車しない予定だったが、沿線住民の反対により、通常平日のみ停車するようになった。

各駅停車

ファイル:Kakuekitakao.jpg
各駅停車表示のある方向幕

早朝・深夜は総武線との直通を行わないので、快速線の電車が各駅停車(201系は紺色文字、E233系は黄色の囲み文字)の表示を出して東京~高尾などの間を運行する(→中央緩行線)。なお、早朝の武蔵小金井・立川始発の上り総武線直通電車にも時刻表では「各駅停車」との注記がある。

この各駅停車の水道橋~三鷹間の発着ホームは中央・総武緩行線ホームに発着する。そのため早朝・深夜帯では中央快速線の電車と中央緩行線の電車が同じ車両を使っていてそれぞれ別のホームから発車するため誤乗が起きることがある。

普通列車

立川以西には中央本線中距離列車である普通列車が運転されている。1993年11月までは日野・豊田を通過していたが、現在の中央快速線での運転区間の立川~高尾では全列車各駅に停車する。

その他の列車種別及び補足

また、定期列車では他に優等列車として、特急スーパーあずさ」「あずさ」「かいじ」がある。

なお、青梅線方面の特快系(通勤特快・青梅特快・通勤快速)の列車は、必ず立川か国分寺で高尾方面の快速・各駅停車に接続して、八王子・高尾方面からも利用できるようになっている。逆に青梅線方面の快速・各駅停車が高尾方面の特快系(通勤特快・中央特快・通勤快速)の列車に接続することも多いが、こちらは絶対ではない。

東京~立川間では、快速は主に三鷹と国分寺で優等列車と接続したり、特急・ライナーなどを退避したりする。そのため、目安として中央特快、青梅特快、通勤快速、特急、ライナーの3本前の快速は途中優等列車に抜かれずに東京~立川間を走ると見ることができる(但し、下り3本前の列車は、立川で青梅線方面の優等列車からの接続待ちを行うこともある)。通勤特快はより多くの快速を追い抜くため、5本前からの快速は通勤特快に追い抜かされる(すべて上り立川・下り東京発時点)。

駅一覧

複々線区間の走行線路 緩行線   快速線  
駅名\種別 駅間
キロ
営業
キロ
中央
 ・ 
総武線各駅停車
東京駅発着
各駅停車
東京地下鉄東西線直通 中央本線普通列車 快速 通勤快速 中央特快

青梅特快
通勤特快 中央ライナ丨

青梅ライナ丨
接続路線 所在地
東京駅 - 0.0 総武線直通 (○)   東日本旅客鉄道:東北新幹線上越新幹線長野新幹線山手線京浜東北線東海道線総武線(快速)横須賀線京葉線
東海旅客鉄道東海道新幹線
東京地下鉄丸ノ内線(M-17)、東西線(大手町駅:T-09)
東京都 千代田区
神田駅 1.3 1.3     東日本旅客鉄道:山手線、京浜東北線
東京地下鉄:銀座線(G-13)
御茶ノ水駅 1.3 2.6     東日本旅客鉄道:総武線(各駅停車)秋葉原船橋方面直通運転)
東京地下鉄:丸ノ内線(M-20)、千代田線新御茶ノ水駅:C-12)
水道橋駅 0.8 3.4     都営地下鉄三田線(I-11)
飯田橋駅 0.9 4.3 (●)   東京地下鉄:東西線(T-06)、有楽町線(Y-13)、南北線(N-10)
都営地下鉄:大江戸線(E-06)
市ケ谷駅 1.5 5.8     東京地下鉄:有楽町線(Y-14)、南北線(N-09)
都営地下鉄:新宿線(S-04)
四ツ谷駅 0.8 6.6     東京地下鉄:丸ノ内線(M-12)、南北線(N-08)
信濃町駅 1.3 7.9       新宿区
千駄ケ谷駅 0.7 8.6     都営地下鉄:大江戸線(国立競技場駅:E-25) 渋谷区
代々木駅 1.0 9.6     東日本旅客鉄道:山手線
都営地下鉄:大江戸線(E-26)
新宿駅 0.7 10.3     東日本旅客鉄道:山手線、埼京線湘南新宿ライン
小田急電鉄小田原線
京王電鉄京王線京王新線
東京地下鉄:丸ノ内線(M-08)
都営地下鉄:新宿線(S-01)、大江戸線(E-27、新宿西口駅:E-01)
新宿区
大久保駅 1.4 11.7      
東中野駅 1.1 12.8     都営地下鉄:大江戸線(E-31) 中野区
中野駅 1.9 14.7   東京地下鉄:東西線(T-01)
高円寺駅 1.4 16.1     杉並区
阿佐ケ谷駅 1.2 17.3    
荻窪駅 1.4 18.7   東京地下鉄:丸ノ内線(M-01)
西荻窪駅 1.9 20.6    
吉祥寺駅 1.9 22.5   京王電鉄:井の頭線 武蔵野市
三鷹駅 1.6 24.1     三鷹市[1]
武蔵境駅 1.6 25.7     西武鉄道多摩川線 武蔵野市
東小金井駅 1.7 27.4       小金井市
武蔵小金井駅 1.7 29.1      
国分寺駅 2.3 31.4     西武鉄道:国分寺線多摩湖線 国分寺市
西国分寺駅 1.4 32.8     東日本旅客鉄道:武蔵野線
国立駅 1.7 34.5       国立市
立川駅 3.0 37.5   東日本旅客鉄道:青梅線(一部直通)、南武線
多摩都市モノレール多摩都市モノレール線立川北駅立川南駅
立川市
日野駅 3.3 40.8       日野市
豊田駅 2.3 43.1      
八王子駅 4.3 47.4     東日本旅客鉄道:横浜線八高線
京王電鉄:京王線(京王八王子駅
八王子市
西八王子駅 2.4 49.8      
高尾駅 3.3 53.1     京王電鉄:高尾線
最長運転区間 大月駅 松本駅河口湖駅 河口湖駅 河口湖駅 青梅駅/河口湖駅 大月駅

※高尾以遠の区間は、これらのいずれの種別も各駅に停車(駅一覧は中央本線#駅一覧を参照)。

記号等凡例

  • この字体 の駅には各駅停車のみ停車
  • オレンジ色の東京駅発着各駅停車は早朝・深夜のみ運転。この電車の三鷹~水道橋間の発着ホームは中央・総武緩行線ホームである。
  • □印の各駅停車は早朝・夜間のみ運転
  • ◆印は土曜・休日ダイヤ時は終日通過
  • 中央特快の中野駅(◇印)は新宿駅始発の下り列車は通過
  • (●)(○)印は東京メトロの駅に停車
    • (○)印は東京駅構内及び大手町駅の東西線部分でのみ相互に乗り換えの案内がなされている。

注意

  • 一部の各駅停車・快速・通勤快速・通勤特快とすべての青梅特快・青梅ライナーは立川駅から青梅線青梅駅まで直通運転している(青梅ライナーを除き青梅線内各駅停車)。また、五日市線武蔵五日市駅及び八高線高麗川駅発着の快速・青梅特快(土曜・休日のみ)、奥多摩駅発の快速もある(五日市・八高線内は各駅停車)。
  • 立川駅以東発着の電車が高尾駅以遠に乗り入れるのは一部の通勤特快・中央特快・通勤快速・快速のみである。土曜・休日は大月駅発各駅停車東京駅行が1本運転されている。また、早朝(全日)に201系による立川発の大月行が各駅停車として運転されている。なお、これらに該当するものは高尾駅で列車番号が変更される。
  • 立川駅以西はライナーと通勤特快以外すべて各駅停車になる。
  • 主に朝夕の一部の普通・快速・通勤快速・中央特快は大月駅から富士急行大月線を経由し、河口湖線河口湖駅まで直通運転している。
  • 立川・八王子発の普通列車はごく一部で、ほとんどが高尾発着で運転する。
  1. ^ 三鷹駅の所在地は三鷹市だが、実際には駅の中を市の境界が横切っており、駅の半分は武蔵野市に掛かっている。

使用車両

現行使用車両

朝の中央線オレンジ色の各駅停車(東京駅にて)
2006年12月26日より運転されているE233系電車(中野駅にて)
快速(通勤特快・中央特快・青梅特快・通勤快速を含む)/早朝・深夜の各駅停車
  • 201系
    • 基本的に10両編成で運行されるが、4+6両分割と10両貫通の2種類がある。列車番号・編成番号では前者がH、後者がTとされ、運用も区別されているが、現在ではH運用は編成数に対して少なく、逆にT運用は在籍編成以上の運用数がある(2006年11月末時点での平日の運用数はH編成が在籍25本に対して16運用、T編成が32本に対し39運用となっている)ためH編成がT運用に必ず使用され、逆にダイヤ乱れなどの場合はH運用であっても青梅・五日市・八高・富士急行線に乗り入れる時に編成を切り離す必要がある運用以外にT編成が使われていることもある。現在は、201系は全編成が豊田電車区に所属しているが、この区分はHが武蔵小金井電車区、Tが豊田電車区受け持ちを示していた頃の名残りである。過去には三鷹電車区受け持ち運用もあり、A運用となっていた。A編成は10両貫通であり、A運用は三鷹区が緩行線専門になった以降もしばらくの間武蔵小金井区の10両貫通運用に存在したが、JR化後の平成初期にH運用となり、その後豊田への統合でTへと変化している(※高尾駅以西に乗り入れる場合、いずれも高尾駅以西の列車番号の末尾はMになる)。
    • 一部に富士急行線からの4両の間合いのために高尾駅~大月駅間を6両編成で運転することがあるが、その場合は中央本線普通列車(中距離電車と同等)扱いであるため、快速ではなく普通と表示される。
    • 後述のE233系の導入に伴い、201系にも編成番号を変更した編成が存在している。
  • E233系
中央ライナー・青梅ライナー

過去の使用車両

すべて快速

女性専用車

警視庁による首都圏鉄道路線での痴漢件数調査で、中央線は埼京線に次いで第2位の多さという結果が出た。これを受けて2005年9月5日より、痴漢防止対策として平日朝ラッシュ時間帯の7時30分~9時30分に新宿駅を発着する上り快速及び通勤特快において東京寄りの一番前の車両(1号車)に女性専用車が設定されている。JR東日本においては埼京線に続き2路線目となった(実施区間は富士急行線河口湖・青梅線奥多摩・八高線高麗川~東京間)。

連結の都合上、富士急行線河口湖駅青梅線奥多摩駅八高線高麗川駅発列車の各線内でも中央快速線に乗り入れる列車に限って女性専用車が存在するが、連結で後6両となる五日市線では女性専用車の設定がない。

なお、201系の一部編成では女性専用車であることを分かり易くするため、1号車に女性向け商品の車体広告がラッピングされている。

2006年12月から運転を開始したE233系についても、優先席と同様に吊り手や網棚の位置を低くする工夫がなされている。

沿革

甲武鉄道の東京都心乗り入れに際して建設された市街線(しがいせん)に、関東大震災後の復興事業での貨客分離及び長距離列車と近郊電車との路線分離を行うために複々線化をした上で列車線貨物線として開業したのが、現行のこの路線の始まりとされる。

御茶ノ水中野で複々線が建設され、1932年(昭和7年)に完成した。計画当初は貨物輸送力の増強を図る目的であったが、複々線全線完成後、一部時間帯に急行電車を運行させ、旅客輸送力の強化が図られた。また、この計画と同時に総武本線両国~御茶ノ水間についても高架鉄道として建設され、この結果、東京始発のものをラッシュ時には急行電車として運転することとなり、各駅に停車する列車は一部の時間帯に総武本線へ乗り入れることとなった。

第二次大戦後、俗に言う「通勤五方面作戦」で中野以西の輸送力の増強を図ることになり、1966年(昭和41年)に中野~荻窪間の複々線化が完成し、中央緩行線の電車と営団地下鉄東西線(現・東京メトロ東西線)乗り入れの列車がこの区間に運行されている。なお、1969年(昭和44年)には複々線区間が三鷹まで延長された。だがそれ以降計画はほとんど進まず、三鷹から立川間の複々線化がなされる気配はない。

なお、複々線化と列車運行とが軌を一にしないのは、いわゆる中電とも称される甲府方面の列車の多彩さ・煩雑さと、既に1960年代までに沿線の都市化が進行していたためとされる。

  • 1889年4月11日 - 甲武鉄道新宿~立川間開業
  • 1889年8月11日 - 立川~八王子間延伸開業
  • 1894年10月9日 - 牛込~新宿間延伸開業(市街線の開業)
  • 1895年4月3日 - 飯田町~牛込間延伸開業
  • 1904年8月21日 - 飯田町~中野間電化(直流600V)
  • 1904年12月31日 - 御茶ノ水~飯田町間延伸開業(電化)
  • 1901年8月1日 - 官設鉄道八王子~上野原間開業
  • 1902年6月1日 - 上野原~鳥沢間延伸開業
  • 1902年10月1日 - 鳥沢~大月間延伸開業
  • 1906年10月1日 - 甲武鉄道御茶ノ水~八王子間を買収・国有化し、八王子~篠ノ井間を鉄道に編入、これにより御茶ノ水~篠ノ井間が鉄道となる
  • 1908年4月19日 - 御茶ノ水~昌平橋間延伸開業(電化)
  • 1911年5月1日 - 宮ノ越~木曽福島間延伸開業(全通)。中央西線を編入し、昌平橋~名古屋間を中央本線に改称
  • 1912年4月1日 - 昌平橋~万世橋間延伸開業(電化)
  • 1919年1月25日 - 中野~吉祥寺間電化
  • 1919年3月1日 - 万世橋~東京間延伸開業
  • 1920年5月26日 - 国分寺~下河原間貨物支線開業(東京砂利鉄道の線路を譲受、1910年敷設)
  • 1922年11月20日 - 吉祥寺~国分寺間電化
  • 1927年2月 - 東浅川駅が開業
  • 1927年3月1日 - 代々木~信濃町間複々線化
  • 1928年5月1日 - 新宿~中野間複々線化
  • 1928年11月15日 - 飯田橋駅が開業
  • 1929年3月10日 - 国分寺~国立間電化
  • 1929年4月15日 - 飯田町~信濃町間複々線化。牛込駅(現・飯田橋駅東口付近)廃止
  • 1929年6月16日 - 国立~立川間電化
  • 1930年12月20日 - 立川~浅川(現在の高尾)間電化
  • 1931年4月1日 - 浅川~甲府間電化
    但し、浅川以遠を結ぶ列車は電気機関車牽引の客車により運転される。
  • 1932年7月1日 - 御茶ノ水~飯田橋間複々線化。御茶ノ水駅改良工事完了。総武本線乗り入れ開始
  • 1933年7月15日 - 長距離列車の東京方始発駅を飯田町駅から新宿駅に変更
  • 1933年9月1日 - 朝夕ラッシュ時に限り列車線を使用して御茶ノ水~中野間で急行電車運行開始
  • 1934年4月2日 - 国分寺~東京競馬場前間の支線開業(電化路線、国分寺~北府中間は国分寺~下河原間貨物支線と二重戸籍)
  • 1943年11月1日 - 万世橋駅休止(実質上廃止)
  • 1944年3月5日 - 急行電車の運行を休日にまで拡大
  • 1944年10月1日 - 国分寺~東京競馬場前間休止
  • 1946年6月14日 - 東中野~大久保間のカーブ区間でドアより通勤客が放り出され死亡する事故が発生。鉄道事故も参照されたい
  • 1946年6月17日 - 朝間上りに限り急行電車が四ツ谷駅を通過
  • 1947年4月24日 - 国分寺~東京競馬場前間の支線の運行を再開
  • 1949年9月 - 二等車の連結を再開
  • 1951年4月14日 - 三鷹~武蔵野競技場前間の支線開業(但し不定期列車のみ運転)
  • 1951年9月17日 - 急行電車の朝間上りの四ツ谷駅通過措置を終了
  • 1956年9月1日 - 国分寺~下河原間貨物支線の起点を北府中に変更、これにより国分寺~東京競馬場前間の支線との二重戸籍が解消
  • 1957年 - 急行電車に101系が導入を開始。二等車の設定廃止、女性専用車両の前身である老幼優先車(後の婦人子供専用車)が設定される
  • 1959年11月1日 - 三鷹~武蔵野競技場前間の支線廃止
  • 1959年11月9日 - 平日に限り急行電車の全日運行開始
  • 1960年 - 東浅川駅廃止
  • 1961年 - 急行料金を徴収する急行列車アルプス」の運行開始により、急行電車を現行の快速電車に改称
  • 1966年4月28日 - 中野~荻窪間複々線化。休日にも快速電車の全日運行が行われる
  • 1967年 - 国電区間が中野から高尾まで延長。同時に「特別快速」の運行を開始。設定時より昼間時のみ運行
  • 1969年4月8日 - 荻窪~三鷹間複々線化
  • 1973年4月1日 - 国分寺~東京競馬場前間の支線廃止。北府中~下河原間貨物支線は武蔵野線に移籍(1976年9月20日廃止)
  • 1973年 - 婦人子供専用車を廃止
  • 1979年 - 201系試作車の導入開始。
  • 1981年 - 201系量産車の導入開始。
  • 1986年11月1日 - 昼間の定期普通列車の新宿駅乗り入れを廃止(早朝・深夜にわずかにのみ残る)、快速電車の大月方面への直通運行及び「通勤快速」運行開始(当初は新宿駅始発の「通勤快速」も設定されていた)。停車駅は現在と異なり、新宿以東と三鷹以西は快速と同じ、新宿~三鷹間は中野のみ停車(新宿始発は中野通過)。途中での追い越しはなし。設定は深夜帯。
  • 1988年12月1日 -国分寺駅2面4線化完成。 青梅線に直通する「青梅特快」の運転開始により、従来の特別快速を「中央特快」に名称を変更し、あわせて新たに国分寺停車(「青梅特快」は国分寺駅を通過※)。また、夜間の新宿駅始発の「通勤快速」を「中央特快」に変更
  • 1990年3月10日 - 快速電車の富士急行線河口湖までの直通運転開始
  • 1991年3月16日 - 「おはようライナー高尾・青梅」と「ホームライナー高尾・青梅」を新設。
  • 1993年4月10日 - 「青梅特快」が国分寺駅に停車。「通勤特快」運行開始
  • 1993年12月1日 - 早朝の新宿発大月・甲府行普通列車及び深夜の中央夜行廃止。これにより115系が新宿駅から完全に撤退
  • 1999年12月4日 - 「成田エクスプレス」高尾駅発着列車の運行開始(1往復)
  • 2001年12月1日 - 「おはようライナー高尾・青梅」と「ホームライナー高尾・青梅」が「中央ライナー」・「青梅ライナー」に列車名と運行形態を変更して運転開始
  • 2003年9月28日 - 三鷹~立川間の連続立体交差事業に関して、前日夜から行った三鷹~国分寺間の線路切り替え工事で大きなミスが発生。工事終了予定時刻(朝6時頃)を過ぎても8時間あまり同区間が不通になる状態が続いた(後述)
  • 2005年9月5日 - 女性専用車両を再設定
  • 2006年12月26日 - E233系の運用開始。

※注:青梅特快の国分寺通過は、当時の中央線のダイヤのうち、青梅特快のみ新宿の発車時刻が他の特快よりも特急に近く、国分寺に停車させると立川まで逃げ切れず、国分寺で追い抜かれざるを得ないため、青梅線方面への速達効果を最大限に出すための措置。その後ダイヤ調整を行い、現在は停車している。

連続立体交差事業(高架化)

2006年11月3日現在、中央線では三鷹~立川間での連続立体交差事業(高架化工事)が行われている。この高架化工事の完成により、三鷹~立川間にある18ヶ所の踏切が廃止される。事業主体は東京都などで、財源は自動車税ガソリン税などである。

工事は1999年から始まり、2006年10月末までに5回の仮線への切り替え工事が行われている。

2006年11月現在の状況は、三鷹~国分寺間は既に仮線に切り替えており、西国分寺~立川間は2005年9月に上り線が、翌2006年10月に下り線が仮線に切り替えられた。今後は2007年春に三鷹~国分寺間の下り線の高架切り替えが行われる予定である。工事完了予定は三鷹~国分寺間が2008年、西国分寺~立川間が2010年である。その後、仮線路の撤去などが行われ、最終的な完成は2011年の予定である。

なお、国分寺駅東側から国立駅東側までは、現行の掘割の形を維持するため、工事は行われない。

最初の大規模な工事は、2003年9月27日の夕方から翌28日朝までの予定で行われ、三鷹~国分寺間の上り線を仮線に切り替えた。27日は予定通り進んだが、翌28日朝になってから武蔵小金井駅でポイントの不具合が見つかり、工事終了予定時刻を過ぎてもその点検が続いた。JR東日本は代行バスの運転時間を延長するよう各バス会社に要請するが、人員不足などを理由に1時間の延長で代行バスは終了し、同区間から立川・新宿方面への確実な移動手段がなくなったため、同区間の駅では大混乱となった。ポイント故障が復旧し(この時点では故障の原因不明)、同区間の電車の運転が再開されたのは、工事終了予定より8時間程遅れた午後2時頃であった(この作業の際に武蔵境駅周辺ではケーブルテレビ(電波障害用)が日中帯に半日程視聴不可となっていたが、この件に関してもJR側からは何の説明も行われなかった)。

この前代未聞の事件に各種メディアはトップでJR東日本を批判した。同社は関連会社に工事を丸投げして監督責任を怠っていたこと、これだけの大規模な工事をぶっつけ本番で一挙に行う半ば無謀な計画(JR東海は、東海道新幹線品川駅工事の時に事前に工事リハーサルを行った)であったこと、工事前後で踏切が2倍近く伸び、遮断機が下りる前に渡りきれないなど交通障害が余計ひどくなったことなどが槍玉に挙げられた。これらの批判を受け、JR東日本は歩行者・自転車用に架道橋を設置したりした。

数日後の9月28日、JR東日本は記者会見を行ったが、その中で「もっとバスを借りられるように手配すべきだったが、ここまでの事態は予想できなかった。しかし、すべての乗客をそもそもバスに振り替えるのは無理。バス輸送は補完的なもので、隣接する私鉄に回って、と前からお願いしていた。」と“逆ギレ”ともとれる発言を行い、さらなる批判を招いた。

また、この約2週間後には、京浜東北線で線路上に置き去りにされた保線用のスコップを跳ねて、朝のラッシュ時に長時間にわたって運転を見合わせるという事故も起こしてしまい、一連の不手際に対して、国土交通省はJR東日本に業務改善命令を下した。

JR東日本は、現在に至るまで何度も仮線への切り替えを何度も行っているが、これに疑問を抱く人も少なくない。私鉄における高架化工事は、既存の線路を維持させたまま高架線へ切り替えることが多い。また、いわゆる“開かずの踏切”も仮線に切り替えられたことにより踏切の幅が広くなり、渡りきれないなどのケースが続出している。

この高架化事業とは別に、三鷹駅~立川駅では複々線化が計画中である。複々線は高規格な地下路線となる予定で、実現した場合には中野駅~立川駅間を運行している快速電車の停車駅にも変更を迫られると見られる。2014年頃までの完成を計画していたが、高架工事の状況から見込みが立っていない。実は三鷹駅~立川駅間の複々線化は1970年代には計画されており、そのさなかに開業した西国分寺駅のホーム構造を見れば明らかな様に用地は確保されていた。しかし、複々線化工事の着工に手間取っているうちに、法改正で高架化する際は脇に緩衝緑地帯を整備する事が義務付けられたため、複々線の用地を緩衝緑地帯に転用することになってしまった。このため、仮に複々線化が実現したとしても、緩行線は高架、快速線は地下、というちぐはぐな構造になってしまうことになった。但し、国分寺駅西側から国立駅東側までは掘割であり、既存線に並行して複々線を設置する用地もある。また、この複々線を利用する特急電車などの優等列車が三鷹駅から大深度地下を利用した高速地下鉄道によって新宿駅を経由し、東京駅の京葉線ホームに至るという大計画もある。

なお、さらに詳しい工事予定は、JR東日本八王子支社のホームページのプレスリリース(PDF)、及び、小金井市公式ウェブサイトのJR中央本線(三鷹~立川間)他連続立体交差事業の概要を参照されたい。


私鉄との関係

中央線の新宿駅~高尾駅間においては、路線の南側に併走している京王電鉄京王線高尾線井の頭線とでライバル関係にある。そのため、新宿駅~八王子駅間、吉祥寺駅~渋谷駅間などに割安の特定運賃を設けるなどの対抗策を講じている。また新宿~拝島駅間では西武新宿線拝島線とも競合をしている。しかしこちらはバス路線がほとんど西武線の駅をスルーする(経由はするものの始終着はあまりない)ことや西武新宿線のターミナル駅の立地がよくないこと、また所沢・本川越方面の列車の方が本数が多いことからさほど大きな競合関係には至っていない。

京王と強力なライバル関係にある新宿~八王子間での比較を例にしてみると、普通乗車券の比較では京王線が350円で、JRは特定運賃の適用で460円となっている。ただ6か月定期券ではJRと京王との定期割引率の差が大きいため、京王が割高でJRが割安になるという逆転が生じている。しかし、通勤3か月定期および通学の6か月定期は、京王線のほうがわずかながら安くなる。さらに、京王は定期券の分割購入ができないのに対し、JRは定期券の分割購入ができる。例えば日野方面~新宿間とJR新宿以遠など、6ヶ月定期券を複数に分割すると通しで買うよりも割安になる区間がある。

また、同じく新宿~八王子間の時間面での比較では、日中は京王線(特急および準特急)・中央線(特別快速)のどちらも同程度の所要時間であり、最速は中央線特急列車(有料)の「あずさ」・「かいじ」である。ただし、中央線の特急は500円の自由席特急料金が別途必要である。有料特急を含めないで考えた場合は、京王線の方が若干ではあるが速い。また、朝ラッシュ時の上りの場合、中央線の列車の種別は通勤特快が少数でほとんど快速のみに限られる。そのためダイヤが単純になることから、中央線の方が速い。

今後の予定

日野市には豊田駅~八王子駅間に西豊田駅(仮称)を設置する計画がある[1]。そのため同区間の中間に設置を求める看板が設置されている。

関連項目