コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

小梁川氏

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
小梁川氏
本姓 藤原北家山蔭流
家祖 小梁川盛宗[1]
種別 武家
出身地 陸奥国伊達郡小梁川[1]
主な根拠地 陸奥国伊達郡小梁川
出羽国長井郡高畠
陸奥国江刺郡野手崎
著名な人物 小梁川宗朝小梁川親宗小梁川盛宗
支流、分家 塩森氏、古田氏
凡例 / Category:日本の氏族

小梁川氏(こやながわし)は、日本の氏族のひとつ。陸奥国大名伊達氏の庶流である[1]

概要

[編集]

伊達氏第11代当主伊達持宗の三男・盛宗が、伊達郡小梁川(現:伊達市梁川町字小梁川)に拠って小梁川氏を称した[1]

『伊達世臣家譜』によれば、盛宗は甥の第13代当主・伊達尚宗が3歳から15歳までの間(1455年 - 1467年)、家中を総攬し百官を総べたとしているが[1]、この時期にはまだ兄の第12代当主・伊達成宗のみならず持宗(1469年没)も健在な時期であることから、この記述には無理がある[2]

小梁川氏は伊達稙宗伊達晴宗父子が争った天文の乱において、盛宗長男・親朝の系統が晴宗に、二男・宗朝(日雙斎)の系統が稙宗に与し、家を二つに割って戦っている。天文の乱が晴宗の勝利に終わった後、中野宗時らと共に晴宗方の中核として活躍した親宗(親朝の嫡男)は、加増されて長井郡高畠城主となり、守護不入権を含む様々な特権を獲得し、その子・盛宗(泥蟠斎)は晴宗の三女(天光院)を正室に迎えるなどして、晴宗政権下にあっては強い力を有していたが、永禄13年(1570年)4月に中野宗時が謀反の疑い有りとして伊達輝宗に追討されると、盛宗は逃げ延びる宗時らを故意に見逃したとして処罰された。この時、晴宗代に獲得した守護不入権などを剥奪されたものの、盛宗は伊達政宗の代に至るまで伊達家中で重きをなしている。

天正19年(1591年)、政宗が葛西大崎一揆煽動により岩出山へ減転封され、長井・伊達など旧領を没収されると、盛宗も江刺郡上口内に移った。小梁川氏は江戸時代にはさらに同郡野手崎へと移され、以後、幾多の養子を迎えながら、幕末に至るまで同地を治めた[1]

最後の野手崎領主であった第16代・盛之が、明治時代になって伊達に復姓し、伊達邦盛に改名している。

庶流

[編集]

塩森氏

[編集]

親宗の二男・宗朝は長井郡塩森(しおのもり、現:東置賜郡高畠町塩森)に拠って塩森氏を称した。

塩森本家は一家の家格に列して栗原郡若柳で238石を知行し、分家も召出の家格を与えられている。

古田氏

[編集]

日雙斎宗朝の家系は宗秀の子・古田宗重の代より古田氏を称した。

古田重直志田郡松山城主・江刺郡岩谷堂城主などを歴任し、仙台藩草創期には奉行職(他藩の家老に相当)を務め、着坐の家格を与えられた。古田本家は寛文元年(1661年)に重直の孫・共直が跡取り無くして死去し無嗣断絶となったが、寛政4年(1792年)の『伊達世臣家譜』には、分家の古田利延が39石6斗6升を知行し、虎間番士として存続しているとの記述がある。

系譜

[編集]

歴代当主[3]

[編集]
  1. 小梁川中務少輔盛宗 
  2. 小梁川尾張親朝
  3. 小梁川尾張親宗
  4. 小梁川中務盛宗(泥蟠斎)
  5. 小梁川刑部宗重
  6. 小梁川中務宗影
  7. 小梁川修理宗敬 
  8. 小梁川宗英
  9. 小梁川宗辰 - 宮床伊達宗房の二男。実家に戻る
  10. 小梁川中務宗永 - 村田宗門の子
  11. 小梁川中務盛鎮 - 大町頼直の二男
  12. 小梁川中務盛明 - 石川村弘の子
  13. 小梁川典膳盛平
  14. 小梁川靱負(帯刀・内膳)盛明
  15. 小梁川内膳康盛
  16. 小梁川出雲盛之(伊達邦盛) - 明治五年伊達に復姓

系図

[編集]
実線は実子、点線は養子。
伊達持宗
 
 
 
小梁川中務少輔盛宗1
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
親朝2宗朝
 
 
 
 
 
親宗3宗秀
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
泥蟠斎盛宗4[塩森氏]
塩森宗朝
[古田氏]
古田宗重
 
 
 
 
 
 
 
宗重5宗定重直
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
宗影6[泉沢小梁川氏]
信重
宗綱元直
 
 
 
 
 
 
 
 
 
宗敬7五兵衛信次宗直共直
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
宗英8惣右衛門信次宗辰[召出家]
直清
 
 
 
 
 
 
 
 
 
宗辰9親次親直直行
 
 
 
 
 
 
 
 
 
宗永10盛次清長直成
 
 
 
 
 
 
 
 
 
盛鎮11盛茂親通直秀
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
中務盛明12盛平13直董
 
 
 
 
 
帯刀盛明14隆良
 
 
 
 
 
康盛15直徳
 
 
 
 
 
邦之16
(伊達邦盛)
 
 
 

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e f 太田 1934, p. 2417.
  2. ^ 梁川町史編纂委員会 1996, p. 471.
  3. ^ 梁川郷土史 pp.16-18

参考文献

[編集]
  • 太田亮国立国会図書館デジタルコレクション 小梁川 コヤナガハ ヲヤナガハ」『姓氏家系大辞典』 第2、上田萬年三上参次監修、姓氏家系大辞典刊行会、1934年、2417-2418頁。全国書誌番号:47004572https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1130938/302 国立国会図書館デジタルコレクション  閲覧は自由
  • 梁川町史編纂委員会編『梁川町史』 第1巻、梁川町、1996年3月。 NCID BN02351737 
  • 梁川郷土誌編纂委員会編『梁川郷土誌』梁川振興会、1984年2月。国立国会図書館書誌ID:000001711349https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9539502