本木克弥
本木克弥 九段 | |
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名前 | 本木克弥 |
生年月日 | 1995年8月2日(29歳) |
プロ入り年 | 2011年 |
出身地 | 群馬県藤岡市 |
所属 | 日本棋院 |
師匠 | 藤澤一就 |
段位 | 九段 |
概要 | |
タイトル獲得合計 | 1 |
七大タイトル | |
本因坊 | 挑戦者(2017) |
本木 克弥(もとき かつや、1995年8月2日 - )は 、囲碁の棋士。段位は九段。群馬県藤岡市出身[1]。日本棋院東京本院所属。藤澤一就八段門下。
主な実績に、本因坊戦挑戦(2017年第72期)、若鯉杯1期(2014年第9回)、本因坊戦リーグ5期・名人戦リーグ2期など。
来歴
[編集]1995年8月2日群馬県生まれ。小学校1年生の時に、囲碁ファンの祖父から『ヒカルの碁』のアニメを勧められ、囲碁に興味を持つ[2]。ヒカルの碁のゲームでルールを覚え、2年生の頃にアマチュア初段前後の棋力となる[2]。その後、同郷の木部夏生の影響も受けて[2]、4年生の時に藤澤一就が主宰する新宿こども囲碁教室に通い始める[3]。5年生時に日本棋院の院生となる[2]。当初は群馬県の自宅から2時間半かけて教室まで通っていたが、12歳の時から藤澤主宰の天豊道場で内弟子生活を始めた[4][5][6]。
2009年10-11月の冬季棋士採用試験は本戦4勝11敗で15位[7]、2010年10-11月の同試験は本戦8勝7敗で10位[8]。2011年の夏季棋士採用試験で、5-7月の院生研修総合1位により入段を果たす[9]。2011年9月1日、16歳で入段[10]。
2013年、二段。第4回アジアインドア・マーシャルアーツゲームズでは平田智也・佐田篤史とともに日本代表として団体戦に出場し、銅メダルを受賞。
2014年、三段。第9回広島アルミ杯若鯉戦にて決勝戦で六浦雄太初段を破り優勝、19歳で自身初タイトルを獲得した。
2015年、第71期本因坊戦最終予選で倉橋正行九段・羽根泰正九段・小林覚九段・村松大樹五段に勝利し初の三大リーグ入り[11]。規定により七段昇段。
2016年は、第41期碁聖戦で本戦ベスト8まで進出したほか[12]、第11回広島アルミ杯若鯉戦でも準優勝(決勝戦で一力遼七段に敗退)。第71期本因坊戦リーグにおいては、開幕から張栩九段・山下敬吾九段・河野臨九段に3連勝し一時は首位に立ったが、最終的には5勝2敗の2位。挑戦手合進出はならなかったが、初のリーグ戦にて好成績で残留に成功した[11]。
2017年、第72期本因坊リーグで高尾紳路名人・張栩九段・山下敬吾九段らに勝利して6勝1敗の首位となり挑戦者となる。規定により八段昇段。5連覇中の本因坊文裕(六冠)に挑戦するも、6月16日、0勝4敗で敗れ初の七大タイトル獲得には至らなかった[13]。この挑戦手合の模様は『第72期 本因坊戦 ~勝負の一手~』としてBS12で11月11日に放送された[14]。
同2017年はこのほかの棋戦でも活躍しており、第42期碁聖戦では挑戦者決定戦まで進出するも5月18日に山下敬吾九段に敗退[15]。8月24日、第42期棋聖戦ではファーストトーナメントを突破するとCリーグ1位で挑戦者決定トーナメントに進出。Bリーグ首位の余正麒七段・Aリーグ1位の高尾紳路名人に勝利し準決勝まで進出したが、10月27日、Sリーグ2位の山下敬吾九段に敗れた[16]。
2018年3月21日、第12回春蘭杯世界囲碁選手権1回戦で世界戦優勝多数の李世乭九段に3目半で勝利[17]。2回戦は辜梓豪九段に敗退。第73期本因坊戦では3勝4敗でリーグ陥落し、連続でのリーグ在籍は3期にとどまった[18]。他方で第43期碁聖戦・第66期王座戦では挑戦者決定戦まで進出しているが、碁聖戦では5月17日、許家元七段に敗退[19]。王座戦でも9月13日、一力遼八段に敗退[20]。第27期竜星戦では決勝戦まで進出したが、ここでも9月24日(放送日)、一力に敗退[21]。各棋戦で活躍するも、挑戦手合進出やタイトル獲得にはあと一歩及ばなかった。
2019年5月、IMSAワールドマスターズチャンピオンシップでは村川大介・伊田篤史とともに団体戦に出場し、銅メダル受賞[22]。第44期棋聖戦ではBリーグ2組で6勝1敗の首位となると、1組1位の依田紀基九段にも勝利。自身二度目の挑戦者決定T進出となったが、初戦でCリーグ1位の鈴木伸二七段に敗れた[23]。
2020年、第45期棋聖戦Aリーグは3勝4敗の5位で降格[24]。第46期名人戦では、最終予選を制して初の名人戦リーグ入り[25]。
2021年、第47期天元戦では本戦ベスト4(準決勝で関航太郎四段に敗退)[26]。また、第77期本因坊戦で最終予選を制し、第73期以来のリーグ入り[27]。第46期名人戦リーグは4勝4敗の5位で残留[25]。
2022年、第77期本因坊戦リーグは1勝6敗で陥落したが[27]、第78期最終予選を制し再びリーグ復帰[28]。第47期名人戦では、2勝6敗でリーグ陥落[29]。また、第31期竜星戦では準決勝まで進出した(準決勝で井山裕太名人に敗退)[30]。
人物
[編集]- かつては攻撃的な棋風で、多少のやりすぎがあっても読みの力で補う剛腕が持ち味だった[31][32]。ただし、その後井山裕太との2017年本因坊戦挑戦手合や上位の棋士との対局を経て、徐々に棋風も変化[31]。じっくりと耐えて相手の仕掛けを待つ、「忍の碁」へと変化した[32]。
- 趣味は就寝前の読書[6]。12歳から20歳の頃は藤澤主宰の天豊道場で内弟子生活を送っていたが、そこで寺山怜が持ち込んだ小説を借りて読んでいたという[6]。好きな作家は米澤穂信と森博嗣[6]。
- NHK杯テレビ囲碁トーナメントでは、第61-63回(2013-2015年度)まで秒読み係を務めた[33]。
- 2020年に結婚。
- 2022年には、群馬県藤岡市の「藤岡市ふるさとスペシャルサポーター」に任命された[34][35]。
棋歴
[編集]獲得タイトル
[編集]- 若鯉戦(2014年・第9回)
良績
[編集]- 棋聖戦 挑戦者決定T進出 2期(第42, 44期)
- 名人戦 リーグ入り2期(第46-47期)
- 本因坊戦 挑戦手合進出1期(第72期)、リーグ入り5期(第71-73, 77-78期)
- 王座戦 本戦決勝進出(第66期)
- 天元戦 本戦ベスト4(第47期)
- 碁聖戦 本戦決勝選出(第42-43期)
- 竜星戦 準優勝(第27期)、ベスト4(第31期)
- 若鯉戦 準優勝(第11回)
- ペア碁選手権戦(非公式戦)準優勝(第28回・謝依旻とのペア)
- ゆうちょ杯 (非公式戦) 準優勝(第1-2回)
国際棋戦
[編集]- グロービス杯 2015年・第2回 予選敗退(×李欽誠 ○Lionel Zhang ×申眞諝)
- 春蘭杯 2019年・第12期 1-1(○李世乭 ×辜梓豪)、2020年・第13期 0-1(×姜東潤)
- 農心杯 2019年・第20期 0-1(×范廷鈺)
- 新奥杯 2017年・第1回 0-1(×許嘉陽)
- 天府杯 2018年・第1回 0-1(×彭立尭)
- アジアインドア・マーシャルアーツゲームズ 2013年・第4回 団体戦銅メダル
- IMSAワールドマスターズチャンピオンシップ 2019年 団体戦銅メダル(×辜梓豪 ×李志賢 ×許皓鋐 ○Pavol Lisy ○Eric Lui)[22]
昇段履歴
[編集]- 2011年9月1日 入段[10]
- 2013年1月1日 二段(賞金ランキング)[36]
- 2014年1月1日 三段(賞金ランキング)[37]
- 2015年9月4日 七段(第71期本因坊戦リーグ入り)[38]
- 2017年4月7日 八段(第72期本因坊戦挑戦)[39]
- 2024年9月6日 九段(勝星規定)
脚注
[編集]- ^ “《子ども新聞・週刊風っ子》教えて囲碁の魅力 本県出身プロ棋士・本木克弥さんと木部夏生さん”. 上毛新聞 (2022年10月9日). 2023年3月23日閲覧。
- ^ a b c d 『碁ワールド 2015年2月号』日本棋院、98-99頁。
- ^ 新宿こども囲碁教室 門下生
- ^ “上達の指南 本木克弥七段の無理のない攻め方 (1)”. 読売新聞 (2016年3月29日). 2023年4月23日閲覧。
- ^ “上達の指南 本木克弥七段の無理のない攻め方 (2)”. 読売新聞 (2016年4月5日). 2023年4月23日閲覧。
- ^ a b c d 藤澤一就『大局観が劇的に良くなる! 囲碁・上達のための棋譜並べ』マイナビ出版、2020年、152頁。
- ^ 平成22年度冬季棋士採用試験本戦 - ウェイバックマシン(2015年9月20日アーカイブ分)
- ^ 平成23年度冬季棋士採用試験本戦 - ウェイバックマシン(2015年9月20日アーカイブ分)
- ^ 平成24年度棋士採用試験情報 - ウェイバックマシン(2015年9月8日アーカイブ分)
- ^ a b 棋士新着情報 2011年09月 アーカイブ - ウェイバックマシン(2015年3月23日アーカイブ分)
- ^ a b 第71期 本因坊戦 日本棋院
- ^ “第41期 碁聖戦”. 日本棋院. 2023年3月23日閲覧。
- ^ 第72期 本因坊戦 日本棋院
- ^ 第72期 本因坊戦 ~勝負の一手~ BS12Twellv
- ^ 第42期 碁聖戦
- ^ 第42期 棋聖戦
- ^ “本木が2回戦進出!【第12回春蘭杯世界囲碁選手権1回戦】”. 2018年3月23日閲覧。
- ^ “第73期 本因坊戦”. 日本棋院. 2023年3月23日閲覧。
- ^ “第43期 碁聖戦”. 日本棋院. 2023年3月23日閲覧。
- ^ “第66期 王座戦”. 日本棋院. 2023年3月23日閲覧。
- ^ “第27期 竜星戦”. 日本棋院. 2023年3月23日閲覧。
- ^ a b “Results of the IMSA World Masters Championship” (英語). 国際囲碁連盟 (2019年5月20日). 2023年3月23日閲覧。
- ^ “第44期 棋聖戦”. 日本棋院. 2023年3月23日閲覧。
- ^ “第45期 棋聖戦”. 日本棋院. 2023年3月23日閲覧。
- ^ a b “第46期 名人戦”. 日本棋院. 2023年3月23日閲覧。
- ^ “第47期 天元戦”. 日本棋院. 2023年3月23日閲覧。
- ^ a b “第77期 本因坊戦”. 日本棋院. 2023年3月23日閲覧。
- ^ “第78期 本因坊戦”. 日本棋院. 2023年3月23日閲覧。
- ^ “第47期 名人戦”. 日本棋院. 2023年3月23日閲覧。
- ^ “第31期 竜星戦”. 日本棋院. 2023年3月23日閲覧。
- ^ a b 藤澤一就『大局観が劇的に良くなる! 囲碁・上達のための棋譜並べ』マイナビ出版、2020年、77頁。
- ^ a b “仕掛けず耐える「忍の碁」 棋風改造の本木八段の「きょうの一手」~芝野虎丸王座VS本木克弥八段~【第46期囲碁名人戦リーグ】=大出公二撮影”. YouTube. 囲碁将棋TV -朝日新聞社- (2021年1月22日). 2023年4月23日閲覧。参照箇所は5分18秒以降。動画概要欄にも記載あり。
- ^ “上達の指南 本木克弥七段の無理のない攻め方 (4)”. 読売新聞 (2016年4月19日). 2023年4月23日閲覧。
- ^ 『広報ふじおか 令和4年8月1日号』藤岡市、4-5頁 。
- ^ “2022年6月21日の本木克弥によるツイート”. Twitter. 2023年4月23日閲覧。
- ^ 棋士新着情報 2013年02月 アーカイブ - ウェイバックマシン(2015年3月23日アーカイブ分)
- ^ “【昇段】平成25年賞金ランキングによる昇段者”. 日本棋院 (2014年2月6日). 2023年4月23日閲覧。
- ^ “【昇段】本木 克弥七段に昇段”. 日本棋院 (2015年9月4日). 2023年3月23日閲覧。
- ^ “本木、初挑戦!【第72期本因坊戦挑戦者決定リーグ最終一斉対局】”. 日本棋院 (2017年4月6日). 2023年3月23日閲覧。
外部リンク
[編集]- 日本棋院による本木克弥の紹介ページ
- 本木克弥 (@booktree082) - X(旧Twitter)