コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

南信地方

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
南信濃から転送)
南信地方のデータ
日本
地方 中部地方中央高地甲信越地方
諏訪地域+上伊那地域+南信州地域
面積 3,992.87 km2
総人口 529,076
(2020年国勢調査)
青系色:北信地方(水色:北信地域、青:長野地域)
黄系色:東信地方(黄色:上田地域、薄黄:佐久地域)
赤系色:中信地方(オレンジ:北アルプス地域、赤:松本地域、マゼンタ:木曽地域)
緑系色:南信地方(薄緑:諏訪地域、抹茶色:上伊那地域、黄緑:南信州地域)

南信地方(なんしんちほう)とは、長野県の南部(木曽地域を除く)の地域を指す。

範囲

[編集]
諏訪湖から伊那谷までの天竜川流域一帯を総めた範囲。一般的分類としての南信地方。中央自動車道沿線にあたる。県庁が地域区分をする時や、学校間のスポーツ大会にも用いられる。長野県立高校の第3学区の区域に該当[1]する。
  • 上伊那地域・南信州地域
狭義では伊那谷の一帯で、飯田線沿線。伊那地方(いなちほう)と呼ばれる事もある。更に、飯田を中心とする下伊那郡南信州(みなみしんしゅう)、「飯伊(はんい)地域」と呼ぶ事がある。
特に自然地理や交通では、中央本線甲州街道中山道の沿線に当たる諏訪地域を、むしろ伊那地方とは区別して、「松本諏訪地方」として、気象区分など「長野県中部」に区分することもある。
  • 木曽・伊那(上伊那地域・南信州地域・木曽地域
木曽地域は天竜川流域ではないので、南信地方には含まれないが、(糸魚川静岡構造線より西側に位置しており)観光ガイドでは木曽・伊那として括られることがある。天気予報でも、木曽と上下伊那が一組で「長野県南部」に区分されている。

概要

[編集]

諏訪湖周辺および天竜川流域に位置し、西を木曽山脈に、東を赤石山脈中央構造線)に挟まれた地方である。

長野県に属するが、日本海側である北信地方との繋がりは中信地方以上に浅い。戦国時代には武田信玄徳川家康(江戸入封前)の所領だった地域で、中央本線沿線の松本地域山梨県天竜川流域で遠州灘沿岸(静岡県遠江地域愛知県東三河地域)との繋がりが深い。遠江や東三河との間では行政面の交流が活発であり、「三遠南信」という自治体間の交流圏を形成している。

特に南端部に位置する矢作川上村川)流域の根羽村平谷村は、隣接する愛知県豊田市等の自治体との関わりが深い。

自然地理

[編集]

(→伊那谷木曽谷諏訪盆地

歴史

[編集]

古代

[編集]

律令制度下で五畿七道が整備され、東山道伊那郡諏訪郡に属した。令制国では、伊那谷諏訪盆地の一帯が諏方国として分立した時期もあったが、短い年月で信濃国に編入された。

中世・近世

[編集]

戦国時代には武田信玄の所領になった。武田信玄と徳川家康の抗争に由来する地名として、兵越峠がある。

江戸時代になると、現在の上伊那郡のうち太田切川分杭峠以北の地域(一部除く)は高遠藩の所領となり、下伊那郡飯田町周辺の地域で飯田藩、残りの地域から上伊那南部にかけて幕府領(一部地域に白河藩領、高須藩領なども)、諏訪郡高島藩の所領となった[2]。また、江戸時代から明治時代に渡って、伊那地方は日本でも有数の林業地帯となり、伊那地方産の木材は、天竜川の舟運を利用して、下流の遠州灘沿岸に運搬されていた。この伊那地方産の木材は、明治以降に浜松楽器産業が興った要因にもなっている。

近現代

[編集]

明治維新期の廃藩置県では、伊那地方の幕府領伊那県に、高島藩は高島県に、飯田藩は飯田県に、高遠藩は高遠県にそれぞれ再編されたが、1871年12月31日には全て筑摩県に編入された。そして、1876年8月21日に筑摩県が分割されると、長野県に編入された。

諏訪地方や上伊那郡の北端の辰野に1905年から1906年中央本線が通じた一方、伊那谷は明治前中期の官営鉄道建設からは漏れたものの、1909年伊那電気鉄道が開業し、1927年には伊那電・三信鉄道が伊那地方を縦貫するようになり、1937年8月には神宮前(名古屋市)から辰野まで5社による私鉄路線網が形成された(伊那電、三信鉄道を含めた私鉄四社が統合し、国有化した飯田線が発足したのは、第二次大戦中の1943年)。
他方、茅野と東信田中を結ぶ私鉄が計画されて、1919年に佐久諏訪電気鉄道も発足したが開業すること無く破産。1944年には茅野 - 花蒔間に貨物専用の諏訪鉄山鉄道も開通したが、旅客化することはなかった。

1981年には中央自動車道が開通した。

地域

[編集]
下伊那郡南信州地域
上伊那郡上伊那地域
諏訪郡諏訪地域

都市雇用圏(10% 通勤圏)の変遷

[編集]

南信地方における都市雇用圏(10% 通勤圏)。一般的な都市圏の定義については都市圏を参照のこと。

  • 10% 通勤圏に入っていない町村は、各統計年の欄で灰色かつ「-」で示す。
自治体
('80)
1980年 1990年 2000年 2005年 2010年[3] 2020年 自治体
(現在)
地域
諏訪市 諏訪 都市圏
114705人
諏訪 都市圏
109028人
諏訪 都市圏
130616人
諏訪 都市圏
133323人
諏訪 都市圏
204875人
諏訪 都市圏
198475人
諏訪市 諏訪
茅野市 茅野市
原村 原村
富士見町 - 富士見町
岡谷市 岡谷 都市圏
112678人
岡谷 都市圏
109260人
岡谷 都市圏
80325人
岡谷 都市圏
77562人
岡谷市
下諏訪町 下諏訪町
辰野町 伊那 都市圏
141715人
伊那 都市圏
142453人
伊那 都市圏
190412人[4]
- 辰野町 上伊那
伊那市 伊那 都市圏
84003人
伊那 都市圏
111759人
- 伊那市
高遠町
長谷村
宮田村 - 宮田村
南箕輪村 - 南箕輪村
箕輪町 - - 箕輪町
駒ヶ根市 - - - - - 駒ヶ根市
飯島町 - - - - - 飯島町
中川村 - - - - - 中川村
南信濃村 - - - 飯田 都市圏
171491人
飯田 都市圏
166652人
飯田 都市圏
152536人
飯田市 南信州
上村 - - 飯田 都市圏
169427人
飯田市 飯田 都市圏
141286人
飯田 都市圏
146498人
鼎町
上郷町
高森町 高森町
下條村 下條村
喬木村 喬木村
豊丘村 豊丘村
阿智村 阿智村
清内路村 -
泰阜村 - 泰阜村
浪合村 - - 阿智村
松川町 - - 松川町
阿南町 - - 阿南町
天龍村 - - - 天龍村
売木村 - - - - - 売木村
平谷村 - - - - - - 平谷村
根羽村 - - - - - - 根羽村
大鹿村 - - - - - - 大鹿村
  • 1984年12月1日 - 鼎町が飯田市に編入。
  • 1993年7月1日 - 上郷町が飯田市に編入。
  • 2005年10月1日 - 上村、南信濃村が飯田市に編入。
  • 2006年1月1日 - 浪合村が阿智村に編入。
  • 2006年3月31日 - 伊那市、高遠町、長谷村が新設合併し、伊那市が発足。
  • 2009年3月31日 - 清内路村が阿智村に編入。

都市圏(国土交通省)

[編集]

国土交通省が基準として定めている都市圏では以下の市町村が含まれる(2000年現在)。

飯田市都市圏
  • 飯田市
  • 下伊那郡(売木村及び根羽村を除く)
  • 上伊那郡(中川村)

都市圏(民力)

[編集]

朝日新聞社発行の「民力」で定義されている都市圏は以下の通り(2015年現在)。

岡谷市都市圏
  • 岡谷市
  • 下諏訪町(諏訪郡) 
  • 辰野町(上伊那郡) 
諏訪市都市圏
  • 諏訪市
茅野市都市圏
  • 茅野市
  • 富士見町(諏訪郡) 
  • 原村(諏訪郡) 
伊那市都市圏
  • 伊那市
  • 箕輪町(上伊那郡)
  • 南箕輪村(上伊那郡) 
駒ヶ根市都市圏
  • 駒ヶ根市
  • 飯島町(上伊那郡)
  • 中川村(上伊那郡) 
  • 宮田村(上伊那郡)
飯田市都市圏
  • 飯田市
  • 下伊那郡全域

昼夜間人口比

[編集]

2020年国勢調査によれば、昼夜間人口比が100%を超え、流入超過となっている自治体は諏訪市(106.56%)、飯田市(103.91%)、駒ヶ根市(103.85%)、伊那市(100.83%)、大鹿村(109.38%)、富士見町(107.95%)、阿南町(103.44%)、売木村(103.10%)、阿智村(102.78%)、天龍村(100.08%)となっている。

生活圏間流動

[編集]

国土交通省の「全国幹線旅客純流動調査」(第6回、2015年度)の生活圏間流動において、諏訪・伊那及び飯田を出発地とする目的地は以下のようになっている。ただし、同調査では同じ都道府県内の生活圏へのデータがないため、それらを除く。

207地域生活圏 「諏訪・伊那」は諏訪地域と上伊那地域を、「飯田」は南信州地域を指す。
甲信越地方は白地、東海北陸地方(甲信越以外の中部地方)は「」、それ以外は「」。
出発地:諏訪・伊那
目的地 万人/年
1 峡北 151.1
2 国中 107.2
3 東京23区 84.4
4 相模原 62.3
5 多摩 55.2
6 豊田 40.1
7 横浜 22.0
8 名古屋 21.1
9 川越 19.5
10 船橋 19.4
出発地:飯田
目的地 万人/年
1 豊田 63.2
2 東三河 42.5
3 静岡西部 36.7
4 東濃 29.5
5 名古屋 26.5
6 東京23区 15.6
7 郡内 10.1
8 相模原 7.9
9 川越 7.4
10 多摩 7.3

交通

[編集]

鉄道

[編集]

道路

[編集]
高速道路
  • E19E20中央自動車道
  • E19長野自動車道
  • E69三遠南信自動車道(建設中)

空港

[編集]

松本空港松本市塩尻市)か中部国際空港知多半島沖)が最寄りの空港である。

タクシー

[編集]

タクシーの営業区域

  • 諏訪交通圏
    • 岡谷市、諏訪市、茅野市、下諏訪町
  • 飯田市A - 飯田市(飯田地区)
  • 飯田市B - 飯田市(上村地区・南信濃地区)
  • 伊那市A - 伊那市(伊那地区)
  • 伊那市B - 伊那市(高遠地区・長谷地区)
  • 駒ヶ根市 - 市域に同じ
  • 諏訪郡A - 富士見町、原村
  • 上伊那郡A - 辰野町、箕輪町、南箕輪村
  • 上伊那郡B - 宮田村
  • 上伊那郡C - 飯島町、中川村
  • 下伊那郡 - 郡域に同じ

自動車のナンバープレート

[編集]

諏訪地域(岡谷市、諏訪市、茅野市、諏訪郡)を対象として、2006年10月10日以降、ご当地ナンバーとして「諏訪」ナンバーが交付されており、さらに南信州地域(飯田市、下伊那郡)を対象として、2025年以降、「南信州」ナンバーが交付される予定。

メディア

[編集]
新聞
FMラジオ局

特産品

[編集]
食品
工芸品

信州・天竜川どんぶり街道の会

[編集]
信州諏訪みそ天丼

2009年(平成21年)11月11日、南信地方9市町村の9団体(店舗数150以上)によって発足した。各団体ごとにご当地グルメとしての丼物(ご当地丼)を開発し、地域おこしにつなげる[5]。加盟団体およびメニューは下記の通り[6][7]

  • 信州諏訪みそ天丼会「信州諏訪みそ天丼」(諏訪市)
  • 信州うなぎのまち岡谷の会「うな丼」(岡谷市)
  • 信州辰野名物ほたる丼の会「ほたる丼」(辰野町)
  • 伊那ソースかつ丼会「ソースかつ丼」(伊那市)
  • 宮田名物丼プロジェクトチーム「紫輝彩丼」(宮田村)
  • 駒ヶ根ソースかつ丼会「ソースかつ丼」(駒ヶ根市)
  • 信州・飯島さくら(馬)を咲かす会「さくら丼」(飯島町)
  • 松川ごぼとん丼会「ごぼとん丼」(松川町)
  • 飯田どんぶり会「II-CUPヌーベル飯田丼」、「鹿味噌グリル丼」(飯田市)
  • 高森町ご当地グルメ検討委員会「アルプスサーモン丼」(高森町)

脚注

[編集]
  1. ^ 但し、隣接学区の公立高校も受験できるため、第1学区(北信)以外の公立高校が受験可能
  2. ^ a b c d 社団法人長野県史刊行会(1989年)長野県史 民俗編 第二巻(三)南信地方 ことばと伝承
  3. ^ 平成26年度総合調査研究
  4. ^ 2020年国勢調査で中心市である伊那市のDID地区人口が1万人未満となったため消滅。
  5. ^ “信州・天竜川どんぶり街道の会発足”. 伊那谷ねっと (伊那ケーブルテレビジョン). (2009年11月12日). https://ina-dani.net/topics/detail/?id=25090 2019年5月25日閲覧。 
  6. ^ 信州・天竜川どんぶり街道の会”. 長野県上伊那地方事務所 (2009年11月12日). 2010年3月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月25日閲覧。
  7. ^ OFFICE-SANGA (2013年9月20日). “その道は激うま丼に続く。長野県「信州・天竜川どんぶり街道」で食べ尽くす”. マイナビニュース (マイナビ). https://news.mynavi.jp/article/20130920-donburi/ 2019年5月25日閲覧。 

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]