安部龍太郎
誕生 |
安部 良法 1955年6月20日(69歳) 福岡県八女郡黒木町(現八女市) |
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職業 | 小説家 |
言語 | 日本語 |
国籍 | 日本 |
最終学歴 | 久留米工業高等専門学校機械工学科 |
活動期間 | 1988年 - |
ジャンル | 歴史小説・時代小説 |
主な受賞歴 |
中山義秀文学賞(2005年) 直木三十五賞(2013年) 歴史時代作家クラブ賞(2016年) |
デビュー作 | 「師直の恋」(1988年) |
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安部 龍太郎(あべ りゅうたろう、1955年(昭和30年)6月20日 - )は、日本の小説家。本名は安部 良法[1]。日本文芸家協会会員[2]。日本ペンクラブ会員[3]。
略歴
[編集]福岡県八女市(旧・黒木町)生まれ[4]。国立久留米工業高等専門学校機械工学科卒。
学生時代から太宰治、坂口安吾などの作品を読んできた[5]。高専時代、熱中したラグビーで大けがを負い1年間休学。このとき坂口の「堕落論」を読んで作家を志すようになった[4]。21歳で上京して東京都大田区役所の矢口出張所に勤めたのち、異動となった下丸子図書館で「図書館報」の編集に携わった。
それまで、同人誌などに小説を書いていたが、妻子がいた29歳のときに公務員を退職し、2年間に限定して小説の執筆に専念した[4]。この間、歴史小説で初めて最終選考に残ったため、さらに1年延長して創作に没頭、このとき応募した新作が編集者に認められた[4]。1988年、短編「師直の恋」(『小説新潮』)で文壇にデビュー。まもなく、別の作家からの引き継ぎで取り組んだ週刊誌(『週刊新潮』)の連載が好評を得、予定を越えて延長を重ねた[4]。この連載をもとに1990年に刊行した『血の日本史』(「日本史 血の年表」改題)が、単行本のデビュー作となった[4]。この作品をきっかけに「隆慶一郎が最後に会いたがった男」という逸話が生まれた[6]。
早くから新人賞の候補に挙げられながら度々受賞を逃してきた[4]。その後、歴史小説家として欠落しているものを感じ、46歳の時に京都に仕事場を設けて、茶道や水墨画を学んだ[4]。2013年、自身の姿を画家長谷川等伯に重ねて書いた『等伯』で直木賞を受賞した[4]。
歴史を動かしてきたものは「海外貿易と経済構造の変化、それを担う人材が現れるか」の三つと考え、この史観を基に三つのシリーズもの(家康、遣唐使の物語、太平記)を手掛けている[4]。「太平記」シリーズに関しては、室町幕府に敗れた南朝方の落人集落と伝えられる山村に生まれた[7]自身の出自が気になり、書くことに決めたと語る[4]。
受賞歴
[編集](以下は受賞を逃した候補作)
- 『矢口の渡』(1987年 第67回オール讀物新人賞 候補)
- 『降人哀し』(1987年 第5回小説新潮新人賞 候補)
- 『血の日本史』(1991年 第4回山本周五郎賞 候補)
- 『黄金海流』(1992年 第13回吉川英治文学新人賞 候補)
- 『彷徨える帝』(1994年 第111回直木三十五賞 候補 / 第7回山本周五郎賞 候補)
- 『関ヶ原連判状』(1997年 第10回山本周五郎賞 候補)
- 『生きて候』(2003年 第9回中山義秀文学賞 候補)
著作一覧
[編集]小説
[編集]- 血の日本史(1990年11月、新潮社)
- 黄金海流(1991年12月、新潮社)
- 彷徨える帝(1994年3月、新潮社)
- 太閤の城(1994年12月、PHP研究所、文庫題「太閤の城 結城虎之介・残月剣」)
- 室町花伝(1995年5月、文藝春秋、文庫題「バサラ将軍」)
- 風の如く水の如く(1996年3月、集英社)
- 関ヶ原連判状(1996年10月、新潮社)
- 密室大坂城(1997年1月、講談社)
- 金沢城嵐の間(1997年8月、文藝春秋)
- 難風(1998年6月、講談社、文庫題「忠直卿御座船」「佐和山炎上」)
- 神々に告ぐ(1999年7月、角川書店、文庫題「戦国秘譚 神々に告ぐ」)
- 海神 孫太郎漂流記(1999年9月、集英社)
- 開陽丸、北へ 徳川海軍の興亡(1999年12月、朝日新聞社、文庫題「幕末 開陽丸 徳川海軍最後の戦い」)
- お吉写真帖 明治維新新技術事始め(2000年7月、文藝春秋、文庫題「お吉写真帖」)
- 信長燃ゆ(2001年6月、日本経済新聞社)
- 生きて候(2002年10月、集英社)
- 薩摩燃ゆ(2004年7月、小学館)
- 天馬、翔ける(2004年12月、新潮社、文庫題「天馬、翔ける 源義経」)
- 浄土の帝(2005年7月、角川書店)
- 天下布武 夢どの与一郎(2006年9月、角川書店)
- 恋七夜(2007年2月、集英社)
- 道誉と正成(2009年8月、集英社)
- 下天を謀る(2009年11月、新潮社)
- 蒼き信長(2010年1月、毎日新聞社)
- 葉隠物語(2011年3月、エイチアンドアイ)
- レオン氏郷(2012年9月、PHP研究所)
- 等伯(2012年9月、日本経済新聞出版社)
- 五峯の鷹(2013年12月、小学館)
- 冬を待つ城(2014年10月、新潮社)
- 維新の肖像(2015年4月、潮出版社)
- 姫神(2015年8月、文藝春秋)
- 義貞の旗(2015年10月、集英社)
- 宗麟の海(2017年9月、NHK出版)文春文庫 2020年
- 冬を待つ城(2017年10月、新潮社)
- 平城京(2018年5月、KADOKAWA)
- 蝦夷太平記 十三の海鳴り(2019年10月、集英社)
- 海の十字架(2020年2月、文藝春秋)
- 迷宮の月(2020年4月、新潮社)
- 家康(幻冬舎時代小説文庫)
- 信長との同盟(2020年7月)
- 三方ヶ原の戦い(2020年8月)
- 長篠の戦い(2020年9月)
- 甲州征伐(2020年10月)
- 本能寺の変(2020年11月)
- 小牧・長久手の戦い(2020年12月)
- 秀吉との和睦(2022年12月)
史論・随筆など
[編集]- 天才信長を探しに、旅に出た(2002年6月、日本経済新聞社)
- 戦国の山城をゆく 信長や秀吉に滅ぼされた世界(2004年4月、集英社新書)
- 名将の法則 戦国乱世を生き抜いた12人の知られざる"決断"とは(2006年8月、日本実業出版社)
- 武田信玄の古戦場をゆく なぜ武田軍団は北へ向かったのか?(2006年11月、集英社新書)
- 徳川家康の詰め将棋 大坂城包囲網(2009年1月、集英社新書)
- 安部龍太郎「英雄」を歩く(2013年7月、日本実業出版社)
- 信長はなぜ葬られたのか 世界史の中の本能寺の変(2018年7月、幻冬舎新書)
- 信長になれなかった男たち 戦国武将外伝(2019年1月、幻冬舎新書)
- 信長の革命と光秀の正義 真説本能寺(2020年1月、幻冬舎新書)
- 日本はこうしてつくられた 大和を都に選んだ古代王権の謎(2021年1月、小学館カラー版)
- シルクロード 仏の道をゆく(2021年7月、潮出版社)
- 特攻隊員と大刀洗飛行場(2021年7月、PHP新書)
共著
[編集]脚注
[編集]- ^ 島内景二 (2015年9月6日). “天才絵師の生涯を骨太に描き、直木賞を受賞した安部文学の金字塔(前)”. 文藝春秋. 2024年8月31日閲覧。
- ^ 日外アソシエーツ現代人物情報より
- ^ 朝日新聞人物データベース
- ^ a b c d e f g h i j k 「ブレークスルー 43・作家の安部龍太郎さん」『京都新聞(朝刊)』2020年3月24日。
- ^ 日外アソシエーツ現代人物情報より
- ^ 縄田一男「解説」(新潮文庫版『血の日本史』収録)
- ^ 運動部 谷口誠 (2015年12月29日). “ラグビーに学ぶ日本の進む道 五郎丸氏と直木賞・安部氏が対談:勤勉さ、世界で輝く”. 日本経済新聞. 2024年8月31日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 安部龍太郎オフィシャルサイト
- 安部龍太郎「ふりさけ見れば」 - 日本経済新聞